JP2020080901A - 遊技機 - Google Patents

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陽児 森本
貴之 若林
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【課題】振分手段の作動内容が斬新で、趣向性が高く、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することができる遊技機を提供する。【解決手段】パチンコ機1の振分機構82は、遊技球を通過可能な誘導路36と、遊技球が通過することによって内部抽選の契機となる始動口22と、それらの誘導路36および始動口22よりも上方から落下した遊技球を誘導路36あるいは始動口22に振り分ける回転振分装置41とを備えている。そして、回転振分装置41の回転部材42が、落下した遊技球を衝突させるための傾斜面60を有しているともに、略鉛直軸を中心として回動可能になっている。また、回転振分装置41の周囲に、転動板83が後下がりに設けられており、その転動板83の最も高い部分と隣り合うように始動口22が設けられているとともに、転動板83の最も低い部分と隣り合うように誘導路36が設けられている。【選択図】図6

Description

本発明は、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に関するものである。
従来、遊技機の一種であるパチンコ機として、遊技球の流下態様に変化を持たせて趣向性を高める目的で、遊技球の流路を振り分けるための振分装置を遊技盤面に設けたものが知られている(特許文献1)。この特許文献1の振分装置は、モータによって一定のタイミングで回転する振分部材を備えており、遊技球が振分装置の進入口に進入すると、その遊技球が、回転している振分部材によって第1始動口または第2始動口の何れかに振り分けられるようになっている。
特開2015−120060号公報
しかしながら、上記特許文献1の如き振分装置を有するパチンコ機は、遊技球の流路を振り分ける振分部材の作動内容が単純であるため、趣向性が低く、短期間の内に遊技者の遊技意欲を減退させてしまう、という不具合がある。
本発明の目的は、振分手段の作動内容が斬新であり、趣向性が高く、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することが可能な遊技機を提供することにある。
かかる本発明のうち、請求項1に記載された発明は、流下した遊技球を遊技者にとっての利益が異なる少なくとも2つの流路に振り分けるための振分手段を遊技盤面上に設けた遊技機であって、前記振分手段が、遊技球を通過可能な第一通過路と、遊技球が通過することによって第一通過路を遊技球が通過した場合とは異なる利益を遊技者へもたらす第二通過路と、それらの第一通過路および第二通過路よりも上方から落下した遊技球を、第一通過路あるいは第二通過路に振り分ける振分体とを備えているとともに、前記振分体が、落下した遊技球を衝突させるための傾斜面を有しており、鉛直軸あるいは鉛直方向に対して所定の角度の範囲内で傾斜した軸を中心として、回動可能になっており、前記振分体の周囲に、振分体から落下した遊技球を転動させるための後下がりの傾斜状床面が設けられているとともに、その傾斜状床面の内の最も高い部分と隣り合うように前記第二通過路が設けられており、かつ、傾斜状床面の内の最も低い部分と隣り合うように前記第一通過路が設けられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記第二通過路の基端が、遊技球の直径よりわずかに幅広なゲート状になっていることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記第二通過路内を遊技球が通過したことを条件として内部抽選を実行し、その内部抽選の結果に応じて遊技者にとって有利な特別遊技状態を生起させることを特徴とするものである。
請求項1に記載の遊技機は、振分手段が落下した遊技球を回転する傾斜面に衝突させることによって遊技球の流路を振り分けるものであり、振分手段による遊技球の振り分け方法が結果を予測し難い斬新なものであるため、趣向性が高い。また、請求項1に記載の遊技機は、振分体から落下した遊技球が第二通過路よりも第一通過路を通過し易い構造になっているため、振分体から落下した遊技球が第二通過路を通過した場合に第一通過路を通過した場合よりも遊技者にとって有利になるように設定することによって、振分手段による振り分け内容をエキサイティングなものとすることができ、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することが可能になる。
請求項2に記載の遊技機は、振分体から落下した遊技球が第二通過路を通過しにくい構造であるため、振分体から落下した遊技球が第二通過路を通過した場合に第一通過路を通過した場合よりも遊技者にとって有利になるように設定することによって、振分手段による振り分け内容を非常にエキサイティングなものとすることが可能となる。
請求項3に記載の遊技機は、振分手段による遊技球の振り分けの結果が遊技者にとって有利な特別遊技状態の生起に関係するため、振分手段による遊技球の振り分けの内容がきわめてエキサイティングであり、非常に趣向性が高く、遊技者の遊技意欲をきわめて長期間に亘って高く保持することができる。
パチンコ機を示す説明図(正面図)である。 遊技盤を示す説明図(正面図)である。 パチンコ機を示す説明図(背面図)である。 センター役物の下側の部分を示す説明図(正面図)である。 図4におけるA−A線断面を示す説明図である。 センター役物を示す説明図(前方斜視図)である。 振分機構を上方から見た状態を示す説明図である。 回転振分装置(寿司ネタ状突起体が正面を向いた状態)を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。 寿司ネタ状突起体が正面を向いた状態における回転振分装置による遊技球の振り分け態様を示す説明図である。 回転振分装置の作動内容を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。 寿司ネタ状突起体が右側を向いた状態における回転振分装置による遊技球の振り分け態様を示す説明図である。 回転振分装置の作動内容を示す説明図である(aは前方斜視図であり、bは後方斜視図である)。 寿司ネタ状突起体が左側を向いた状態における回転振分装置による遊技球の振り分け態様を示す説明図である。
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて詳細に説明する。
<パチンコ機の構造>
図1〜3は、それぞれ、パチンコ機1を前面側から示した説明図、遊技盤2を前面側から示した説明図、パチンコ機1を後面側から示した説明図である。パチンコ機1は、遊技盤2の前面に形成された遊技領域16内へ遊技球を打ち込み、遊技領域16内を流下させて遊技するものであって、遊技盤2は、支持体として機能する機枠3の前面上部に、金属製のフレーム部材であるミドル枠5を介して設置されている。また、遊技盤2の前方には、ガラス板を支持してなる前扉4が、機枠3に左端縁を軸として片開き可能に蝶着されており、その前扉4によって閉塞される遊技盤2の前方空間が遊技領域16とされている。
図2に示されるように、当該遊技領域16は、遊技盤2の前面に円弧状に配設された外レール23および内レール24等によって囲まれており、遊技領域16の左部における両レール23,24の間が遊技球を遊技領域16内へ打ち込むための発射通路13とされている。また、遊技領域16の中央やや上寄りとなる位置には、「0」〜「9」の数字からなる装飾図柄やキャラクター等を表示するための演出用表示部6、演出用表示部6の下辺に沿って左右方向に延設されており、その上面を遊技球が左右に転動可能な上ステージ36、および、遊技領域16内を流下する遊技球を上ステージ36上へ導くためのワープ通路37等を有する表示部材38が設置されている。
さらに、表示部材38の下方における遊技領域16の中央部から下部には、遊技球が進入可能な進入口31、進入口31に進入した遊技球を左右の遊技球通路33,34へ振り分けて流下させる第二振分装置81、遊技球通路34へ導かれた遊技球を略一定時間滞留させて排出させるクルーン30、遊技球が入賞すると内部抽選の契機となる非電動役物40、始動口22、遊技球が転動可能な下ステージ77、および、クルーン30から排出された遊技球を始動口22あるいは下ステージ77方向に振り分ける振分手段である振分機構82、左右にスライドする一対の可動部材を有するマグロ役物71等を備えたセンター部材26が設置されている。
また、表示部材38およびセンター部材26の左方には、遊技球が流下可能で、遊技球が入賞可能な入賞部材39,39が設置された左打ち用スペースSLが形成されており、この左打ち用スペースSLを流下させることで、ワープ通路37への進入(すなわち、上ステージ36上への誘導)や進入口31への進入(すなわち、センター部材26への進入)を効率良く狙えるようになっている。一方、表示部材38およびセンター部材26の右方にも遊技球が流下可能な右打ち用スペースSRが形成されている。この右打ち用スペースSRには、遊技球が通過可能なゲート部材20、大入賞装置として機能する一対の可動片(扉部材)を有するチューリップ式電動役物17、所謂「大当たり状態」において交互に開閉する2つの可動入賞装置18A,18Bが設置されている。そして、遊技球を右打ち用スペースSRへ流下させることで、ゲート部材20を通過させたり、開動作しているチューリップ式電動役物17へ遊技球を入賞させたり、開成している可動入賞装置18A,18Bへ遊技球を入賞させたりすることができるようになっている。なお、左打ち用スペースSLや右打ち用スペースSRには、多数の遊技釘が植設されている。また、遊技領域16外となる遊技盤2の右下部には、第1特別図柄および第2特別図柄をそれぞれ別個に表示可能とした特別図柄表示部78が設けられている。
また、図1の如く、機枠3の前面側であって上記遊技盤2の下方には、発射装置10へ供給する遊技球を貯留するための供給皿7、および、供給皿7から溢れた遊技球を貯留するための貯留皿8が取り付けられており、供給皿7は前扉4の開放に伴い、貯留皿8はミドル枠5の開放に伴い、それぞれ機枠3に対して片開き可能となっている。さらに、貯留皿8の右側には、発射装置10を作動させ、遊技球の遊技領域16への打ち込み強度を調整するためのハンドル9が回動操作可能に設置されている。加えて、供給皿7の前方には、遊技者が任意に押し込み操作可能な遊技ボタン25が設けられている。さらに、前扉4の上部には、効果音や各種メッセージ等を報音する一対のスピーカ14,14が設けられている。加えて、前扉4の左右両側部には、パチンコ機1の遊技状態等に応じて点灯・点滅する複数のLEDを内蔵したランプ部材15,15・・が設けられている。
一方、図3の如く、機枠3の後面側には、供給皿7へ貸球や賞品球として払い出される遊技球を貯留するための貯留タンク11、当該貯留タンク11と連結された払出装置12、払出装置12における払い出し動作を制御する払出制御装置28、および、各制御基板や装置・部材に電源電圧を供給するための電源装置29等が設置されている。また、機枠3の後面側の中央上部には、合成樹脂製の箱状に形成されたセンターカバー21が装着されており、当該センターカバー21の内部には、遊技に係る主たる制御(たとえば、所謂「大当たり抽選」等)を実行するためのメイン制御装置61、演出用表示部6における表示動作等を制御する表示制御装置63、ランプ部材15の点灯/点滅動作等を制御する発光制御装置64、スピーカ14からの報音動作を制御する音制御装置65、および、表示制御装置63や音制御装置65等の動作を統合的に制御するサブ制御装置62等が設置されている。なお、メイン制御装置61は、後述するフォトセンサ46、非電動役物40の入賞検知センサ(図示せず)、始動口22の入賞検知センサ(図示せず)等とインターフェイスを介して接続されている。
<パチンコ機の特徴部分の説明>
図3〜図6の如く、センター部材26の右側には、遊技球が転動可能なクルーン30が設けられており、そのクルーン30の下側には、クルーン30から排出された遊技球を、始動口22と下ステージ77とに振り分けて流下させるための振分手段である振分機構82が設けられている。図7は、振分機構82を上方から示したものであり、振分機構82は、上部に、傾斜状床面として機能する略矩形の略平板状の転動板83が後下がりの傾斜状(水平面に対して約5°傾斜した状態)に設けられており、回転振分装置41が、その転動板83の略中央から、上部(後述する回転部材42の支持盤47の表面側の部分)を露出させた状態で設置されている。また、転動板83の後方、前方の一部および左右の周囲には、一定高さのガイド壁84が立設されており、転動板83の前方の周囲には、透明な合成樹脂によって略矩形に形成されたガード板80が立設されている。
さらに、転動板83の後部は、左下がりに傾斜した状態になっており、転動板83の左後方には、センター部材26の中央下側に設けられた下ステージ77上へ遊技球を流下させるための第一通過路である誘導路86が設けられている。そして、転動板83の後方のガイド壁84と左側のガイド壁84との間に設けられた流下口85が、誘導路86の基端に位置した状態になっている。また、ガード板80の中央上部の裏側(後述する回転部材42の支持盤47の中央前方)には、2枚の仕切壁67,67が遊技球の直径(11mm)より約0.5mm広い距離を隔てて略平行に立設されており、それらの仕切壁67,67の上端の部分(内側の稜線の部分)が、転動板83より上方に突出した状態(すなわち、仕切壁67,67の上端の部分が隆起した状態)になっている。そして、当該一対の仕切壁67,67の間が、遊技球を入賞(通過)可能な第二通過路である始動口22になっている。
また、上記した振分機構82の上方に設けられたクルーン30は、流下した遊技球を略一定の時間だけ保持して同じ位置から流下させるためのもので、一定の高さのガイド壁を周設した時計皿状に形成されており、上面を遊技球が転動可能になっている。また、クルーン30の底面には、遊技球を排出可能な排出口32が設けられている。
[回転振分装置の構造]
図8(a),(b)は、振分機構82の回転振分装置41を前方および後方(パチンコ機1の前方および後方)から見た状態を示したものであり、回転振分装置41は、回転部材42、駆動装置であるモータ43、モータ43の回転力を回転部材42に伝達するための駆動ギア部材45、従動ギア部材44、回転部材42の回転状態(回動状態)を検知するためのフォトセンサ46、回転部材42と従動ギア部材44とを繋ぐ支軸体56等によって構成されている。
回転部材42は、合成樹脂によって一体的に形成されており、扁平な円柱体状の支持盤47の上面の略中央から、寿司ネタ(マグロのにぎり)をモディファイした寿司ネタ状突起体48を突出させた形状を有している。そして、その寿司ネタ状突起体48の上面が傾斜面60として機能するようになっている。その寿司ネタ状突起体48の上面は、傾斜面60の上下方向(上側から下側に至る方向)の長さが直交する方向の長さよりも長くなっており、上下方向に沿って、遊技球の直径と略等しい曲率半径を有する浅い凹状溝87が設けられている(図4参照)。また、支持盤47の下面の略中央には、支軸体56を嵌入させて固定するための嵌入孔(図示せず)が穿設されており、支持盤47の下面の周縁際には、フォトセンサ46と協働して回転部材42の回転位相を検知するための略矩形で平板状の検知板57が下向きに突設されている。
モータ43は、円柱状のコイル部を有するモータ本体88と、そのモータ本体88を収納して固定させるための設置用ケース51等によって構成されており、金属製の回転軸49を下方へ突出させた状態になっている。また、設置用ケース51の背面には、モータ43に外部電源を供給するためのコネクタ50が設置されている。
従動ギア部材44は、合成樹脂によって一体的に形成されており、外周面から歯車を突出させた扁平な円柱状のギア本体52の上面の略中央から、支軸体56を嵌入させて固定するための円筒状の軸受部53を上方へ突出させた形状を有している。一方、駆動ギア部材45は、合成樹脂によって一体的に形成されており、歯車を外周面から突出させた扁平な円柱状のギア本体54の上面の略中央から、モータ43の回転軸49を嵌入させて固定するための円筒状の軸受部55を上方へ突出させた形状を有している。なお、従動ギア部材44と駆動ギア部材45とのギア比は1:1になっている(すなわち、従動ギア部材44の直径および歯車数と駆動ギア部材45の直径および歯車数とが同じになっている)。また、従動ギア部材44と回転部材42とを繋ぐ支軸体56は、従動ギア部材44に加わった回転力を回転部材42に伝えるためのものであり、金属によって長尺な円柱状に形成されている。
一方、フォトセンサ46は、略鉛直に配置された長尺な平板状の検知器設置板59の背面に幅広な設置基板58を設けた十字状に形成されており、検知器設置板59の表面側の上端際に、光学式のセンサ本体(図示せず)が設置されている。また、設置基板58の左右の両端際には、それぞれ、フォトセンサ48をセンター部材26のフレームに螺着するためのネジ孔が穿設されている。
上記の如く構成された回転振分装置41は、モータ43の回転軸49が略鉛直になるように(すなわち、鉛直方向に対して約5°前方に傾斜するように)配置され、その回転軸49に固着された駆動ギア部材45のギア本体54と、支軸体56を介して回転部材42と一体となった従動ギア部材44のギア本体52とが噛合した状態となっており、回転部材42の支持盤47が略鉛直な軸を中心として回転可能に配置された状態になっている(すなわち、モータ43の回転軸49と平行な軸を中心として回転可能に配置された状態になっている)。そのため、回転部材42の支持盤47の盤面が、転動板83の板面と略面一になっている。
そして、モータ43に外部電源が供給され、モータ43の回転軸49が右回りに回転すると、その回転力が駆動ギア部材45および従動ギア部材44を介して回転部材42に伝達されて、回転部材42が同一の回転速度(角速度)で左回りに回転し、モータ43の回転軸49が左回りに回転すると、回転部材42が同一の回転速度で右回りに回転するようになっている。また、フォトセンサ46のセンサ本体(図示せず)が発した光線が、回転部材42の支持盤47の下面に設けられた検知板57によって遮断されることによって、回転部材42の回転位相(回動位相)が検知されるようになっている。
<パチンコ機の遊技内容>
上記の如く構成されたパチンコ機1においては、遊技者は、ハンドル9を回動操作して発射装置10を作動させ、発射通路13を介して遊技球を遊技領域16内へ打ち込み、遊技領域16を流下させてセンター部材26の進入口31内への進入(入賞)を狙う。
遊技球がセンター部材26の進入口31へ入賞すると、当該遊技球は、図示しない第二振分装置81によって、左側の第一流路33あるいは右側の第二流路34に振り分けられる(なお、第二振分装置81は、遊技球が単発で進入口31へ入賞したときは、当該遊技球を左側の第一流路33に振り分け、遊技球が2個以上連続して進入口31へ入賞したときは、2個目以降の遊技球を右側の第二流路34に振り分ける)ようになっている。そして、進入口31に入賞した遊技球が、右側の第二流路34に導かれると、その遊技球は、クルーン30に導かれ、クルーン30の時計皿状部分の上面を転動した後に、排出口32から排出される。そして、そのように排出口32から排出された遊技球は、回転振分装置41の回転部材42の傾斜面60に衝突する。
回転振分装置41の回転部材42は、モータ43の駆動によって、略水平な面内において、略鉛直な軸(すなわち、鉛直方向に対して約5°前側へ傾斜した軸)を中心として、所定の回転角度の範囲内(すなわち、寿司ネタ状突起体48の傾斜面60の上下方向(凹状溝87の方向)をパチンコ機1の前後方向と一致させた回転位置を中心として、±90°の範囲内)で回転(回動)している。そのため、クルーン304の排出口32から排出された遊技球が回転部材42の傾斜面60に衝突すると、回転部材42の回転位相(回動位相)によって遊技球の流下方向が変化する。
すなわち、図8の如く、回転部材42が寿司ネタ状突起体48の傾斜面60の下側を左右方向の中央に位置させた状態(すなわち、傾斜面60の上下方向(凹状溝87の方向)をパチンコ機1の前後方向と一致させた状態)においては、図9の如く、傾斜面60に衝突した遊技球が、高い確率(略10個中5個)で、支持盤79の中央前方に設置された始動口22に入り込む。なお、始動口22に入り込まなかった遊技球は、始動口22の左側あるいは右側から、後下がりに傾斜した転動板83の上を転動して、転動板83の後方から、流下口85を介して誘導路86に導かれる。
一方、図10の如く、回転部材42が寿司ネタ状突起体48の傾斜面60の下側を右側に位置させた状態においては、図11の如く、傾斜面60に衝突した遊技球が、きわめて高い確率(略10個中9個)で、始動口22に入賞することなく中央より右側に落下する。また、図12の如く、回転部材42が寿司ネタ状突起体48の傾斜面60の下側を左側に位置させた状態においては、傾斜面60に衝突した遊技球が、図13の如く、きわめて高い確率(略10個中9個)で、始動口22に入賞することなく中央より左側に落下する。そして、そのように(始動口22に入賞することなく)回転部材42の支持盤79の中央より右側あるいは左側に落下した遊技球は、後下がりに傾斜した転動板83の上を転動して、転動板83の後方から、流下口85を介して誘導路86に導かれる。
上記の如く誘導路86に導かれた遊技球は、マグロ役物71の左右一対の可動部材の隙間に入り込んだ後に下ステージ77に導かれて、下ステージ77の上を後方から前方へ流下する。また、マグロ役物71は、左右一対の可動部材が隙間を拡げたり狭めたりするように作動しているため、下ステージ77の上を流下する遊技球の一部が、下ステージ77の中央前方に設置された非電動役物40内に入賞する。
そして、上記の如く遊技球が始動口22あるいは非電動役物40に入賞すると、メイン制御装置61によって内部抽選(所謂、「大当たり抽選」)が実行され、その「大当たり抽選」の結果が「大当たり」になると、特別図柄表示部78および演出用表示部6にそれぞれ所定の「大当たり図柄」が確定表示される(たとえば、演出用表示部6に「7,7」が表示される)とともに、振分機構82の右側に設けられた大入賞装置であるチューリップ式電動役物17が所定の回数だけ断続的に開成する(左右一対の扉部材が、それぞれ外方向に傾動する)。したがって、「大当たり状態」が生起した場合には、遊技者は、きわめて高い確率で多くの遊技球を獲得することが可能となる。
また、パチンコ機1においては、メイン制御装置61の指令に基づいて、フォトセンサ46によって回転部材42が予め設定された所定のタイミングで所定の回転位相(回動位相)になっているか否かが常時監視される。さらに、メイン制御装置61は、フォトセンサ46からの検知信号に基づいて、予定していない回転部材42の回転位相において始動口22に多くの遊技球が入賞していると判断した場合には、不正行為が行われているものと判断して、「大当たり抽選」を実行しないように制御するとともに、演出表示部6の液晶画面に、不正行為が行われている可能性がある旨を表示し、外部へ不正警報信号を出力する。
<パチンコ機の効果>
パチンコ機1は、上記の如く、振分手段である振分機構82が、遊技球を通過可能な第一通過路である誘導路36と、遊技球が通過することによって誘導路36を遊技球が通過した場合とは異なる利益を遊技者へもたらす(すなわち、遊技球が通過することによって直ちに内部抽選の条件を充足する)第二通過路である始動口22と、それらの誘導路36および始動口22よりも上方から落下した遊技球を、誘導路36あるいは始動口22に振り分ける振分体である回転振分装置41とを備えているとともに、回転振分装置41の回転部材42が、落下した遊技球を衝突させるための傾斜面60を有しており、かつ、略鉛直軸(すなわち、鉛直方向に対して約5°前方に傾斜した軸)を中心として回動可能になっている。そして、図5〜図7に示されたように、回転振分装置41の周囲に、回転部材42から落下した遊技球を転動させるための後下がりの転動板(傾斜状床面)83が設けられているとともに、その転動板83の内の最も高い部分と隣り合うように始動口(第二通過路)22が設けられており、かつ、転動板83の内の最も低い部分と隣り合うように誘導路(第一通過路)36が設けられている。
それゆえ、パチンコ機1は、回転振分装置41が上方から落下した遊技球を回転する傾斜面60に衝突させることによって遊技球の流路を振り分けるものであり、振分機構82による遊技球の振り分け方法が結果を予測し難い斬新なものであるため、趣向性が高い。また、パチンコ機1は、回転部材42から落下した遊技球が始動口(第二通過路)22よりも誘導路(第一通過路)36を通過し易い構造になっているとともに、回転部材42から落下した遊技球が始動口(第二通過路)22を通過した場合に誘導路(第一通過路)36を通過した場合よりも遊技者にとって有利に設定されているため、振分機構82による振り分け内容をエキサイティングであり、遊技者の遊技意欲を長期間に亘って高く保持することができる。
また、パチンコ機1は、始動口(第二通過路)22の基端が、遊技球の直径よりわずかに幅広な(遊技球の直径より約0.5mm広い)ゲート状になっており、回転振分装置41の回転部材42から落下した遊技球が始動口22を通過しにくい構造であるため、振分機構82による振り分け内容が一段とエキサイティングなものになっている。
さらに、パチンコ機1は、始動口22内を遊技球が通過(すなわち、始動口22に遊技球が入賞)したことを条件として内部抽選を実行し、その内部抽選の結果に応じて「大当たり状態」を生起させるものであり、振分機構82による遊技球の振り分けの結果が「大当たり状態」の生起に関係しているため、振分機構82による遊技球の振り分けの内容がきわめてエキサイティングであり、非常に趣向性が高く、遊技者の遊技意欲をきわめて長期間に亘って高く保持することができる。
加えて、パチンコ機1は、回転部材42の傾斜面60が、上下方向に沿って凹状溝38を設けたものであるため、回転部材42が傾斜面60の上下方向を前後方向に合致させたときに傾斜面60に衝突した遊技球が始動口22に導かれ易いので、所定の出玉率となるように回転部材42の回転態様を制御し易い。
<遊技機の変更例>
なお、本発明に係る遊技機の構成は、上記実施形態の構成に何ら限定されるものではなく、振分機構(回転振分装置、転動板、ガイド壁、流下口、誘導路)、クルーン、始動口、非電動役物、演出表示部等の形状、構造等の構成や、「大当たり状態」の生起時の作動内容等の遊技内容等を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
たとえば、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、回転振分装置が噛合した2つのギアを介してモータの回転力を直接的に回転部材に伝達するものに限定されず、ベルト等を利用してモータの回転力を間接的に回転部材に伝達するもの等に変更することも可能である。また、回転振分装置がモータによって回転部材を回転させるものに限定されず、回転振分装置がソレノイド等のモータ以外の駆動装置によって回転部材を回転させるものに変更することも可能である。
さらに、回転振分装置は、上記実施形態の如く、略鉛直軸(すなわち、鉛直方向に対して約5°前方に傾斜した軸)を中心として回転部材を回動させるものに限定されず、鉛直軸を中心として回転部材を回動させるものに変更することも可能である。また、回転振分装置を、上記実施形態の如く、略鉛直軸を中心として回転部材を回動させるものとする場合でも、回転軸と鉛直方向との成す角度が約5°になっているものに限定されず、回転軸の傾斜角度(鉛直軸と成す角度)を略45°以下の範囲内で必要に応じて適宜変更することができる。
加えて、回転振分装置は、上記実施形態の如く、従動ギア部材と駆動ギア部材とのギア比が1:1であるものに限定されず、従動ギア部材の歯車数が駆動ギア部材の歯車数よりも多いものや少ないものに変更することも可能である。なお、上記実施形態の如く、従動ギア部材と駆動ギア部材とのギア比を1:1にした場合には、回転部材の位相の監視の制御が容易になる、というメリットがある。
また、本発明に係る遊技機は、上記実施形態の如く、排出部材であるクルーンから振分手段(回転振分装置)へ遊技球が導かれるものに限定されず、単純な一対の障害釘の間や流下する遊技球の速度を低減させるための障害突起を設けた流路等を介して振分手段(回転振分装置)へ遊技球が導かれるもの等に変更することも可能である。なお、本発明に係る遊技機を、上記実施形態の如く、クルーンから回転振分装置へ遊技球が導かれるものとした場合には、回転振分装置の振分体に衝突する際の遊技球の速度がきわめて遅い速度に均一化されて、遊技者が振分体による振分態様を確認し易くなるため、遊技機の趣向性がより一層向上する、というメリットがある。
さらに、振分手段は、上記実施形態の振分機構の如く、傾斜状床面(転動板)が後下がりに所定の角度(約5°)だけ傾斜しているとともに、後端縁際が左右方向に傾斜しているものに限定されず、傾斜状床面(転動板)の前後方向の傾斜角度を必要に応じて変更することができるし、傾斜状床面(転動板)の後端縁際をフラットに(水平状に)することも可能である。
なお、特許請求の範囲、明細書および図面に記載される全ての要素(たとえば、振分機構82、回転振分装置(回転部材、駆動装置、従動ギア部材、駆動ギア部材、フォトセンサ)、始動口、誘導路、クルーン等)は、個数を意識的に限定する明確な記載がない限り、物理的に単一であっても複数であっても構わないし、適宜配置の変更が行われても構わない。また、特許請求の範囲や明細書等で使用している要素名(要素につけた名称)は、単に本件の記載のために便宜上付与したにすぎないものであり、それによって特別な意味が生じることを特に意識したものではない。すなわち、要素名のみによって要素が何であるかが限定解釈されるものではない。さらには、上述した全ての要素のうちの複数の要素を一体的に構成するか、もしくは一つの要素を複数の要素に分けて構成するかは、あえて特許請求の範囲等において特定していない限り、いずれも当業者であればきわめて容易に考えられる事項であるため、あえて明細書等において全パターンを記載しなくてもいずれのパターンも想定範囲内であることが明らかであることから、本発明に係る権利範囲に含まれることに疑いの余地はない。したがって、その程度の範囲内での構成上の差異しかない遊技機を、本実施例に記載がなされていないことを理由にするのみでは、本発明に係る権利を回避したことにはならない。その他、各要素の構成や形状等における、本実施例から当業者であれば容易に考えられる自明な範囲の差異についても同様である。
1・・パチンコ機(遊技機)
22・・始動口(第二通過路)
41・・回転振分装置
42・・回転部材(振分体)
48・・寿司ネタ状突起体
60・・傾斜面
82・・振分機構(振分手段)
86・・誘導路(第一通過路)
83・・転動板(傾斜状床面)

Claims (3)

  1. 流下した遊技球を遊技者にとっての利益が異なる少なくとも2つの流路に振り分けるための振分手段を遊技盤面上に設けた遊技機であって、
    前記振分手段が、
    遊技球を通過可能な第一通過路と、
    遊技球が通過することによって第一通過路を遊技球が通過した場合とは異なる利益を遊技者へもたらす第二通過路と、
    それらの第一通過路および第二通過路よりも上方から落下した遊技球を、第一通過路あるいは第二通過路に振り分ける振分体とを備えているとともに、
    前記振分体が、落下した遊技球を衝突させるための傾斜面を有しており、鉛直軸あるいは鉛直方向に対して所定の角度の範囲内で傾斜した軸を中心として、回動可能になっており、
    前記振分体の周囲に、振分体から落下した遊技球を転動させるための後下がりの傾斜状床面が設けられているとともに、その傾斜状床面の内の最も高い部分と隣り合うように前記第二通過路が設けられており、かつ、傾斜状床面の内の最も低い部分と隣り合うように前記第一通過路が設けられていることをを特徴とする遊技機。
  2. 前記第二通過路の基端が、遊技球の直径よりわずかに幅広なゲート状になっていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記第二通過路内を遊技球が通過したことを条件として内部抽選を実行し、その内部抽選の結果に応じて遊技者にとって有利な特別遊技状態を生起させることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の遊技機。
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