JP2020078111A - 電力変換装置および電力伝送装置 - Google Patents

電力変換装置および電力伝送装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、特定の装置との間で非接触電力伝送によって電力を授受することを目的とする。【解決手段】電力伝送装置1および電力変換装置2は、電力伝送装置1が備えるプライマリ巻線L1と、電力変換装置2が備えるセカンダリ巻線L2によって非接触で結合し、電力の授受を行う。適合性認証シーケンス処理では、電力の授受対象として電力伝送装置1が登録されたものであるかの適合性判定を電力変換装置2が実行し、電力の授受対象として電力変換装置2が登録されたものであるかの適合性判定を電力変換装置1が実行する。この適合性判定によって、互いに予め登録された装置である旨の適合性認証がされた電力伝送装置1および電力変換装置2の間でスイッチング制御が行われ、電力の授受が行われる。【選択図】図2

Description

本発明は、電力変換装置および電力伝送装置に関し、特に、これらの装置の間で行われる認証処理に関する。
ハイブリッド自動車や電気自動車等の電動車両が広く用いられている。近年では、電動車両に搭載されたバッテリから商用電源システム等の電力供給システムに電力を供給し、電力供給システムからバッテリに電力を供給するV2G(Vehicle to Grid)と呼ばれる技術につき研究が行われている。また、電動車両に搭載されたバッテリから一般家庭、オフィス等で用いられる電気機器に電力を供給するV2H(Vehicle to Home)と呼ばれる技術についても研究が行われている。
V2Gでは、電力供給システム側に設けられた電力変換装置が、サービスステーションや駐車場等に設けられる。近年では、電力供給システム側の電力変換装置(システム側装置)と、車両に搭載された電力変換装置(バッテリ側装置)との間で非接触電力伝送を行う技術につき研究開発が進められている。この技術では、例えば、特許文献1および2に見られるように、システム側装置に設けられたコイルと、バッテリ側装置に設けられたコイルとが電気的または磁気的に結合し、これらのコイルを介してシステム側装置からバッテリ側装置に電力が伝送される。また、V2Hにおいても、電気機器側の電力変換装置(システム側装置)とバッテリ側装置との間で非接触電力伝送を行うことが考えられている。
特許文献3には、本願発明に関連するシステムとして、電力の取引状況を管理するシステムが記載されている。このシステムでは、電力供給側の機器から供給された電力、受電側の機器に供給された電力等の情報が、各機器のID(Identification)と共に給電管理装置で取得される。
国際公開第2010/074106号パンフレット 特開2010−114964号公報 特開2018−50378号公報
V2GやV2H等のシステムでは、システム側装置が、予め定められた特定のバッテリ側装置に対して電力を供給し、あるいは、予め定められた特定のバッテリ側装置から電力の供給を受けることが必要な場合がある。しかしながら、非接触電力伝送が行われる従来のシステムでは、不特定の第三者が所有するバッテリ側装置との間で、システム側装置が電力を授受してしまう可能性がある。
本発明は、特定の装置との間で非接触電力伝送によって電力を授受することを目的とする。
本発明は、電力伝送装置から送信された制御信号を受信する受信部と、前記制御信号に含まれるIDの適合性を認証する情報処理部と、を備え、前記IDの適合性が認証されたときに前記電力伝送装置との間で非接触で電力を授受し、前記IDの適合性が認証されなかったときは、前記電力伝送装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力伝送装置との間で授受している電力を遮断することを特徴とする。
望ましくは、前記情報処理部は、前記制御信号の秘匿性を解除して前記IDの適合性を認証する。
望ましくは、前記情報処理部は、前記制御信号から公開鍵、平文の前記ID、および暗号化符号を抽出し、平文の前記IDをハッシュ化して第1符号を生成し、前記暗号化符号を前記公開鍵によって復号化して第2符号を生成し、前記第1符号と前記第2符号との比較に基づいて、前記IDの適合性を認証する。
望ましくは、前記情報処理部は、前記制御信号のBERを測定し、当該測定されたBERに基づいて、前記電力伝送装置までの距離を求める。
望ましくは、前記電力伝送装置と非接触結合する結合素子を備え、前記受信部は、前記結合素子を介して、ディジタル時間波形の電磁波によって前記制御信号を受信する。
望ましくは、前記電力伝送装置が含むプライマリスイッチング回路に非接触で結合するセカンダリスイッチング回路を含み、前記セカンダリスイッチング回路は、前記制御信号が示すスイッチングタイミングに従ってスイッチングする。
望ましくは、前記情報処理部は、前記制御信号に含まれる情報に基づいて前記電力伝送装置の動作状況が良好であるか否かを判定し、前記電力変換装置は、前記電力伝送装置の動作状況が良好でないときは、前記電力伝送装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力伝送装置との間で授受している電力を遮断する。
また、本発明は、IDを含む制御信号を送信する送信部を備え、前記制御信号を受信した電力変換装置であって、前記IDの適合性を認証した電力変換装置との間で非接触で電力を授受し、前記電力変換装置が前記IDの適合性を認証しなかったときは、前記電力変換装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力変換装置との間で授受している電力を遮断することを特徴とする。
望ましくは、前記制御信号を秘匿化する秘匿化部を含む。
望ましくは、前記制御信号生成部は、平文の前記IDと、ハッシュ化され、さらに暗号化された前記IDと、を前記制御信号に含ませる。
望ましくは、前記電力変換装置と非接触結合する結合素子を備え、前記送信部は、前記結合素子を介して、ディジタル時間波形の電磁波によって前記制御信号を送信する。
望ましくは、前記電力変換装置が含むセカンダリスイッチング回路に非接触で結合するプライマリスイッチング回路を含み、前記制御信号は、前記セカンダリスイッチング回路のスイッチングタイミングを示し、前記プライマリスイッチング回路は、前記制御信号に基づいて、前記セカンダリスイッチング回路のスイッチングタイミングと同期したタイミングでスイッチングする。
本発明によれば、特定の装置との間で非接触電力伝送によって電力を授受することができる。
電力伝送システムの構成を示す図である。 スイッチング制御のフローチャートである。 適合性認証シーケンス処理のフローチャートである。 適合性認証処理のフローチャートである。 BER劣化時停止制御のフローチャートである。 停止処理のフローチャートである。 フェールセーフ制御のフローチャートである。 フェールセーフ制御のフローチャートである。 制御ユニットの構成を示す図である。
(1)電力伝送システムの構成
図1には、本発明の実施形態に係る電力伝送システムが示されている。電力伝送システムは、電力伝送装置1、バッテリ12、電力変換装置2およびDC/ACコンバータ48を備えている。バッテリ12は電力伝送装置1に接続され、DC/ACコンバータ48は電力変換装置2に接続されている。電力伝送装置1および電力変換装置2は同一の構成を有しており、本願明細書における「電力伝送装置」および「電力変換装置」の用語の差異は説明の便宜上のものである。
電力伝送装置1およびバッテリ12は、例えば、電動車両に搭載される。この場合、バッテリ12の電力は電動車両の走行に用いられる。また、電力変換装置2およびDC/ACコンバータ48は、サービスステーションや駐車場等の充電設備に設置される。
電力伝送装置1および電力変換装置2は、電力伝送装置1が備えるプライマリ巻線L1と、電力変換装置2が備えるセカンダリ巻線L2によって非接触で結合し、電力の受け渡し(授受)を行う。例えば、電動車両に搭載されたプライマリ巻線L1は、電動車両が適切な位置に停車することで、充電設備に設置されたセカンダリ巻線L2に結合し、非接触電力伝送によって、電力伝送装置1および電力変換装置2の間で電力が授受される。
DC/ACコンバータ48は、商用電源システム等の電力供給システムに接続されており、電力供給システムから供給される交流電力を直流電力に変換して電力変換装置2に出力し、あるいは、電力変換装置2から出力される直流電力を交流電力に変換して電力供給システムに出力する。
これによって、電力伝送装置1、電力変換装置2およびDC/ACコンバータ48は、電力供給システムからバッテリ12に電力を供給してバッテリ12を充電し、あるいは、バッテリ12から電力供給システムに電力を供給する。
電力伝送装置1はプライマリ制御部24およびプライマリスイッチング回路10(以下、Pスイッチング回路10という)を備えている。プライマリ制御部24はPスイッチング回路10のスイッチング状態を制御する。電力変換装置2は、セカンダリ制御部42およびセカンダリスイッチング回路30(以下、Sスイッチング回路30という)を備えている。セカンダリ制御回路42はSスイッチング回路30のスイッチング状態を制御する。
プライマリ制御部24はプライマリ結合素子28を備え、セカンダリ制御部42は、セカンダリ結合素子46を備えている。プライマリ制御部24が備えるプライマリ結合素子28と、セカンダリ制御部42が備えるセカンダリ結合素子46とが電気的または磁気的に結合することで、すなわち、プライマリ結合素子28およびセカンダリ結合素子46が非接触結合することで、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で、双方向に信号が伝送される。例えば、電動車両に搭載されたプライマリ結合素子28は、電動車両が適切な位置に停車することで、充電設備に設置されたセカンダリ結合素子46に結合し、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で、双方向に信号が伝送される。
プライマリ結合素子28およびセカンダリ結合素子46には、例えば、帯状の導体板(ストリップ導体)が用いられる。プライマリ結合素子28を形成する導体板と、セカンダリ結合素子46を形成する導体板が対向することで、これらの導体板が容量結合または誘導結合する。この場合、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で伝送される信号はディジタル信号であってよい。プライマリ結合素子28としての導体板と、セカンダリ結合素子46としての導体板との間では、ディジタル時間波形の電磁波が伝送される。なお、プライマリ結合素子28およびセカンダリ結合素子46は巻線であってもよい。
Pスイッチング回路10の構成について説明する。Pスイッチング回路10は、スイッチング素子S1、スイッチング素子S2、入出力コンデンサC1、上コンデンサC2、下コンデンサC3、プライマリ巻線L1、正極端子20および負極端子22を備えている。なお、上コンデンサC2および下コンデンサC3における上下の用語は、回路図における上下を示す。
スイッチング素子S1およびS2は直列に接続され、スイッチングアームを構成する。スイッチング素子S1およびS2には、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられてよい。この場合、スイッチング素子S1としてのMOSFETのソース端子が、スイッチング素子S2としてのMOSFETのドレイン端子に接続される。また、各MOSFETのドレイン端子とソース端子との間には、ソース端子側をアノード端子としてダイオードが接続されている。各スイッチング素子は、バイポーラトランジスタ等、その他の半導体スイッチング素子であってもよい。
上コンデンサC2および下コンデンサC3は直列に接続されコンデンサアームを構成する。スイッチングアームおよびコンデンサアームは並列に接続されている。上コンデンサC2および下コンデンサC3の接続点と、スイッチング素子S1およびS2の接続点との間には、プライマリ巻線L1が接続されている。スイッチングアームおよびコンデンサアームの上端の並列接続点と、下端の並列接続点との間には、入出力コンデンサC1が接続されている。スイッチングアームおよびコンデンサアームの上端の並列接続点および入出力コンデンサC1の上端には、正極端子20が接続されている。スイッチングアームおよびコンデンサアームの下端の並列接続点および入出力コンデンサC1の下端には、負極端子22が接続されている。
Sスイッチング回路30の構成について説明する。Sスイッチング回路30は、スイッチング素子W1、スイッチング素子W2、上コンデンサC5、下コンデンサC6、入出力コンデンサC4、セカンダリ巻線L2、正極端子38および負極端子40を備えている。
Sスイッチング回路30は、Pスイッチング回路10と同様の構成を有する。スイッチング素子W1およびW2は、それぞれ、Pスイッチング回路10のスイッチング素子S1およびS2に対応する。上コンデンサC5、下コンデンサC6および入出力コンデンサC4は、それぞれ、Pスイッチング回路10の上コンデンサC2、下コンデンサC3および入出力コンデンサC1に対応する。セカンダリ巻線L2は、Pスイッチング回路10のプライマリ巻線L1に対応し、正極端子38および負極端子40は、それぞれ、Pスイッチング回路10における正極端子20および負極端子22に対応する。正極端子38および負極端子40との間には、DC/ACコンバータ48が接続されている。
電力伝送装置1および電力変換装置2の動作について説明する。電力伝送装置1が備えるプライマリセンサ26は、バッテリ12に印加される電圧(バッテリ電圧)、バッテリ12に流れる電流(バッテリ電流)、およびスイッチング素子S1およびS2の温度を測定し、各検出値をプライマリ制御部24に出力する。電力変換装置2が備えるセカンダリセンサ44は、DC/ACコンバータ48に印加される直流電圧(DC/ACコンバータ電圧)、DC/ACコンバータ48に流れる直流電流(DC/ACコンバータ電流)、およびスイッチング素子W1およびW2の温度を測定し、各検出値をセカンダリ制御部42に出力する。
プライマリ制御部24は、プライマリセンサ26から出力された各検出値を制御信号に含ませて、制御信号をセカンダリ制御部42に送信する。また、セカンダリ制御部42は、セカンダリセンサ44から出力された各検出値を制御信号に含ませて、その制御信号をプライマリ制御部24に送信する。プライマリ制御部24は、自らが生成した制御信号と、セカンダリ制御部42から受信した制御信号に応じてスイッチング素子S1およびS2を制御する。セカンダリ制御部42は、自らが生成した制御信号と、プライマリ制御部24から受信した制御信号に応じてスイッチング素子W1およびW2を制御する。
電力伝送装置1におけるスイッチング素子S1がオフからオンに切り換わるときは、スイッチング素子S2はオンからオフに切り換わり、スイッチング素子S1がオンからオフに切り換わるときは、スイッチング素子S2はオフからオンに切り換わる。すなわち、スイッチング素子S1およびS2は交互にオンオフする。同様に、電力変換装置2におけるスイッチング素子W1およびW2は、交互にオンオフする。
電力伝送装置1と電力変換装置2との間で授受される電力は、Pスイッチング回路10をスイッチングする位相と、Sスイッチング回路30をスイッチングする位相との差異であるスイッチング位相差によって定まる。ここで、Pスイッチング回路10をスイッチングする位相は、スイッチング素子S2をスイッチングする位相として定義され、Sスイッチング回路30をスイッチングする位相は、スイッチング素子W2をスイッチングする位相として定義されてよい。
例えば、電力伝送装置1から電力変換装置2に電力を伝送する場合、プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42から受信した制御信号に含まれるDC/ACコンバータ電圧およびDC/ACコンバータ電流の各検出値と、電力伝送装置1から電力変換装置2に伝送すべき電力に対する目標値に基づいて位相差目標値を求める。プライマリ制御部24は、位相差目標値に基づく制御信号を生成して、セカンダリ制御部42に送信する。
同様に、電力変換装置2から電力伝送装置1に電力を伝送する場合、セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24から受信した制御信号に含まれるバッテリ電圧およびバッテリ電流の各検出値と、電力変換装置2から電力伝送装置1に伝送すべき電力に対する目標値に基づいて位相差目標値を求めてよい。セカンダリ制御部42は、位相差目標値に基づく制御信号を生成して、プライマリ制御部24に送信する。
プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42のそれぞれは、自らが生成した制御信号と、それぞれが受信した制御信号に基づいて、スイッチング位相差が位相差目標値に近付きまたは一致するように、各スイッチング素子を制御する。
(2)スイッチング制御
図2には、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42が実行するスイッチング制御のフローチャートが示されている。ステップS101〜S107は、プライマリ制御部24が実行する処理であり、ステップS201〜ステップS205は、セカンダリ制御部42が実行する処理である。
プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42にスイッチングタイミングを伝えるための制御信号を生成し(S101)、制御信号を誤り訂正符号化および暗号化する(S102)。誤り訂正符号化とは、処理対象の符号を誤り訂正が可能な符号に変換する処理をいう。暗号化とは、処理対象の符号を暗号を用いて秘匿性のある符号に変換する処理をいう。
プライマリ制御部24は、誤り訂正符号化および暗号化された制御信号を、セカンダリ制御部42に送信し(S103)、セカンダリ制御部42は、その制御信号を受信する(S201)。セカンダリ制御部42は、制御信号の暗号化を解除すると共に、誤り訂正を行って制御信号を復号化する(S202)。セカンダリ制御部42は、制御信号に含まれているタイミング情報に従って、同期タイミングを決定する(S203)。同期タイミングは、スイッチング素子W2をオフからオンにするタイミングであってよい。同期タイミングは、例えば、制御信号を構成するパケットの終端の時刻t2から、タイミング情報によってセカンダリ制御部42に対して示された時間τ2が経過した時刻ts2=t2+τ2として決定される。
なお、時間τ2は0であってもよい。この場合セカンダリ制御部42は、タイミング情報に従うまでもなく、制御信号を構成するパケットの終端の時刻t2を同期タイミングとする。また、時刻t2は、制御信号に含まれているタイミング情報をセカンダリ制御部42が取得した時刻であってもよい。セカンダリ制御部42は、同期タイミングに従って、Sスイッチング回路30の各スイッチング素子を制御する(S204)。
制御信号を送信した後、プライマリ制御部24は、自らが生成した制御信号を復号化し(S104)、同期タイミングを決定する(S105)。プライマリ制御部24は、例えば、自らが生成した制御信号を構成するパケットの終端の時刻t1から、タイミング情報によってプライマリ制御部24に対して示された時間τ1が経過し、さらに、プライマリ制御部24が実行する処理に対するセカンダリ制御部42が実行する処理の遅延時間Δが経過した時刻ts1=t1+τ1+Δを同期タイミングとして決定する。同期タイミングは、スイッチング素子S2をオフからオンにするタイミングであってよい。
なお、遅延時間Δは、予め実験等によって定められた定数であってよい。また、時間τ1は0であってもよい。この場合プライマリ制御部24は、タイミング情報に従うまでもなく、制御信号を構成するパケットの終端の時刻t1から遅延時間Δが経過した時刻t1+Δを同期タイミングとする。時刻t1は、自らが生成した制御信号に含まれているタイミング情報をプライマリ制御部24が取得した時刻であってもよい。プライマリ制御部24は、同期タイミングに従って、Pスイッチング回路10の各スイッチング素子を制御する(S106)。
セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24が実行したステップS101〜S106と同様の処理を実行し(S205)、プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42が実行したステップS201〜S204と同様の処理を実行する(S107)。
プライマリ制御部24は、ステップS101〜S107を繰り返し実行し、セカンダリ制御部42は、ステップS201〜S205を繰り返し実行する。
なお、外部の装置からスイッチング制御を停止すべき旨の情報が与えられたときは、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は、図2で示されているスイッチング制御を終了する。外部の装置としては、例えば、電動車両のコントロールユニットがある。
制御信号に含まれるタイミング情報に基づく時間ts1およびts2は、Pスイッチング回路10とSスイッチング回路30のスイッチング位相差が上述の目標位相差に近付き、または一致するように決定される。すなわち、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は、Pスイッチング回路10とSスイッチング回路30のスイッチング位相差が目標位相差になるように、制御信号に含ませるタイミング情報を決定した上でスイッチング制御を実行する。
このようなスイッチング制御が実行されることで、Pスイッチング回路10とSスイッチング回路30のスイッチング位相差が上述の目標位相差に近付き、または一致し、バッテリ12と電力供給システムとの間で授受される電力が目標値に近付き、または一致する。
本実施形態に係る電力伝送システムでは、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間の信号伝送が、ディジタル信号で行われる。そして、プライマリ結合素子28とセカンダリ結合素子46との間の伝送は、ディジタル時間波形の電磁波によって行われる。したがって、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は、伝送対象のディジタル信号を、PSK等のディジタル変調が施されたアナログ信号に変換する必要がない。そのため、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で制御信号が伝送される際の遅延時間が短くなり、Pスイッチング回路10およびSスイッチング回路30とが確実に同期する。また、ディジタル変調のための回路が必要とされないため、ディジタル変調が行われる場合に比べてプライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42のハードウエアが簡略化される。
(3)適合性認証シーケンス処理
図3および図4には、プライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で実行される適合性認証シーケンス処理のフローチャートが示されている。適合性認証シーケンス処理は、上記のスイッチング制御が実行される前に実行されてよい。また、スイッチング制御が実行されている場合においてプライマリ制御部24とセカンダリ制御部42との間で制御信号が送受信される合間に実行されてもよい。
適合性認証シーケンス処理は、電力の授受対象として電力伝送装置1が登録されたものであるかの適合性判定を、電力変換装置2が実行し、電力の授受対象として電力変換装置2が登録されたものであるかの適合性判定を、電力変換装置2が実行する処理である。この適合性判定によって、互いに予め登録された装置である旨の適合性認証がされた電力伝送装置1および電力変換装置2の間でスイッチング制御が行われ、電力の授受が行われる。一方、適合性認証がされなかった電力伝送装置1および電力変換装置2の間ではスイッチング制御は行われず、電力の授受は行われない。
適合性認証シーケンス処理について具体的に説明する。プライマリ制御部24は、公開鍵、自らに割り当てられたIDを直接表す平文ID、および平文IDハッシュ化・暗号化符号を含む制御信号を生成する(S301)。平文IDハッシュ化・暗号化符号は、平文IDをハッシュ化し、ハッシュ化された平文IDを、公開鍵に対応する秘密鍵で暗号化して得られる符号である。ハッシュ化とは、処理対象の符号を一定の規則に従って変換し、元の符号とは異なる秘匿性のある符号を得ることをいう。一定の符号からはハッシュ化によって一定の符号が得られる。プライマリ制御部24は、制御信号を誤り訂正符号化および暗号化する(S302)。プライマリ制御部24は、制御信号をセカンダリ制御部42に送信し(S303)、セカンダリ制御部42は制御信号を受信する(S401)。セカンダリ制御部42は、制御信号の暗号化を解除すると共に誤り訂正を行って、制御信号を復号化する(S402)。
セカンダリ制御部42は、公開鍵、平文ID、および平文IDハッシュ化・暗号化符号を制御信号から抽出する(S403)。セカンダリ制御部42は、さらに、ステップS403によって得られた平文IDをハッシュ化して第1符号を生成する(S404)。セカンダリ制御部42は、さらに、ステップS403によって得られた平文IDハッシュ化・暗号化符号を、ステップS403によって得られた公開鍵を用いて復号化して第2符号を生成した後(S405)、適合性認証処理(S406)を実行する。
図4には、適合性認証処理のフローチャートが示されている。セカンダリ制御部42は、第1符号と第2符号とが一致するか否かを判定する(S506)。セカンダリ制御部42は、第1符号と第2符号とが一致したときは、ステップS403で制御信号から抽出された平文IDが、予め登録された登録IDのいずれかと一致するか否かを判定する(S507)。セカンダリ制御部42は、平文IDが登録IDと一致するときは、プライマリ制御部24と共に、図2で示されたスイッチング制御を実行する(S508)。すなわち、スイッチング制御が実行される前に適合性認証シーケンス処理が実行され、このような適合性認証がされたときは、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42はスイッチング制御を開始する。また、スイッチング制御が繰り返し実行されている合間に適合性認証シーケンス処理が実行され、このような適合性認証がされたときは、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は引き続きスイッチング制御を繰り返し実行する。
一方、第1符号と第2符号とが一致しないか、第1符号と第2符号とが一致した場合であっても、平文IDがいずれの登録IDとも一致しない場合には、セカンダリ制御部42はプライマリ制御部24と共に、スイッチング制御を実行しない。すなわち、スイッチング制御が実行される前に適合性認証シーケンス処理が実行され、このような適合性非認証がされたときは、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42はスイッチング制御を開始しない。また、スイッチング制御が繰り返し実行されている合間に適合性認証シーケンス処理が実行され、このような適合性非認証がされたときは、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42はスイッチング制御を中止し、電力伝送装置1と電力変換装置2との間で授受される電力を遮断する。
適合性認証処理を実行した後、セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24が実行したステップS303〜S303と同様の処理を実行する(図3:S407)。また、プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42が実行したステップS401〜S406と同様の処理を実行する(S304)。
このような処理によれば、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42が、相互に送受信した制御信号に含まれるIDを相互に適合性認証するという条件の下で、スイッチング制御が実行される。したがって、予め定められた特定の電力伝送装置1および電力変換装置2の間でのみ電力の授受が行われる。
本実施形態に係る電力伝送システムによれば、次のような使用形態が可能である。この使用形態の前提として、電力伝送装置1を搭載する電動車両の所有者は、充電設備の管理者に電力伝送装置1のIDを伝えておく。充電設備の管理者は、充電設備に設置された電力変換装置2に電動車両の所有者から伝えられたIDを登録する。充電設備における電力変換装置2は、登録IDと一致するIDを制御信号によって送信した電力伝送装置1との間で電力の授受を行う。したがって、自らのIDが電力変換装置2に登録された電力伝送装置1を搭載した電動車両に対してのみ、その充電設備を用いた充電が行われる。すなわち、自らのIDが電力変換装置2に登録されていない電力伝送装置1を搭載した電動車両は、充電設備での充電を行うことができない。
(4)BER劣化時停止制御
プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は、受信した制御信号を復号する際のBER(Bit Error Rate)を測定し、BERが所定の閾値を超えたときは、スイッチング制御を停止する処理を実行してもよい。図5および図6には、このようなBER劣化時停止制御のフローチャートが示されている。図2に示されている処理と同一の処理については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
プライマリ制御部24は、上記のステップS101〜S103を実行し、制御信号を送信する。セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24から送信された制御信号を受信する(S201)。セカンダリ制御部42は、制御信号を復号化すると共にBERを測定する(S601)。セカンダリ制御部42は、BERが所定の閾値を超えたか否かを判定する(S602)。セカンダリ制御部42は、BERが閾値以下であるときは、上記のステップS203およびS204を実行して同期タイミングを決定し(S203)、同期制御を実行する(S204)。
プライマリ制御部24は、上記のステップS104〜S106を実行し、同期制御を実行する。セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24が実行したステップS101〜S106と同様の処理を実行し(S205)、プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42が実行したステップS201、S601〜S603、S203およびS204と同様の処理を実行する(S701)。
セカンダリ制御部42は、ステップS602においてBERが閾値を超えたときは、次に説明する停止処理を実行する(S603)。図6には、停止処理のフローチャートが示されている。停止処理は、セカンダリ制御部42がスイッチング制御を停止すると共に、プライマリ制御部24に対し、スイッチング制御を停止させる処理である。
セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24のスイッチング制御を停止させる制御信号を生成し、制御信号を誤り訂正符号化および暗号化し(S801)、誤り訂正化および暗号化された制御信号を送信する(S802)。制御信号を送信した後、セカンダリ制御部42はスイッチング制御を停止する(S803)。
プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42から送信された制御信号を受信し(S901)、受信した制御信号を復号化する(S902)。プライマリ制御部24は、その時点で実行している処理に関わらず、スイッチング制御を停止する(S903)。
このような処理によれば、セカンダリ制御部42で受信された制御信号を復号すると共に測定されたBERが閾値を超えたとき、あるいは、プライマリ制御部24で受信された制御信号を復号すると共に測定されたBERが閾値を超えたときには、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42はスイッチング制御を停止する。これによって、プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42との間の通信状況が良好でなくなった場合には、電力伝送装置1と電力変換装置2との間で授受された電力が遮断される。したがって、電力伝送装置1と電力変換装置2とが離れて、電力伝送の必要がなくなった場合には、電力伝送装置1と電力変換装置2との間で電力の授受が行われず、無駄な電力消費が回避される。
(5)フェールセーフ制御
プライマリ制御部24およびセカンダリ制御部42は、次のようなフェールセーフ制御を実行してもよい。プライマリ制御部24は、プライマリセンサ26の各検出値によって電力伝送装置1の動作状態が良好でないと判定した場合に、Pスイッチング回路10のスイッチングを停止する。また、セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24から送信された制御信号に含まれるプライマリセンサ26の各検出値によって、電力伝送装置1の動作状態が良好でないと判定したときは、Sスイッチング回路30のスイッチングを停止する。電力伝送装置1の動作状況とは、例えば、バッテリ電圧、バッテリ電流、および各スイッチング素子の温度をいう。電力伝送装置1の動作状況が良好でない場合とは、これらの物理量のうちいずれかが基準値を超える場合をいう。
同様に、セカンダリ制御部42は、セカンダリセンサ44の各検出値によって電力変換装置2の動作状態が良好でないと判定した場合に、Sスイッチング回路30のスイッチングを停止する。また、プライマリ制御部24は、セカンダリ制御部42から送信された制御信号に含まれるセカンダリセンサ44の各検出値によって、電力変換装置2の動作状態が良好でないと判定したときは、Pスイッチング回路10のスイッチングを停止する。電力変換装置2の動作状況とは、例えば、DC/ACコンバータ電圧、DC/ACコンバータ電流、および各スイッチング素子の温度をいう。電力変換装置2の動作状況が良好でない場合とは、これらの物理量のうちいずれかが基準値を超える場合をいう。
フェールセーフ制御を実行するに際して、プライマリ制御部24は、プライマリセンサ26の各検出値を取得し、セカンダリ制御部42に送信する制御信号に含ませる。また、セカンダリ制御部42は、セカンダリセンサ44の各検出値を取得し、プライマリ制御部24に送信する制御信号に含ませる。
図7Aおよび図7Bには、フェールセーフ制御のフローチャートが示されている。図7Aはプライマリ制御部24が実行する処理を示したものであり、図7Bはセカンダリ制御部42が実行する処理を示したものである。図5に示される処理と同様の処理については同一の符号を付してその説明を簡略化する。図7Aに示されている処理は、図5に示されているステップS103とステップS104との間に、次のようなステップS1004およびS1005が挿入されたものである。すなわち、プライマリ制御部24は、制御信号をセカンダリ制御部42に送信した後(S103)、プライマリセンサ26から各検出値を取得する(S1003)。プライマリ制御部24は、各検出値に基づいて電力伝送装置1の動作状況が良好か否かを判定する(S1004)。プライマリ制御部24は、プライマリセンサ26の各検出値、すなわち、バッテリ電圧の検出値、バッテリ電流の検出値、ならびにスイッチング素子S1およびS2の温度の検出値のうち、それぞれについて予め定められた閾値を超えるものがない場合を、動作状況が良好であると判定してよい。一方、プライマリセンサ26の検出値のうち、予め定められた閾値を超えるものがあった場合、プライマリ制御部24は、電力伝送装置1の動作状況が良好でないと判定してよい。
電力伝送装置1の動作状況が良好であると判定したときは、プライマリ制御部24は、制御信号の復号化をすると共に(S104)同期タイミングを決定し(S105)、Pスイッチング回路10の同期制御を行う(S106)。プライマリ制御部24は、電力伝送装置1の動作状況が良好でないと判定したときは、Pスイッチング回路10のスイッチングを停止する(S1005)。
図7Bに示されている処理は、図5に示されているステップS602とステップS203との間に、次のようなステップS1101〜S1103が挿入されたものである。セカンダリ制御部42は、ステップS602においてBERが閾値以下であると判定した場合、プライマリセンサ26の各検出値を制御信号から取得し(S1101)、電力伝送装置1の動作状況が良好であるか否かを判定する(S1102)。セカンダリ制御部42は、プライマリセンサ26の各検出値、すなわち、バッテリ電圧の検出値、バッテリ電流の検出値、ならびにスイッチング素子S1およびS2の温度の検出値のうち、それぞれについて予め定められた閾値を超えるものがない場合を、動作状況が良好であると判定してよい。一方、プライマリセンサ26の検出値のうち、予め定められた閾値を超えるものがあった場合、セカンダリ制御部42は、電力伝送装置1の動作状況が良好でないと判定してよい。
セカンダリ制御部42は、電力伝送装置1の動作状況が良好でないと判定したときは、Sスイッチング回路30のスイッチングを停止する(S1103)。一方、セカンダリ制御部42は、電力伝送装置1の動作状況が良好であると判定したときは同期タイミングを決定し(S203)、Sスイッチング回路30の同期制御を行う(S204)。セカンダリ制御部42は、プライマリ制御部24が実行したステップS101〜S103、S1003〜S1005、およびS104〜S106と同様の処理を実行する。また、プライマリ制御部24は、Pスイッチング回路10に対する同期制御を実行した後、セカンダリ制御部42が実行したステップS201、S601〜S603、S1101〜S1103、およびS203〜S204と同様の処理を実行する(図7A:S1006)。
このような制御によれば、電力伝送装置1の動作状況が良好でないときは、プライマリ制御部24がPスイッチング回路10のスイッチングを停止するのみならず、セカンダリ制御部42もSスイッチング回路30のスイッチングを停止する。また、電力変換装置2の動作状況が良好でないときは、セカンダリ制御部42がSスイッチング回路30のスイッチングを停止するのみならず、プライマリ制御部24もPスイッチング回路10のスイッチングを停止する。これによって、電力伝送システムが異常であるときに、確実に電力の伝送が停止される。
(6)プライマリ制御部およびセカンダリ制御部のハードウエア
図8には、プライマリ制御部24またはセカンダリ制御部42として用いられる制御ユニット60の構成が示されている。制御ユニット60は、情報処理部62、送信部80、受信部82、駆動回路86、記憶部84、通信インターフェイス88および結合素子90を備えている。
情報処理部62は、制御信号生成部64、秘匿化部66、秘匿化解除部70、BER測定部72、適合性認証部74、駆動信号生成部76および情報管理部78を備えている。情報処理部62はプロセッサによって構成されてよい。この場合、情報処理部62は、記憶部84に記憶されたプログラムを実行し、自らの内部にこれらの構成要素(制御信号生成部64、秘匿化部66、秘匿化解除部70、BER測定部72、適合性認証部74、駆動信号生成部76および情報管理部78)を構成する。結合素子90は、プライマリ結合素子28またはセカンダリ結合素子46として用いられる。
制御ユニット60の動作について説明する。制御信号生成部64は制御信号を生成する。秘匿化部66は、図2のステップS102、図3のステップS302、図6のステップS801等、制御信号を秘匿化する処理を実行する。
送信部80は、秘匿化部66によって秘匿化された制御信号を、ディジタル信号で直接、結合素子90に出力する。受信部82は、結合素子90から制御信号を受信し、情報処理部62に出力する。
秘匿化解除部70は、図2のステップS202、図3のステップS402、図5のステップS601、図6のステップS902等、制御信号の秘匿化を解除する処理を実行する。BER測定部72は、制御信号のBERを測定する処理を実行する。適合性認証部74は、図3のステップS403〜S406等、適合性認証処理に関連する処理を実行する。記憶部84には、1つまたは複数の登録IDが記憶されている。適合性認証処理に際しては、適合性認証部74は記憶部84に記憶されている登録IDを参照する。
駆動信号生成部76は、同期タイミングを決定すると共に(S105)、同期制御(S106)においてスイッチング素子S1およびS2をスイッチングする駆動信号を生成し、駆動回路86に出力する。駆動回路86は、駆動信号に基づいてスイッチング素子S1およびS2をスイッチングする。あるいは、駆動信号生成部76は、同期タイミングを決定すると共に(S203)、同期制御(S204)においてスイッチング素子W1およびW2をスイッチングする駆動信号を生成し、駆動回路86に出力する。駆動回路86は、駆動信号に基づいてスイッチング素子W1およびW2をスイッチングする。
情報処理部62は、このような構成によって、送信部80および受信部82と共に図2〜図7Aおよび図7Bに示される処理を実行する。
(7)情報の管理
セカンダリ制御部42としての制御ユニット60における情報管理部78は、DC/ACコンバータ48からバッテリ12に伝送される電力の電力伝送効率を求めてもよい。情報管理部78は、セカンダリセンサ44から出力されるDC/ACコンバータ電圧およびDC/ACコンバータ電流の各検出値に基づいて、DC/ACコンバータ48から出力された電力を求める。また、情報管理部78は、プライマリ制御部24から送信された制御信号に含まれていたバッテリ電圧およびバッテリ電流の各検出値に基づいて、バッテリ12に供給された電力を求める。情報管理部78は、バッテリ12に供給された電力と、DC/ACコンバータ48から出力された電力に基づいて、DC/ACコンバータ48からバッテリ12に伝送される電力についての電力伝送効率を求め、記憶部84に記憶する。情報管理部78は、セカンダリセンサ44による各検出値、制御信号から取得された各検出値、バッテリ12に供給された電力、およびDC/ACコンバータ48から出力された電力を記憶部84に記憶してもよい。
同様の処理によって、プライマリ制御部24としての制御ユニット60における情報管理部78は、バッテリ12からDC/ACコンバータ48に伝送される電力の電力伝送効率を求め、記憶部84に記憶してもよい。情報管理部78は、プライマリセンサ26による各検出値、制御信号から取得された各検出値、DC/ACコンバータ48に供給された電力、およびバッテリ12から出力された電力を記憶部84に記憶してもよい。
セカンダリ制御部42としての制御ユニット60の制御信号生成部64は、DC/ACコンバータ48が電力変換装置2に供給する電力の属性を制御信号に含ませてもよい。電力の属性としては、例えば、DC/ACコンバータ48が接続された電力供給システムが商用電源システムである場合には電力会社を示す情報がある。また、電力供給システムが発電機である場合には、発電機の方式や製造者を識別する情報がある。プライマリ制御部24として動作する制御ユニット60の情報管理部78は、セカンダリ制御部42から送信された制御信号に含まれる属性情報を記憶部84に記憶する。
制御ユニット60(プライマリ制御部24またはセカンダリ制御部42)の通信インターフェイス88は、インターネット等の通信回線に接続されている。通信回線との接続は無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。制御ユニット60は、通信インターフェイス88を介して他の制御ユニット60との間で通信を行い、各制御ユニット60の記憶部84に記憶されている情報を共有してもよい。すなわち、制御ユニット60は、通信インターフェイス88を介して他の制御ユニット60との間で通信を行い、他の制御ユニット60における記憶部84に記憶されている情報を取得し、自らの記憶部84に記憶してもよい。また、制御ユニット60は、通信インターフェイス88を介して他の制御ユニット60との間で通信を行い、自らの記憶部84に記憶されている情報を他の制御ユニット60に送信してもよい。この場合、複数の制御ユニット60によってブロックチェーンを構築し、ブロックチェーンによって、各記憶部84に記憶された情報が管理されてもよい。
(8)電力伝送装置と電力変換装置との間の距離の測定
制御ユニット60がプライマリ制御部24として電力伝送装置1に含まれる場合、BER測定部72は、制御信号の復号化と共に測定したBERに基づいて、電力変換装置2までの距離を求めてもよい。この場合、BERと電力変換装置2までの距離とを対応付けたBER・距離テーブル情報が予め記憶部84に記憶される。BER測定部72は、BER・距離テーブル情報を参照し、測定されたBERに対応する距離を求める。電力伝送装置1が電動車両に搭載される場合には、電力変換装置2までの距離を運転者に提示してもよい。また、電力変換装置2が設置された位置まで移動してバッテリ12を充電する自律型のロボットやドローン等の移動体に電力伝送装置1が搭載される場合には、電力変換装置2までの距離に基づいて、移動体の移動方向、移動距離、移動速度等についての制御が行われてもよい。
(9)変形例
上記では、Pスイッチング回路10として、スイッチング素子S1およびS2から構成される1つのスイッチングアームを用いたハーフブリッジ回路を用いる実施形態について説明した。Pスイッチング回路10としては、2つのスイッチングアームを用いたフルブリッジ回路が用いられてもよい。この場合、コンデンサアームを構成する上コンデンサC2および下コンデンサC3のそれぞれがスイッチング素子に置き換えられる。回路図における上下のスイッチング素子は交互にオンオフする。同様に、Sスイッチング回路30として、2つのスイッチングアームを用いたフルブリッジ回路が用いられてもよい。この場合、コンデンサアームを構成する上コンデンサC5および下コンデンサC6のそれぞれがスイッチング素子に置き換えられる。回路図における上下のスイッチング素子は交互にオンオフする。
Pスイッチング回路10およびSスイッチング回路30には、これらのスイッチングタイミングの差またはスイッチング周波数の差を調整することで、Pスイッチング回路10とSスイッチング回路30との間で授受される電力が調整されるようなその他のスイッチング回路が用いられてもよい。
上記では、プライマリ巻線L1およびセカンダリ巻線L2の結合によって、電力伝送装置1と電力変換装置2との間で電力が授受される実施形態について説明した。プライマリ巻線L1には並列または直列にコンデンサがされ、プライマリ巻線L1とコンデンサによって、共振回路(プライマリ共振回路)が構成されてもよい。同様に、セカンダリ巻線L2にも並列または直列にコンデンサがされ、セカンダリ巻線L2とコンデンサによって、共振回路(セカンダリ共振回路)が構成されてもよい。そして、プライマリ共振回路およびセカンダリ共振回路の共鳴によって、電力伝送装置1と電力変換装置2との間で電力が授受されてもよい。
上記では、プライマリセンサ26が、スイッチング素子S1およびS2の温度を検出し、電力伝送装置1が送信する制御信号に各スイッチング素子の温度の検出値を含ませる実施形態について説明した。プライマリセンサ26は、Pスイッチング回路10が含む複数のスイッチング素子のうちいずれかの温度を検出してもよい。この場合、電力伝送装置1が送信する制御信号には、Pスイッチング回路10が含む複数のスイッチング素子のうち温度が検出されたものの検出値を含ませる。同様に、セカンダリセンサ44は、Sスイッチング回路30が含むスイッチング素子のうちいずれかの温度を検出してもよい。
上記ではプライマリ巻線L1およびプライマリ結合素子28が電動車両に搭載され、セカンダリ巻線L2およびセカンダリ結合素子46が充電設備に設置された実施形態について説明した。このような構成の他、プライマリ巻線L1およびプライマリ結合素子28が電力伝送装置1側のプライマリコネクタを形成し、セカンダリ巻線L2およびセカンダリ結合素子46が電力変換装置2側のセカンダリコネクタを形成してもよい。この場合、例えば、電力変換装置2からケーブルが引き出され、このケーブルが、セカンダリ巻線L2およびセカンダリ結合素子46に接続される。電動車両に設けられたプライマリコネクタにセカンダリコネクタが接近し、あるいは、接触することで、プライマリ巻線L1およびセカンダリ巻線L2が結合すると共に、プライマリ結合素子28およびセカンダリ結合素子46が結合する。
1 電力伝送装置、2 電力変換装置、10 プライマリスイッチング回路、12 バッテリ、20,38 正極端子、22,40 負極端子、24 プライマリ制御部、26 プライマリセンサ、28 プライマリ結合素子、30 セカンダリスイッチング回路、42 セカンダリ制御部、44 セカンダリセンサ、46 セカンダリ結合素子、48 DC/ACコンバータ、60 制御ユニット、62 情報処理部、64 制御信号生成部、66 秘匿化部、70 秘匿化解除部、72 BER測定部、74 適合性認証部、76 駆動信号生成部、78 情報管理部、80 送信部、82 受信部、84 記憶部、86 駆動回路、88 通信インターフェイス、90 結合素子。

Claims (12)

  1. 電力伝送装置から送信された制御信号を受信する受信部と、
    前記制御信号に含まれるIDの適合性を認証する情報処理部と、を備え、
    前記IDの適合性が認証されたときに前記電力伝送装置との間で非接触で電力を授受し、前記IDの適合性が認証されなかったときは、前記電力伝送装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力伝送装置との間で授受している電力を遮断することを特徴とする電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記情報処理部は、
    前記制御信号の秘匿性を解除して前記IDの適合性を認証することを特徴とする電力変換装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電力変換装置において、
    前記情報処理部は、
    前記制御信号から公開鍵、平文の前記ID、および暗号化符号を抽出し、
    平文の前記IDをハッシュ化して第1符号を生成し、
    前記暗号化符号を前記公開鍵によって復号化して第2符号を生成し、
    前記第1符号と前記第2符号との比較に基づいて、前記IDの適合性を認証することを特徴とする電力変換装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
    前記情報処理部は、
    前記制御信号のBERを測定し、当該測定されたBERに基づいて、前記電力伝送装置までの距離を求めることを特徴とする電力変換装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
    前記電力伝送装置と非接触結合する結合素子を備え、
    前記受信部は、前記結合素子を介して、ディジタル時間波形の電磁波によって前記制御信号を受信することを特徴とする電力変換装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力変換装置において、
    前記電力伝送装置が含むプライマリスイッチング回路に非接触で結合するセカンダリスイッチング回路を含み、
    前記セカンダリスイッチング回路は、
    前記制御信号が示すスイッチングタイミングに従ってスイッチングすることを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置において
    前記情報処理部は、
    前記制御信号に含まれる情報に基づいて前記電力伝送装置の動作状況が良好であるか否かを判定し、
    前記電力変換装置は、
    前記電力伝送装置の動作状況が良好でないときは、前記電力伝送装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力伝送装置との間で授受している電力を遮断することを特徴とする電力変換装置。
  8. IDを含む制御信号を送信する送信部を備え、
    前記制御信号を受信した電力変換装置であって、前記IDの適合性を認証した電力変換装置との間で非接触で電力を授受し、前記電力変換装置が前記IDの適合性を認証しなかったときは、前記電力変換装置との間で電力を授受しないか、あるいは、前記電力変換装置との間で授受している電力を遮断することを特徴とする電力伝送装置。
  9. 請求項8に記載の電力伝送装置において、
    前記制御信号を秘匿化する秘匿化部を含むことを特徴とする電力伝送装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載の電力伝送装置において、
    前記制御信号生成部は、
    平文の前記IDと、ハッシュ化され、さらに暗号化された前記IDと、を前記制御信号に含ませることを特徴とする電力伝送装置。
  11. 請求項8から請求項10のいずれか1項に記載の電力伝送装置において、
    前記電力変換装置と非接触結合する結合素子を備え、
    前記送信部は、前記結合素子を介して、ディジタル時間波形の電磁波によって前記制御信号を送信することを特徴とする電力伝送装置。
  12. 請求項8から請求項11のいずれか1項に記載の電力伝送装置において、
    前記電力変換装置が含むセカンダリスイッチング回路に非接触で結合するプライマリスイッチング回路を含み、
    前記制御信号は、前記セカンダリスイッチング回路のスイッチングタイミングを示し、
    前記プライマリスイッチング回路は、
    前記制御信号に基づいて、前記セカンダリスイッチング回路のスイッチングタイミングと同期したタイミングでスイッチングすることを特徴とする電力伝送装置。
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