JP2020089129A - ロータの製造方法、およびモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気異方性を備えた磁石、および磁石の外周面を覆うカバーが回転軸に保持されたロータのアンバランスを適正に検査することができるとともに、磁石を適正に着磁することのできるロータの製造方法、およびモータを提供すること。【解決手段】ロータ10を製造する際、磁石21の外周面に、磁石21が有する磁気異方性を示す第1マーク210を付し、カバー13の外周面に、第1マーク210と同一の角度位置に第2マ−ク130を付しておく。ロータ10のアンバランス検査工程では、磁石21が非着磁の状態で、第2マーク130を光学的に検出しながら、ロータ10を回転させた際のロータ10の振動を磁気式の振動センサを介して検出する。アンバランス検査工程の後、着磁工程では、第2マーク130を基準に磁石21を着磁する。【選択図】図4
Description
本発明は、ロータの製造方法、およびモータに関するものである。
モータは、ロータと、ロータの外周側に配置されたステータとを有しており、ロータは、回転軸と、回転軸の外周面に保持された磁石とを備えている。かかるロータでは、材料の不均一や加工の公差等の影響で周方向におけるアンバランスが発生することがある。かかるアンバランスは、ロータの回転時、ロータに対する余計な荷重になるため、好ましくない。そこで、ロータの製造工程において、回転軸にロータコア、磁石、端板等を固定した後のロータのアンバランスを検査することが提案されている(特許文献1参照)。
一方、供試体のアンバランスを検査する検査装置として、供試体を回転させた一方、レーザ光を利用した回転検出センサによって供試体の回転を検出しながらロータの振動を磁気式の振動センサによって、アンバランスを検査する装置が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2に記載のアンバランス検査装置を、特許文献1に記載のロータのアンバランスの検査に用いた場合、磁石の磁気的な影響が磁気式の振動センサに及ぶため、検出精度が低下するという問題点がある。従って、特許文献2に記載のアンバランス検査装置を、特許文献1に記載のロータのアンバランスの検査に用いる場合、磁石を非着磁にした状態でロータのアンバランスを検査した後、磁石を着磁するという対策が必要となる。
しかしながら、上記の対策は、ロータが回転した際の磁石の飛散を防止するために磁石の外周面を覆うようにカバーを回転軸に固定し、かつ、磁気異方性を備えた磁石を用いたロータの場合、ロータのアンバランスを検査した後、磁石に着磁しようとした際、磁石がカバーによって覆われている。このため、磁石に磁気異方性の方位を示すマークが付されていても、マークを視認できないため、磁石を適正に着磁することができないという問題点がある。
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、磁気異方性を備えた磁石、および磁石の外周面を覆うカバーが回転軸に保持されたロータのアンバランスを適正に検査することができるとともに、磁石を適正に着磁することのできるロータの製造方法、およびモータを提供することにある。
上記問題を解決するために、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、回転軸と、前記回転軸の外周面に保持され、磁気異方性を備えた磁石と、前記磁石の外周面を覆うように前記回転軸に固定された非磁性のカバーと、を有するロータのアンバランスを検査するアンバランス検査工程を有するロータの製造方法において、前記磁気異方性の方向を
示す第1マークを前記磁石に付し、前記カバーの前記第1マークと同一の角度位置に第2マークを付しておき、前記アンバランス検査工程では、前記磁石が非着磁の状態で、前記第2マークを光学的に検出しながら、前記ロータを回転させた際の前記ロータの振動を磁気式の振動センサを介して検出することにより前記ロータのアンバランスを検査し、前記アンバランス検査工程の後、前記第2マークを基準に前記磁石を着磁する着磁工程を行うことを特徴とする。
示す第1マークを前記磁石に付し、前記カバーの前記第1マークと同一の角度位置に第2マークを付しておき、前記アンバランス検査工程では、前記磁石が非着磁の状態で、前記第2マークを光学的に検出しながら、前記ロータを回転させた際の前記ロータの振動を磁気式の振動センサを介して検出することにより前記ロータのアンバランスを検査し、前記アンバランス検査工程の後、前記第2マークを基準に前記磁石を着磁する着磁工程を行うことを特徴とする。
本発明の一態様では、ロータのアンバランスを検査する際、磁石は非着磁の状態にあるため、磁石の磁気的な影響が磁気式の振動センサに及びにくい。従って、ロータのアンバランスを適正に検査することができる。また、カバーには第2マークが付されているため、アンバランス検査工程では、第2マークを光学的に検出してロータを回転させた際の位相を検出できる。ここで、第2マークは、磁気異方性の方向を示すために磁石に付された第1マークと同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着磁工程において、磁石に着磁する際、第2マークを基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石に対して実施することができる。
本発明において、前記振動センサは、前記ロータの振動に連動して変位するムービングコイルを備えている態様を採用することができる。
本発明において、前記カバーは、前記磁石の外周面のうち、前記回転軸の軸線方向の一方側の部分を覆う第1カバー部材と、前記軸線方向の他方側の部分を覆う第2カバー部材と、を有し、前記第1カバー部材、および前記第2カバー部材の少なくとも一方のカバー部材に前記第2マークを付しておく態様を使用することができる。
本発明において、前記カバーを前記回転軸の軸線方向の一方側から支持する第1端板、および前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持する第2端板を前記回転軸の外周面に固定した状態で前記検査工程を行い、前記アンバランス検査工程での検査結果に基づいて、前記第1端板および前記第2端板の少なくとも一方の周方向におけるバランスを調整して前記ロータのアンバランスを修正する態様を採用することができる。
本発明において、前記カバーを前記回転軸の軸線方向の一方側から支持する第1端板を前記回転軸の外周面に固定した状態で前記検査工程を行い、前記アンバランス検査工程での検査結果に基づいて選択した第2端板を、前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持するように前記回転軸の外周面に固定して前記ロータのアンバランスを修正する態様を採用してもよい。
本発明において、前記第2マークは、前記磁石の磁化容易方向を示している態様を採用することができる。
本発明の別の態様は、回転軸、前記回転軸の外周面に保持され、磁気異方性を備えた磁石、および前記磁石の外周面を覆うカバーを有するロータと、前記ロータに対向するステータと、を有するモータにおいて、前記磁気異方性の方向を示す第1マークが前記磁石に付され、前記カバーの前記第1マークと同一の角度位置に第2マークが付されていることを特徴とする。
本発明の別の態様では、ロータのアンバランスを検査する際、磁石を非着磁の状態とし、ロータのアンバランスを検査した後、着磁工程において、磁石に着磁する。従って、磁石の磁気的な影響が磁気式の振動センサに及びにくいので、ロータのアンバランスを適正に検査することができる。また、カバーには第2マークが付されているため、アンバランス検査工程では、第2マークを光学的に検出してロータを回転させた際の位相を検出でき
る。ここで、第2マークは、磁気異方性の方向を示すために磁石に付された第1マークと同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着磁工程において、磁石に着磁する際、第2マークを基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石に対して実施することができる。
る。ここで、第2マークは、磁気異方性の方向を示すために磁石に付された第1マークと同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着磁工程において、磁石に着磁する際、第2マークを基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石に対して実施することができる。
本発明に係るモータにおいて、前記カバーは、前記磁石の外周面のうち、軸線方向の一方側の部分を覆う第1カバー部材と、軸線方向の他方側の部分を覆う第2カバー部材と、を有し、前記第1カバー部材、および前記第2カバー部材の少なくとも一方のカバー部材に前記第2マークが付されている態様を採用することができる。
本発明に係るモータにおいて、前記回転軸の外周面には、前記カバーを前記軸線方向の一方側から支持する第1端板と、前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持する第2端板とが固定されている態様を採用することができる。
本発明に係るモータにおいて、前記第2マークは、前記磁石の磁化容易方向を示している。
本発明に係るモータにおいて、前記第2マークは、前記カバーの外周面に付されている態様を採用することができる。
本発明の一態様では、ロータのアンバランスを検査する際、磁石は非着磁の状態にあるため、磁石の磁気的な影響が磁気式の振動センサに及びにくい。従って、ロータのアンバランスを適正に検査することができる。また、カバーには第2マークが付されているため、アンバランス検査工程では、第2マークを光学的に検出してロータを回転させた際の位相を検出できる。ここで、第2マークは、磁気異方性の方向を示すために磁石に付された第1マークと同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着磁工程において、磁石に着磁する際、第2マークを基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石に対して実施することができる。
本発明の別の態様では、ロータのアンバランスを検査する際、磁石を非着磁の状態とし、ロータのアンバランスを検査した後、着磁工程において、磁石に着磁する。従って、磁石の磁気的な影響が磁気式の振動センサに及びにくいので、ロータのアンバランスを適正に検査することができる。また、カバーには第2マークが付されているため、アンバランス検査工程では、第2マークを光学的に検出してロータを回転させた際の位相を検出できる。ここで、第2マークは、磁気異方性の方向を示すために磁石に付された第1マークと同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着磁工程において、磁石に着磁する際、第2マークを基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石に対して実施することができる。
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータ2を説明する。本明細書において、符号Lはモータ2の軸線方向(回転軸20の軸線方向)を示す。軸線Lが延在する方向(軸線L方向)のうち、出力側L1は、回転軸20がステータ5から突出している側であり、反出力側L2は、回転軸20がステータ5から突出している側とは反対側である。また、軸線Lと直交する方向を径方向とし、軸線L周りを周方向とする。また、周方向の一方側は、反出力側L2からみたときの時計周りCWであり、周方向の他方側は、反出力側L2からみたときの半時計周りCCWである。
(モータ2の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るモータ2の要部を出力側L1からみた斜視図である。図2は、図1に示すモータ2の要部の断面図である。
図1は、本発明の実施形態に係るモータ2の要部を出力側L1からみた斜視図である。図2は、図1に示すモータ2の要部の断面図である。
図1および図2に示すモータ2は、3相のDCブラシレスモータであり、ロータ10と、ロータ10の外周側に配置されたステータ5とを有している、モータ2は、ステータ5がハウジング(図示せず)で覆われた状態でポンプ等に用いられる。
ハウジングには、ロータ10の回転軸20の反出力側L2の端部付近を回転可能に支持する第1軸受部材15が保持されている。また、ハウジングには、回転軸20の軸線L方向の途中部分を回転可能に支持する第2軸受部材16が保持される。第1軸受部材15は、円環状であり、回転軸20の段部201に出力側L1から当接している。従って、回転軸20の出力側L1への移動は、第1軸受部材15を介してハウジングによって規制されている。回転軸20の出力側L1の端部は、ハウジングから突出している。
第1軸受部材15は、円筒状のボールベアリングであり、第1軸受部材15の外輪は、円筒状の第1ホルダ19を介してハウジングに支持されている。第1ホルダ19とハウジングとの間は環状のシール部材14によって封止されている。第1軸受部材15に対して反出力側L2では、カップ状の第2ホルダ18がハウジングに保持され、第2ホルダ18の内側には第3ホルダ17が配置されている。第3ホルダ17の内側において、第1軸受部材15の内輪と第2ホルダ18の底部との間には圧縮コイルバネ181が配置されている。第1軸受部材15の内輪は、圧縮コイルバネ181によって反出力側L2から支持されている。第1軸受部材15の内輪と圧縮コイルバネ181との間にはワッシャ182が配置されている。
ステータ5は、磁性材料からなるステータコア50と、ステータコア50に被さった絶縁樹脂等からなるインシュレータ6と、コイルを構成するための導線4とを有している。ステータコア50は、薄い磁性板が積層されて形成された積層コアである。詳細な説明は省略するが、ステータコア50は、筒状のコア胴部51と、コア胴部51から径方向の内側に突出した複数の突極52とを備えており、複数の突極52は、軸線L周りに等角度間隔に設けられている。ステータコア50は、インサート成形によってインシュレータ6によって被覆される。但し、突極52の径方向内側の端面は、インシュレータ6から露出している。インシュレータ6は、突極52の周りを覆う巻回部65を有しており、導線4は、巻回部65を介して突極52の周りに巻回されて、各相(U相、V相、およびW相)のコイル40を構成する。
(ロータ10)
図3は、図2に示すロータ10を出力側L1からみた斜視図である。図4は、図3に示す状態から第1カバー部材131を外した状態の説明図である。図5は、図4に示す状態
から第2カバー部材132を外した状態の説明図である。
図3は、図2に示すロータ10を出力側L1からみた斜視図である。図4は、図3に示す状態から第1カバー部材131を外した状態の説明図である。図5は、図4に示す状態
から第2カバー部材132を外した状態の説明図である。
図2、図3、図4および図5に示すように、ロータ10は、回転軸20と、回転軸20の外周面に固定された磁石21と、磁石21の外周面を覆うように回転軸20に固定されたカバー13とを備える。カバー13は、ロータ10が回転した際に磁石21が破損しても、磁石21が飛散することを防止する。
磁石21は円筒状であり、回転軸20と同軸に配置される。磁石21の外周面には、N極とS極とが周方向において交互に着磁されている。回転軸20はステンレス鋼等からなる。カバー13は、非磁性のステンレス鋼等からなる。
カバー13は、磁石21の外周面のうち、軸線L方向の一方側(反出力側L2)の部分を覆うカップ状の第1カバー部材131と、軸線L方向の他方側(出力側L1)の部分を覆うカップ状の第2カバー部材132とからなる。カバー13は、同一形状の部品を軸線L方向で逆向きに第1カバー部材131、および第2カバー部材132として配置された構造を有している。第1カバー部材131、および第2カバー部材132は各々、底部136と、底部136から軸線L方向に延在した円筒部137とを有しており、円筒部137の先端部同士が溶接等によって連結されている。
回転軸20には、カバー13に対して反出力側L2に第1端板11が固定され、カバー13に対して出力側L1に第2端板12が固定されている。第1端板11は、第1カバー部材131を軸線L方向の反出力側L2から支持し、第2端板12は、第2カバー部材132を軸線L方向の出力側L1から支持している。第1端板11および第2端板12は金属板である。ここで、第1カバー部材131、および第2カバー部材132の底部136は、部分的に切り欠かれて板状バネ136aが形成されているため、第1端板11および第2端板12は各々、板状バネ136aを介して第1カバー部材131、および第2カバー部材132の底部136を支持している。
本形態において、磁石21は、異方性磁石であり、フェライト系、アルニコ系、希土類系の磁性粉を磁界下で円筒状に成形した磁石である。磁石21には、磁石21が有する磁気異方性の方向を示す第1マーク210が付されており、本形態において、第1マーク210は、磁石21の磁化容易方向を示している。すなわち、磁石21は、第1マーク210と軸線Lとを結んだ方向が磁化容易方向である。本形態において、第1マーク210は、磁石21の外周面に付されている。本形態において、第1マーク210は、磁石21に付された塗膜からなる。
また、カバー13に、第1マーク210と同一の角度位置に第2マ−ク130が付されている。本実施形態において、第2マーク130は、カバー13の外周面に付されている。本実施形態において、第1マーク210は、磁石21の外周面に軸線L方向に延在する線として付されており、第2マーク130は、カバー13の外周面に軸線L方向に延在する線として付されている。第2マーク130は、カバー13に微細な凹凸が付された部分や、塗膜からなる。このため、カバー13の外周面では、第2マーク130が付された部分と、他の部分とでは反射率が異なる。ここで、カバー13は、第1カバー部材131、および第2カバー部材132によって構成されていることから、第2マーク130は、第1カバー部材131の外周面、および第2カバー部材132の外周面の少なくとも一方に付される。本実施形態において、第2マーク130は、第1カバー部材131の外周面、および第2カバー部材132の外周面の双方に付されている。
(ロータ10の製造方法)
図6は、本発明を適用したロータ10の製造工程でロータ10のアンバランスを検査す
る方法を示す説明図である。
図6は、本発明を適用したロータ10の製造工程でロータ10のアンバランスを検査す
る方法を示す説明図である。
本形態のロータ10を製造するにあたっては、図6に示すように、検査装置9によって、ロータ10のアンバランスを検査するアンバランス検査工程を行う。検査装置9は、例えば、特開2001−141594号等に開示されている試験装置であり、ロータ10を軸線L周りに回転可能に支持する軸受93a、93bを有している。従って、本形態では、回転軸20に対して磁石21、カバー13(第1カバー部材131および第2カバー部材132)、第1端板11、および第2端板12を取り付けた状態で、ロータ10の両端を軸受93a、93bにより支持された状態とする。ここで、ロータ10は、磁石21が非着磁状態にある。例えば、磁石21は、アンバランス検査工程の前に、磁石21の製造工程等で発生した磁極を消去するための消磁処理が実施されている。
検査装置9では、モータ93の回転がベルト92を介してロータ10に伝達される。軸受93a、93bはバネ94a、94bを介してフレーム(図示せず)に対して変位自在に支持されており、ロータ10が回転するとロータ10のアンバランスに起因する振動によって、軸受93a、93bが変位する。各軸受93a、93bの変位(速度)は、磁気式の振動センサ95a、95bによって検出される。本形態において、磁気式の振動センサ95a、95bは、ロータ10の振動(軸受93a、93)の変位に連動して変位するムービングコイル96a、96bと、磁石97a、97bとを有しており、振動センサ95a、95bによって、ロータ10の出力側L1および反出力側L2におけるアンバランス信号が検出される。各アンバランス信号は正弦波状の信号であって、制御部90に出力される。
検査装置9には、ロータ10のカバー13に近接する位置にレーザセンサ等からなる光学式の回転検出センサ98が配置されており、回転検出センサ98は、第2マーク130を光学的に検出した回転基準パルスを制御部90に出力される。それ故、検査装置9は、回転基準パルスに基づいて位相を得ることができ、ロータ10の周方向におけるアンバランスを検査することができる。
本形態では、ロータ10のアンバランスが大きい場合、例えば、第1端板11および第2端板12の一方に対して切削等の加工を行うことにより、第1端板11あるいは第2端板12のバランスを調整してロータ10のアンバランスを修正し、その後、検査装置9によって、ロータ10のアンバランスを検査する。
アンバランス検査工程において、ロータ10のアンバランスが十分に小さいと判定されたロータ10に対しては、磁石21に対する着磁工程を行う。その際、磁石21はカバー13で覆われていることから、カバー13の外側から磁石21に対する着磁を行う。また、磁石21はカバー13で覆われていることから、磁石21に付した第1マーク210を視認できないが、カバー13には、第1マーク210と同一の角度位置に第2マーク130が付されている。従って、第2マーク130を基準にして、カバー13の外側から磁石21に磁化容易方向に沿って適正な着磁を行うことができる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロータ10のアンバランスを検査する際、磁石21は非着磁の状態にあるため、磁石21の磁気的な影響が磁気式の振動センサ95a、95bに及びにくい。従って、ロータ10のアンバランスを適正に検査することができる。また、カバー13の外周面には第2マーク130が付されているため、アンバランス検査工程では、第2マーク130を光学的に検出してロータ10を回転させた際の位相を検出できる。ここで、第2マーク130は、磁気異方性の方向を示すために磁石21に付された第1マーク210と同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着
磁工程において、磁石21に着磁する際、第2マーク130を基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石21に対して実施することができる。
以上説明したように、本形態では、ロータ10のアンバランスを検査する際、磁石21は非着磁の状態にあるため、磁石21の磁気的な影響が磁気式の振動センサ95a、95bに及びにくい。従って、ロータ10のアンバランスを適正に検査することができる。また、カバー13の外周面には第2マーク130が付されているため、アンバランス検査工程では、第2マーク130を光学的に検出してロータ10を回転させた際の位相を検出できる。ここで、第2マーク130は、磁気異方性の方向を示すために磁石21に付された第1マーク210と同一の角度位置に付されているため、アンバランス検査工程の後、着
磁工程において、磁石21に着磁する際、第2マーク130を基準にすれば、磁気異方性に対応した適正な着磁を磁石21に対して実施することができる。
また、第2マーク130は、カバー13の外周面に付されているため、図6に示す検査装置9の構成を変えずに、回転検出センサ98によって第2マーク130を光学的に検出することができる。
(ロータ10の別の製造方法)
図7は、本発明を適用したロータ10の製造工程でロータ10のアンバランスを検査する別の方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図6を参照して説明した形態と同様であることから、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図7は、本発明を適用したロータ10の製造工程でロータ10のアンバランスを検査する別の方法を示す説明図である。なお、本例の基本的な構成は、図6を参照して説明した形態と同様であることから、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図7に示すように、ロータ10を製造するにあたって、アンバランス検査工程では、回転軸20に対して磁石21、カバー13(第1カバー部材131および第2カバー部材132)、および第1端板11を取り付け、第2端板12を取り付けない状態で、ロータ10のアンバランスを検査する。
本形態では、ロータ10のアンバランスが大きい場合、バランスが異なる複数の第2端板12のうち、適正な第2端板12を回転軸20に取り付け、ロータ10のアンバランスを修正する。そして、図6に示すように、回転軸20に対して磁石21、カバー13(第1カバー部材131および第2カバー部材132)、第2端板12、および第1端板11を取り付けた状態で、ロータ10のアンバランスを検査する。
アンバランス検査工程において、アンバランスが十分に小さいと判定されたロータ10に対しては、磁石21に対する着磁工程を行う。その際、磁石21はカバー13で覆われていることから、カバー13の外側から磁石21に対する着磁を行う。また、磁石21はカバー13で覆われていることから、磁石21に付した第1マーク210を視認できないが、カバー13には、第1マーク210と同一の角度位置に第2マーク130が付されている。従って、第2マーク130を基準にして、カバー13の外側から磁石21に適正な着磁を行うことができる。
[他の実施形態]
上記実施形態では、第1マーク210を磁石21の外周面に付したが、磁石21の軸線L方向の端面に第1マーク210を付してもよい。上記実施形態では、第2マーク130を第1カバー部材131および第2カバー部材132の双方に付したが、一方のケース部材のみに第2マーク130を付してもよい。上記実施形態では、第2マーク130をカバー13の外周面に付したが、検査装置9において、第2マーク130を光学的に検出する回転検出センサ98の位置等によっては、カバー13の軸線L方向の端面に第2マーク130を付してもよい。
上記実施形態では、第1マーク210を磁石21の外周面に付したが、磁石21の軸線L方向の端面に第1マーク210を付してもよい。上記実施形態では、第2マーク130を第1カバー部材131および第2カバー部材132の双方に付したが、一方のケース部材のみに第2マーク130を付してもよい。上記実施形態では、第2マーク130をカバー13の外周面に付したが、検査装置9において、第2マーク130を光学的に検出する回転検出センサ98の位置等によっては、カバー13の軸線L方向の端面に第2マーク130を付してもよい。
上記実施形態では、磁石21が有する磁気異方性の方向を示す第1マーク210として、磁化容易方向を示す第1マーク210を磁石21に付したが、磁化困難方向を示す第1マーク210を磁石21に付してもよい。この場合、第1マーク210が示す方向に対して直交する方向が磁化容易方向であるので、第2マーク130によって磁化容易方向を判別できる。
上記実施形態では、軸線L方向の一方側が反出力側L2であって、軸線L方向の一方側が出力側L1であったが、軸線L方向の一方側が出力側L1であって、軸線L方向の他方側が反出力側L2である場合に本発明を適用してもよい。
2…モータ、5…ステータ、9…検査装置、10…ロータ、11…第1端板、12…第2端板、13…カバー、20…回転軸、21…磁石、40…コイル、50…ステータコア、51…コア胴部、52…突極、93a、93b…軸受、94a、94b…バネ、95a、95b…振動センサ、96a、96b…ムービングコイル、98…回転検出センサ、130…第2マーク、210…第1マ−ク、131…第1カバー部材、132…第2カバー部材、L…軸線
Claims (12)
- 回転軸と、前記回転軸の外周面に保持され、磁気異方性を備えた磁石と、前記磁石の外周面を覆うように前記回転軸に固定された非磁性のカバーと、を有するロータのアンバランスを検査するアンバランス検査工程を有するロータの製造方法において、
前記磁気異方性の方向を示す第1マークを前記磁石に付し、前記カバーの前記第1マークと同一の角度位置に第2マークを付しておき、
前記アンバランス検査工程では、前記磁石が非着磁の状態で、前記第2マークを光学的に検出しながら、前記ロータを回転させた際の前記ロータの振動を磁気式の振動センサを介して検出することにより前記ロータのアンバランスを検査し、
前記アンバランス検査工程の後、前記第2マークを基準に前記磁石を着磁する着磁工程を行うことを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1に記載のロータの製造方法において、
前記振動センサは、前記ロータの振動に連動して変位するムービングコイルを備えていることを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1または2に記載のロータの製造方法において、
前記カバーは、前記磁石の外周面のうち、前記回転軸の軸線方向の一方側の部分を覆う第1カバー部材と、前記軸線方向の他方側の部分を覆う第2カバー部材と、を有し、
前記第1カバー部材、および前記第2カバー部材の少なくとも一方のカバー部材に前記第2マークを付しておくことを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1から3までの何れか一項に記載のロータの製造方法において、
前記カバーを前記回転軸の軸線方向の一方側から支持する第1端板、および前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持する第2端板を前記回転軸の外周面に固定した状態で前記アンバランス検査工程を行い、
前記アンバランス検査工程での検査結果に基づいて、前記第1端板および前記第2端板の少なくとも一方の周方向におけるバランスを調整して前記ロータのアンバランスを修正することを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1から3までの何れか一項に記載のロータの製造方法において、
前記カバーを前記回転軸の軸線方向の一方側から支持する第1端板を前記回転軸の外周面に固定した状態で前記アンバランス検査工程を行い、
前記アンバランス検査工程での検査結果に基づいて選択した第2端板を、前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持するように前記回転軸の外周面に固定して前記ロータのアンバランスを修正することを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載のロータの製造方法において、
前記第2マークは、前記磁石の磁化容易方向を示していることを特徴とするロータの製造方法。 - 請求項1から6までの何れか一項に記載のロータの製造方法において、
前記第2マークを前記カバーの外周面に付しておくことを特徴とするロータの製造方法。 - 回転軸、前記回転軸の外周面に保持され、磁気異方性を備えた磁石、および前記磁石の外周面を覆うように前記回転軸に固定された非磁性のカバーを有するロータと、
前記ロータに対向するステータと、
を有するモータにおいて、
前記磁気異方性の方向を示す第1マークが前記磁石に付され、
前記カバーの前記第1マークと同一の角度位置に第2マークが付されていることを特徴とするモータ。 - 請求項8に記載のモータにおいて、
前記カバーは、前記磁石の外周面のうち、前記回転軸の軸線方向の一方側の部分を覆う第1カバー部材と、前記軸線方向の他方側の部分を覆う第2カバー部材と、を有し、
前記第1カバー部材、および前記第2カバー部材の少なくとも一方のカバー部材に前記第2マークが付されていることを特徴とするモータ。 - 請求項8または9に記載のモータにおいて、
前記回転軸の外周面には、前記カバーを前記回転軸の軸線方向の一方側から支持する第1端板と、前記カバーを前記軸線方向の他方側から支持する第2端板とが固定されていることを特徴とするモータ。 - 請求項8から10までの何れか一項に記載のモータにおいて、
前記第2マークは、前記磁石の磁化容易方向を示していることを特徴とするモータ。 - 請求項8から11までの何れか一項に記載のモータにおいて、
前記第2マークは、前記カバーの外周面に付されていることを特徴とするモータ。
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