JP2020087824A - リチウムニッケル含有複合酸化物、および、該リチウムニッケル含有複合酸化物を母材として用いたリチウムイオン二次電池用正極活物質とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
該リチウムニッケル含有複合酸化物は、
一般式:LiaNi1−x―yCoxMyO2・・・(1)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦a≦1.11、0<x≦0.15、0<y≦0.07、および、x+y≦0.16である。)
からなる組成を有することが好ましい。
本発明の第1の態様のリチウムニッケル含有複合酸化物を用いて、該リチウムニッケル含有複合酸化物の量が、水1Lに対して700g〜2000gとなるようにスラリーを形成し、該リチウムニッケル含有複合酸化物を水洗処理し、
前記水洗処理中または前記水洗処理後に、前記リチウムニッケル含有複合酸化物に、タングステン化合物を添加し、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面にWを分散させ、および、
前記一次粒子の表面にWが分散したリチウムニッケル含有複合酸化物を、熱処理して、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に形成する、
ことを特徴とする。
一般式:LiaNi1―x―yCoxMyWzO2+α・・・(2)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素である。0.95≦a≦1.10、0<x≦0.15、0<y≦0.07、x+y≦0.16、0.001≦z≦0.03、0≦α≦0.2である。)
からなる組成を有する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物により構成されていることが好ましい。
一般式:LiaNi1―x―yCoxMyWzO2+α・・・(2)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素である。0.95≦a≦1.10、0<x≦0.15、0<y≦0.07、x+y≦0.16、0.001≦z≦0.03、0≦α≦0.2である。)
からなる組成を有する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物により構成されていることが好ましい。
本発明の第1の態様は、タングステン酸リチウムなどのWおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が一次粒子の表面に存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物の母材である、リチウムニッケル含有複合酸化物に関する。
通常、最終的に得られるリチウムイオン二次電池用正極活物質において、余剰Li量、すなわち、水に溶出するLi量については、たとえばリチウムニッケル含有複合酸化物全体に対して0.2質量%以下とするなど、その低減化が図られている。しかしながら、上述のように、発明者らは、リチウムイオン二次電池用正極活物質の母材としてのリチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を形成する際の、リチウムニッケル含有複合酸化物のLiとタングステン化合物のWとの反応に着目し、母材となるリチウムニッケル含有複合酸化物における余剰Li量を適切に制御することにより、リチウムニッケル含有複合酸化物のLiとタングステン化合物のWとの反応において、リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の内部に存在するLiが引き抜かれることなく、適切なWおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を形成することが可能となるとの知見を得た。
本発明のリチウムニッケル含有複合酸化物は、
一般式:LiaNi1−x―yCoxMyO2・・・(1)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦a≦1.11、0<x≦0.15、0<y≦0.07、および、x+y≦0.16である。)
からなる組成を有することが好ましい。
ここで、本発明のリチウムニッケル含有複合酸化物におけるNi含有量は、0.84以上、好ましくは0.98以下であり、非常に高いNi含有量を有している。Ni含有量が高くなると、熱安定性の低下などの問題が生じるため、通常、Ni含有量は0.84よりも低く、一般的には0.80〜0.83程度になるように調整される。
本発明のリチウムニッケル含有複合酸化物を構成する粒子(一次粒子および/または二次粒子)の体積基準の平均粒径MVは5μm〜30μmの範囲にあることが好ましく、5μm〜25μmの範囲にあることがより好ましく、8μm〜20μmの範囲にあることがより好ましく、8μm〜17μmの範囲にあることがさらに好ましい。
本発明の第1の態様のリチウムニッケル含有複合酸化物は、次のような製造方法により得ることができる。具体的には、ニッケル化合物とリチウム化合物とを混合して、リチウム混合物を得た後、該リチウム混合物を、酸化性雰囲気下において、室温から700℃以上の焼成温度まで昇温して、一次粒子および/または該一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなるリチウムニッケル含有複合酸化物を調製する工程において、前記リチウム混合物の物温が600℃〜650℃である温度領域における通過時間および/または保持時間を、45分以下、好ましくは10分〜40分の範囲とすることを特徴とする。
焼成工程に用いられるニッケル化合物は、NiおよびCoを含有し、かつ、添加元素MとしてMg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する化合物である。
一般式:LiaNi1−x―yCoxMyO2・・・(1)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦a≦1.11、0<x≦0.15、0<y≦0.07、および、x+y≦0.16である。)
からなる組成を有するリチウムニッケル含有複合酸化物を得ることが好ましい。
ニッケル化合物と混合されるリチウム化合物は、特に限定されないが、リチウムの水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、炭酸塩、硝酸塩、およびハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。これらを用いることにより、焼成後に不純物が残留しないという利点が得られる。これらのうち、ニッケル化合物との反応性が良好なリチウム水酸化物を用いることが、より好ましい。
ニッケル化合物とリチウム化合物を混合することにより得られたリチウム混合物は、酸化性雰囲気中において700℃以上の焼成温度で焼成されることになる。
本発明の第2の態様は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、すなわち、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が一次粒子の表面に存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物の製造方法に関する。
本発明の第1の態様のリチウムニッケル含有複合酸化物を用いて、該リチウムニッケル含有複合酸化物の量が、水1Lに対して700g〜2000gとなるようにスラリーを形成し、該リチウムニッケル含有複合酸化物を水洗処理し、
前記水洗処理中または前記水洗処理後に、前記リチウムニッケル含有複合酸化物に、タングステン化合物を添加し、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面にWを分散させ、および、
前記一次粒子の表面にWが分散したリチウムニッケル含有複合酸化物を、熱処理して、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に形成する、
ことを特徴とする。
水洗工程は、焼成工程で得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の焼成粉末を水洗処理する工程である。具体的には、水1Lに対して焼成粉末が700g〜2000gとなるようにスラリーを形成して、水洗処理した後、濾過、乾燥してリチウムニッケル含有複合酸化物粉末(水洗粉末)を得る。
水洗後のリチウムニッケル含有複合酸化物を乾燥する温度や方法については、特に限定されないが、乾燥温度は、80℃〜500℃の範囲に設定することが好ましく、120℃〜250℃の範囲に設定することがより好ましい。80℃以上とすることにより、水洗後の粉末を短時間で乾燥し、粒子の表面と内部との間でリチウム濃度の勾配が起こることを抑制して、正極活物質の特性をより向上させることができる。
タングステン添加工程は、水洗処理中、もしくは水洗処理後の粉末に、タングステン化合物を添加し、一次粒子の表面にWを分散させる工程である。
熱処理工程は、一次粒子の表面にWを分散させたリチウムニッケル含有複合酸化物を熱処理することにより、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を、リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に形成する工程である。これにより、タングステン添加工程において供給されたWとLiから、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を形成し、リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子表面に、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を有する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質が得られる。なお、水洗処理中のスラリーあるいは水洗処理後の乾燥前の焼成粉末に対してWを添加した場合には、乾燥工程を熱処理工程により代替することができる。
本発明の第3の態様は、リチウムイオン二次電池用正極活物質、すなわち、タングステン酸リチウムなどのWおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が表面に存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物に関する。
一般的に、正極活物質の表面が異種化合物により完全に被覆されてしまうと、リチウムイオンの移動(インターカレーション)が大きく制限されるため、結果的にリチウムニッケル含有複合酸化物の有する高容量という長所が消されてしまう。
一般式:LiaNi1―x―yCoxMyWzO2+α・・・(2)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素である。0.95≦a≦1.10、0<x≦0.15、0<y≦0.07、x+y≦0.16、0.001≦z≦0.03、0≦α≦0.2である。)
からなる組成を有するリチウムニッケル含有複合酸化物により構成されていることが好ましい。なお、Wは、添加元素Mとしてリチウムニッケル含有複合酸化物の内部に含有されることができるが、この場合、前記W量(組成式におけるz)には、添加元素Mとして含まれるWの量は含まれない。
WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が一次粒子の表面に形成された状態における、本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質のBET法測定による比表面積は、0.4m2/g〜1.2m2/gの範囲にあることが好ましく、0.4m2/g〜1.0m2/gの範囲にあることがより好ましい。
Li席占有率とは、正極活物質を構成し、層状岩塩構造を有するリチウムニッケル含有複合酸化物の結晶中のLi層におけるLiサイトをLi原子が占める割合のことをいう。Liを含む金属酸化物は、非化学量論組成を有することが多く、Li席占有率が低い場合は、Li席に存在するLi原子が少なく、Ni、Co、Mの金属原子がLi席に存在し、Liは多くの場合、結晶の系外に出て、炭酸リチウムなどになって存在している可能性が高い。このため、正極活物質を構成するリチウムニッケル含有複合酸化物結晶としては不完全であり、十分な容量を持ち、サイクル特性の良好な正極活物質とはならない。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極活物質を用いて得られるリチウムイオン二次電池は、一般のリチウムイオン電池と同様に、正極、負極、セパレータ、および非水電解質などから構成される。たとえば、図1に示す2032型コイン電池1(以下、「コイン型電池」という)は、ケース2と、このケース2内に収容された電極3とから構成されている。
本発明のリチウムニッケル含有複合酸化物を、正極を構成する正極活物質として用い、たとえば、以下のようにして、リチウムイオン二次電池の正極を作製することができる。
負極には、金属リチウムやリチウム合金などを用いることが可能である。たとえば、負極としては、リチウムイオンを吸蔵および脱離できる負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶剤を加えてペースト状にした負極合材を、銅などの金属箔集電体の表面に塗布し、乾燥し、必要に応じて、電極密度を高めるべく圧縮して形成したシート状電極が使用される。
正極と負極との間には、セパレータが挟み込んで配置される。セパレータは、正極と負極とを電気的に分離しつつ、電解質を保持し、正極と負極間のリチウムイオンの移動経路となる。一般的なセパレータとしてはポリエチレン、ポリプロピレンなどの薄い膜で、微少な孔を多数有する膜を用いることができる。また、固体電解質を用いることも可能である。
非水電解質には、支持塩であるリチウム塩を有機溶媒に溶解してなる非水電解液のほか、不燃性でイオン電導性を有する固体電解質などが用いられる。
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネートなどの環状カーボネート;
ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート;
ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類;
1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)などの鎖状エーテル類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタンなどのエーテル化合物;
エチルメチルスルホン、ブタンスルトンなどの硫黄化合物;
リン酸トリエチル、リン酸トリオクチルなどのリン化合物;並びに、
ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドンなど;
を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
以上、説明した正極、負極、セパレータ、および非水系電解質で構成される、本発明のリチウムイオン二次電池の形状は、円筒型、積層型など種々の形状を有することができる。
本発明のWおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が一次粒子の表面に存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物を正極活物質として用いたリチウムイオン二次電池は、高容量で高出力となる。
[リチウムニッケル含有複合酸化物の製造および評価]
反応槽内の温度を49.5℃に設定し、20質量%水酸化ナトリウム溶液により反応槽内の反応溶液を液温25℃基準でpH13.0に保持しながら、反応溶液に硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液、アルミン酸ナトリウム水溶液、25質量%アンモニア水を添加し、オーバーフローにより回収した。さらに液温25℃基準のpHが12.5の45g/L水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した後、水洗し、乾燥させてニッケル複合水酸化物を得た(中和晶析法)。
図1に示すコイン型電池1は、以下のようにして製作した。まず、リチウムイオン二次電池用正極活物質90質量部、アセチレンブラック5質量部、および、ポリ沸化ビニリデン5質量部を混合し、n−メチルピロリドンを加えてペースト化した。この作製したペーストを、厚み20μmのアルミニウム箔に塗布した。なお、ペーストは、乾燥後の正極活物質の質量が0.05g/cm2となるように塗布した。その後、ペーストが塗布されたアルミニウム箔について120℃で12時間の真空乾燥を行い、その後、直径1cmの円板状に打ち抜いて正極3aとした。
600℃〜650℃の温度領域における通過時間が35分となるように、1.43℃/分の昇温速度で、500℃から745℃まで昇温したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムイオン二次電池用正極活物質、およびリチウムイオン二次電池を製造し、それぞれの評価を行った。なお、得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の組成は、一般式:Li1.02Ni0.905Co0.048Al0.047O2であった。母材のBET比表面積は、0.45m2/gであった。また、得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質の組成は、一般式:Li0.99Ni0.905Co0.048Al0.047W0.0035O2であった。そのLi席占有率は、98.0%であった。得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質を使用して作製した正極を用いたコイン型電池1の初期放電容量は208mAh/g、初期充放電効率は90.0%、正極抵抗は4.6Ωであった。
600℃〜650℃の温度領域における通過時間が55分となるように、0.91℃/分の昇温速度で、500℃から745℃まで昇温したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムイオン二次電池用正極活物質、およびリチウムイオン二次電池を製造し、それぞれの評価を行った。なお、得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の組成は、一般式:Li1.02Ni0.905Co0.048Al0.047O2であった。母材のBET比表面積は、0.18m2/gであった。また、得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質の組成は、一般式:Li0.99Ni0.905Co0.048Al0.047W0.0035O2であった。そのLi席占有率は、98.5%であった。得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質を使用して作製した正極を用いたコイン型電池1の初期放電容量は198mAh/g、初期充放電効率は85.0%、正極抵抗は5.7Ωであった。
600℃〜650℃の温度領域における通過時間が10分となるように、5.0℃/分の昇温速度で、500℃から745℃まで昇温したこと以外は、実施例1と同様にして、リチウムニッケル含有複合酸化物、リチウムイオン二次電池用正極活物質、およびリチウムイオン二次電池を製造し、それぞれの評価を行った。なお、得られたリチウムニッケル含有複合酸化物の組成は、一般式:Li1.02Ni0.905Co0.048Al0.047O2であった。母材のBET比表面積は0.55m2/gであった。また、得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質の組成は、一般式:Li0.99Ni0.905Co0.048Al0.047W0.0035O2であった。そのLi席占有率は、97.4%であった。得られたリチウムイオン二次電池用正極活物質を使用して作製した正極を用いたコイン型電池1の初期放電容量は197mAh/g、初期充放電効率は84.0%、正極抵抗は6.0Ωであった。
2 ケース
2a 正極缶
2b 負極缶
2c ガスケット
3 電極
3a 正極
3b 負極
3c セパレータ
Claims (14)
- 一次粒子および/または該一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなり、前記一次粒子の表面に、WおよびLiを含む化合物の微粒子、あるいは、WおよびLiを含む被膜が存在するリチウムニッケル含有複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の母材である、リチウムニッケル含有複合酸化物であって、
0.20m2/g〜0.50m2/gの範囲のBET比表面積を有することを特徴とする、
リチウムニッケル含有複合酸化物。 - 前記BET比表面積が、0.25m2/g〜0.45m2/gの範囲にある、請求項2に記載のリチウムニッケル含有複合酸化物。
- 一般式:LiaNi1−x―yCoxMyO2・・・(1)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素であり、0.98≦a≦1.11、0<x≦0.15、0<y≦0.07、および、x+y≦0.16である。)
からなる組成を有する、
請求項1または2に記載のリチウムニッケル含有複合酸化物。 - X線回折のリートベルト解析から得られる前記リチウムニッケル含有複合酸化物の結晶におけるc軸方向への格子定数の長さは、14.183Å〜14.205Åの範囲にある、請求項1〜2のいずれかに記載のリチウムニッケル含有複合酸化物。
- 5μm〜30μmの範囲にある体積基準の平均粒径MVを有する、請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムニッケル含有複合酸化物。
- 一次粒子および/または該一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなり、前記一次粒子の表面に、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法であって、
請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムニッケル含有複合酸化物を母材として用いて、該リチウムニッケル含有複合酸化物の量が、水1Lに対して700g〜2000gとなるようにスラリーを形成し、該リチウムニッケル含有複合酸化物を水洗処理し、
前記水洗処理中または前記水洗処理後に、前記リチウムニッケル含有複合酸化物に、タングステン化合物を添加し、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面にWを分散させ、および、
前記一次粒子の表面にWが分散したリチウムニッケル含有複合酸化物を、熱処理して、WおよびLiを含む化合物の微粒子、または、WおよびLiを含む化合物の被膜を、前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に形成する、
ことを特徴とする、
リチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記リチウムイオン二次電池用正極活物質は、
一般式:LiaNi1―x―yCoxMyWzO2+α・・・(2)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素である。0.95≦a≦1.10、0<x≦0.15、0<y≦0.07、x+y≦0.16、0.001≦z≦0.03、0≦α≦0.2である。)
からなる組成を有する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物により構成されている、
請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。 - 前記リチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面に分散させるW量を、前記リチウムニッケル含有複合酸化物に含まれるNi、CoおよびMの原子数の合計に対して、0.1原子%〜3.0原子%の範囲にする、請求項6または7に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 前記熱処理を、酸素雰囲気または真空雰囲気中において、100℃〜600℃の範囲の温度で行う、請求項6〜8のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法。
- 一次粒子および/または該一次粒子が凝集して構成された二次粒子からなり、前記一次粒子の表面に、WおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜が存在する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物からなるリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、
前記WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物が、請求項1〜5のいずれかに記載のリチウムニッケル含有複合酸化物の一次粒子の表面にWおよびLiを含む化合物の微粒子および/または被膜を存在させ、かつ、98.0%以上のLi席占有率を有することを特徴とする、
リチウムイオン二次電池用正極活物質。 - 前記リチウムイオン二次電池用正極活物質は、
一般式:LiaNi1―x―yCoxMyWzO2+α・・・(2)
(式中、Mは、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Nb、Zr、MoおよびWから選ばれる少なくとも1種の元素である。0.95≦a≦1.10、0<x≦0.15、0<y≦0.07、x+y≦0.16、0.001≦z≦0.03、0≦α≦0.2である。)
からなる組成を有する、WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物により構成されている、
請求項10に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。 - X線回折のリートベルト解析から得られる前記WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物の結晶におけるc軸方向への格子定数の長さは、14.183Å〜14.205Åの範囲にある、請求項10または11に記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物の体積基準の平均粒径MVは、5μm〜30μmの範囲にある、請求項14〜16のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
- 前記WおよびLiを含む化合物被覆リチウムニッケル含有複合酸化物のBET比表面積は、0.4m2/g〜1.2m2/gの範囲にある、請求項10〜13のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用正極活物質。
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CN114400317A (zh) * | 2021-12-13 | 2022-04-26 | 深圳市贝特瑞纳米科技有限公司 | 一种正极材料及其制备方法、锂离子电池 |
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