JP2020082200A - ソーワイヤ - Google Patents

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伸彦 藤原
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Abstract

【課題】優れた精度の切削面が得られるソーワイヤを提供する。【解決手段】ソーワイヤ2は、波形状のくせを有している。波の振動方向は、ソーワイヤ2の長さ方向に沿って、徐々に変化する。この波は、三次元形状である。このソーワイヤ2は、一対の歯車を有するクセ付け装置によって製造されうる。このクセ付け装置に母線が通されることで、この母線が波の形状に変形させられる。さらに、母線の進行方向に対してクセ付け装置が回転する。【選択図】図1

Description

本発明は、ソーワイヤに関する。詳細には、本発明は、ソーワイヤのくせ付けの改良に関する。
半導体インゴットのスライスに、ソーワイヤが用いられている。スライスにより、ウエハが得られる。固定砥粒式のソーワイヤ及び遊離砥粒式のソーワイヤが、使用されている。固定砥粒式のソーワイヤは、切削効率に優れる。しかし、固定砥粒式のソーワイヤで得られた切削面は、寸法精度に劣る。ウエハの性能の観点から、遊離砥粒式のソーワイヤが有利である。
遊離砥粒式のソーワイヤでは、スライスに先だってこのソーワイヤにスラリーが吹き付けられる。このスラリーは、砥粒を含んでいる。ソーワイヤの走行により、砥粒はインゴットとソーワイヤとの間に引き込まれる。この砥粒の移動によってインゴットが切削され、スライスが達成される。多くの砥粒を引き込みうるソーワイヤは、切削効率に優れる。多くの砥粒を引き込みうるソーワイヤは、切削面の寸法精度にも寄与しうる。
特開2004−276207公報には、くせ付けされたソーワイヤが開示されている。このくせは、三次元の波形状を有する。波は、山と谷とを有する。砥粒は谷に補足され、インゴットの内部を進行する。このソーワイヤは、多くの砥粒を引き込みうる。
特開2004−276207公報に記載されたソーワイヤは、母線にくせ付けがなされ、さらにこの母線が捻られることで得られる。図11に、このソーワイヤが模式的に示されている。図11には、このソーワイヤの9の断面A−Iが示されている。このソーワイヤの長さ方向に沿って、断面A、B、C、D、A、E、F、G、A、H及びIが、この順に表れる。前述の通り、母線にくせ付けがなされさらにこの母線が捻られるので、これらの断面A−Iのそれぞれは、他の断面とは異なる位置にある。図11における矢印は、くせ付けの前の母線の上方向である。図11に示されるように、断面A−Iが順次表れるに従い、矢印の向きも徐々に変化する。この変化は、母線の捻れに起因する。
特開2004−276207公報
捻れを有するソーワイヤで得られた切削面では、精度が不十分である。本発明の目的は、精度に優れた切削面が得られるソーワイヤの提供にある。
本発明に係るソーワイヤは、三次元波の形状にくせ付けされている。このソーワイヤは、捻れを有さない。
他の観点によれば、本発明に係るソーワイヤの製造方法は、
(1)母線を準備する工程、
及び
(2)一対の歯車を有するクセ付け装置に母線を通してこの母線を波の形状に変形させつつ、この母線の進行方向に対してクセ付け装置を回転させる工程
を含む。
本発明に係るソーワイヤは三次元波の形状のくせを有し、かつ捻れを有さない。このソーワイヤにより、精度に優れた切削面が得られる。
図1(a)は本発明の一実施形態に係るソーワイヤの一部が示された正面図であり、図1(b)は図1(a)のソーワイヤが示された平面図である。 図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図1のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図1のVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図1のソーワイヤが示された拡大正面図である。 図8は、図1のソーワイヤのためのくせ付け装置の一部が示された模式図である。 図9は、図8の装置が示された右側面図である。 図10は、図1のソーワイヤの複数の断面が示された模式的右側面図である。 図11は、従来のソーワイヤの複数の断面が示された模式的右側面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1(a)及び(b)並びに図2に、ソーワイヤ2が示されている。図1(a)において、上下方向(Y方向)は鉛直方向であり、左右方向(X方向)は水平方向である。図1(b)において、上下方向(Z方向)は水平方向であり、左右方向(X方向)も水平方向である。X方向は、このソーワイヤ2の長さ方向でもある。このソーワイヤ2は、ソーマシンに装着されて、図1(a)の左向きに走行する。このソーワイヤ2は、波形状のくせを有している。
図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。図2では、波は、Y方向に振動している。図2では、波は、Z方向の振動成分を含んでいない。
図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図3では、波は、Y方向に対して45°傾いた方向に、振動している。図2では、波は、Y方向の振動成分とZ方向の振動成分とを含んでいる。図2に示された位置から図3に示されてた位置まで、波の振動方向は、時計回りに徐々に変化している。
図4は、図1のIV−IV線に沿った断面図である。図4では、波は、Z方向に振動している。図4では、波は、Y方向の振動成分を含んでいない。図3に示された位置から図4に示されてた位置まで、波の振動方向は、時計回りに徐々に変化している。
図5は、図1のV−V線に沿った断面図である。図5では、波は、Z方向に対して45°傾いた方向に、振動している。図5では、波は、Y方向の振動成分とZ方向の振動成分とを含んでいる。図4に示された位置から図5に示されてた位置まで、波の振動方向は、時計回りに徐々に変化している。
図6は、図1のVI−VI線に沿った断面図である。図6では、波は、Y方向に振動している。図6では、波は、Z方向の振動成分を含んでいない。図5に示された位置から図6に示されてた位置まで、波の振動方向は、時計回りに徐々に変化している。
図6における振動方向は、図2における振動方向と同じである。図2から図6に示された振動方向の変化のサイクルが、ソーワイヤ2の全長にわたって繰り返される。このソーワイヤ2は、三次元波の形状のくせを有する。
波の振動方向が、反時計回りに変化してもよい。波の振動方向が時計回りに変化する部分と、波の振動方向が反時計回りに変化する部分とが、混在してもよい。
図7は、図1のソーワイヤ2が示された拡大正面図である。このソーワイヤ2は、山4と谷6とを有している。多数の山4と多数の谷6とが、交互に並んでいる。このソーワイヤ2は、山4又は谷6にて砥粒を補足し、切削面へと引き込む。このソーワイヤ2は、切削効率に優れる。
図7において、矢印WLで示されているのは波長であり、矢印WHで示されているのは波高である。波長WLは0.2mm以上50mm以下が好ましく、0.3mm以上40mm以下が特に好ましい。波高WHは0.10mm以上0.25mm以下が好ましく、0.11mm以上0.20mm以下が特に好ましい。
好ましくは、波長WLは、下記の数式を満たす。
1.1 * Di ≦ WL ≦ 50 * Di
この数式においてDiは、線径を表す(図2参照)。換言すれば、波長WLは、線径Diの1.1倍以上50倍以下である。好ましくは、波長WLは、線径Diの3倍以上40倍以下である。
好ましくは、波高WH1は、下記の数式を満たす。
1.05 * Di ≦ WH ≦ 10 * Di
この数式においてDiは、線径を表す(図2参照)。換言すれば、波高WHは、線径Diの1.05倍以上10倍以下である。好ましくは、波高WHは、線径Diの1.10倍以上5倍以下である。
ソーワイヤ2の線径Di(図2参照)は、0.05mm以上0.40mm以下が好ましく、0.10mm以上0.20mm以下が特に好ましい。このソーワイヤ2の材質は、金属である。典型的な金属は、炭素鋼である。炭素鋼からなる主部の表面に、ブラスメッキが施されたソーワイヤ2が好ましい。
図8は、図1のソーワイヤ2のためのくせ付け装置8の一部が示された模式図である。図8には、ソーワイヤ2のための母線10も示されている。このくせ付け装置8は、歯車対12を有している。この歯車対12は、第一歯車14及び第二歯車16を有している。第一歯車14は、矢印A1で示された方向に回転する。第二歯車16は、矢印A2で示された方向に回転する。母線10は、第一歯車14と第二歯車16との間を通過し、矢印A3で示された方向に進行する。この通過により、母線10に波状のくせ付けがなされる。
図9は、図8の装置8が示された右側面図である。図9の紙面垂直方向は、母線10の進行方向である。この装置8は、矢印A4の方向に回転する。この回転の中心は、母線10である。この回転により、この装置8によるくせ付けの方向も回転する。従って、図1−6に示されるように、波の振動方向が徐々に変化するソーワイヤ2が得られる。
図10は、図1のソーワイヤ2の複数の断面が示された模式的右側面図である。図10には、このソーワイヤ2の9の断面A−Iが示されている。このソーワイヤ2の長さ方向に沿って、断面A、B、C、D、A、E、F、G、A、H及びIが、この順に表れる。前述の通り、母線10にくせ付けがなされつつ装置8が回転するので、これらの断面A−Iのそれぞれは、他の断面とは異なる位置にある。図10における矢印は、装置8に到達する前における母線10の上方向である。図10に示されるように、断面A−Iにおいて、矢印の向きは一定である。換言すれば、くせ付けによっても母線10は捻れない。この装置8により、捻れを有さないソーワイヤ2が得られる。
このソーワイヤ2は、三次元波の形状のくせを有する。従って、精度に優れた切削面が得られうる。しかもこのソーワイヤ2は、捻れを有していないので、素線の偏摩耗が少ない。このソーワイヤ2により、精度に極めて優れた切削面が得られうる。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−10に示されたソーワイヤを製作した。このソーワイヤの仕様が、下記の表1に示されている。このソーワイヤは、ブラスメッキが施された炭素鋼からなる。
[実施例2]
波長WL及び波高WHを下記の表1に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2のソーワイヤを得た。
[比較例1]
2次元波にくせ付けされた母線を捻って、比較例1のソーワイヤを得た。
[比較例2]
直線の母線を螺旋状に変形させて、比較例2のソーワイヤを得た。
[比較例3]
従来のソーワイヤを準備した。このソーワイヤは、波の形状を有さない。
[試験1]
各ソーワイヤをソーマシンに装着した。このソーワイヤの表面に、砥粒を含むスラリーを塗布した。このソーワイヤを0.6mm/minの速度で走行させて、ガラス板をスライスした。得られた切削面の粗さとうねりとを観察し、評価した。この結果が、指数として下記の表1に示されている。数値が大きいほど、評価が優れている。
[試験2]
このソーワイヤの走行速度を0.8mm/minとした他は実験1と同様にして、切削面の粗さとうねりとを評価した。この結果が、指数として下記の表1に示されている。数値が大きいほど、評価が優れている。
Figure 2020082200
表1に示されるように、実施例のソーワイヤは、比較例のソーワイヤに比べて優れた評価が得られている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
本発明に係るソーワイヤは、種々の物品の切断に用いられ得る。
2・・・ソーワイヤ
4・・・山
6・・・谷
8・・・くせ付け装置
10・・・母線
12・・・歯車対
14・・・第一歯車
16・・・第二歯車

Claims (2)

  1. 三次元波の形状にくせ付けされており、捻れを有さないソーワイヤ。
  2. 母線を準備する工程、
    及び
    一対の歯車を有するクセ付け装置に上記母線を通してこの母線を波の形状に変形させつつ、上記母線の進行方向に対して上記クセ付け装置を回転させる工程
    を含むソーワイヤの製造方法。
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JP2004276207A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Kanai Hiroaki マルチワイヤソー用ソーワイヤ
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