JP2020090415A - 複合材料 - Google Patents

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Makoto Okai
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、同程度の機械強度増強効果で比較したとき、ナノチューブ添加率のより小さい複合材料を提供すること、または、同じナノチューブ添加率で比較したとき、より大きい機械強度増強効果を有する複合材料を提供することである。【解決手段】 母材中にマルチウォールナノチューブを分散した複合材料であって、最内層のナノチューブの内径rhと最外層のナノチューブの外径rから定まる中空径比(rh/r)が0.4以上である複合材料。【選択図】 図5

Description

本発明は、ナノチューブを母材に添加、分散させて高強度化した複合材料に関する。
材料の機械強度を飛躍的に向上させるための添加材として、一般に、ヤング率が桁違いに高いナノチューブが有望である。現在、数g以上の数量を、比較的容易に購入できるナノチューブは、カーボンナノチューブと窒化ホウ素ナノチューブである。両者のヤング率は800GPa〜1200GPaであり、材料の機械強度増強のための添加材として、非常に有望である。
ナノチューブを添加、分散した複合材料のヤング率は、分配則により予測することが可能である。例えば、ヤング率50GPaの母材に、ヤング率1000GPaのナノチューブを2.0vol%混合した複合材料のヤング率は、50GPa×0.98 +1000GPa×0.02=69GPaと計算できる。すなわち、ナノチューブを2.0vol%混合するだけでヤング率を理論上、最大38%向上させることができる。
アルミニウムに、窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料が、非特許文献1に報告されている。非特許文献1は窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)によって強化されたAl-BNNT複合材料の開発に関し、BNNTは高温および反応条件を備えた溶融アルミニウム中にあっても残存できること、BNNTと溶融アルミニウムとの間の相互作用により界面反応が観察されること、界面反応によりBNNTの表面にAlN、AlB2、AlB10等の反応生成物が形成されること、反応生成物により溶融Alに対するBNNTの濡れ性が改善されること、これらの知見に基づき鋳造法による高強度BNNT強化Al複合材料の開発の可能性があること、を示している。
非特許文献1では、ナノチューブの内径と外形の比率(中空経比)が約0.3の窒化ホウ素ナノチューブを使用してAl-BNNT複合材料を作製している。
Acta Materialia, vol.126, p.124-131 (2017)
ナノチューブは、一般的に非常に高価な材料であるため、添加材として用いる場合も、出来るだけ小さい添加率で出来るだけ大きい機械強度増強効果を引き出せるように工夫する必要がある。しかし、非特許文献1で開示する窒化ホウ素ナノチューブを使用して十分な機械強度増強効果を有するAl-BNNT複合材料を作製しようとすると、多くの窒化ホウ素ナノチューブを添加しなければならなかった。
本発明の目的は、同程度の機械強度増強効果で比較したとき、ナノチューブ添加率のより小さい複合材料を提供すること、または、同じナノチューブ添加率で比較したとき、より大きい機械強度増強効果を有する複合材料を提供することである。
本願発明者はこれまであまり研究されて来なかったナノチューブの中空径に着目し、鋭意研究の末に本発明の複合材料に到った。すなわち、本発明の複合材料は、母材中にマルチウォールナノチューブを分散した複合材料であって、最内層のナノチューブの内径rと最外層のナノチューブの外径rから定まる中空径比(r/r)が0.4以上であることを特徴とする。
本発明において、前記マルチウォールナノチューブが主に窒素原子とホウ素原子で構成されていることが好ましい。
本発明において、前記マルチウォールナノチューブが主に炭素原子で構成されていることが好ましい。
本発明において、母材を金属材料とすることができる。
本発明において、母材を有機物とすることができる。
本発明により、ナノチューブを添加して、母材の機械強度を増強する際に、ナノチューブのより小さい添加率で、より大きな機械強度増強効果を有する複合材料を得ることが可能である。
ナノワイヤ添加複合材料の荷重伝達方程式を導入するための計算モデル。 ナノチューブ添加複合材料の荷重伝達方程式を導入するための計算モデル。 ナノワイヤの強度増強因子SNWの傾き角度θ依存性の計算結果。 ナノチューブの強度増強因子SNTの傾き角度θ依存性の計算結果。 本発明の実施例1に係る、中空経比0.84の窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料の断面透過型電子顕微鏡写真。 本発明の実施例3に係る、中空経比0.47の窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料の断面透過型電子顕微鏡写真。
本願発明者はアルミニウムに添加するナノチューブを出来るだけ小さい添加率で出来るだけ大きい機械強度増強効果を引き出すために、添加するナノチューブの中空径比に着目した。
添加材としてのナノチューブの機械的強度増強効果は、その表面積に比例する。そのため、出来るだけ小さい添加率で出来るだけ大きい機械強度増強効果を引き出すためには、単位重量当たりの表面積、すなわち比表面積が出来るだけ大きいほうが望ましい。比表面積が最も大きくなるナノチューブの形態は、1層構造のシングルウォールナノチューブである。しかしながら、シングルウォールナノチューブは、構造欠陥により機械強度が極端に低下する可能性が高いため、機械強度増強のための添加材としては望ましくない。そのため、2層以上の同心構造のマルチウォールナノチューブで、出来るだけ比表面積の大きいものを添加材として使用することが望ましい。マルチウォールナノチューブの場合、その最外層のナノチューブの外径rに対する最内層のナノチューブの内径(中空径)rの割合、すなわち中空径比(r/r)が大きいほど比表面積が大きくなる。
一般にナノチューブの作製工程において、その直径および中空径を制御することは困難である。そのため、どの程度の中空経比を有するマルチウォールナノチューブを使用すれば、どの程度効率的に、すなわちより少量で、目的とする機械強度を得られるかを、定量的に理解することが必要となる。
上記の課題を解決するために、剪断応力モデルを用いて、荷重伝達方程式を導く。まずは、中空部のないナノワイヤについて荷重伝達方程式を導き、これを応用してナノチューブについて荷重伝達方程式を導く。
ナノワイヤが荷重印加方向から角度θだけ傾いた場合の計算モデルを図1に示す。ナノワイヤの直径を2r、長さを2Lとする。ナノワイヤの縦方向と荷重印加方向とのなす角度がθであると仮定する。
方程式導出の手順は、以下の通りである。まず、図1(a)に示す縦方向と、(b)に示す横方向の荷重をそれぞれ導出し、次に縦方向と横方向の荷重を合成することにより全体の荷重伝達方程式を導出する。
まず、図1(a)に示した縦方向の荷重伝達方程式を導出する。ナノワイヤへの縦方向印加応力をσf,l (添字fはfiberの頭文字、添字lはlongitudinalの頭文字)、ナノワイヤと母材との界面での剪断応力をτi,l (添字iはinterfaceの頭文字、添字lはlongitudinalの頭文字)とする。σf,lとτi,lが釣り合うことより、(1)式の微分方程式を得る。(1)式を積分して整理することにより(2)式を得る。(2)式でσf,lの平均値をσf,l上に−を付けて表示した。σmは母材への荷重を表す。
次に、図1(b)に示した横方向の荷重伝達方程式を導出する。ナノワイヤへの横方向荷重をσf,t (添字fはfiberの頭文字、添字tはtransverseの頭文字)、ナノワイヤと母材との界面での剪断応力をτi,t (添字iはinterfaceの頭文字、添字tはtransverseの頭文字)とする。σf,tとτi,tが釣り合うことより、(3)式の微分方程式を得る。(3)式を積分して整理することにより、(4)式を得る。(4)式でσf,t の平均値をσf,t上に−を付けて表示した。
最後に、縦方向と横方向の応力を合成することにより全体の荷重伝達方程式を導出する。σf の平均値(σf 上に−を付けて表示)は、縦方向と横方向のベクトル合成として(5)式で表すことができる。(5)式に(2)式と(4)式を代入して整理し、さらに、分配法則(6)式に代入することによりナノワイヤ添加複合材料の荷重伝達方程式は(7)式となる。ここで、σはナノワイヤ添加複合材料への荷重、σfはナノワイヤへの荷重、Vfはナノワイヤの体積比重、Vmは母材の体積比重を表す。
次に、ナノチューブが荷重印加方向から角度θだけ傾いた場合の計算モデルを図2に示す。ナノチューブの直径を2r、長さがを2Lとする。また、中空部分の直径を2rh とする。ナノチューブの軸方向と荷重印加方向とのなす角度がθであると仮定する。
方程式導入の手順は、以下の通りである。まず、図2(a)に示す縦方向と、(b)に示す横方向の応力をそれぞれ計算し、次に縦方向と横方向の応力を合成することにより、全体の荷重伝達方程式を導出する。
まず、図2(a)に示す縦方向の荷重伝達方程式を導出する。ナノチューブへの縦方向印加応力をσf,l (添字fはfiberの頭文字、添字lはlongitudinalの頭文字)、ナノチューブと母材との界面での剪断応力をτi,l (添字iはinterfaceの頭文字、添字lはlongitudinalの頭文字)とする。σf,lとτi,lが釣り合うことより(8)式の微分方程式を得る。(8)式を積分して整理することにより(9)式を得る。(9)式でσf,lの平均値をσf,l上に−を付けて表示した。
次に、図2(b)に示した横方向の荷重伝達方程式を導出する。ナノチューブへの横方向荷重をσf,t (添字fはfiberの頭文字、添字tはtransverseの頭文字)、ナノチューブと母材との界面での剪断応力をτi,t (添字iはinterfaceの頭文字、添字tはtransverseの頭文字)とする。σf,tとτi,tが釣り合うことより図2の(10)式の微分方程式を得る。(10)式を積分して整理することにより(11)式を得る。(11)式でσf,t の平均値をσf,t上に−を付けて表示した。
最後に、縦方向と横方向の応力を合成することにより全体の荷重伝達方程式を導出する。σf の平均値(σf 上に−を付けて表示)は、縦方向と横方向のベクトル合成として(12)式で表すことができる。(12)式に(9)式と(11)式を代入して整理し、さらに、分配法則(13)式に代入することによりナノチューブ添加複合材料の荷重伝達方程式は(14)式となる。
(7)式で表されるナノワイヤ添加複合材料の荷重伝達方程式、(14)式で表されるナノチューブ添加複合材料の荷重伝達方程式は、両者とも、(15)式の形式であり、Sをナノワイヤおよびナノチューブの強度増強因子と見ることができる。ナノワイヤの強度増強因子をSNW、ナノチューブの強度増強因子をSNTと表記すると、SNWは(16)式、SNTは(17)式で表すことができる。
SNWの傾き角θ依存性を計算した結果を図3に示す。アスペクト比(L/r)が10, 50, 100の3条件の計算結果を示す。θの値に依らずアスペクト比が大きいほどSNWは大きな値となる。何れの条件においてもθ=0°でSNWはアスペクト比に等しくなり、θが増加するにつれて徐々に減少し、θ=45°でアスペクト比の0.503倍になる。すなわち、L/r=100の場合、SNW=100 (@θ=0°)、SNW=50.3 (@θ=45°)となる。
強度増強因子SNWの角度θ依存性はアスペクト比に依らず一定である。例えば、θ=0°のSNWに対するθ=45°のSNWの比率(SNW@45°/SNW@0°)は、アスペクト比10, 50, 100の何れの場合も同じ値(0.503)となる。
ナノワイヤが、荷重印加方向に配列している場合(θ=0°)、SNWは最大となり、その値はナノワイヤのアスペクト比(L/r)に等しい。また、ナノワイヤがランダムに配向している場合、θ=45°でのSNWを概ねその平均値と見なすことができる。正確な平均値は、SNWを0°≦θ≦90°で積分することにより求めることができる。
次に、SNTの傾き角θ依存性を計算した結果を図4に示す。アスペクト比(L/r)を100とし、中空径比(rh/r)が0.4, 0.6, 0.8の3条件の計算結果を示す。θの値に依らず中空径比(rh/r)が大きいほどSNTは大きな値となる。何れの条件においてもθ=0°でSNTは最大となり、中空径比(rh/r)が0.4, 0.6, 0.8の場合に、それぞれ119.0, 156.3, 277.8となる。θが増加するにつれてSNTは徐々に減少し、θ=45°でそれぞれ60.2, 78.6, 139.2となる。参考として図4に中空径比0(ナノワイヤNW)の強度増強因子SNWを示す。そのSNWはθの値に依らず他の何れのアスペクト比のものより小さい。
アスペクト比が100の場合、傾き角θ=45°において、中空径比が0.4, 0.6, 0.8の場合、SNTは60.2, 78.6, 139.2となり、中空部の無いナノワイヤに比較して、それぞれ1.20倍(=60.2/50.3), 1.56倍(=78.6/50.3), 2.77倍(=139.2/50.3)の強度補強効果があることが判明した。このことから添加するナノチューブの中空径比を大きくするほど複合材料の強度補強効果が大きくなることが分かる。
上記では、アスペクト比が100の場合について説明したが、強度補強効果の割合は、アスペクト比に依存しない。また、母材中に分散されたナノチューブの配向は一般的にはほぼランダムであるからナノチューブの傾き角の平均値は約45°となる。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの具体例に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。
[実施例1]
中空径比の大きな窒化ホウ素ナノチューブをアルミニウム母材に均一に混合し、機械強度の増強を実現した。
図5には、中空径比の大きい窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料の断面透過型電子顕微鏡写真を示す。左右は同じ写真であり、中央に窒化ホウ素ナノチューブの断面が写っている。中央の窒化ホウ素ナノチューブはダブルウォール構造を有し、扁平した形で、アルミニウム母材中に閉じ込められている。その外径および中空径を測定した箇所を右側写真の破線および実線で示す。外径は最外層のナノチューブの外径rであり、中空径は最内層のナノチューブの内径rである。本実施例のナノチューブの断面は扁平しているため、長尺および短尺の2個所で測定し、これをナノチューブ10本について測定して求めた平均外径rは4.3nm、平均内径rは3.6nm、平均中空径比は0.84であった。
窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料の作製方法を以下に示す。窒化ホウ素ナノチューブは、アルミニウム溶湯との反応性が低いため、窒化ホウ素ナノチューブを添加したアルミニウム複合材料を鋳型成形することが可能である。また、窒化ホウ素ナノチューブは、アルミニウム溶湯との反応性が低いため、窒化ホウ素ナノチューブをアルミニウム溶湯中に直接投入し、撹拌することにより、窒化ホウ素ナノチューブを均一に分散させることが理論上は可能である。しかしながら、窒化ホウ素ナノチューブの密度は、アルミニウム溶湯の密度に比較して小さいため、アルミニウム溶湯の表面に窒化ホウ素ナノチューブが浮遊して均一に混合することができない。なお、窒化ホウ素ナノチューブの理論計算密度は、層数及び中空径に依存するが、概ね1.0〜2.5g/cm3の範囲である。これに対して、アルミニウムの密度は、2.7g/cm3である。
複合材料の作製工程は、[1]窒化ホウ素ナノチューブの作製、[2]マスターバッチの作製、[3]マスターバッチへのアルミニウム溶湯の注入、[4]アルミニウム注入マスターバッチをアルミニウム溶湯に投入、[5]鋳型成形の各工程からなる。それぞれの工程の詳細を以下に示す。
[1]窒化ホウ素ナノチューブの作製
窒化ホウ素ナノチューブは、プラズマ気相成長法により作製した。プラズマ中に原材料である六方晶窒化ホウ素をプラズマ上部から投入し、熱分解後、急速に冷却することにより、窒化ホウ素ナノチューブを作製する。窒化ホウ素ナノチューブの層数は、プラズマ領域長さによって、制御することが可能である。すなわち、層数の少ない窒化ホウ素ナノチューブを作る場合には、プラズマ領域長さを短く、層数の多い窒化ホウ素ナノチューブを作る場合には、プラズマ領域長さを長くする必要がある。プラズマ領域長は、作製装置の加熱領域長に依存する。一方、窒化ホウ素ナノチューブのアスペクト比および中空径を制御する方法は未だ確立されていない。得られた窒化ホウ素ナノチューブの平均直径は4.0nm、平均中空径比は0.84、平均層数は2である。また、平均長さは400nmであり、平均アスペクト比100である。測定には透過型電子顕微鏡を使用した。
[2]マスターバッチの作製
アルミニウムの密度に近い密度を有するマスターバッチを作製するため、アルミニウム粒子と窒化ホウ素ナノチューブを9:1程度の重量比で混合する。今回は、直径1mmの球状純アルミニウム粒子(以下、単にアルミニウム粒子)36.0gと、平均直径4.0nm、平均中空径比0.84、平均長さ1.0μmの窒化ホウ素ナノチューブ4.0gを湿式混合した。湿式混合の手順は下記の通りである。まず、窒化ホウ素ナノチューブ4.0gを1000mLのエタノール中に投入し、80Wの超音波加振器を用いて、30分間の超音波処理を実施した。この超音波処理により、凝集した窒化ホウ素ナノチューブをある程度ほぐすことができる。次に、この窒化ホウ素ナノチューブ懸濁エタノール溶液中に、アルミニウム粒子36.0gを投入し、さらに30分間の超音波処理を実施した。この懸濁液を10μm孔フィルタを用いて吸引ろ過し、フィルタ上のろ物を300℃に設定したホットプレート上で解しながら1時間乾燥した。次に、このアルミニウム粒子と窒化ホウ素ナノチューブの混合粉体を、プレス機を用いて圧力400MPaで1分間加圧して、直径40mm、高さ約10mmのペレットを成型した。このペレットをマスターバッチとする。上記マスターバッチを構成するアルミニウムの比表面積は0.002m2/gであり、窒化ホウ素ナノチューブの比表面積は400m2/gである。そのため、マスターバッチ内の窒化ホウ素ナノチューブは激しく凝集している。このマスターバッチ内での窒化ホウ素ナノチューブの凝集を緩和する方法については後述する。
[3]マスターバッチへのアルミニウム溶湯の注入
上記の方法で作製したマスターバッチをアルミニウム溶湯に投入して攪拌した場合、窒化ホウ素ナノチューブのアルミニウム溶湯に対する濡れ性が不十分であるため、アルミニウム溶湯の表面付近に密度の低い窒化ホウ素ナノチューブが局在する傾向がある。そのため、マスターバッチ内の微細な隙間にアルミニウム溶湯を注入して、一定時間熱処理することにより、窒化ホウ素ナノチューブのアルミニウム溶湯に対する濡れ性を改善する必要がある。[2]で作製したマスターバッチ40.0gをアルミナ製のるつぼに入れて、純アルミニウム溶湯40.0gを注ぎ、800℃で1時間保持し、その後自然冷却した。マスターバッチは、アルミニウム粒子の表面に形成された酸化膜のため800℃でも溶解せず、ペレット形状を保持する。マスターバッチに純アルミニウム溶湯を注ぐと、ペレットの隙間に溶湯が浸透し、窒化ホウ素ナノチューブの表面に、部分的にAlNあるいはAlB2が生成し、窒化ホウ素ナノチューブの純アルミニウム溶湯に対する濡れ性が著しく改善する。
[4]アルミニウム浸透マスターバッチをアルミニウム溶湯に投入
[3]で作製したアルミニウム浸透マスターバッチ80.0gをアルミナ製のるつぼに入れて、純アルミニウム溶湯320.0gを注ぎ、攪拌することにより、アルミニウム浸透マスターバッチを溶かし、800℃で1時間、保持しながら、時々撹拌した。このようにして、窒化ホウ素ナノチューブが均一に分散したアルミニウム溶湯を作製した。これを自然冷却することにより、1wt%窒化ホウ素ナノチューブ添加アルミニウム複合材料を作製した。
[5]鋳型成形
[4]で作製した1wt%窒化ホウ素ナノチューブ添加アルミニウム複合材料を700℃に加熱して溶解した後、鋳型に注ぎ込んで、鋳型成形することにより、所望の形状の製品を作製した。このように作製した窒化ホウ素添加アルミニウム複合材料では、窒化ホウ素ナノチューブは、ランダムな方向に配向している。そのため、窒化ホウ素ナノチューブの傾き角の平均値は45°であった。
[6]複合材の評価
上記方法により作製した、窒化ホウ素ナノチューブ1wt%添加アルミ複合材の機械強度を、単軸引張試験により評価した。引張試験機は、Instron製の万能引張試験機AUTOX 750を使用した。また、引張試験片の形状は直径5mm、長さが67mmとした。作製した製品から切り出した3つの引張試験片1〜3の引張試験結果を表1に示す。平均値は、ヤング率が90.1GPa、引張強度が351MPa、伸びが7.2%であった。
[実施例2]
[2]マスターバッチ作製工程で窒化ホウ素ナノチューブの混合比率を増やして製品の窒化ホウ素ナノチューブの含有率を2wt%とした。それ以外は、実施例1と同様に製品を作製した。製品に分散された窒化ホウ素ナノチューブの平均傾き角は45°であった。作製した製品から切り出した3つの引張試験片4〜6の引張試験結果を表2に示す。平均値は、ヤング率が99.1GPa、引張強度が370MPa、伸びが6.2%であった。ヤング率と引張強度は実施例1に対してそれぞれ10.0%と5.4%の増加であった。
[実施例3]
中空経比の小さな窒化ホウ素ナノチューブをアルミニウム母材に均一に混合し、機械強度の増強を試みた。添加した窒化ホウ素ナノチューブの平均外径は10.0nm、平均中空径比は0.47、平均層数は5である。また、平均長さは1000nmであり、平均アスペクト比100である。
図6には、実施例3の中空径比の小さい窒化ホウ素ナノチューブを1wt%添加したアルミニウム複合材料の断面透過型電子顕微鏡写真を示す。左右は同じ写真であり、中央に窒化ホウ素ナノチューブの断面が写っている。中央の窒化ホウ素ナノチューブは5層構造を有する。この中空径比0.47の窒化ホウ素ナノチューブを用いたこと以外は、実施例1と同様に製品を作製した。製品に分散された窒化ホウ素ナノチューブの平均傾き角は45°であった。作製した製品から切り出した3つの引張試験片7〜9の引張試験結果を表3に示す。平均値は、ヤング率が80.4GPa、引張強度が324MPa、伸びが8.4%であった。ヤング率と引張強度は実施例1に対してそれぞれ10.8%と7.7%の減少であったが、後述する比較例1の複合材料に対しては改善が認められた。
[比較例1]
窒化ホウ素ナノチューブを添加しないこと以外は、実施例1と同様に製品を作製した。作製した製品から切り出した3つの引張試験片10〜12の引張試験結果を表4に示す。平均値は、ヤング率が68.3GPa、引張強度が274MPa、伸びが10.0%であった。ヤング率と引張強度は実施例1に対してそれぞれ24.2%と21.9%の減少であった。
実施例1と実施例2とを比較することにより、窒化ホウ素ナノチューブを多く添加した方が、機械強度がより強くなることがわかる。また、実施例1と実施例3とを比較することにより、中空径比の大きい窒化ホウ素ナノチューブ用いる方が、機械強度がより増強されることがわかる。
上記実施例では平均層数2および5の窒化ホウ素ナノチューブを使用したが、平均層数3の窒化ホウ素ナノチューブでも同様の効果が得られる。上記実施例では添加材として窒化ホウ素ナノチューブを用いたが、カーボンナノチューブを用いても同様の効果が得られる。上記実施例では母材として純アルミニウムを用いたが、他の金属材料または有機物を用いても同様の効果が得られる。


Claims (3)

  1. 母材中にマルチウォールナノチューブを分散した複合材料であって、
    最内層のナノチューブの内径rと最外層のナノチューブの外径rから定まる中空径比(r/r)が0.4以上であることを特徴とする複合材料。
  2. 前記マルチウォールナノチューブが主に窒素原子とホウ素原子で構成されている請求項1に記載の複合材料。
  3. 前記母材が金属である請求項1または2に記載の複合材料。
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