JP2020091243A - 膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法 - Google Patents

膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法 Download PDF

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雅光 中里
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重久 柳
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Abstract

【課題】簡易で侵襲性が低い膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法を提供する。【解決手段】本発明の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法は、被検体由来試料におけるキニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程を含む。このようなキニノーゲンIの不正常な切断は、例えば、キニノーゲンIにおけるペプチド結合に1以上の切れ目をもたらす切断および/またはキニノーゲンIの1以上の箇所に、1または2以上のアミノ酸残基の欠損をもたらす切断である。本発明の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法は、このような不正常な切断のあるタンパク質の存在または量、あるいは、正常なタンパク質の量の減少を検知する工程などを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法に関する。
腫瘍マーカーは、様々な悪性腫瘍の存在・病勢診断に有用なマルチバイオマーカーとして有望である。セリンプロテアーゼであるカリクレイン(KLK)1・KLK7について、生物学的過程や病理学的過程に共通する分子として、研究されている(非特許文献1〜8)。
しかしながら、いまだにいくつかのがんは、早期発見が困難であり、また、検査が侵襲性であるなどの問題がある。
このうち、例えば、膵がんは、早期発見は非常に困難とされ、日本では1年間で男性では10万人あたり約29.1人、女性では10万人あたり約25.5人が新たに膵がんと診断されており、切除率は10−20%と低く発見時にはほとんどの患者が切除不能であり、国内の悪性腫瘍死亡数の第四位を占める。切除後の再発率は、80%以上と高く、極めて予後不良であり、予後の改善に向けてより早期の段階で存在・病勢を診断する新たな技術の開発が求められている。
膵がんに対する既存の腫瘍マーカーとして、CEA、CA19−9、Span−1、DUPAN−2などがあり、各腫瘍マーカーの膵がん検出感度は,CA19−9が70〜80%,Span−1が70〜80%,Dupan−2が50〜60%,CEAが30〜60%と報告されている(非特許文献9)。切除可能な膵がんの陽性率は低く,もっとも頻用されているCA19−9でも、2cm以下の膵がんでの陽性率が52%であり、また患者の中には、CA19−9が産生されず偽陰性を示すLewis血液型陰性例もあり、解決されるべき問題点が多い。
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本発明は、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の患者に特異的に見られる、体液中のキニノーゲンIの断片化の増加や正常な構造を有するタンパク質の減少、タンパク質の不正常な位置での切れ目や中間位置の欠損による露出部を見出し、簡易で低侵襲性または非侵襲性の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法を確立すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[13]を提供し得るものである。
[項1]
被検体由来試料中における、キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程を含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項2]
前記キニノーゲンIの不正常な切断が、該キニノーゲンI中のペプチド結合に1以上の切れ目をもたらす切断および/または該キニノーゲンIの1以上の箇所に、1または2以上のアミノ酸残基の欠損をもたらす切断である、項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項3]
前記被検体由来試料中における、キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程が、以下の(1)〜(4)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、項1または2記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法:
(1)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIの正常な構造を有するタンパク質の量の減少を検知すること;
(2)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのC末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質の量または存在を検知すること;
(3)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのN末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質の量または存在を検知すること;および
(4)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIについて、アミノ酸配列の任意の中間部位の切断又は欠損の量または存在を検知すること。
[項4]
項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、
前記キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択される少なくともいずれか1種の量または存在を検知することを含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法:
(a)ESNEELTESCETをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;(b)IYPTVNCQPLGをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;(c)IYPTVNCQPLGMISLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片

(d)IYPTVNCQPLGMISをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;および
(e)IYPTVNCQPLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片。
[項5]
前記不正常な切断をインビトロで検知する工程が、
被検体試料中に存在するキニノーゲンI由来の正常な構造を有するタンパク質の量の減少、および/またはキニノーゲンI由来の不正常なタンパク質断片の量または存在を検知することを含む、項1〜4のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項6]
前記被検体由来試料が、尿、血液、又は、痰、汗、髄液、消化液、および腹水から選択される、項1〜5のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項7]
質量分析測定法、免疫化学的測定法、およびクロマトグラフィー法からなる群より選択される少なくとも1種の方法を用いる工程を含む、項1〜6のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項8]
上記膵臓がんは、膵管から発生するがんであり、前記乳がんは乳房内の乳管又は小葉から発生するがんであり、前記胃がんは、胃粘膜上皮から発生するがんであり、前記大腸がんは、盲腸、結腸、又は直腸に発生するがんであり、前記胆道がんは、胆管、胆のう、又は十二指腸乳頭部の胆道に発生するがんであり、前記肝臓がんは、肝細胞から発生するがんであり、前記胚細胞腫瘍は、精巣又は卵巣の性腺組織、縦隔、後腹膜、又は脳などの性腺外に発生するがんである、項1〜7のいずれか1項記載のがんの検出方法。
[項9]
項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、前記キニノーゲンIにおける不正常な切断の有無が、該キニノーゲンIの断片化率によって決定され、該断片化率が、
キニノーゲンIタンパク質断片化率(Fn)=Cn/In
Cn:各キニノーゲンIタンパク質断片の量
In:キニノーゲンIタンパク質由来タンパク質全量
で得られる、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項10]
項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、前記キニノーゲンIにおける不正常な切断の有無が、該キニノーゲンIの断片化指数によって決定され、該断片化指数が、
キニノーゲンIタンパク質断片化指数(Fx)=Ix/Kx
Ix:不正常な切断により生じる各キニノーゲンIタンパク質断片の量
Kx:正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片の量
で得られる、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項11]
前記膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法が、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の診断補助の為の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の診断の為の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の進行の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の再発の有無の予測の為の検出、及び膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の治療効果の有無の為の検出からなる群より選択されるいずれか1つ以上である、項1〜10のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
[項12]
被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の不正常な切断に由来するタンパク質断片の発現レベルに基づくデータを正常な切断として検知されるタンパク質断片の発現レベルデータと比較する比較工程を含み、比較により被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断に由来するペプチドの正常な切断に由来するペプチドに対する比が、正常値より高いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラム。
[項13]
被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の1つ以上のタンパク質分解酵素消化ペプチドの発現レベルデータを、正常値と比較する比較工程を含み、該ペプチドの量が正常値と比較して低いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラム。
本発明により、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を尿や血液などの体液を用いて低侵襲の方法で検出することができる。
図1は、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列:ESNEELTESCETの尿中発現が極めて高い一例の切除可能膵がんのMDCT画像を示す図である。 図2は、切除可能膵癌19症例におけるキニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとする尿中タンパク質断片化率の治療による推移を示す図である。
[膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法]
本発明の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法は、本発明者らによる新たな発見に基づく。すなわち、本発明者らは、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍患者の体内では、キニノーゲン(Kininogen)Iが、健常者では切断されないような箇所で切断され、様々なタイプの欠損タンパク質または切れ目が生じた当該タンパク質が増加している場合があることを見出した。
すなわち、特定のタンパク質において、C末端部またはN末端部の欠損、不正常な位置でのペプチド結合の切れ目あるいはそれに伴う切れ目からのアミノ酸の欠損などのような不正常な切断という現象が見られることを見出した。
キニノーゲンIの不正常な切断は、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍特異的なプロテアーゼの存在による可能性もある。従って、本発明は、インビトロにおいて、そのような不正常な切断によるキニノーゲンIの切れ目や欠損を指標として健常者と、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍患者を区別して評価することができる。一方、キニノーゲンIの不正常な切断の亢進を、正常タンパク質の量(相対的な量比を含む)の減少を指標として健常者と膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を区別して評価することも可能となる。
本発明は、被検体由来試料中におけるキニノーゲンIについて、不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程を含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法である。
本明細書において、キニノーゲンIの「不正常な切断」は、限定はされないが、キニノーゲンIの正常な構造とは異なる一次構造、二次構造、あるいは三次構造をもたらす。例えば、キニノーゲンIにおけるペプチド結合に1以上の切れ目をもたらす切断、キニノーゲンIの1以上の箇所に、1または2以上のアミノ酸残基の欠損をもたらす切断などが含まれる。
限定はされないが、「不正常な切断」によって、キニノーゲンIのC末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質、あるいは、キニノーゲンIのN末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質が生じ得る。あるいは、「不正常な切断」によって、タンパク質中のアミノ酸残基同士のペプチド結合の切れまたは任意の中間位置でのアミノ酸の欠損が生じる。
キニノーゲンIの「不正常な切断」の一態様では、ペプチド結合が切れて新たな切断部位のアミノ酸残基を露出するが、ジスルフィド結合などにより、もとのタンパク質からアミノ酸を失うことのない場合がある。このような場合では、生体から取り出した未処理の試料中では当該キニノーゲンIの欠損あるいは断片化が生じていない場合がある。本発明の不正常な切断は、このような切断も含む。あるいは、このように、例えば、ジスルフィド結合などにより、もとのタンパク質が結合状態を保持してはいるが、ペプチド結合が切れて、そこからさらに、1または2以上のアミノ酸残基が欠如することで、タンパク質中のアミノ酸残基が任意の中間位置で欠損している場合が生じる。
キニノーゲンIに関連して、本来の正常な翻訳後プロセシングは、ここでの不正常な切断ではない。
不正常な切断が有ることが検知される場合、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍である可能性があるとする。本明細書で、「不正常な切断の有無」は、不正常な切断の事象が有るか、又は完全にないか、を区別する場合がある他に、通常、健常者で想定される範囲を超えて、事象が起こる場合と、健常者で想定される範囲である場合を区別することも含む。すなわち、「不正常な切断が有る」とは、健常者よりも不正常な切断が増加していると認められる場合を含む。
本明細書において、「被検体」とは、がんの検出対象となる哺乳動物を指し、限定はされないが、好ましくは、イヌ、ネコ、マウス、あるいはヒトである。
本明細書において、本明細書において、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がんは、膵臓、食道、乳房、胃、大腸、胆道、肝臓に発生するがんをいう。中でも膵がんは、膵管、内分泌腺または腺房から発生するがんを、乳がんは乳房内の乳管および小葉から発生するがんを、胃がんは胃粘膜上皮から発生するがんを、大腸がんは盲腸、結腸、直腸に発生するがんを、胆道がんは、胆管、胆のう、十二指腸乳頭部の胆道に発生するがんを、肝臓がんは肝細胞から発生するがんをいう。胚細胞腫瘍は、精巣および卵巣の性腺組織と縦隔、後腹膜、脳などの性腺外に発生するものを含む。
本願発明において、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍は、臨床病期がI期、II期、III期、およびIV期で、切除可能または切除不能のいずれの段階であってもよい。 一例として、切除可能な膵臓がんは、I期からIVA期のうち、MULTI Detector-row CT(MDCT)、MRI、超音波内視鏡(EUS)、PET−CT等の検査結果から、日本膵臓学会編「膵癌取扱い規約 第7版」(金原出版株式会社)に記載された基準によって切除可能としたものを指す
本発明の「膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出」とは、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の罹患の有無の診断補助の為の検出であり得る。さらには、「膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出」は、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の進行の有無や程度の検出、再発の有無や程度の検出、又は膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の手術や抗がん剤治療などの治療効果の有無や効果奏功の程度の検出のいずれも含む。ここで、再発は、手術や抗がん剤治療後の再発を含む。また、治療効果の有無や治療奏功の程度は、典型的には、がんの縮小あるいは消滅などで見出されるものである。本発明の方法によれば、簡易にこれらの検出を行うことができる。すなわち、本発明のキニノーゲンIの「不正常な切断」は、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の罹患に伴い見出され得る。さらには、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の進行に伴って、キニノーゲンIの不正常な切断の割合が増加し得る。さらには、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の再発に伴って、キニノーゲンIの不正常な切断が見出されたり、増加したりし得る。さらには、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の手術や抗がん剤治療の効果奏功に伴って、キニノーゲンIの不正常な切断は減少し得る。
本明細書において、「被検体由来試料」とは、被検体に由来する体液を指し、体液そのものの他、体液の濃縮液、希釈液、あるいはその他の適宜の処理済みの液体を指す。ここで、体液は、限定はされないが、例えば、尿、血液(全血、血漿、血清)、痰、汗、髄液、消化液、腹水、を指す。好ましくは、体液は、尿、血液、又は、痰、汗、髄液、消化液、および腹水であり、特に好ましくは尿である。ここで、尿は、早朝中間尿、蓄尿、随時尿のいずれでもあり得る。尿や血液などの体液の採取量は、10μl〜200ml、好ましくは、100μl〜100ml、さらに好ましくは、1ml〜100mlである。
ここで、体液の処理は、より詳細には、濃縮、希釈、分画、脱塩等の前処理、グリセリン等の保存剤、プロテアーゼ阻害剤等の安定化剤、防腐剤を加えることなどを指す。冷蔵または冷凍処理した後に常温に戻すこと、冷蔵または冷凍処理前後のいずれかで適宜の処理を行うことなども含まれる。さらに、例えば体液が血液の場合には、適宜の処理として抗凝血剤処理を行うこともできる。これらの処理を組み合わせることも可能である。
体液が尿の場合には、測定前に前処理として濃縮を含む操作を行うことが好ましいが、限定はされない。この濃縮方法は特に限定されないが、分画分子量の限外ろ過膜を用いた方法、凍結濃縮、減圧または真空濃縮、加熱などが挙げられる。分画分子量としては、限定はされず、例えば、3kD、10kD、30kD、50kDなど任意の値を用いることができる。
例えば、体液が尿の場合、原尿の総タンパク質量の濃度は、0.001g/dL〜0.6g/dL程度であるため、濃縮は有用な前処理である。原尿を200〜250倍に濃縮して分析に用いることができる。この濃縮液をそのまま測定に供することも可能であるが、さらに総タンパク質量を希釈して調整して測定に供することもできる。例えば、ELISAなどの測定手法によっては、0.001μg〜0.01μg/mL程度、あるいは、抗体の性能によってはそれ以下に調整して測定に供することもできる。
濃縮は、Vivaspin(登録商標、サルトリウス・ジャパン株式会社製)、アミコンウルトラ(メルクミリポア社製)などを使用して、製造者の指示に従って使用することもできる。
希釈は、蒸留水や緩衝液を用いて行うことができ、濃縮尿の調整にも利用することができる。
キニノーゲンIの欠損は、一次構造で比較した場合に、由来する全長タンパク質のC末端部、N末端部、あるいは中間位置のアミノ酸残基の欠損があれば特にその大きさや長さに限定はない。ここでC末端部、N末端部、あるいは中間位置に欠損があるとは、通常そのタンパク質が正常に機能する単位のタンパク質よりもC末端側、N末端側が短いか、中間位置に存在すべきアミノ酸残基が欠如していることを意味する。
本明細書において、タンパク質断片の配列が特定されている場合には、それぞれの表記記号は、アミノ酸残基の一文字表記として使用されている通常の文字を意味する。
具体的には、
A Ala Alanine アラニン
C Cys Cysteine システイン
D Asp Aspartic acid アスパラギン酸
E Glu Glutamic acid グルタミン酸
F Phe Phenylalanine フェニルアラニン
G Gly Glycine グリシン
H His Histidine ヒスチジン
I Ile Isoleucine イソロイシン
K Lys Lysine リシン
L Leu Leucine ロイシン
M Met Methionine メチオニン
N Asn Asparagine アスパラギン
P Pro Proline プロリン
Q Gln Glutamine グルタミン
R Arg Arginine アルギニン
S Ser Serine セリン
T Thr Threonine トレオニン
V Val Valine バリン
W Trp Tryptophan トリプトファン
Y Tyr Tyrosine チロシン
本発明において、被検体由来試料中のキニノーゲンIについて、不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程は、限定はされないが、好ましくは、以下の(1)〜(4)からなる群より選択される少なくとも1つを含む工程であり得る。
(1)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIの正常な構造を有するタンパク質の量の減少を検知すること;
(2)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのC末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質断片の量または存在を検知すること;
(3)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのN末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質断片の量または存在を検知すること;および
(4)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIについて、アミノ酸配列の任意の中間部位の切れ目又は欠損を有するタンパク質の量または存在を検知すること。
限定はされないが、本発明の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法の1つの態様では、被検体由来試料における1または2以上のキニノーゲンIの正常な構造を有するタンパク質の量の減少を検知する。具体的には、例えば、正常な構造を有するキニノーゲンIの量を、当該キニノーゲンIのC末端部のアミノ酸配列および/またはN末端部のアミノ酸配列の有無によって測定し、正常な構造を有するタンパク質の量が健常者と比較して相対的に減少しているか否かを検出することができる。
限定はされないが、本発明の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法の別の態様では、被検体由来試料を用いて、インビトロにおいて、キニノーゲンIのタンパク質断片を検知することを含む。このようなタンパク質断片の検知は、被検体由来試料中に断片化した状態で存在するタンパク質断片および/または例えば被検体由来試料を還元処理等に供した後に生じるタンパク質断片を検知することであり得る。
具体的には、キニノーゲンIのタンパク質断片の量をインビトロで測定する工程では、キニノーゲンIのタンパク質断片が、該タンパク質の全長と比較してC末端側に欠損があるタンパク質に由来する断片または中間部位に切れ目および/またはアミノ酸の欠損があるタンパク質に由来する断片であることが好ましい。
本明細書で、キニノーゲンIのタンパク質断片のC末端配列が記載されている場合には、例えば、「ESNEELTESCETをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片」、「IYPTVNCQPLGをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片」、「IYPTVNCQPLGMISLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片」などと表現される。例えば、「ESNEELTESCETをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片」の場合、全長タンパク質では右端に示されるTよりもC末端部側に本来存在していたアミノ酸残基は欠損(欠如)していることを示しており、1番目のEよりN末端側へはアミノ酸残基は存在していても存在していなくてもよいことを意味する。
キニノーゲンIのタンパク質断片は、以下からなる群より選択される少なくとも1つ以上であることが好ましい。
(a)ESNEELTESCETをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片(本明細書においてP1ともいう);
(b)IYPTVNCQPLGをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片(本明細書において、P2ともいう);
(c)IYPTVNCQPLGMISLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;
(d)IYPTVNCQPLGMISをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;および
(e)IYPTVNCQPLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片。
さらに、このようなキニノーゲンIのタンパク質断片からなる群より選択される少なくとも1つ以上をインビトロで測定することによって、例えば膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出が可能である。
ここで、キニノーゲンIのタンパク質断片におけるアミノ酸残基の数は特に限定はされないが、好ましくは少なくとも10残基以上、より好ましくは少なくとも50残基以上である。タンパク質断片のサイズの上限は特に限定はされず、それぞれのタンパク質断片の由来である全長タンパク質のサイズ未満である。例えば、限定はされないが、それぞれのタンパク質断片の由来である全長タンパク質と比較して、C末端側が欠損している構造のタンパク質断片である。タンパク質断片は、全長未満であれば特に上限はないが、場合によっては、200残基以下、好ましくは100残基以下のような短い断片で存在することも可能である。
さらに、被検体由来試料中におけるキニノーゲンIのN末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質の存在または相対量の増加を検知すること;または被検体由来試料中におけるキニノーゲンIについて、アミノ酸配列の任意の中間部位の切断又は欠損の存在または相対量の増加を検知するために、N末端側が欠如したC末端側の遊離したタンパク質断片を検出することも可能である。このような断片を検出することで、(a)〜(e)のタンパク質断片を間接的に検出したり、N末端が生体内で欠損しているタンパク質断片の存在を検知したりすることもできる。
本発明のキニノーゲンIタンパク質断片の分子量は、全長タンパク質未満であれば限定はされない。但し、例えば尿などの検体を用いて膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する方法によっては、例えば3kDa以上全長未満、好ましくは10kDa以上全長未満である。
さらには、これらのキニノーゲンIタンパク質断片は、それぞれ、上記配列を有してさえいれば、糖鎖付加やリン酸化等の翻訳後修飾を受けたものも含まれる。
以下、キニノーゲンIのタンパク質断片の配列を特定のデータベースに含まれる特定の配列(配列表の配列番号1又は2)で例示しながら説明する。当業者には明らかな通り、これらの配列や配列中におけるアミノ酸残基の位置およびアミノ酸残基数は、個人により変わる場合もあり、またデータベースによって掲載配列が異なる場合もある。配列は本発明の説明の為のものであり、本発明を限定するものではない。
ここで、キニノーゲンIは、カリクレイン-キニン系で重要な役割を果たすタンパク質である。この代謝系は、種々の生理活性を有するキニン類を生成させる一連の生体内反応系である。
カリクレイン-キニン系は、生体内において様々な酵素反応系、例えばレニン−アンジオテンシン‐アルドステロン系、血液凝固系等と関連をもって生体の機能調節に関わっている。生成物であるブラジキニン等のキニン類は、末梢血管拡張に伴う降圧、血管透過性の亢進、平滑筋の収縮或いは弛緩、発痛、白血球の遊走など種々の生理活性を示す。キニノーゲンIは、このキニンの前駆体となるタンパク質であり、内因系血液凝固因子の一つである。女性生殖器に非常に高濃度で存在し、ブラジキニンを放出することにより、カリクレイン-キニン系を介して妊娠分娩にも重要な役割を持つとされている。また、不育症との関係も示唆されている。
キニノーゲンIは、前駆体配列として、例えば、UniProtKB−P01042の配列(配列表の配列番号1)又はUniProtKB−P01042−2の配列(配列表の配列番号2)がある。
キニノーゲンIには、いくつかの代表的なアイソフォーム(高分子量型および低分子量型)がある。高分子量型は(配列表の配列番号1)、644アミノ酸からなる前駆体として合成されアミノ酸番号1位〜18位がシグナルペプチドである。成熟体(アミノ酸番号19位〜644位)はさらに、プロセッシングにより重鎖(アミノ酸番号19位〜380位)と軽鎖(アミノ酸番号390位〜644位)になり、ブラジキニン(アミノ酸番号381位〜389位)を放出する。さらに、T−キニン(アミノ酸番号376位〜389位)あるいはリジルブラジキニン(380位〜389位)などへの切断、低分子量growth-promoting factor(GPF)(アミノ酸番号431位〜434位)への切断があり得る。低分子量型は、主に3種類の配列が報告されており、配列表の配列番号2に示す配列は、重鎖とブラジキニン部分の配列は、高分子量型と同一であるが、軽鎖の配列が異なっており、配列表の配列番号3に示す配列は、配列表の配列番号2に示す配列の189位〜224位の部位が欠損したもので、配列表の配列番号4に示す配列は、配列番号2に示す配列の1位〜153位が17個のアミノ酸に置換し、さらに、177位のMetがThrに置換したものである。いずれの低分子量型も血液凝固系には関係していないことが知られている。本明細書では、配列表の配列番号1に高分子量型の例を開示し、配列表の配列番号2〜4に低分子型の例を開示する。
本明細書でいう「キニノーゲンIの正常な構造を有するタンパク質」、「正常な構造のキニノーゲンI」は、成熟体(配列表の配列番号1における19位〜644位のアミノ酸、配列表の配列番号2における19位から427位のアミノ酸、配列表の配列番号3における19位から391位のアミノ酸、配列表の配列番号4における1位から291位のアミノ酸)、重鎖(配列表の配列番号1又は2を基準とした場合、アミノ酸番号19位〜380位のアミノ酸)、軽鎖(配列表の配列番号1のアミノ酸番号390位〜644位のアミノ酸又は配列表の配列番号2のアミノ酸番号390位〜427位のアミノ酸、あるいは配列表の配列番号3〜4の対応箇所)、ブラジキニン(配列表の配列番号1又は2におけるアミノ酸番号381位〜389位のアミノ酸、あるいは配列表の配列番号3〜4の対応箇所)を放出する。さらに、T−キニン(配列表の配列番号1又は2におけるアミノ酸番号376位〜389位のアミノ酸)あるいはリジルブラジキニン(配列表の配列番号1又は2におけるアミノ酸番号380位〜389位のアミノ酸)などへの切断、低分子量growth-promoting factor(GPF)(配列表の配列番号1におけるアミノ酸番号アミノ酸番号431位〜434位のアミノ酸)への切断があり得る。これらはいずれも正常な構造である。
本明細書でいう「不正常な位置での切断」とは、シグナルペプチドと成熟体への切断、重鎖、軽鎖、ブラジキニン、T−キニン、リジルブラジキニン、および低分子量growth−promoting factor(GPF)からなる群より選択される鎖以外への切断である。膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍において活性が亢進する酵素、例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ群などにより切断を受けることで、本来は起らない切断部位での切断が生じ、副次的に断片化やアミノ酸の欠損が亢進し得ると考えられる。
本明細書でいう不正常な切断の一例として検出され得るキニノーゲンIタンパク質断片は、配列表の配列番号1又は2の配列で説明すると、331位のアミノ酸残基から342位のアミノ酸残基と一致するC末端部分を有し、343位以降からのC末端側が欠損しているタンパク質断片であってもよい。
さらに、本明細書でいう不正常な切断の別の例として検出され得るキニノーゲンIタンパク質断片は、配列表の配列番号1又は2の配列で説明すると364位のアミノ酸残基から374位のアミノ酸残基と一致するC末端部分を有し、375位以降からのC末端側が欠損しているタンパク質断片であってもよい。
また、別の態様では、本明細書でいう不正常な切断の例として検出され得るキニノーゲンIタンパク質断片は、配列表の配列番号1の配列で説明すると、364位のアミノ酸残基から378位のアミノ酸残基と一致するC末端部分を有し、379位以降からのC末端側が欠損しているタンパク質断片であってもよい。
さらに別の態様では、本明細書でいう不正常な切断の別の例として検出され得るキニノーゲンIタンパク質断片は、配列表の配列番号1又は2の配列で説明すると364位のアミノ酸残基から377位のアミノ酸残基と一致するC末端部分を有し、378位以降からのC末端側が欠損しているタンパク質断片であってもよい。
さらに別の態様では、本明細書でいう不正常な切断の別の例として検出され得るキニノーゲンIタンパク質断片は、配列表の配列番号1又は2の配列で説明すると364位のアミノ酸残基から373位のアミノ酸残基と一致するC末端部分を有し、374位以降からのC末端側が欠損しているタンパク質断片であってもよい。
本発明の不正常な切断を検知する方法において、正常な構造を有するキニノーゲンI量またはその存在、キニノーゲンIタンパク質断片の量またはその存在は、被検体由来試料である体液中に含まれるそれらの質量、分子量、または濃度などで検出することができる。さらには、蛍光強度、吸光度、MS/MSスペクトルの強度等で表わすことも可能である。
さらに、本発明における検出方法は、被検体由来試料中に含まれる、不正常な切断を検知する方法または正常な構造を有するタンパク質を検出する方法であれば特に制限されるものではない。例えば、質量分析により検出する方法の他、抗体を用いた免疫化学的測定法(ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイ、ウエスタンブロット法など)で検出する方法を挙げることができる。
質量分析による方法としては、被検体由来試料中の正常な構造を有するキニノーゲンIまたは不正常な切断に由来するキニノーゲンIのタンパク質断片を検出する方法であれば特に制限されるものではない。具体的には、例えば、試料を採取し、前処理および/または還元処理後に酵素消化し、同位体等で標識した後、MS/MSによってC末端由来のペプチドのみの量を測定する方法がある。
より具体的には、限定はされないが、被検体由来試料が尿である場合、尿を採取し、前処理として尿検体を濃縮した検体を得て、この濃縮検体を還元アルキル化した後に、H 18O存在下でトリプシン消化することで、トリプシン消化断片由来のペプチドを安定同位体標識することができる。その後、脱塩、イオン交換クロマトグラフィーによる精製後、Nano−LC−MALDI−MS/MSにより、C末端由来のトリプシン消化ペプチドのみを測定する。このペプチド情報を解析することで、正常な構造を有するタンパク質または不正常な切断に由来するキニノーゲンIタンパク質断片を区別して検出することができる。この他に、例えば、濃縮試料中のタンパク質をLys−Cで酵素消化した後、すべての消化ペプチドのN末端をイソシアン酸フェニルやTMPP試薬(N−Succinimidyloxycarbonyl−methyl)tris(2、4、6−trimethoxyphenyl)phosphonium bromide)といった試薬でブロックし、リジン以外のC末端を有するペプチドを得て、質量分析器によるMS/MS分析を行うことで、キニノーゲンIタンパク質断片を測定する方法なども採用できる。
MRM(Multiple Reaction Monitoring;多重反応モニタリング)によりキニノーゲンIのタンパク質断片量を測定する場合には、例えば、高速液体クロマトグラフィー/3連四重極質量分析装置(QTRAP(R) 5500 System(エービーサイエックス社))やLCMS-8030(島津製作所株式会社製)を用いることもできる。
ラジオイムノアッセイおよびエンザイムイムノアッセイによる方法としては、不正常な切断由来のアミノ酸露出部、キニノーゲンIのタンパク質断片のC末端部、または特定のアミノ酸欠損部を特異的に認識し、対応する正常な構造を有するタンパク質と区別することができる抗体を用いることが望ましい。
被検体由来試料中の正常な構造を有するキニノーゲンIの量またはキニノーゲンIタンパク質断片の量を、試料中に共存するキニノーゲンI由来のすべてのタンパク質の存在量と比較し、相対比で表すこともできる。あるいは、被検体由来試料中のタンパク質断片の存在量を、被検体由来試料中の総蛋白量と比較し、断片の量と総蛋白量の相対比で表すこともできる。
いずれの測定方法を用いた場合でも、キニノーゲンIにおける不正常な切断の有無は、被検体試料中におけるキニノーゲンIの断片化率を算出して、その値が閾値を超えているか否かで判断することができる。すなわち、キニノーゲンIのタンパク質断片化率が閾値を超えている場合には、由来する被検体が膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍であることが把握できる。
より具体的には、限定はされないが、例えば、キニノーゲンIの断片化率(F)を以下の計算式により求め、健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が、好ましくは、1.25倍以上、より好ましくは、1.5倍以上高いものを陽性とすることができる。
[式1]タンパク質断片化率(F)=C/I
:各キニノーゲンIタンパク質断片の量
:キニノーゲンIタンパク質由来のタンパク質全量
ここで、Cにおける各キニノーゲンIの断片の量とは、1つのキニノーゲンIタンパク質断片の量(例えば(a)〜(e)のいずれか1つのタンパク質断片の量)を指す。
における元のタンパク質の量とは、(a)〜(e)のいずれか1つのタンパク質断片、正常な構造を有する全長タンパク質を含む、試料中のキニノーゲンI由来タンパク質の全量を指す。ここで、CまたはIにおける量は、いずれも、例えばトリプシン消化ペプチドの量の測定によって検知することができる。Iは、キニノーゲンIタンパク質断片にも正常な構造を有するキニノーゲンIにも共通に含まれるトリプシン消化ペプチドの量によって示すことができる。測定方法は、実施例5記載の条件に準ずる。
ここで、共通に含まれる配列(内部標準)は限定はされないが、以下の配列を使用することができる。
YFIDFVAR(配列表の配列番号1の317〜324位)
被検体由来試料において、正常な構造を有するタンパク質の量が、健常者の検体試料(健常試料)と比較し、有意に減少した場合、対象者は膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍患者と判定される。ここで、有意な減少とは、健常者検体と比較して、例えば、上記正常な構造を有する上記蛋白質の相対比として、0.9倍以下、好ましくは、0.8倍以下、より好ましくは、0.6倍以下になることをいう。あるいは、抗体を用いる場合、標識の強度等から認識できる量の減少が健常者検体と比較して、0.8倍以下、好ましくは、0.6倍以下程度になることをいう。
被検体由来試料におけるキニノーゲンIタンパク質断片の量を、健常者の検体試料(健常試料)と比較し、タンパク質断片の有意な増加を検出した場合、対象者は膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍患者と判定される。ここで、有意な増加とは、健常者検体と比較して、例えば、MS/MSスペクトル面積として、1.25倍以上、好ましくは、1.5倍以上、より好ましくは、2.0倍以上の強度になることをいう。あるいは、抗体を用いる場合、標識の強度等から認識できるタンパク質断片の量の増加が健常者検体と比較して、1を超える値、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは、1.5倍以上程度になることをいう。
限定はされないが、キニノーゲンIタンパク質の切断を効率的に検知するため、正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片の存在量(Kx)と、不正常な切断により生じるキニノーゲンI由来のタンパク質断片の存在量(Ix)の2種を用いて、キニノーゲンIタンパク質の断片化指数(Fx)を以下の計算式により求めることができる。健常者の平均値に対して、患者試料で断片化指数が1.25倍以上高いものを陽性とし得る。
[式2]タンパク質断片化指数(Fx)=Ix/Kx
ここで、正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片は、限定はされないが、例えば、アミノ酸配列IYPTVNCQPLGMISLMをC末端とするタンパク質断片であり得る。
健常者被検体由来試料における正常な構造を有するキニノーゲンIの量またはキニノーゲンIタンパク質断片の量などは、被検体由来試料の調製と測定方法に準じて決定することができる。
本発明における特に好ましい態様では、不正常な切断をインビトロで検知する工程が、被検体試料中に存在するキニノーゲンI由来の正常な構造を有するタンパク質の量の減少、および/またはキニノーゲンI由来のタンパク質断片の量または存在を検知することを含む。ここで、例えば、(a)ESNEELTESCETをC末端部アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部;(b)IYPTVNCQPLGをC末端部アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部、(c)IYPTVNCQPLGMISLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部、(d)IYPTVNCQPLGMISをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部、および(e)IYPTVNCQPLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部をC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片のC末端部を認識する抗体を好適に使用することができる。
[抗体]
本発明ではまた、被検体由来試料中のキニノーゲンIタンパク質断片を測定することができる抗体を含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出用抗体組成物が提供され得る。キニノーゲンIタンパク質断片を測定する抗体は、キニノーゲンIタンパク質断片を認識できる抗体であれば限定はされないが、好ましくは、キニノーゲンIタンパク質断片のC末端側の切断を特異的に認識することができ、かつ全長タンパク質などのその他のタンパク質を認識しない抗体である。抗体は、キニノーゲンIタンパク質断片を特異的に認識することができる抗体であれば、ポリクロ−ナル抗体でもモノクローナル抗体でもよい。これらの抗体は固相に固定化していてもよい。
[プログラム]
本発明はまた、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラムに関する。膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラムは、被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の不正常な切断に由来するタンパク質断片の発現レベルに基づくデータを正常な切断として検知されるキニノーゲンIの発現レベルデータと比較する比較工程を含み、比較により被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断に由来するペプチドの比が、正常値より高いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出することができる。
ここで、被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断に由来するペプチドの正常な切断に由来するペプチドに対する比とは、例えば、正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片、の存在量(Kx)と、不正常な切断により生じるキニノーゲンI由来のタンパク質断片の存在量(Ix)の2種を用いて、キニノーゲンIタンパク質の断片化指数(Fx)を以下の計算式により求める場合の値であり得る。ここで、正常値とは、例えば、健常者の平均値であり得る。患者試料で断片化指数が1.25倍以上高いものを陽性とし得る。
[式2]タンパク質断片化指数(Fx)=Ix/Kx
ここで、正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片は、限定はされないが、例えば、アミノ酸配列IYPTVNCQPLGMISLMをC末端とするタンパク質断片であり得る。
が、正常値より高いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラム。
本発明はまた、別の態様の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラムに関する。1つの態様の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラムでは、被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の1つ以上のタンパク質分解酵素消化ペプチドの発現レベルデータを、正常値と比較する比較工程を含み、該ペプチドの量が正常値と比較して低いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラムであり得る。ここで、タンパク質分解酵素は、限定はされず、例えばトリプシンであり得る。詳細には、該消化ペプチドの発現レベルデータを、正常値と比較する比較工程を含み、被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断が、上記のタンパク質分解酵素消化ペプチド内で起きている場合、そのペプチドの量が正常値と比較して低いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出することができる。ここで、限定はされないが、例えばトリプシンなどのタンパク質分解酵素による消化ペプチドの発現レベルデータは、内部標準に用いるトリプシン消化ペプチドの発現レベルデータとの比で表すこともできる。
さらに別の態様では、キニノーゲンI由来の2つ又は3つ以上のタンパク質分解酵素消化ペプチドの発現レベルデータを相互に比較する比較工程を含み、被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断が、上記のいずれかのタンパク質分解酵素消化ペプチド内で起きている場合、そのペプチドの量が他のペプチドの量と比較して低いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出することができる。ここで、限定はされないが、例えばトリプシンなどのタンパク質分解酵素による消化ペプチドの発現レベルデータは、内部標準に用いるトリプシン消化ペプチドの発現レベルデータとの比で表すこともできる。あるいは、消化ペプチドのうちの少なくとも1つは、内部標準に用いるペプチドであってもよい。
本プログラムにおける、キニノーゲンI由来の不正常な切断に由来するタンパク質断片の定義を始めとする各要素は、上記[膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法]で述べた内容に準じる。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕体液の採取
画像検査または腹部超音波検査にて悪性腫瘍を疑う患者のうち、手術、内視鏡による生検、リンパ節生検または細胞診により、悪性細胞または悪性腫瘍を検出した患者を選定した。選定した悪性腫瘍患者および健常者から早朝中間尿を、滅菌コップを用いて採取した。採取した尿試料は解析までの間‐80℃で保存した。
〔実施例2〕質量分析による検出
尿試料(〜50mL)を採取し、前処理、分析データの取得、統計解析の手順でキニノーゲン1由来のマーカー探索を行った。前処理は、尿試料をアミコンウルトラ‐15(10kDa分子量カット)、及びアミコンウルトラ‐4(10kDa分子量カット)(メルクミリポア社)を用いて200〜250倍に濃縮し、100mM NaClを含む炭酸水素トリエチルアンモニウム水溶液3mLを用いて3回洗浄して、低分子を除去後、濃縮検体を得た。この濃縮検体のタンパク質定量を行い、全ての検体について、全タンパク質量10mg/mLの濃度に緩衝液を用いて調整して、その後の分析行程に用いた。続いて、試料を還元アルキル化の後に、一定濃度のH 18Oを用いて調製した緩衝液中でトリプシン消化した(ペプチドC末端の安定同位体標識法)。
脱塩、精製後、iTRAQ(8−plex、エービーサイエックス社)によるラベル化を行い、検体を混合、脱塩、精製した後、タンパク質断片由来のC末端トリプシン消化ペプチドのみをイオン交換クロマトグラフィーにより分画した(LCカラム:PolySULFOETHYL ATM(PolyLC Inc. USA)、内径4.6mm、長さ50mm;流速:0.4mL/分;溶媒:20%アセトニトリル/リン酸水溶液(pH2.55)に対して20%アセトニトリル/5mMリン酸第1カリウム、0.5MNaCl水溶液(pH2.55)の濃度を段階的に上昇(0−100%)させて分離)。その画分を脱塩、精製後、Nano−LC(LCカラム:内径75μm、長さ100mm、充填剤Inertsil C18(粒子径3μm);流速:250nL/分;溶媒:0.1%トリフルオロ酢酸水中でアセトニトリル濃度勾配(3−80%)により分離)/MALDI−MS/MS(エービーサイエックス社)により測定を行い、C末端トリプシン消化ペプチドのみを選別、抽出した(独自開発プログラム“iSpec“;文献:Fernandez−de−Cossio J.、Takao T.et al.Rapid Commun. Mass Spectrom.18、2465−2472(2004))。
アッセイ間の比較は、MS/MSスペクトル中に含まれる比較定量に関わるレポーターピーク(m/z 113〜119、121)の内のコントロールピーク(m/z 113、各アッセイに等量スパイクした)の強度で他のレポーターピークを規格化した後に行った。具体的な評価基準として、定性については、一定強度以上のピークの本数が5個以上のMS/MSスペクトルを選択し、かつ、それらのMS/MSスペクトルを基に同定されたタンパク質の数が50個以上のアッセイを採用した。定量については、基準のレポーターピーク(m/z113)のピーク強度が10より大きく、かつ、MS/MSスペクトル数が300個以上のアッセイのみの定量値を用いた。
〔実施例3〕統計解析
膵臓がん39例と健常者42例の尿試料から得られた、MS/MSスペクトルの各C末端トリプシン消化ペプチドのピーク強度(実施例2)について、コントロール検体のピーク強度に対する相対比をそれぞれ算出し、膵臓がん症例と健常者の間で比較検討した。キニノーゲン1由来の尿中タンパク質断片のピーク検出率をFisher’s exact testで検定し、p値が0.05未満であるものを抽出した。統計解析はJMP13(SAS Institute Inc、Cary、NC)を使用した。その結果、膵臓がん診断マーカーして計2種(表1)を同定した。キニノーゲン1由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片は、膵臓がん39例中21例と健常者42例中8例で検出され、上記の基準を満たした(p値<0.05)。健常者で検出されたピーク強度の1.5倍を基準とした場合、該当基準値における感度、特異度およびROC−AUC値は、58.3%、80.0%および0.722であった。
別途、膵臓がん39例と健常者42例の尿試料から得られた、MS/MSスペクトルの各C末端トリプシン消化ペプチドのピーク強度を解析した結果、キニノーゲン1由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGとするタンパク質断片は、膵臓がん39例中21例と健常者42例中10例で検出され、上記の基準を満たした(p値<0.05)。健常者で検出されたピーク強度の1.5倍を基準とした場合、該当基準値における感度、特異度およびROC−AUC値は79.5%、76.2%および0.825であった。
〔実施例4〕膵臓がんの評価方法
腹部画像検査にて切除可能膵臓がんと臨床診断した患者のうち、手術で得られた切除検体の病理検査により膵臓がんの確定診断を行った。膵臓がんの手術適応の決定については、MDCT検査を用いた。尿中におけるキニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片が実施例2で高値を示した膵臓がん症例において、MDCTで膵頭部に1.8cm大の腫瘤を認め(図1)、切除検体の病理検査で高分化型管状腺がんとの病理診断を得た。この症例におけるキニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片のスペクトル面積は健常者の平均値の70倍であり、切除して1ヵ月後には4.9倍まで低下した。
〔実施例5〕精密質量分析による検出
検体を調製し、MRM法に供することで、悪性腫瘍患者のスクリーニングを行った。尿試料(〜50mL)を採取し、前処理および分析データの取得と解析を実行した。具体的には、前処理により、尿試料をアミコンウルトラ‐15(10kDa分子量カット)、及びアミコンウルトラ‐4(10kDa分子量カット)(メルクミリポア社)を用いて200〜250倍に濃縮し、低分子を洗浄により除去後、濃縮検体を得た。この濃縮検体のタンパク質定量を行い、全ての検体について、全タンパク質量10mg/mLの濃度に緩衝液を用いて調整して、その後の分析工程に用いた。
続いて、試料を還元アルキル化の後に、緩衝液中でトリプシン消化した。脱塩、精製後、タンパク質断片由来のトリプシン消化ペプチドをイオン交換クロマトグラフィーにより分画し(LCカラム:PolySULFOETHYL ATM(PolyLC Inc. USA)、内径4.6mm、長さ50mm;流速:0.4mL/分;溶媒:20%アセトニトリル/リン酸水溶液(pH2.55)に対して20%アセトニトリル/5mMリン酸第1カリウム、0.5M NaCl水溶液(pH2.55)の濃度を段階的に上昇(0−100%)させて分離)、タンパク質断片のC末端ペプチドを含むトリプシン消化ペプチド混合物を得た。このようにして得られる各試料を別々に高速液体クロマトグラフィー/3連四重極質量分析装置(QTRAP(R)5500 System(エービーサイエックス社)、或いは、Agilent社6470 LC/MS/MS System )に供し、混合物の分離と同時にペプチドの定量をMRM法(Multiple Reaction Monitoring:多重反応モニタリング)により行った。各タンパク質の断片化率(Fn)を以下の計算式により求め、健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.5倍以上高いものを陽性とした。
[実施例6]タンパク質断片化率の計算式
[式1]タンパク質断片化率(Fn)=Cn/In
Cn:各タンパク質断片の量((a)〜(f)のタンパク断片配列にあるペ
プチドの量)
In:各タンパク質断片由来の元のタンパク質の量
[実施例7]タンパク質断片化率の算出に用いる測定項目
ここで、Cnにおける各タンパク質のC末端断片の量とは、キニノーゲンI
タンパク質断片の量を指す。Inにおける元のタンパク質の量とは、タンパク
質断片あるいは全長タンパク質に共通に含まれるトリプシン消化ペプチドの
量を指す。(共通に含まれるトリプシン消化ペプチドとしては、YFIDF
VAR)。
[実施例8]
膵臓がん118例(切除可能膵がん19例、切除不能膵がん99例)と健常者30名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片の断片化率を測定した。健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者5例が陽性、膵臓がん39例が陽性であった。断片化率が健常者群の平均値に対して1.5倍を基準とした場合、健常者5例が陽性、膵臓がん37例が陽性であり、当該基準値における感度は32.2%、特異度は83.3%、ROC−AUC値は0.704であった。
[実施例9]
別途、膵臓がん118例と健常者30名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISLとするとするタンパク質断片の断片化率を測定した。健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者9例が陽性、膵臓がん43例が陽性であった。断片化率が健常者群の平均値に対して1.5倍を基準とした場合、健常者6例が陽性、膵臓がん29例が陽性であり、当該基準値における感度は26.6%、特異度は80.0%、ROC−AUC値は0.518であった。
[実施例10]
別途、膵臓がん118例と健常者30名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISとするとするタンパク質断片の断片化率を測定した。健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者3例が陽性、膵臓がん34例が陽性であった。断片化率が健常者群の平均値に対して1.5倍を基準とした場合、健常者3例が陽性、膵臓がん23例が陽性であり、当該基準値における感度は19.5%、特異度は90.0%、ROC−AUC値は0.625であった。
[実施例11]
別途、膵臓がん118例と健常者30名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGとするとするタンパク質断片の断片化率を測定した。健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者3例が陽性、膵臓がん78例が陽性であった。断片化率が健常者群の平均値に対して1.5倍を基準とした場合、健常者3例が陽性、膵臓がん78例が陽性であり、当該基準値における感度は68.6%、特異度は90.0%、ROC−AUC値は0.857であった。
[実施例12]
別途、膵臓がん118例と健常者30名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLするとするタンパク質断片の断片化率を測定した。健常者群の平均値に対して、患者試料で断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者5例が陽性、膵臓がん70例が陽性であった。断片化率が健常者群の平均値に対して1.5倍を基準とした場合、健常者4例が陽性、膵臓がん56例が陽性であり、当該基準値における感度は47.5%、特異度は87.6%、ROC−AUC値は0.760であった。
〔実施例13〕膵臓がんの治療による尿中マーカーの変動
切除可能膵がんの尿を、根治的切除術前、切除1か月後、切除3か月後、切除6か月後の時点で回収し、MRM法に供して、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片の断片化率を比較した。根治的切除術前(19検体)、切除1か月後(16検体)、切除3か月後(13検体)および切除6か月後(11検体)のキニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片の断片化率は、0.096(術前)、0.027(切除1か月後)、0.027(切除3か月後)および0.013(切除6か月後)であった。それぞれ、回収時点での生存者全員について、確認した。切除術前と切除6か月後と比較して、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をESNEELTESCETとするタンパク質断片の断片化率は、37.1%減少した(p=0.05、図2)。
〔実施例14〕
キニノーゲンIタンパク質の切断を効率的に検知するため、アミノ酸配列IYPTVNCQPLGMISLMをC末端とする正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片の存在量(Kx)と、不正常な切断により生じるキニノーゲンI由来のタンパク質断片の存在量(Ix)の2種を用いて、キニノーゲンIタンパク質の断片化指数(Fx)を以下の計算式により求めた。健常者の平均値に対して、患者試料で断片化指数が1.25倍以上高いものを陽性とした。
[式2]タンパク質断片化指数(Fx)=Ix/Kx
〔実施例15〕
肺転移を有する大腸がん3例と健常者34名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISとするタンパク質断片の断片化指数(Fx)を測定した。健常者群の平均値(2.042)に対して、患者試料での断片化指数の平均値は8.783であった。断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、健常者65例が陽性、大腸がん2例が陽性であり、その陽性率はそれぞれ、17.6%と66.6%であった。
〔実施例16〕
肺転移を有する乳がん1例と健常者34名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISとするタンパク質断片の断片化指数(Fx)を測定した。健常者群の平均値(2.042)に対して、乳がん患者試料での断片化指数は30.35であり、断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、陽性と判定できた。
〔実施例17〕
縦郭内を原発とする胚細胞腫瘍1例と健常者34名の尿検体をMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISとするタンパク質断片の断片化指数(Fx)を測定した。健常者群の平均値(2.042)に対して、胚細胞腫瘍患者試料での断片化指数は3.49であり、断片化率が1.25倍以上高いものを陽性とした場合、陽性と判定できた。
〔実施例18〕
ヒト正常気道上皮由来細胞株BEAS-2B、ヒト肝細胞がん由来細胞株HepG2、ヒト胃がん由来細胞株MKN45、ヒト乳がん由来細胞株MCF7によるキニノーゲンIのタンパク質断片化を検知するため、無血清培養液にキニノーゲンIを添加し、20μg/mlの濃度とした。キニノーゲンIを添加後72時間で培養液を回収してMRM法に供し、キニノーゲンI由来のC末端アミノ酸配列をIYPTVNCQPLGMISとするタンパク質断片の断片化指数(Fx)を測定した。ヒト正常気道上皮由来細胞株BEAS-2Bの断片化指数(0.31)と比較して、ヒト肝臓がん由来細胞株HepG2、ヒト胃がん由来細胞株MKN45、ヒト乳がん由来細胞株MCF7の断片化指数は、2.45、0.54、13.1であり、ヒト正常気道上皮由来細胞株BEAS-2Bの断片化指数の1.25倍(0.39)より高値であった。

Claims (13)

  1. 被検体由来試料中における、キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程を含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  2. 前記キニノーゲンIの不正常な切断が、該キニノーゲンI中のペプチド結合に1以上の切れ目をもたらす切断および/または該キニノーゲンIの1以上の箇所に、1または2以上のアミノ酸残基の欠損をもたらす切断である、請求項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  3. 前記被検体由来試料中における、キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程が、以下の(1)〜(4)からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1または2記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法:
    (1)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIの正常な構造を有するタンパク質の量の減少を検知すること;
    (2)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのC末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質の量または存在を検知すること;
    (3)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIのN末端側にアミノ酸残基の欠損があるタンパク質の量または存在を検知すること;および
    (4)該被検体由来試料中における該キニノーゲンIについて、アミノ酸配列の任意の中間部位の切断又は欠損の量または存在を検知すること。
  4. 請求項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、
    前記キニノーゲンIの不正常な切断の有無をインビトロで検知する工程が、以下の(a)〜(e)からなる群より選択される少なくともいずれか1種の量または存在を検知することを含む、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法:
    (a)ESNEELTESCETをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;
    (b)IYPTVNCQPLGをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;
    (c)IYPTVNCQPLGMISLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;
    (d)IYPTVNCQPLGMISをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片;および
    (e)IYPTVNCQPLをC末端アミノ酸配列とするタンパク質断片。
  5. 前記不正常な切断をインビトロで検知する工程が、
    被検体試料中に存在するキニノーゲンI由来の正常な構造を有するタンパク質の量の減少、および/またはキニノーゲンI由来のタンパク質断片の量または存在を検知することを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  6. 前記被検体由来試料が、尿、血液、又は、痰、汗、髄液、消化液、および腹水から選択される、請求項1〜5のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  7. 質量分析測定法、免疫化学的測定法、およびクロマトグラフィー法からなる群より選択される少なくとも1種の方法を用いる工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  8. 前記膵臓がんは、膵管から発生するがんであり、前記乳がんは乳房内の乳管又は小葉から発生するがんであり、前記胃がんは、胃粘膜上皮から発生するがんであり、前記大腸がんは、盲腸、結腸、又は直腸に発生するがんであり、前記胆道がんは、胆管、胆のう、又は十二指腸乳頭部の胆道に発生するがんであり、前記肝臓がんは、肝細胞から発生するがんであり、前記胚細胞腫瘍は、精巣又は卵巣の性腺組織、縦隔、後腹膜、又は脳などの性腺外に発生するがんである、請求項1〜7のいずれか1項記載のがんの検出方法。
  9. 請求項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、前記キニノーゲンIにおける不正常な切断の有無が、該キニノーゲンIの断片化率によって決定され、該断片化率が、
    キニノーゲンIタンパク質断片化率(F)=C/I
    :各キニノーゲンIタンパク質断片の量
    :キニノーゲンIタンパク質由来タンパク質全量
    で得られる、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  10. 請求項1記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法であって、前記キニノーゲンIにおける不正常な切断の有無が、該キニノーゲンIの断片化指数によって決定され、該断片化指数が、
    キニノーゲンIタンパク質断片化指数(Fx)=Ix/Kx
    Ix:不正常な切断により生じる各キニノーゲンIタンパク質断片の量
    Kx:正常な切断により生じるキニノーゲンI由来タンパク質断片の量
    で得られる、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  11. 前記膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法が、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の診断補助の為の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の診断の為の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の進行の検出、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の再発の有無の予測の為の検出、及び膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の治療効果の有無の為の検出からなる群より選択されるいずれか1つ以上である、請求項1〜10のいずれか1項記載の膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍の検出方法。
  12. 被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の不正常な切断に由来するタンパク質断片の発現レベルに基づくデータを正常な切断として検知されるキニノーゲンIの発現レベルデータと比較する比較工程を含み、比較により被検体由来試料のキニノーゲンIのタンパク質の不正常な切断に由来するペプチドの比が、正常値より高いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラム。
  13. 被検体由来試料中における、キニノーゲンI由来の1つ以上のタンパク質分解酵素消化ペプチドの発現レベルデータを、正常値と比較する比較工程を含み、
    該ペプチドの量が正常値と比較して低いことを基準として、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍を検出する、膵臓がん、食道がん、乳がん、胃がん、大腸がん、胆道がん、肝臓がん又は胚細胞腫瘍検出プログラム。
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WO2023162878A1 (ja) * 2022-02-24 2023-08-31 学校法人日本医科大学 膵がんの診断補助方法、膵がん検出用のバイオマーカー、大腸がんの診断補助方法、又は、大腸がん検出用のバイオマーカー

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