JP2020090695A - 電気化学式水素圧縮システム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得る電気化学式水素圧縮システムを提供する。【解決手段】電気化学式水素圧縮システム200は、一対の主面を備えるプロトン伝導性の電解質膜11と、電解質膜の一方の主面に設けられたカソードCAと、電解質膜の他方の主面に設けられたアノードANと、を含むセル100と、アノードとカソードとの間に電圧を印加する電圧印加器12と、アノードに加熱された流体を供給する供給器10と、起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器を制御して、アノードに加熱された流体を供給させる制御器30と、を備える。【選択図】図1

Description

本開示は電気化学式水素圧縮システムに関する。
近年、燃費向上、カーボンフリー燃料の利用の観点から、燃料電池により発電された電力でモーターを駆動して走行する燃料電池車が注目を集めており、発売が開始されている。しかし、燃料電池車の普及にあたっては、燃料となる水素供給のインフラストラクチャを整え、全国に水素ステーションをいかに多く広範囲に設置できるかが課題となっている。これまで、水素ステーションとして、圧力スイング吸着法(PSA)で、水素を精製および圧縮する方法などが行われてきたが、装置の大型化および設置コストの増加などが、水素ステーションの全国展開の障害となっている。
来るべき水素社会では、水素を製造することに加えて、水素を高密度で貯蔵し、小容量かつ低コストで輸送または利用し得る技術開発が求められている。特に、分散型のエネルギー源となる燃料電池の普及の促進には、燃料供給インフラを整備する必要がある。
また、燃料供給インフラに水素を安定的に供給するために、高純度の水素を精製および昇圧する様々な提案が行われている。
例えば、特許文献1には、電解質膜が挟持されたアノードとカソードとの間の電圧印加によって、水素の精製および昇圧が行われる水素精製昇圧システムが記載されている。具体的には、アノードとカソードとの間に電流が流れるとき、アノードの水素がプロトンになり、プロトンがアノードからカソードへと、水分子を同伴しながら電解質膜を移動し、カソードで水素に戻される。
また、定置用途の水素利用システムにおいて、P2G(Power to Gas)と呼ばれる再生可能エネルギーの余剰電力を用いて水電解で得られた水素を水素貯蔵器に貯蔵することにより、再生可能エネルギーで得られた電力と電力需要との時間的ズレへの対応などが可能となるシステムを構築することができる。この場合、例えば、特許文献1に開示された水素精製昇圧システムを用いて、水電解装置で得られた水素を高圧(例えば、約20MPa程度)で水素貯蔵器に貯蔵することができる。
また、例えば、電気化学式水素圧縮装置を用いて、都市ガスの改質などで得られた水素を高圧(例えば、40MPa程度)で水素貯蔵器に貯蔵することで、燃料電池搭載のフォークリフトの水素源として使用することができる。
特開2015−117139号公報
従来例では、電気化学式水素圧縮システムの水素昇圧運転の効率向上について十分検討されていない。
本開示の一態様(aspect)は、このような事情に鑑みてなされたものであり、従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得る電気化学式水素圧縮システムを提供する。
本開示の一態様の電気化学式水素圧縮システムは、一対の主面を備えるプロトン伝導性の電解質膜と、前記電解質膜の一方の主面に設けられたカソードと、前記電解質膜の他方の主面に設けられたアノードと、を含むセルと、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、前記アノードに加熱された流体を供給する供給器と、起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、前記供給器を制御して、前記アノードに加熱された流体を供給させる制御器と、を備える。
本開示の一態様の電気化学式水素圧縮システムは、従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得るという効果を奏する。
図1は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。 図2は、水素ガスが計算モデルに供給される場合における、計算モデルの加熱量および昇温時間の計算結果の一例を示す図である。 図3は、温水が計算モデルに供給される場合における、計算モデルの加熱量および昇温時間の計算結果の一例を示す図である。 図4は、第1実施形態の第1実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。 図5は、第1実施形態の第2実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。 図6は、第1実施形態の第3実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。
固体高分子電解質膜(以下、電解質膜)による電気化学式水素圧縮システムのセルでは、アノードの水素(H)をプロトン化してカソードに移動させ、プロトン(H)をカソードで水素(H)に戻すことで水素が高圧化される。このとき、一般に、セルの電解質膜は、高温および高加湿の条件(例えば、約60℃程度)で、プロトン伝導率が上がり、電気化学式水素圧縮システムの水素昇圧運転の効率が向上する。
このような電気化学式水素圧縮システムでは、高圧ガスの圧力に耐える設計が必要になるので、例えば、厚みが大きい高剛性の金属部材などにより上記のセルが覆われていることが多い。
ここで、複数のセルを積層したスタックの場合、例えば、適宜の熱源でスタックを加熱するには、熱源に所望のエネルギーを付与する必要がある。特に、厚みが大きい高剛性の金属部材などにより、電気化学式水素圧縮システムのスタックが覆われている場合、スタックの熱容量が大きいので、電気化学式水素圧縮システムの起動時に、熱源で消費するエネルギー量が増加する。
そして、上記の熱源として、スタックに、例えば、電気ヒータなどを埋設する構成を取る場合、スタックの形状が複雑化する。また、電気化学式水素圧縮システムの耐圧性確保のため、スタックの外形をさらに大きくする必要がある。
そこで、本開示者らは、鋭意検討の結果、電気化学式水素圧縮システムの起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、セルのアノードに、加熱された流体を供給することにより、セルを適温に昇温できることを見出し、以下の本開示の一態様に想到した。
すなわち、本開示の第1態様の電気化学式水素圧縮システムは、一対の主面を備えるプロトン伝導性の電解質膜と、電解質膜の一方の主面に設けられたカソードと、電解質膜の他方の主面に設けられたアノードと、を含むセルと、アノードとカソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、アノードに加熱された流体を供給する供給器と、起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器を制御して、アノードに加熱された流体を供給させる制御器と、を備える。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得る。具体的には、電気化学式水素圧縮システムの起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器によりアノードに供給される流体の熱を、電気化学式水素圧縮システムのセル加熱に利用することができるので、セルを効率的に所定の温度まで昇温することができる。そして、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、セル温度が所定の温度に昇温する場合、電解質膜を高温状態および湿潤状態に保ち得るので、電解質膜のプロトン伝導率を向上させることができる。
なお、本態様において、「起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方」とは、起動時または水素昇圧運転開始時と、起動時および水素昇圧運転開始時とを含む。
本開示の第2態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様の電気化学式水素圧縮システムにおいて、供給器は、アノードに水素含有ガスを供給する供給器と兼用されていてもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、電気化学式水素圧縮システムの起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、アノードに水素含有ガスを供給するための供給器および供給経路を利用して、加熱された流体をアノードに供給することで、システム構成を簡易化することができる。
本開示の第3態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様の電気化学式水素圧縮システムにおいて、加熱された流体は、外部の熱源により加熱された流体を含んでもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、電気化学式水素圧縮システムの起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、外部の熱源の熱をセル加熱に利用することにより、システム内に熱源を設けることが不要となるので、システム構成を簡易化することができる。
本開示の第4態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様の電気化学式水素圧縮システムにおいて、アノードに供給される流体を加熱する加熱器を備え、加熱された流体は、加熱器により加熱された流体であってもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、電気化学式水素圧縮システムの起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、加熱器を用いて、アノードに供給する流体の温度が高温になるように、本流体を適切に加熱させることができる。
本開示の第5態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様の電気化学式水素圧縮システムにおいて、上記の流体は水素含有ガスであってもよい。なお、高温の水素含有ガスを用いて、セルを所定の温度にまで加熱可能であることは、後で説明する簡易的な計算モデルの熱収支計算により検証されている。
本開示の第6態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様の電気化学式水素圧縮システムにおいて、上記の流体は液体であってもよい。なお、液体の一例である温水を用いて、セルを所定の温度にまで加熱可能であることは、後で説明する簡易的な計算モデルの熱収支計算により検証されている。
本開示の第7態様の電気化学式水素圧縮システムは、第1態様から第6態様のいずれかの電気化学式水素圧縮システムにおいて、制御器は、起動時に、供給器を制御して、アノードに加熱された流体を供給させたのち、電圧印加器を制御して、アノードと前記カソードとの間に電圧を印加させ、水素昇圧運転を開始してもよい。
かかる構成によると、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、電気化学式水素圧縮システムの起動時に、加熱された流体によりセルが昇温したのち水素昇圧運転を開始される可能性が高まる。つまり、加熱された流体を供給する前または供給と同時に、水素昇圧運転を開始する場合に比べて、電気化学式水素圧縮システムの水素昇圧運転の効率が向上する可能性が高まる。
本開示の第8態様の電気化学式水素圧縮システムは、一対の主面を備えるプロトン伝導性の電解質膜と、電解質膜の一方の主面に設けられたカソードと、電解質膜の他方の主面に設けられたアノードと、を含むセルと、アノードとカソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、アノードに加熱された流体を供給する供給器と、停止時に、セルの温度が氷点以下であるとき、供給器を制御して、加熱された流体をアノードに供給させる制御器と、を備える。
電気化学式水素圧縮システムの停止時に、セルの温度が氷点以下であるとき、電気化学式水素圧縮システムのセル内に残った水が凍結する可能性がある。ここで、仮に、セル内の水が凍結すると、水から氷になったときに体積が膨張することで、セル内の電解質膜、触媒層などが破損する恐れがある。
そこで、本態様の電気化学式水素圧縮システムは、電気化学式水素圧縮システムの停止時に、セルの温度が氷点以下であるとき、供給器10により、加熱された流体をアノードに供給することで、このような問題を軽減することができる。
なお、本態様において、「氷点以下であるとき、加熱された流体をアノードに供給する」とは、氷点以下で、加熱された流体の供給を開始する態様だけでなく、氷点より高い温度で、加熱された流体の供給を開始する態様も含む。
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下で説明する実施形態は、いずれも上記の各態様の一例を示すものである。よって、以下で示される形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、請求項に記載されていない限り、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の構成要素のうち、本態様の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において同じ符号が付いたものは説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。
図1に示す例では、電気化学式水素圧縮システム200は、セル100と、電圧印加器12と、供給器10と、制御器30と、を備える。
なお、図1に示すように、二点鎖線で示された水素貯蔵器21を電気化学式水素圧縮システム200に併設して設けてもよいし、電気化学式水素圧縮システム200が、このような水素貯蔵器21を備えてもよい。水素貯蔵器21として、例えば、高圧状態の水素ガスを貯蔵する水素タンクなどを挙げることができる。また、図示を省略するが、電気化学式水素圧縮システム200は、複数のセル100を積層したスタックを含む電気化学式水素圧縮装置を備える。
セル100は、プロトン(H)伝導性の電解質膜11と、アノードANと、カソードCAと、を備える。
アノードANは、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノードANは、アノード触媒層およびアノード拡散層を含む電極である。カソードCAは、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソードCAは、カソード触媒層およびカソード拡散層を含む電極である。これにより、電解質膜11は、アノード触媒層およびカソード触媒層のそれぞれと接触するようにして、アノードANとカソードCAとによって挟持されている。
電解質膜11はプロトン伝導性を備える膜であれば、どのような構成であってもよい。例えば、電解質膜11として、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系電解質膜などを挙げることができる。具体的には、電解質膜11として、例えば、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)などを用いることができるが、これらに限定されない。
アノード触媒層は、電解質膜11の一方の主面に設けられている。アノード触媒層は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層は、電解質膜11の他方の主面に設けられている。カソード触媒層は、触媒金属として、例えば、白金を含むが、これに限定されない。
カソード触媒層もアノード触媒層も、触媒の調製方法としては、種々の方法を挙げることができるが、特に限定されない。例えば、触媒の担体としては、導電性の酸化物粉末、炭素系粉末などを挙げることができる。炭素系粉末としては、例えば、黒鉛、カーボンブラック、導電性を有する活性炭などの粉末を挙げることができる。カーボンなどの担体に、白金若しくは他の触媒金属を担持する方法は、特に限定されない。例えば、粉末混合または液相混合などの方法を用いてもよい。後者の液相混合としては、例えば、触媒成分コロイド液にカーボンなどの担体を分散させ、吸着させる方法などが挙げられる。白金などの触媒金属の担体への担持状態は、特に限定されない。例えば、触媒金属を微粒子化し、高分散で担体に担持してもよい。
カソード拡散層は、カソード触媒層に設けられている。カソード拡散層は、多孔性材料で構成され、導電性およびガス拡散性を備える。カソード拡散層は、電気化学式水素圧縮システム200の動作時にカソードCAおよびアノードAN間の差圧で発生する構成部材の変位、変形に適切に追従するような弾性を備える方が望ましい。
アノード拡散層は、アノード触媒層に設けられている。アノード拡散層は、多孔性材料で構成され、導電性および流体拡散性を備える。アノード拡散層は、電気化学式水素圧縮システム200の動作時に、高圧による電解質膜11の押し付けに耐え得る程度の剛性を備える方が望ましい。
電圧印加器12は、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加する装置である。電圧印加器12は、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加することができれば、どのような構成であってもよい。図1に示す例では、電圧印加器12の高電位側端子が、アノードANに接続され、電圧印加器12の低電位側端子が、カソードCAに接続されている。これにより、電圧印加器12を用いて、アノードANおよびカソードCAの間で通電が行われる。
電圧印加器12として、例えば、DC/DCコンバータ、AC/DCコンバータなどを挙げることができる。DC/DCコンバータは、電圧印加器12が、太陽電池、燃料電池、バッテリなどの直流電源と接続された場合に用いられる。AC/DCコンバータは、電圧印加器12が、商用電源などの交流電源と接続された場合に用いられる。
また、電圧印加器12は、例えば、セル100に供給する電力が所定の設定値となるように、アノードANおよびカソードCA間に印加される電圧、アノードANおよびカソードCA間に流れる電流が調整される電力型電源であってもよい。
供給器10は、アノードANに、加熱された流体を供給する装置である。なお、「加熱された流体」の具体例は後で説明する。
供給器10は、アノードANに流入する前のアノード流体が流れるアノード流体導入経路に設けられていてもよいし、図1に示す如く、かかるアノード流体導入経路から分岐した分岐経路に設けられていてもよい。
ここで、アノード流体として、例えば、水素含有ガス、水などを挙げることができる。アノード流体が、水である場合、アノード触媒層で、水の電気分解によりプロトンが生成される。アノード流体が、水素含有ガスである場合、アノード触媒層で、水素含有ガス中の水素からプロトンが生成される。なお、水素含有ガスとして、例えば、改質ガス、水の電気分解で発生した水蒸気を含む水素含有ガスなどを挙げることができる。
供給器10は、アノードANに、加熱された流体を供給することができれば、どのような構成であってもよい。供給器10として、例えば、ポンプなどを挙げることができる。
制御器30は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器10を制御して、アノードANに加熱された流体を供給させる。なお、本明細書において、電気化学式水素圧縮システム200の「起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方」とは、起動時または水素昇圧運転開始時と、起動時および水素昇圧運転開始時とを含む。
制御器30は、電気化学式水素圧縮システム200の全体の動作を制御してもよい。例えば、制御器30は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時に、供給器10を制御して、アノードANに加熱された流体を供給させたのち、電圧印加器12を制御して、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加させ、水素昇圧運転を開始してもよい。
制御器30は、例えば、演算回路(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶回路(図示せず)と、を備える。演算回路として、例えば、MPU、CPUなどを挙げることができる。記憶回路として、例えば、メモリなどを挙げることができる。制御器30は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
なお、図1には示されていないが、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転において必要となる部材および機器は適宜、設けられる。
例えば、一対のカーボン製のセパレータのそれぞれが、セル100のアノードANおよびカソードCAのそれぞれを外側から挟んでいてもよい。この場合、アノードANに接触するセパレータは、アノードANにアノード流体を供給するための導電性の板状の部材である。この板状の部材は、アノードANに供給するアノード流体が流れる流体流路を備える。カソードCAに接触するセパレータは、カソードCAから水素を導出するための導電性の板状の部材である。この板状の部材は、カソードCAから導出した水素が流れる流体流路を備える。これらの流体流路は、セパレータと別に設けることもできるが、セパレータの表面に流体流路の溝を、例えば、サーペンタイン状に形成することが一般的である。
また、電気化学式水素圧縮システム200では、通常、高圧の水素が外部へリークしないように、セル100の両側からガスケットなどのシール材が設けられ、セル100と一体化して予め組み立てられる。そして、セル100の外側には、これを機械的に固定するとともに、隣接するセル100同士を互いに電気的に直列に接続するための上記のセパレータが配置されている。
セル100とセパレータを交互に重ねて、セル100を10〜200積層し、その積層体(スタック)を、集電板および絶縁板を介して端板で挟み、両端板を締結ロッドで締め付けるのが一般的な積層構造である。なお、この場合、セパレータのそれぞれの流体流路に適量の流体を供給するには、セパレータのそれぞれにおいて、適宜の管路から溝状の分岐経路を分岐させ、これらの下流端が、セパレータのそれぞれの流体流路に連結するように構成する必要がある。このような管路のことをマニホールドといい、このマニホールドは、セパレータのそれぞれの適所に設けられた貫通孔の連なりにより構成されている。
また、電気化学式水素圧縮システム200では、カソードCAの水素の圧力を検出する圧力検出器、セル100の温度を検出する温度検出器などが設けられている。そして、制御器30は、これらの圧力検出器および温度検出器の検出データに基づいて、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転を制御する。
なお、以上の図示しない部材および機器は例示であって、本例に限定されない。
[供給器によりアノードに供給される流体]
本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、供給器10によりアノードANに供給される流体として、例えば、高温の水素含有ガスおよび高温の液体などを挙げることができる。
そこで、以下、供給器10によりアノードANに供給される高温の水素ガスの熱または液体の一例である温水の熱を利用することにより、セル100の温度を適切に昇温が可能かどうかについて検討した。
なお、セル100の起動時の温度(例えば、25℃)から所定の温度(例えば、60℃)までの熱収支シミュレーションは非定常解析である。よって、セル100を正確に再現した計算モデルにより数値解析シミュレーションを行うことは困難であることが多い。
よって、以下では、このような熱収支の計算を簡略化することで、セル100を昇温可能かどうかの確認が行われた。具体的には、67mm径の触媒層を有し、高さが150mmの電極(11段のスタックで、高さが150mmの電極に相当)が、肉厚が75mmのSUS316製の中空円筒体により覆われている場合の計算モデルを想定した。なお、このような簡易的な計算モデルであっても、セル100の熱収支の概算を知ることは可能であると考えられる。
<放熱量および外表面温度の導出>
以下、計算モデルの放熱計算および計算モデルの外表面温度TSURの導出について説明する。
まず、計算モデルで放熱量を導出した。なお、このとき、計算簡略化のため、円柱側面からの放熱のみを考慮し、円柱上下面からの放熱を無視した。
温度条件としては、電極の温度が30℃、周囲の環境温度が25℃であると仮定した。
物性条件としては、ステファンボルツマン定数として5.67×10−8W/m・Kを、SUS316の熱伝導率として16.7W/m・Kを、空冷が行われない場合のSUS316の対流熱伝達率として7.5W/m・Kを、SUS316の表面の放射率として0.5を、それぞれ使用した。
そして、上記の温度条件および物性条件のもとで、計算モデルの対流放熱量および放射放熱量を導出するとともに、対流放熱量および放射放熱量の和(以下、放熱量QRA)が、計算モデルを通過する熱量と等しくなるときの計算モデルの外表面温度TSUR(中空円筒体の外側の側面温度)を導出した。
<計算モデルの加熱に利用される加熱量の導出>
(A)流体が水素ガスの場合
ここでは、第1例として、乾燥状態の100℃の水素ガスが計算モデルに流入し、電極部の温度と同じ温度の水素ガスが計算モデルから流出すると仮定して、水素ガスの流入出において、水素ガスから計算モデルに付与される熱量QGASを導出した。このとき、計算モデルに供給する水素ガスの流量は、電気化学式水素圧縮システムの動作時に、合計面積が396cmの電極部に所定電流(ここでは、電流密度が1A/cm)が流れる場合における水素利用率が93%に相当する、アノード外への水素ガス排出流量に設定された。
具体的には、電気化学式水素圧縮システムを上記の条件で動作する場合のアノードへの水素ガス供給流量(2.76L/min)の14.3倍の流量が、計算モデルに供給する水素ガスの流量として設定された。
なお、これらの流量、電流密度および水素利用率の数値は例示であって、本例に限定されない。
以上により、上記の熱量QGASから放熱量QRAを差し引くことで、計算モデルの加熱に利用される加熱量Qを知ることができる(式(1))。
Q=QGAS−QRA・・・(1)
<昇温時間の導出>
次に、計算モデルの昇温時間の導出について説明する。
まず、計算モデルにおいて、中空円筒体内にスタックが配置されている場合の熱容量Cを、スタックの構成材料の割合から導出した。
そして、この熱容量Cをもとに、電極が、25℃から30℃まで、計算モデルを昇温するのに必要な昇温時間Tを導出した。つまり、昇温時間Tは、計算モデルの加熱で利用される加熱量Q(加熱量Qの計算に必要な水素ガスの流量は時間の関数)と熱容量Cとから知ることができる。
なお、熱伝達率をおおまかに見積もり、本計算の妥当性を確認した。つまり、熱伝達率の計算により、水素ガスからスタックへの熱の移動が、水素ガスの流速に比べて十分に速いことを確認した。
次いで、電極の温度を35℃、周囲の環境温度を25℃にそれぞれ設定して、乾燥状態の100℃の水素ガスが計算モデルに供給される場合について、上記と同様の計算を行った。
このように、電極の温度を5℃ずつ上げて、この温度が60℃になるまで、30℃、35℃・・・60℃のそれぞれの温度における加熱量Qおよび昇温時間Tを導出した。
図2は、水素ガスが計算モデルに供給される場合における、計算モデルの加熱量および昇温時間の計算結果の一例を示す図である。
具体的には、電極の温度を5℃ずつ上げて、この温度が55℃になるまで、30℃、35℃・・・55℃のそれぞれの温度における、加熱量Q(黒丸印)および昇温時間T(X印)が図2にプロットされている。
なお、図2の横軸の数値は、電極の温度(℃)を表しており、図2の縦軸の数値は、時間(h)および熱量(W)の両者を表している。
第1例の計算の結果、図2に示す如く、電極の温度が30℃〜55℃の範囲において、加熱量Qがプラスの値を示した。これに対して、データのプロットを省略しているが、電極の温度が60℃において、加熱量Qはマイナスの値を示した。つまり、電極の温度が30℃〜55℃の範囲において、水素ガスから計算モデルに付与される熱量QGASが放熱量QRAを上回るので(QGAS>QRA)、アノードANに供給される水素ガスの熱により計算モデルを55℃まで加熱できることが確認された。ただし、電極の温度を、例えば、50℃まで加熱するには、長い時間(5時間程度)を要することがわかった。また、電極の温度が60℃において、上記の熱量QGASが放熱量QRAを上回るので(QGAS<QRA)、アノードANに供給される水素ガスの熱により計算モデルを加熱困難であることが確認された。
また、第2例(比較例)として、以下の水素ガスの温度条件および流量条件以外は、上記と同様の計算を行った。
乾燥状態の150℃の水素ガスが計算モデルに流入し、電極部の温度と同じ温度の水素ガスが計算モデルから流出すると仮定して、水素ガスの流入出において、水素ガスから計算モデルに付与される熱量QGASを導出した。このとき、計算モデルに供給する水素ガスの流量は、電気化学式水素圧縮システムの動作時に、合計面積が396cmの電極部に所定電流(ここでは、電流密度が1A/cm)が流れる場合における水素利用率が70%に相当する、アノード外への水素ガス排出流量に設定された。
具体的には、電気化学式水素圧縮システムを上記の条件で動作する場合のアノードへの水素ガス供給流量(2.76L/min)の1.43倍の流量が、計算モデルに供給する水素ガスの流量として設定された。
第2例の計算の結果、電極の温度が35℃以上において、上記の熱量QGASが放熱量QRAを上回るので(QGAS<QRA)、アノードANに供給される水素ガスの熱により計算モデルを加熱困難であることが確認された。また、電極の温度を、例えば、30℃まで加熱するには、長い時間(5時間程度)を要することがわかった。
このように、以上の第1例および第2例の計算結果は、水素ガスの熱を利用することで、セル100の加熱を行うときは、アノードANに供給する水素ガス量を十分に確保することが重要であることを示している。
(B)流体が温水の場合
ここでは、77℃の温水が、360ml(ミリリットル)/minの流量で計算モデルに流入し、電極部の温度と同じ温度の温水が、同流量で計算モデルから流出すると仮定して、温水の流入出において、温水から計算モデルに付与される熱量QLIQを導出した。
なお、上記以外の加熱量Qおよび昇温時間Tの導出方法は、流体が水素ガスである場合の導出方法と同様であるので説明を省略する。
図3は、温水が計算モデルに供給される場合における、計算モデルの加熱量および昇温時間の計算結果の一例を示す図である。
具体的には、電極の温度を5℃ずつ上げて、この温度が60℃になるまで、30℃、35℃・・・60℃のそれぞれの温度における、加熱量Q(黒丸印)および昇温時間T(X印)が図3にプロットされている。
なお、図3の横軸の数値は、電極の温度(℃)を表している。図3の右側の縦軸の数値は、時間(h)を表しており、左側の縦軸は、熱量(W)の両者を表している。
図2から理解できるとおり、電極の温度が30℃〜60℃の全範囲において、加熱量Qがプラスの値を示した。つまり、電極の温度が30℃〜60℃の全範囲において、温水から計算モデルに付与される熱量QLIQが放熱量QRAを上回るので(QLIQ>QRA)、アノードANに供給される温水の熱により計算モデルを60℃まで加熱できることが確認された。また、電極の温度を、例えば、60℃まで、短い時間(0.25時間程度)で加熱可能であることがわかった。
以上の図2および図3の計算結果から、セル100の加熱に温水の熱を利用する方が、水素ガスの熱を利用する場合に比べて、加熱量Qおよび昇温時間Tの観点において有利であることが確認された。
[動作]
以下、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転(動作)について図面を参照しながら説明する。
以下の動作は、例えば、制御器30の演算回路が、制御器30の記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、以下の動作を制御器30で行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。
まず、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、アノードANに、供給器10により、加熱された流体が供給される。これにより、セル100が適温まで加熱される。
次に、アノードANにアノード流体が供給されるとともに、電圧印加器12の電力がセル100に給電される。これにより、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転が開始する。
すると、アノードANのアノード触媒層において、酸化反応で水素分子が水素イオン(プロトン)と電子とに分離する(式(2))。プロトンは、電解質膜11内を伝導してカソードCAのカソード触媒層に移動する。電子は電圧印加器12を通じてカソードのカソード触媒層に移動する。そして、カソード触媒層において、還元反応で水素分子が再び生成される(式(3))。
このとき、プロトンが電解質膜11中を伝導する際に、所定水量の水が、電気浸透水としてアノードANからカソードCAにプロトンと同伴して移動することが知られている。
ここで、図示しない開閉弁を用いて、カソードガス導出経路の圧損を増加させることにより、カソードCAで生成された水素を昇圧することができる。よって、高圧状態の水素を、適時にセル100から水素貯蔵器21に供給することができる。
アノード:H(低圧)→2H+2e ・・・(2)
カソード:2H+2e→H(高圧) ・・・(3)
このようにして、電気化学式水素圧縮システム200では、アノードANとカソードCAとの間に電圧を印加することにより、アノードANからCAカソードに昇圧された水素を供給する動作が行われる。これにより、カソードCAで昇圧された水素は、水素貯蔵器21に一時的に貯蔵される。また、水素貯蔵器21で貯蔵された水素は、適時に、燃料電池などの水素消費体に供給される。
以上のとおり、本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得る。具体的には、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器10によりアノードANに供給される流体の熱を、電気化学式水素圧縮システム200のセル加熱に利用することができるので、セル100を効率的に所定の温度(例えば、約60℃程度)まで昇温することができる。そして、本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、セル100が所定の温度に昇温する場合、電解質膜11を高温状態および湿潤状態に保ち得るので、電解質膜11のプロトン伝導率を向上させることができる。
例えば、本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時に、加熱された流体によりセル100が昇温したのち水素昇圧運転を開始させる可能性が高まる。つまり、加熱された流体を供給する前または供給と同時に、水素昇圧運転を開始する場合に比べて、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転の効率が向上する可能性が高まる。
(第1実施例)
図4は、第1実施形態の第1実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。
図4に示す例では、電気化学式水素圧縮システム200は、セル100と、電圧印加器12と、供給器10Aと、制御器30と、を備える。
ここで、セル100および電圧印加器12は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
供給器10Aは、アノードANに水素含有ガスを供給する装置である。つまり、供給器10Aは、図1の供給器10と兼用されている。供給器10Aは、アノードANに水素含有ガスを供給することができれば、どのような構成であってもよい。供給器10Aとして、実施形態の供給器10と同様、例えば、ポンプなどを挙げることができる。
なお、図4の「加熱された流体」が水素含有ガスである場合、かかる流体が流れる専用の分岐経路を設けなくてもよい。この場合、電気化学式水素圧縮システム200が、例えば、水素含有ガスを加熱する図示しない加熱器を備え、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器10AによりアノードANに供給される高温の水素含有ガスの熱が、電気化学式水素圧縮システム200のセル加熱に利用される。なお、高温の水素含有ガスを用いて、セル100を所定の温度にまで加熱可能であることは、上記の簡易的な計算モデルの熱収支計算により検証されている。
以上のとおり、本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、アノードANに水素含有ガスを供給するための供給器10Aおよび供給経路を利用して、加熱された流体をアノードANに供給することで、システム構成を簡易化することができる。
なお、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転が開始する際には、供給器10Aにより水素含有ガスをセル100のアノードANに供給することで、水素含有ガス中の水素がカソードCAで昇圧される。
このとき、図4に示すように、アノードANのアノード出口から排出された水素含有ガスを、供給器10Aよりも上流の経路に供給するためのリサイクル経路が設けられていてもよい。
また、電気化学式水素圧縮システム200には、アノード出口から排出される水素含有ガスと、外部の水素源によりアノード入口に供給される水素含有ガスとが混合された水素含有ガス(混合ガス)の露点を調整する露点調整器(図示せず)が設けられていてもよい。
上記の露点調整器は、例えば、バブリングタンクを備え、バブリングタンク内の水中を混合ガスが通過ように構成されていてもよい。そして、露点調整器は、温調機構によりバブリングタンク内の水の温度を所望の温度に維持するように構成されるとよい。これにより、バブリングタンク内の水中を通過した混合ガスの露点が、バブリングタンク内の水の温度とほぼ等しくなるので、混合ガスの露点を所望の値に調整することができる。例えば、混合ガスの露点をセル100の温度に近接させることで、アノードANでフラディングが発生すること、および、電解質膜11がドライアップすることを抑制できる。
ただし、以上の水素含有ガスの再利用(リサイクル)の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、アノードANのアノード入口に供給される水素含有ガスが全量、セル100のアノードANからカソードCAに供給され、カソードCAで昇圧されてもよい。
本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システム200と同様であってもよい。
(第2実施例)
図5は、第1実施形態の第2実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。
図5に示す例では、電気化学式水素圧縮システム200は、セル100と、電圧印加器12と、供給器10と、制御器30と、を備える。
つまり、本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、図1の「加熱された流体」が、外部の熱源により加熱された流体を含むこと以外、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システム200と同様である。
ここで、外部の熱源として、例えば、温水を貯める貯湯タンクなどを挙げることができる。この場合、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、供給器10によりアノードANに供給される温水の熱が、電気化学式水素圧縮システム200のセル加熱に利用される。なお、温水を用いて、セル100を所定の温度にまで加熱可能であることは、上記の簡易的な計算モデルの熱収支計算により検証されている。
以上のとおり、本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、外部の熱源によりアノードANに供給される流体の熱を利用することにより、システム内に熱源を設けることが不要となるので、システム構成を簡易化することができる。
なお、セル100が所定の温度に昇温すると、適時に、供給器10の動作を停止することで、上記の流体の供給が停止されてもよい。
本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システム200と同様であってもよい。
(第3実施例)
図6は、第1実施形態の第3実施例の電気化学式水素圧縮システムの一例を示す図である。
図6に示す例では、電気化学式水素圧縮システム200は、セル100と、電圧印加器12と、供給器10と、制御器30と、加熱器40と、を備える。
ここで、セル100、電圧印加器12および供給器10は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
加熱器40は、アノードANに供給される流体を加熱する装置である。つまり、本実施例の電気化学式水素圧縮システム200では、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、加熱器40により加熱された流体がアノードANに供給される。
加熱器40は、アノードANに流入する前のアノード流体が流れるアノード流体導入経路に設けられていてもよいし、図6に示す如く、かかるアノード流体導入経路から分岐した分岐経路に設けられていてもよい。
加熱器40は、アノードANに供給される流体を加熱することができれば、どのような構成であってもよい。加熱器40として、例えば、電気ヒータなどを挙げることができる。
以上のとおり、本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、電気化学式水素圧縮システム200の起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、加熱器40を用いて、アノードANに供給する流体の温度が高温になるように、本流体を適切に加熱させることができる。
なお、セル100が所定の温度に昇温すると、適時に、供給器10および加熱器40の動作を停止することで、上記の流体の供給および加熱を停止してもよい。
本実施例の電気化学式水素圧縮システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システム200と同様であってもよい。
(第2実施形態)
本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、制御器30による以下の制御内容以外は、第1実施形態の電気化学式水素圧縮システム200と同様である。
本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200では、制御器30は、電気化学式水素圧縮システム200の停止時に、セル100の温度が氷点以下であるとき、供給器10を制御して、加熱された流体をアノードANに供給させる。
なお、電気化学式水素圧縮システム200の停止時とは、電気化学式水素圧縮システム200の水素昇圧運転の停止から起動までの期間をいう。
電気化学式水素圧縮システム200の停止時に、セル100の温度が氷点以下であるとき、電気化学式水素圧縮システムのセル100内に残った水が凍結する可能性がある。ここで、仮に、セル100内の水が凍結すると、水から氷になったときに体積が膨張することで、セル100内の電解質膜11、触媒層などが破損する恐れがある。
そこで、本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、電気化学式水素圧縮システム200の停止時に、セル100の温度が氷点以下であるとき、供給器10により、加熱された流体をアノードANに供給することで、このような問題を軽減することができる。
なお、本明細書において、「氷点以下であるとき、加熱された流体をアノードANに供給する」とは、氷点以下で、加熱された流体の供給を開始する態様だけでなく、氷点より高い温度で、加熱された流体の供給を開始する態様も含む。
例えば、電気化学式水素圧縮システム200の停止時に、セル100の温度が氷点以下であるとき、供給器10により、図示しない貯湯タンクの温水をアノードANに供給することで、セル100内の水の凍結を抑制することができる。
本実施形態の電気化学式水素圧縮システム200は、上記特徴以外は、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第3実施例のいずれかの電気化学式水素圧縮システム200と同様であってもよい。
なお、第1実施形態、第1実施形態の第1実施例−第3実施例および第2実施形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。
また、上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良および他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
本開示の一態様は、従来よりも水素昇圧運転の効率を向上し得る電気化学式水素圧縮システムに利用することができる。
10 :供給器
10A :供給器
11 :電解質膜
12 :電圧印加器
21 :水素貯蔵器
30 :制御器
40 :加熱器
100 :セル
200 :電気化学式水素圧縮システム
AN :アノード
CA :カソード

Claims (7)

  1. 一対の主面を備えるプロトン伝導性の電解質膜と、
    前記電解質膜の一方の主面に設けられたカソードと、
    前記電解質膜の他方の主面に設けられたアノードと、
    を含むセルと、
    前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加する電圧印加器と、
    前記アノードに加熱された流体を供給する供給器と、
    起動時および水素昇圧運転開始時の少なくとも一方において、前記供給器を制御して、前記アノードに加熱された流体を供給させる制御器と、
    を備える電気化学式水素圧縮システム。
  2. 前記供給器は、前記アノードに水素含有ガスを供給する供給器と兼用されている請求項1に記載の電気化学式水素圧縮システム。
  3. 前記加熱された流体は、外部の熱源により加熱された流体を含む請求項1に記載の電気化学式水素圧縮システム。
  4. 前記アノードに供給される流体を加熱する加熱器を備え、
    前記加熱された流体は、前記加熱器により加熱された流体である請求項1に記載の電気化学式水素圧縮システム。
  5. 前記流体は水素含有ガスである請求項1に記載の電気化学式水素圧縮システム。
  6. 前記流体は液体である請求項1に記載の電気化学式水素圧縮システム。
  7. 前記制御器は、起動時に、前記供給器を制御して、前記アノードに加熱された流体を供給させたのち、前記電圧印加器を制御して、前記アノードと前記カソードとの間に電圧を印加させ、水素昇圧運転を開始する請求項1−6のいずれか1項に記載の電気化学式水素圧縮システム。
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