JP2020082705A - 線条樹脂成形体 - Google Patents

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亮平 湯浅
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Abstract

【課題】 形状記憶ポリマーを3次元造形した造形物の吸湿を防ぐことができ、例えば湿潤な環境においても性能を保つことが可能な線条樹脂成形体を提供する。【解決手段】 形状記憶ポリマーを含む内層材の外側に水バリア材からなる外層を有する線条樹脂成形体である。水バリア材は、例えば吸水性の低い熱可塑性樹脂や水蒸気バリア性を有する熱可塑性樹脂である。線条樹脂成形体は、熱溶融積層方式の3Dプリンタに用いられる。形状記憶ポリマーを含む線条樹脂成形体を用いて造形される3D造形物は、形状記憶ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上、溶融温度未満又は分解温度未満の温度で変形を加え、その形状を保持した状態でガラス転移温度以下まで冷却することにより、変形形状を固定し、ガラス転移温度以上、溶融温度未満又は分解温度未満の温度に加熱することにより、元の成形形状を回復する。【選択図】 図3

Description

本発明は、線条樹脂成形体に関するものであり、特に、いわゆる3Dプリンタのような3次元オブジェクト(物体)を構築するモデリング装置等において、原料素材として用いられる線条樹脂成形体に関するものである。
3次元オブジェクトの形成方法として、いわゆる3Dプリンタが注目されており、これまで実現することが難しかった複雑な形状の3次元オブジェクトも簡単に作製可能になってきている。3Dプリンタを用いれば、樹脂や金属等、任意の材料を積み重ねていくことにより、通常の方法では実現不可能な形状であっても加工することが可能である。
3Dプリンタには、いくつかの方式のものが知られており、その中で樹脂ストランド(線条樹脂成形体)を押出して積層堆積させる方式(熱溶融積層方式)のものは、コスト面で有利であること等から、各方面で開発が進められている(例えば、特許文献1や特許文献2等を参照)。
例えば、特許文献1の積層造形システムでは、造形材料であるフィラメントを押し出しヘッドに供給し、押し出しヘッドに搭載される液化機にてフィラメントを溶融し、ノズルを通して、溶融したフィラメントをベース上に押し出す。押し出しヘッド及びベースは、3Dモデルを形成するために相対的に移動し、多数の線状及び層状の材料を積層していき、3Dモデルを製造する。
特許文献2には、押出による積層堆積システムの押出ヘッドへ改質ABS材料を送出すること、押出ヘッドの応答時間を向上させる条件下で、送出された改質ABS材料を押出ヘッドにおいて溶融すること、3Dオブジェクトを形成するために、溶融された熱可塑性プラスチック材料を一層毎に堆積させることとを含む3Dオブジェクトを構築する方法が開示されている。
この種の方法では、樹脂材料を溶融堆積するというのが基本的な考えであり、原料素材として樹脂のストランド(線条樹脂成形体)が用いられる。特許文献3や特許文献4には、原料素材として用いる樹脂ストランドや、その供給方法等についての開示がある。
特許文献3には、3次元物体を作成するための組成物が開示されているが、造形物を作製する押出機では、押出ヘッドに可撓性フィラメントとして供給している。フィラメントは、押出ヘッドが携帯する液化機内で溶融される。液化機は凝固点よりもわずかに高い温度にフィラメントを加熱して、これを溶融状態にする。溶融材料は液化機のオリフィスを通じて台座上に押し出される。
特許文献4には、3次元堆積モデリング機械内でフィラメントを供給するフィラメントカセットおよびフィラメントカセット受器が開示されている。特許文献4では、フィラメントを簡便な様態でモデリング機械に係合および分離する方法を提供し、環境における湿気からフィラメントを保護する様態で実現され得るようにしている。
特表2009−500194号公報 特表2010−521339号公報 特許5039549号公報 特許4107960号公報
前述の3Dプリンタにおいては、造形用の樹脂材料として形状記憶ポリマーを用いることもできる。形状記憶ポリマーは、成形形状と変形形状とを熱による温度操作で使い分けることのできる樹脂である。形状記憶ポリマーの成形体は、形状記憶ポリマーのガラス転移温度(Tg)以上、溶融温度未満又は分解温度未満の温度で変形を加え、その形状を保持した状態でガラス転移温度以下まで冷却することにより、変形形状を固定し、また、ガラス転移温度以上、溶融温度未満又は分解温度未満の温度に加熱することにより、元の成形形状を回復する。
ただし、このような形状記憶ポリマーをフィラメントにして3Dプリンタに用いた場合、吸湿により性能が低下することがわかってきた。形状記憶ポリマーは、その形状変化・記憶特性から、例えば様々なサポータや矯正器具としての使用が期待されているが、湿潤な環境(例えば口腔内での歯列矯正サポータ等)での使用において、ある一定上以上吸湿してしまうと性能が低下してしまうことが判明しており、その改善が課題となっている。
例えば特許文献4においては、環境における湿気からフィラメントを保護することが試みられているが、造形物の吸湿に関しては何ら考慮されていない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、形状記憶ポリマーを3次元造形した造形物の吸湿を防ぐことができ、例えば湿潤な環境においても性能を保つことが可能な線条樹脂成形体を提供することを目的とする。
前述の目的を達成するために、本発明の線条樹脂成形体は、形状記憶ポリマーを含む内層材の外側に水分子の侵入をバリアする水バリア材からなる外層を有する。
形状記憶ポリマーからなる内層材の周囲を水バリア材からなる外層で被覆することにより、形状記憶ポリマーからなる内層材の吸湿が防止され、形状記憶ポリマーの性能低下が抑えられる。
本発明の線条樹脂成形体によれば、形状記憶ポリマーを3次元造形する際に、造形物の吸湿を防ぐことができ、例えば湿潤な環境においても性能を保つことが可能である。
3Dプリンタの概略構成を模式的に示す図である。 線条樹脂成形体の一例を示す概略斜視図である。 図2に示される線条樹脂成形体の断面図である。 線条樹脂成形体の製造ラインの一例を示す図である。
以下、本発明を適用した線条樹脂成形体の実施形態について、図面を参照しながら説明するが、本実施形態の線条樹脂成形体の説明に先立って、先ず、線条樹脂成形体が用いられる3Dプリンタについて説明する。
3Dプリンタの基本的な仕組みは、コンピュータで作成した3Dデータを設計図として、断面形状を積層していくことで立体物すなわち3D(三次元)オブジェクトを作成するものである。その方法としては、例えば、液状の樹脂に紫外線などを照射し少しずつ硬化させていくインクジェット方式、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく粉末固着方式、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていく熱溶融積層方式などの方法がある。本実施形態に係る線条樹脂成形体は、熱溶融積層方式の3Dプリンタに用いられるものであり、例えばリールに巻回された状態で3Dプリンタに供給される。
図1は、3Dプリンタの一例を示す図である。本例の3Dプリンタは、駆動機構1によって3次元駆動される造形用ヘッド2と、当該造形用ヘッド2に樹脂材料からなる線条樹脂成形体(フィラメント)10を供給するカートリッジ4とを主要な構成部材とする。カートリッジ4に巻回される線条樹脂成形体10は、前記造形用ヘッド2へと導かれ、加熱溶融されて造形用ヘッド2のノズル2Aから押し出され、これを堆積し冷却することで基台5上に3次元造形物Mが成形される。
図2及び図3は、本実施形態の線条樹脂成形体10を示すものである。本実施形態の線条樹脂成形体10は、内層材11の周囲を外層12で被覆した形態を有しており、2層構成の線条樹脂成形体10である。
線条樹脂成形体10を構成する各層の構成材料について説明すると、本実施形態の線条樹脂成形体10の内層材11は、造形後にガラス転移温度以上に熱することで容易に形状を変化させ、冷却することでそのまま形状を保持させ、さらにガラス転移温度以上に再加熱することで元の形状に復元する3Dモデルの形成を可能とするため、形状記憶ポリマーを用いる。
形状記憶ポリマーは、形状記憶特性を有する材料である。形状記憶特性とは、所定の回復温度以上に加熱することによって弾性によって原形状に復帰する特性を有する。回復温度は、材料ごとに定まる温度であり、例えば0〜100℃であり、好ましくは、25〜80℃であり、具体的には例えば、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100℃であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
形状記憶ポリマーの回復温度は、ガラス転移温度(Tg)であり、Tg以上の温度で外力を加えて二次形状に賦形し、外力を維持したままTg未満の温度に冷却すると、二次形状が固定される。Tg未満の温度では、外力を取り除いても原形状に復帰しない。一方、二次形状が付された形状記憶ポリマーをTg以上の温度に加熱し、外力を加えない状態にすると、弾性によって原形状に復帰する。原形状は、例えば形状記憶ポリマーを溶融させて所望の形状に成形することによって設定することができる。形状記憶ポリマーとしては、ゴム弾性を有するポリマーが挙げられ、例えば、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリウレタンなどが挙げられる。
内層材11における形状記憶ポリマーの配合量は、100質量%であってもよく、成形性等を考慮して、他の材料を配合しても良い。他の材料を配合する場合には、40質量%〜89質量%とすることが好ましく、60質量%〜79質量%とすることがより好ましい。
線条樹脂成形体10において、内層材11に前記形状記憶ポリマーを単独で用いると、堆積時の熱による影響等により形状が崩れやすく、造形速度を上げることができないことがある。そこで、放熱性を改善することを目的に、内層材11に無機充填材を配合してもよい。
無機充填材としては、繊維状のものや粉体状のものを使用することができ、その材質も任意であるが、熱伝導性の高いものが好ましい。例示するならば、炭素繊維(カーボンファイバ)、ガラス繊維(ガラスファイバ)、タルク、ナノクレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等を挙げることができ、熱伝導性の良好なカーボンファイバやガラスファイバが好適である。なお、繊維状の無機充填材を用いた場合、造形後の形状の復元性も高いという利点もある。
無機充填材の添加量は、要求される性能(放熱性等)に応じて設定すればよいが、好ましくは、3質量%〜30質量%であり、より好ましくは5質量%〜20質量%である。無機充填材の配合量が3質量%未満であると、無機充填材を配合することによる効果が不十分になるおそれがある。逆に無機充填材の配合量が30質量%を越えて多くなりすぎると、相対的に形状記憶ポリマーの割合が少なくなりすぎて、造形物の層間剥離が起きやすくなり、造形が難しくなるおそれがある。
前述のように、線条樹脂成形体10の内層材11が形状記憶ポリマーを含む場合、吸湿による性能低下が問題となる。そこで、本実施形態の線条樹脂成形体10では、内層材11を覆って外層12を形成している。
外層12は、水分子の侵入をバリアする水バリア材により形成すればよく、例えば無機材料を蒸着することで水蒸気バリア性を有する外層12を無機被膜として形成することも可能であるが、線条樹脂成形体10の成形性や融着性等を考えると、水分子の侵入をバリアする水バリア性の熱可塑性樹脂であることが好ましい。
ここで、水分子の侵入をバリアする水バリア性の熱可塑性樹脂とは、吸水性の低い材料、または水蒸気バリア性を有する材料であり、例えば吸水性が低い材料とは、日本工業規格(JIS) K 7209「プラスチックの吸水率の求め方」に準じて測定される吸水率が0.1%以下の材料、好ましくは0.05%以下の材料である。具体的に例示するならば、ポリエチレン、ポリプロピレン、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂等を挙げることができる。
水蒸気バリア性を有する熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン− ビニルアルコール共重合体樹脂を用いることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物からなるものであり、公知のものがいずれも使用可能である。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂において、好ましくは、エチレン含有量が20〜70モル%、酢酸ビニルのけん化度が95モル%以上であり、より好ましくは、エチレン含有量が25〜50モル%、酢酸ビニルのけん化度が98モル%以上である。けん化度が低いと水蒸気バリア性が低下するおそれがある。
あるいは、無機粒子及び樹脂を含有する水蒸気バリア組成物を用いることことも可能である。水蒸気バリア組成物は、熱処理により例えば熱硬化性樹脂が接触して硬化すると、無機粒子が規則的に並ぶことで気体が透過し難くなり、いわゆる迷路効果により水蒸気バリア性を発揮するものである。
したがって、無機粒子は、いわゆる無機層状化合物であることが好ましい。無機層状化合物は、単位結晶層が互いに積み重なって層状構造を形成しているものであり、具体例としては、グラファイト、リン酸塩系誘導体型化合物(リン酸ジルコニウム系化合物等)、カルコゲン化物、ハイドロタルサイト類化合物、リチウムアルミニウム複合水酸化物、粘土系鉱物等を挙げることができる。粘土系鉱物としては、カオリナイト等のカオリナイト−蛇紋石族の粘土鉱物、タルク等のタルク−パイロフィライト族の粘土鉱物、モンモリロナイト等のスメクタイト族の粘土鉱物、バーミキュライト族の粘土鉱物、テトラシリリックマイカ等のマイカ族の粘土鉱物、ザンソフィライト等の脆雲母族の粘土鉱物、クリノクロア等の緑泥石族の粘土鉱物等である。
樹脂としては、例えばポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、多糖類、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリメタアクリル酸およびそのエステル類、アミド樹脂、イミド樹脂、エステル樹脂、一分子中に2種類以上の官能基を有する樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
前記水蒸気バリア組成物としては市販のものが使用可能であり、例えば住友化学社製、商品名EXCEVIER NOH1200、商品名EXCEVIER NOH2200等を挙げることができる。
外層12の形成方法としては内層材11を覆って被膜を形成することが可能な方法であれば如何なる方法で形成してもよく、例えば共押出しにより内層材11と外層12を同時に形成することができる。あるいは、ディッピング(浸漬)や塗布等の方法により形成してもよい。
外層12の厚さも任意であるが、十分な吸湿防止効果を得ること、形状記憶性に悪影響を与えないこと等を考慮すると、数μm〜数十μm程度とすることが好ましい。
また、前述のように外層12を形成する場合、内層材11と外層12の剥離が懸念される場合には、内層材11と外層12の間に接着層を形成することも可能である。この場合、線条樹脂成形体10は3層構成ということになる。
以上のような構成の線条樹脂成形体10の各層(内層材11や外層12)には、前記各材料の他、着色剤等、仕様等に応じて各種添加物を添加することも可能である。線条樹脂成形体10の層数も、2層や3層に限られず、必要に応じて層数をさらに増やすことも可能である。線条樹脂成形体10の外径寸法も、求められる仕様に応じて適宜設定可能であり、例えば直径1.75mm程度のフィラメントとする。あるいは、線条樹脂成形体10からなる構造体において、線条樹脂成形体10は偏平形状となるが、そのときの長径が0.4mm、短径が0.2mmとなるような線径のフィラメントとする。
次に、線条樹脂成形体の製造方法(製造ライン)の一例について説明する。図4に示すように、線条樹脂成形体10の製造ライン30は、押出機31、金型32、サイジング装置33、水槽37、固定ローラ41、外径寸法測定装置42及び巻き取り装置43を含む。
押出機31は、原料樹脂組成物を溶融混練し、これを連続的に金型32へと供給するもので、例えばスクリューが内蔵されるシリンダ、原料投入用のホッパ、射出ノズル等を備えて構成されている。原料投入用のホッパから投入された原料樹脂組成物は、シリンダ内でスクリューにより溶融混練され、射出ノズルから金型32へ射出される。
金型32は、押出機31からの溶融樹脂を水平方向に押し出すものであり、ここから押し出された溶融樹脂が冷却されて線条樹脂成形体10となる。原料樹脂組成物は、前述の形状記憶ポリマー及び水分子に対してバリア性を有する熱可塑性樹脂であり、これらを外側が水バリア性樹脂の層となるように共押出しする。
水槽37は、押出機31から押し出された線条樹脂成形体10の搬送方向に沿って長い箱状に形成される。線条樹脂成形体10は、水槽37の一端の壁から水槽37内に導入され、水槽37の他端の壁から導出される。水槽37には、線条樹脂成形体10を浸漬させ、線条樹脂成形体10を冷却する水37aが貯留される。
サイジング装置33は、水槽37の一端の壁の内側に配置されており、押出機31から水槽37内に送られた線条樹脂成形体10の断面を真円にし、かつ、線条樹脂成形体10の外径寸法を所定の寸法に均一化させる機能を有する。
固定ローラ41は、サイジング装置33を経て水槽37内において線条樹脂成形体10の姿勢を安定させ、かつ、巻き取り装置43側に向けて線条樹脂成形体10を搬送する。
外径寸法測定装置42は、水槽37で冷却された線条樹脂成形体10の外径寸法を測定する。巻き取り装置43は、外径寸法測定装置42を経た線条樹脂成形体10を挟んで下流側に搬送する上下一対の巻き取りローラ43aと、巻き取りローラ43aの下流側に配置され、線条樹脂成形体10を巻き取る巻き取り軸43cを有するボビン巻き取り機43bとを備える。
線条樹脂成形体10の製造方法は、押出工程、サイジング工程、冷却工程、寸法測定工程及び巻き取り工程を含む。押出工程では、押出機31においてホッパ31aから投入された樹脂ペレットを溶融し、溶融した樹脂を金型32から押し出す。押し出された線条樹脂成形体10の外径はD1である。
サイジング工程では、線条樹脂成形体10が搬送通路に沿って走行することで、搬送通路の内径に合わせた均一な外径D2に形成される。冷却工程では、線条樹脂成形体10が水槽37を通過することにより冷却され、線条樹脂成形体10の外径が縮径される。
寸法測定工程では、線条樹脂成形体10の外径を測定し、測定値が適正な大きさであるか否かを判定する。線条樹脂成形体10の外径が規格外である場合、外径が規格内になるように、各製造条件を見直す。巻き取り工程では、線条樹脂成形体10の外径が規格内である場合、巻き取り装置43の巻き取りローラ43aでボビン巻き取り機43bに送り、巻き取り軸43cに線条樹脂成形体10の連続体を巻き取っていく。所定長さの線条樹脂成形体10が巻き取り軸43cに巻き取られたら、新しい巻き取り軸43cに線条樹脂成形体10を巻き取るようにする。
以上の通り、形状記憶ポリマーからなる内層材11の外側に水バリア性を有する外層12を形成するこで、吸湿による性能低下が確実に抑えられる。
また、内層材11に無機フィラーを充填させることで、高い剛性を造形物に持たせることができ、さらに復元する力をより向上させることが可能な形状記憶性を有する線条樹脂成形体を提供することができる。例えば、従来の形状記憶ポリマーを用いたフィラメントでは、3Dプリンタで3Dモデルを造形する際に、モデルの形状によっては造形が困難であったが、ガラスファイバーやカーボンファイバーを配合したフィラメントでは造形性が向上して、問題なく造形することができる。
さらに、従来の形状記憶ポリマーでは剛性が低く、活用できる用途が限られていたが、ガラスファイバーやカーボンファイバーを配合したフィラメントを使用することで、強度が高く、且つ、高い復元する力を持たせて機能性を大きく改善することができる。したがって、形状記憶ポリマーに無機充填材を配合することで様々な機能性を付与した線条樹脂成形体を製造することが可能であり、より機能性を付与したモデリングが可能となる。すなわち、本実施形態の線条樹脂成形体を熱溶融積層方式の3Dプリンタによって成形することで形成される構造体は、吸湿による性能劣化が少ないことから、例えば歯列矯正具等に用いることができる。
以上、本発明を適用した実施形態についてを説明してきたが、本発明が前述の実施形態に限られるものでないことは言うまでもなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
(線条樹脂成形体の作製)
実施例1
ポリウレタン系形状記憶ポリマー(SMPテクノロジー社製、商品名MM−5520)を原料として用い、これを押出機にて溶融混練した後、ダイコアへ供給し、ダイコアに設けられた口金から引出した。この時、エチレン−ビニルアルコール共重合体を共押出しすることで、ポリウレタン系形状記憶ポリマーを内層材、ポリエチレンを外層とする線条樹脂成形体とした。
口金である程度線径や線形を整えて線条樹脂成形体に賦形した後、冷却固化する水槽の入口部にサイジングを設けて、このサイジング部において線条樹脂成形体の最終的な断面形状(線径および線形)を整えた。サイジング部において形状を賦形した後、水槽にて冷却固化して、巻取機にて巻取りを行なった。さらに、巻取機から送り出された線条樹脂成形体はボビンに巻き取った。
実施例2
ポリエチレンの代わりにエチレン−ビニルアルコール共重合体を外層とし、他は実施例1と同様に線条樹脂成形体を作製した。
比較例1
ポリウレタン系形状記憶ポリマー(SMPテクノロジー社製、商品名MM−5520)のみを原料として用い、単層の線条樹脂成形体を作製した。
実施例3
比較例1で作製した単層の線条樹脂成形体の外周面に水蒸気バリア組成物(住友化学社製、商品名EXCEVIER NOH1200)を塗布して外層を形成し、2層構成の線条樹脂成形体を得た。
(効果の確認)
作製した線条樹脂成形体を用い、3Dプリンタ(ボンサイラボ社製、商品名BS−01)にて3Dモデルの造形を行い、湿潤な環境下に保管する前後の造形物の復元力を引張試験にて剛性を測定することで評価した。なお、造形物を造形する際の条件として、215℃にて造形した。
復元力の強度は、長さ75mm×幅10mm×厚さ1mmの造形物を3Dプリンタにて造形した物を用いて、恒温槽付き万能試験機(万能試験機:島津製作所社製 商品名AGS−X 10kN、恒温槽:島津製作所社製 商品名TCRIA−200P)を使用し、以下の手順にて測定した。すなわち、先ず初めに、恒温槽内75℃雰囲気下でチャック間距離50mmにて造形物を挟んだ後、クロスヘッドを移動させて5mm引っ張った。その後、恒温槽内を35℃にした後、荷重がゼロになるまでクロスヘッドを下げ、再び恒温槽内を75℃に昇温させた際に万能試験機に掛かった力を復元力として測定した。
その結果、水バリア性の外層を有する実施例1〜3では、湿潤な環境下の保管する前後で復元力がほとんど変わらなかったが、形状記憶ポリマー単層の比較例1では、湿潤な環境下に保管した後には明らかな性能低下(復元力の低下)が見られた。
1 駆動機構
2 造形用ヘッド
4 カートリッジ
5 基台
10 線条樹脂成形体
11 内層材
12 外層
30 製造ライン
31 押出機
32 金型
33 サイジング装置
37 水槽
42 外径寸法測定装置
43 巻き取り装置

Claims (6)

  1. 形状記憶ポリマーを含む内層材の外側に水分子の侵入をバリアする水バリア材からなる外層を有する線条樹脂成形体。
  2. 前記水バリア材が吸水性の低い材料、または水蒸気バリア性を有する材料であることを特徴とする請求項1記載の線条樹脂成形体。
  3. 前記水バリア材は、吸水性が0.1%以下であることを特徴とする請求項2記載の線条樹脂成形体。
  4. 熱溶融積層方式の3Dプリンタに用いられる線条樹脂成形体であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の線条樹脂成形体。
  5. 請求項1から3のいずれか1項記載の線条樹脂成形体を用い、熱溶融積層方式の3Dプリンタによって形成される構造体。
  6. 歯列矯正具に用いられることを特徴とする請求項5記載の構造体。
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