JP2020085484A - 放射線検出シート - Google Patents

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Abstract

【課題】取り扱い性を向上させたフレキシブルな放射線検出シートを提供する。【解決手段】支持体と、支持体の上に形成されたシンチレータ層と保護部材からなる、放射線検出シートにおいて、該シンチレータ層表層に剥離可能な第1の保護部材が配置されていることを特徴とする放射線検出シートで、支持体とシンチレータ層を合わせた厚みが3〜100μmであり、シンチレータ層と第1の保護部材の界面の剥離力(粘着力)Aが1N/20mm以下である、放射線検出シート。【選択図】図1

Description

フレキシブルな放射線検出シートに関する。
非特許文献1にあるように、Cerenkovルミネセンスイメージング(CLI)は、18 F-フルオロデオキシグルコース(FDG)ガイド手術の有望な光学イメージングモダリティとして浮上している。手術室に導入できる比較的安価なCCD(Charge Coupled Device)カメラを使用して、広い視野の高解像度機能画像を取得することを可能となる。さらに、最適な解剖学的な機能相関を得るために、同じカメラで取得した白色光画像の上にCLIを重ねることもでき、CLIシグナルと18F-FDG活性との間に強い相関がある場合、外科的切除の間に腫瘍組織量を監視することができる。
しかしながら、CLIは、比較的低い光子感度によって3〜5分程度の取得時間を必要とする。これに対し、放射線ルミネセンスイメージング(RLI)は、シンチレータを利用してベータ粒子とガンマ線をシンチレータにより可視光に変換することにより、検出感度を向上させる代替のイメージング手法である。
さらに、非特許文献1では、身体の輪郭に緩やかに適合するフレキシブルシンチレータを利用するflex-RLIが提案されている。フレキシブルシンチレータは、リジットシンチレータを使用するRLIと比較して腫瘍信号対バックグラウンド比(SBR)を高めることができると仮定している。そして非特許文献1には、具体的なフレキシブルシンチレータとして、ガドリニウムオキシサルファイド:テルビウム(GOS:Tb)粉末をシリコーンエラストマーと1:1の質量比で混合して調製された350〜1050μmのフレキシブルシンチレータが開示されている。
また、一般的な放射線検出シートは、厚さが100μm以上あり、使用するまでの間に、手垢や傷などからシンチレータ面を保護するために、パリレンをコーティングしたり、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂フィルムを貼着されている。
前記フレキシブルな放射線検出シートを、小さな立体物(癌組織の検体など)の凹凸に追従するためには、薄膜化が一つ手段となる。また保護層があると、光減衰によって、輝度が低下してしまうので、シンチレータ使用時には保護層が無い方が好ましいとされる。
Medical Physics 43, 5298 (2016)
薄膜化した、たとえば100μm以下の厚さの放射線検出シートは、薄くて軽いために取扱いにくいことが課題である。例えば、皺になりやすかったり、飛ばされやすかったりする。また、帯電した場合は、周辺機器や作業者に引っ付いたり、埃を寄せ付けてしまう場合がある。さらには、梱包より取り出す際には折れたり破れたりすることがあるため、取り扱いが困難である。
このため使用直前まで、フレキシブルな放射線検出シートを保護すると同時に取り扱い性をよくする必要がある。また、フレキシブルな放射線検出シートを、さらに使用直前に簡便に取り出せることも望まれていた。
このように、放射線検出シートの取扱い性、生産性を向上させるべく、本発明者らは鋭意検討した結果、フレキシブルな放射線検出シートを構成するシンチレータ表面または支持体の非シンチレータ形成面に剥離可能に、剛性のある部材を設けることで取扱い、生産性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]支持体と、支持体の上に形成されたシンチレータ層と保護部材からなる、放射線検出シートにおいて、
該シンチレータ層表層に剥離可能な第1の保護部材が配置され、
支持体とシンチレータ層を合わせた厚みが3〜100μmであり、
シンチレータ層と第1の保護部材の界面の剥離力(粘着力)Aが1N/20mm以下である、放射線検出シート。
[2]前記放射線検出シートの支持体のシンチレータ形成側の反対面に剥離可能な第2保護部材が配置されてなり、
支持体と第2保護部材との界面の剥離力(粘着力)Bが、1.5N/25mm以下(ただし、粘着力0≦A<Bの関係を満足する)である[1]の放射線検出シート。
[3]前記放射線検出シートのたわみ量が、保護部材を貼り合わせた放射線検出シートを2cm×10cmのサイズに断裁し、長軸方向の一方の端部1cmを固定した時の自重によるたわみ量(固定点の水平方向の高さと、たわんだ他方の端部の高さとの差)が8.5cm以下である[1]または[2]の放射線検出シート。
[4]支持体が、樹脂フィルムからなる、[1]〜[3]の放射線検出シート。
[5]剥離のきっかけとなる起点を、支持体および/または保護部材に有する[1]〜[4]の放射線検出シート。
[6]保護部材が、帯電防止機能を有する、[1]〜[5]の放射線検出シート。
[7]支持体と支持体の上に形成されたシンチレータ層を一つの構成単位とするシートが、シンチレータ層表面に、他の構成単位の支持体が接するように積層されてなる放射線検出シートであり、支持体とシンチレータ層との一つの構成単位は、合わせた厚みが3〜100μmであり、
シンチレータ層と、他の構成単位の支持体とが剥離可能に配置され、シンチレータ層と他の構成単位の支持体との界面の剥離力(粘着力)が、1N/20mm以下である、放射線検出シート。
[8]支持体と支持体の上に形成されたシンチレータ層を一つの構成単位とするシートの巻回体である、請求項7に記載の放射線検出シート。
[9]複数の放射線検出シートの支持体が、相互のシンチレータ層と接するように、折りこまれてなる、[7]に記載の放射線検出シート。
[10]支持体および支持体上に設けられたシンチレータ層からなるシートを、ロールtoロール方式を用いて保護部材とを貼合させる放射線検出シートの製造方法。
[11]所定の間隔で、放射線検出シートを断裁する、[10]の放射線検出シートの製造方法。
本発明によれば、フレキシブルな放射線検出シートに、剥離可能で、剛性の高い部材からなる保護部材を剥離可能に設けるので、放射線検出シート使用までの汚れや、折れ、傷を抑制できる。また生産、保管、取り出し時に、シート自体の引っ付きや、皺や撚りも抑制され、取扱い性を向上できる。
本発明にかかる第1の態様の放射線検出シートの概略図を示す。 本発明にかかる第2の態様の放射線検出シートの概略図を示す。 本発明にかかる第2の態様の放射線検出シートの概略の別態様を示す。 剥離のきっかけとなる起点の一例(ハーフカット)を示す。 剥離のきっかけとなる起点の一例(タブ)を示す。 本発明にかかる第3の態様の放射線検出シートの概略図を示す。 本発明にかかる第3の態様の放射線検出シートの概略の別態様を示す。 本発明にかかる放射線検出シートの製造方法の概略図を示す。
本発明のフレキシブルシ放射線検出シートについて説明する。
本発明にかかるフレキシブル放射線検出シートは、電離放射線、および紫外線を可視光に変換することで検出可能とするものであり、少なくとも支持体および支持体表面のシンチレータ層および保護部材からなる。
電離放射線とは、電離作用を有する放射線であり、(原子核から飛び出るヘリウムの原子核)、β線(原子核から飛び出る電子)、中性子線(原子炉、加速器等から作られる)、陽子線(加速器等から作られる)等の粒子線、γ線(原子核から放出)、X線(原子核の外で発生)などの電磁波が挙げられる。また、本発明が適用される紫外線は、波長 455−200 nm の近紫外線(near UV)、波長 200−10 nm の遠紫外線もしくは真空紫外線(far UV (FUV) もしくは vacuum UV (VUV))、波長 121−10 nmの極紫外線もしくは極端紫外線(extreme UV、EUV or XUV)に分けられる。
放射線検出シート
・支持体
支持体は、放射線ないし紫外線透過性を有する材料で構成されかつ、シンチレータ層を形成可能な板状体であり、各種のガラス、高分子材料、金属等を用いることができるが、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラスやガラスフィルム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、またセルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等の高分子フィルム(ポリマーフィルム)などを用いることができる。
ポリマーフィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を始めとするポリエステル、ナイロンを始めとする脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体、環状オレフィン重合体、ポリカーボネート、セルロースジアセテート(DAC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート(CAB)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)をはじめとするセルロース、エポキシ、ビスマレイミド、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイドやポリエーテルスルホンをはじめとする含硫黄ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタンなどのポリマーフィルムが挙げられる。
さらに、ガラス繊維、カーボン繊維などを含む繊維強化樹脂シート;
キトサンやセルロースなどを含むバイオナノファイバーなどからなる支持体を使用できる。
ポリマーフィルムは、単層構造でもよいが、2層以上の多層構造であってもよい。複数層の熱可塑性ポリマー層から構成される場合、さらに、シンチレータ層が形成される層には、接着性樹脂が含まれていてもよい。
放射線検出シートで使用される支持体にも、フレキシブル性が求められるため、これらのうち、ポリマーフィルムが好ましく、さらには、熱可塑性ポリマーからなるポリマーフィルムが好ましい。ポリマーフィルムを構成するポリマーのうち、とくにポリエチレンテレフタレートが好ましい。
ポリマーフィルムは市販品を使用しても良く、また、剥離性を有するセパレータフィルム上にポリマーフィルムを形成した後、セパレータフィルムより剥離して使用しても良い。ポリマーフィルムにはブロッキング防止や搬送時のすべり性改善を目的としてシリカ等の微粒子を含有させても良い。支持体を構成するポリマーフィルム中のポリマー成分の重量平均分子量は10000〜200000、好ましくは20000〜150000の範囲にあることが好ましい。この範囲にあると、強度と柔軟性を両立できる。
フレキシブルな放射線検出シートで被検体を包むためには、シンチレータ層と支持体との強度を組み合わせることが重要である。シンチレータ層自体は、脆く、割れやすいため、単層で放射線検出シートを構成すると、バインダーに弾性の高い材料を使用し、かつ厚みをある程度以上に厚くする必要があるため、被検体を包むことが難しく、特に小さい被検体の場合、かりに包めたとしても元に戻って検体との間に隙間があいたり、さらにシート自体がもろくなったり、シンチレータ層自体に亀裂が生じたりする。このため、シンチレータ層自体は薄い方が好ましいが、薄くなれば自立性が低く、ハンドリング性が低くなる。そこで本発明では、支持体とシンチレータ層とを組み合わせることで、放射線検出シート自体を薄くすることが可能となり、被検体への追従性が高くでき、しかも、もとに戻りにくくできる。さらに、支持体と組み合わせることで、放射線検出シートのハンドリング性や強度が向上し、シワやタルミなどを抑制することも可能となる。
支持体の厚みは、放射線検出シートの厚みによるものの、2〜60μmであることが好ましく、2〜30μmであることがより好ましい。この範囲の支持体厚みにあると、またシンチレータ層の厚みにもよるが、検出分解能、および強度を高くすることができ、また、包むのに適した柔軟性を確保できる。
上記支持体の材料の弾性率は、通常0.1〜300GPa、好ましくは1〜200GPaである。ここで、「弾性率」とは、引張試験機を用い、試験片の標線が示すひずみと、それに対応する応力が直線的な関係を示す領域において、ひずみ量に対する応力の傾きを求めた値である。これがヤング率と呼ばれる値であり、本明細書では、かかるヤング率を弾性率と定義する。
支持体が熱可塑性ポリマーからなる延伸フィルムの場合、延伸方向に対し、MD(平行)とTD(垂直)で強度が異なるが、本発明でいずれも使用可能である。
支持体のシンチレータ層形成面には、予め、表面エネルギーが調整されて、シンチレータ層を形成しやすくすることも可能である。表面エネルギーの調整方法としては、支持体をプラズマ処理や粗化処理したり、シリコン系表面処理剤で処理するなどの方法が挙げられる。表面エネルギーを調整しておくと、シンチレータ層を形成する際の組成物のはじきなどコート適性、シンチレータ層と支持体の接着適性を改善することができる。表面エネルギーの調整は、接触角法(液滴法)などの方法に、濡れ張力の変化から確認することができる。
・シンチレータ層
シンチレータ層を構成する材料としては、X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質を適宜使用することができる。具体的には、「蛍光体ハンドブック」(蛍光体同学会編・オーム社・1987年)の284頁から299頁に至る箇所に記載されたシンチレータ及び蛍光体や、米国Lawrence Berkeley National LaboratoryのWebホームページ「Scintillation Properties(http://scintillator.lbl.gov/)」に記載の物質などが考えられるが、ここに指摘されていない物質でも、「X線などの放射線を可視光などの異なる波長に変換することが可能な物質」であれば、シンチレータとして用いることができる。
シンチレータの構成材料の組成としては、以下の例が挙げられる。まず、
基本組成式(I):MIX・aMIIX'2・bMIIIX''3:zAで表わされる金属ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(I)において、MIは1価の陽イオンになり得る元素、すなわち、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、タリウム(Tl)および銀(Ag)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわち、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)およびカドミウム(Cd)などからなる群より選択される少なくとも1種を表す。
IIIは、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)およびランタノイドに属する元素からなる群より選択される少なくとも1種を表す。
X、X'およびX''は、それぞれハロゲン元素を表わすが、それぞれが異なる元素であっても、同じ元素であっても良い。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を表す。
a、bおよびzはそれぞれ独立に、0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<z<1.0の範囲内の数値を表わす。
また、
基本組成式(II):MIIFX:zLnで表わされる希土類賦活金属フッ化ハロゲン化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(II)において、MIIは少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、それぞれ表す。またzは、0<z≦0.2である。
また、
基本組成式(III):Ln22S:zAで表される希土類酸硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(III)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
また、
基本組成式(IV):MIIS:zAで表される金属硫化物系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(IV)において、MIIは2価の陽イオンになり得る元素、すなわちアルカリ土類金属、Zn(亜鉛)、Sr(ストロンチウム)、Ga(ガリウム)等からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
また、
基本組成式(V):MIIa(AG)b:zAで表される金属オキソ酸塩系蛍光体も挙げられる。
上記基本組成式(V)において、MIIは陽イオンになり得る金属元素を、(AG)はリン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩、アルミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種のオキソ酸基を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また、
基本組成式(VI):Mab:zAで表わされる金属酸化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VI)において、Mは陽イオンになり得る金属元素より選択される少なくとも1種の元素を表わすが、特にランタノイドに属する金属が好ましい。具体例としては、Gd23やLu23などが挙げられる。
Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表わすが、特にランタノイドに属する金属が好ましい。具体例としては
またaおよびbは、金属及びオキソ酸基の価数に応じて取り得る値全てを表す。zは、0<z<1である。
また他に、
基本組成式(VII):LnOX:zAで表わされる金属酸ハロゲン化物系蛍光体が挙げられる。
上記基本組成式(VII)において、Lnはランタノイドに属する少なくとも1種の元素を、Xは、少なくとも1種のハロゲン元素を、Aは、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Na、Mg、Cu、Ag(銀)、TlおよびBi(ビスマス)からなる群より選択される少なくとも1種の元素を、それぞれ表す。またzは、0<z<1である。
本発明では、シンチレータ層は少なくともGd2O2S、CsI、GdAlO3、NaI、CsBr、La2O2S、Y2O2S、Lu2O3を母体とする蛍光体を1種類以上含むものが好ましい。
無機シンチレータの他に、プラスチックの中に数種類の有機発光物質を溶かしたプラスチックシンチレータ、ベンゼン環構造を含む芳香族炭化水素化合物である有機シンチレータも適用可能である。
シンチレータ粒子の平均粒子径は、シンチレータ層の厚さに応じて選択され、シンチレータ層の厚さに対して、通常、100%以下となるが、層の厚みより平均粒子径が大きくてもよい。バインダーを含む場合、シンチレータ層の厚みよりも平均粒子径が大きい場合もありうる。したがって、シンチレータ粒子の平均粒子径は、シンチレータ層の厚みに対して、0.1〜200%であることが好ましく、さらに0.3〜170%であることが好ましい。層厚より大きいシンチレータ粒子は凸部を形成するため、保護フィルムや、剥離性フィルムを設けたり、巻回体にして支持体のシンチレータ非形成面と接触したときに、密着しない離型性を有し、容易に剥離できるようになる。
シンチレータ層にシンチレータ粒子のバインダーとして接着性樹脂が含まれていることが好ましい。また、接着性樹脂は、シンチレータの発光の伝搬を阻害しないように、シンチレータの発光波長に対して透明な材料であることが好ましい。
接着性樹脂としては、本発明の目的を損なわない限り特に限定されず、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル系コポリマー、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などのような合成高分子物質が挙げられるが。なお、これらの樹脂はエポキシやイソシアネート等の架橋剤によって架橋されたものであってもよく、これらの接着性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。接着性樹脂は、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。
放射線検出シートがフレキシブル性を具備するには、上記接着性樹脂のTg(ガラス転移点)が室温以下のもの、または軟化点、融点が120℃以下のものが好ましい。前記例示した接着性樹脂のうち、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが好ましい。特にこのようなバインダーを使用すると、カールしにくく、追従性が高くなる。
また、シンチレータ層に柔軟性を付与するため、可塑剤を添加しても良い。可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル; フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル; グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル; そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
シンチレータ層中の接着性樹脂の含有率は、好ましくは1〜80vol%、より好ましくは5〜70vol%、さらに好ましくは10〜60vol%である。前記範囲の下限値よりも低いと充分な接着性が得られず、逆に前記範囲の上限値よりも高いと、シンチレータ粒子の含有率が不充分となり、輝度が低下する。
シンチレータ層の形成方法としては、前記シンチレータ粒子と接着性樹脂を溶媒に溶解もしくは分散した組成物をコートしてもよいし、前記シンチレータ粒子と接着性樹脂を含有する混合物を加熱溶融して調製した組成物をコートしてもよい。さらに蒸着法などの各種成膜法を用いてシンチレータ層を形成する方法、別途作製したシンチレータ層を転写するなどを用いることが可能である。
前記シンチレータ粒子と接着性樹脂を溶媒に溶解もしくは分散した組成物をコートする場合、使用できる溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ベンゼントリオール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン等のアルキル類(シクロアルキルも含む)、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル類、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、メトキシプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等などのエーテル類、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素及びそれらの混合物などが挙げられる。当該組成物には、組成物中のシンチレータ粒子の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後のシンチレータ層中における接着性樹脂とシンチレータ粒子との間の結合力を向上させるための硬化剤や可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。
そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。
硬化剤は、熱可塑性樹脂、及び熱硬化性樹脂の硬化剤として公知のものを使用できる。
前記シンチレータ粒子と接着性樹脂を含有する混合物を加熱溶融してコートする場合、接着性樹脂としてホットメルト樹脂を使用することが好ましい。ホットメルト樹脂には、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系若しくはアクリル系の樹脂を主成分としたものを用いることができる。これらのうち、光透過性、防湿性及び接着性の観点から、ポリオレフィン系の樹脂を主成分としたものが好ましい。ポリオレフィン系の樹脂としては、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エステル共重合体(EMA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂等を用いることができる。なお、これらの樹脂は、二種以上組み合わせた、いわゆるポリマーブレンドとして用いてもよい。
シンチレータ層を形成するための組成物のコート手段としては、特に制約はないが、通常のコート手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、押し出しコーター、ダイコーター、グラビアコーター、リップコーター、キャピラリー式コーター、バーコーター、ディップ、スプレー、スピンなどの一般的な方式を用いることができる。
蒸着法には、物理蒸着(PVD)法や化学蒸着(CVD)法が挙げられる。PVD法には、加熱蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどの方法が含まれる。また、CVD法では、原料ガスを反応させて薄膜が形成される。CVD法のうちの1つであるプラズマCVDでは、電磁波エネルギーでガスをプラズマ化し、柱状結晶から構成されるシンチレータ層が作成される。またシート状に形成された結晶を貼付してもシンチレータ層を形成すること可能である。
本発明の態様では 支持体とシンチレータ層を合わせた厚みが3〜100μmとなる放射線検出シートが使用される。
・保護部材
保護部材は、放射線検出シートと接触させたものを、持ち運んでも折れたりしない剛性部材から構成される。また、保護部材は、表面のシンチレータ層が傷つかないよう、保護する機能も有する。
保護部材は、通常は、シンチレータ面と接触させた後、剥離させるときに、シンチレータが転写しないものであり、また粘着層を有する場合、粘着層が転写しないものが使用される。
このような保護部材として、支持体と同じ材質からなるものを使用することもできるが、異なる材料を使用してもよい。また粘着層や剥離層などを介して保護部材が設けられていてもよい。本発明で使用される保護部材は、態様によって、第1の保護部材、第2の保護部材となるが、界面の剥離力に応じて適宜、基材や粘着層の種類を鑑み、下記保護部材から、適宜選択される。
保護部材を設けることで、シンチレータ層への傷が付きにくくできる他に、放射検出シートが薄くなると、軽量となり、風で逃散したり、静電気などで他の機器に引っ付くことを、保護部材によって抑制できる。
また保護部材を設けることで、放射線検出シートに皺がよったり、拠ったりすることを抑制できる。傷や皺は、シンチレータ層の劣化、検出能の低下につながる。
保護部材は素材(PET、PE、ポリカ、ガラス、PPなど)や原理(自己粘着タイプ、粘着層ありタイプなど)によらず、放射線検出シートを固定できれば、何れのものを使用することができる。
例えば、保護部材として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィルム、セルロースアセテートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのプラスチックフィルムの他に、紙(セルロース)、PEラミネート紙、PPラミネート紙、ポリオレフィンやPTFEなどの織布・不織布などや、アルミ箔や銅箔も保護部材として使用することができる。
また、保護部材には、必要に応じて、アクリル系やウレタン系の粘着層が形成されていてもよく、粘着層は、シンチレータ層と接触しても、保護部材を剥離可能な接着力を有するが、剥がすときにシンチレータ層にダメージを与えたり、シンチレータ層を延ばてしまわないものが好ましい。また樹脂自体に粘着性があるエチレン・酢酸ビニル共重合体フィルムなども保護部材として使用可能である。
このような保護部材として、離型フィルム、自己粘着樹脂フィルム、微粘着フィルムとして市販の材料を使用することができる。その目的に応じて粘着層の種類や基材の表面処理、帯電防止処理などが適宜設けられる。剥離忘れ防止のために、色付きのフィルムを用いてもよい。粘着性は、自己粘着性であっても粘着層が設けられていてもよい。
上記離型フィルムとしては、例えば、PETなどのポリエステルからなる基材フィルムに、シリコーン処理、アルキッド樹脂処理、メラミン樹脂処理などの離型処理を行ったものであり、パナピールNP、TP、SG、SMシリーズ(パナック(株)製品)などが知られている。基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、トリアセチルセルロース、ポリ(メタ)アクリレート、ポリ塩化ビニル等があげられる。
自己粘着樹脂フィルムとしては、低密度および高密度ポリエチレンを組み合わせた積層フィルムであり、粘着層を構成する樹脂が、低密度ポリエチレンである表面保護フィルムや、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの基材フィルム表面に熱可塑性エラストマーの粘着層を設けたフィルムが挙げられる。熱可塑性エラストマーは、シランカップリング剤の反応性官能基と反応性を有する、変性熱可塑性エラストマーを含有してもよい。変性熱可塑性エラストマーは、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリジエン系熱可塑性エラストマー、塩素系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー等のベース熱可塑性エラストマーを、シランカップリング剤の反応性官能基と反応可能に変性してなるものである。このような自己粘着樹脂フィルムとして、サニテクト(サンエー技研(株)製品)、ゲルポリ(パナック(株)製品)などを使用できる。
微粘着フィルムとしては、同様の基材フィルム表面に、アルキル(メタ)アクリレートからなる主成分のアクリルモノマー、当該主成分のアクリルモノマーと共重合しうる官能基含有モノマーおよびその他の共重合性モノマーを含有するモノマー組成物を共重合したアクリル系共重合体を主成分とする粘着層が設けられたものが好適に挙げられる。このような微粘着フィルムとして、パナプロテクト(パナック(株)製品)、コスモタック(コスモテック(株)製品)などを使用できる。
保護部材の厚みは特に制限されないが通常30〜100μm程度のものがハンドリング性等の点で好ましい。
また、保護部材としてホットメルト樹脂層を使用することができる。本発明でいうホットメルト樹脂とは、水や溶剤を含まず室温で固体であり、不揮発性の熱可塑性材料からなる接着性樹脂ある。樹脂温度が上昇すると溶融し、樹脂温度が低下すると固化する。また加熱溶融状態で接着性が有り、常温で固体状態となり接着性を持たないものである。光透過性の点から、ポリオレフィン系樹脂がより好ましい。
ホットメルト樹脂はポリオレフィン系、ポリエステル系又はポリアミド系の樹脂を主成分とするものが好適であるが、これに限定されない。
以下、本発明の実施態様について、図面を参照しながら説明する。
・第1の態様
本発明にかかる放射線検出シートの第1の態様の概略について、平面図およびX−X'、Y−Y’断面図を図1に示す。
シンチレータ層表層に剥離可能な第1の保護部材が配置され、シンチレータ層と第1の保護部材の界面の剥離力(粘着力)Aが1N/20mm以下である。
剥離力Aは、第1保護部材を固定し、放射線検出シートを剥離角90°で剥離したときの抵抗として測定される。
第1保護部材は、シンチレータ層表面と貼り合わせることができ、剥がしたときに、放射線検出シートに皺や延びなどを生じさてないものなければ特に制限されず、上記材料から適宜、剥離力を鑑み適宜選択される。
・第2の態様
第2の態様の概略について、平面図およびX−X'、Y−Y’断面図を図2に示す。
第2の態様では、さらに、前記放射線検出シートの支持体のシンチレータ形成側の反対面に剥離可能な第2保護部材が配置されている。
支持体と第2保護部材との界面の剥離力(粘着力)Bが、1.5N/25mm以下(ただし、粘着力0≦A<Bの関係を満足する)である。
このような剥離力を有すると、支持体から第2保護部材を剥離できるとともに、シンチレータ層から第1部材も剥離可能となる。また、第2の態様では、支持体自体も薄い放射線検出シートの帯電などによる付着や皺発生などを抑制できる。なお、シンチレータ層はシンチレータ粒子を構成に含むため、その表面は粒子に起因する凹凸を有し、通常、界面の剥離力Aは小さくなり、第2の保護部材と支持体との間の剥離力Bよりも小さくなる。
剥離力Bは、第2保護部材を固定し、放射線検出シートを剥離角90°で剥離したときの抵抗として測定される。
保護部材は放射線検出シートと略同一形状となるように設けられるが、図2に示すように、どちらか一方の長さ方向に余白を残すように、第1および第2の保護部材を設けてもよい。さらに、図3に示す別態様のように、放射線検出シートの四方に余白を生じるように保護部材を設けてもよい。余白部分の第1および第2の保護部材は、互いに接着させてもよい。
第2の保護部材は、第1の保護部材と同じものを使用することができる。第2の保護部材は、放射線検出シートの外周部で第1の保護部材と貼り合わせることが可能な場合、第1の保護部材に粘着性がなくてもよく、第2の保護部材に貼り合わせることができれば、PETなどの樹脂フィルムや不織布などであってもよい。
第1および第2の保護部材の端部は、粘着時の「のり代」部分として機能する。このため、複数の放射線検出シートを保護部材と一括して配置したのち、のり代部分にミシン目の切れ込みや、易開封加工を施しておけば、放射線検出シートの個別包装体も作製可能となる。
本発明にかかる放射線検出シートのたわみ量は、保護部材を貼り合わせた放射線検出シートを2cm×10cmのサイズに断裁し、長軸方向の一方の端部1cmを固定した時の自重によるたわみ量(固定点の水平方向の高さと、たわんだ他方の端部の高さとの差)が8.5cm以下であることが好ましい。この範囲にあると、シートをたたんで収納できたり、巻回体とすることも可能である。
保護部材は、帯電防止性能を有するものであると、静電気で放射線検出シートが保護部材に巻きついたり、保護部材剥離時に、放射線検出シートに皺がよったりすることを抑制できる。
本発明では、放射線検出シート支持体および/または保護部材に剥離のきっかけとなる起点を有することが好ましい。剥離のきっかけとなる起点は保護部材をたやすく剥離できるような構成であれば特に制限されず、シンチレータ層を含む放射線検出シート全体や、支持体、保護部材に設けられていてもよい。
剥離のきっかけとなる起点の一例を図4に示す。
図4には、第1の保護部材、シンチレータ層、支持体および第2の保護部材から構成される放射線検出シートの第1の保護部材、放射線検出シート(シンチレータ層と基材)にハーフカットをつけたものが例示される。
ハーフカットは、第1の保護部材を剥離するためのハーフカット(第1の保護部材のみ断裁)であっても、放射線検出シートを剥離するためのハーフカット(第1の保護部材と放射線検出シートの両方を断裁)のいずれであってもよい。
これにより、第1の保護部材、放射線検出シートのそれぞれが剥がしやすくなる。
第2の保護部材を使用しない前記第1の態様の場合、第1の保護部材のみ断裁されるようにハーフカットすることで、剥がしやすくなる。
ハーフカットの位置は、放射線検出シートの有効領域に影響がなければよく、角部に限らず、シート面内のいずれの場所でもよい。
ハーフカットの代わりに、一部の保護部材間の粘着力を調整し、たとえば一部のみ、粘着剤を付与せずに、離型剤を付与して、保護部材の粘着性を低くしておいてもよい。また、断裁せずに、ハーフカット上にミシン目を入れてもよく、さらに台紙を挟んでいてもよい。
図5に、剥離のきっかけとなる起点として、第1、または第2の保護部材に剥離用タブを設けた例を示す。
このタブは、保護部材に剥離用のタブを付与するように設けられていてもよく、タブは強粘着シール等を使用したラベルでも良い。
また、前記タブは、保護シートの剥離順序を示したり、剥がし忘れ防止のために、第1、第2の保護部材両方に設けても良い。
・第3の態様
本発明にかかる放射線検出シートの第3の態様を図6に示す。
第3の態様では、支持体と支持体の上に形成されたシンチレータ層を一つの構成単位とするシートが、シンチレータ層表面に、他の構成単位の支持体が接するように積層されてなる放射線検出シートであり、支持体とシンチレータ層との一つの構成単位は、合わせた厚みが3〜100μmであり、
シンチレータ層と、他の構成単位の支持体とが剥離可能に配置され、シンチレータ層と他の構成単位の支持体との界面の剥離力(粘着力)が、1N/20mm以下である。
第3の態様では、支持体が剥離可能な保護部材として機能も兼ねるため、必ずしも上記のような保護部材を必要としない。支持体のシンチレータ層を形成していない表面が、保護部材として、別のシンチレータ層と接触するようになっている。
図6には一例として、複数の放射線検出シートが、相互に支持体が、相互のシンチレータ層と接するように、折りこまれてなる互いに重なりを有して折り畳まれ、その先端と末端とが折り幅の中央部に位置するようにして蛇行状に折り曲げて畳み、かつ折り畳んだ各放射線検出シート等を、上方のシート等の末端と、次のシート等の先端とが、同一面上において、互いに突き合わされるようにして、かつ支持体の非シンチレータ形成面が、シンチレータ層と接触するように順次積み重ねてなる。中央部で、各シートの端部が重なるようにして、折り畳んでいてもよい。重なるように折りたたむと、一枚のシートを取り出したときに、次のシートの端部が取っ掛かりとしてつまみやすくなる。各シートはミシン目を介してつながっていてもよい。
第3の態様には、図7に示される支持体およびシンチレータ層を一つの構成単位とする、長尺状のシートの巻回体であってもよい。必要に応じて、芯体を用いて
いもよく、さらに所定の間隔で、切れ込みやミシン目を入れておいてもよい。
本発明にかかる放射線検出シートの製造方法には特に制限されず、支持体表面にシンチレータ層を設けたのち、保護部材と粘着させたり、公知の方法で所定の折りたたみ方でたたんだり、巻回体とすればよい。
また本発明にかかる放射線検出シートの製造方法では、支持体および支持体上に設けられたシンチレータ層からなるシートと、ロールtoロール方式を用いて保護部材とを貼合させる。
ロールtoロール方式では、図8に示すように、例えばロール状に巻いた第1の保護部材、支持体表面にシンチレータ層が形成された放射線検出シート部材および第2の保護部材を、張り合わせてから、再びロールに巻き取る。ロールtoロール方式を採ると,各部材は装置の間を連続的に流れることになる。製造装置は互いに連結され、搬送に伴う手間や装置を大幅に省ける。ロールtoロール方式を採ると、薄く、軽く、フレキシブルな放射線検出シートの性質を実現できる上に製造コストは少なくできる。
保護部材と放射線検出シートをロールtoロールで貼り合わせたあと、任意の幅に切断することも可能である。
上記第2の態様のように、さらに、前記放射線検出シートの支持体のシンチレータ形成側の反対面に剥離可能な第2保護部材が配置されている場合、保護部材が放射線検出シートよりも幅広いものを使用することで、保護部材同士が微粘着フィルムで固定された態様の放射線検出シートを製造できる。
また、シート断裁だけではなく、打ち抜き型で任意のサイズに打ち抜くことも可能となる。
本発明の放射線検出シートは、被検体を包んで使用することが可能である。その利用分野は電離放射線や紫外線を可視化できる用途であれば特に制限されない。たとえば、非特許文献1にあるように、18F-FDGを注入して、PET画像を測定する際に、被検体である腫瘍などを、本発明のフレキシブルな放射線検出シートで包めば、腫瘍信号を増強することができるので、精度向上に寄与できる。
また医療用途以外に、魚介類、野菜や乳製品などの食品評価や、非破壊検査や放射性廃棄物検査などの分野に適用可能である。放射線源は、X線源、ガンマ線源、中性子線源、もしくはこれらの組合せから適宜選択される。
撮像範囲内に本発明の放射線検出シートで包んだ被検体を設置し、放射線源から放射される放射線を放射線制御装置にて被検体に一定時間照射し、放射線源の反対側に設置された放射線検出器もしくは放射線検出器アレイによって放射線を検出する。これによって、たとえば、溶接などの不具合やジョイントの傷、配管内部の腐食などを適宜検査することも可能であり、さらに、放射性廃棄物自体を包んで評価すれば、汚染状況を調べることも可能となる。
実施例
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はかかる実施例に何ら制限されるものではない。
<実施例1>
<第1態様の放射線検出シートの作製>
平均粒径2μmのGdS:Tb粒子とポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン200、Tg=67℃)を固形分体積比率(GdS:Tb粒子/ポリエステル樹脂)が50/50となるようにメチルエチルケトン溶剤中で混合し、組成物を得た。この組成物を 理論膜厚が3.0μm(重量より算出)のPETフィルム(非シンチレータ層)上に、理論膜厚が6μm(重量より算出)になるようにダイコーターを用いて組成物をコートすることで、シンチレータ層と支持体とからなるシートを作製した。得られたシートのシンチレータ層表面に、第1の保護部材として、75μmの厚さの微粘着フィルム(パナック(株)製、パナプロテクトNT75)を貼り、第1態様の放射線検出シートを作製した。
得られたシートから第1の保護部材とシンチレータ層との間の剥離強度は、0.8Nであり、剥離後に検出シートの皺や延びはなく、シンチレータ層の保護部材への転写はなかった。また、貼り合わせた状態でのたわみ量は6cmであった。
<実施例2>
<第2態様の放射線検出シートの作製>
実施例1で作製したシンチレータ層と支持体とからなるシートのシンチレータ層表面に、第1の保護部材として、75μmの厚さの離型フィルム(パナック(株)製、パナピールNP75C)を貼り、支持体のシンチレータ層が設けられていない表面に、第2の保護部材として、60μmの厚さの微粘着フィルム(サンエー化研(株)製、サニテクトPAC60T)を貼り合わせ、第2の放射線検出シートを作製した。
得られたシートから第2の保護部材と支持体との間の剥離強度は、0.03Nであり、剥離後に検出シートの皺や延びはなく、シンチレータ層の保護部材への転写はなかった。また、貼り合わせた状態でのたわみ量は8cmであった。

Claims (11)

  1. 支持体と、支持体の上に形成されたシンチレータ層と保護部材からなる、放射線検出シートにおいて、
    該シンチレータ層表層に剥離可能な第1の保護部材が配置され、
    支持体とシンチレータ層を合わせた厚みが3〜100μmであり、
    シンチレータ層と第1の保護部材の界面の剥離力(粘着力)Aが1N/20mm以下である、放射線検出シート。
  2. 前記放射線検出シートの支持体のシンチレータ形成側の反対面に剥離可能な第2保護部材が配置されてなり、
    支持体と第2保護部材との界面の剥離力(粘着力)Bが、1N/20mm以下(ただし、粘着力0≦A<Bの関係を満足する)であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出シート。
  3. 前記放射線検出シートのたわみ量が、保護部材を貼り合わせた放射線検出シートを2cm×10cmのサイズに断裁し、長軸方向の一方の端部1cmを固定した時の自重によるたわみ量(固定点の水平方向の高さと、たわんだ他方の端部の高さとの差)が8.5cm以下である請求項1または2に記載の放射線検出シート。
  4. 支持体が、樹脂フィルムからなる請求項1〜3のいずれかに記載の放射線検出シート。
  5. 剥離のきっかけとなる起点を、支持体および/または保護部材に有する請求項1〜4のいずれかに記載の放射線検出シート。
  6. 保護部材が、帯電防止機能を有する請求項1〜5のいずれかに記載の放射線検出シート。
  7. 支持体と支持体の上に形成されたシンチレータ層を一つの構成単位とするシートが、シンチレータ層表面に、他の構成単位の支持体が接するように積層されてなる放射線検出シートであり、支持体とシンチレータ層との一つの構成単位は、合わせた厚みが3〜100μmであり、
    シンチレータ層と、他の構成単位の支持体とが剥離可能に配置され、シンチレータ層と他の構成単位の支持体との界面の剥離力(粘着力)が、1N/20mm以下である、放射線検出シート。
  8. 支持体と支持体の上に形成されたシンチレータ層を一つの構成単位とするシートの巻回体である、請求項7に記載の放射線検出シート。
  9. 複数の放射線検出シートの支持体が、相互のシンチレータ層と接するように、折りこまれてなる、請求項7に記載の放射線検出シート。
  10. 支持体および支持体上に設けられたシンチレータ層からなるシートを、ロールtoロール方式を用いて保護部材とを貼合させる放射線検出シートの製造方法。
  11. 所定の間隔で、放射線検出シートを断裁する、請求項10に記載の放射線検出シートの製造方法。
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