JP2020083699A - 炭素材料の製造方法、触媒の製造方法、電極の製造方法、燃料電池の製造方法 - Google Patents

炭素材料の製造方法、触媒の製造方法、電極の製造方法、燃料電池の製造方法 Download PDF

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Hiroya Abe
博弥 阿部
浩平 野崎
Kohei Nozaki
浩平 野崎
藪 浩
Hiroshi Yabu
浩 藪
末永 智一
Tomokazu Suenaga
智一 末永
明哉 熊谷
Akiya Kumagai
明哉 熊谷
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Abstract

【課題】産業上の種々の工業的用途への適用が容易であり、実用的な炭素材料の製造方法の提供。【解決手段】第1の液体1と、第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む第2の液体2とを乳化して、第1の溶媒が分散媒5であり、第2の溶媒を含む液滴が分散質4であるエマルジョンEを調製し、分散質4と分散媒5との界面Bでドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜6を分散質4である液滴の表面に設け、膜6に熱処理を施す、炭素材料9の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素材料の製造方法、触媒の製造方法、電極の製造方法、燃料電池の製造方法に関する。
ドーパミンの重合によってポリドーパミンを合成し、ポリドーパミンから炭素材料を製造する技術が知られている(非特許文献1、2)。
非特許文献1、2にはシリカ粒子の表面でドーパミンを重合し、重合で得られた生成物に熱処理を施し、次いで熱処理物からシリカ粒子を除去し、中空状の炭素材料を製造することが記載されている。
Y.M.Yu, et al. FUEL CELLS 12,2012, No3, 506-510. Yihui Dai, et al. Ind. Eng. Chem. Res .2014, 53, 3125-3130.
しかしながら、非特許文献1、2に記載の技術では、熱処理物からシリカ粒子を除去する際に、高濃度のフッ化水素を使用している。高濃度のフッ化水素は反応性が高い化合物である。そのため、非特許文献1、2に記載の技術を産業上の種々の工業的用途に適用することは、困難である場合がある。
本発明は、産業上の種々の工業的用途への適用が容易であり、実用的な炭素材料の製造方法の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
[1] 第1の溶媒を含む第1の液体と、前記第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む第2の液体とを乳化して、前記第1の溶媒が分散媒であり、前記第2の溶媒を含む液滴が分散質であるエマルジョンを調製し、前記分散質と前記分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜を前記液滴の表面に設け、前記膜に熱処理を施す、炭素材料の製造方法。
[2] 前記エマルジョンを調製した後に、ドーパミンと前記エマルジョンとを混合する、[1]の炭素材料の製造方法。
[3] 前記第1の液体又は前記第2の液体が、ドーパミンを含む、[1]又は[2]の炭素材料の製造方法。
[4] 前記エマルジョンの前記界面に配位可能な界面活性剤の存在下で、前記エマルジョンを調製する、[1]〜[3]のいずれかの炭素材料の製造方法。
[5] ヘテロ原子含有化合物の存在下で、前記ドーパミンを重合する、[1]〜[4]のいずれかの炭素材料の製造方法。
[6] 前記膜に熱処理を施す前に前記液滴を除去し、前記膜で形成された外殻を有する中空状の粒子を回収する、[1]〜[5]のいずれかの炭素材料の製造方法。
[7] 前記粒子の前記外殻に表面処理を施して、前記ポリドーパミンにヘテロ原子を担持させる、[6]の炭素材料の製造方法。
[8] 第1の溶媒を含む第1の液体と、前記第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む第2の液体とを乳化して、前記第1の溶媒が分散媒であり、前記第2の溶媒を含む液滴が分散質であるエマルジョンを調製し、前記分散質と前記分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜を前記液滴の表面に設け、前記膜に熱処理を施す、触媒の製造方法。
[9] 前記エマルジョンを調製した後に、ドーパミンと前記エマルジョンとを混合する、[8]の触媒の製造方法。
[10] 前記第1の液体又は前記第2の液体が、ドーパミンを含む、[8]又は[9]の触媒の製造方法。
[11] 前記エマルジョンの前記界面に配位可能な界面活性剤の存在下で、前記エマルジョンを調製する、[8]〜[10]のいずれかの触媒の製造方法。
[12] ヘテロ原子含有化合物の存在下で、前記ドーパミンを重合する、[8]〜[11]のいずれかの触媒の製造方法。
[13] 前記膜に熱処理を施す前に前記液滴を除去し、前記膜で形成された外殻を有する中空状の粒子を回収する、[8]〜[12]のいずれかの触媒の製造方法。
[14] 前記粒子の前記外殻に表面処理を施して、前記ポリドーパミンにヘテロ原子を担持させる、[13]の触媒の製造方法。
[15] 触媒を含む電極の製造方法であり、前記触媒を製造する際に、[8]〜[14]のいずれかの製造方法を使用する、電極の製造方法。
[16] 電極を有する燃料電池の製造方法であり、前記電極を製造する際に、[15]の製造方法を使用する、燃料電池の製造方法。
本発明によれば、産業上の種々の工業的用途への適用が容易であり、実用的な炭素材料の製造方法が提供される。
一実施形態の炭素材料の製造方法を説明するための模式図である。 実施例1で調製したエマルジョン及び実施例1で製造した炭素材料のSEM像を示す図である。 実施例2で調製したエマルジョン及び実施例2で製造した炭素材料のSEM像を示す図である。 実施例1及び比較例1、3の各電極のLSVの測定結果から1600rpmにおける酸化還元特性を比較して示すグラフである。 実施例1、2及び比較例1〜3の各電極のLSVの測定結果から1600rpmにおける酸化還元特性を比較して示すグラフである。
本明細書において下記用語の意味は以下の通りである。
「ヘテロ原子」とは、炭素原子及び水素原子以外の原子を意味し、遷移金属を含む概念である。
「酸素還元触媒能」とは、例えば、燃料電池等の電極表面における酸素の還元反応を促進する機能を意味する。
数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
<炭素材料の製造方法>
(エマルジョンの調製)
まず、本発明の炭素材料の製造方法では、第1の液体と第2の液体とを乳化して、エマルジョンを調製する。
第1の液体について説明する。
第1の液体は第1の溶媒を含む。第1の液体は、塩基性化合物、後述の界面活性剤をさらに含むことが好ましい。第1の液体は、第1の溶媒、及び界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
第1の溶媒は、ドーパミンを溶解できる化合物であれば特に限定されない。第1の溶媒は、有機溶媒でも水性溶媒でもよい。
水性溶媒の具体例としては、アンモニア水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液、リン酸水溶液等が例示される。水性溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒の具体例としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)、酢酸、クエン酸、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エトキシエタノール等が例示される。有機溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、水性溶媒及び有機溶媒はこれらの例示に限定されない。
第2の液体について説明する。
第2の液体は、第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む。第2の液体は、後述の界面活性剤をさらに含むことが好ましい。第2の液体は、第2の溶媒及び界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
第2の溶媒は、第1の溶媒と非相溶性である化合物であれば特に限定されない。第2の溶媒の具体例としては、第1の溶媒の具体例として例示した化合物と同様のものが例示できる。
これらの例示物から第1の溶媒と非相溶性である化合物を第2の溶媒として選択する。例えば、第1の溶媒が水性溶媒である場合、第2の溶媒は有機溶媒であることが一般的である。例えば、第1の溶媒が有機溶媒である場合、第2の溶媒は水性溶媒であることが一般的である。
第2の溶媒としては、ドーパミンを溶解しない化合物が好ましい。ポリドーパミンを溶解しない化合物も好ましい。
第1の液体と第2の液体を乳化する方法は特に限定されない。第1の液体と第2の液体を乳化する方法としては、例えば、下記の方法(A1)、(A2)が挙げられる。
・方法(A1):第1の液体と第2の液体とを含む容器に攪拌処理を施す方法。
・方法(A2):第1の液体と第2の液体とをホモジェナイザー等を使用して機械乳化する方法。
ただし、第1の液体と第2の液体を乳化する方法は、方法(A1)、(A2)に限定されない。第1の液体と第2の液体を乳化する方法は、第1の液体及び第2の液体のうち、一方の液体を物理的なせん断力によって液滴に変化させ、その液滴をもう一方の液体中に分散させることができる態様であれば特に限定されない。
方法(A1)の一例について図1を用いて説明する。
図1中の「a」及び「b」に示すように、方法(A1)では、第1の液体1からなる液相P1と第2の液体2からなる液相P2とを含む容器3を準備し、次いで、容器3に攪拌処理を施す。
攪拌処理としては、容器3に超音波を照射する超音波処理、容器3内にスターラーを配置してスターラーによって、液相P1と液相P2とを混合する混合処理、容器3を振とうする振とう処理等が例示される。
攪拌処理は、これらの例示に限定されない。攪拌処理は、液相P1と液相P2とに物理的なせん断力を一体的に与えることで、液相P1及び液相P2のうち一方の液相を構成する液体の液滴をもう一方の液相を構成する液体中に分散させることができる態様であれば特に限定されない。
攪拌処理の処理時間は特に限定されない。攪拌処理が超音波処理である場合、超音波の周波数は例えば、20000〜80000Hzでもよく、超音波の照射時間は、例えば、5〜15分でもよい。
図1においては、液相P1が液相P2の鉛直下方に配置されているが、液相P1は、液相P2の鉛直上方に配置されてもよい。液相P1及び液相P2の鉛直方向の上下関係は、第1の溶媒及び第2の溶媒の密度の大小関係等によって決定される。そのため、液相P1及び液相P2の鉛直方向の上下関係は、第1の溶媒及び第2の溶媒をそれぞれ構成する化合物の選択によって適宜設定できる。
方法(A2)の一例について説明する。
方法(A2)では、ホモジェナイザー等の乳化機を使用して、第1の液体と第2の液体を乳化する。ここで、あらかじめ、第1の液体と第2の液体とを混合した後に、第1の液体と第2の液体とを含む混合物を乳化機に投入してもよく、第1の液体と第2の液体とを別々に乳化機に投入してもよい。
本発明の炭素材料の製造方法では、第1の液体と第2の液体とを乳化して、エマルジョンを調製する。エマルジョンにおいては、第1の溶媒がエマルジョンの分散媒であり、第2の溶媒を含む液滴がエマルジョンの分散質である。すなわち、エマルジョンにおいては、第1の溶媒に第2の溶媒を含む液滴が分散している。
例えば、図1中「b」に示すように、エマルジョンEにおいては、第2の溶媒を含む液滴である分散質4と分散媒5との間に界面Bが形成されている。このように形成される界面Bは、第1の溶媒と第2の溶媒と間の液液界面であるともいえる。
なお、ドーパミンは有機溶媒にも水性溶媒にも溶解し得る化合物であるから、エマルジョンにおいては、ドーパミンは第1の溶媒及び第2の溶媒の両方に溶解していてもよく、いずれか一方に溶解していてもよい。通常、ドーパミンは主に第1の溶媒に溶解している。
エマルジョンの平均粒子径は、20〜50000nmが好ましく、50〜5000nmがより好ましい。
エマルジョンの平均粒子径が前記下限値以上であると、エマルジョンの分散安定性がさらに向上する。エマルジョンの平均粒子径が前記上限値以下であると、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。
エマルジョンの平均粒子径はエマルジョンの分散質の平均粒子径であるともいえる。エマルジョンの平均粒子径は、例えば、粒度分布測定装置、電子顕微鏡によって測定できる。
本発明の炭素材料の製造方法では、エマルジョンの界面に配位可能な界面活性剤の存在下で、エマルジョンを調製することが好ましい。界面活性剤の存在下で、エマルジョンを調製することで、エマルジョンの分散安定性及び分散質の分散媒に対する分散性がさらに向上する。
界面活性剤の存在下で、エマルジョンを調製する方法としては、例えば、下記の方法(B1)〜(B3)が挙げられる。
・方法(B1):上述の方法(A1)又は方法(A2)において、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方に、あらかじめ界面活性剤を混合しておく方法。
・方法(B2):上述の方法(A1)において、第1の液体と第2の液体とを含む容器に界面活性剤をさらに混合した後に、上述の攪拌処理を施す方法。
・方法(B3):上述の方法(A2)において、第1の液体及び第2の液体とは別々に界面活性剤を乳化機に投入する方法。
界面活性剤は、第1の溶媒と第2の溶媒と間の液液界面に配位可能であれば、特に限定されない。界面活性剤は、第1の溶媒と第2の溶媒との組合せに応じて適宜決定される。
界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤が例示される。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の具体例としては、オクチルフェノールエトキシレート(ノニオン性界面活性剤、ダウ・ケミカル社製のTriton Xシリーズ等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ノニオン性界面活性剤、アトラスパウダー社製のTween等)、ラウリル硫酸ナトリウム(アニオン性界面活性剤、東京化成工業社製のSodium Dodecyl Sulfate等)等が例示される。ただし、界面活性剤の具体例はこれらの例示に限定されない。
第1の液体及び第2の液体における他の成分としては、酸化剤、pH調節剤、緩衝剤、沈殿抑制剤等が例示される。
pH調節剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物が例示される。ただし、塩基性化合物はドーパミンの安定化に寄与する化合物であれば特に限定されない。
第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が界面活性剤を含む場合、界面活性剤の含有量は、第1の液体100質量%又は第2の液体100質量%に対して、0.1〜1質量%が好ましい。
界面活性剤の含有量が前記下限値以上であると、エマルジョンの分散安定性及び分散質の分散媒に対する分散性がさらに向上する。界面活性剤の含有量が前記上限値以下であると、界面活性剤の残存に起因する酸素還元触媒能の低下を防止できる。
第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方がヘテロ原子含有化合物を含む場合、ヘテロ原子含有化合物の含有量は、第1の液体100質量%又は第2の液体100質量%に対して、0.01〜10質量%が好ましい。
ヘテロ原子含有化合物の含有量が前記下限値以上であると、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。ヘテロ原子含有化合物の含有量が前記上限値以下であると、ヘテロ原子含有化合物の残存に起因する酸素還元触媒能の低下を防止できる。
(ドーパミンの重合)
次に、本発明の炭素材料の製造方法では、エマルジョンの分散質と分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜を分散質である液滴の表面に設ける。
本発明においては、エマルジョンを調製した後に、ドーパミンとエマルジョンとを混合してエマルジョン中にドーパミンを存在させてもよく、第1の液体又は第2の液体にあらかじめドーパミンを混合し、第1の液体又は第2の液体がドーパミンを含む状態でエマルジョンを調製してもよい。
ドーパミンは下式(1)で表される化合物である。
本発明においては、エマルジョンの分散媒及び分散質はいずれも液体であるから、液液界面でドーパミンの重合反応が進行する。これにより、ドーパミンの重合反応によって、分散質である液滴の表面にポリドーパミンを含む膜が設けられる。この際、ポリドーパミンを含む膜は、分散質である液滴の形状に沿って分散質の表面に形成される。
その結果、図1中の「c」に示すように、分散質4の表面にポリドーパミンを含む中空状の膜6が形成される。
エマルジョン中で重合する際のドーパミンの使用量は、所望する炭素材料の厚みにあわせて適宜調整してもよい。ドーパミンの使用量は、例えば、第1の液体100質量%に対し0.1〜1質量%でもよい。
ドーパミンの使用量が前記下限値以上であると、ポリドーパミンを含む膜の成膜速度が速くなる。ドーパミンの使用量が前記上限値以下であると、ポリドーパミンを含む膜におけるポリドーパミンの分散性がよくなる。
ドーパミンを重合する際の温度は、特に限定されない。前記温度は、例えば20〜30℃でもよい。
ドーパミンを重合する際の第1の液体及び第2の液体のpHは、ドーパミンの重合性の点から、8〜11が好ましい。
ドーパミンの重合時間は、ドーパミンの重合性の点から、3時間以上が好ましい。ドーパミンの重合時間が前記下限値以上であると、ポリドーパミンを含む膜の膜厚がさらに厚くなる。
膜6の厚みは、炭素材料の用途に応じて適宜設定できる。膜6の厚みは、例えば、1〜500nmでもよい。
本発明においては、ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体の存在下でドーパミンを重合してもよい。例えば、第1の液体がヘテロ原子を有するドーパミン誘導体を含む場合、炭素材料にヘテロ原子を担持させることができる。また、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体の存在下でドーパミンを重合する場合、エマルジョンを調製した後に、ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体とエマルジョンとを混合してエマルジョン中にヘテロ原子を有するドーパミン誘導体を存在させてもよく、第1の液体又は第2の液体にあらかじめヘテロ原子を有するドーパミン誘導体を混合し、第1の液体又は第2の液体がヘテロ原子を有するドーパミン誘導体を含む状態でエマルジョンを調製してもよい。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体としては、イミン付加体、下式(2)に示すアミン付加体、下式(3)に示すチオール付加体等が例示される。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ただし、式(2)中、Rは炭化水素基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造でもよい。前記炭化水素はヘテロ原子を有してもよく、前記炭化水素基における炭素数は特に限定されない。
ただし、式(3)中、Rは炭化水素基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造でもよい。前記炭化水素はヘテロ原子を有してもよく、前記炭化水素基における炭素数は特に限定されない。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体として、イミン付加体及びアミン付加体のいずれか一方又は両方を用いると、炭素材料に窒素原子を担持させることができる。また、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体として、チオール付加体を用いると、炭素材料に硫黄原子を担持させることができる。また、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体として、イミン付加体及びアミン付加体のいずれか一方又は両方とチオール付加体とを併用すると、炭素材料に窒素原子及び硫黄原子を担持させることができる。また、炭素材料の酸素還元触媒能が特に向上する。
ヘテロ原子を有するドーパミン誘導体は、ドーパミンの代替物として用いてもよく、ドーパミンと併用してもよい。
本発明の炭素材料の製造方法では、ヘテロ原子含有化合物の存在下で、ドーパミンを重合してもよい。例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方がヘテロ原子含有化合物をさらに含む場合、炭素材料にヘテロ原子を担持させることができる。
ヘテロ原子含有化合物の存在下でドーパミンを重合する場合、エマルジョンを調製した後に、ヘテロ原子含有化合物とエマルジョンとを混合してエマルジョン中にヘテロ原子含有化合物を存在させてもよく、第1の液体又は第2の液体にあらかじめヘテロ原子含有化合物を混合し、第1の液体又は第2の液体がヘテロ原子含有化合物を含む状態でエマルジョンを調製してもよい。
ヘテロ原子含有化合物としては、窒素含有化合物(ただし、ドーパミン及びドーパミン誘導体を除く。)、ホウ素含有化合物、硫黄含有化合物、ケイ素含有化合物、遷移金属含有化合物、窒素原子及び硫黄原子の両方を含有する化合物が例示される。
中でも、酸素還元触媒能が向上する点から、ヘテロ原子含有化合物としては、窒素含有化合物、硫黄含有化合物、遷移金属含有化合物が好ましく、窒素原子及び硫黄原子の両方を含有する化合物がより好ましい。
ヘテロ原子含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、ヘテロ原子含有化合物として、窒素含有化合物及び硫黄含有化合物の組合せを併用すると、炭素材料の酸素還元触媒能の向上が顕著である。
窒素含有化合物としては、アミノ基、ニトリル基、イミド基、イミン基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基等の窒素含有基を有する有機化合物;ピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環等の窒素含有環を有する有機化合物が例示される。ここで、窒素含有環を有する有機化合物とは、環構造に包含される窒素原子を有する複素環式化合物である。
窒素含有基を有する有機化合物の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等の脂肪族アミン;フェニルアミン、トリフェニルアミン、2−フェニルエチルアミン、4−アミノフタロニトリル等の芳香族アミン;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等のイミン;ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド等のアミドが例示される。窒素含有基を有する有機化合物は、これらの例示に限定されない。窒素含有基を有する有機化合物は、単量体でも重合体でもよい。
窒素含有環を有する有機化合物の具体例としては、ピロール、ポリピロール、ポルフィリン、イミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジンが例示される。窒素含有環を有する有機化合物は、これらの例示に限定されない。窒素含有環を有する有機化合物は、単量体でも重合体でもよい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素含有化合物は、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、酸ハライド基、スルホ基、リン酸基、ケトン基、エーテル基、エステル基等の酸素含有基をさらに有してもよい。酸素含有基を有する窒素含有化合物としては、アミノ酸及びその誘導体;ゼラチン、ポリL−リシン等のタンパク質;アセチルピロール等のアシルピロール;ピロールカルボン酸、アセチルイミダゾール等のアシルイミダゾール;カルボニルジイミダゾール、イミダゾールカルボン酸、ピラゾール、アセトアニリド、5−カルボキシ−1−ペンタンチオール、5−アミノペンタン酸、3−アミノプロピオン酸、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、モルホリン、ピリミジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール、ポリビニルピロリドンが例示される。
アミノ酸の具体例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシン、テトラグリシンが例示される。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素含有化合物としては、カルボキシル基を有する窒素含有化合物が好ましい。例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が窒素含有化合物を含む場合、窒素含有化合物がカルボキシル基を有する窒素含有化合物であると、ヘテロ原子として窒素原子及び酸素原子が担持された炭素材料を製造できる。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が窒素含有化合物を含む場合、エマルジョンの調製の際にイミン付加体及び上式(2)に示すアミン付加体のいずれか一方又は両方が生成する場合がある。この場合の窒素含有化合物としては、ポリエチレンイミン、ゼラチンが好ましい。
ホウ素含有化合物の具体例としては、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩、フェニレンジボロン酸が例示される。ただし、ホウ素含有化合物はこれらの例示に限定されない。ホウ素含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の液体がホウ素含有化合物を含むと、ヘテロ原子としてホウ素原子が担持された炭素材料を製造できる。
硫黄含有化合物の具体例としては、6−メルカプトヘキサノール、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、1,5−ナフタレンジスルホン酸ジナトリウム等が例示される。硫黄含有化合物は、システイン含有タンパク質、メチオニン含有タンパク質等の硫黄含有タンパク質でもよい。
ケイ素含有化合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、オルトケイ酸テトラエチル、二酸化ケイ素が例示される。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が硫黄含有化合物を含む場合、上式(3)に示すチオール付加体が生成する場合がある。この場合、硫黄含有化合物の具体例としては、チオシアヌル酸、6−メルカプトヘキサノール、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)が好ましい。
窒素原子及び硫黄原子の両方を含有する化合物の具体例としては、4−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム等の窒素含有基及び硫黄含有基を有する芳香族有機化合物;1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール等の窒素含有環及び窒素含有環に結合する硫黄含有基を有する有機化合物;2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール(ビスムチオール)等の窒素及び硫黄含有環を有する有機化合物が例示される。ここで、窒素及び硫黄含有環を有する有機化合物とは、環構造に包含される窒素原子及び硫黄原子を有する複素環式化合物である。
遷移金属含有化合物の具体例としては、鉄含有化合物、コバルト含有化合物、チタン含有化合物、ジルコニウム含有化合物、ハフニウム含有化合物、バナジウム含有化合物、ニオブ含有化合物、タンタル含有化合物、ニッケル含有化合物、クロム含有化合物、マンガン含有化合物が例示される。ただし、遷移金属含有化合物はこれらの例示に限定されない。
遷移金属含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
遷移金属含有化合物は、酸素原子及びハロゲン原子のいずれか一方又は両方を有してもよい。酸素原子及びハロゲン原子のいずれか一方又は両方を有する遷移金属含有化合物としては、金属リン酸塩、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属有機酸塩、金属ハロゲン化物、金属酸ハロゲン化物(金属ハロゲン化物の中途加水分解物)、金属アルコキシド、金属ハロゲン酸塩、金属次亜ハロゲン酸塩、金属錯体が例示される。
金属アルコキシドとしては、遷移金属のメトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、エトキシド、ブトキシド、イソブトキシドが例示される。
酸素原子及びハロゲン原子のいずれか一方又は両方を有する遷移金属含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
鉄含有化合物の具体例としては、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)フェロセン、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四酸化三鉄、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等が例示される。
鉄含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
コバルト含有化合物の具体例としては、塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(II)、硫化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、コバルトセン、水酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、四酸化三コバルト、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)等が例示される。
コバルト含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
チタン含有化合物の具体例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)[TiCl])、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等が例示される。
チタン含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ジルコニウム含有化合物の具体例としては、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラペントキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、オキシ臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、オキシヨウ化ジルコニウム等が例示される。
ジルコニウム含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハフニウム含有化合物の具体例としては、ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトラプロポキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトライソブトキシド、ハフニウムテトラペントキシド、ハフニウムテトラアセチルアセトナート、四塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム、臭化ハフニウム、オキシ臭化ハフニウム、ヨウ化ハフニウム、オキシヨウ化ハフニウム等が例示される。
ハフニウム含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
バナジウム含有化合物の具体例としては、バナジウムオキシトリメトキシド、バナジウムオキシトリエトキシド、バナジウムオキシトリイソプロポキシド、バナジウムオキシトリブトキシド、バナジウム(III)アセチルアセトナート、バナジウム(IV)アセチルアセトナート、五塩化バナジウム、オキシ塩化バナジウム、五臭化バナジウム、オキシ臭化バナジウム、五ヨウ化バナジウム、オキシヨウ化バナジウム、塩化バナジウム(II)、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、オキシ硫酸バナジウム(IV)、硫化バナジウム(III)、オキシシュウ酸バナジウム(IV)、バナジウムメタロセン、酸化バナジウム(V)、酢酸バナジウム、クエン酸バナジウム等が例示される。
バナジウム含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ニオブ含有化合物の具体例としては、ニオブペンタメトキシド、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタブトキシド、ニオブペンタペントキシド、五塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、五臭化ニオブ、オキシ臭化ニオブ、五ヨウ化ニオブ、オキシヨウ化ニオブ等が例示される。
ニオブ含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
タンタル含有化合物の具体例としては、タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタブトキシド、タンタルペンタペントキシド、タンタルテトラエトキシアセチルアセトナート、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、五臭化タンタル、オキシ臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、オキシヨウ化タンタル等が例示される。
タンタル含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ニッケル含有化合物の具体例としては、塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、リン酸ニッケル(II)、ニッケルセン、水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)等が例示される。
ニッケル含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
クロム含有化合物の具体例としては、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、硫酸クロム(III)、硫化クロム(III)、硝酸クロム(III)、シュウ酸クロム(III)、リン酸クロム(III)、水酸化クロム(III)、酸化クロム(II)、酸化クロム(III)、酸化クロム(IV)、酸化クロム(VI)、酢酸クロム(II)、酢酸クロム(III)、乳酸クロム(III)等が例示される。
クロム含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
マンガン含有化合物の具体例としては、塩化マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硫化マンガン(II)、硝酸マンガン(II)、シュウ酸マンガン(II)、水酸化マンガン(II)、酸化マンガン(II)、酸化マンガン(III)、酢酸マンガン(II)、乳酸マンガン(II)、クエン酸マンガン等が例示される。
マンガン含有化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が、ヘテロ原子含有化合物をさらに含む場合、エマルジョンの調製の際にヘテロ原子を有するドーパミン複合体が生成する場合がある。ドーパミン複合体としては、ドーパミンのカルボン酸複合体、ドーパミンのホウ酸錯体、ドーパミンの遷移金属錯体が挙げられる。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方がカルボキシル基を有する窒素含有化合物を含む場合、下式(4)に示すドーパミンのカルボン酸複合体が生成する場合がある。この場合カルボキシル基を有する窒素含有化合物としては、5−カルボキシ−1−ペンタンチオール、5−アミノペンタン酸、3−アミノプロピオン酸が好ましい。
ただし、式(4)中、Rは炭化水素基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれの構造でもよい。前記炭化水素はヘテロ原子を有してもよく、前記炭化水素基における炭素数は特に限定されない。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が、ホウ素含有化合物を含む場合、下式(5)に示すドーパミンのホウ酸錯体が生成する場合がある。この場合ホウ素含有化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、フェニレンジボロン酸が好ましい。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が鉄(III)含有化合物を含む場合、下式(6)に示すドーパミンの鉄(III)錯体が生成する場合がある。このようにして、例えば、鉄(III)原子が担持された炭素材料を製造できる。
本発明の炭素材料の製造方法では、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が上述のヘテロ原子を有するドーパミン複合体をさらに含んでもよい。
ヘテロ原子を有するドーパミン複合体は、ドーパミンの代替物として単独で用いてもよく、ドーパミンと併用してもよい。
(熱処理)
次に、本発明の炭素材料の製造方法では、ポリドーパミンを含む膜に熱処理を施す。ポリドーパミンを含む膜に熱処理を施すことで、液滴である第2の溶媒及び分散媒である第1の溶媒が除去され、ポリドーパミンを含む中空形状の膜を炭素化できる。その結果、中空形状の炭素材料が得られる。
炭素材料が有する化学構造としては、下式(7)に示すような化学構造が例示される。ただし、本発明の製造方法で得られる炭素材料が有する化学構造は、下式(7)に示す化学構造に限定されない。
例えば、第1の液体及び第2の液体のいずれか一方又は両方が鉄金属含有化合物を含む場合においては、炭素材料が有する化学構造としては、下式(8)に示すような化学構造が例示される。ただし、この場合において得られる炭素材料が有する化学構造は、下式(8)に示す化学構造に限定されない。
熱処理の方法としては、例えば、オーブン、炉、熱板、熱ロール等を用いて加熱又は焼成する方法、赤外線等の熱線を照射することで加熱する方法等が例示される。炉、オーブン、熱板及び熱ロールの形態は特に限定されない。
熱処理をする方法としては、真空電気炉を用いて焼成することが好ましい。これにより、機械的強度及び形状安定性に優れる炭素材料を製造できる。
熱処理の温度は、特に限定されない。前記温度としては、例えば、500〜900℃とすることができる。熱処理の温度が前記下限値以上であると、炭素材料の酸素還元触媒能がさらに向上する。熱処理の温度が前記上限値以下であると、炭素材料の導電性が向上する。
熱処理の圧力は、特に限定されない。前記圧力としては、例えば、0〜2000Paとすることができる。
熱処理の時間は、特に限定されない。前記時間としては、例えば、120分とすることができる。
熱処理は、1段階で実施してもよく、異なる温度又は圧力にて2段階以上で実施してもよい。
例えば、図1中「d」及び「e」に示すように、ポリドーパミンを含む膜6に熱処理を施す前に、液滴である分散質と分散媒5である第1の溶媒とを除去し、図1中「e」に示すポリドーパミンを含む膜6で形成された外殻を有する中空状の粒子8を回収してもよい。
中空状の粒子8を回収する方法としては、固液分離、遠心分離等が挙げられる。
図1中「d」に示すように、中空状の粒子8を回収する前後において、洗浄液7を使用して中空状の粒子8を洗浄してもよい。洗浄に使用する洗浄液7としては、揮発性のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール等)、水(Milli−Q)、有機溶媒(ヘキサデカン等)等が例示される。洗浄液7はこれらの例示に限定されず、第1の溶媒及び第2の溶媒に応じて、溶媒の抽出効率、洗浄効率を考慮して適宜選択される。
図1中「e」及び「f」に示すように、回収した中空状の粒子8に熱処理を施すと、ポリドーパミンを含む膜6が焼成等され、中空状の炭素材料9が得られる。中空状の炭素材料9は、ポリドーパミンを含む膜6の加熱処理物で形成された外殻10を有する。すなわち、外殻10はポリドーパミンを含む膜6の加熱処理物を含む。エマルジョンEの調製の際に、ヘテロ原子含有化合物を使用した場合、外殻10はヘテロ原子をさらに含む。
図1中「e」において、中空状の粒子8に熱処理を施す前に、粒子の外殻を形成するポリドーパミンを含む膜6の表面に表面処理を施して、ポリドーパミンにヘテロ原子を担持させてもよい。これにより、ヘテロ原子が担持された中空状の炭素材料を製造できる。
表面処理の方法としては、担持させたい原子を含んだ分子溶液中への浸析等が例示される。ただし、表面処理の方法はこれに限定されない。
エマルジョンの調製の際に界面活性剤を使用した場合、中空状の粒子に熱処理を施す前に、透析等により界面活性剤を除去することが好ましい。これにより、界面活性剤の残存に起因する炭素材料の酸素還元触媒能の低下を低減できる。
炭素材料の比表面積は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。炭素材料の比表面積は、酸素還元触媒能の点から、100〜500m/gが好ましい。比表面積が前記下限値以上であると、酸素還元触媒能がさらに向上する。比表面積が前記上限値以下であると、炭素材料の製造が容易である。
比表面積は、窒素吸着BET法で比表面積測定装置により測定できる。
炭素材料の平均粒子径は、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。炭素材料の平均粒子径は、例えば、20〜50000nmでもよい。
平均粒子径は、粒度分布測定装置、電子顕微鏡により測定できる。
炭素材料の外殻の厚みは、特に限定されず、用途に応じて適宜設定できる。炭素材料の外殻の厚みは、例えば、1〜500nmでもよい。
炭素材料の外殻の厚みは、電子顕微鏡により測定できる。
(用途)
本発明の製造方法で得られる炭素材料は種々の工業製品の材料として適用可能である。
本発明の製造方法で得られる炭素材料は、優れた酸素還元触媒能を具備する。そのため、酸素の還元反応を利用する産業上の種々の用途に好適に利用できる。
(作用効果)
以上説明した炭素材料の製造方法にあっては、エマルジョン中の分散質と分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜をエマルジョンの分散質である液滴の表面に設ける。このため、エマルジョンの分散質である液滴を、ポリドーパミンを含む膜を形成するための鋳型として使用できる。
このように、本発明の炭素材料の製造方法では、ポリドーパミンを含む膜を合成するための鋳型が液体であるから、鋳型の除去が容易である。さらに、ポリドーパミンを含む膜の高分子鎖の間から第2の溶媒等が流出されるため、液滴を除去する方法も特に限定されず、乾燥等の容易な除去方法を適用可能である。
加えて、エマルジョンの分散質である液滴中の第2の溶媒は、ドーパミンを溶解する第1の溶媒と非相溶性であれば特に限定されないため、汎用性が高く、生産コストが増大する場合が少ないと考えられる。
そして、本発明の製造方法で得られる炭素材料は、優れた酸素還元触媒能を具備する。さらに、炭素材料は中空状の粒子で構成されるため、非中空状の粒子と比較して表面積が大きくなる。その結果、触媒反応の活性点を相対的に多くすることができ、酸素還元触媒能がよくなる。そのため、酸素の還元反応を利用する産業上の種々の用途に好適に利用できる。
以上より、本発明の炭素材料の製造方法は、産業上の種々の工業的用途への適用が容易であり、実用的である。
<触媒の製造方法>
本発明の触媒の製造方法の構成は、上述した本発明の炭素材料の製造方法と基本的に同内容である。本発明の触媒の製造方法は、得られる製造物が炭素材料ではなく、触媒である点で、本発明の炭素材料の製造方法と異なる。
第1の液体、第2の液体、エマルジョンの好ましい態様及び詳細は、上述の炭素材料の製造方法で説明した内容と同様である。
本発明の触媒の製造方法において、エマルジョンの調製、ドーパミンの重合及び熱処理の際の好ましい態様及び詳細は、上述の炭素材料の製造方法で説明した内容と同様である。
(作用効果)
以上説明した触媒の製造方法にあっては、エマルジョン中の分散質と分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜をエマルジョンの分散質である液滴の表面に設ける。このため、エマルジョンの分散質である液滴を、ポリドーパミンを含む膜を形成するための鋳型として使用できる。
このように本発明の触媒の製造方法では、ポリドーパミンを含む膜を合成するための鋳型が液体であるから、鋳型の除去が容易である。さらに、ポリドーパミンを含む膜の高分子鎖の間から第2の溶媒等が流出されるため、液滴を除去する方法も、特に限定されず、乾燥等の容易な除去方法を適用可能である。
加えて、エマルジョンの分散質である液滴中の第2の溶媒は、ドーパミンを溶解する第1の溶媒と非相溶性であれば特に限定されないため、汎用性が高く、生産コストが増大する場合が少ないと考えられる。
そして、本発明の製造方法で得られる触媒は、酸素還元触媒能に優れる。さらに、触媒は中空状の粒子で構成されるため、非中空状の粒子と比較して表面積が大きくなる。その結果、触媒反応の活性点を相対的に多くすることができ、酸素還元触媒能がよくなる。そのため、酸素の還元反応を利用する産業上の種々の用途に好適に利用できる。
以上より、本発明の触媒の製造方法は、産業上の種々の工業的用途への適用が容易であり、実用的である。
<電極の製造方法>
本発明の電極の製造方法は、触媒を含む電極の製造方法である。本発明の電極の製造方法では、触媒を製造する際に、上述の本発明の触媒の製造方法を使用する。触媒を製造する際における、第1の液体、第2の液体、エマルジョンの調製、ドーパミンの重合及び熱処理の詳細及びその好ましい態様は、上述の炭素材料の製造方法で説明した内容と同様である。
本発明の電極の製造方法で製造される電極は、上述した本発明の触媒の製造方法で得られる特定の触媒を含む。電極が特定の触媒を含むため、酸素還元触媒能がよくなる。その結果、電極が酸素還元特性に優れる。
電極の形態は特に限定されない。電極は通常、平板状の基材を有する。
基材としては、シリコン基板;金、鉄、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、リチウム等の金属基板;これらの金属の任意の組み合わせを含む合金基板;インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)等の酸化物基板;グラッシーカーボン、パイロリティックグラファイト、カーボンフェルト等の炭素基板等が例示される。ただし、基材はこれらの例示に限定されない。
平板状の基材を有する電極の形態としては、下記のものが挙げられる。
電極(1):基材の表面に前記の特定の触媒を含む触媒層が設けられている電極。
電極(2):基材を構成する材料中に前記の特定の触媒を含む電極。
電極(1)について説明する。
電極(1)は、触媒層を基材の全面に有してもよく、基材の表面の少なくとも一部に有してもよい。
触媒層の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.01〜100μmとすることができる。厚みが前記下限値以上であると、電極が耐久性に優れる。厚みが前記上限値以下であると、電極の性能が低下しにくい。
電極(1)は例えば、前記の特定の触媒と媒体と必要に応じて添加剤等を含む組成物を基材の表面に塗布し、媒体を除去することで製造できる。組成物は液状でもペースト状でもよい。媒体の除去方法は、自然乾燥でも加熱乾燥でもよく、特に限定されない。
電極(1)の製造においては、組成物を基材の全面に塗布してもよく、基材の表面の少なくとも一部に塗布してもよい。電極(1)の触媒層の厚みが上述の好ましい数値範囲内になるように組成物の塗布量を調整してもよい。
電極(2)について説明する。
電極(2)は、基材の内部に特定の触媒を含む。触媒の含有量は特に限定されない。
電極(2)は例えば、基材を構成する材料と前記の特定の触媒と必要に応じて添加剤等とを混合し、板状に成形することで製造できる。基材を構成する材料と前記の特定の触媒とを混合する際、基材に触媒が均一に分散する点から、基材を構成する材料の状態は溶融状態が好ましい。
電極(2)の製造においては、所望する酸素還元触媒能に応じて特定の触媒の混合量を調整してもよい。
電極は、燃料電池の電極として利用できる。燃料電池の電極として利用する場合、一対の電極の間に電解質膜を配置してもよい。
電極を燃料電池の電極として利用する場合、酸性条件下では下式(9)に示す酸素の還元反応が進行しやすくなり、アルカリ性条件下では下式(10)に示す還元反応が進行しやすくなる。その結果、酸素還元触媒を有する電極として機能する。
+4H+4e→2HO ・・・式(9)
+2HO+4e→4OH ・・・式(10)
基材として、例えば多孔質支持層を有する基材を用いることで、本発明の電極を燃料電池用の電極として利用してもよい。燃料電池の電極として利用する場合、本発明の電極はカソード又はアノードのいずれの電極に用いてもよい。
多孔質支持層とは、ガスを拡散する層である。多孔質支持層としては、電子伝導性を具備し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば特に限定されない。多孔質支持層としては、カーボンペーパー、カーボンクロス等の炭素系多孔質材料、ステンレス箔、耐食材を被服したアルミニウム箔等が例示される。
(作用効果)
以上説明した電極の製造方法にあっては、触媒の製造の際に上述の本発明の触媒の製造方法を使用するため、実用的である。そして、酸化還元特性に優れる電極が得られる。
また、ドーパミン誘導体の選択又はヘテロ原子含有化合物の選択により、触媒にドープするヘテロ原子を選択できるため、種々のヘテロ原子が担持された触媒を含む電極を容易に製造できる。
<燃料電池の製造方法>
本発明の燃料電池の製造方法は、電極を有する燃料電池の製造方法である。本発明の燃料電池の製造方法では、電極を製造する際に、上述の本発明の電極の製造方法を使用する。電極を製造する際における、第1の液体、第2の液体、エマルジョンの調製、ドーパミンの重合及び熱処理の詳細及びその好ましい態様は、上述の炭素材料の製造方法で説明した内容と同様である。
本発明の燃料電池の製造方法で製造される燃料電池は、上述した本発明の電極の製造方法で得られる特定の電極(以下、「第1の電極」と記載する。)を有する。燃料電池が第1の電極を有するため、第1の電極における酸素還元反応の酸素還元特性がよくなる。その結果、燃料電池はエネルギー変換効率に優れる。
燃料電池は一次電池でもよく、二次電池でもよい。
燃料電池の形態としては、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、固体酸化物型燃料電池(SOFC)、固体高分子型燃料電池(PEFC)等が例示される。ただし、燃料電池の形態はこれらの例示に限定されない。これらの中でも、PEFCが好ましい。
燃料電池は、第1の電極に加えて、第2の電極、電解質、セパレータをさらに有してもよい。
第2の電極としては、アルミニウム、亜鉛等の金属単体、これらの金属酸化物が例示される。ただし、第2の電極はこれらの例示に限定されない。
電解質としては、水性電解液が好ましい。水性電解液としては、水酸化カリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液;硫酸水溶液等の酸性水溶液が例示される。電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ただし、電解質はこれらの例示に限定されず、無機固体電解質でもよい。
セパレータは、第1の電極と第2の電極とを隔離し、電解液を保持して第1の電極と第2の電極との間のイオン伝導性を確保する部材である。セパレータは、特に制限はない。
セパレータの具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、セルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、セロファン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ビニロン、ポリ(メタ)アクリル酸等のマイクロポアを有する重合体、ゲル化合物、イオン交換膜、環化重合体、ポリ(メタ)アクリル酸塩含有重合体、スルホン酸塩含有重合体、第四級アンモニウム塩含有重合体、第四級ホスホニウム塩含有重合体等が例示される。ただし、セパレータはこれらの例示に限定されない。
(作用効果)
以上説明した燃料電池の製造方法にあっては、電極の製造の際に上述の本発明の電極の製造方法を使用するため、実用的である。
また、ドーパミン誘導体の選択又はヘテロ原子含有化合物の選択により、触媒にドープするヘテロ原子を選択できるため、種々のヘテロ原子が担持された触媒を含む電極を有する燃料電池を容易に製造できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
(略号)
SEM:Scanning Electron Microscope、
RDE:Rotating Disk Electrode、
LSV:Linear Sweep Voltammetry、
化合物1:4-Amino-1,5-naphthalenedisulfonic Acid Monosodium Salt(4−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸ナトリウム)、
Pt/C:白金担持カーボン(Sigma Aldrich社製、738549-1G)、
GC:グラッシーカーボン(BAS社製、01338)。
(SEMによる観察)
SEM像の取得は、走査型透過電子顕微鏡(Hitachi社製、S−5200)によって5kVの条件下で行った。
(RDEによるLSV測定)
RDEによるLSV測定は、回転リングディスク電極(BAS株式会社製、RRDE−3A)によって酸素飽和0.1M水酸化カリウム水溶液を電解液として使用し、掃引速度5mV/sの条件下で行った。回転ディスクの回転数を0rpm,400rpm,800rpm,1200rpm,1600rpm,2000rpm,2400rpm、2800rpm、3200rpmの各回転数にしたときについてそれぞれLSVを測定した。対極としてPtを使用し、参照極としてAg/AgClを使用した。
RDEによるLSV測定の結果を示すグラフにおいて、縦軸に示す電流の発生が始まるときの横軸に示す付与電位の絶対値が低いほど、酸素還元触媒能に優れることを意味する。
(LSV曲線)
LSV曲線は、回転リングディスク電極(BAS株式会社製、RRDE−3A)によって酸素飽和0.1M水酸化カリウム水溶液を電解液として使用し、掃引速度10mV/sの条件下で、掃引範囲の下限を−0.8V、上限を0.2Vとして行った。回転ディスクの回転数は1600rpmとし、対極としてPt線を使用し、参照極としてAg/AgClを使用した。
(反応開始電位の算出)
LSV測定の傾きが0mA/(cm・V)を安定的に下回った電位を「反応開始電位」とした。
(半波電位の算出)
LSV測定の電位が−0.5Vのときの電流密度を算出し、その電流密度の1/2の電流密度が得られた電位を「半波電位」とした。
(電流密度の算出)
LSV測定の電位が−0.5Vのときの電流密度を測定した。
(反応電子数の算出)
LSV測定からリング電極とディスク電極の電流密度を算出し、RRDEに基づいて反応電子数を算出した。
(実施例1)
第1の溶媒として水(Milli−Q)を用い、水中に水酸化ナトリウムを含む第1の液体をビーカーに調製した。第1の溶媒の一例である水と非相溶性である第2の溶媒としてヘキサデカンを使用し、ビーカー中にヘキサデカンからなる第2の液体を投入し、水相とヘキサデカン相とがビーカー中に形成した。次いで、水相とヘキサデカン相とが形成されたビーカーに超音波を照射して水相とヘキサデカン相とに攪拌処理を施し、第1の液体と第2の液体とを乳化し、第1の溶媒である水が分散媒であり、ヘキサデカンを含む液滴が分散質であるエマルジョンを調製した。
次いで、このエマルジョンにドーパミンを投入し、25℃で、3時間、ビーカーを静置し、分散質(ヘキサデカン)と分散媒(水)との界面でドーパミンを重合して、ヘキサデカンを含む液滴の表面にポリドーパミンを含む膜を設けた。次いで、エマルジョンの分散媒である水を除去し、99.5%エタノールで洗浄し、ポリドーパミンを含む膜で形成された外殻を有する中空状の粒子を回収した。回収した中空状の粒子を窒素雰囲気下、800℃で真空電気炉(フルテック社製、超小型真空雰囲気電気炉、FT−1200−100SP)を用いて2時間焼成して、熱処理を施した。そして、ポリドーパミンの熱処理物で形成された外殻を有する中空形状の炭素材料を得た。
(実施例2)
水(Milli−Q)中に水酸化ナトリウムと下式(9)に示す化合物1を含む第1の液体をビーカーに調製した。この下式(9)に示す化合物1を使用した以外は、実施例1と同様にして、中空形状の炭素材料を得た。
図2に示す写真は、実施例1で調製したエマルジョン及び実施例1で製造した炭素材料のSEM像を示す図である。
図2の左側に示す写真は、実施例1で調製したエマルジョンのSEM像である。
図2の右側に示す写真は、実施例1で製造した炭素材料のSEM像である。
図2の各写真に示すように、複数の粒状物の生成と炭素材料の断面は中空状であり、ポリドーパミンを含む膜であると考えられる外殻を有することを確認した。
図3は、実施例2で調製したエマルジョン及び実施例2で製造した炭素材料のSEM像を示す図である。
図3の左側に示す写真は、実施例2で調製したエマルジョンのSEM像である。
図3の右側に示す写真は、実施例2で製造した炭素材料のSEM像である。
図3の各写真に示すように、ヘテロ原子含有化合物として、化合物1を使用した場合においても、複数の粒状物が生成することを確認できた。
実施例1、2の各例で得られた炭素材料を水とナフィオン(Sigma Aldrich社製)とイソプロパノールとを含む溶液中に分散させて分散液を得た。得られた分散液をグラッシーカーボン電極上に塗布し、グラッシーカーボン電極上に実施例1の炭素材料を含む触媒層を設け、乾燥させ、実施例1の電極を製造した。得られた実施例1の電極について、RDEによるLSV測定を行った。
(比較例1)
第1の溶媒として水(Milli−Q)を用い、水中に水酸化ナトリウムを含む第1の液体をビーカーに調製した。次いで、この第1の液体にドーパミンを投入し、25℃で、3時間、ビーカーを静置し、エマルジョンを調製せずにドーパミンを重合することで非中空状の粒子を得た。次いで、非中空状の粒子の分散媒(水)を除去し、99.5%エタノールで洗浄し、非中空状の粒子を回収した。回収した非中空状の粒子を窒素雰囲気下、800℃で真空電気炉(フルテック社製、超小型真空雰囲気電気炉、FT−1200−100SP)を用いて2時間焼成して、熱処理を施した。そして、ポリドーパミンの熱処理物で形成された非中空状の比較例1の炭素材料を得た。
(比較例2)
第1の溶媒として水(Milli−Q)を用い、水中に水酸化ナトリウムと下式(9)に示す化合物1を含む第1の液体をビーカーに調製した。この下式(9)に示す化合物1を使用した以外は、比較例1と同様にして、エマルジョンを調製せずにドーパミンを重合することで非中空状の比較例2の炭素材料を製造した。
(比較例3)
比較例3の炭素材料として、Pt/Cを使用した。
比較例1〜3で得られた炭素材料を水とナフィオン(Sigma Aldrich社製)とイソプロパノールとを含む溶液中に分散させて分散液を得た。得られた分散液をグラッシーカーボン電極上に塗布し、グラッシーカーボン電極上に比較例1〜3の炭素材料を含む触媒層を設け、乾燥させた後、比較例1〜3の電極を製造した。得られた比較例1〜3の電極について、RDEによるLSV測定を行った。
図4は、実施例1及び比較例1、3の各電極のLSVの測定結果から1600rpmにおける酸化還元特性を比較して示すグラフである。図4に示す各電極の酸化還元特性のデータから、各電極の反応開始電位、半波電位、電流密度、反応電子数を算出した。算出結果を表1に示す。
図5は、実施例1、2及び比較例1〜3の各電極のLSVの測定結果から1600rpmにおける酸化還元特性を比較して示すグラフである。図5に示す各電極の酸化還元特性のデータから、各電極の反応開始電位、半波電位、電流密度、反応電子数を算出した。算出結果を表2に示す。
ここで、下式(10)に示す酸素の還元反応において介在する電子数が4であることから、反応電子数が4個に近づくほど、酸素還元触媒能が優れることを意味する。
+2HO+4e→4OH ・・・(10)
図4及び表1に示すように、実施例1ではエマルジョンを調製したため、中空状の触媒粒子が形成され触媒の表面積が大きくなる。その結果、実施例1の電極は、比較例1の電極より、電流密度、半波電位が高く、酸素還元触媒能が向上していることが判った。
図5及び表2に示すように、実施例2のようにヘテロ原子含有化合物として、窒素原子及び硫黄原子の両方を含有する化合物である化合物1を使用すると、酸素還元触媒能が実施例1の電極よりさらに向上することが判った。
1…第1の液体、2…第2の液体、3…容器、4…分散質、5…分散媒、6…ポリドーパミンを含む膜、7…洗浄液、8…中空状の粒子、9…炭素材料、10…外殻、B…界面、E…エマルジョン、P1、P2…液相

Claims (16)

  1. 第1の溶媒を含む第1の液体と、前記第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む第2の液体とを乳化して、前記第1の溶媒が分散媒であり、前記第2の溶媒を含む液滴が分散質であるエマルジョンを調製し、
    前記分散質と前記分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜を前記液滴の表面に設け、
    前記膜に熱処理を施す、炭素材料の製造方法。
  2. 前記エマルジョンを調製した後に、ドーパミンと前記エマルジョンとを混合する、請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
  3. 前記第1の液体又は前記第2の液体が、ドーパミンを含む、請求項1又は2に記載の炭素材料の製造方法。
  4. 前記エマルジョンの前記界面に配位可能な界面活性剤の存在下で、前記エマルジョンを調製する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素材料の製造方法。
  5. ヘテロ原子含有化合物の存在下で、前記ドーパミンを重合する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素材料の製造方法。
  6. 前記膜に熱処理を施す前に前記液滴を除去し、前記膜で形成された外殻を有する中空状の粒子を回収する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素材料の製造方法。
  7. 前記粒子の前記外殻に表面処理を施して、前記ポリドーパミンにヘテロ原子を担持させる、請求項6に記載の炭素材料の製造方法。
  8. 第1の溶媒を含む第1の液体と、前記第1の溶媒と非相溶性である第2の溶媒を含む第2の液体とを乳化して、前記第1の溶媒が分散媒であり、前記第2の溶媒を含む液滴が分散質であるエマルジョンを調製し、
    前記分散質と前記分散媒との界面でドーパミンを重合して、ポリドーパミンを含む膜を前記液滴の表面に設け、
    前記膜に熱処理を施す、触媒の製造方法。
  9. 前記エマルジョンを調製した後に、ドーパミンと前記エマルジョンとを混合する、請求項8に記載の触媒の製造方法。
  10. 前記第1の液体又は前記第2の液体が、ドーパミンを含む、請求項8又は9に記載の触媒の製造方法。
  11. 前記エマルジョンの前記界面に配位可能な界面活性剤の存在下で、前記エマルジョンを調製する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の触媒の製造方法。
  12. ヘテロ原子含有化合物の存在下で、前記ドーパミンを重合する、請求項8〜11のいずれか一項に記載の触媒の製造方法。
  13. 前記膜に熱処理を施す前に前記液滴を除去し、前記膜で形成された外殻を有する中空状の粒子を回収する、請求項8〜12のいずれか一項に記載の触媒の製造方法。
  14. 前記粒子の前記外殻に表面処理を施して、前記ポリドーパミンにヘテロ原子を担持させる、請求項13に記載の触媒の製造方法。
  15. 触媒を含む電極の製造方法であり、
    前記触媒を製造する際に、請求項8〜14のいずれか一項に記載の製造方法を使用する、電極の製造方法。
  16. 電極を有する燃料電池の製造方法であり、
    前記電極を製造する際に、請求項15に記載の製造方法を使用する、燃料電池の製造方法。
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