発明の詳細な説明
本明細書で引用される全ての参照文献は、完全に記載されているかのようにその全体が参照により包含される。別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。Allen et al.,Remington:The Science and Practice of Pharmacy 22nd ed.,Pharmaceutical Press(2012年9月15日);Hornyak et al.,Introduction to Nanoscience and Nanotechnology,CRC Press(2008);Singleton and Sainsbury,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed.,revised ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2006);Smith,March's Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure 7th ed.,J.Wiley&Sons(New York,NY 2013);Singleton,Dictionary of DNA and Genome Technology 3rd ed.,Wiley−Blackwell(2012年11月28日);及びGreen and Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY 2012)は、本出願中で使用される数多くの用語に対する一般的な指針を当業者に与える。抗体の調製方法に関する言及については、Greenfield,Antibodies A Laboratory Manual 2nd ed.,Cold Spring Harbor Press(Cold Spring Harbor NY,2013);Kohler and Milstein,Derivation of specific antibody−producing tissue culture and tumor lines by cell fusion,Eur.J. Immunol.1976 Jul,6(7):511−9;Queen and Selick,Humanized immunoglobulins,米国特許 No.5,585,089(1996年12月);及びRiechmann et al.,Reshaping human antibodies for therapy,Nature 1988年3月24日,332(6162):323−7を参照されたい。
当業者であれば、本発明に記載のものと類似もしくは均等な、本発明の実施において使用可能であろう数多くの方法及び材料を認識するであろう。本発明の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を、本発明の実施形態の様々な特徴が例として示されている添付の図面と併せ読むことによって明らかになるであろう。実際、本発明は記載されている方法及び材料に限定されない。便宜上、明細書、実施例、及び添付の請求項において本出願で用いられている特定の用語はここにまとめられている。
特段の記載がない限り、あるいは文脈からの黙示的な記載がない限り、以下の用語及び語句は下に示されている意味を含む。特段の明示的な記載がない限り、あるいは文脈から明白でない限り、下の用語及び語句は、用語及び語句が属する技術分野において有するに至った意味を除外しない。定義は具体的な実施形態の記述を補助するために与えられており、発明の範囲は請求項によってのみ限定されることから、定義によって請求項の発明が限定されることは意図されていない。別段の規定がない限り、本明細書で用いられている全ての技術的用語及び科学的用語は、本発明が属する分野における当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。
本明細書において、「含む(comprisingまたはcomprises)」は、ある実施形態に有用である組成物、方法、及びそれらの各構成要素に関連して使用されるが、特定されていない要素(有用であるかどうかに関わらず)を含める余地がある。概して、本明細書で使用される用語は通常「非限定的な(open)」用語であることが意図されている(例えば、用語「含む(including)」は、「〜を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は「少なくとも〜を有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「〜を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきである等)ことが当業者に理解されるであろう。
特段の記載がない限り、本出願の特定の実施形態を記述する文脈において(特に請求項の文脈において)使用される用語「一つの(a)」、「一つの(an)」、及び「その(the)」、並びに類似の言及は、単数形と複数形の両方を網羅すると解釈することができる。本明細書における値の範囲の列挙は、範囲の中に含まれる1つ1つの値を個別に言及する簡単な方法として意図されているにすぎない。本明細書において特段の指示がない限り、1つ1つの値は本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に包含される。本明細書に特段の指示がない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、本明細書に記載の全ての方法は任意の適切な順序で行うことができる。本明細書の特定の実施形態に関して与えられている、あらゆる実施例または例示的表現(例えば「等」)の使用は、特段の主張がない限り、単に本出願の理解を容易にすることを意図しているにすぎず、本出願の範囲を限定するものではない。略語「e.g.」はラテン語のexempli gratia(例えば)に由来し、本明細書においては非限定的な例を示すために使用される。したがって、略語「e.g.(例えば)」は用語「for example(例えば)」の同義語である。本明細書中の用語は、請求項に記載されていない任意の要素が本出願の実施に必須であることを示すものとして解釈されるべきではない。
本明細書において、用語「治療する」「治療」「治療すること」または「改善」は、病気、障害、または医学的症状と関連して使用される場合、治療的処置と、予防もしくは防止の手段の両方を指し、これにより対象の症状または状態の予防、反転、軽減、改善、抑制、減少、または、症状もしくは状態の進行もしくは重症度の鈍化もしくは停止がなされる。用語「治療する」には、病気の有害事象または症状のうちの少なくとも1つの低減または軽減が含まれる。治療は、1つまたは複数の症状または臨床的指標が減った場合に、通常「有効」である。あるいは治療は、病気、障害、または医学的症状の進行が弱まるか停止した場合に「有効」である。すなわち、「治療」には単なる症状もしくは指標の改善のみならず、治療しない場合に見込まれる症状の進行もしくは悪化を停止することまたは少なくとも鈍化させることも含まれる。同様に、「治療」は、治療が最終的には不成功だったとしても、有益な結果を追求することもしくは得ること、または個々の症状の発症の機会を減らすこと意味する場合がある。治療を必要とするものには、既に症状を有しているもののみならず、症状を有し易いものまたは症状を予防すべきものも含まれる。
「有益な結果」または「望ましい結果」には、病気の症状の重症度の低減または軽減、病気の症状の悪化の予防、病気の症状の治癒、病気の症状の発症の予防、患者の病気発症の機会の低減、罹患率及び死亡率の低減、並びに患者の寿命または余命の延長が含まれていてもよいが、これらに限定されない。非限定的な例としては、「有益な結果」または「望ましい結果」は、1つまたは複数の症状の軽減、欠乏の程度の縮減、がんまたは腫瘍の安定化(すなわち悪化しない)状態、がんまたは腫瘍の遅延または鈍化、及びがんまたは腫瘍に関連する症状の改善または緩和であってもよい。
本明細書において、「症状」または「病気の症状」には、任意の形態の悪性腫瘍細胞増殖性の障害または病気が含まれていてもよいが、これらに限定されない。そのような障害の例としてはがん及び腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、「がん」または「腫瘍」とは、悪性であるか良性であるかに関わらず、身体の器官及び系の正常な機能を妨げる細胞の無制御な増殖、及び/または、全ての腫瘍性の細胞の成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織のことをいう。がんまたは腫瘍を有する対象は、対象の体内に存在する客観的に評価可能ながん細胞を有する対象である。この定義には、良性及び悪性のがんだけでなく、休眠腫瘍または微小転移も含まれる。元の位置から移動し、重要な器官に種をまくがんは、最終的には、影響を受けた器官の機能的な劣化による対象の死をもたらし得る。本明細書において、「浸潤性」とは、周辺組織に入り込んでこれを破壊する能力のことをいう。メラノーマは浸潤型の皮膚腫瘍である。本明細書において、用語「上皮性悪性腫瘍」とは、上皮細胞から生じたがんのことをいう。
がんの例としては、これらに限定するものではないが、神経系腫瘍、脳腫瘍、神経鞘腫瘍、乳がん、結腸がん、上皮性悪性腫瘍、肺がん、肝細胞がん、胃がん、膵がん、子宮頚がん、卵巣がん、肝臓がん、膀胱がん、尿路がん、甲状腺がん、腎がん、腎細胞がん、上皮性悪性腫瘍、メラノーマ、頭頸部がん、脳がん、及び前立腺がん(アンドロゲン依存性前立腺がん及びアンドロゲン非依存性前立腺がんを含むが、これらに限定されない)が挙げられる。脳腫瘍の例としては、これらに限定するものではないが、良性脳腫瘍、悪性脳腫瘍、原発性脳腫瘍、二次性脳腫瘍、転移性脳腫瘍、グリオーマ、多形性膠芽腫(GBM)、髄芽腫、上衣腫、星細胞種、毛様細胞性星細胞種、乏突起膠腫、脳幹グリオーマ、視神経膠腫、乏突起星細胞種等の混在グリオーマ、低悪性度グリオーマ、高悪性度グリオーマ、テント上グリオーマ、テント下グリオーマ、橋グリオーマ、髄膜腫、下垂体線腫、及び神経鞘腫瘍が挙げられる。神経系腫瘍または神経系新生物とは、神経系に影響を及ぼす任意の腫瘍のことをいう。神経系腫瘍は、中枢神経系(CNS)中、末梢神経系(PNS)中、またはCNS及びPNSの両方の中の腫瘍であってもよい。神経系腫瘍の例としては、脳腫瘍、神経鞘腫瘍、及び視神経膠腫が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、用語「投与」とは、ある方法または経路によって、対象の中に本明細書に開示の薬剤を配置し、それによって薬剤が望ましい部位に少なくとも部分的に局在化することをいう。"投与の経路"は、エアゾール、経鼻、経口、経粘膜、経皮、非経口、経腸、局所または部分などの(ただしこれらに限定されない)、当該技術分野で公知の任意の投与経路を指す場合がある。「非経口」とは、一般的には眼窩内、点滴、動脈内、関節包内、心臓内、皮下、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む、注射に関連した投与の経路のことをいう。非経口経路を通る組成物は、点滴用もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の形態であってもよく、または凍結乾燥された粉末であってもよい。腸を経由する医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、エマルション、ミクロスフェアもしくはナノスフェア、または放出制御が可能な脂質ベシクルもしくはポリマーベシクルの形態であってもよい。局所経路による医薬組成物は、エアゾール、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、懸濁液、溶液、またはエマルションの形態であってもよい。本明細書において、「投与」は自己投与であってもよい。例えば、これは本明細書に記載の組成物を対象が消費する場合「投与」とみなされる。
本明細書において、用語「試料」または「生物学的試料」とは、例えば対象からの腫瘍試料などの、生物学的な有機体から取り出したあるいは単離した試料のことをいう。典型的な生物学的試料としては、体液試料、血清、血漿、尿、唾液、腫瘍試料、腫瘍生検標本及び/または組織試料等が挙げられるが、これらに限定されない。この用語には、上述した試料の混合物も含まれる。用語「試料」には、未治療のまたは前治療された(もしくは前処理された)生物学的試料も含まれる。いくつかの実施形態では、試料には対象からの1種または複数種の細胞が含まれ得る。いくつかの実施形態では、試料はがん細胞試料であってもよく、例えば試料にはがん細胞、腫瘍からの細胞、及び/または腫瘍生検標本を含めることができる。
本明細書において、「対象」はヒトまたは動物を意味する。通常、動物は霊長類、齧歯類、飼育動物、または狩猟動物などの脊椎動物である。霊長類としては、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、及び、例えばアカゲザルなどのマカクが挙げられる。齧歯類としては、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、及びハムスターが挙げられる。飼育動物および狩猟動物としては、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、バイソン、バッファロー、例えばイエネコなどのネコ科の種、及び、例えばイヌやキツネやオオカミなどのイヌ科の種が挙げられる。用語「患者」、「個体」、及び「対象」は、本明細書では互換的に使用される。ある実施形態では、対象は哺乳類である。哺乳類はヒト、ヒトではない霊長類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、またはウシであってもよいが、これらの例に限定されない。更に、本明細書に記載の方法は、飼育動物及び/またはペットの治療のために使用することができる。
本明細書において、「哺乳類」とは、ヒト、並びにチンパンジー及び他の類人猿及びサル種などのヒトではない霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヒツジ、及びウマなどの家畜;イヌ及びネコなどの飼育哺乳類;マウス、ラットおよびモルモットなどの齧歯類を含む実験動物;を含むがこれらに限定されない哺乳綱の任意のメンバーのことをいう。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。したがって、雌雄に関わらず、成体及び新生の対象だけでなく胎児もこの用語の範囲に含めることが意図されている。
対象は、治療が必要とされる症状(例えばがんまたは腫瘍)または症状に関連した1つまたは複数の合併症を患っているまたは有しているとして既に診断または認定されているものであってもよく、任意選択的には症状または症状に関連した1つまたは複数の合併症に対する治療を既に受けているものであってもよい。あるいは、対象は、症状または症状に関連した1つまたは複数の合併症を有しているとそれまでに診断されていないものであってもよい。例えば、対象は症状または症状に関連した1つまたは複数の合併症についての1つまたは複数の危険因子を示すものであってもよいし、あるいは危険因子を示さない対象であってもよい。具体的な症状についての治療を「必要とする対象」は、症状を有することが疑われる対象、症状を有すると診断された対象、その症状について既に治療されたか治療を受けている対象、その症状について治療されていない対象、またはその症状の発症のリスクがある対象であってもよい。
用語「抗がん療法」とは、がんの治療に有用な療法のことをいう。抗がん療法剤の例としては、例えば外科手術、放射線療法、化学療法剤、増殖阻害剤、細胞毒性剤、放射線療法で使用される薬剤、血管新生阻害剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、並びに、がんを治療するための他の薬剤(抗HER−2抗体(例えばHerceptin(商標))、抗CD20抗体、上皮成長因子受容体(EGFR)拮抗薬(例えばチロシンキナーゼ阻害剤)、HER1/EGFR阻害剤(例えばエルロチニブ(Tarceva(商標))、血小板由来増殖因子阻害剤(例えばGleevec(商標)(イマチニブメシル酸塩))、COX−2阻害剤(例えばセレコキシブ)、インターフェロン、サイトカイン、次の標的すなわちErbB2、ErbB3、ErbB4、PDGFR−β、BlyS、APRIL、BCMA、またはVEGF受容体のうちの1つまたは複数と結合する拮抗薬(例えば中和抗体)、TRAIL/Apo2、及び他の生物活性な有機化学薬剤等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの組み合わせも本明細書に記載の実施形態に含まれる。
本明細書において、用語「細胞毒性剤」とは、細胞の機能を阻害もしくは抑制する、及び/または細胞の破壊を生じさせる物質のことをいう。この用語には、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位体)、化学療法剤、並びに、細菌、真菌、植物、または動物由来でありそれらの断片及び/または変異体を含む、小分子毒素または酵素活性毒素などの毒素が含まれることが意図されている。
本明細書において、「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化合物である。化学療法剤の例としては、チオテパ及びCYTOXAN(商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのスルホン酸アルキル;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、及びトリメチロールメラミンなどのエチレンイミン及びメチラメラミン;アセトゲニン(特にはブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(合成構造類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成構造類似体を含む);クリプトフィシン(特にはクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン;デュオカルマイシン(合成構造類似体、KW−2189及びCB1−TM1を含む);エレウテロビン;パンクラティスタチン;サルコディクチン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロルナファジン、コロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチンなどのニトロソウレア;エンジイン抗生物質などの抗生物質(例えばカリケアマイシン、特にはカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンωI1(例えばAgnew,Chem Intl.Ed.Engl.,33:183−186(1994)参照));ジネマイシン(ジネマイシンAを含む);クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラマイシン;並びに、ネオカルジノスタチン発色団および関連色素タンパク質エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、アウスラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(商標)、ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5−フルオロウラシル(5−FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フォリン酸などの葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサマイトシンなどのマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(商標)、多糖類複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2"−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にはT−2毒素、ベラクリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;例えばTAXOL(商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(商標)クレモフォールフリーの、パクリタキセルのアルブミンを操作したナノ粒子製剤、(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Ill.)、及びTAXOTERE(商標)ドキセタキセル、(Rhone−Poulenc Rorer,Antony,France)等のタキソイド;クロランブシル;GEMZAR(商標)ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン、オキサリプラチン及びカルボプラチンなどの白金類似体;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;イリノテカン(Camptosar,CPT−11)(5−FU及びロイコボリンを併用したイリノテカンによる治療計画を含む);トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;カペシタビン;コンブレタスタチン;ロイコボリン(LV);オキサリプラチン(オキサリプラチン治療計画(FOLFOX)を含む);ラパチニブ(Tykerb(商標));細胞の増殖を抑える、PKC−α、Raf、H−Ras、EGFR(例えばエルロチニブ(Tarceva(商標)))、及びVEGF−Aの阻害剤;並びに、上述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
この定義には、抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)などの腫瘍に対するホルモンの働きを調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤(例えばタモキシフェン(NOLVADEX(商標)タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTONトレミフェンなど);副腎でのエストロゲンの生成を調節する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬(例えば4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(商標)エキセメスタン、ホルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(商標)ボロゾール、FEMARA(商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(商標)アナストロゾール等);抗アンドロゲン(フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロリド、及びゴセレリン);並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、特には例えばPKC-α、Ralf、H-Rasなどの異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの;VEGF発現阻害剤(例えばANGIOZYME(商標)リボザイム)及びHER2発現阻害剤などのリボザイム;遺伝子治療ワクチンなどのワクチン(例えばALLOVECTIN(商標)ワクチン、LEUVECTIN(商標)ワクチン、及びVAXID(商標)ワクチン);PROLEUKIN(商標)rIL−2;LURTOTECAN(商標)トポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(商標)rmRH;並びに、上述のいずれかの薬学的に許容可能な塩、酸、または誘導体も含まれる。
いくつかの実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシン、アリトレチノイン、All−transレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ベバシズマブ、ベキサトテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、セツキシマブ、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エトポシド、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イピリムマブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オクレリズマブ、オファツムマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツマブ、ペメトレキセド、リツキシマブ、タフルポシド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ロミデプシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、6−メルカプトプリン(6−MP)、クラドリビン、クロファラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ペントスタチン、マイトマイシン、イキサベピロン、エストラムスチン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、またはこれらの組み合わせ、からなる群から選択される。
用語「サイトカイン」は、細胞内伝達物質としてある細胞集団によって放出される、別の細胞に対して作用するタンパク質についての総称である。そのようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および従来のポリペプチドホルモンである。サイトカインの中には、成長ホルモン(ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモンなど);副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラキシン;プロリラキシン;糖タンパク質ホルモン(例えば、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH));上皮成長因子;肝細胞増殖因子;線維芽細胞増殖因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;ミューラー阻害物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子(NGF−αなど);血小板増殖因子;トランスフォーミング増殖因子(TGF)(TGF−α及びTGF−βなど);インスリン様増殖因子−I及び−II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン(インターフェロン−α、−β、及び−γなど);コロニー刺激因子(CSF)(マクロファージCSF(M−CSF)など);顆粒球マクロファージ−CSF(GM−CSF);及び顆粒球CSF(G−CSF);インターロイキン(IL)(IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12など);腫瘍壊死因子(TNF−αまたはTNF−β);並びに他のポリペプチド因子(LIF及びキットリガンド(KL)を含む)が含まれる。本明細書において、用語サイトカインには、天然物由来のタンパク質、または組換え培養細胞由来のタンパク質、及び天然配列サイトカインの生物学的に活性な等価体が含まれる。
本明細書で用いられる際の「増殖阻害剤」は、生体外及び/または生体内で細胞の増殖を阻害する化合物または組成物を指す。したがって、増殖阻害剤は、S期に細胞の割合を大幅に減少させるものであってもよい。増殖阻害剤の例としては、G1期停止及びM期停止を誘発する薬剤などの、細胞周期の進行を(S期以外の位置で)遮断する薬剤が挙げられる。従来のM期遮断薬としては、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、TAXOL(商標)、及びトポII阻害剤(ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシン)が挙げられる。G1停止させるこれらの薬剤は、S期停止にも及び、例えばDNAアルキル化剤(タモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、及びアラ-Cなど)である。更なる情報は、Murakamiらの、The Molecular Basis of Cancer,Mendelsohn and Israel,eds.(WB Saunders:Philadelphia,1995)の、「Cell cycle regulation,oncogene, and antineoplastic drugs」というタイトルの第一章中で、特には13ページ中で見ることができる。
「放射線療法」は、細胞の正常に機能する能力を制限する目的で、または細胞を完全に破壊する目的で、細胞に十分な損傷を生じさせるために指向性ガンマ線またはベータ線を使用することを意味する。治療の放射線量及び期間を決定するための、当該技術分野で公知の数多くの方法が存在することが理解されるであろう。典型的な治療は1回の実施として行われ、典型的な放射線量は1日当たり10〜200単位(グレイ)の範囲である。
用語「統計学的に有意な」または「有意に」とは、差があることの統計学的な証拠のことをいう。これは、帰無仮説が実際に正しい場合に帰無仮説を棄却する決定を行う確率として定義される。この決定は、多くの場合p値を用いて行われる。
用語「機能的」が、「等価体」、「類似体」、「誘導体」または「変異体」または「断片」という言葉と併せて使用される場合、これは、それらの等価体、類似体、誘導体、変異体、または断片である存在または分子の生物学的活性と実質的に同じ生物学的活性を有する存在または分子のことをいう。
本明細書において、「脂肪族」とは、構成炭素原子の直鎖または分岐鎖配置によって特徴づけられる部位のことを意味し、飽和であってもよいし、1つまたは複数の(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多い)二重結合または三重結合を有する部分的な不飽和であってもよい。
本明細書において、「脂環式」とは、芳香族ではない環構造を含む部位を意味する。脂環式部位は、飽和であってもよいし、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する部分的な不飽和であってもよい。脂環式部位は、任意選択的には窒素や酸素や硫黄などのヘテロ原子も含んでいてもよい。窒素原子は任意選択的には四級化または酸化されていてもよく、硫黄原子は任意選択的には酸化されていてもよい。脂環式部位の例としては、シクロプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロへプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、及びシクロオクタジエンなどのC3〜C8環を有する部位が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において、用語「アルキル」は、炭素原子の鎖を有する、直鎖または分岐の飽和脂肪族基を意味する。Cxアルキル及びCx〜Cyアルキルが典型的には使用され、X及びYは鎖の中の炭素原子の数を示す。例えば、C1〜C6アルキルには1〜6個の炭素の鎖を有するアルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等)が含まれる。別の基と共に表されるアルキル(例えばアリールアルキルなど)は、示されている原子数を有する、直鎖もしくは分岐の飽和アルキルの二価の基を意味し、または原子が示されていない場合は結合を意味し、例えば(C6〜C10)アリール(C0〜C3)アルキルには、フェニル、ベンジル、フェネチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等が含まれる。アルキルの主鎖には、任意選択的にはN、O、またはSなどの1つまたは複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい。用語「アルキル」にはヘテロアルキルが含まれる。
好ましい実施形態では、直鎖または分岐鎖のアルキルは、その主鎖に30個以下の炭素原子(例えば直鎖についてはC1〜C30、分岐鎖についてはC3〜C30)を有し、より好ましくは20個以下である。同様に、好ましいシクロアルキルはその環構造の中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは環構造の中に5、6、または7個の炭素を有する。本明細書、実施例、及び請求項全体を通して使用される用語「アルキル」(または「低級アルキル」)は、「無置換アルキル」及び「置換アルキル」の両方を含むことが意図されており、後者は炭化水素主鎖の1つまたは複数の炭素の上の水素を置換する1つまたは複数の置換基を有するアルキル部位のことを指す。
炭素の数が別段規定されていない限り、本明細書において「低級アルキル」は上で定義したとおりであるが、1から10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子をその主鎖構造中に有するアルキル基を意味する。同様に、「低級アルケニル」及び「低級アルキニル」も同様な鎖の長さを有する。本出願全体を通じて、好ましいアルキル基は低級アルキルである。
好ましい実施形態では、アルキルとして本明細書で示されている置換基は低級アルキルである。
置換アルキルの置換基としては、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、チオール、アミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネート及びホスフィネートを含む)、スルホニル(硫酸塩、スルホンアミド、スルファモイル、及びスルホン酸を含む)、及びシリル基、並びにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、及びエステルを含む)、−CF3、−CN等を挙げることができる。
本明細書において、用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、不飽和の直鎖、分岐鎖、または環状の炭化水素基のことをいう。Cxアルケニル及びCx〜Cyアルケニルが典型的には使用され、X及びYは鎖の中の炭素原子の数を示す。例えば、C2〜C6アルケニルには、1〜6個の炭素の鎖と少なくとも1つの二重結合とを有するアルケニル(例えばビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−メチルアリル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル等)が含まれる。別の基と共に表されるアルケニル(例えばアリールアルケニルなど)は、示されている原子数を有する、直鎖または分岐のアルケニル二価の基を意味する。アルケニルの主鎖には、任意選択的にはN、O、またはSなどの1つまたは複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい。
本明細書において、用語「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、不飽和炭化水素基のことをいう。Cxアルキニル及びCx〜Cyアルキニルが典型的には使用され、X及びYは鎖の中の炭素原子の数を示す。例えば、C2〜C6アルキニルには、1〜6個の炭素の鎖と少なくとも1つの三重結合とを有するアルキニル(例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、イソペンチニル、1,3−ヘキサ−ジイン−イル、n−ヘキシニル、3−ペンチニル、1−ヘキセン−3−イニル等)が含まれる。別の基と共に表されるアルキニル(例えばアリールアルキニルなど)は、示されている原子数を有する、直鎖もしくは分岐のアルキニル二価の基を意味する。アルキニルの主鎖には、任意選択的にはN、O、またはSなどの1つまたは複数のヘテロ原子が挿入されていてもよい。
用語「アルキレン」、「アルケニレン」、及び「アルキニレン」とは、二価のアルキル、アルケリン、及びアルキニレン基のことをいう。接頭辞Cx及びCx〜Cyが典型的には使用され、X及びYは鎖の中の炭素原子の数を示す。例えば、C1〜C6アルキレンには、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、トリメチレン(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン(−CH2CH2CH2CH2−)、2−メチルテトラメチレン(−CH2CH(CH3)CH2CH2−)、ペンタメチレン(−CH2CH2CH2CH2CH2−)等)が含まれる。
本明細書において、用語「アルキリデン」は、一般式=CRaRbで表される、直鎖または分岐の不飽和脂肪族二価の基を意味する。Cxアルキリデン及びCx〜Cyアルキリデンが典型的には使用され、X及びYは鎖の中の炭素原子の数を示す。例えば、C2〜C6アルキリデンには、メチリデン(=CH2)、エチリデン(=CHCH3)、イソプロピリデン(=C(CH3)2)、プロピリデン(=CHCH2CH3)、アリリデン(=CH−CH=CH2)等)が含まれる。
本明細書において、用語「ヘテロアルキル」とは、少なくとも1つのヘテロ原子を含む、直鎖もしくは分岐鎖の、または環状の炭素含有基またはこれらの組み合わせのことをいう。適切なヘテロ原子としては、これらに限定するものではないが、O、N、Si、P、Se、B、及びSが挙げられ、このうちのリン原子及び硫黄原子は任意選択的には酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的には四級化されていてもよい。ヘテロアルキルは、アルキル基について上で定義したように置換されていてもよい。
本明細書において、用語「ハロゲン」または「ハロ」とは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される原子のことをいう。用語「ハロゲン放射性同位体」または「ハロ同位体」とは、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から選択される原子の放射性核種のことをいう。
単独の基またはより大きな基の部分としての、「ハロゲン置換された部位」または「ハロ置換された部位」は、1つまたは複数の「ハロ」原子(この用語は本出願で定義の通りである)によって置換されている、本明細書に記載されているような脂肪族、脂環式、または芳香族の部位を意味する。例えば、ハロ置換アルキルにはハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、パーハロアルキル等が含まれる(例えばハロ置換(C1〜C3)アルキルにはクロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル(−CF3)、2,2,2−トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエチル等が含まれる)。
用語「アリール」とは、単環式、二環式、または三環式の縮合芳香族環系のことをいう。Cxアリール及びCx〜Cyアリールが典型的には使用され、X及びYは環系の中の炭素原子の数を示す。典型的なアリール基としては、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3 b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル及びキサンテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、各環の1つ、2つ、3つ、または4つの水素原子が置換基によって置換されていてもよい。
用語「ヘテロアリール」とは、芳香族5〜8員の単環系、8〜12員の縮合二環系、または11〜14員の縮合三環系であって、単環系の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環系の場合には1〜6個のヘテロ原子、三環系の場合には1〜9個のヘテロ原子を有し、前記ヘテロ原子がO、N、またはSから選択されるもののことをいう(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式それぞれの場合に1〜3個、1〜6個、または1〜9個のN、O、またはSであるヘテロ原子)。Cxヘテロアリール及びCx〜Cyヘテロアリールが典型的には使用され、X及びYは環系の中の炭素原子の数を示す。ヘテロアリール基としては、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5−c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3−c]ピリジン、チエノ[3,2−b]ピリジン、チエノ[2,3−b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、イミダゾ[1,2−a]ピリミジン、イミダゾ[1,2−c]ピリミジン、イミダゾ[1,5−a]ピリミジン、イミダゾ[1,5−c]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピリジン、ピロロ[2,3−cjピリジン、ピロロ[3,2−c]ピリジン、ピロロ[3,2−b]ピリジン、ピロロ[2,3−d]ピリミジン、ピロロ[3,2−d]ピリミジン、ピロロ[2,3−b]ピラジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピロロ[1,2−b]ピリダジン、ピロロ[1,2−c]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピリミジン、ピロロ[1,2−a]ピラジン、トリアゾ[1,5−a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2−ジヒドロピロロ[3,2,1−hi]インドール、インドリジン、ピリド[1,2−a]インドール、2(1H)−ピリジノン、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキセパニル、オキセタニル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル及びキサンテニル等から誘導されるものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの典型的なヘテロアリール基としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、ピリダジニル、ピラジニル、キノリニル、インドリル、チアゾリル、ナフチリジニル、2−アミノ−4−オキソ−3,4−ジヒドロプテリジン−6−イル、テトラヒドロイソキノリニル等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、各環の1つ、2つ、3つ、または4つの水素原子が置換基によって置換されていてもよい。
用語「シクリル」または「シクロアルキル」とは、3〜12個の炭素原子(例えば3〜8個の炭素原子、及び例えば3〜6個の炭素原子)を有する、飽和及び部分的不飽和の環状炭化水素基のことをいう。Cxシクリル及びCx〜Cyシクリルが典型的には使用され、X及びYは環系の中の炭素原子の数を示す。シクロアルキル基は更に、任意選択的には例えば1個、2個、3個、または4個の置換基などで置換されていてもよい。C3〜C10シクリルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン−1−イル、デカヒドロナフチル、オキソシクロヘキシル、ジオキソシクロヘキシル、チオシクロヘキシル、2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イル等が含まれる。
アリール及びヘテロアリールは、任意選択的には1つまたは複数の位置で1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよく、例えばハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族もしくはヘテロ芳香族部位、−CF3、−CN等である。
用語「ヘテロシクリル」とは、芳香族ではない5〜8員の単環系、8〜12員の二環系、または11〜14員の三環系であって、単環系の場合には1〜3個のヘテロ原子、二環系の場合には1〜6個のヘテロ原子、三環系の場合には1〜9個のヘテロ原子を有し、前記ヘテロ原子がO、N、またはSから選択されるもののことをいう(例えば、炭素原子と、単環式、二環式、または三環式それぞれの場合に1〜3個、1〜6個、または1〜9個のN、O、またはSであるヘテロ原子)。Cxヘテロシクリル及びCx〜Cyヘテロシクリルが典型的には使用され、X及びYは環系の中の炭素原子の数を示す。いくつかの実施形態では、各環の1個、2個、または3個の水素原子は置換基によって置換されていてもよい。典型的なヘテロシクリル基としては、ピペラジニル、ピロリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、ピペリジル、4−モルホリル、4−ピペラジニル、ピロリジニル、パーヒドロピロリジニル、1,4−ジアザパーヒドロエピニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
用語「二環」及び「三環」とは、縮合した、架橋した、または単結合によって連結された、多環集合体のことをいう。
用語「シクリルアルキレン」は、二価のアリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリルを意味する。
本明細書において、用語「縮合環」とは、別の環と結合して、両方の環に共通な環原子が互いに直接結合している二環構造を有する化合物を形成している環のことをいう。一般的な縮合環の非排他的な例としては、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン、キノリン等が挙げられる。縮合環系を有する化合物は、飽和、部分的な飽和、シクリル、ヘテロシクリル、芳香族、ヘテロ芳香族等であってもよい。
本明細書において、用語「カルボニル」は、基−C(O)−を意味する。なお、カルボニル基は、様々な置換基で更に置換されることで、酸、酸ハライド、アミド、エステル、ケトン等の様々なカルボニル基を形成することができる。
用語「カルボキシ」は、基−C(O)O−を意味する。なお、カルボキシ部位を含む本明細書に記載の化合物には、その保護された誘導体、すなわち酸素が保護基で置換された誘導体も含まれ得る。カルボキシ部位のための好適な保護基としては、ベンジル、tert−ブチル等が挙げられる。用語「カルボキシル」は−COOHを意味する。
用語「シアノ」は、基−CNを意味する。
用語「ヘテロ原子」とは、炭素原子ではない原子のことをいう。ヘテロ原子の具体的な例としては、窒素、酸素、硫黄、及びハロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロ原子部位」には、部位を連結している原子が炭素ではない部位が含まれる。ヘテロ原子部位の例としては、−N=、−NRN−、−N+(O−)=、−O−、−S−または−S(O)2−、−OS(O)2−、及び−SS−が挙げられ、RNはHまたは別の置換基である。
用語「ヒドロキシ」は、基−OHを意味する。
用語「イミン誘導体」は、部位−C(NR)−を有する誘導体を意味し、Rは水素原子、または窒素のα位の炭素原子を含む。
用語「ニトロ」は、基−NO2を意味する。
「オキサ脂肪族」「オキサ脂環式」または「オキサ芳香族」は、それぞれ脂肪族、脂環式、または芳香族の炭素原子同士の間に1つまたは複数の酸素原子(−O−)が位置していることを除いては本明細書で定義されるような脂肪族、脂環式、または芳香族を意味する。
「オキソ脂肪族」「オキソ脂環式」または「オキソ芳香族」は、カルボニル基で置換された、本明細書で定義された脂肪族、脂環式、または芳香族を意味する。カルボニル基は、アルデヒド、ケトン、エステル、アミド、酸、または酸ハライドであってもよい。
本明細書において、用語「芳香族」は、構成原子が不飽和環系を形成し、環系の中の全ての原子がsp2混成であり、π電子の総数が4n+2に等しい部位を意味する。芳香環は、環の原子が炭素原子のみのものであってもよいし(例えばアリール)、炭素と炭素ではない原子とを含んでいてもよい(例えばヘテロアリール)。
本明細書において、用語「置換された」は、以下に「置換基」の定義の中で列挙される置換基の群から独立に選択される置換基または別途規定された置換基での、置換部位における1つまたは複数(典型的には1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ)の水素原子の独立した置き換えのことをいう。通常、水素ではない置換基は、置換されることが特定されている所定の部位の原子と結合可能な任意の置換基とすることができる。置換基の例としては、これらに限定するものではないが、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、脂環式、脂肪族、アルカンスルホンアミド、アルカンスルホニル、アルカリル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルアミノ、アルキルカルバノイル、アルキレン、アルキリデン、アルキルチオ、アルキニル、アミド、アミド、アミノ、アミノ、アミノアルキル、アラルキル、アラルキルスルホンアミド、アレーンスルホンアミド、アレーンスルホニル、芳香族、アリール、アリールアミノ、アリールカルバノイル、アリールオキシ、アジド、カルバモイル、カルボニル、カルボニル類(ケトン、カルボキシ、カルボキシレートを含む、CF3、シアノ(CN)、シクロアルキル、シクロアルキレン、エステル、エーテル、ハロアルキル、ハロゲン、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、イミノ、イミノケトン、ケトン、メルカプト、ニトロ、オキサアルキル、オキソ、オキソアルキル、ホスホリル(ホスホネート、及びホスフィネートを含む)、シリル基、スルホンアミド、スルホニル(硫酸塩、スルファモイル、及びスルホン酸を含む)、チオール、及びウレイド部位が挙げられ、それぞれ任意選択的にまた置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。いくつかの場合においては、2つの置換基が、それらが結合している炭素と共に環を形成していてもよい。
本明細書において、用語「アルコキシル」または「アルコキシ」とは、これらに連結した酸素基を有する、上で定義したようなアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクリル、またはヘテロシクリル基のことをいう。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシ、n−プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ等が挙げられる。「エーテル」は、酸素によって共有結合的に連結された2つの炭化水素である。したがって、アルキルエーテルを与えるアルキルの置換基は、−O−アルキル、−O−アルケニル、−O−アルキニル、−O−シクリル、−O−ヘテロシクリル、−O−アリール、及び−O−ヘテロアリールのうちの1つによって表すことができるようなアルコキシルであるか、これらと類似している。用語「アルコキシル」または「アルコキシ」には、アロキシ及びアリールオキシが含まれる。アロキシは−O−アリールまたはO−ヘテロアリールで表すことができ、アリール及びヘテロアリールは以下で定義する通りである。アルコキシ基及びアロキシ基は、アルキル基について上述したように置換されていてもよい。
本明細書において、用語「アラルキル」とは、アリール基(例えば芳香族基またはヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基のことをいう。
用語「アルキルチオ」とは、それに結合した硫黄基を有する、上で定義したようなアルキル基のことをいう。好ましい実施形態においては、「アルキルチオ」部位は、−S−アルキル、−S−アルケニル、及び−S−アルキニルのうちの1つによって表される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。用語「アルキルチオ」には、シクロアルキル基、アルケン及びシクロアルケン基、及びアルキン基も包含される。用語「アルキルチオ」は、アリールチオも更に包含する。「アリールチオ」とは、アリールまたはヘテロアリール基のことをいう。
用語「スルフィニル」は、基−SO−を意味する。なお、スルフィニル基は、様々な置換基で更に置換されて異なるスルフィニル基(スルフィン酸、スルフィンアミド、スルフィニルエステル、スルホキシド等を含む)を形成してもよい。
用語「スルホニル」は、基−SO2−を意味する。なお、スルホニル基は、様々な置換基で更に置換されて異なるスルホニル基(スルホン酸(−SO3H)、スルホアミド、スルホン酸エステル、スルホン等を含む)を形成してもよい。
用語「チオカルボニル」は、基−C(S)−を意味する。なお、チオカルボニル基は、様々な置換基で更に置換されて異なるチオカルボニル基(チオ酸、チオアミド、チオエステル、チオケトン等を含む)を形成してもよい。
本明細書において、用語「アミノ」は−NH2を意味する。用語「アルキルアミノ」は、窒素と結合した少なくとも1つの、直鎖もしくは分岐の不飽和脂肪族、シクリル、またはヘテロシクリル基を有する窒素部位を意味する。例えば、代表的なアミノ基としては、−NH2、−NHCH3、−N(CH3)2、−NH(C1〜C10アルキル)、−N(C1〜C10アルキル)2等が挙げられる。用語「アルキルアミノ」には「アルケニルアミノ」、「アルキニルアミノ」、「シクリルアミノ」、及び「ヘテロシクリルアミノ」が含まれる。用語「アリールアミノ」は、窒素と結合した少なくとも1つのアリール基を有する窒素部位を意味する。例えば−NHアリール及び−N(アリール)2である。用語「ヘテロアリールアミノ」は、窒素と結合した少なくとも1つのヘテロアリール基を有する窒素部位を意味する。例えば−NHヘテロアリール及び−N(ヘテロアリール)2である。任意選択的には、2つの置換基が窒素と共に環を形成していてもよい。特段の指示がない限り、アミノ部位を有する本明細書に記載の化合物には、その保護された誘導体も含まれ得る。アミノ部位のための好適な保護基としては、アセチル、tertブトキシカルボニル、ベンゾイルオキシカルボニル等が挙げられる。
用語「アミノアルキル」は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルの炭素原子間に1つまたは複数の置換もしくは無置換の窒素原子(−N−)が位置していることを除いては上で定義した通りのアルキル、アルケニル、及びアルキニルを意味する。例えば、(C2〜C6)アミノアルキルとは、2〜6個の炭素と、炭素原子間に位置する1つまたは複数の窒素原子とを含む鎖のことをいう。
用語「アルコキシアルコキシ」は、−OCH2CH2OCH3等のような−O−(アルキル)−O−(アルキル)を意味する。
用語「アルコキシカルボニル」は、−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3等のような−C(O)O−(アルキル)を意味する。
用語「アルコキシアルキル」は、−CH2OCH3、−CH2OCH2CH3等のような−(アルキル)−O−(アルキル)を意味する。
用語「アリールオキシ」は、−O−フェニル、−O−ピリジニル等のような−O−(アリール)を意味する。
用語「アリールアルキル」は、ベンジル(すなわち−CH2フェニル)、−CH2−ピリジニル等のような−(アルキル)−(アリール)または−(アルキル)−(ヘテロアリール)を意味する。
用語「アリールアルキルオキシ」は、−O−ベンジル、−O−CH2−ピリジニル等のような−O−(アルキル)−(アリール)または−O−(アルキル)−(ヘテロアリール)を意味する。
用語「シクロアルキルオキシ」は、−O−シクロヘキシル等のような−O−(シクロアルキル)を意味する。
用語「シクロアルキルアルキルオキシ」は、−OCH2シクロヘキシル等のような−O−(アルキル)−(シクロアルキル)を意味する。
用語「アミノアルコキシ」は、−OCH2NH2、−OCH2CH2NH2等のような−O−(アルキル)−NH2を意味する。
用語「モノ−またはジ−アルキルアミノ」は、それぞれ−NHCH3、−N(CH3)2等のような−NH(アルキル)または−N(アルキル)(アルキル)を意味する。
用語「モノ−またはジ−アルキルアミノアルコキシ」は、それぞれ−OCH2NHCH3、−OCH2CH2N(CH3)2等のような−O−(アルキル)−NH(アルキル)または−O−(アルキル)−N(アルキル)(アルキル)を意味する。
用語「アリールアミノ」は、−NH−フェニル、−NH−ピリジニル等のような−NH(アリール)を意味する。
用語「アリールアルキルアミノ」は、−NH−ベンジル、−NHCH2−ピリジニル等のような−NH−(アルキル)−(アリール)を意味する。
用語「アルキルアミノ」は、−NHCH3、−NHCH2CH3等のような−NH(アルキル)を意味する。
用語「シクロアルキルアミノ」は、−NH−シクロヘキシル等のような−NH−(シクロアルキル)を意味する。
用語「シクロアルキルアルキルアミノ」は、−NHCH2−シクロヘキシル等のような−NH−(アルキル)−(シクロアルキル)を意味する。
本明細書で与えられる全ての定義に関し、定義は、特定されているもの以外の追加的な置換基が含まれていてもよいという意味において非制限的であるとして解釈されるべきことに留意すべきである。故に、C1アルキルは1つの炭素原子が存在することを示しているものの、炭素原子上の置換基が何であるかを示していない。したがって、C1アルキルにはメチル(すなわち−CH3)だけでなく、−CRaRbRc(Ra、Rb、及びRcはそれぞれ独立して、水素、または炭素のα位の原子がヘテロ原子もしくシアノである任意の他の置換基であってもよい)も含まれる。したがって、CF3、CH2OH、及びCH2CNは全てC1アルキルである。
本明細書において、用語「誘導体」とは、別の物質、すなわち「原」物質(「親」化合物と呼ばれる場合がある)と構造的に関係のある化学物質のことをいう。「誘導体」は、構造的に関係のある親化合物から1つまたは複数の工程で作ることができる。いくつかの実施形態では、誘導体の全体的な物理的特性及び化学的特性は、親化合物と同じ場合があり、また異なる場合もある。
特段の記載がない限り、本明細書に描かれている構造には、1つまたは複数の、同位体が濃縮された原子が存在する点のみが異なる化合物が含まれることが意図されている。例えば、水素原子が、重水素もしくはトリチウムで置換された以外は、または炭素原子が、13C−もしくは14C−が濃縮した炭素で置換された以外は、本明細書の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
本明細書において、「薬学的に許容可能な塩」は、その塩の形態で用いられる本明細書に記載のあらゆる化合物を包含することが意図されており、特には化合物の遊離形態もしくは化合物の別の塩の形態と比較して、塩が化合物に対して向上した薬物動態特性を与える場合が意図されている。薬学的に許容可能な塩形態は、その前に有していなかった望ましい薬物動態特性を最初に与えることもでき、また体内でのその治療活性に関して、化合物の薬力学に肯定的な影響を更に与える場合もある。好ましい影響が与えられ得る薬物動態特性の例は、化合物が細胞膜を越えて輸送されることであり、これはひいては化合物の吸収、分布、生体内変換、及び排出に直接的かつ肯定的に影響を与え得る。医薬組成物の投与経路は重要であり、また様々な解剖学的、生理学的、及び病理学的要因がバイオアベイラビリティに大きな影響を与え得るものの、化合物の溶解性は通常は使用されるその具体的な塩の形態の特性に依存する。当業者であれば、脂質溶液及び懸濁液並びに固体の投薬形態が化合物を迅速に吸収させることについて劣る一方で、化合物の水溶液が治療すべき対象の体内に最も迅速に化合物を吸収させることを理解するであろう。
薬学的に許容可能な塩には、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等のような無機酸から誘導されたもの;及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イソチオン酸等のような有機酸から合成された塩が含まれる。例えばBerge et al.,"Pharmaceutical Salts",J.Pharm.Sci.66:1−19(1977)を参照のこと。この内容全体は参照により本明細書に包含される。典型的な塩には、臭化水素塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、及びラウリルスルホン酸塩等も含まれる。本開示の化合物と塩を形成することが可能な好適な酸には、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸、リン酸等のような無機酸、及び1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、3−フェニルプロピオン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−l−カルボン酸、4,4'−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−l−カルボン酸)、酢酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファーファースルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、ナフタレンスルホン酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、tert−ブチル酢酸、トリフルオロ酢酸、トリメチル酢酸等のような有機酸が含まれる。本開示の化合物と塩を形成することが可能な好適な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等のような無機塩基;並びにモノ−、ジ−、及びトリ−のアルキル及びアリールアミン類(例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、N−メチルグルカミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミンなど)、及び任意選択的に置換されていてもよいエタノールアミン類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)等のような有機塩基が含まれる。
いくつかの実施形態では本明細書に記載の化合物はプロドラッグの形態であってもよい。本明細書において、用語「プロドラッグ」とは、いくつかの化学的または生理学的なプロセス(例えば酵素的プロセス及び代謝的加水分解)によって本明細書に記載の化合物へと変換され得る化合物のことをいう。したがって、用語「プロドラッグ」は、薬学的に許容可能な、生物学的に活性な化合物の前駆体のことも指す。プロドラッグは、対象に投与される際には不活性、すなわちエステルであってもよいが、例えば遊離カルボン酸もしくは遊離水酸基への加水分解などによって、活性化合物へと生体内で変換される。プロドラッグ化合物は、多くの場合、生物の中での溶解性、組織適合性、または遅延放出についての利点を有する。用語「プロドラッグ」は、そのようなプロドラッグを対象に投与した際に生体内で活性化合物を放出する、共有結合している任意の担体も含むことが意図されている。本明細書に記載の活性化合物のプロドラッグは、ルーチン処理または生体内のいずれかで修飾が切断されて親活性化合物になるような方法で、活性化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製することができる。プロドラッグには、ヒドロキシ基、アミノ基、またはメルカプト基が任意の基と結合している化合物であって、活性化合物のプロドラッグを対象に投与した際に、この基が切断されてそれぞれ遊離ヒドロキシ基、遊離アミノ基、または遊離メルカプト基を形成する化合物が含まれる。例えば、ヒドロキシ基を有する化合物は、生体内での加水分解によってヒドロキシ化合物へと変換されるエステルとして投与することができる。生体内でヒドロキシ化合物へと変換され得る好適なエステルとしては、酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、ギ酸エステル、安息香酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチジン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ−p−トルオイル酒石酸エステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル、キナ酸エステル、アミノ酸のエステル等が挙げられる。同様に、アミン基を含む化合物は、生体内で加水分解によってアミン化合物へと変換されるアミド(例えばアセトアミド、ホルムアミド、及びベンズアミド)として投与することができる。Harper,"Drug Latentiation" in Jucker,ed.Progress in Drug Research 4:221−294(1962);Morozowich et al,"Application of Physical Organic Principles to Prodrug Design"in E.B. Roche ed. Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,APHA Acad.Pharm.Sci.40(1977);Bioreversible Carriers in Drug in Drug Design,Theory and Application,E.B.Roche,ed.,APHA Acad.Pharm.Sci.(1987);Design of Prodrugs,H. Bundgaard,Elsevier(1985);Wang et al."Prodrug approaches to the improved delivery of peptide drug" in Curr.Pharm.Design.5(4):265−287(1999);Pauletti et al.(1997)Improvement in peptide bioavailability:Peptidomimetics and Prodrug Strategies,Adv.Drug.Delivery Rev.27:235−256;Mizen et al.(1998)"The Use of Esters as Prodrugs for Oral Delivery of(3−Lactam antibiotics,"Pharm.Biotech.ll,:345−365;Gaignault et al.(1996)"Designing Prodrugs and Bioprecursors I.Carrier Prodrugs,"Pract.Med.Chem.671−696;Asgharnejad,"Improving Oral Drug Transport",in Transport Processes in Pharmaceutical Systems,G.L.Amidon,P.I.Lee and E.M.Topp,Eds.,Marcell Dekker,p.185−218(2000);Balant et al.,"Prodrugs for the improvement of drug absorption via different routes of administration",Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.,15(2):143−53(1990);Balimane and Sinko,"Involvement of multiple transporters in the oral absorption of nucleoside analogues",Adv.Drug Delivery Rev.,39(1−3):183−209(1999);Browne,"Fosphenytoin (Cerebyx)",Clin.Neuropharmacol.20(1):1−12(1997);Bundgaard,"Bioreversible derivatization of drugs-principle and applicability to improve the therapeutic effects of drugs",Arch.Pharm.Chemi 86(1):1−39(1979);Bundgaard H."Improved drug delivery by the prodrug approach",Controlled Drug Delivery 17:179−96(1987);Bundgaard H."Prodrugs as a means to improve the delivery of peptide drugs",Arfv. Drug Delivery Rev.8(1):1−38(1992);Fleisher et al."Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs",Arfv.Drug Delivery Rev.19(2):115−130(1996);Fleisher et al."Design of prodrugs for improved gastrointestinal absorption by intestinal enzyme targeting",Methods Enzymol.112(Drug Enzyme Targeting,Pt.A):360−81,(1985);Farquhar D,et al.,"Biologically Reversible Phosphate−Protective Groups",Pharm.Sci.,72(3):324−325(1983);Freeman S,et al.,"Bioreversible Protection for the Phospho Group:Chemical Stability and Bioactivation of Di(4−acetoxy−benzyl)Methylphosphonate with Carboxyesterase,"Chem.Soc.,Chem.Commun.,875−877(1991);Friis and Bundgaard,"Prodrugs of phosphates and phosphonates:Novel lipophilic alphaacyloxyalkyl ester derivatives of phosphate− or phosphonate containing drugs masking the negative charges of these groups",Eur.J.Pharm.Sci.4:49−59(1996);Gangwar et al.,"Pro−drug,molecular structure and percutaneous delivery",Des.Biopharm.Prop.Prodrugs Analogs,[Symp.]Meeting Date 1976,409−21.(1977);Nathwani and Wood,"Penicillins:a current review of their clinical pharmacology and therapeutic use",Drugs 45(6):866−94(1993);Sinhababu and Thakker,"Prodrugs of anticancer agents",Adv.Drug Delivery Rev.19(2):241−273(1996);Stella et al.,"Prodrugs.Do they have advantages in clinical practice?",Drugs 29(5):455−73(1985);Tan et al."Development and optimization of anti−HIV nucleoside analogs and prodrugs:A review of their cellular pharmacology,structure−activity relationships and pharmacokinetics",Adv.Drug Delivery Rev.39(1−3):117−151(1999);Taylor,"Improved passive oral drug delivery via prodrugs",Adv.Drug Delivery Rev.,19(2):131−148(1996);Valentino and Borchardt,"Prodrug strategies to enhance the intestinal absorption of peptides",Drug Discovery Today 2(4):148−155(1997);Wiebe and Knaus,"Concepts for the design of anti−HIV nucleoside prodrugs for treating cephalic HIV infection",Adv. Drug Delivery Rev.:39(l−3):63−80(1999);Waller et al.,"Prodrugs",Br.J.Clin.Pharmac.28:497−507(1989)を参照されたい。これら全ての内容全体は、参照により本明細書に包含される。
用語「保護された誘導体」は、本明細書に記載の化合物の、反応部位が保護基でブロックされた誘導体を意味する。保護された誘導体は化合物の合成に有用であり、またそれ自体が活性な場合がある。好適な保護基の包括的なリストは、T.W.Greene,Protecting Groups in Organic Synthesis,3rd edition,John Wiley&Sons,Inc.1999中で見ることができる。
「異性体」は、同じ分子式を有するが、その性質、またはそれらの原子の結合の配列、またはそれらの原子の空間配置が異なる任意の化合物を意味する。原子の空間配置が異なる異性体は「立体異性体」と呼ばれる。互いの鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と呼ばれており、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」と呼ばれる(または「光学異性体」と呼ばれる場合もある)。4つの同一ではない置換基と結合している炭素原子は「キラル中心」と呼ばれる。1つのキラル中心を有する化合物は、反対のキラリティーの2つのエナンチオマー形態を有する。2つのエナンチオマー形態の混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。1つより多いキラル中心を有する化合物は、2n−1個(nはキラル中心の数である)のエナンチオマー対を有する。1より多いキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして存在する場合もあるし、「ジアステレオマー混合物」と呼ばれるジアステレオマーの混合物として存在する場合もある。1つのキラル中心が存在する場合、立体異性体はキラル中心についての絶対配置によって特徴付けることができる。絶対配置とは、キラル中心に結合している置換基の空間配置のことをいう。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配置によって特徴付けられ、Cahn、Ingold、及びPrelogのR−とS−の順序付け規則によって表される。立体化学的な命名法、立体化学の決定方法、及び立体異性体の分離についての慣習は当該技術分野で周知である(例えば"Advanced Organic Chemistry",4th edition,March,Jerry,John Wiley&Sons,New York,1992参照)。
用語「エナンチオマー」は、互いに鏡像であり重ね合わせることができない分子異性体の対の1つを表すために使用される。エナンチオマーについて指すもしくは言及するために使用される他の用語には、「立体異性体」(キラル中心周りの異なる配置もしくは立体化学のため;全てのエナンチオマーが立体異性体であるが、全ての立体異性体がエナンチオマーである訳ではない)または「光学異性体」(純粋なエナンチオマーの光学活性のため、これは異なる純粋なエナンチオマーが平面偏光を異なる方向に回転させる能力である)が含まれる。エナンチオマーは、通常、同一の物理的特性(融点や沸点など)を有し、同一の分光学的特性も有する。エナンチオマーは、平面偏光との相互作用の点及び生物学的活性の点で互いに異なる場合がある。
記号「R」及び「S」は、分子のそのキラル中心についての絶対配置を示すために使用される。この記号は接頭辞として表示されても接尾辞として表示されてもよく、これらは異性体とハイフンで離されていてもいなくてもよく、これらはハイフンが付されていても付されていなくてもよく、またこれらは括弧で括られていてもいなくてもよい。
記号あるいは接頭辞「(+)」及び「(−)」は、化合物による平面偏光の回転の表示を指すために用いられ、(−)は化合物が左旋性(左回転)であることを意味する。頭に(+)が付いた化合物は、右旋性(右回転)である。
用語「ラセミ混合物」、「ラセミ化合物」、または「ラセミ体」とは、1つの化合物の2つのエナンチオマーの混合物のことをいう。理想的なラセミ混合物は、(+)エナンチオマーの旋光が(−)エナンチオマーの旋光を打ち消すような、化合物の両方のエナンチオマーの50:50混合物である。
ラセミ混合物に関して使用される場合の用語「分割する」または「分割」は、ラセミ体のその2つのエナンチオマー形態(すなわち(+)と(−);65(R)と(S)形態)への分割のことを指す。この用語は、ラセミ体の1つの異性体の、生成物へのエナンチオ選択的な変換のこともいう。
用語「鏡像体過剰率」または「ee」とは、1つのエナンチオマーが他方よりも過剰に生成した反応生成物のことをいい、(+)−と(−)−のエナンチオマーの混合物について定義され、組成は、モル分率または重量分率または体積分率F(+)及びF(−)(F(+)とF(−)の和は1である)として示される。鏡像体過剰率は*F(+)−F(−)*として定義され、パーセント鏡像体過剰率は100×*F(+)−F(−)*によって定義される。エナンチオマーの「純度」は、そのeeまたはパーセントee値(%ee)で表される。
「純化されたエナンチオマー」、「純粋なエナンチオマー」、「分割されたエナンチオマー」、「鏡像体過剰な化合物」、のいずれの表現であっても、これらの用語は、1つのエナンチオマーの量が他方の量より過剰であることを示すことが意図されている。したがって、エナンチオマーの調製に関して言及する際には、多い方のエナンチオマー(例えばモル基準、または重量基準、または体積基準)のパーセンテージと、多い方のエナンチオマーの鏡像体過剰率の両方(またはいずれか)が、その調製が、純化されたエナンチオマーの合成になっているかを決定するために使用される場合がある。
異性体の「鏡像異性純度」または「エナンチオマー純度」という用語は、純化されたエナンチオマーの質的または量的な尺度を指し、典型的には、この尺度はeeもしくは鏡像体過剰率に基づいて表される。
用語「実質的に純化されたエナンチオマー」、「実質的に分割されたエナンチオマー」、「実質的に純化されたエナンチオマーの調製物」は、1つのエナンチオマーが他方に対して多くされた調製物(例えば光学活性ではない出発材料、基質、または中間体から得られたもの)、より好ましくは、他方のエナンチオマーが、エナンチオマーもしくはエナンチオマー調製物のうちの20%未満、より好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満、更に好ましくは2%未満である調製物を表すことが意図されている。
用語「純化されたエナンチオマー」、「分割されたエナンチオマー」、「純化されたエナンチオマーの調製物」は、1つのエナンチオマー(例えばR−エナンチオマー)が他方に対して多くされた調製物(例えば光学活性ではない出発材料、基質、または中間体から得られたもの)、より好ましくは、他方のエナンチオマー(例えばS−エナンチオマー)が、調製物のうちの30%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満(例えばこの具体例では、R−エナンチオマーにはS−エナンチオマーが実質的に含まれない)、より好ましくは5%未満、更に好ましくは2%未満である調製物を表すことが意図されている。純化されたエナンチオマーは、他のエナンチオマーが実質的に含まれないように合成されてもよく、または純化されたエナンチオマーは立体選択的な手順の後に分離工程を行うことで合成してもよく、または純化されたエナンチオマーはラセミ混合物から得てもよい。
記号「E」によって表される、用語「エナンチオ選択率」(エナンチオ比とも呼ばれる)とは、ラセミ体基質から、生成物ラセミ混合物中の他方よりも一方のエナンチオマーを生成させる酵素の選択能力のことをいう。つまり、これはエナンチオマー間を識別する酵素の能力の尺度である。非選択的な反応のEは1である一方で、20より大きいEである分割は一般的に合成または分割に有用であると見なされる。エナンチオ選択率は対象のエナンチオマー間の変換速度の違いによるものである。反応生成物は一方のエナンチオマーの方が多いものが得られ、逆に、残存する基質は他のエナンチオマーの方が多くなる。実用上は、通常は一方のエナンチオマーが大過剰に得られることが望ましい。これは、一定の変換率で変換工程を停止することによって達成される。
本明細書において、用語「リンカー」は、化合物の2つの部分を連結する有機部位を意味する。リンカーには、典型的には直接結合;または酸素もしくは硫黄などの原子;NR4、C(O)、C(O)NH、C(O)O、NHC(O)O、OC(O)O、SO、SO2、SO2NHなどのユニット;または原子の鎖(置換もしくは無置換のアルキル、置換もしくは無置換のアルケニル、置換もしくは無置換のアルキニル、アリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、ヘテロシクリルアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルキルアリールアルキル、アルキルアリールアルケニル、アルキルアリールアルキニル、アルケニルアリールアルキル、アルケニルアリールアルケニル、アルケニルアリールアルキニル、アルキニルアリールアルキル、アルキニルアリールアルケニル、アルキニルアリールアルキニル、アルキルヘテロアリールアルキル、アルキルヘテロアリールアルケニル、アルキルヘテロアリールアルキニル、アルケニルヘテロアリールアルキル、アルケニルヘテロアリールアルケニル、アルケニルヘテロアリールアルキニル、アルキニルヘテロアリールアルキル、アルキニルヘテロアリールアルケニル、アルキニルヘテロアリールアルキニル、アルキルヘテロシクリルアルキル、アルキルヘテロシクリルアルケニル、アルキルヘテロシクリルアルキニル、アルケニルヘテロシクリルアルキル、アルケニルヘテロシクリルアルケニル、アルケニルヘテロシクリルアルキニル、アルキニルヘテロシクリルアルキル、アルキニルヘテロシクリルアルケニル、アルキニルヘテロシクリルアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリール、アルキルヘテロアリール、アルケニルヘテロアリール、アルキニルヘテロアリール(これらのうちの1つまたは複数のメチレンはO、S、S(O)、SO2、NR4、C(O)、C(O)NH、C(O)O、NHC(O)O、OC(O)O、SO2NH、開裂可能な連結基、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のヘテロアリール、置換もしくは無置換のヘテロ環、が挿入されているかこれらで終了していてもよく、R4は水素、アシル、脂肪族もしくは置換された脂肪族である)等);が含まれる。
いくつかの実施形態では、リンカーは分岐リンカーである。分岐リンカーの分岐点は少なくとも三価であってもよいが、四価、五価、もしくは六価の原子またはそのような多価となる基であってもよい。いくつかの実施形態では、分岐点は−N、−N(Q)−C、−O−C、−S−C、−SS−C、−C(O)N(Q)−C、−OC(O)N(Q)−C、−N(Q)C(O)−C、または−N(Q)C(O)O−Cであり、Qは各存在において独立して、Hまたは任意選択的に置換されていてもよいアルキルである。いくつかの実施形態では分岐点はグリセロールまたはその誘導体である。
開裂可能な連結基は、細胞の外では十分に安定であるが、標的細胞に入ると開裂してリンカーが結び付けていた2つの部分を放出するものである。好ましい実施形態では、開裂可能な連結基は、対象の血液もしくは血清中、または第2の基準条件(これは例えば血液もしくは血清中の条件を模倣もしくは再現するために選択され得る)と比較して、標的細胞中または第1の基準条件(これは例えば細胞内条件を模倣もしくは再現するために選択され得る)で少なくとも10倍以上、好ましくは少なくとも100倍以上速く開裂する。
開裂可能な連結基は、切断作用因子(例えばpH、還元電位、または分解性の分子の存在)の影響を受けやすい。一般的に、切断作用因子は、血清中または血液中よりも細胞の中でより優勢であり、あるいはより高いレベルまたは活性で見いだされる。そのような分解作用因子の例としては、具体的な基質のために選択される還元剤または基質特異性を有さない還元剤(例えば酸化酵素、還元酵素、または細胞中に存在し、還元によって還元的に開裂可能な連結基を分解することが可能なメルカプタンなどの還元剤など);エステラーゼ;アミダーゼ;酸性環境を形成可能なエンドソームまたは薬剤、例えばpHを5以下にするもの;一般的な酸として作用することにより酸で開裂可能な連結基を加水分解または分解することが可能な酵素、ペプチダーゼ(基質特異性であってもよい)及びプロテアーゼ、並びにホスファターゼが挙げられる。
リンカーには、特定の酵素によって切断される開裂可能な連結基が含まれ得る。酵素によって開裂可能な連結基は、酵素によって切断される酵素基質であってもよい。そのような基質は、本明細書では開裂可能な酵素基質とも呼ばれる。リンカーに組み込まれる開裂可能な連結基の種類は、標的となる細胞に依存し得る。ペプチド結合を含むリンカーは、ペプチダーゼを多く含む標的細胞種の場合に使用することができる。
いくつかの実施形態では、リンカーにはカテプシンGによって切断できる開裂可能な連結基が含まれ得る。カテプシンGによって切断される典型的な分子は図11に示されている。
いくつかの実施形態では、開裂可能な連結基は、血液もしくは血清(または細胞外条件を再現するように選択される生体外での条件下)と比較して、細胞中で(または細胞内条件を再現するために選択される生体外での条件下)で少なくとも1.25、1.5、1.75、2、3、4、5、10、25、50、または100倍速く開裂する。いくつかの実施形態では、開裂可能な連結基は、細胞中(または細胞内条件を再現するために選択される生体外での条件下)と比較して、血液中(または細胞外条件を再現するように選択される生体外での条件)では90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、または1%未満、開裂する。
典型的な開裂可能な連結基としては、これらに限定するものではないが、還元的に開裂可能な連結基(例えば−S−S−及び−C(R)2−S−S−(式中、RはHまたはC1〜C6アルキルであり少なくとも1つのRはCH3またはCH2CH3などのC1〜C6アルキルである);リン酸エステル系の開裂可能な連結基(例えば−O−P(O)(OR)−O−、−O−P(S)(OR)−O−、−O−P(S)(SR)−O−、−S−P(O)(OR)−O−、−O−P(O)(OR)−S−、−S−P(O)(OR)−S−、−O−P(S)(ORk)−S−、−S−P(S)(OR)−O−、−O−P(O)(R)−O−、−O−P(S)(R)−O−、−S−P(O)(R)−O−、−S−P(S)(R)−O−、−S−P(O)(R)−S−、−O−P(S)(R)−S−、−O−P(O)(OH)−O−、−O−P(S)(OH)−O−、−O−P(S)(SH)−O−、−S−P(O)(OH)−O−、−O−P(O)(OH)−S−、−S−P(O)(OH)−S−、−O−P(S)(OH)−S−、−S−P(S)(OH)−O−、−O−P(O)(H)−O−、−O−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−O−、−S−P(S)(H)−O−、−S−P(O)(H)−S−、及び−O−P(S)(H)−S−(式中、Rは任意選択的に置換されていてもよい直鎖または分岐のC1〜C10アルキルである);酸で開裂可能な連結基(例えばヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステル、−C=NN−及び−OC(O)−);エステル系の開裂可能な連結基(例えば−C(O)O−);ペプチド系の開裂可能な連結基(例えば細胞中のペプチダーゼ及びプロテアーゼなどの酵素によって切断される連結基、例えば−NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)−(式中、RAとRBは2つの隣接するアミノ酸のR基である))が挙げられる。ペプチド系の開裂可能な連結基は2つ以上のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチド系の開裂可能な連結基は細胞中にあるペプチダーゼまたはプロテアーゼの基質であるアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、酸で開裂可能な連結基は、約6.5以下(例えば約6.5、6.0、5.5、5.0、またはそれ未満)のpHである酸性環境中で、あるいは通常の酸として作用することが可能な酵素などの薬剤によって、開裂可能である。
本発明におけるリンカーは、プロドラッグ部位及びナノ粒子も含む。非限定的な例として、プロドラッグ部位は、「開裂」して薬の活性な形態を生成しやすいリンカーとすることができる。より詳しい情報は、Bundgard(1985,Design of Prodrugs,pp.7−9,21−24,Elsevier,Amsterdam)及びSilverman(1992,the Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,pp.352−401,Academic Press,San Diego,CA)の中で見ることができ、これらは完全に記載されているかのようにその全体が参照により本明細書に包含される。
いくつかの実施形態では、開裂可能な連結基は、がんではない細胞または正常な細胞中の量と比較して、がん細胞または腫瘍中により多い量存在する酵素によって開裂可能である。例えば、開裂可能な連結基は、膵がん細胞中により多く存在するペプチダーゼまたはプロテアーゼによって開裂可能である。ある実施形態では、リンカーは図11に示される化合物を含む。
本明細書において別段の規定がない限り、本出願に関連して使用される科学的用語及び技術的用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって普通に理解される意味を有するものとする。本発明は本明細書に記載されている具体的な方法、手順、及び試薬等に限定されず、変更可能であることが理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を記述する目的のみのためにあり、請求項のみによって規定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
本発明が対処する1つの課題は、転移によるがん(例えば膵がん)の拡散及び治療に抵抗性を有するがんの発生に関する。がん細胞の増殖を遅らせるために現在使用されている薬剤の欠点の1つは、これらの薬剤が細胞をがん幹様細胞に変化させることであり、このがん幹様細胞は標的療法に対する抵抗性をより生じやすく、また腫瘍の転移及び拡散を生じやすい。現在のところ、がんの転移を防止する解決手段は存在しない。本発明は、転移によるがんの拡散を防止すると共に幹様特性の発生を低減する、化合物、組成物、方法、及びキットを提供する。
二重阻害剤化合物
様々な実施形態では、本発明はHDACとGSK3βの両方を阻害する化合物を提供する。HDACとGSK3βの両方を阻害する化合物は、本明細書では二重阻害剤とも呼ばれる。
本明細書に開示の様々な態様の実施形態では、二重阻害剤化合物は式(IV)のものである:
式中、L
1及びL
2は、独立してリンカーであり;R
1は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、芳香族部位、アルキル、アシル、シクリル、またはヘテロシクリルであり;R
2は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、水素、アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R
3は、存在しないか、または任意選択的に置換されていてもよい芳香族部位であり;pは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり;1つのR
1−L
1−はチアジアゾリジン環の1つの窒素と結合しており、−(CH
2)
p−R
3−L
2−C(O)NHOR
2はチアジアゾリジン環の他方の窒素と結合している。
本明細書に開示の様々な態様のいくつかの他の実施形態では、化合物は式(V)のものである:
式中、L
1及びL
2は、独立してリンカーであり;R
1は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、芳香族部位、アルキル、アシル、シクリル、またはヘテロシクリルであり;R
2は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、水素、低級アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R
3は、存在しないか、または任意選択的に置換されていてもよい芳香族部位であり;pは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。
式(IV)または(V)の様々な化合物においては、R1は任意選択的に置換されていてもよいアリールまたは低級アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、式(IV)または(V)中のR1は独立して、C1〜C10アルキル、アリール、またはヘテロアリールから選択することができ、これらそれぞれは任意選択的に1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で置換されていてもよい。
様々な実施形態では、R1は低級アルキル基であってもよい。いくつかの実施形態では、R1はC1〜C6アルキルであってもよい。R1に関しての典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態では、R1はメチルである。
様々な実施形態では、R1は、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3 b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル及びキサンテニルからなる群から選択される、任意選択的に置換されていてもよいアリールまたは任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、R1は任意選択的に置換されていてもよいフェニルである。通常、任意選択的に置換されていてもよいフェニルは、アルキル、CF3、NO2、CO2H、SO2H、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルコキシ、アシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの置換基で置換されていてもよい。好ましくは、任意選択的に置換されていてもよいフェニルは1つの置換基で置換されている。ある実施形態では、任意選択的に置換されていてもよいフェニルは4−メトキシフェニルである。
式(IV)または(V)の様々な実施形態においては、R2は、水素、低級アルキル基、3〜8員のシクリルもしくはヘテロシクリル、または5〜8員のアリールもしくはヘテロアリールであってもよく、これらのそれぞれは任意選択的に置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R2は水素または低級アルキルである。様々な実施形態では、R2はC1〜C6アルキルであってもよい。R2に関しての典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、R2はHまたはメチルである。
式(IV)または(V)の様々な実施形態においては、R3は、存在しないか、または任意選択的に置換されていてもよいアリールまたは任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリールとすることができる。R3に関しての典型的な任意選択的に置換されていてもよいアリール及び任意選択的に置換されていてもよいヘテロアリールとしては、これらに限定するものではないが、ピリジニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラゾリル、インドリル、ベンジル、フェニル、ナフチル、アントラセニル、アズレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3 b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾリル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル及びキサンテニルが挙げられる。
いくつかの実施形態では、R3は任意選択的に置換されていてもよいフェニルである。任意選択的に置換されていてもよいフェニルは、アルキル、CF3、NO2、CO2H、SO2H、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルコキシ、アシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択される1つ、2つ、3つ、または4つの置換基で置換されていてもよい。好ましくは、任意選択的に置換されていてもよいフェニルは1つの置換基で置換されている。
いくつかの実施形態では、R3は存在しない。
式(IV)または(V)の様々な実施形態では、pは0、1、2、3、または5である。好ましくは、pは0または1である。いくつかの実施形態では、pは0である。いくつかの他の実施形態では、pは1である。
様々な実施形態では、リンカーは、各存在について、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から独立して選択され、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。
様々な実施形態では、L1は、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択され、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、L1は結合または−(CH2)q−である。L1についてのqの好ましい値には、これらに限定するものではないが、1、2、3、4、5、及び6が含まれる。いくつかの実施形態では、L1は−CH2−である。いくつかの他の実施形態では、L1は結合である。更にいくつかの他の実施形態では、L1は−NH−である。
様々な実施形態では、L2は、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、L2は結合、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−である。いくつかの実施形態では、L2は結合である。いくつかの他の実施形態では、L2は−NH−である。
本明細書に開示の様々な化合物においては、L1−R1は−CH2−フェニルである。いくつかの他の実施形態では、L1−R1はCH3である。いくつかのまた別の実施形態では、L1−R1は4−メトキシベンジルである。
いくつかの実施形態では、pは0または1でありR3はフェニルである。いくつかの別の実施形態では、pは0でありR3は存在しない。
いくつかの化合物においては、pは0であり、R3はフェニルであり、L2は結合であるか−NHC(O)(CH2)q−であってqが4、6、または8である。いくつかの他の実施形態においては、pは1であり、R3はフェニルであり、L2は−NHC(O)(CH2)q−であってqが6である。いくつかの更に別の実施形態では、pは0でありL2は−CH2CH=CH−である。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は式(VI)の化合物である:
式中、R
1、R
2、R
3、L
1、L
2、及びpは式(IV)について定義したとおりである。
いくつかの実施形態では、式(IV)の化合物は式(VII)の化合物である:
式中、R
1、R
2、R
3、L
1、L
2、及びpは式(IV)について定義したとおりである。
様々な実施形態では、式(IV)の化合物は、式(I)の化合物である:
式中、Xはリンカー(例えばL
2)であり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。いくつかの実施形態では、Yは、アルキル、CF
3、NO
2、CO
2H、SO
2H、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルコキシ、アシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。Y置換基は1つだけ示されているが、1つより多いY、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのYがベンゼン環上に存在していてもよい。いくつかの実施形態では、Yは存在しない。
様々な実施形態では、Xは、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、Xは結合、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−である。いくつかの実施形態では、Xは−NH−である。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I−1)の化合物である:
式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。
式(I−1)の様々な実施形態では、nは4、6、または8である、すなわち式(I−1a)、(I−1b)、または(I−1c)の化合物である:
。
式(I−1a)の化合物は、本明細書においてALB−185602とも呼ばれる。式(I−1b)の化合物は、本明細書においてALB−185644とも呼ばれる。式(I−1c)の化合物は、本明細書においてALB−185643とも呼ばれる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I−2)の化合物である:
。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は式(I−3)の化合物である:
。
様々な実施形態では、式(IV)の化合物は式(II)の化合物である:
式中、Xはリンカー基であり、Rは−L
1R
1である。
様々な実施形態では、Xは、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、Xは結合、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−である。いくつかの実施形態では、Xは−NH−である。
様々な実施形態では、−L1R1は、結合−R1、−(CH2)q−R1、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−R1、−NH−R1、−NHC(O)(CH2)q−R1、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、−L1R1は結合−R1、−NH−R1、−NHC(O)(CH2)q−R1(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−R1である。
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、−L1R1は任意選択的に置換されていてもよいアルキルである。ある実施形態では、Rはメチルである。
式(II)の典型的な化合物としては、これに限定するものではないが、式(II−1)の化合物が挙げられる:
。
様々な実施形態では、式(V)の化合物は式(III)の化合物である:
式中、Xはリンカー(例えばL
2)であり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。いくつかの実施形態では、Yは、アルキル、CF
3、NO
2、CO
2H、SO
2H、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルコキシ、アシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。Y置換基は1つだけ示されているが、1つより多いY、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのYがベンゼン環上に存在していてもよい。
様々な実施形態では、少なくとも1つのYが存在し、それはアルコキシ基である。Yについての典型的なアルコキシ基としては、これらに限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、tert−ブトキシ、n−プロピロキシ、iso−プロピロキシ、n−ブチロキシ、iso−ブチロキシ等が挙げられる。ある実施形態では、Yはメトキシである。
様々な実施形態では、Xは、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、Xは結合、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−である。いくつかの実施形態では、Xは結合である。
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物は式(III−1)の化合物である:
。
式(III−1)の化合物は、本明細書においてALB−185357とも呼ばれる。様々な実施形態では、式(V)の化合物は式(IIIb)の化合物である:
式中、Xはリンカー(例えばL
2)であり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。いくつかの実施形態では、Yは、アルキル、CF
3、NO
2、CO
2H、SO
2H、シアノ、ヒドロキシ、チオール、アルキルチオ、アルコキシ、アシル、ハロゲン、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。Y置換基は1つだけ示されているが、1つより多いY、例えば1つ、2つ、3つ、4つ、または5つのYがベンゼン環上に存在していてもよい。
様々な実施形態では、少なくとも1つのYが存在し、それはアルコキシ基である。Yについての典型的なアルコキシ基としては、これらに限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロピロキシ、tert−ブトキシ、n−プロピロキシ、iso−プロピロキシ、n−ブチロキシ、iso−ブチロキシ等が挙げられる。ある実施形態では、Yはメトキシである。
様々な実施形態では、Xは、結合、−(CH2)q−、−(CH2)qCH=CH(CH2)r−、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−、及びこれらの任意の組み合わせから選択することができ、式中、qは各存在について独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12であり、rは各存在について独立して0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12である。いくつかの実施形態では、Xは結合、−NH−、−NHC(O)(CH2)q−(qは4、6、または8である)、または−CH2CH=CH−である。ある実施形態では、Xは結合である。
いくつかの実施形態では、式(IIIb)の化合物は以下の構造を有する式(IIIb−1)の化合物である:
。
式(IIIb−1)の化合物は、本明細書においてALB−188540とも呼ばれる。
本明細書に開示の化合物は、市販の出発物質を始まりとして、一般的な合成技術及び当業者に公知の手順を用いて調製することができる。化学薬品は、例えばAldrich、Argonaut Technologies、VWR、及びLancasterなどの会社から購入することができる。クロマトグラフィー用品及び装置は、例えばAnaLogix,Inc,Burlington,Wis.;Biotage AB,Charlottesville,Va.;Analytical Sales and Services,Inc.,Pompton Plains,N.J.;Teledyne Isco,Lincoln,Nebr.;VWR International,Bridgeport,N.J.;Varian Inc.,Palo Alto,Calif.,及びMultigram II Mettler Toledo Instrument Newark,Delなどの会社から購入してもよい。Biotage、ISCO、及びAnalogixカラムは、標準的なクロマトグラフィーで使用される充填シリカゲルカラムである。
式(IV)の様々な典型的な化合物の合成が、下のスキームI、II、III、及びIVに示されており、式(V)のいくつかの典型的な化合物の合成が下のスキームVに示されている。なお、当業者であれば式(I)〜(VI)の化合物のうちのいずれかの調製のためにこれらを容易に改良することが可能である。スキームIは、本発明の様々な実施形態にかかる、例えば目的化合物1a、1b、及び1c(式I−1a、1b、及び1c)などの式Iの化合物の反応スキームを表している。スキームIIは、本発明の様々な実施形態にかかる、例えば目的化合物2(式I−2)などの式Iの化合物の反応スキームを表している。目的化合物2は、図8に示されているEn Vivo PharmaのHDAC阻害剤と類似している。スキームIIIは、本発明の様々な実施形態にかかる、例えば目的化合物3(式I−3)などの式Iの化合物の反応スキームを表している。目的化合物3は、より小さい亜鉛結合部位を有している。スキームIVは、本発明の様々な実施形態にかかる、例えば目的化合物4(式II−1)などの式IIの化合物の反応スキームを表している。目的化合物4は、SAHAのベンズアミド部位と、TDZD−8のベンジル部位とを結び付けている。スキームVは、本発明の様々な実施形態にかかる、例えば目的化合物5(式III−1)などの式IIIの化合物の反応スキームを表している。目的化合物5は、Khanfarら(Discovery of novel GSK−3β inhibitors with potent in vitro and in vivo activities and excellent brain permeability using combined ligand− and structure−based virtual screening;J Med Chem.2010 Dec 23;53(24):8534−45)が報告しているGSK3β阻害剤の類似体であり、この文献は完全に記載されているかのように参照によりその全体が本明細書に包含される。目的化合物5のヒドロキサム酸部位は、GSK3β活性に必要とされる重要なH結合に関与し得るだけでなく、HDAC阻害のための亜鉛結合部位としても機能し得る。
本明細書で述べるように、二重阻害剤、HDAC阻害剤、またはGSK3β阻害剤は、磁性粒子などの粒子と結合することができる。いくつかの実施形態では、二重阻害剤、HDAC阻害剤、またはGSK3β阻害剤は、開裂可能な基を含むリンカーによって粒子と結合することができる。例えば、リンカーは、がんではない細胞中での開裂と比較して、がん細胞または腫瘍中でより速く開裂することが可能な基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーはがんではない細胞中の量と比較して、がん細胞または腫瘍中により多い量存在する酵素によって切断可能な基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーはがんではない細胞中の量と比較して、がん細胞または腫瘍中により多い量存在するペプチダーゼによって切断される開裂可能な基を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーはカテプシンGによって切断される開裂可能な基を含む。
図10〜12は、二重阻害剤(図10)、またはHDAC阻害剤とGSK3β阻害剤それぞれ1つ、並びに開裂可能な酵素基質などのプロドラッグ部位及びナノ粒子を有する典型的な系の構成要素を示している。例えば、二重阻害剤、またはHDAC阻害剤とGSK3β阻害剤それぞれ1つは、ペプチダーゼ基質(図11)と結合しており、これは次に磁性粒子と結合することができる(図12)。磁性媒体と結合することで、薬剤を腫瘍へと誘導することができる。腫瘍は高濃度のカテプシンGを有していることから、阻害剤は腫瘍で放出される。
非限定的な例として、阻害剤(例えば二重阻害剤、またはHDAC阻害剤とGSK3β阻害剤それぞれ1つ)は、製造者が推奨する手順及び/または当業者に公知の手順を使用することで、開裂可能な酵素基質(例えばSanta Cruz BiotechnologyのカテプシンG基質Suc−AAPF−pNA)と結合させることができる。非限定的な例として、開裂可能な酵素基質(例えばSanta Cruz BiotechnologyのカテプシンG基質Suc−AAPF−pNA)は、製造者が推奨する手順及び/または当業者に公知の手順を使用して(例えば遊離カルボニルの共役、カルボジイミド法、及びマンニッヒ反応)、磁性粒子(例えばChemicellのsiMAG)と結合させることができる。
通常、粒子は例えば球状、棒状、楕円状、円筒状、カプセル状、円盤状などの任意の形状または形態のものであってもよく、これらの粒子は網状構造または凝集体の一部であってもよい。これに限定するものではないが、粒子はnmからミリメートルの任意のサイズであってもよい。いくつかの実施形態では、粒子はマイクロ粒子またはナノ粒子である。本明細書において、用語「マイクロ粒子」とは、約1μmから約1000μmの粒径を有する粒子のことをいう。本明細書において、用語「ナノ粒子」とは、約0.1nmから約1000nmの粒径を有する粒子のことをいう。通常、本明細書に開示されている粒子はナノ粒子であり、約5nm〜約500nmの平均径を有する。いくつかの実施形態では、粒子は約75nm〜約500nm、約25nm〜約250nm、約50nm〜約150nm、約75nm〜約125nm、約50nm〜約500nm、約75nm〜約200nm、約100nm〜約175nm、約125nm〜約175nm、約40nm〜約90nm、または約50nm〜約80nmの平均径を有する。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は直径約1um未満であってもよく、例えば直径約1μm以下、直径約500nm以下、直径約400nm以下、直径約300nm以下、直径約200nm以下、直径約100nm以下、直径約50nm以下、または直径約10nm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は1um未満であってもよく、例えば直径1um以下、直径500nm以下、直径400nm以下、直径300nm以下、直径200nm以下、直径100nm以下、直径50nm以下、または直径10nm以下であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物中のナノ粒子は直径約1nm〜約1umであってもよく、例えば直径約1nm〜約500nm、直径約1nm〜約200nm、直径約10nm〜約200nm、直径約100nm〜約200nm、または直径約10nm〜約100nmであってもよい。いくつかの実施形態では、組成物中のナノ粒子は直径1nm〜1umであってもよく、例えば直径1nm〜500nm、直径1nm〜200nm、直径10nm〜200nm、直径100nm〜200nm、または直径10nm〜100nmであってもよい。
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、例えば直径約200nm未満などの特定の大きさに選別されてもよい。特定のサイズ及び/またはサイズの範囲のナノ粒子を選別する方法は当該技術分野で公知であり、非限定な例としては、濾過、沈降、遠心分離、及び/またはクロマトグラフ法(例えばSEC)を挙げることができる。
粒子は通常示された「サイズ」周辺の粒径分布を示すことは当業者に理解されるであろう。特段の記載がない限り、本明細書における用語「粒径」とは、粒子のサイズ分布のモード、すなわちサイズ分布における最頻値のことをいう。粒径の測定方法は当業者に公知であり、例えば動的光散乱(光相関分光法、レーザー回折、低角度レーザー光散乱(LALLS)、及び中角度レーザー光散乱(MALLS)など)、光遮蔽法(コールター分析法など)、または他の技術(レオロジー、及び、光もしくは電子顕微鏡法)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、粒子は実質的に球状である。「実質的に球状」とは、粒子の断面の最短の垂直軸に対する最長の垂直軸の長さの比が約1.5以下であることを意味する。実質的に球状であるためには、対称中心線は必要とされない。また、粒子は、粒子全体のサイズと比較して小さい大きさの線や窪みや隆起などの表面模様を有しながらも実質的に球状であってもよい。いくつかの実施形態では、粒子の最長の軸と最短の軸との長さの比率は、約1.5以下、約1.45以下、約1.4以下、約1.35以下、約1.30以下、約1.25以下、約1.20以下、約1.15以下、約1.1以下である。理論に拘束されることを望むものではないが、実質的に球状の粒子では表面の接触が最少化され、これによって貯蔵の際の粒子の望ましくない凝集が最小化される。多くの結晶または薄片は、大きな表面接触面積になり得る平坦な表面を有しており、ここでイオン性もしくは非イオン性の相互作用によって凝集が生じ得る。球状にすることで、はるかに小さい面積での接触が可能になる。
粒子は、例えば単分散または多分散であってもよく、所定の分散の粒子の直径における変動は様々であってもよい。いくつかの実施形態では、粒子は実質的に同じ粒径を有する。比較的大きい粒子と小さい粒子の両方が存在する幅広いサイズ分布の粒子では、小さい粒子が大きい粒子間の隙間を埋めることができ、それによって新しい接触表面が形成される。幅広いサイズ分布であると、結合凝集のための多くの接触機会が作られることによって、より大きな球体になる場合がある。本明細書に記載の粒子は狭いサイズ分布であり、それによって接触凝集のための機会が最小限にされる。「狭いサイズ分布」とは、10パーセンタイルの体積径に対する90パーセンタイルの球状小粒子の体積径の比率が5以下である粒径分布を意味する。いくつかの実施形態では、10パーセンタイルの体積径に対する90パーセンタイルの球状小粒子の体積径は4.5以下、4以下、である3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、1.5以下、1.45以下、1.40以下、1.35以下、1.3以下、1.25以下、1.20以下、1.15以下、または1.1以下である。
幾何標準偏差(GSD)もまた、狭いサイズ分布を示すために使用され得る。GSDの計算には、15.9%未満及び84.1%未満の累積率における有効カットオフ径(ECD)を決定することが含まれる。GSDは、15.9%未満のECDに対する84.17%未満のECDの比率の平方根に等しい。GSDは、GSD<2.5の場合に狭いサイズ分布を有する。いくつかの実施形態では、GSDは2未満、1.75未満、または1.5未満である。ある実施形態では、GSDは1.8未満である。
様々な実施形態では、粒子は磁性材料を含んでいてもよい。本明細書において、用語「磁性材料」とは、磁場によって影響を受ける、すなわち材料の比透磁率(μr)が1より大きい、材料または物質のことをいう。このような磁性材料には、強磁性、半磁性、常磁性、超常磁性と呼ばれるものが含まれることが意図されている。この用語について従来理解されているように、超常磁性材料は外部から磁場がかけられた場合にのみ磁気的特性を示し、そうでない場合には基本的に磁気的特性を示さない。そして、これら全体の磁力は、別々のものとして考えた個々の粒子の磁力の和よりも大きい。磁性材料の粒子サイズが十分に小さい場合には、磁性材料は超常磁性である可能性が最も高いであろう。磁性材料を含有する粒子の磁気的特性は、飽和磁化、サイズ、磁性材料の濃度だけでなく、外部磁場の強度によっても大きく影響を受ける。
磁性材料は、マトリックス中に取り込まれた際に磁気的特性を示す任意の分子、組成物、粒子、または物質であってもよい。磁性材料は、原子番号21〜29、42、44、及び57〜70の元素の群から選択することができ、原子番号24〜29または62〜69の元素が特に好ましい。好ましくは、磁性材料は、これらに限定するものではないが、希土類金属(ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、及びユーロピウムなど)、遷移金属(鉄、ニッケル、コバルト、マグネシウム、クロム、及び銅など)、貴金属(ロジウム、パラジウムなど)、これらの酸化物、組成物、組み合わせ、固体分散物、及び合金を含む群から選択される。
いくつかの実施形態では、磁性材料は、マグヘマイト(Fe2O3)、マグネタイト(Fe3O4)、ストロンチウムフェライト、サマリウム−コバルト、ネオジウム−鉄−ホウ素(NIB)、磁鉄鉱、磁硫鉄鋼、BaFe12O19、Alnico磁石合金、デカメチレンメタロセンと7,7,8,8−テトラシアノ−p−キノジメタン(TCNQ)またはテトラシアノエテニド(TCNE)との移動塩([Fe(Cp*)2]+[TCNE]−、[Fe(Cp*)2]+[TCNQ]−、[Cr(Cp*)2]+[TCNE]−、[Cr(Cp*)2]+[TCNQ]−、[Mn(Cp*)2]+[TCNE]−、及び[Mn(Cp*)2]+[TCNQ]−など)、ヘキシルアンモニウムトリクロロクプラート(II)(CuCl3(C6H11NH3)、Fe系アモルファス磁性粉末、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、粒子を含む磁性材料は、磁性ナノ粒子である。磁性ナノ粒子は、磁場を用いて操ることができる種類のナノ粒子である。そのような粒子は、一般的には鉄、ニッケル、及びコバルトなどの磁性元素並びにこれらの化合物からなる。磁性ナノ粒子は周知であり、これらの合成方法は当該技術分野で、例えば米国特許No.6,878,445;No.5,543,158;No.5,578,325;No.6,676,729;No.6,045,925及びNo.7,462,446、並びに米国特許出願公開No.2005/0025971;No.2005/0200438;No.2005/0201941;No.2005/0271745;No.2006/0228551;No.2006/0233712;No.2007/01666232及びNo.2007/0264199中で述べられており、これら全ての内容はその全体が参照により本明細書に包含される。
いくつかの実施形態では、粒子は、例えばchemicell GmbH(Berlin,Germany)から入手可能なsiMAG磁性ビーズである。アミン官能化されたSiMAGビーズとカルボキシル官能化されたSiMAGビーズの両方が入手可能である。したがって、二重阻害剤、HDAC阻害剤、またはGSK3β阻害剤をsiMAGビーズと結合させるために、アミン基またはカルボキシル基を生かした任意の結合方法を使用することができる。例えば、アミン官能化されたsiMAGビーズとカルボキシル官能化されたsiMAGビーズの両方のために、カルボジイミドに基づいたカップリング反応を使用することができる。アミン官能化されたsiMAGビーズのためにはマンニッヒ反応を用いることができる。
治療方法
様々な実施形態では、本発明は、対象の症状の治療方法、対象の症状の予防方法、対象の発症の可能性の低減方法、対象の症状の重症度の低減方法及び/または対象の症状の進行の鈍化方法を提供する。方法は、以下からなる、あるいは以下から本質的になる、あるいは以下を含む:二重阻害剤の治療有効量を対象に投与する段階であって、それによって対象の症状を治療する、対象の症状を予防する、対象の発症の可能性を低減させる、対象の症状の重症度を低減させる、及び/または対象の症状の進行を鈍化させる、段階。
様々な実施形態では、方法は、1種または複数種の追加的ながん治療法を用いた投与または治療を更に含む。抗がん療法の例としては、これらに限定するものではないが、外科手術、放射線療法(放射線治療)、生物学的療法、免疫療法、化学療法、またはこれらの療法の組み合わせが挙げられる。更に、細胞毒性剤、血管新生阻害剤、及び増殖阻害剤を、二重阻害剤と組み合わせて使用することができる。
併用療法が用いられるこれらの実施形態では、本明細書に記載の二重阻害剤及び1種または複数種の抗がん治療剤は、治療有効量または相乗的な量で投与される。併用療法が含まれるこのような実施形態においては、治療有効量とは、二重阻害剤と1種または複数種の他の抗がん治療剤とを同時投与することで本明細書に記載のようながんを低減または阻害する量である。「治療に相乗的な量」とは、特定のがんに関連した状態または症状を相乗的にまたは大幅に低減または除去するために必要な二重阻害剤及び1種または複数種の他の抗がん治療剤の量である。
いくつかの実施形態では、二重阻害剤及び1種または複数種の他の抗がん治療剤は、腫瘍、休眠腫瘍、または微小転移の発生または再発を減らすあるいはなくすのに十分な量及び十分な時間で、同時に投与してもよいし、逐次的に投与してもよい。いくつかの実施形態では、二重阻害剤及び1種または複数種の他の治療剤は、腫瘍の再発を防止するあるいはその可能性を減らす維持療法として投与されてもよい。
限定するものではないが、二重阻害剤及び1種または複数種の他の抗がん治療剤は、別々の組成物中で提供されてもよいし、同じ組成物中で提供されてもよい。更に、二重阻害剤と1種または複数種の他の抗がん治療剤は同時に投与されてもよいし、逐次的に投与されてもよい。ある実施形態では、二重阻害剤は、1種または複数種の他の抗がん治療剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
様々な実施形態では、方法は対象に化学療法剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、二重阻害剤と化学療法剤は1つの組成物中で提供される。他の実施形態では、二重阻害剤と化学療法剤は別の組成物中で提供される。様々な実施形態では、二重阻害剤と化学療法剤は同時にまたは逐次的に投与される。ある実施形態では、二重阻害剤は化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
当業者に理解されるであろうように、化学療法剤または他の抗がん剤の適切な用量は、臨床治療で既に用いられているものと概ね同程度、例えば化学療法剤が単独で投与されている場合または他の化学療法剤と組み合わせて投与される場合と概ね同程度であろう。治療される症状に応じて用量の変動は生じるであろう。治療を行う医師は、個々の対象のために適切な用量を決定することができるであろう。
上述の治療法に加えて、対象は放射線療法を受けることができる。
更に別の実施形態では、二重阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在する酵素の基質である。別の実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在するペプチダーゼの基質である。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はカテプシンGの基質である。様々な実施形態では、方法は磁場を使用して二重阻害剤をがんまたは腫瘍へと導くことを更に含む。
いくつかの実施形態では、二重阻害剤は式IV、式V、式VI、または式VIIの化合物である。様々な実施形態では、二重阻害剤は式I、式II、式III、IIIb、式I−1、式I−1a、式I−1b、式I−1c、式I−2、式I−3、式II−1、式III−1、式IIIb−1、またはこれらの組み合わせの化合物である。
本発明においては、二重阻害剤は、例えばメーカーが推奨する投与方法などの適切な投与方法で投与することができる。本発明に従い、請求項にかかる方法の二重阻害剤を投与するために、エアゾール、経鼻、経口、経粘膜、経皮、非経口、埋め込み型ポンプ、持続注入、局所塗布、カプセル及び/または注射などの(ただしこれらに限定されない)、様々な経路を利用することができる。様々な実施形態では、二重阻害剤は局所的に、血管内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、鼻腔内に、または経口的に投与される。
二重阻害剤の有効量の典型的な用量は、公知の治療用化合物が使用されている場合のメーカーによって推奨されている範囲とすることができ、また細胞の生体外応答もしくは動物モデルでの生体内応答によって当業者に示されるような範囲とすることもできる。そのような用量は、典型的には関連する生物学的活性を失うことなしに、濃度もしくは量を最大で約一桁減らすことができる。実際の用量は、医師の判断、患者の状態、及び、例えば関連する培養細胞もしくは組織培養された組織試料の生体外での応答性または適切な動物モデルで観察される応答に基づいた治療方法の有効性次第とすることができる。様々な実施形態では、対象に二重阻害剤の有効量(有効量は本明細書に記載のいずれか1つ以上の用量である)を投与するために、二重阻害剤は1日に1回(SID/QD)、1日に2回(BID)、1日に3回(TID)、1日に4回(QID)、またはそれより多く投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、二重阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。別の実施形態では、二重阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。様々な実施形態では、二重阻害剤は、およそ、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される。様々な実施形態では、二重阻害剤は、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される。様々な実施形態では、二重阻害剤は1回、2回、3回、またはそれより多くの回数投与される。
様々な実施形態では、二重阻害剤の有効量は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μM、またはこれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上である。
様々な実施形態では、二重阻害剤の有効量は、約0.01〜0.05μg/kg/日、0.05〜0.1μg/kg/日、0.1〜0.5μg/kg/日、0.5〜5μg/kg/日、5〜10μg/kg/日、10〜20μg/kg/日、20〜50μg/kg/日、50〜100μg/kg/日、100〜150μg/kg/日、150〜200μg/kg/日、200〜250μg/kg/日、250〜300μg/kg/日、300〜350μg/kg/日、350〜400μg/kg/日、400〜500μg/kg/日、500〜600μg/kg/日、600〜700μg/kg/日、700〜800μg/kg/日、800〜900μg/kg/日、900〜1000μg/kg/日、0.01〜0.05mg/kg/日、0.05〜0.1mg/kg/日、0.1〜0.5mg/kg/日、0.5〜1mg/kg/日、1〜5mg/kg/日、5〜10mg/kg/日、10〜15mg/kg/日、15〜20mg/kg/日、20〜50mg/kg/日、50〜100mg/kg/日、100〜200mg/kg/日、200〜300mg/kg/日、300〜400mg/kg/日、400〜500mg/kg/日、500〜600mg/kg/日、600〜700mg/kg/日、700〜800mg/kg/日、800〜900mg/kg/日、900〜1000mg/kg/日、またはこれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上である。ここで、「μg/kg/日」または「mg/kg/日」とは、1日当たりの対象の体重1kg当たりのμgまたはmgのことをいう。
様々な実施形態では、本発明は、対象の症状の治療方法、対象の症状の予防方法、対象の発症の可能性の低減方法、対象の症状の重症度の低減方法、及び/または対象の症状の進行の鈍化方法を提供する。方法は、以下からなる、あるいは以下から本質的になる、あるいは以下を含む:HDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤の治療有効量を対象に投与する段階であって、それによって対象の症状を治療する、対象の症状を予防する、対象の発症の可能性を低減させる、対象の症状の重症度を低減させる、及び/または対象の症状の進行を鈍化させる、段階。
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤は1つの組成物中で提供される。他の実施形態では、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤は別個の組成物中で提供される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤は連続的にまたは逐次的に投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤は、GSK3β阻害剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
様々な実施形態では、方法はHDAC阻害剤とGSK3β阻害剤を投与することに加えて、1種または複数種の追加的ながん治療法を用いた投与または治療を更に含む。併用療法が用いられるこれらの実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び本明細書に記載の1種または複数種の抗がん治療剤は、治療有効量または相乗的な量で投与される。併用療法が含まれるこのような実施形態においては、治療有効量とは、HDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤と、1種または複数種の他の抗がん治療剤とを同時投与することで本明細書に記載のようながんを低減または阻害する量である。これに関連して、「治療に相乗的な量」とは、特定のがんに関連した状態または症状を相乗的にまたは大幅に低減または除去するために必要なHDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤並びに1種または複数種の他の抗がん治療剤の量である。
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤及び1種または複数種の他の抗がん治療剤は、腫瘍、休眠腫瘍、または微小転移の発生または再発を減らすあるいはなくすのに十分な量及び十分な時間で、同時に投与してもよいし、逐次的に投与してもよい。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び1種または複数種の他の抗がん治療剤は、腫瘍の再発を防止するあるいはその可能性を減らす維持療法として投与されてもよい。
限定するものではないが、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤のうちの少なくとも1つと、1種または複数種の他の抗がん治療剤は、別々の組成物中で提供されてもよいし、同じ組成物中で提供されてもよい。更に、二重阻害剤と1種または複数種の他の抗がん治療剤は同時に投与されてもよいし、逐次的に投与されてもよい。ある実施形態では、二重阻害剤は、1種または複数種の他の抗がん治療剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3βのうちの少なくとも1つは、追加的な抗がん治療剤と同じ組成物中で提供される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び追加的な抗がん治療剤は、1つの組成物中で提供される。他の実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び追加的な抗がん治療剤は、別個の組成物中で提供される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び追加的な抗がん治療剤は、同時にまたは逐次的に投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤またはGSK3β阻害剤のうちの少なくとも1つは、追加的な抗がん治療剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
様々な実施形態では、方法は、HDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤に加えて、対象に化学療法剤を投与することを更に含む。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3βのうちの少なくとも1つは、追加的な化学療法剤と同じ組成物中で提供される。いくつかの実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び追加的な化学療法剤は、1つの組成物中で提供される。他の実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び化学療法剤は、別個の組成物中で提供される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤、GSK3β阻害剤、及び化学療法剤は、同時にまたは逐次的に投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤またはGSK3β阻害剤のうちの少なくとも1つは、化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に投与される。
HDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤の投与に加えて、対象は放射線療法を受けてもよい。
更に別の実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在する酵素の基質である。別の実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在するペプチダーゼの基質である。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はカテプシンGの基質である。様々な実施形態では、方法は磁場を使用してHDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤をがんまたは腫瘍へと導くことを更に含む。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、SAHA、TSA、TPX、MS−275、バルプロ酸、もしくはCHAP31、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、SB216763、TDZD−8、もしくはチデグルシブ(NP−12)、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。
本発明においては、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤は、例えばHDAC阻害剤とGSK3β阻害剤それぞれについてメーカーが推奨する投与方法などの適切な投与方法を用いて投与することができる。本発明に従い、請求項に記載の方法のHDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤を投与するために、エアゾール、経鼻、経口、経粘膜、経皮、非経口、埋め込み型ポンプ、持続注入、局所塗布、カプセル及び/または注射などの(ただしこれらに限定されない)、様々な経路を利用することができる。様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、局所的に、血管内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、鼻腔内に、または経口的に投与される。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、局所的に、血管内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、鼻腔内に、または経口的に投与される。
HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤の有効量の典型的な用量は、公知の治療用化合物が使用される場合の、メーカーによって推奨されている範囲とすることができ、また細胞の生体外での応答性もしくは動物モデルの生体内応答によって当業者に示されるような範囲とすることもできる。そのような用量は、典型的には関連する生物学的活性を失うことなしに、濃度もしくは量を最大で約一桁減らすことができる。実際の用量は、医師の判断、患者の状態、及び、例えば関連する培養細胞もしくは組織培養された組織試料の生体外での応答または適切な動物モデルで観察される応答に基づいた治療方法の有効性次第とすることができる。様々な実施形態では、対象にHDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤の有効量(有効量は本明細書に記載のいずれか1つ以上の用量である)を投与するために、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は1日に1回(SID/QD)、1日に2回(BID)、1日に3回(TID)、1日に4回(QID)、またはそれより多く投与されてもよい。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、およそ、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される。様々な実施形態では、HDAC阻害剤は1回、2回、3回、またはそれより多い回数投与される。ある実施形態では、HDAC阻害剤はSAHA、またはSAHAの機能的な等価体、類似体、誘導体、もしくは塩である。
いくつかの実施形態では、GSK3β阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。別の実施形態では、GSK3β阻害剤は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、およそ、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は1回、2回、3回、またはそれより多い回数投与される。ある実施形態では、GSK3β阻害剤はTDZD−8、またはTDZD−8の機能的な等価体、類似体、誘導体、もしくは塩である。別の実施形態では、GSK3β阻害剤はチデグルシブ、またはチデグルシブの機能的な等価体、類似体、誘導体、もしくは塩である。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤の有効量は、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μM、またはこれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上である。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤の有効量は、約0.01〜0.05μg/kg/日、0.05〜0.1μg/kg/日、0.1〜0.5μg/kg/日、0.5〜5μg/kg/日、5〜10μg/kg/日、10〜20μg/kg/日、20〜50μg/kg/日、50〜100μg/kg/日、100〜150μg/kg/日、150〜200μg/kg/日、200〜250μg/kg/日、250〜300μg/kg/日、300〜350μg/kg/日、350〜400μg/kg/日、400〜500μg/kg/日、500〜600μg/kg/日、600〜700μg/kg/日、700〜800μg/kg/日、800〜900μg/kg/日、900〜1000μg/kg/日、0.01〜0.05mg/kg/日、0.05〜0.1mg/kg/日、0.1〜0.5mg/kg/日、0.5〜1mg/kg/日、1〜5mg/kg/日、5〜10mg/kg/日、10〜15mg/kg/日、15〜20mg/kg/日、20〜50mg/kg/日、50〜100mg/kg/日、100〜200mg/kg/日、200〜300mg/kg/日、300〜400mg/kg/日、400〜500mg/kg/日、500〜600mg/kg/日、600〜700mg/kg/日、700〜800mg/kg/日、800〜900mg/kg/日、900〜1000mg/kg/日、またはこれらの組み合わせのうちのいずれか1つ以上である。ここで、「μg/kg/日」または「mg/kg/日」とは、1日当たりの対象の体重1kg当たりのμgまたはmgのことをいう。
様々な実施形態では、対象はヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト、サル、類人猿、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、マウス、及びラットを含むがこれらに限定されない哺乳類の対象である。
様々な実施形態では、症状はがんまたは腫瘍である。いくつかの実施形態では、症状は膵がんである。いくつかの実施形態では、二重阻害剤、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は、症状の予防段階(すなわち、対象が症状を発症していないが症状を発症しそうな場合もしくは発症途中である場合)で投与することができる。他の実施形態では、二重阻害剤、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は、症状の治療段階(すなわち、対象が既に症状を発症している場合)で投与することができる。非限定的な例としては、対象とする症状は膵がんである。この例示的な状態においては、患者は膵がんをまだ発症していない場合に、または膵がんを発症しそうな場合に、または膵がん発症途中の場合に、または既に膵がんを発症している場合に、本明細書に記載の方法で治療を受けることができる。
医薬組成物
様々な実施形態では、本発明はHDACとGSK3βの二重阻害剤からなる、またはこれから本質的になる、または含有する、組成物を提供する。本発明に従い、組成物は、対象の症状を治療するために、対象の症状を予防するために、対象の発症の可能性を低減するために、対象の症状の重症度を低減するために、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるために、使用することができる。
様々な実施形態では、二重阻害剤は式I、式II、式III、式I−1、式I−1a、式I−1b、式I−1c、式I−2、式I−3、式II−1、式III−1、式IIIb、式IIIb−1、式IV、式V、式VI、式VIIの化合物、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、組成物中の二重阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりの二重阻害剤のmgで提供される。他の実施形態では、組成物中の二重阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりの二重阻害剤のμgで提供される。
様々な更なる実施形態では、組成物は開裂可能な酵素基質と磁性粒子とを更に含み、二重阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在する酵素の基質である。別の実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在するペプチダーゼの基質である。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はカテプシンGの基質である。
様々な実施形態では、本発明は、HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤とからなる、あるいはこれらから本質的になる、あるいはこれらを含有する、組成物を提供する。本発明においては、組成物は、対象の症状を治療するために、対象の症状を予防するために、対象の発症の可能性を低減するために、対象の症状の重症度を低減するために、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるために、使用することができる。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、SAHA、TSA、TPX、MS−275、バルプロ酸、もしくはCHAP31、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、組成物中のHDAC阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりのHDAC阻害剤のmgで提供される。他の実施形態では、組成物中のHDAC阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりのHDAC阻害剤のμgで提供される。
様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、SB216763、TDZD−8、もしくはチデグルシブ(NP−12)、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、組成物中のGSK3β阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりのGSK3β阻害剤のmgで提供される。他の実施形態では、組成物中のGSK3β阻害剤は、例えば約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせの、対象の体重1キログラム当たりのGSK3β阻害剤のμgで提供される。
様々な更なる実施形態では、組成物は開裂可能な酵素基質と磁性粒子とを更に含み、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在する酵素の基質である。別の実施形態では、開裂可能な酵素基質はがんまたは腫瘍に多く存在するペプチダーゼの基質である。ある実施形態では、開裂可能な酵素基質はカテプシンGの基質である。
ある実施形態では、本明細書に記載の様々な組成物は化学療法剤を更に含有する。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシン、アリトレチノイン、All−transレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ベバシズマブ、ベキサトテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、セツキシマブ、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エトポシド、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イピリムマブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オクレリズマブ、オファツムマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツマブ、ペメトレキセド、リツキシマブ、タフルポシド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ロミデプシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、6−メルカプトプリン(6−MP)、クラドリビン、クロファラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ペントスタチン、マイトマイシン、イキサベピロン、エストラムスチン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、及びこれらの任意の組み合わせ、からなる群から選択される。
ある実施形態では、本発明にかかる医薬組成物は哺乳類またはヒトに投与される。好ましい医薬組成物はまた、哺乳類またはヒトに投与した際に最小限の毒性しか示さない。様々な実施形態では、本発明にかかる医薬組成物は、局所投与用に、血管内投与用に、静脈内投与用に、動脈内投与用に、腫瘍内投与用に、筋肉内投与用に、皮下投与用に、腹腔内投与用に、鼻腔内投与用に、または経口投与用に製剤される。
様々な実施形態では、本発明にかかる医薬組成物は任意の投与経路による送達のために製剤することができる。「投与経路」は、エアゾール、経鼻、経口、経粘膜、経皮、非経口、経腸、局所または部分などの(ただしこれらに限定されない)、当該技術分野で公知の任意の投与経路を指す場合がある。「非経口」とは、一般的には眼窩内、点滴、動脈内、関節包内、心臓内、皮下、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む、注射に関連した投与の経路のことをいう。非経口経路では、組成物は注入もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の形態であってもよく、または凍結乾燥された粉末であってもよい。経腸ルートでは、医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、粉末、顆粒、エマルション、ミクロスフェアもしくはナノスフェア、または放出制御が可能な脂質ベシクルもしくはポリマーベシクルの形態であってもよい。局所経路では、医薬組成物は、エアゾール、ローション、クリーム、ゲル、軟膏、懸濁液、溶液、またはエマルションの形態であってもよい。これらの投与方法は当業者に公知である。
本発明にかかる医薬組成物は、治療有効量で送達され得る。正確な治療有効量は、所定の対象における治療効果について最も有効な結果を生じさせる組成物の量である。この量は、これらに限定するものではないが、治療用化合物の特性(活性、薬物動態、薬力学、及びバイオアベイラビリティ等)、対象の生理的状態(年齢、性別、病気の種類及び病期、一般的健康状態、所定の投与量に対する応答、及び薬剤の種類等)、製剤中の薬学的に許容可能な担体もしくは担体類の性質、及び投与の経路などの様々な要因次第で変動するであろう。臨床及び薬理学の当業者であれば、慣例的な実験によって、例えば化合物の投与に対する対象の応答のモニタリング及びそれに応じた用量の調整を行うことによって、治療有効量を決定することができるであろう。追加的な指針に関しては、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro ed.20th edition,Williams&Wilkins PA,USA)(2000)を参照されたい。
様々な実施形態では、組成物は、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される。様々な実施形態では、組成物は、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される。様々な実施形態では、対象に二重阻害剤、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤の有効量(有効量は本明細書に記載のいずれか1つ以上の用量である)を投与するために、組成物は1日に1回(SID/QD)、1日に2回(BID)、1日に3回(TID)、1日に4回(QID)、またはそれ以上投与されてもよい。
様々な実施形態では、本発明にかかる医薬組成物は任意の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでいてもよい。「薬学的に許容可能な賦形剤」は、概して安全、非毒性、かつ望ましい、医薬組成物の調製に有用な賦形剤を意味し、ヒト医薬用途だけでなく獣医学的用途にも許容可能な賦形剤も含まれる。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体であってもよく、またはエアゾール組成物や気体状の場合であってもよい。賦形剤の例としては、これらに限定するものではないが、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香料、芳香剤、保存料、酸化防止剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬化剤、固化剤、懸濁化剤、界面活性剤、保水剤、担体、安定化剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
様々な実施形態では、本発明にかかる医薬組成物は、任意の薬学的に許容可能な担体を含んでいてもよい。本明細書において、「薬学的に許容可能な担体」とは、対象の化合物を1つの組織、器官、または体の一部から、別の組織、器官、または体の一部へと運ぶもしくは輸送することに関与する、薬学的に許容可能な物質、組成物、またはビヒクルのことをいう。例えば、担体は液体もしくは固体のフィラー、希釈剤、賦形剤、溶媒、封入材料、またはこれらの組み合わせであってもよい。担体の各成分は、製剤の他の成分と適合しなければならない点で、「薬学的に許容可能」である必要がある。担体の各成分は、それが接触する可能性があるあらゆる組織または器官と接触する使用に適切である必要もある。つまり、担体の各成分は毒性、炎症、アレルギー反応、免疫原性、または治療による利益を大幅に上回る他のあらゆる合併症の危険性を有していてはならない。
本発明にかかる医薬組成物は、経口投与用に、カプセル化されていても錠剤化されていてもよく、またはエマルションもしくはシロップに調製されていてもよい。組成物を強化もしくは安定化するために、または組成物の調製をし易くするために、医薬的に許容可能な固体もしくは液体の担体が添加されていてもよい。液体担体には、シロップ、落花生油、オリーブ油、グリセリン、生理的食塩水、アルコール、及び水が含まれる。固体担体には、デンプン、ラクトース、硫酸カルシウム、二水和物、白土、ステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸、タルク、ペクチン、アカシア、寒天、またはゼラチンが含まれる。担体は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの徐放材料も、単独で、またはワックスと共に含んでいてもよい。
医薬製剤は、粉末形態のための乾式製粉、混合、及びブレンド;錠剤形態のための製粉、混合、顆粒化、及び必要に応じた圧縮;または硬ゼラチンカプセル形態のための製粉、混合、及び充填;などの、薬学の従来の技術に従って製造される。液体担体が使用される場合、製剤はシロップ、エリキシル剤、エマルション、または水性もしくは非水性の懸濁液の形態であってもよい。そのような液体製剤は直接経口で投与されてもよいし、軟ゼラチンカプセルの中に充填されていてもよい。
患者への投与の前に、配合剤が組成物に添加されてもよい。液体製剤が好ましい場合がある。例えば、これらの配合剤としては、オイル、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤、充填剤、またはこれらに組み合わせを挙げることができる。
炭水化物配合剤としては、単糖類、二糖類もしくは多糖類などの糖もしくは糖アルコール、または水溶性グルカンが挙げられる。糖類またはグルカンとしては、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、α及びβシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルセルロース、並びにこれらの混合物を挙げることができる。「糖アルコール」は、−OH基を有するC4〜C8の炭化水素として定義され、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールおよびアラビトールが挙げられる。上述のこれら糖または糖アルコールは、単独で使用されてもよいし、組み合わせて使用されてもよい。糖または糖アルコールは、水性製剤に可溶である限り、使用される量に決まった限度はない。ある実施形態では、糖または糖アルコールの濃度は、1.0w/v%〜7.0w/v%、より好ましくは2.0〜6.0w/v%である。
アミノ酸配合剤としては、左旋性(L)形態のカルニチン、アルギニンおよびベタインが挙げられるが、他のアミノ酸が添加されてもよい。
ポリマー配合剤としては、平均分子量が2,000〜3,000のポリビニルピロリドン(PVP)または平均分子量が3,000〜5,000のポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
凍結乾燥前または再構成後の溶液中のpH変化を最小化するために、組成物中に緩衝液を用いることも好ましい。クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩およびグルタミン酸の緩衝液またはこれらの混合物を含むがこれらに限定されないほとんどの任意の生理学的緩衝剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、濃度は、0.01モル濃度〜0.3モル濃度である。製剤に添加することができる界面活性剤は、EP No.270,799及びNo.268,110に示されている。
循環半減期を長くするための別のドラッグデリバリーシステムは、リポソームである。リポソームデリバリーシステムの作製方法は、Gabizon et al.,Cancer Research(1982)42:4734;Cafiso,Biochem Biophys Acta(1981)649:129;及びSzoka,Ann Rev Biophys Eng(1980)9:467中で論じられている。他のドラッグデリバリーシステムは当該技術分野で公知であり、例えば、Poznansky et al.,DRUG DELIVERY SYSTEMS(R.L.Juliano,ed.,Oxford,N.Y.1980),pp.253−315;M.L.Poznansky,Pharm Revs(1984)36:277に記載されている。
液体医薬組成物を調製した後、劣化を防止し、無菌状態を維持するために、組成物を凍結乾燥してもよい。液体組成物を凍結乾燥するための方法は当業者に公知である。使用の直前に、組成物を、追加的な成分が含まれていてもよい無菌の希釈液(例えばリンゲル液、蒸留水、または滅菌した生理的食塩水)で再構成してもよい。再構成した後、組成物は当業者に公知の方法を用いて対象に投与される。
本発明の組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができる。得られた溶液は、使用のために包装してもよいし、無菌条件下でろ過及び凍結乾燥し、この凍結乾燥された製剤を投与の前に滅菌溶液と混ぜてもよい。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、等張化剤などの、生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容可能な補助物質(例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び安定化剤(例えば1〜20%のマルトース等))を含んでいてもよい。
本発明にかかる医薬組成物は、標的細胞へ治療薬を送達するためのビーズシステムであってもよい。例えば、ニューレグリン−4またはその医薬的な等価体、類似体、誘導体、もしくは塩を対象中の標的細胞に送達するために、ペクチン/ゼインハイドロゲルビーズシステムを使用してもよい(Yan F.et al.,J Clin Invest.2011 Jun;121(6):2242−53)。
本発明のキット
様々な実施形態では、本発明は、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、キットを提供する。キットは、ある量のHDACとGSK3βの二重阻害剤と、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/もしくは対象の症状の進行を鈍化させるための二重阻害剤の使用のための指示書と、からなる、あるいは本質的にこれらからなる、あるいはこれらを含む。
いくつかの実施形態では、二重阻害剤は式I、式II、式III、式I−1、式I−1a、式I−1b、式I−1c、式I−2、式I−3、式II−1、式III−1、式IIIb、式IIIb−1、式IV、式V、式VI、式VIIの化合物、またはこれらの組み合わせである。
様々な実施形態では、二重阻害剤は粒子と結合している。様々な更なる実施形態では、二重阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。
様々な実施形態では、本発明は、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、キットを提供する。キットは、ある量のHDAC阻害剤と;ある量のGSK3β阻害剤と;対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるためのHDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤の使用のための指示書と;からなる、あるいは本質的にこれらからなる、あるいはこれらを含む。
様々な実施形態では、HDAC阻害剤は、SAHA、TSA、TPX、MS−275、バルプロ酸、もしくはCHAP31、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。様々な実施形態では、GSK3β阻害剤は、SB216763、TDZD−8、もしくはチデグルシブ(NP−12)、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである。様々な更なる実施形態では、HDAC阻害剤及び/またはGSK3β阻害剤は開裂可能な酵素基質と結合しており、開裂可能な酵素基質は磁性粒子と結合している。
様々な更なる実施形態では、本発明にかかるキットは、化学療法剤と、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/もしくは対象の症状の進行を鈍化させるための化学療法剤の使用のための指示書とを更に含む。いくつかの実施形態では、キットの中の化学療法剤は、アクチノマイシン、アリトレチノイン、All−transレチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ベバシズマブ、ベキサトテン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、セツキシマブ、シスプラチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エトポシド、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イマチニブ、イピリムマブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、オクレリズマブ、オファツムマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツマブ、ペメトレキセド、リツキシマブ、タフルポシド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ロミデプシン、5−フルオロウラシル(5−FU)、6−メルカプトプリン(6−MP)、クラドリビン、クロファラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ペントスタチン、マイトマイシン、イキサベピロン、エストラムスチン、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、またはこれらの組み合わせ、からなる群から選択される。
キットは、少なくとも1種の本発明の組成物を含む、物質または構成要素の集合である。本発明のキットを構成する構成要素の厳密な性質はその用途による。ある実施形態では、キットは特に哺乳類の対象の治療のために構成される。別の実施形態では、キットは特にヒト対象の治療のために構成される。更なる実施形態では、キットは家畜、飼育動物、及び実験動物などであるがこれらに限定されない対象を治療する獣医学的用途のために構成される。
キットには使用のための指示書が含まれていてもよい。「使用のための指示書」には、典型的には、望ましい結果を与えるためにキットの構成要素を使用する際に用いるべき方法を記述する具体的な表現が含まれる。任意選択的には、キットは、スプレー瓶もしくは缶、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容可能な担体、シリンジ、カテーテル、塗布器具(例えばクリーム、ゲル、またはローション等の塗布器具)、ピペット器具、計量器具、包帯材料、または当業者に容易に認識されるであろうような他の有用な用具などの他の有用な構成要素も含んでいてもよい。
キットに組み込まれる材料または要素は、それらの操作性及び有用性が保たれる任意の都合の良い適切な方法で保管され開業医に提供されることができる。例えば、医薬組成物は溶解された、脱水された、または凍結乾燥された形態であってもよく、これらは室温で、冷蔵温度で、または凍結温度で提供されてもよい。構成要素は、典型的には適切な包装材料の中に入れられる。本明細書で使用される「包装材料」という語句は、本発明の組成物等のようなキットの内容物を収納するために使用される1つ以上の物理的構造のことをいう。包装材料は、好ましくは無菌で汚染物質がない環境になるように、周知の方法によって作製される。本明細書において、用語「包装」とは、個別のキットの構成要素を入れることが可能な、ガラス、プラスチック、紙、ホイル等のような固体の母材もしくは材料のことをいう。したがって、パッケージは、例えば、適切な量の本明細書に記載の組成物を入れるために使用されるガラスバイアルであってもよい。包装材料は、通常、キット及び/またはその構成要素の内容物及び/または目的を示す外部ラベルを有している。
本明細書に開示の様々な態様の典型的な実施形態は、次の番号付けした項の1つ以上によって記述することができる:
1.式(IV)の化合物:
式中、L
1及びL
2は、独立してリンカーであり;R
1は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、芳香族部位、アルキル、アシル、シクリル、またはヘテロシクリルであり;R
2は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、水素、低級アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R
3は、存在しないか、または任意選択的に置換されていてもよい芳香族部位であり;pは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり;−L
1R
1はチアジアゾリジン環の1つの窒素と結合しており、−(CH
2)
p−R
3−L
2−C(O)NHOR
2はチアジアゾリジン環の他方の窒素と結合している。
2.式(VI)の構造を有する第1項の化合物:
。
3.式(I)の構造を有する第1項または第2項に記載の化合物:
式中、Xはリンカーであり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。
4.式(I−1)の構造を有する第1項〜第3項のいずれか1項に記載の化合物:
式中、nは1〜12の整数である。
5.以下:
である、第1項〜第4項のいずれか1項に記載の化合物。
6.式(VI)の構造を有する第2項に記載の化合物:
。
7.式(II)の構造を有する第1項、第2項、または第6項のいずれか1項に記載の化合物:
式中、Xはリンカー基であり、Rは−L
1R
1である。
8.式(II−1)の構造を有する第1項、第2項、第6項、または第7項のいずれか1項に記載の化合物:
。
9.式(V)の化合物:
式中、L
1及びL
2は、独立してリンカーであり;R
1は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、芳香族部位、アルキル、アシル、シクリル、またはヘテロシクリルであり;R
2は、それぞれ任意選択的に置換されていてもよい、水素、低級アルキル、シクリル、ヘテロシクリル、アリール、またはヘテロアリールであり;R
3は、存在しないか、または任意選択的に置換されていてもよい芳香族部位であり;pは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である。
10.式(III)の構造を有する第9項に記載の化合物:
式中、Xはリンカー基であり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。
11.式(III−1)の構造を有する第9項または第10項に記載の化合物:
。
12.式(IIIb)の構造を有する第9項に記載の化合物:
式中、Xはリンカー基であり、Yは、存在しないかまたは芳香族の置換基である。
13.式(IIIb−1)のものである、第9項または第12項に記載の化合物:
。
14.粒子と結合している、第1項〜第13項のいずれか1項に記載の化合物。
15.前記粒子が磁性粒子である、第14項に記載の化合物。
16.開裂可能な連結基を含むリンカーを介して粒子と結合している、第14項または第15項に記載の化合物。
17.前記開裂可能な連結基が酵素によって切断される、第16項に記載の化合物。
18.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在する酵素によって切断される、第16項または第17項に記載の化合物。
19.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在するペプチダーゼによって切断される、第16項〜第18項のいずれか1項に記載の化合物。
20.前記開裂可能な連結基が、カテプシンGの開裂可能な基質である、第16項〜第19項のいずれか1項に記載の化合物。
21.HDACとGSK3βの二重阻害剤を含有する組成物。
22.前記二重阻害剤が第1項〜第20項のいずれか1項に記載の化合物である、第21項に記載の組成物。
23.薬学的に許容可能な担体または賦形剤を更に含有する、第21項または第22項に記載の組成物。
24.局所投与用に、血管内投与用に、静脈内投与用に、動脈内投与用に、腫瘍内投与用に、筋肉内投与用に、皮下投与用に、腹腔内投与用に、鼻腔内投与用に、または経口投与用に製剤される、第21項〜第23項のいずれか1項に記載の組成物。
25.抗がん治療剤を更に含有する、第21項〜第24項のいずれか1項に記載の組成物。
26.前記抗がん治療剤が化学療法剤である、第25項に記載の組成物。
27.以下の段階を含む、対象の症状の治療方法、対象の症状の予防方法、対象の発症の可能性の低減方法、対象の症状の重症度の低減方法、及び/または対象の症状の進行の鈍化方法:
HDACとGSK3βの二重阻害剤の治療有効量を対象に投与する段階であって、それによって対象の症状を治療する、対象の症状を予防する、対象の発症の可能性を低減させる、対象の症状の重症度を低減させる、及び/または対象の症状の進行を鈍化させる、段階。
28.前記症状が、がんまたは腫瘍である、第27項に記載の方法。
29.前記症状が、膵がんである、第27項または第28項に記載の方法。
30.前記対象がヒトである、第27項〜第29項のいずれか1項に記載の方法。
31.前記二重阻害剤が第1項〜第20項のいずれか1項に記載の化合物である、第27項〜第30項のいずれか1項に記載の方法。
32.前記二重阻害剤が局所的に、血管内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、鼻腔内に、または経口的に投与される、第27項〜第32項のいずれか1項に記載の方法。
33.前記二重阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される、第27項〜第32項のいずれか1項に記載の方法。
34.前記二重阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される、第27項〜第32項のいずれか1項に記載の方法。
35.前記二重阻害剤が、およそ、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される、第27項〜34項のいずれか1項に記載の方法。
36.前記二重阻害剤が、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される、第27項〜35項のいずれか1項に記載の方法。
37.追加的な抗がん療法を行う段階を更に含む、第27項〜第3627項のいずれか1項に記載の方法。
38.前記二重阻害剤と前記追加的な抗がん療法が、同時にまたは逐次的に施される、第37項に記載の方法。
39.前記追加的な抗がん療法が施される前、施されている最中、または施された後に、前記二重阻害剤が投与される、第37項または第38項に記載の方法。
40.前記追加的な抗がん療法が、外科手術、放射線療法(放射線治療)、生物学的療法、免疫療法、化学療法、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第37項〜第39項のいずれか1項に記載の方法。
41.前記追加的な抗がん療法が、前記対象に抗がん治療剤を投与することを含む、第37項〜第40項のいずれか1項に記載の方法。
42.前記二重阻害剤と前記抗がん治療剤が、1つの組成物中で提供される、第41項に記載の方法。
43.前記二重阻害剤と前記抗がん治療剤が、別個の組成物中で提供される、第41項または第42項に記載の方法。
44.前記抗がん治療剤が化学療法剤である、第41項〜第43項のいずれか1項に記載の方法。
45.前記二重阻害剤が磁性粒子と結合しており、前記方法が、磁場を使用して二重阻害剤をがんまたは腫瘍へと導く段階を更に含む、第27項〜第44項のいずれか1項に記載の方法。
46.HDACとGSK3βの二重阻害剤;及び
対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、前記二重阻害剤の使用のための指示書
を含む、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、キット。
47.前記HDACとGSK3βの二重阻害剤が、第1項〜第20項のいずれか1項に記載の化合物である、第46項に記載のキット。
48.抗がん治療剤を更に含む、第46項または第47項に記載のキット。
49.前記抗がん治療剤が化学療法剤である。第48項に記載のキット。
50.HDAC阻害剤とGSK3β阻害剤とを含有する組成物。
51.前記HDAC阻害剤が、SAHA、TSA、TPX、MS−275、バルプロ酸、もしくはCHAP31、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第50項に記載の組成物。
52.前記GSK3β阻害剤が、SB216763、TDZD−8、チデグルシブ(NP−12)、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第50項または第51項に記載の組成物。
53.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせである、第50項〜第52項のいずれか1項に記載の組成物。
54.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせである、第50項〜第53項のいずれか1項に記載の組成物。
55.薬学的に許容可能な賦形剤または担体を更に含有する、第50項〜第54項のいずれか1項に記載の組成物。
56.前局所投与用に、脈管内投与用に、静脈内投与用に、動脈内投与用に、腫瘍内投与用に、筋肉内投与用に、皮下投与用に、腹腔内投与用に、鼻腔内投与用に、または経口投与用に製剤される、第50項〜第55項のいずれか1項に記載の組成物。
57.抗がん治療剤を更に含有する、第50項〜第56項のいずれか1項に記載の組成物。
58.前記抗がん治療剤が化学療法剤である、第57項に記載の組成物。
59.前記HDAC阻害剤と前記GSK3βのうちの少なくとも1つが粒子と結合している、第57項または第58項に記載の組成物。
60.前記粒子が磁性粒子である、第59項に記載の組成物。
61.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3βが、開裂可能な連結基を含むリンカーを介して前記粒子と結合している、第59項または第60項に記載の組成物。
62.前記開裂可能な連結基が酵素によって切断される、第61項に記載の組成物。
63.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在する酵素によって切断される、第61項または第62項に記載の組成物。
64.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在するペプチダーゼによって切断される、第61項〜第63項のいずれか1項に記載の組成物。
65.前記開裂可能な連結基が、カテプシンGの開裂可能な基質である、第61項〜第64項のいずれか1項に記載の組成物。
66.以下の段階を含む、対象の症状の治療方法、対象の症状の予防方法、対象の発症の可能性の低減方法、対象の症状の重症度の低減方法、及び/または対象の症状の進行の鈍化方法:
HDAC阻害剤及びGSK3β阻害剤の治療有効量を対象に投与する段階であって、それによって対象の症状を治療する、対象の症状を予防する、対象の発症の可能性を低減させる、対象の症状の重症度を低減させる、及び/または対象の症状の進行を鈍化させる、段階。
67.前記症状が、がんまたは腫瘍である、第66項に記載の方法。
68.前記症状が、膵がんである、第66項または第67項に記載の方法。
69.前記対象がヒトである、第66項〜第68項のいずれか1項に記載の方法。
70.前記HDAC阻害剤と前記GSK3β阻害剤が、1つの組成物中で提供される、第66項〜第69項のいずれか1項に記載の方法。
71.前記HDAC阻害剤と前記GSK3β阻害剤が、別個の組成物中で提供される、第66項〜第69項のいずれか1項に記載の方法。
72.前記HDAC阻害剤と前記GSK3β阻害剤が同時にまたは逐次的に投与される、第66項〜第71項のいずれか1項記載の方法。
73.前記GSK3β阻害剤の投与前、投与中、または投与後に、前記HDAC阻害剤が投与される、第66項〜第72項のいずれか1項に記載の方法。
74.前記HDAC阻害剤が、SAHA、TSA、TPX、MS−275、バルプロ酸、もしくはCHAP31、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである、第66項〜第73項のいずれか1項に記載の方法。
75.前記GSK3β阻害剤が、SB216763、TDZD−8、もしくはチデグルシブ(NP−12)、またはこれらの機能的な等価体、類似体、誘導体もしくは塩、またはこれらの組み合わせである、第66項〜第74項のいずれか1項に記載の方法。
76.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、局所的に、脈管内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、筋肉内に、皮下に、腹腔内に、鼻腔内に、または経口的に投与される、第66項〜第75項のいずれか1項に記載の方法。
77.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000mg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される、第66項〜第76項のいずれか1項に記載の方法。
78.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、約0.001〜0.01、0.01〜0.1、0.1〜0.5、0.5〜5、5〜10、10〜20、20〜50、50〜100、100〜200、200〜300、300〜400、400〜500、500〜600、600〜700、700〜800、800〜900、もしくは900〜1000μg/kg、またはこれらの組み合わせで投与される、第66項〜第76項のいずれか1項に記載の方法。
79.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、およそ、1日に1〜3回、1週間に1〜7回、または1か月に1〜9回投与される、第66項〜第78項のいずれか1項に記載の方法。
80.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が、約1〜10日間、10〜20日間、20〜30日間、30〜40日間、40〜50日間、50〜60日間、60〜70日間、70〜80日間、80〜90日間、90〜100日間、1〜6か月間、6〜12か月間、または1〜5年間投与される、第66項〜第79項のいずれか1項に記載の方法。
81.追加的な抗がん療法を行うことを更に含む、第66項〜第8027項のいずれか1項に記載の方法。
82.前記HDAC阻害剤、前記GSK3β阻害剤、及び前記追加的な抗がん療法が、同時にまたは逐次的に施される、第81項に記載の方法。
83.前記追加的な抗がん療法が施される前、施されている最中、または施された後に、前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3β阻害剤が投与される、第81項または第82項に記載の方法。
84.前記追加的な抗がん療法が、外科手術、放射線療法(放射線治療)、生物学的療法、免疫療法、化学療法、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、第81項〜第83項のいずれか1項に記載の方法。
85.前記追加的な抗がん療法が、前記対象に抗がん治療剤を投与することを含む、第81項〜第84項のいずれか1項に記載の方法。
86.前記HDAC阻害剤、前記GSK3β阻害剤、及び前記化学療法剤が、別個の組成物中で提供される、第81項〜第85項のいずれか1項に記載の方法。
87.前記HDAC阻害剤、前記GSK3β阻害剤、及び前記抗がん治療剤のうちの少なくとも2つが、1つの組成物中で提供される、第81項〜第85項のいずれか1項に記載の方法。
88.前記HDAC阻害剤、前記GSK3β阻害剤、及び前記抗がん治療剤の3つ全てが1つの組成物中で提供される、第81項〜第85項のいずれか1項に記載の方法。
89.前記抗がん治療剤が化学療法剤である、第81項〜第88項のいずれか1項に記載の方法。
90.前記HDAC阻害剤と前記GSK3βのうちの少なくとも1つが粒子と結合している、第66項に記載の方法。
91.前記粒子が磁性粒子である、第90項に記載の方法。
92.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3βが、開裂可能な連結基を含むリンカーを介して前記粒子と結合している、第90項または第91項に記載の方法。
93.前記開裂可能な連結基が酵素によって切断される、第92項に記載の方法。
94.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在する酵素によって切断される、第92項または第93項に記載の方法。
95.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在するペプチダーゼによって切断される、第92項〜第94項のいずれか1項に記載の方法。
96.前記開裂可能な連結基が、カテプシンGの開裂可能な基質である、第92項〜第95項いずれか1項に記載の方法。
97.前記HDAC阻害剤と前記GSK3βのうちの少なくとも1つが磁性粒子と結合しており、前記方法が、磁場を使用して前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3βをがんまたは腫瘍へと導く段階を更に含む、第92項〜第96項のいずれか1項に記載の方法。
98.HDAC阻害剤;
GSK3β阻害剤;及び
対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、前記HDAC阻害剤及び前記GSK3β阻害剤の使用のための指示書
を含む、対象の症状を治療するための、対象の症状を予防するための、対象の発症の可能性を低減させるための、対象の症状の重症度を低減するための、及び/または対象の症状の進行を鈍化させるための、キット。
99.抗がん治療剤を更に含む、第98項に記載のキット。
100.前記抗がん治療剤が化学療法剤である、第98項または第99項に記載のキット。
101.前記HDAC阻害剤と前記GSK3βのうちの少なくとも1つが粒子と結合している、第98項〜第101項のいずれか1項に記載のキット。
102.前記粒子が磁性粒子である、第101項に記載のキット。
103.前記HDAC阻害剤及び/または前記GSK3βが、開裂可能な連結基を含むリンカーを介して前記粒子と結合している、第101項または102項に記載のキット。
104.前記開裂可能な連結基が酵素によって切断される、第103項に記載のキット。
105.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在する酵素によって切断される、第103項または第104項に記載のキット。
106.前記開裂可能な連結基が、がんまたは腫瘍中に多く存在するペプチダーゼによって切断される、第103項〜第105項のいずれか1項に記載のキット。
107.前記開裂可能な連結基が、カテプシンGの開裂可能な基質である、第103項〜第106項のいずれか1項に記載のキット。
本発明の実施形態において、数多くの変形形態及び選択的な要素が開示された。更なる変形形態及び選択的な要素は当業者に明白であろう。限定するものではないが、これらの変形形態は、本発明の組成物のための、並びに、診断されるか予見されるかその後にこれによって治療され得る病気及び他の臨床症状のための、構成モジュールの選択である。本発明の様々な実施形態は、これらの変形形態または要素のいずれかを、具体的に含めるか除外することができる。
いくつかの実施形態では、本発明のある実施形態を表す及び特許請求するために使用される成分の量、濃度などの特性、反応条件等を表す数字は、いくつかの場合においては用語「約」によって修正されているものとして理解されるべきである。したがって、いくつかの実施形態では、明細書の記載及び添付の請求項に示されている数値パラメーターは、具体的な実施形態によって得ることが求められる望ましい特性次第で変動し得る近似値である。いくつかの実施形態では、数値パラメーターは、報告されている有効数字を考慮して、及び通常の端数処理法を用いることによって、解釈されるべきである。本発明のいくつかの実施形態の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメーターは近似値であるものの、具体的な実施例において示されている数値は実施可能な程度に厳密に報告されている。本発明のいくつかの実施形態中に存在する数値は、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含んでいてもよい。
本明細書に開示されている本発明の選択的な要素もしくは実施形態のグループ分けは、限定的なものとして解釈すべきではない。各グループの要素は、個々に、または、グループの他の要素もしくは本明細書にある他の要素とのあらゆる組み合わせとして、言及される場合があり、また特許請求される場合がある。グループの1つ以上の要素は、便宜上、及び/または特許性の理由から、グループに含められる場合があり、またはグループから取り除かれる場合がある。そのような何らかの組み入れまたは除外が生じる場合、明細書は、添付の請求項で使用されている全てのマーカッシュグループに記載されている記述を満たすように修正されたグループを含むと見なされる。
本発明を以下の実施例によって更に説明するが、これらは本発明の純粋な例示を意図しており、本発明を限定するものとして決して見なすべきではない。以下の実施例は請求項にかかる発明のより詳しい説明を与えるものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。具体的な材料が述べられていることに関しては、これは単に例示の目的であり、発明を限定することを意図していない。当業者は、発明の能力を発揮することなしに、そして本発明の範囲を逸脱することなしに、均等な手段または反応物質を開発することができる。
実施例1
新規な化合物、並びに、成長促進GSKβ、転移、及び治療抵抗性促進HDACを同時に阻害する方法による膵がんの治療
様々な実施形態において、本発明は、κ−rasによる新生物のための、GSK3βとHDACの両方の阻害剤を組み合わせたがん治療を提供する。一般的なスキームは図1に示されており、実験結果は図2〜7に示されている。
本発明者らは、がん遺伝子細胞変異体κ−rasが膵臓で発現した膵がんのマウスモデルを使用した(pdx1−Cre−LSL−Kras)。これらのマウスを喫煙チャンバーの中で6週間、タバコの煙に曝露した。マウスのグループにはGSK3β阻害剤TDZD−8(4mg/Kg、1週間に3回)及び/またはHDAC阻害剤Saha(50mg/Kg;1週間に5回)を6週間注射した。
発明者らは、Sahaを受けた動物は、対照群と比較して、膵上皮内腫瘍(PanIN)と呼ばれる早期がん病変の形成が大幅に減少したこと;及び、SahaとTDZD−8とを組み合わせると、それぞれの化合物単独と比較してこの効果が著しく向上することを見出した(図2)。コラーゲン染色で線維化を測定した場合にも同じ効果が観察された。線維化はがんの活性の尺度である。実際に、SahaとTDZD−8との組み合わせは線維化を相乗的に低減させた(図3)。
GSK3βの阻害は、ビメンチンの測定(これはEMTについての認められている測定方法である)によって示されるように、EMTのアップレギュレーションを生じさせる(図4)。GSK3βのこの影響は、HDAC阻害剤Sahaによって抑制された(図4)。Sahaは、TwistやSnailなどのEMTを制御することが知られている転写因子も阻害した。膵がんで使用されている化学療法剤であるゲムシタビンと共に上記2つの阻害剤の組み合わせを用いることで、EMTマーカーのビメンチン及びその転写因子が完全に阻害された(図4)。
低用量の阻害剤の組み合わせによって、がん細胞の生存に対する相乗効果が生じた(図5〜7)。そしてより重要なことには、GSK3β阻害によるEMT/転移の増加は、HDAC阻害剤よって抑制され、これは細胞の生存及び増殖に対して相乗的に作用することによる、かつ阻害剤の1つの副作用であるがんを増加する作用を反転させることによる、二重の有益な効果となった。
実施例2:典型的な二重阻害剤の生体外試験及び生体内試験
細胞生存率に対するALB−185357の影響
様々な用量のsahaとチデグルシブの組み合わせの存在下もしくは不存在下、またはALB−185357と共に、BxPC−3膵がん細胞株を72の間培養し、MTTアッセイによって細胞生存率を測定した。図13中のデータは、化合物ALB−185357が用量に依存して細胞生存率を減少させたことを示している。ALB−185357の作用の効果は、HDAC阻害剤のsahaとGSK−3β阻害剤のチデグルシブの組み合わせよりも大きい。300nMのALB−185357を使用した場合に有意性が得られ、また細胞生存率に対するその効果はsahaとチデグルシブの組み合わせの効果よりも大きかった。図4及び図7から分かるように、sahaとチデグルシブの組み合わせは細胞死、増殖、及びEMTの測定に対して相乗効果を有していた。したがって、ALB−185357の効果(HDACとGSK3βの二重阻害剤)は、個々の薬剤の組み合わせで観察された相乗効果に対する追加的な相乗効果を示す。
細胞アポトーシスに対するALB−185357の効果
様々な用量のALB−185357の存在下もしくは不存在下、MIA PaCa−2細胞を72の間培養し、DNA断片化を測定することによってアポトーシスを評価した。結果は図14に示されている。図14中のデータから分かるように、DNA断片化レベルにより測定したアポトーシスをALB−185357が用量に依存して増加させ、有意差は300nMの用量で得られた。
細胞アポトーシスに対するALB−185357及びゲムシタビンの効果
様々な用量のALB−185357または1ng/mlの低用量のゲムシタビンの存在下もしくは不存在下、MIA PaCa−2細胞を72の間培養し、DNA断片化を測定することによってアポトーシスを評価した。図15中のデータは、ALB−185357とゲムシタビンの組み合わせが、それぞれの薬剤単独と比較して、または見込まれる追加的な効果と比較して、アポトーシス誘導に対してより大きな効果を生じさせることを示している。
細胞生存率に対するALB−188540及びALB−185643の効果
様々な用量のALB−188540またはALB−185643の存在下もしくは不存在下、BxPC−3膵がん細胞を72の間培養し、MTTアッセイによって細胞生存率を測定した。図16及び16Bのデータは、化合物ALB−188540(図16A)とALB−185643(図16B)がBxPC3細胞の生存率に関して、化合物ALB−185357と同様の効果を有していたことを示している。
様々ながん細胞種及びがん細胞ではない種の細胞生存率に対するALB−185357の効果
様々な用量のALB−185357の存在下もしくは不存在下で細胞を72の間培養し、MTTアッセイによって(図17及び図18)、または細胞数を計測することによって(図19)、細胞生存率を測定した。MTTアッセイの結果は図17及び18に、細胞計数の結果は図19に示されている。このデータは、ALB−185357が様々ながん細胞種の生存を阻害することを示している。
様々な用量のALB−185357の存在下もしくは不存在下で細胞を72の間培養し、細胞生存率をMTTアッセイによって測定した。図20のデータは、化合物ALB−185357は正常な膵管細胞の細胞生存率には影響を与えないことを示している。
まとめると、図17〜20のデータは、ALB−185357は様々ながんの種類由来のがん細胞に対して非常に毒性が高いが、正常な細胞に対しては毒性がないことを示している。
ヒストンのアセチル化及びGSK−3βのリン酸化/阻害に対するALB−185357の効果
様々な用量のALB−185357の存在下もしくは不存在下で細胞を72の間培養し、タンパク質レベルをウエスタンで測定した。データは、ALB−185357によって調節されると見込まれる経路が、実際に薬剤によって調節されることを示している。図21から分かるように、化合物ALB−185357は、MIA PaCa−2膵がん細胞株中で、予測されている標的のヒストンアセチル化とGSK−3βのリン酸化/阻害を、用量に依存して促進する。
ヒストンのアセチル化及びGSK−3βのリン酸化/阻害に対するALB−185357の効果
様々な用量のALB−185357の存在下もしくは不存在下で細胞を72の間培養し、タンパク質レベルをウエスタンで測定(図22A)し、マトリゲル浸潤チャンバー中で細胞浸潤を測定した(図22B)。図22A中のデータは、ALB−185357が細胞の転移及び治療抵抗性を仲介するタンパク質をダウンレギュレーションすることを示している。図22B中のデータは、がん細胞の浸潤能力がダウンレギュレーションされることを示している。
生存率に対するALB−185357の生体内での効果
Kras及びp53変異、並びに自然発症した膵臓腺がんを有するKPCマウスに、生後8週から死亡まで1週間に3回、5mg/KgのALB185357を腹腔内注射した。図23から分かるように、化合物ALB−185357は進行した膵がんを有する動物の生存率を向上させる。
上で述べた様々な方法及び技術は、本出願を実施するための数多くの方法を提供する。当然、記載されている全ての目的または利益が、本明細書に記載のいずれかの具体的な実施形態によって必ずしも達成できる訳ではないことは理解されるべきである。したがって、例えば当業者であれば、本明細書で教示または示唆されている他の目的または利点の達成を必須とせずに、本明細書に教示されているような1つの利点もしくは利点の集合を達成または最大限にするような形で方法を行うことができることを認識するであろう。本明細書では様々な選択肢が述べられている。これは、複数の好ましい実施形態が具体的に1つ、別の1つ、または複数の特徴を包含している一方で、他の実施形態が具体的に1つ、別の1つ、または複数の特徴を除外しており、また更に別の実施形態は1つ、別の1つ、または複数の有利な特徴を含めることによって具体的な特徴を緩和していることが理解されるべきである。
更に、当業者であれば、様々な実施形態由来の様々な特徴の適用可能性を認識するであろう。同様に、上で論じられている様々な要素、特徴、及び工程、並びに各そのような要素、特徴、及び工程についての他の公知の均等物は、本発明に記載の原理に従って方法を行うために、当業者によって様々な組み合わせで用いられ得る。様々な要素、特徴、及び工程は、様々な実施形態において、具体的に包含されるものもあれば、具体的に除外されるものもあるであろう。
本出願は、特定の実施形態及び実施例との絡みで開示されているが、本出願の実施形態は、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の変形実施形態及び/または用途、並びにこれらの修正物及び均等物にまで及ぶことが当業者に理解されるであろう。
本出願を行うための発明者らが認識している最良の形態を含む、本出願の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。上述の記載を読むことによって、これらの好ましい実施形態に基づく変形形態が当業者に明白になるであろう。当業者はそのような変形形態を適切に採用することができ、明細書に具体的に記載されている以外のものについて本出願を実施可能であると考えられる。したがって、本出願の多くの実施形態には、適用する法律によって認められる本明細書に添付の請求項に記載されている主題の全ての修正物及び均等物が包含される。更に、その全ての可能な変形形態における上述の要素のあらゆる組み合わせは、本明細書に特段の記載がない限り、あるいは文脈から明確に否定されない限り、本出願によって網羅される。
本明細書において参照されている全ての特許、特許出願、特許出願公開、及び他の資料(記事、本、明細書、刊行物、文書、事物、及び/または同様のもの等)は、それらに関連する出願経過、本文書と矛盾するもしくは相反するそれらのいずれか、または現在もしくは後に本文書に関連する請求項の幅広い範囲に対して限定する作用を有し得るそれらのいずれかを除いては、その参照により、それらの全体があらゆる目的のために本明細書に包含される。例えば、包含された資料のいずれかに関連する記載、定義、及び/または用語の使用と、本文書に関連するものとの間に何等かの矛盾または不一致が存在する場合には、本文書中の記載、定義、及び/または用語の使用が優先されるものとする。
本明細書に開示されている出願の実施形態は、本出願の実施形態の原理の例示であることが理解されるべきである。採用可能な他の修正形態も本出願の範囲内に入り得る。したがって、例えば、これに限定するものではないが、本出願の実施形態の代替の構成も本明細書の教示に従って利用し得る。したがって、本出願の実施形態は、示され、記載されているものに厳密に限定されない。
本発明の様々な実施形態は、「発明を実施するための形態」中で上述されている。これらの記述は上の実施形態を直接的に述べているが、当業者であれば、本明細書に示され、記載されている具体的な実施形態に対する修正及び/または変更を思い付くことができると理解される。この記載の範囲内に入るあらゆるそのような修正または変更も、その中に含まれることが意図されている。特に断りのない限り、明細書及び請求項中の単語及び表現は本出願の技術分野の当業者にとって通常の慣習的な意味であることが発明者らにより意図されている。
本出願時点で、出願人が認識している発明の様々な実施形態の前述の記載が示されており、これは例示及び説明を意図したものである。本明細書の記述は、網羅的であることも発明を開示された形態に厳密に限定することも意図しておらず、上の教示を踏まえて数多くの修正及び変更が可能である。記載されている実施形態は、本発明の原理及び実際の適用を説明する役割、並びに、様々な実施形態において、及び意図した具体的な用途に適するように様々に修正して、本発明を他の当業者に利用可能にする役割を果たしている。したがって、本発明は、本発明を実行するために開示されている具体的な実施形態に限定されないことが意図されている。
本発明の具体的な実施形態が示され、また記述されているが、本発明及びその幅広い態様から逸脱することなしに、本明細書の教示に基づいて変更及び修正をし得ることは当業者には自明であろう。したがって、添付の請求項には、本発明の真の趣旨及び範囲内にある全てのそのような変更及び修正がその範囲内に包含されなければならない。