JP2020091614A - 情報提供システム、サーバ、移動端末、及びコンピュータプログラム - Google Patents

情報提供システム、サーバ、移動端末、及びコンピュータプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】歩行者が移動行動を起こす前に、移動行動を推定する。【解決手段】情報提供システムは、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動を推定する推定部と、前記推定部によって推定された前記移動行動に基づく推定移動行動範囲を出力する出力部と、を備える。【選択図】図14

Description

本発明は、情報提供システム、サーバ、移動端末、及びコンピュータプログラムに関する。
特許文献1には、歩行者の移動行動を推定する装置が開示されている。特許文献1に開示されている装置は、撮像画像から歩行者を検出して当該歩行者を含む部分画像を抽出し、抽出された部分画像から取得される歩行者の形状情報を蓄積し、蓄積された形状情報を用いて所定時間前の形状情報と現在の形状情報とを比較することで、歩行者の動作の変化を検出し、歩行者の動作の変化に続いて生じる歩行者の不連続的な動作を示す不連続動作推定情報を用いて歩行者の移動行動を推定する。
国際公開第2013/042205号
しかしながら、特許文献1に開示された装置では、推定対象の歩行者の過去の形状情報を用いるため、方向転換などの歩行者の動作が変化する場合、動作変化が生じた後でなければその動作変化を検出することができない。
本開示は、以下の発明を含む。但し、本発明は、特許請求の範囲によって定められるものである。
本発明の一態様に係る情報提供システムは、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、前記推定部によって推定された移動行動範囲を出力する出力部と、を備える。
本発明の一態様に係るサーバは、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、前記推定部による推定結果を示す推定結果情報を送信する送信部と、を備える。
本発明の一態様に係る移動端末は、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力する出力部と、を備える。
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出するステップと、検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するステップと、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を送信するステップと、を実行させる。
本発明の他の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信するステップと、受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力するステップと、を実行させる。
本発明は、上記のような特徴的な処理部を備えるサーバとして実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする情報処理方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることができる。また、上記のような特徴的な処理部を備える移動端末として実現することができるだけでなく、かかる特徴的な処理をステップとする情報処理方法として実現したり、かかるステップをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムとして実現したりすることもできる。さらに、サーバ又は移動体端末の一部又は全部を半導体集積回路として実現したり、サーバ及び移動体端末を含む情報提供システムとして実現したりすることができる。
本発明によれば、歩行者が移動行動を起こす前に、移動行動を推定できる。
実施形態に係る無線通信システムの全体構成図である。 エッジサーバ及びコアサーバの内部構成の一例を示すブロック図である。 車載装置の内部構成の一例を示すブロック図である。 歩行者端末の内部構成の一例を示すブロック図である。 路側センサの内部構成の一例を示すブロック図である。 実施形態に係る情報提供システムの全体構成図である。 歩行者端末、車両、路側センサ、及びエッジサーバの協働により実行される、動的情報の更新処理、移動行動推定処理、及び情報配信処理の一例を示すシーケンス図である。 実施形態に係るエッジサーバの機能の一例を示す機能ブロック図である。 実施形態に係る情報提供システムにおける対象者の移動行動の推定の一例を説明するための模式図である。 実施形態に係る推定移動行動範囲の一例を示す模式図である。 実施形態に係る行動パターン情報の一例を示す図である。 実施形態に係る蓄積部における行動パターン情報の登録の一例を説明するための模式図である。 実施形態に係るエッジサーバによる移動行動推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。 推定移動行動範囲の出力態様の一例を説明するための図である。
<本発明の実施形態の概要>
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態に係る情報提供システムは、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、前記推定部によって推定された移動行動範囲を出力する出力部と、を備える。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
(2) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記属性は、前記対象者の顔の向きを含んでもよい。対象者の顔の向きは、これから移動する方向を示す場合がある。したがって、対象者の顔の向きを用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
(3) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記属性は、前記対象者の体の向きをさらに含んでもよい。対象者の顔の向きに加え、体の向きを用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
(4) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記推定部は、前記対象者の周辺環境の状態を示す環境状態情報にさらに基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定してもよい。歩行者の移動行動は、例えば、横断歩道の有無、信号機の有無、歩行者用信号機の有無、交差点の規模、天候、路面状態等の周辺環境の状態に左右される。したがって、周辺環境の状態を用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
(5) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記情報提供システムは、前記対象領域における過去の歩行者の移動行動を示す行動パターン情報を蓄積する蓄積部をさらに備え、前記推定部は、前記蓄積部に蓄積された前記行動パターン情報にさらに基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定してもよい。対象領域における歩行者の行動パターンの実績を用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
(6) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記行動パターン情報は、第1パラメータの値と第2パラメータの値とを含み、前記蓄積部は、前記対象者における前記第1パラメータの値が入力された場合に、入力された前記第1パラメータの値を含む前記行動パターン情報に含まれる前記第2パラメータの値を出力し、前記推定部は、前記蓄積部から出力された前記第2パラメータの値に基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定してもよい。対象者における第1パラメータの値と同じ移動行動を過去に取った歩行者の行動パターンが、第2パラメータの値として出力される。このような第2パラメータの値を用いることで、対象者の移動行動範囲を正確に推定することができる。
(7) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記移動行動範囲は、前記対象者が移動する方向、前記対象者の移動速度、及び前記対象者が移動する可能性のある方向範囲を示してもよい。これにより、対象領域の通行者に通行に有益な情報を提供することができる。
(8) また、本実施形態に係る情報提供システムにおいて、前記出力部は、前記推定された移動行動範囲である図形が付加された、前記対象領域を示すマップを出力してもよい。これにより、通行者が理解しやすい視覚情報として、推定された移動行動範囲を通行者に提供することができる。
(9) 本実施形態に係るサーバは、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、前記推定部による推定結果を示す推定結果情報を送信する送信部と、を備える。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
(10) 本実施形態に係る移動端末は、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力する出力部と、を備える。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。したがって、事前に歩行者の移動行動範囲を、通行者に提供することができる。
(11) 本実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出するステップと、検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するステップと、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を送信するステップと、を実行させる。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
(12) 本実施形態に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信するステップと、受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力するステップと、を実行させる。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。したがって、事前に歩行者の移動行動範囲を、通行者に提供することができる。
<本発明の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[無線通信システムの全体構成]
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、無線通信が可能な複数の通信端末1A〜1D、通信端末1A〜1Dと無線通信する1又は複数の基地局2、基地局2と有線又は無線で通信する1又は複数のエッジサーバ3、及び、エッジサーバ3と有線又は無線で通信する1又は複数のコアサーバ4を備える。
コアサーバ4は、コアネットワークのコアデータセンタ(DC)に設置されている。エッジサーバ3は、メトロネットワークの分散データセンタ(DC)に設置されている。
メトロネットワークは、例えば都市ごとに構築された通信ネットワークである。各地のメトロネットワークは、それぞれコアネットワークに接続されている。
基地局2は、メトロネットワークに含まれる分散データセンタのいずれかのエッジサーバ3に通信可能に接続されている。
コアサーバ4は、コアネットワークに通信可能に接続されている。エッジサーバ3は、メトロネットワークに通信可能に接続されている。従って、コアサーバ4は、コアネットワーク及びメトロネットワークを介して、各地のメトロネットワークに属するエッジサーバ3及び基地局2と通信可能である。
基地局2は、マクロセル基地局、マイクロセル基地局、及びピコセル基地局のうちの少なくとも1つよりなる。
例えば、メトロネットワークには交通管制センターが運営管理する交通情報サーバ91と、民間気象業務支援センターが運営管理する気象サーバ92とが接続される。交通情報サーバ91には、例えば、交通規制情報、道路工事情報、道路の詳細情報(信号機の有無、横断歩道の有無、歩行者用信号機の有無、交差点規模など)が記憶される。気象サーバ92には、例えば、地域毎、時間毎の気象情報(晴れ、雨、曇り、雪など)が記憶される。交通情報サーバ91及び気象サーバ92に記憶されるこれらの情報は、道路や交差点などの地点の環境状態を示す情報である。換言すれば、これらの情報は、注目する地点(対象領域)における歩行者の周辺環境の状態を示す環境状態情報である。
エッジサーバ3及びコアサーバ4のそれぞれは、交通情報サーバ91及び気象サーバ92のそれぞれと通信可能である。通信端末1A〜1Dも、基地局2を介して交通情報サーバ91及び気象サーバ92のそれぞれと通信可能である。
本実施形態の無線通信システムにおいて、エッジサーバ3及びコアサーバ4は、SDN(Software-Defined Networking)が可能な汎用サーバよりなる。基地局2及び図示しないリピータなどの中継装置は、SDNが可能なトランスポート機器によりなる。
従って、ネットワーク仮想化技術により、低遅延通信と大容量通信などの相反するサービス要求条件を満足する複数の仮想的なネットワーク(ネットワークスライス)S1〜S4を、無線通信システムの物理機器に定義することができる。
上記のネットワーク仮想化技術は、現時点で規格化が進行中の「第5世代移動通信システム」(以下、「5G」(5th Generation)と略記する。)の基本コンセプトである。従って、本実施形態の無線通信システムは、例えば5Gよりなる。
もっとも、本実施形態の無線通信システムは、遅延時間などの所定のサービス要求条件に応じて複数のネットワークスライス(以下、「スライス」ともいう。)S1〜S4を定義可能な移動通信システムであればよく、5Gに限定されるものではない。また、定義するスライスの階層は、4階層に限らず5階層以上であってもよい。
図1の例では、各ネットワークスライスS1〜S4は、次のように定義されている。
スライスS1は、通信端末1A〜1Dが、直接通信するように定義されたネットワークスライスである。スライスS1で直接通信する通信端末1A〜1Dを、「ノードN1」ともいう。
スライスS2は、通信端末1A〜1Dが、基地局2と通信するように定義されたネットワークスライスである。スライスS2における最上位の通信ノード(図例では基地局2)を、「ノードN2」ともいう。
スライスS3は、通信端末1A〜1Dが、基地局2を経由してエッジサーバ3と通信するように定義されたネットワークスライスである。スライスS3における最上位の通信ノード(図例ではエッジサーバ3)を、「ノードN3」ともいう。
スライスS3では、ノードN2が中継ノードとなる。すなわち、ノードN1→ノードN2→ノードN3のアップリンク経路と、ノードN3→ノードN2→ノードN1のダウンリンク経路によりデータ通信が行われる。
スライスS4は、通信端末1A〜1Dが、基地局2及びエッジサーバ3を経由してコアサーバ4と通信するように定義されたネットワークスライスである。スライスS4における最上位の通信ノード(図例ではコアサーバ4)を、「ノードN4」ともいう。
スライスS4では、ノードN2及びノードN3が中継ノードとなる。すなわち、ノードN1→ノードN2→ノードN3→ノードN4のアップリンク経路と、ノードN4→ノードN3→ノードN2→ノードN1のダウンリンク経路によりデータ通信が行われる。
スライスS4において、エッジサーバ3を中継ノードとしないルーティングの場合もある。この場合、ノードN1→ノードN2→ノードN4のアップリンク経路と、ノードN4→ノードN2→ノードN1のダウンリンク経路によりデータ通信が行われる。
スライスS2において、複数の基地局2(ノードN2)が含まれる場合は、基地局2,2間の通信を辿るルーティングも可能である。
同様に、スライスS3において、複数のエッジサーバ3(ノードN3)が含まれる場合は、エッジサーバ3,3間の通信を辿るルーティングも可能である。スライスS4において、複数のコアサーバ4(ノードN4)が含まれる場合は、コアサーバ4,4の通信を辿るルーティングも可能である。
通信端末1Aは、車両5に搭載された無線通信機よりなる。車両5には、通常の乗用車だけでなく、路線バスや緊急車両などの公共車両も含まれる。車両5は、四輪車だけでなく、二輪車(バイク)であってもよい。
車両5の駆動方式は、エンジン駆動、電気モータ駆動、及びハイブリッド方式のいずれでもよい。車両5の運転方式は、搭乗者が加減速やハンドル操舵などの操作を行う通常運転、及びその操作をソフトウェアが実行する自動運転のいずれでもよい。
車両5の通信端末1Aは、車両5に既設の無線通信機であってもよいし、搭乗者が車両5に持ち込んだ携帯端末であってもよい。
搭乗者の携帯端末は、車両5の車内LAN(Local Area Network)に接続されることにより、一時的に車載の無線通信機となる。
通信端末1Bは、歩行者7が携帯する携帯端末よりなる。歩行者7は、道路や駐車場などの屋外、及び建物内や地下街などの屋内を徒歩で移動する人間である。歩行者7には、徒歩だけでなく、動力源を有しない自転車などに搭乗する人間も含まれる。
通信端末1Cは、路側センサ8に搭載された無線通信機よりなる。路側センサ8は、道路に設置された画像式車両感知器、及び屋外又は屋内に設置された防犯カメラなどよりなる。通信端末1Dは、交差点の交通信号制御機9に搭載された無線通信機よりなる。
スライスS1〜S4のサービス要求条件は、次の通りである。スライスS1〜S4に許容される遅延時間D1〜D4は、D1<D2<D3<D4となるように定義されている。例えば、D1=1ms、D2=10ms、D3=100ms、D4=1sである。
スライスS1〜S4に許容される所定期間(例えば1日)当たりのデータ通信量C1〜C4は、C1<C2<C3<C4となるように定義されている。例えば、C1=20GB、C2=100GB、C3=2TB、C4=10TBである。
上記の通り、図1の無線通信システムでは、スライスS1での直接的な無線通信(例えば、車両5の通信端末1Aが直接通信する「車車間通信」など)、及び基地局2を経由するスライスS2の無線通信が可能である。
もっとも、本実施形態では、図1の無線通信システムにおけるスライスS3及びスライスS4を利用した、比較的広域のサービスエリア(例えば、市町村や都道府県を包含するエリア)に含まれるユーザに対する情報提供サービスを想定している。
[エッジサーバ及びコアサーバの内部構成]
図2は、エッジサーバ3及びコアサーバ4の内部構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、エッジサーバ3は、CPU(Central Processing Unit)などを含む制御部31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、記憶部34、及び通信部35などを備える。
制御部31は、ROM32に予め記憶された1又は複数のプログラムをRAM33に読み出して実行することにより、各ハードウェアの動作を制御し、コンピュータ装置をコアサーバ4や基地局2などと通信可能なエッジサーバとして機能させる。
RAM33は、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)などの揮発性のメモリ素子で構成され、制御部31が実行するプログラム及びその実行に必要なデータが一時的に記憶される。
記憶部34は、フラッシュメモリ若しくはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性のメモリ素子、又は、ハードディスクなどの磁気記憶装置などにより構成されている。
通信部35は、5G対応の通信処理を実行する通信装置よりなり、メトロネットワークを介してコアサーバ4や基地局2などと通信する。通信部35は、制御部31から与えられた情報を、メトロネットワークを介して外部装置に送信するとともに、メトロネットワークを介して受信した情報を制御部31に与える。
図2に示すように、エッジサーバ3の記憶部34は、例えば交差点、道路、駐車場等の対象領域における動的情報マップ(以下、単に「マップ」ともいう。)M1を記憶している。
マップM1は、静的情報である高精細のデジタル地図に対して、時々刻々と変化する動的情報及び推定移動行動範囲を重畳させたデータの集合体(仮想的なデータベース)である。マップM1を構成するデジタル情報には、下記の「動的情報」、「准動的情報」、「准静的情報」、「静的情報」、及び「推定移動行動範囲」が含まれる。
「動的情報」(〜1秒)は、1秒以内の遅延時間が要求される動的なデータのことである。例えば、ITS(Intelligent Transport Systems)先読み情報として活用される、移動体(車両及び歩行者など)の位置情報、及び信号情報などが動的情報に該当する。
「准動的情報」(〜1分)は、1分以内の遅延時間が要求される准動的なデータのことである。例えば、事故情報、渋滞情報、及び狭域気象情報などが准動的情報に該当する。
「准静的情報」(〜1時間)は、1時間以内の遅延時間が許容される准静的なデータのことである。例えば、交通規制情報、道路工事情報、及び広域気象情報などが准静的情報に該当する。
「静的情報」(〜1カ月)は、1カ月以内の遅延時間が許容される静的なデータのことである。例えば、路面情報、車線情報、3次元構造物データなどが静的情報に該当する。
「推定移動行動範囲」は、歩行者の推定される将来の移動行動範囲を示す情報である。例えば、推定移動行動範囲には、歩行者が将来移動すると推定される方向(方角)、推定される歩行者の将来の移動速度、及び歩行者が将来移動する可能性があると推定される方向範囲が含まれてもよい。
エッジサーバ3の制御部31は、記憶部34に格納されたマップM1の動的情報及び推定移動行動範囲を、所定の更新周期ごとに更新する(動的情報の更新処理及び移動行動推定処理)。なお、以下では、動的情報及び推定移動行動範囲の組み合わせ情報を、「動的推定情報」という。
具体的には、制御部31は、所定の更新周期ごとに、自装置のサービスエリア内で車両5や路側センサ8などが計測した各種のセンサ情報を、5G対応の各通信端末1A〜1Dから収集し、収集したセンサ情報に基づいてマップM1の動的情報を更新し、歩行者の移動行動を推定して推定移動行動範囲を更新する。
制御部31は、所定のユーザの通信端末1A,1Bから動的情報の要求メッセージを受信すると、所定の配信周期ごとに、最新の動的推定情報を要求メッセージの送信元の通信端末1A,1Bに配信する(情報配信処理)。
制御部31は、交通情報サーバ91及び気象サーバ92からサービスエリア内の各地の交通情報及び気象情報を収集し、収集した情報に基づいて、マップM1の准動的情報及び准静的情報を更新する。制御部31は、移動行動推定処理において交通情報及び気象情報を用いてもよい。
図2に示すように、コアサーバ4は、CPUなどを含む制御部41、ROM42、RAM43、記憶部44、及び通信部45などを備える。
制御部41は、ROM32に予め記憶された1又は複数のプログラムをRAM43に読み出して実行することにより、各ハードウェアの動作を制御し、コンピュータ装置をエッジサーバ3と通信可能なコアサーバ4として機能させる。
RAM43は、SRAM又はDRAMなどの揮発性のメモリ素子で構成され、制御部41が実行するプログラム及びその実行に必要なデータが一時的に記憶される。
記憶部44は、フラッシュメモリ若しくはEEPROMなどの不揮発性のメモリ素子、又は、ハードディスクなどの磁気記憶装置などにより構成されている。
通信部45は、5G対応の通信処理を実行する通信装置よりなり、コアネットワークを介してエッジサーバ3や基地局2などと通信する。通信部45は、制御部41から与えられた情報を、コアネットワークを介して外部装置に送信するとともに、コアネットワークを介して受信した情報を制御部41に与える。
図2に示すように、コアサーバ4の記憶部44は、動的情報マップM2を記憶している。
マップM2のデータ構造(動的情報、准動的情報、准静的情報、静的情報、及び推定移動行動範囲を含むデータ構造)は、マップM1の場合と同様である。マップM2は、特定のエッジサーバ3のマップM1と同じサービスエリアのマップでもよいし、複数のエッジサーバ3が保持する各マップM1を統合した、より広域のマップであってもよい。
コアサーバ4の制御部41は、エッジサーバ3の場合と同様に、記憶部44に格納されたマップM2の動的情報を更新する動的情報の更新処理と、推定移動行動範囲を更新する移動行動推定処理と、要求メッセージに応答して動的推定情報を配信する情報配信処理を行うことができる。
すなわち、制御部41は、エッジサーバ3とは別に、自装置のマップM2に基づく動的情報の更新処理、移動行動推定処理、及び情報配信処理を独自に実行可能である。
もっとも、スライスS4に属するコアサーバ4は、スライスS3に属するエッジサーバ3に比べて、通信端末1A〜1Dとの通信の遅延時間が大きい。
このため、コアサーバ4がマップM2の動的情報及び推定移動行動範囲を独自に更新しても、エッジサーバ3が管理するマップM1の動的情報及び推定移動行動範囲に比べてリアルタイム性に劣る。そこで、例えば所定のエリアごとに定義した優先度に応じて、エッジサーバ3の制御部31とコアサーバ4の制御部41が動的情報の更新処理、移動行動推定処理及び情報配信処理を分散的に処理することが好ましい。
制御部41は、交通情報サーバ91及び気象サーバ92からサービスエリア内の各地の交通情報及び気象情報を収集し、収集した情報に基づいて、マップM2の准動的情報及び准静的情報を更新する。制御部41は、移動行動推定処理において交通情報及び気象情報を用いてもよい。
制御部41は、エッジサーバ3から受信したマップM1の准動的情報及び准静的情報を、自装置のマップM2の准動的情報及び准静的情報として採用してもよい。
[車載装置の内部構成]
図3は、車載装置50の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、車両5の車載装置50は、制御部(ECU:Electronic Control Unit)51、GPS受信機52、車速センサ53、ジャイロセンサ54、記憶部55、ディスプレイ56、スピーカ57、入力デバイス58、車載カメラ59、レーダセンサ60、及び通信部61などを備える。
通信部61は、前述の通信端末1A、すなわち、例えば5G対応の通信処理が可能な無線通信機よりなる。
従って、車両5は、スライスS3に属する移動端末の一種として、エッジサーバ3と通信することができる。また、車両5は、スライスS4に属する移動端末の一種として、コアサーバ4と通信することもできる。
制御部51は、車両5の経路探索及び他の電子機器52〜61の制御などを行うコンピュータ装置よりなる。制御部51は、GPS受信機52が定期的に取得するGPS信号により自車両の車両位置を求める。
制御部51は、車速センサ53及びジャイロセンサ54の入力信号に基づいて、車両位置及び方位を補完し、車両5の正確な現在位置及び方位を把握する。
GPS受信機52、車速センサ53及びジャイロセンサ54は、車両5の現在位置、速度及び向きを計測するセンサ類である。
記憶部55は、地図データベースを備える。地図データベースは、制御部51に道路地図データを提供する。道路地図データは、リンクデータやノードデータを含み、DVD、CD−ROM、メモリカード、又はHDDなどの記録媒体に格納されている。記憶部55は、記録媒体から必要な道路地図データを読み出して制御部51に提供する。
ディスプレイ56とスピーカ57は、制御部51が生成した各種情報を車両5の搭乗者であるユーザに通知するための出力装置である。
具体的には、ディスプレイ56は、経路探索の際の入力画面、自車周辺の地図画像及び目的地までの経路情報などを表示する。スピーカ57は、車両5を目的地に誘導するためのアナウンスなどを音声出力する。これらの出力装置は、通信部61が受信した提供情報を搭乗者に通知することもできる。
入力デバイス58は、車両5の搭乗者が各種の入力操作を行うためデバイスである。入力デバイス58は、ハンドルに設けた操作スイッチ、ジョイスティック、及びディスプレイ56に設けたタッチパネルなどの組み合わせよりなる。
搭乗者の音声認識によって入力を受け付ける音声認識装置を、入力デバイス58とすることもできる。入力デバイス58が生成した入力信号は、制御部51に送信される。
車載カメラ59は、車両5の前方の映像を取り込む画像センサよりなる。車載カメラ59は、単眼又は複眼のいずれでもよい。レーダセンサ60は、ミリ波レーダやLiDAR方式などにより車両5の前方や周囲に存在する物体を検出するセンサよりなる。
制御部51は、車載カメラ59及びレーダセンサ60による計測データに基づいて、運転中の搭乗者に対する注意喚起をディスプレイ56に出力させたり、強制的なブレーキ介入を行ったりする運転支援制御を実行することができる。
制御部51は、記憶部55に格納された各種の制御プログラムを実行する、マイクロコンピュータなどの演算処理装置により構成されている。
制御部51は、上記制御プログラムを実行することにより、ディスプレイ56に地図画像を表示させる機能、出発地から目的地までの経路(中継地がある場合はその位置を含む。)を算出する機能、算出した経路に従って車両5を目的地まで誘導する機能など、各種のナビゲーション機能を実行可能である。
制御部51は、車載カメラ59及びレーダセンサ60のうちの少なくとも1つの計測データに基づいて、自車両の前方又は周囲の物体を認識する物体認識処理と、認識した物体までの距離を算出する測距処理が可能である。
制御部51は、測距処理により算出した距離と、自車両のセンサ位置とから、物体認識処理によって認識した物体の位置情報を算出することができる。
制御部51は、エッジサーバ3(コアサーバ4であってもよい。)との通信において、以下の各処理を実行可能である。
1)要求メッセージの送信処理
2)情報受信処理
3)変化点情報の算出処理
4)変化点情報の送信処理
要求メッセージの送信処理とは、エッジサーバ3が逐次更新するマップM1の動的推定情報の配信を要求する制御パケットを、エッジサーバ3に送信する処理のことである。制御パケットには、自車両の車両IDが含まれる。
エッジサーバ3は、所定の車両IDを含む要求メッセージを受信すると、送信元の車両IDを有する車両5の通信端末1A宛てに、動的推定情報を所定の配信周期で配信する。
情報受信処理とは、自装置に宛ててエッジサーバ3が配信した動的推定情報を、受信する処理のことである。
車両5における変化点情報の算出処理とは、受信した動的情報と、受信時点における自車両のセンサ情報との比較結果から、それらの情報間の変化量を算出する処理である。車両5が算出する変化点情報としては、例えば、次の情報例a1〜a2が考えられる。
情報例a1:認識物体に関する変化点情報
制御部51は、受信した動的情報には物体X(車両、歩行者及び障害物など)が含まれないが、自身の物体認識処理により物体Xを検出した場合は、検出した物体Xの画像データと位置情報を変化点情報とする。
制御部51は、受信した動的情報に含まれる物体Xの位置情報と、自身の物体認識処理により求めた物体Xの位置情報とが、所定の閾値以上ずれている場合は、検出した物体Xの画像データと、両者の位置情報の差分値を変化点情報とする。
情報例a2:自車両に関する変化点情報
制御部51は、受信した動的情報に含まれる自車両の位置情報と、GPS信号により自身が算出した自車両の車両位置とが、所定の閾値以上ずれている場合は、両者の差分値を変化点情報とする。
制御部51は、受信した動的情報に含まれる自車両の方位と、ジャイロセンサ54の計測データから自身が算出した自車両の方位とが、所定の閾値以上ずれている場合は、両者の差分値を変化点情報とする。
制御部51は、上記のようにして変化点情報を算出すると、算出した変化点情報を含むエッジサーバ3宛の通信パケットを生成する。制御部51は、その通信パケットに自車両の車両IDを含める。
変化点情報の送信処理とは、変化点情報をデータに含む上記の通信パケットを、エッジサーバ3宛てに送信する処理のことである。変化点情報の送信処理は、エッジサーバ3による動的推定情報の配信周期内に行われる。
制御部51は、エッジサーバ3などから受信した動的情報に基づいて、運転中の搭乗者に対する注意喚起をディスプレイ56に出力させたり、強制的なブレーキ介入を行ったりする運転支援制御を実行することもできる。
[歩行者端末の内部構成]
図4は、歩行者端末70の内部構成の一例を示すブロック図である。
図4の歩行者端末70は、前述の通信端末1B、すなわち、例えば5G対応の通信処理が可能な無線通信機よりなる。
従って、歩行者端末70は、スライスS3に属する移動端末の一種として、エッジサーバ3と通信することができる。また、歩行者端末70は、スライスS4に属する移動端末の一種として、コアサーバ4と通信することもできる。
図4に示すように、歩行者端末70は、制御部71、記憶部72、表示部73、操作部74、及び通信部75を備える。
通信部75は、5Gサービスを提供するキャリアの基地局2と無線通信する通信インターフェースよりなる。通信部75は、基地局2からのRF信号をデジタル信号に変換して制御部71に出力し、制御部71から入力されたデジタル信号をRF信号に変換して、基地局2に送信する。
制御部71は、CPU、ROM及びRAMなどを含む。制御部71は、記憶部72に記憶されたプログラムを読み出して実行し、歩行者端末70の全体の動作を制御する。
記憶部72は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成され、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。記憶部72は、歩行者端末70の識別情報である携帯IDを記憶している。携帯IDは、例えば、キャリア契約者の固有のユーザIDやMACアドレスなどよりなる。
記憶部72は、ユーザが任意にインストールした各種のアプリケーションソフトを記憶している。
このアプリケーションソフトには、例えば、エッジサーバ3(コアサーバ4でもよい。)との5G通信により、マップM1の動的推定情報などを受信する情報提供サービスを享受するためのアプリケーションソフトなどが含まれる。
操作部74は、各種の操作ボタンや表示部73のタッチパネル機能により構成されている。操作部74は、ユーザの操作に応じた操作信号を制御部71に出力する。
表示部73は、例えば液晶ディスプレイよりなり、各種の情報をユーザに提示する。例えば、表示部73は、サーバ3,4から送信された動的情報マップM1,M2の画像データなどを画面表示することができる。
制御部71は、GPS信号から現在時刻を取得する時刻同期機能と、GPS信号から自車両の現在位置(緯度、経度及び高度)を計測する位置検出機能と、方位センサによって歩行者7の向きを計測する方位検出機能なども有する。
制御部71は、エッジサーバ3(コアサーバ4であってもよい。)との通信において、以下の各処理を実行可能である。
1)要求メッセージの送信処理
2)端末状態情報の送信処理
3)情報受信処理
要求メッセージの送信処理とは、エッジサーバ3が逐次更新するマップM1の動的推定情報の配信を要求する制御パケットを、エッジサーバ3に送信する処理のことである。制御パケットには、歩行者端末70の携帯IDが含まれる。
エッジサーバ3は、所定の携帯IDを含む要求メッセージを受信すると、送信元の携帯IDを有する歩行者7の通信端末1B宛てに、動的推定情報を所定の配信周期で配信する。
端末状態情報の送信処理とは、自装置の位置及び方位情報などの歩行者端末70の状態情報を、エッジサーバ3に送信する処理のことである。端末状態情報には、地図アプリ、メールアプリ及びゲームアプリなど、いわゆる「歩きスマホ」の原因になり易いアプリケーションソフトを表示中か否かを表す識別情報を含めてもよい。
情報受信処理とは、自装置に宛ててエッジサーバ3が配信した動的推定情報を、受信する処理のことである。
[路側センサの内部構成]
図5は、路側センサ8の内部構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、路側センサ8は、制御部81、記憶部82、路側カメラ83、レーダセンサ84、降雨センサ85、日射センサ86、及び通信部87を備える。
通信部87は、前述の通信端末1C、すなわち、例えば5G対応の通信処理が可能な無線通信機よりなる。
従って、路側センサ8は、スライスS3に属する固定端末の一種として、エッジサーバ3と通信することができる。また、路側センサ8は、スライスS4に属する固定端末の一種として、コアサーバ4と通信することもできる。
制御部81は、CPU、ROM及びRAMなどを含む。制御部81は、記憶部82に記憶されたプログラムを読み出して実行し、路側センサ8の全体の動作を制御する。
記憶部82は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどより構成され、各種のコンピュータプログラムやデータを記憶する。記憶部82は、路側センサ8の識別情報であるセンサIDを記憶している。センサIDは、例えば、路側センサ8の所有者固有のユーザIDやMACアドレスなどよりなる。
路側カメラ83は、所定の撮影エリアの映像を取り込む画像センサよりなる。路側カメラ83は、単眼又は複眼のいずれでもよい。レーダセンサ84は、ミリ波レーダやLiDAR方式などにより車両5の前方や周囲に存在する物体を検出するセンサよりなる。降雨センサ85は、例えば電気抵抗の変化によって水分を検出するセンサよりなり、降雨状況を検出する。日射センサ86は、フォトダイオード等の光学素子よりなり、日射量を検出する。
降雨センサ85は、設置地点(対象領域)の降雨状況を示すセンサ情報を出力する。日射センサ86は、設置地点の日射量を示すセンサ情報を出力する。これらのセンサ情報は、設置地点における歩行者の周辺環境の状態を示す情報であるといえる。このため、降雨センサ85及び日射センサ86によって得られるセンサ情報は、環境状態情報である。
路側センサ8が防犯カメラである場合、制御部81は、取り込んだ映像データなどを防犯管理者のコンピュータ装置に送信する。路側センサ8が画像式車両感知器である場合、制御部81は、取り込んだ映像データなどを交通管制センターに送信する。
制御部81は、路側カメラ83及びレーダセンサ84のうちの少なくとも1つの計測データに基づいて、撮影エリア内の物体を認識する物体認識処理と、認識した物体までの距離を算出する測距処理が可能である。
制御部51は、測距処理により算出した距離と、自車両のセンサ位置とから、物体認識処理によって認識した物体の位置情報を算出することができる。
制御部81は、エッジサーバ3(コアサーバ4であってもよい。)との通信において、以下の各処理を実行可能である。
1)変化点情報の算出処理
2)変化点情報の送信処理
3)センサ情報の送信処理
路側センサ8における変化点情報の算出処理とは、所定の計測周期(例えば、エッジサーバ3による動的情報の配信周期)ごとの、前回のセンサ情報と今回のセンサ情報との比較結果から、それらのセンサ情報間の変化量を算出する処理である。路側センサ8が算出する変化点情報としては、例えば、次の情報例b1が考えられる。
情報例b1:認識物体に関する変化点情報
制御部81は、前回の物体認識処理では物体Y(車両、歩行者及び障害物など)が含まれないが、今回の物体認識処理により物体Yを検出した場合は、検出した物体Yの画像データと位置情報を変化点情報とする。
制御部81は、前回の物体認識処理により求めた物体Yの位置情報と、今回の物体認識処理により求めた物体Xの位置情報とが、所定の閾値以上ずれている場合は、検出した物体Yの位置情報と、両者の差分値を変化点情報とする。
制御部81は、上記のようにして変化点情報を算出すると、算出した変化点情報を含むエッジサーバ3宛の通信パケットを生成する。制御部81は、その通信パケットに自装置のセンサIDを含める。
変化点情報の送信処理とは、変化点情報をデータに含む上記の通信パケットを、エッジサーバ3宛てに送信する処理のことである。変化点情報の送信処理は、エッジサーバ3による動的推定情報の配信周期内に行われる。
センサ情報の送信処理とは、路側カメラ83により得られた映像データ、レーダセンサ84、降雨センサ85、及び日射センサ86のそれぞれによる検出結果のデータを含む上記の通信パケットを、エッジサーバ3宛てに送信する処理のことである。センサ情報の送信処理は、エッジサーバ3による動的推定情報の配信周期内に行われる。
[情報提供システムの全体構成]
図6は、本発明の実施形態に係る情報提供システムの全体構成図である。
図6に示すように、本実施形態の情報提供システムは、比較的広範囲であるエッジサーバ3のサービスエリア(リアルワード)に散在する多数の車両5、歩行者端末70及び路側センサ8と、これらの通信ノードと基地局2を介した5G通信などにより低遅延での無線通信が可能なエッジサーバ3とを備える。
エッジサーバ3は、車両5及び路側センサ8などから、前述の変化点情報を所定周期で収集しており(ステップS31)、収集した変化点情報をマップマッチングによって統合し、管理中の動的情報マップM1の動的情報を更新する(ステップS32)。
エッジサーバ3は、所定周期ごとの変化点情報の収集(ステップS31)に加えて、路側センサ8によって得られたセンサ情報、並びに、交通情報サーバ91及び気象サーバ92によって得られた環境状態情報を、所定周期ごとに収集可能である(ステップS33)。
エッジサーバ3は、所定の更新周期ごとに、取得されたセンサ情報及び環境状態情報に基づいて、現時点以後にサービスエリア内の所定地点において起こり得る歩行者の移動行動を推定し(移動行動推定処理:ステップS34)、推定された移動行動範囲(推定移動行動範囲)を動的情報マップM1に重畳する。
エッジサーバ3は、車両5又は歩行者端末70から要求があれば、最新の動的推定情報を要求元の通信ノードに送信する(ステップS35)。これにより、例えば動的推定情報を受信した車両5は、搭乗者の運転支援などに動的情報及び推定移動行動範囲を活用することができる。
動的推定情報を受信した車両5は、動的情報に基づいて自車両のセンサ情報との変化点情報を検出すると、検出した変化点情報をエッジサーバ3に送信する(ステップS36)。
このように、本実施形態の情報提供システムでは、変化点情報の収集(ステップS31)→動的情報の更新(ステップS32)→センサ情報及び環境状態情報の収集(ステップS33)→歩行者の移動行動の推定(ステップS34)→動的推定情報の配信(ステップS35)→車両による変化点情報の検出(ステップS36)→変化点情報の収集(ステップS31)の順で、各通信ノードにおける情報処理が循環する。
図6では、1つのエッジサーバ3のみを含む情報提供システムを例示しているが、複数のエッジサーバ3が含まれていてもよいし、エッジサーバ3の代わりに或いはエッジサーバ3に加えて、1又は複数のコアサーバ4が含まれていてもよい。
また、エッジサーバ3が管理する動的情報マップM1は、デジタル地図などの地図情報に少なくとも物体の動的情報及び推定移動行動範囲が重畳されたマップであればよい。この点は、コアサーバの動的情報マップM2の場合も同様である。
[動的情報の更新処理、移動行動推定処理及び情報配信処理]
図7は、歩行者端末70、車両5、路側センサ8、及びエッジサーバ3の協働により実行される、動的情報の更新処理、移動行動推定処理、及び情報配信処理の一例を示すシーケンス図である。
以下の説明では、実行主体が歩行者端末70、車両5、路側センサ8及びエッジサーバ3となっているが、実際の実行主体は、それらの制御部71,51,81,31である。図7中のU1,U2……は、動的推定情報の配信周期である。
図7に示すように、エッジサーバ3は、歩行者端末70及び車両5から動的推定情報の要求メッセージを受信すると(ステップS1)、受信時点において最新の動的推定情報を、送信元の歩行者端末70及び車両5に配信する(ステップS2)。
ステップS1において、歩行者端末70及び車両5のいずれか一方から要求メッセージがあった場合には、ステップS2において、要求メッセージの送信元である一方の通信端末のみに動的推定情報が配信される。
ステップS2の動的推定情報を受信した車両5は、配信周期U1内に、動的情報と自身のセンサ情報との比較結果から変化点情報を検出すると(ステップS3)、検出した変化点情報をエッジサーバ3に送信する(ステップS5)。
路側センサ8は、配信周期U1内に、自身のセンサ情報の変化点情報を検出すると、検出した変化点情報をエッジサーバ3に送信する(ステップS5)。
路側センサ8は、配信周期U1内に、取得したセンサ情報(及び環境状態情報)をエッジサーバ3に送信する(ステップS6)。
エッジサーバ3は、配信周期U1内に、車両5及び路側センサ8から変化点情報を受信すると、それらの変化点情報を反映した動的情報に更新する(ステップS7)。
エッジサーバ3は、配信周期U1内に、路側センサ8から送信されたセンサ情報に基づいて、歩行者の移動行動を推定する(ステップS8)。
エッジサーバ3は、更新後の動的情報及び推定移動行動範囲、即ち動的推定情報を歩行者端末70及び車両5に配信する(ステップS9)。
配信周期U1内に、車両5のみが変化点情報を検出した場合は、ステップS3で車両5が検出した変化点情報のみがエッジサーバ3に送信され(ステップS5)、その変化点情報のみを反映した動的情報の更新が行われる(ステップS7)。
配信周期U1内に、路側センサ8のみが変化点情報を検出した場合は、ステップS4で路側センサ8が検出した変化点情報のみがエッジサーバ3に送信され(ステップS5)、その変化点情報のみを反映した動的情報の更新が行われる(ステップS7)。
配信周期U1内に、車両5及び路側センサ8の双方が変化点情報を検出しなかった場合は、ステップS3〜S5及びS7の処理が実行されず、前回送信分の動的情報(ステップS2)と同じ動的情報が歩行者端末70及び車両5に配信される(ステップS9)。
ステップS9の動的情報を受信した車両5は、配信周期U2内に、動的情報と自身のセンサ情報との比較結果から変化点情報を検出すると(ステップS10)、検出した変化点情報をエッジサーバ3に送信する(ステップS12)。
路側センサ8は、配信周期U2内に、自身のセンサ情報の変化点情報を検出すると(ステップS11)、検出した変化点情報をエッジサーバ3に送信する(ステップS12)。
路側センサ8は、配信周期U2内に、取得したセンサ情報(及び環境状態情報)をエッジサーバ3に送信する(ステップS13)。
エッジサーバ3は、配信周期U2内に、車両5及び路側センサ8から変化点情報を受信すると、それらの変化点情報を反映した動的情報に更新する(ステップS14)。
エッジサーバ3は、配信周期U2内に、路側センサ8から送信されたセンサ情報に基づいて、歩行者の移動行動を推定する(ステップS15)。
エッジサーバ3は、更新後の動的情報及び推定移動行動範囲、即ち動的推定情報を歩行者端末70及び車両5に配信する(ステップS16)。
配信周期U2内に、車両5のみが変化点情報を検出した場合は、ステップS10で車両5が検出した変化点情報のみがエッジサーバ3に送信され(ステップS12)、その変化点情報のみを反映した動的情報の更新が行われる(ステップS14)。
配信周期U2内に、路側センサ8のみが変化点情報を検出した場合は、ステップS11で路側センサ8が検出した変化点情報のみがエッジサーバ3に送信され(ステップS12)、その変化点情報のみを反映した動的情報の更新が行われる(ステップS14)。
配信周期U2内に、車両5及び路側センサ8の双方が変化点情報を検出しなかった場合は、ステップS10〜S12及びS14の処理が実行されず、前回送信分の動的情報(ステップS7)と同じ動的情報が歩行者端末70及び車両5に配信される(ステップS16)。
その後、歩行者端末70及び車両5の双方から、動的推定情報の配信停止の要求メッセージを受信するか、或いは、歩行者端末70及び車両5の通信が遮断されるまで、上記と同様のシーケンスが繰り返される。
[歩行者の移動行動の推定]
以下、歩行者の移動行動の推定についてさらに詳細に説明する。図8は、本実施形態に係るエッジサーバ3の機能の一例を示す機能ブロック図である。図8に示すように、エッジサーバ3は、受信部310と、属性検出部320と、推定部330と、蓄積部340と、送信部350との各機能を有する。
受信部310は、路側センサ8から送信されたセンサ情報を受信できる。また、受信部310は、交通情報サーバ91及び気象サーバ92から送信された環境状態情報を受信できる。なお、路側センサ8から送信されるセンサ情報の一部(例えば、降雨センサ85及び日射センサ86のセンサ情報)は、環境状態情報とすることもできる。受信部310は、交通信号制御機9から送信される点灯状態の情報(青、赤、黄など)を環境状態情報として受信してもよい。
属性検出部320は、受信部310によって受信されたセンサ情報に基づいて、対象領域における歩行者(対象者)の将来の行動に関連する属性を検出する。
対象者の将来の行動に関連する属性は、例えば、対象者の顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルを含む。歩行者は、自分が進行したい方向に顔を向ける。したがって、対象者の顔の向きは、対象者が将来進行する可能性が高い方向を示す属性である。歩行者は、それまで進行していた方向に継続して将来も進行する可能性が高い。したがって、対象者の移動ベクトルは、対象者が将来進行する可能性の高い方向を示す属性である。歩行者は、通常、進行している方向に体を向けて歩行する。したがって、対象者の体の向きもまた、対象者が将来進行する可能性の高い方向を示す属性である。なお、多くの場合において「体の向き」と「移動ベクトル」とは同じ方向を指す。したがって、例えば「移動ベクトル」を属性に含め、「体の向き」を属性に含めなくてもよい。この場合、「移動ベクトル」の方向成分を「体の向き」に対応する情報とすることができる。
図9は、本実施形態に係る情報提供システムにおける対象者の移動行動の推定の一例を説明するための模式図である。図9の例では、対象領域が交差点であり、顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルが属性とされる。例えば、属性検出部320は、路側カメラ83によって得られた映像データを解析することで、顔の向き及び体の向きを検出する。
また、属性検出部320は、路側カメラ83による前回の映像における対象者の位置と、今回の映像における対象者の位置とに基づいて、移動ベクトルを検出する。例えば、属性検出部320は、前回(前回の動的推定情報の配信周期)の映像における対象者の位置と、今回(今回の動的推定情報の配信周期)の映像における対象者の位置とを結ぶ方向及びその距離を移動ベクトルとして検出できる。
移動ベクトルは、路側カメラ83により得られた映像ではなく、レーダセンサ84によるセンサ情報に基づいて検出することもできる。例えば、属性検出部320は、レーダセンサ84によって前回検出された対象者の位置と、今回検出された対象者の位置とを結ぶ方向及びその距離を移動ベクトルとして検出してもよい。
属性検出部320は、路側カメラ83による映像及びレーダセンサ84によるセンサ情報の少なくとも1つと共に、または単独で、車両5に設けられた車載カメラ59による映像を用いて、顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルの少なくとも1つを検出することもできる。また、属性検出部320は、路側カメラ83による映像、レーダセンサ84によるセンサ情報、及び車載カメラ59による映像の少なくとも1つと共に、または単独で、歩行者端末70による検出位置及び検出方位を用いて、顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルの少なくとも1つを検出することもできる。なお、属性の検出に車載カメラ59,歩行者端末70によって得られる情報を用いる場合、動的推定情報の配信周期毎に、車載カメラ59,歩行者端末70がエッジサーバ3へセンサ情報(車載カメラ59の映像、歩行者端末70の検出位置及び検出方位)を送信すればよい。
図9に示すように、属性検出部320は、対象領域における各歩行者を対象者とし、対象者毎に属性を検出する。
再び図8を参照する。推定部330は、属性検出部320によって検出された属性に基づいて、対象領域における対象者の移動行動を推定する。
推定部330は、例えば、顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルを総合的に考慮して、対象者の移動行動を推定し、対象者毎に推定移動行動範囲を決定する。図10は、推定移動行動範囲の一例を示す模式図である。推定移動行動範囲は、例えば、対象者が将来移動すると推定される方向(以下、「推定方向」という)φ、推定される対象者の将来の移動速度(以下、「推定速度」という)V、及び対象者が将来移動する可能性があると推定される方向範囲(以下、「推定方向範囲」という)θが含まれてもよい。推定部330は、対象者の属性に加え、環境状態情報を用いて移動行動を推定してもよい。
再び図9を参照する。具体的な一例では、対象者の顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルの方向が一致する場合、推定部330は、当該方向を推定方向範囲θとする。また、この場合において、例えば対象者が交差点から一定距離以上離れた位置から当該交差点に向かって移動しているとき、交差点から離れており、且つ、歩行状態が安定している(継続的に同一方向に歩行している)と判断できるため、推定部330は、推定速度Vをそれまでの移動速度(移動ベクトルの長さ)と同じとし、推定方向範囲θを狭い範囲(例えば、推定方向φを中心とした5°の範囲)とすることができる。
また他の例では、対象者の体の向きと移動ベクトルの方向とが一致しているが、顔の向きがこれらと異なり、横断歩道を向いている場合、対象者がしばらく方向を変えずに歩行した後、横断歩道を渡る可能性があると判断できる。このため、推定部330は、推定方向φを横断歩道に向いた方向とし、推定速度Vを中程度とし、推定方向範囲θを広く(例えば、推定方向φを中心とした30°の範囲)することができる。
この例において、推定部330は、例えば環境状態情報として、信号機の有無、横断歩道の有無、歩行者用信号機の有無、信号機の点灯状態(青、赤、黄など)、気象情報(晴れ、雨、曇り、雪など)を用いることができる。具体的には、横断歩道の歩行者用信号機が青の場合、推定部330は、推定速度Vを大きくし、推定方向範囲θを中程度(例えば、20°の範囲)することができる。
さらに他の例では、対象者の顔が横断歩道を向き、顔の向きと体の向きとが異なっており、移動ベクトルが0(停止状態)である場合、対象者が方向転換し横断歩道を渡る可能性があると判断できる。このため、推定部330は、推定方向φを横断歩道に向いた方向とし、推定速度Vを小さくし、推定方向範囲θを中程度(例えば、推定方向φを中心とした20°の範囲)することができる。
この例において、推定部330は、例えば環境状態情報として、信号機の有無、横断歩道の有無、歩行者用信号機の有無、信号機の点灯状態(青、赤、黄など)、気象情報(晴れ、雨、曇り、雪など)を用いることができる。具体的には、横断歩道の歩行者用信号機が青の場合、推定部330は、推定速度Vを中程度とし、推定方向範囲θを狭く(例えば、15°の範囲)することができる。
さらに他の例では、対象者が交差点へ向かって歩きながら歩行者端末70を使用しているため、対象者の顔が下を向き、体は交差点方向へ向き、移動ベクトルが小さい場合、注意力が低下した状態で歩行していると判断できる。このため、推定部330は、推定方向φを進行方向とし、推定速度Vを小さくし、推定方向範囲θを広く(例えば、120°の範囲)することができる。
環境状態情報は、上記以外にも、気象情報、路面状態の情報を含むことができる。推定部330は、例えば気象情報を用いて、雨の場合には推定速度Vを大きくしたり、例えば路面状態情報を用いて、路面を工事中の場合には推定方向φを変更したりすることができる。
再び図8を参照する。蓄積部340は、対象領域における過去の歩行者の移動行動を示す行動パターン情報を蓄積する。
図11は、行動パターン情報の一例を示す図である。行動パターン情報は、複数のパラメータの値よりなる。具体的な一例では、行動パターン情報のパラメータに、流入方向、通過横断歩道情報、流出方向、時間帯、天候のそれぞれが含まれる。「流入方向」は、対象領域に歩行者が入る方向を示すパラメータである。パラメータ「流入方向」の値の一例は、「東」、「西」、「南」、「北」である。「通過横断歩道情報」は交差点の横断歩道のIDを示すパラメータである。例えば、4つの横断歩道を含む交差点におけるパラメータ「通過横断歩道情報」の値の一例は、「1」、「2」、「3」、「4」である。「流出方向」は、対象領域から歩行者が出る方向を示すパラメータである。パラメータ「流出方向」の値の一例は、「東」、「西」、「南」、「北」である。「時間帯」は、行動パターン情報が記録された時間帯を示すパラメータである。パラメータ「時間帯」の値の一例は、「0時〜6時」、「6時〜8時」、「8時〜12時」、「12時〜14時」、「14時〜16時」、「16時〜18時」、「18時〜20時」、「20時〜22時」、「22時〜0時」である。「天候」は、行動パターン情報が記録された時点での対象領域の天候を示すパラメータである。パラメータ「天候」の値の一例は、「晴れ」、「曇り」、「雨」、「雪」である。
蓄積部340には、過去に対象領域を通過した歩行者の行動パターン情報が登録される。図12は、蓄積部340における行動パターン情報の登録の一例を説明するための模式図である。例えば、ある歩行者が対象領域の交差点に、東から西へと入り、ID:2の横断歩道を通過し、南から北へと出た場合、パラメータ「流入方向」の値は「東」であり、パラメータ「通過横断歩道情報」の値は「2」であり、パラメータ「流出方向」の値は「北」である。この例において、歩行者が対象領域を通過した時刻が7時であり、その時刻における対象領域での天候が晴れの場合、パラメータ「時間帯」の値は「6時〜8時」であり、パラメータ「天候」の値は「晴れ」である。エッジサーバ3において、例えば路側センサ8のセンサ情報に基づいて歩行者の行動パターンが検出され、蓄積部340に行動パターン情報が登録される。
具体的なハードウェア構成として、記憶部34にデータベースを構築し、当該データベースに行動パターン情報を登録することで、蓄積部340を実現できる。
再び図8を参照する。推定部330は、蓄積部340から行動パターン情報を抽出できる。行動パターン情報のパラメータには、第1パラメータと第2パラメータとが含まれる。第1パラメータは入力パラメータであり、第2パラメータは出力パラメータである。推定部330は、第1パラメータの値を蓄積部340に入力する。蓄積部340は、第1パラメータの値を受け付けると、これに対応する第2パラメータの値を出力する。
具体的な一例では、第1パラメータは「流入方向」、「時間帯」、及び「天気」であり、第2パラメータは「通過横断歩道情報」及び「流出方向」である。推定部330は、対象領域に入った対象者の移動行動を推定する場合、蓄積部340から行動パターン情報を抽出し、抽出された行動パターン情報に基づいて、上記のようにして得られた推定移動行動範囲を修正できる。例えば、対象者の「流入方向」が「西」、「時間帯」が「12時〜14時」、「天候」が「曇り」の場合、推定部330は、蓄積部340に各第1パラメータの値「流入方向:西」、「時間帯:12時〜14時」、及び「天候:曇り」を入力する。
具体的な一例では、蓄積部340は、第1パラメータの値が入力値に合致する行動パターン情報を検索し、検索された行動パターン情報における第2パラメータの値を出力する。推定部330は、出力された第2パラメータの値に基づいて、例えば統計的な手法により、過去の歩行者の行動パターンを特定する。例えば、「通過横断歩道情報」が「1」、「流出方向」が「東」のデータがその他のデータよりも多い場合、過去の歩行者の行動パターンは「通過横断歩道情報:1」及び「流出方向:東」が多いと判断できる。このため、推定部330は、「通過横断歩道情報:1」及び「流出方向:東」に基づいて、推定移動行動範囲を修正できる。具体的には、推定移動行動範囲において、ID:1の横断歩道を東に向かって対象者が通過する行動が推定されている場合、推定部330は、推定方向範囲θを狭くするように修正できる。また、推定移動行動範囲において、ID:4の横断歩道を南に向かって対象者が通過する行動が推定されている場合、推定部330は、推定方向φを東寄りに修正し、推定方向範囲を広くするように修正できる。
送信部350は、推定部330によって決定された推定移動行動範囲を示す推定結果情報を、車両5及び歩行者端末70へ送信する。
受信部310及び送信部350は、例えば、通信部35によって実現できる。属性検出部320及び推定部330は、例えば、制御部31によって実現できる。
図13は、本実施形態に係るエッジサーバによる移動行動推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。エッジサーバ3は、路側センサ8によって得られるセンサ情報を受信し(ステップS101)、路側センサ8、交通情報サーバ91、気象サーバ92、車載カメラ59、及び歩行者端末70によって得られる環境状態情報を受信する(ステップS102)。
制御部31は、受信されたセンサ情報に基づいて対象者毎の属性(例えば、顔の向き、体の向き、移動ベクトル)を検出する(ステップS103)。
制御部31は、第1推定処理を実行する(ステップS104)。第1推定処理では、検出された属性に基づいて対象者の移動行動が推定される。第1推定処理では、制御部31は、例えば、顔の向き、体の向き、及び移動ベクトルを総合的に考慮して、対象者の移動行動を推定し、対象者毎に推定移動行動範囲を決定する。
制御部31は、第2推定処理を実行する(ステップS105)。第2推定処理では、環境状態情報に基づいて、第1推定処理によって得られた推定移動行動範囲が修正される。第2推定処理では、制御部31は、例えば、環境状態情報として、信号機の有無、横断歩道の有無、歩行者用信号機の有無、信号機の点灯状態(青、赤、黄など)、気象情報(晴れ、雨、曇り、雪など)を用いて、推定移動行動範囲を修正する。
制御部31は、各歩行者の流入方向、現在の時間帯、及び対象領域の現在の天候を決定する(ステップS106)。例えば、制御部31は、上記のステップS103において検出された移動ベクトルを用いて、歩行者の流入方向を決定できる。制御部31は、現在時刻から時間帯を決定できる。制御部31は、気象サーバ92、降雨センサ85、日射センサ86から得られた情報に基づいて、対象領域の現在の天候を決定できる。
制御部31は、記憶部34に設けられたデータベースに対して、決定された流入方向、時間帯、天候の各値を入力し、行動パターン情報を検索する(ステップS107)。
制御部31は、第3推定処理を実行する(ステップS108)。第3推定処理では、検索された行動パターン情報に基づいて、第2推定処理によって得られた推定移動行動範囲が修正される。第3推定処理では、制御部31は、例えば、検索によって得られた流出方向及び通過横断歩道情報を統計的に解析し、過去において流入方向、時間帯、天候が入力値と同じ歩行者の流出方向及び通過横断歩道情報の傾向を特定する。制御部31は、特定された流出方向及び通過横断歩道情報に基づいて、推定移動行動範囲を修正する。
制御部31は、車両5及び歩行者端末70を宛先として、第3推定処理によって得られた推定移動行動範囲を示す推定結果情報を、通信部35に送信させる(ステップS109)。以上で、移動行動推定処理が終了する。上記の処理は、動的推定情報の更新周期毎に実行される。
なお、コアサーバ4もエッジサーバ3と同様の上記機能を有し、上記の移動行動推定処理を実行してもよい。
図3を参照する。車両5の通信部61は、エッジサーバ3又はコアサーバ4から送信された推定結果情報を受信する。制御部51は、推定移動行動範囲を、動的情報と共にデジタル地図に重畳してマップM1を作成し、ディスプレイ56にマップM1を表示(出力)させる。
図4を参照する。歩行者端末70の通信部75は、エッジサーバ3又はコアサーバ4から送信された推定結果情報を受信する。制御部71は、推定移動行動範囲を、動的情報と共にデジタル地図に重畳してマップM1を作成し、表示部73にマップM1を表示(出力)させる。
図14は、推定移動行動範囲の出力態様の一例を説明するための図である。具体的な一例では、推定移動行動範囲は、上記のように、推定方向φと、推定速度Vと、推定方向範囲θとを含む。これらのφ、V、θによって、推定移動行動範囲を扇形として表すことができる。即ち、この扇形は、推定方向φを扇形の中心線方向とし、推定速度Vを半径とし、推定方向範囲を中心角とした扇形である(図11参照)。例えば、制御部51,71は、デジタル地図に歩行者マーク901を動的情報として重畳し、上記のようにして作成された扇形の図形902を推定移動行動範囲として重畳することにより、マップM1を作成できる。
ユーザ(車両5のドライバー、歩行者端末70を使用する歩行者)は、マップM1を参照することにより、各歩行者の推定される移動行動を把握することができる。このようなマップM1を提供することにより、通行者(車両5のドライバー及び歩行者)の安全な通行を支援することができる。
[変形例]
上記の実施形態では、エッジサーバ3が歩行者の属性を検出する構成としたが、これに限定されない。例えば、路側センサ8の制御部81が、自装置のセンサ情報に基づいて属性を検出してもよい。即ち、属性検出部320は、エッジサーバ3ではなく、路側センサ8に備わってもよい。この場合、路側センサ8は、センサ情報に代えて、属性を示す属性情報をエッジサーバ3へ送信できる。
[効果]
上記のように、本実施形態に係る情報提供システムは、属性検出部320と、推定部330と、出力部であるディスプレイ56とを備える。属性検出部320は、対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する。推定部330は、属性検出部320によって検出された属性に基づいて、対象領域における対象者の移動行動範囲を推定する。出力部(ディスプレイ56)は、推定部330によって推定された移動行動範囲を出力する。対象者の将来の行動に関連する属性を用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
属性は、対象者の顔の向きを含んでもよい。対象者の顔の向きは、これから移動する方向を示す場合がある。したがって、対象者の顔の向きを用いることにより、対象者が移動行動を開始する前に、移動行動範囲を推定することができる。
属性は、対象者の体の向きをさらに含んでもよい。対象者の顔の向きに加え、体の向きを用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
推定部330は、対象者の周辺環境の状態を示す環境状態情報にさらに基づいて、対象者の移動行動を推定してもよい。歩行者の移動行動は、例えば、横断歩道の有無、信号機の有無、歩行者用信号機の有無、交差点の規模、天候、路面状態等の周辺環境の状態に左右される。したがって、周辺環境の状態を用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
情報提供システムは、蓄積部340をさらに備えてもよい。蓄積部340は、対象領域における過去の歩行者の移動行動を示す行動パターン情報を蓄積する。推定部330は、蓄積部340に蓄積された行動パターン情報にさらに基づいて、対象者の移動行動範囲を推定してもよい。対象領域における歩行者の行動パターンの実績を用いることで、対象者の移動行動範囲をより正確に推定することができる。
行動パターン情報は、第1パラメータの値と第2パラメータの値とを含んでもよい。蓄積部340は、対象者における第1パラメータの値が入力された場合に、入力された第1パラメータの値を含む行動パターン情報に含まれる第2パラメータの値を出力してもよい。推定部330は、蓄積部340から出力された第2パラメータの値に基づいて、対象者の移動行動範囲を推定してもよい。対象者における第1パラメータの値と同じ移動行動を過去に取った歩行者の行動パターンが、第2パラメータの値として出力される。このような第2パラメータの値を用いることで、対象者の移動行動範囲を正確に推定することができる。
移動行動範囲は、対象者が移動する方向、対象者の移動速度、及び対象者が移動する可能性のある方向範囲を示してもよい。これにより、対象領域の通行者に通行に有益な情報を提供することができる。
出力部は、推定された移動行動範囲である図形が付加された、対象領域を示すマップを出力してもよい。これにより、通行者が理解しやすい視覚情報として、推定された移動行動範囲を通行者に提供することができる。
[補記]
今回開示した実施形態(変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
1A 通信端末
1B 通信端末
1C 通信端末
1D 通信端末
2 基地局
3 エッジサーバ
4 コアサーバ
5 車両(移動端末)
7 歩行者
8 路側センサ
9 交通信号制御機
31 制御部
32 ROM
33 RAM
34 記憶部
35 通信部
41 制御部
42 ROM
43 RAM
44 記憶部
45 通信部
50 車載装置
51 制御部
52 GPS受信機
53 車速センサ
54 ジャイロセンサ
55 記憶部
56 ディスプレイ(出力部)
57 スピーカ
58 入力デバイス
59 車載カメラ
60 レーダセンサ
61 通信部
70 歩行者端末(移動端末)
71 制御部
72 記憶部
73 表示部(出力部)
74 操作部
75 通信部
81 制御部
82 記憶部
83 路側カメラ
84 レーダセンサ
85 降雨センサ
86 日射センサ
87 通信部
91 交通情報サーバ
92 気象サーバ
310 受信部
320 属性検出部
330 推定部
340 蓄積部
350 送信部
901 歩行者マーク
902 図形

Claims (12)

  1. 対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、
    前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、
    前記推定部によって推定された移動行動範囲を出力する出力部と、
    を備える、
    情報提供システム。
  2. 前記属性は、前記対象者の顔の向きを含む、
    請求項1に記載の情報提供システム。
  3. 前記属性は、前記対象者の体の向きをさらに含む、
    請求項2に記載の情報提供システム。
  4. 前記推定部は、前記対象者の周辺環境の状態を示す環境状態情報にさらに基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報提供システム。
  5. 前記対象領域における過去の歩行者の移動行動を示す行動パターン情報を蓄積する蓄積部をさらに備え、
    前記推定部は、前記蓄積部に蓄積された前記行動パターン情報にさらに基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定する、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報提供システム。
  6. 前記行動パターン情報は、第1パラメータの値と第2パラメータの値とを含み、
    前記蓄積部は、前記対象者における前記第1パラメータの値が入力された場合に、入力された前記第1パラメータの値を含む前記行動パターン情報に含まれる前記第2パラメータの値を出力し、
    前記推定部は、前記蓄積部から出力された前記第2パラメータの値に基づいて、前記対象者の移動行動範囲を推定する、
    請求項5に記載の情報提供システム。
  7. 前記移動行動範囲は、前記対象者が移動する方向、前記対象者の移動速度、及び前記対象者が移動する可能性のある方向範囲を示す、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の情報提供システム。
  8. 前記出力部は、前記推定された移動行動範囲である図形が付加された、前記対象領域を示すマップを出力する、
    請求項7に記載の情報提供システム。
  9. 対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出する属性検出部と、
    前記属性検出部によって検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定する推定部と、
    前記推定部による推定結果を示す推定結果情報を送信する送信部と、を備える、
    サーバ。
  10. 対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信する受信部と、
    前記受信部によって受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力する出力部と、
    を備える、
    移動端末。
  11. コンピュータに、
    対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性を検出するステップと、
    検出された前記属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するステップと、
    前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を送信するステップと、
    を実行させるための、
    コンピュータプログラム。
  12. コンピュータに、
    対象領域を歩行する対象者の将来の行動に関連する属性に基づいて、前記対象領域における前記対象者の移動行動範囲を推定するサーバから、前記移動行動範囲の推定結果を示す推定結果情報を受信するステップと、
    受信された前記推定結果情報に示される、推定された移動行動範囲を出力するステップと、
    を実行させるための、
    コンピュータプログラム。
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