JP2020089130A - ロータおよびモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】円筒状の磁石の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータが回転した際のバランスの低下を抑制することのできるロータおよびモータを提供すること。【解決手段】ロータ10およびモータ2では、磁石21の内周面211と回転軸20の外周面205との隙間Gに、フィラーが分散した樹脂25が充填されている。樹脂25の比重は磁石21の比重よりかなり小さいが、樹脂25にはフィラーが分散しているため、樹脂25単独の場合より比重が大きい。このため、磁石21の肉厚が周方向で相違している場合でも、ロータ10の質量バランスをより改善することができる。また、磁石21の貫通穴210の内径を回転軸20の外径より大にした場合や、磁石21が異方性磁石である場合には特に、磁石21の肉厚が周方向で異なりやすくなるが、その場合でも、ロータ10の質量バランスを改善することができる。【選択図】図4
Description
本発明は、ロータおよびモータに関するものである。
インナーロータ型のモータは、ロータと、ロータの外周側に配置されたステータとを有しており、ロータは、回転軸の外周面に保持された磁石を有している(特許文献1参照)。ここで、磁石は、例えば、回転軸が貫通する貫通穴が設けられた円筒状に構成されることがある。
円筒状の磁石を用いた場合、磁石の外周面が真円でも内周面が楕円になった場合や、磁石の外周面および内周面が真円でも内周面が外周面に対して偏心した場合には、磁石の肉厚が周方向で異なるため、ロータが回転した際のバランスが低下しやすいという問題点がある。
一方、磁石が破損した際の磁石片の飛散を防止することを目的に、回転軸の軸線方向の一方側から磁石に被さって磁石の外周面のうち、軸線方向の一方側の部分を覆うカップ状の第1カバー部材と、回転軸の軸線方向の他方側から磁石に被さって磁石の外周面のうち、軸線方向の他方側の部分を覆うカップ状の第2カバー部材とを設けることがある。このような場合、第1カバー部材、および第2カバー部材を各々、磁石を回転軸に固定するホルダ部材として利用することができる。従って、磁石を回転軸に直接、固定する必要がないので、磁石の貫通穴の内径を回転軸の外径より大にして、回転軸から磁石に加わる負荷を軽減した構造を採用することができるが、かかる構造の場合には特に、貫通穴内における回転軸の位置によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスが低下しやすいため、ロータが回転した際のバランスが低下しやすくなるという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、円筒状の磁石の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータが回転した際のバランスの低下を抑制することのできるロータおよびモータを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るモータは、回転軸と、前記回転軸が貫通する貫通穴が設けられた円筒状の磁石と、前記回転軸の軸線方向の一方側から前記磁石に被さって、前記磁石の外周面のうち、前記軸線方向の一方側の第1部分を覆うカップ状の第1ホルダ部材と、前記軸線方向の他方側から前記磁石に被さって、前記磁石の外周面のうち、前記軸線方向の他方側の第2部分を覆うカップ状の第2ホルダ部材と、を有し、前記磁石の内周面と前記回転軸の外周面との間には、フィラーが分散した樹脂が充填されていることを特徴とする。
本発明では、磁石の肉厚が周方向で相違している場合でも、磁石の肉厚が薄い個所で磁石の内周面と回転軸の外周面との間に発生した隙間には樹脂が充填されているので、隙間
が空気である場合より、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。また、樹脂の比重は磁石の比重より小さいが、樹脂にはフィラーが分散しているため、樹脂単独の場合より比重が大きい。従って、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスをより改善することができる。また、磁石の貫通穴の内径を回転軸の外径より大にした場合には特に、貫通穴内における回転軸の位置によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスが低下しやすいが、本発明によれば、フィラーが分散した樹脂によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。それ故、円筒状の磁石の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータが回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
が空気である場合より、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。また、樹脂の比重は磁石の比重より小さいが、樹脂にはフィラーが分散しているため、樹脂単独の場合より比重が大きい。従って、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスをより改善することができる。また、磁石の貫通穴の内径を回転軸の外径より大にした場合には特に、貫通穴内における回転軸の位置によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスが低下しやすいが、本発明によれば、フィラーが分散した樹脂によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。それ故、円筒状の磁石の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータが回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
本発明において、前記回転軸の外周面に固定され、前記第1ホルダ部材を前記軸線方向の一方側から支持する第1支持板と、前記回転軸の外周面に固定され、前記第2ホルダ部材を前記軸線方向の他方側から支持する第2支持板と、を有する態様を採用することができる。
本発明において、前記フィラーは、金属材料からなる態様を採用することができる。本発明における金属材料とは、金属または金属化合物を意味する。本発明において、前記フィラーは、比重が4以上の重金属、または前記重金属の化合物からなる態様を採用することができる。かかる態様によれば、フィラーが分散した樹脂の比重を大きくすることができるので、ロータの周方向における質量バランスをより効果的に改善することができる。
本発明において、前記樹脂は、接着性を有している態様を採用することができる。かかる態様によれば、回転軸と磁石とを樹脂の接着性によって固定することができる。
本発明において、前記磁石は、異方性磁石である態様を採用することができる。かかる態様の場合、磁石の貫通穴の形状や位置がずれやすいが、このような場合でも、本発明によれば、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。
本発明において、前記磁石は、例えば、外周面が真円で、内周面が楕円である態様となることがある。本発明において、前記磁石は、例えば、外周面および内周面が真円であって、内周面の中心が外周面の中心からずれている態様となることもある。
本発明に係るロータは、前記ロータと対向するステータとともにモータに用いられる。
本発明では、磁石の肉厚が周方向で相違している場合でも、磁石の肉厚が薄い個所で磁石の内周面と回転軸の外周面との間に発生した隙間には樹脂が充填されているので、隙間が空気である場合より、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。また、樹脂の比重は磁石の比重より小さいが、樹脂にはフィラーが分散しているため、樹脂単独の場合より比重が大きい。従って、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスをより改善することができる。また、磁石の貫通穴の内径を回転軸の外径より大にした場合には特に、貫通穴内における回転軸の位置によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスが低下しやすいが、本発明によれば、フィラーが分散した樹脂によって、回転軸を中心にした場合のロータの周方向における質量バランスを改善することができる。それ故、円筒状の磁石の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータが回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータ2を説明する。本明細書において、符号Lはモータ2の軸線方向(回転軸20の軸線方向)を示す。軸線Lが延在する方向(軸線L方向)のうち、出力側L1は、回転軸20がステータ5から突出している側であり、反出力側L2は、回転軸20がステータ5から突出している側とは反対側である。また、軸線Lと直交する方向を径方向とし、軸線L周りを周方向とする。また、周方向の一方側は、反出力側L2からみたときの時計周りCWであり、周方向の他方側は、反出力側L2からみたときの半時計周りCCWである。
(モータ2の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るモータ2の要部を出力側L1からみた斜視図である。図2は、図1に示すモータ2の要部の断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ2の要部を出力側L1からみた斜視図である。図2は、図1に示すモータ2の要部の断面図である。
図1および図2に示すモータ2は、3相のDCブラシレスモータであり、ロータ10と、ロータ10の外周側に配置されたステータ5とを有している、モータ2は、ステータ5がハウジング(図示せず)で覆われた状態でポンプ等に用いられる。
ハウジングには、ロータ10の回転軸20の反出力側L2の端部付近を回転可能に支持する第1軸受部材15が保持されている。また、ハウジングには、回転軸20の軸線L方向の途中部分を回転可能に支持する第2軸受部材16が保持される。第1軸受部材15は、円環状であり、回転軸20の段部201に出力側L1から当接している。従って、回転軸20の出力側L1への移動は、第1軸受部材15を介してハウジングによって規制されている。回転軸20の出力側L1の端部は、ハウジングから突出している。
第1軸受部材15は、円筒状のボールベアリングであり、第1軸受部材15の外輪は、円筒状の第1ホルダ19を介してハウジングに支持されている。第1ホルダ19とハウジングとの間は環状のシール部材14によって封止されている。第1軸受部材15に対して反出力側L2では、カップ状の第2ホルダ18がハウジングに保持され、第2ホルダ18の内側には第3ホルダ17が配置されている。第3ホルダ17の内側において、第1軸受部材15の内輪と第2ホルダ18の底部との間には圧縮コイルバネ181が配置されている。第1軸受部材15の内輪は、圧縮コイルバネ181によって反出力側L2から支持されている。第1軸受部材15の内輪と圧縮コイルバネ181との間にはワッシャ182が配置されている。
ステータ5は、磁性材料からなるステータコア50と、ステータコア50に被さった絶縁樹脂等からなるインシュレータ6と、コイルを構成するための導線4とを有している。ステータコア50は、薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。詳細な説明は省略するが、ステータコア50は、筒状のコア胴部51と、コア胴部51から径方向の内
側に突出した複数の突極52とを備えており、複数の突極52は、軸線L周りに等角度間隔に設けられている。ステータコア50は、インサート成形によってインシュレータ6によって被覆される。但し、突極52の径方向内側の端面は、インシュレータ6から露出している。インシュレータ6は、突極52の周りを覆う巻回部65を有しており、導線4は、巻回部65を介して突極52の周りに巻回されて、各相(U相、V相、およびW相)のコイル40を構成する。
側に突出した複数の突極52とを備えており、複数の突極52は、軸線L周りに等角度間隔に設けられている。ステータコア50は、インサート成形によってインシュレータ6によって被覆される。但し、突極52の径方向内側の端面は、インシュレータ6から露出している。インシュレータ6は、突極52の周りを覆う巻回部65を有しており、導線4は、巻回部65を介して突極52の周りに巻回されて、各相(U相、V相、およびW相)のコイル40を構成する。
(ロータ10)
図3は、図2に示すロータ10を出力側L1からみた斜視図である。図4は、図3に示すロータ10を軸線Lに沿って切断したときの断面図である。図5は、図3に示す状態から、第1支持板11、第2支持板12、および第2ホルダ部材136を外した状態の説明図である。図6は、図3に示す磁石21を通る位置でロータ10を軸線Lに直交する方向に切断したときの断面図である。
図3は、図2に示すロータ10を出力側L1からみた斜視図である。図4は、図3に示すロータ10を軸線Lに沿って切断したときの断面図である。図5は、図3に示す状態から、第1支持板11、第2支持板12、および第2ホルダ部材136を外した状態の説明図である。図6は、図3に示す磁石21を通る位置でロータ10を軸線Lに直交する方向に切断したときの断面図である。
図3、図4および図5に示すように、ロータ10は、回転軸20と、回転軸20の外周面に保持された磁石21と、磁石21の外周面を覆うように回転軸20に固定された磁石ホルダ13とを備える。磁石21は、回転軸20が貫通する貫通穴210が形成された円筒状であり、回転軸20と同軸状に配置される。磁石ホルダ13は、磁石21を回転軸20に固定するとともに、ロータ10が回転した際に磁石21が破損して飛散することを防止する。
磁石21の外周面215には、N極とS極とが周方向において交互に着磁されている。本形態において、磁石21は、異方性磁石であり、フェライト系、アルニコ系、希土類系の磁性粉を磁界下で円筒状に成形した焼結磁石やボンド磁石である。回転軸20は、外周面205が真円の棒状部材であり、例えば、ステンレス鋼からなる。磁石ホルダ13は、非磁性のステンレス鋼等からなる。
磁石ホルダ13は、磁石21に回転軸20の軸線L方向の一方側(反出力側L2)から被さったカップ状の第1ホルダ部材131と、磁石21に軸線L方向の他方側(出力側L1)から被さったカップ状の第2ホルダ部材136とからなる。第1ホルダ部材131は、磁石21の外周面215のうち、軸線L方向の一方側(反出力側L2)の第1部分216を覆い、第2ホルダ部材136は、磁石21の外周面215のうち、軸線L方向の他方側(出力側L1)の第2部分217を覆っている。
ここで、磁石ホルダ13は、同一形状の部品を軸線L方向で逆向きに第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136として配置された構造を有している。より具体的には、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136は各々、回転軸20が圧入により嵌った軸穴132、137が形成された底部133、138と、底部133、138の外縁から軸線L方向に延在した円筒部134、139とを有しており、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136は、各々の円筒部134、139の先端部同士が溶接等によって連結されている。
回転軸20には、磁石ホルダ13に対して反出力側L2に第1支持板11が固定され、磁石ホルダ13に対して出力側L1に第2支持板12が固定されている。第1支持板11および第2支持板12には、回転軸20が圧入により嵌った軸穴111、121が形成されている。第1支持板11は、第1ホルダ部材131を軸線L方向の反出力側L2から支持し、第2支持板12は、第2ホルダ部材136を軸線L方向の出力側L1から支持している。第1支持板11および第2支持板12は金属板である。第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の底部133、138は、部分的に切り欠かれて板状バネ135が形成されている。このため、第1支持板11および第2支持板12は各々、板状バネ
135を介して第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の底部133、138を支持している。
135を介して第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の底部133、138を支持している。
(フィラーが分散した樹脂25等の構成)
図3〜図6を参照して説明したロータ10において、回転軸20は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の軸穴132、137に圧入されているとともに、第1支持板11および第2支持板12の軸穴111、121に圧入されている。この状態で、磁石21は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の底部133、138によって軸線L方向の両側から支持され、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の円筒部134、139によって径方向の外側から支持されている。このため、磁石21は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136によって回転軸20に固定されている。従って、回転軸20の外周面205と磁石21の内周面211とが接着されているか否かにかかわらず、磁石21と回転軸20とは一体に回転する。それ故、図4および図5に示すように、磁石21の内径は、回転軸20の外径より大きく設定されており、回転軸20の外周面205と磁石21の内周面211との間に隙間Gが介在する。よって、磁石21の内径を回転軸20の外径より適度に大きくすれば、磁石21に径方向内側から加わる負荷を軽減することができる。
図3〜図6を参照して説明したロータ10において、回転軸20は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の軸穴132、137に圧入されているとともに、第1支持板11および第2支持板12の軸穴111、121に圧入されている。この状態で、磁石21は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の底部133、138によって軸線L方向の両側から支持され、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136の円筒部134、139によって径方向の外側から支持されている。このため、磁石21は、第1ホルダ部材131、および第2ホルダ部材136によって回転軸20に固定されている。従って、回転軸20の外周面205と磁石21の内周面211とが接着されているか否かにかかわらず、磁石21と回転軸20とは一体に回転する。それ故、図4および図5に示すように、磁石21の内径は、回転軸20の外径より大きく設定されており、回転軸20の外周面205と磁石21の内周面211との間に隙間Gが介在する。よって、磁石21の内径を回転軸20の外径より適度に大きくすれば、磁石21に径方向内側から加わる負荷を軽減することができる。
本形態では、磁石21の内周面211と回転軸20の外周面205との隙間Gには、フィラーが分散した樹脂25が充填されている。樹脂25は、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる。
本形態において、樹脂25は、エポキシ樹脂等からなり、接着性を有している。このため、磁石21は、樹脂25によっても回転軸20に固定されている。
フィラーは、金属または金属化合物等の金属材料からなる。本形態において、フィラーは、比重が4以上の重金属、または重金属の化合物からなる。例えば、エポキシ樹脂は、フィラーを配合しない場合の比重は、1.11〜1.40であることから、比重が4以上の重金属、または重金属の化合物を用いれば、フィラーが分散した樹脂25の比重を効果的に大きくすることができる。比重が4以上の金属(重金属)としては、アンチモン(比重6.69)、クロム(比重7.20)、タングステン(比重19.3)、タンタル(比重16.7)、チタン(比重4.54)、鉄(比重7.87)、銅(比重8.96)、ニッケル(比重8.90)、マンガン(比重7.44)、モリブデン(比重10.2)、ニオブ(比重8.57)を例示することができる。
かかるロータ10の製造工程では、例えば、図5に示すように、回転軸20に対して、第1ホルダ部材131によって磁石21を取り付けた状態で、磁石21の内周面211と回転軸20の外周面205との間に、フィラーが分散した樹脂25を充填し、その後、樹脂25に対して硬化処理が行われる。次に、回転軸20に対して、第1支持板11、第2ホルダ部材136、および第2支持板12を取り付ける。その結果、ロータ10が得られる。樹脂25は、硬化後、例えば、ロータ10が40000rpmの速度で回転した場合でも移動しない。なお、硬化処理を行う前の樹脂25の粘性は、例えば数百Pa・sである。
(本形態の主な効果)
図7は、図5に示すロータ10における磁石21の貫通穴210の形状等を模式的に示す説明図である。図8は、図5に示すロータ10における磁石21の貫通穴210の位置等を模式的に示す説明図である。なお、図7および図8において、貫通穴210の真円からのずれや、貫通穴210の位置のずれは誇張して表してある。
図7は、図5に示すロータ10における磁石21の貫通穴210の形状等を模式的に示す説明図である。図8は、図5に示すロータ10における磁石21の貫通穴210の位置等を模式的に示す説明図である。なお、図7および図8において、貫通穴210の真円からのずれや、貫通穴210の位置のずれは誇張して表してある。
以上説明したように、本形態のロータ10およびモータ2では、磁石21の内周面211と回転軸20の外周面205との隙間Gに、フィラーが分散した樹脂25が充填されている。このため、図7および図8に示すように、磁石21の肉厚が周方向で相違している場合でも、磁石21の肉厚が薄い個所で磁石21の内周面と回転軸20の外周面205との間に発生した隙間Gには、樹脂25が充填されているので、隙間Gが空気である場合より、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向の質量バランスを改善することができる。また、樹脂25の比重は磁石21の比重よりかなり小さいが、樹脂25にはフィラーが分散しているため、樹脂25単独の場合より比重が大きい。従って、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスをより改善することができる。また、磁石21の貫通穴210の内径を回転軸20の外径より大にした場合には、貫通穴210内における回転軸20の位置によって、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスが低下しやすいが、本形態によれば、フィラーが分散した樹脂によって、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスを改善することができる。それ故、円筒状の磁石21の肉厚が周方向で異なった場合でも、ロータ10が回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
例えば、図7に示す態様では、磁石21の外周面215が真円で、内周面211が楕円である場合、磁石21の外周面215の中心、内周面211の中心、および回転軸20の中心は、中心Oで重なっている。この場合、貫通穴210の長軸方向における磁石21の肉厚t1は、短軸方向での磁石21の肉厚t2より薄く、肉厚が薄い長軸方向では隙間Gの幅が広い。この場合でも、隙間Gには、フィラーが分散した樹脂25が充填されているため、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向の質量バランスを改善することができる。それ故、ロータ10が回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
また、図8に示すように、磁石21の外周面215および内周面211が真円であるが、内周面211の中心Oaが外周面215の中心Obからずれている場合、外周面215の中心Obに対して内周面211の中心Oaが位置する側における磁石21の肉厚t3は、反対側における磁石21の肉厚t4より薄く、肉厚が薄い側では隙間Gの幅が広い。この場合でも、隙間Gには、フィラーが分散した樹脂25が充填されているため、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向の質量バランスを改善することができる。それ故、ロータ10が回転した際のバランスの低下を抑制することができる。この場合でも、隙間Gには、フィラーが分散した樹脂25が充填されているため、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスを改善することができる。
また、本形態では、樹脂25に配合したフィラーが金属材料であるため、フィラーが分散した樹脂25の比重を大きくすることができる。特にフィラーが重金属または重金属の化合物からなる場合、フィラーが分散した樹脂25の比重をより大きくすることができる。従って、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスを効率よく改善することができるので、ロータ10が回転した際のバランスの低下を抑制することができる。
また、磁石21が異方性磁石であり、かかる異方性磁石は、磁界下で円筒状に成形される。このため、磁石21では、結晶の向きが磁化容易方向に一定方向となるため、磁石21における貫通穴210の形状や位置がずれやすいが、このような場合でも、本形態によれば、フィラーが分散した樹脂25によって、回転軸20を中心にした場合のロータ10の周方向における質量バランスを改善することができる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、樹脂25が接着性を有しているため、磁石21は、樹脂25によっても回転軸20に固定されていたが、樹脂25が接着性を有しない態様であってもよい。
上記実施形態では、樹脂25が接着性を有しているため、磁石21は、樹脂25によっても回転軸20に固定されていたが、樹脂25が接着性を有しない態様であってもよい。
上記実施形態において、フィラーは、比重が4以上の重金属、または重金属の化合物からなる場合を例示したが、シリカやグラスファイバー等であってもよい。
上記実施形態では、軸線L方向の一方側が反出力側L2であって、軸線L方向の一方側が出力側L1であったが、軸線L方向の一方側が出力側L1であって、軸線L方向の他方側が反出力側L2である場合に本発明を適用してもよい。
2…モータ、5…ステータ、10…ロータ、11…第1支持板、12…第2支持板、13…磁石ホルダ、20…回転軸、21…磁石、25…樹脂、131…第1ホルダ部材、132、137…軸穴、133、138…底部、134、139…円筒部、135…板状バネ、136…第2ホルダ部材、205、215…外周面、210…貫通穴、211…内周面、216…第1部分、217…第2部分、G…隙間、L…軸線、L1…出力側、L2…反出力側、O、Oa、Ob…中心
Claims (9)
- 回転軸と、
前記回転軸が貫通する貫通穴が設けられた円筒状の磁石と、
前記回転軸の軸線方向の一方側から前記磁石に被さって、前記磁石の外周面のうち、前記軸線方向の一方側の第1部分を覆うカップ状の第1ホルダ部材と、
前記軸線方向の他方側から前記磁石に被さって、前記磁石の外周面のうち、前記軸線方向の他方側の第2部分を覆うカップ状の第2ホルダ部材と、
を有し、
前記磁石の内周面と前記回転軸の外周面との間には、フィラーが分散した樹脂が充填されていることを特徴とするロータ。 - 請求項1に記載のロータにおいて、
前記回転軸の外周面に固定され、前記第1ホルダ部材を前記軸線方向の一方側から支持する第1支持板と、前記回転軸の外周面に固定され、前記第2ホルダ部材を前記軸線方向の他方側から支持する第2支持板と、を有することを特徴とするロータ。 - 請求項1または2に記載のロータにおいて、
前記フィラーは、金属材料からなることを特徴とするロータ。 - 請求項3に記載のロータにおいて、
前記フィラーは、比重が4以上の重金属、または前記重金属の化合物からなることを特徴とするロータ。 - 請求項1から4までの何れか一項に記載のロータにおいて、
前記樹脂は、接着性を有していることを特徴とするロータ。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載のロータにおいて、
前記磁石は、異方性磁石であることを特徴とするロータ。 - 請求項1から6までの何れか一項に記載のロータにおいて、
前記磁石は、外周面が真円で、内周面が楕円であることを特徴とするロータ。 - 請求項1から6までの何れか一項に記載のロータにおいて、
前記磁石は、外周面および内周面が真円であって、内周面の中心が外周面の中心からずれていることを特徴とするロータ。 - 請求項1から8までの何れか一項に記載のロータと、前記ロータと対向するステータと、を有することを特徴とするモータ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018222403A JP2020089130A (ja) | 2018-11-28 | 2018-11-28 | ロータおよびモータ |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023162076A1 (ja) * | 2022-02-24 | 2023-08-31 | 株式会社アイシン | 回転電機用のロータの製造方法及び回転電機用のロータ |
-
2018
- 2018-11-28 JP JP2018222403A patent/JP2020089130A/ja active Pending
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WO2023162076A1 (ja) * | 2022-02-24 | 2023-08-31 | 株式会社アイシン | 回転電機用のロータの製造方法及び回転電機用のロータ |
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