以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる撮像装置の構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の撮像装置の第1の実施形態であるデジタルカメラ1000の構成を示す図である。図1において、被写体からの光は、撮影光学系1120を通って、撮像素子100上に被写体像として結像される。撮影光学系1120には、被写体側から順に、固定されている第1群レンズ1101、光軸方向に移動して変倍を行うズームレンズ1102、光量を調整する絞り1103、固定されている第2群レンズ1104が配置されている。
また、変倍に伴う像面変動を補正する機能とフォーカス機能とを兼ね備えたフォーカスレンズ1105も配置されている。なお、図1では、各レンズ群が1枚のレンズで構成されているように示されているが、実際には、1枚のレンズで構成されていてもよいし、複数枚のレンズで構成されていてもよい。
撮像素子100は、CMOSセンサにより構成される光電変換素子であり、被写体像を光電変換したアナログ信号をデジタル信号に変換して出力する。カメラ信号処理回路1108は、撮像素子100からの出力信号に対して各種の画像処理を行い、画像信号を生成する。
カメラ信号処理回路1108内には、AF(オートフォーカス)信号処理回路1081が設けられている。AF信号処理回路1081は、撮像素子100から出力される焦点検出信号を用いて撮影光学系1120の焦点状態を表す焦点信号を生成する。
表示装置1109は、カメラ信号処理回路1108からの画像信号を表示し、記録装置1110はカメラ信号処理回路1108からの画像信号を磁気テープ、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
カメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)1111は、カメラ信号処理回路1108から出力される焦点信号に基づいて、後述のフォーカスレンズ駆動部1113を制御し、フォーカスレンズ1105を光軸方向に移動させる。この動作は主にカメラマイコン1111内に設けられたAF制御部1121によって行われる。
また、AF制御部1121は、決定されたフォーカスレンズ1105の目標位置に従って実際にフォーカス制御を行う。さらに、変倍時(ズーム時)にはあらかじめ記憶されたズームトラッキングデータに基づいてフォーカスレンズ1105を移動させるズームトラッキング制御を行う。これにより、変倍に伴う像面変動(ボケ)を防止する。なお、カメラマイコン1111は、撮像素子100の動作の制御も行う。
ズームレンズ駆動部1112は、ズームレンズ1102を移動させて変倍動作を行い、フォーカスレンズ駆動部1113はフォーカスレンズ1105を移動させて焦点調節を行う。ズームレンズ駆動部1112およびフォーカスレンズ駆動部1113は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ、ボイスコイルモータ等の駆動源を備える。
図2は、本実施形態の撮像装置に用いられる撮像素子100の構成を示す図である。図2において、撮像素子100の撮像面には、それぞれが少なくとも1つの画素を有する単位ユニット102が2次元的に配置されている。図2では、説明を分かりやすくするために、単位ユニット102が縦に3ユニット、横に3ユニット配列されている状態を示しているが、実際には高精細画像を得るために数百万から数千万の単位ユニット102が配列されている。
それぞれの単位ユニット102には、参照信号線116を介して、参照信号生成回路114が接続されている。参照信号生成回路114は、参照信号線116を用いて、単位ユニット102内でAD変換を行う際に用いる参照信号を各単位ユニット102に供給する。
さらに、それぞれの単位ユニット102には、カウンタ信号線120を介して、カウンタ118が接続されている。カウンタ118は、カウンタ信号線120を用いて、単位ユニット102内でAD変換を行う際に用いるカウンタ信号を各単位ユニット102に供給する。
それぞれの単位ユニット102は、画素駆動回路110により駆動される。画素駆動回路110は、画素駆動信号線108を介して、後述の単位ユニット102の制御のための制御信号を、各単位ユニット102へと送る。
単位ユニット102でAD変換されたデジタル信号(出力データ)は、データ転送線104を介して、信号処理回路106へ送られる。信号処理回路106は、各単位ユニット102から得られたデジタル信号の並べ替えや、加減算を行った後に、出力部112へとデジタル信号を転送する。
タイミングジェネレータ(TG)122は、各部の動作のタイミングを制御する。不図示の配線により、タイミングジェネレータ122は、参照信号生成回路114、カウンタ118、画素駆動回路110、信号処理回路106、単位ユニット102に含まれる後述する比較器21a,21b,21c、選択部22を制御する。
図3は、図2に示した単位ユニット102の構成を示す図である。図3において、単位ユニット102は、3つの画素20a,20b,20cを有する。画素は、後述するように、画素への入射光に応じてアナログ信号を出力する。画素20a,20b,20cそれぞれに対応した比較器21a,21b,21cが単位ユニット102に含まれる。
さらに、単位ユニット102には、比較器21a,21b,21cにそれぞれに対応した第1メモリ23a,23b,23c,23dが含まれる。画素20aと、比較器21aと、第1メモリ23aの組み合わせを単位セルと呼ぶ。図3では、一点鎖線により、単位セルを構成する要素を示している。
なお、図2では、カウンタ118が全画素共通で設けられているが、画素毎に設けてもよい。画素毎にカウンタ118を設けた場合、画素20aと、比較器21aと、第1メモリ23aと、画素毎に設けられたカウンタの組み合わせを単位セルと呼ぶ。
本実施形態では、後述の方法でAD変換を行うため、AD変換にメモリが必須となる。そのため、比較器21aと、第1メモリ23aの組み合わせをAD変換部と呼ぶ。図3では、破線により、AD変換部を構成する要素を示す。同様に、画素20bと、比較器21bと、第1メモリ23bの組み合わせを単位セルと呼び、比較器21bと、第1メモリ23bがAD変換部を構成する。また、同様に、画素20cと、比較器21cと、第1メモリ23cの組み合わせを単位セルと呼び、比較器21cと、第1メモリ23cがAD変換部を構成する。
単位ユニット102には、単位セル毎(単位セル内)に設けられた第1メモリとは別に、第2メモリ23dも含まれる。図3では3つの単位セルに対して、1つの第2メモリ23dが配置されている。選択部22は、後述する方法で行われるAD変換の結果をいずれかのメモリに保持するように切り替えを行うために設けられている。
図3の構成では、選択部22は、それぞれの比較器に接続される第1メモリまたは第2メモリの切り替えを行う。これにより、切り替え後のメモリを用いてAD変換を行い、切り替え後のメモリにより、AD変換結果を保持する。
また、後述するように、図3の構成では、選択部22により、比較器に接続する第1メモリまたは第2メモリを切り替えることは、AD変換部を構成する要素を切り替えていることに相当する。このとき、単位セルを構成する要素は切り替わらない。
次に、図3に示した単位ユニット102におけるAD変換について説明する。ここでは、画素20a、比較器21a、第1メモリ23aから構成される単位セルを用いて説明する。比較器21aは、画素20aからのアナログ信号と、参照信号線116から供給された参照信号を比較する。参照信号は、ランプ信号が用いられ、あるタイミングにおいて比較器21aで判定される大小関係が反転する。
メモリ23aには、カウンタ信号線120からカウンタ信号が供給されており、比較器21aで判定される大小関係が反転したタイミングでのカウンタ信号がメモリ23aに記録される。これにより、画素20aから出力されるアナログ信号がデジタル値へと変換される。
図3では、カウンタ信号線120が1本で示されているが、例えば、14ビットでAD変換したい場合は、14本のカウンタ信号線120が各メモリに接続されている。メモリに記録されたデジタル値は、データ転送線104を用いて、信号処理回路106へと転送され、出力部112から出力される。
なお、選択部22および第2メモリ23dの配置は、図3に示した配置に限定されるものではない。1つ以上の画素から連続して得られた信号が、単位ユニット内で保持できる配置であればどのような配置でもよい。一例として、図4に、図3とは異なる選択部22および第2メモリ23dの配置を示す。
図3に示した配置では、比較器と、第1メモリおよび第2メモリの間に選択部22が設けられている。そのため、選択部22により、比較器と、第1メモリおよび第2メモリの間の接続を切り替えることは、AD変換部を構成する要素(メモリ)を切り替えることに相当する。
それに対して、図4に示した配置では、第1メモリと第2メモリの間に選択部22が設けられている。図4の配置では、選択部22により接続の切り替えを行っても、第2メモリ23dがAD変換部を構成する要素(メモリ)とはならない。第2メモリ23dは、第1メモリを用いてAD変換した結果を一時的に保持するために用いられる。
このように、図3と図4で選択部22および第2メモリの配置は異なるが、どちらの配置をとっても1つ以上の画素から連続して得られた信号を保持することができる。以下では、図3の配置に基づいて説明するが、図4の配置をとっても構わない。
なお、図4の配置において、第1メモリを用いてAD変換した結果を、第2メモリで保持するようにデータを転送する時間は、全単位ユニット同時に行うことができるため、データ転送線104を使い、信号処理回路106に転送する時間から比べれば十分に短い。また、同一のメモリを使ってAD変換を行うため、メモリの特性や、メモリにカウンタ信号を供給するカウンタ信号線120の特性のばらつきの影響を無くすことができるというメリットもある。
次に、図3に示した単位ユニットが有する画素20a,20b,20cの構成、およびその駆動方法について説明する。本実施形態では、それぞれの画素が2つの光電変換部を有する場合について、画素20a,20b,20cから撮像信号を取得し、画素20a(一部の画素)のみから焦点検出信号を取得する方法について説明する。
本実施形態では、画素20aの一方の光電変換部からの信号を第2メモリ23dに格納することによって、画素20aの焦点検出信号のAD変換のタイミングと、画素20aの撮像信号のAD変換のタイミングの間隔を短縮する。これにより、動体に対しても、十分な精度で焦点検出を実施することができる。
また、焦点検出信号を取得する画素は、画素20b,20cに切り替えが可能である。これにより、赤い被写体の場合は、赤の光を検出するR画素を用いて焦点検出を行うなど、被写体に応じて最適な焦点検出処理が可能となる。
さらに、数十行から任意の数行を焦点検出エリアとして選択し、切り替える構成を実現するために、図3に示されている3画素を、数十画素に増やした構成をとってもよい。その場合、第2メモリ23dは、数十画素に対して、焦点検出エリアとして選択される行数分だけ設ければよい。
本実施形態における2つの光電変換部を有する画素の構成について説明する。図3では、3つの画素を示しているが、それぞれの画素の構成は全て同じである。
図5は、撮影レンズの瞳領域と光電変換部の対応関係を示している。図5では、1つの画素に設けられた2つの光電変換部201a,201b、瞳領域253a,253b、マイクロレンズ251、カラーフィルタ252が示されている。光電変換部201aには、瞳領域253aを通過した光が入射する。また、光電変換部201bには、瞳領域253bを通過した光が入射する。
これにより、光電変換部201aと、光電変換部201bから得られた信号から焦点検出を行うことができる。また、光電変換部201aと、光電変換部201bから得られた信号を混合することにより、撮像信号を生成することができる。
図6は、画素の回路構成を示す図である。光電変換部201a,201bは、入射光に基づく電荷を生成する。転送トランジスタ202aは、光電変換部201aと浮動拡散部(以下、FD部)203との間、転送トランジスタ202bは、光電変換部201bとFD部203との間の電気的経路に設けられている。
転送トランジスタ202a,202bは、光電変換部201a,201bからFD部203への電荷の転送のオンとオフとを制御する。リセットトランジスタ204は、ソース端子がFD部203に電気的に接続され、ドレイン端子には電源電圧VDDが与えられている。リセットトランジスタ204は、FD部203の電位のリセットのオンとオフとを制御する。
増幅トランジスタ205のゲート端子はFD部203に電気的に接続され、ドレイン端子は電源電圧VDDが与えられ、ソース端子には、選択トランジスタ206のドレイン端子が電気的に接続されている。増幅トランジスタ205は、電流供給部207から供給される電流と、電源電圧VDDとによってソースフォロワ動作を行う。増幅トランジスタ205は、FD部203の電位に基づくアナログ信号を出力する。
選択トランジスタ206のソース端子は、電流供給部207と比較器に電気的に接続されている。選択トランジスタ206は、増幅トランジスタ205と比較器との導通、非導通を切り替える。転送トランジスタ202a,202b、リセットトランジスタ204、選択トランジスタ206のゲート端子には、画素駆動回路110から、画素駆動信号線108を介して、画素駆動信号が送られ、制御される。
次に、上記のように構成される撮像素子100の駆動方法について説明する。図7は、撮像素子の駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
2つの光電変換部のうち、光電変換部201aから得られた焦点検出用の信号をA信号、光電変換部201bから得られた焦点検出用の信号をB信号、A信号とB信号を混合して生成した撮像信号をA+B信号と表記する。本実施形態では、画素21a,21b,21cの3つの画素から撮像信号を、画素21aのみから焦点検出信号を取得する。
ここでは、期間301,302においてAD変換を行い、期間303〜306においてメモリからの読み出しを行うというように、異なる期間でAD変換と、読み出しを行っている。しかし、AD変換の期間と、メモリからの読み出し期間が重なっていても構わない。
例えば、期間301において画素20aのA信号のAD変換終了後、すなわち期間302において、期間303において行うように示した第2メモリ23dからのA信号の読み出しを開始してもよい。このとき、期間302において、第1メモリ23a,23b,23cではAD変換が行われ、第2メモリ23dではメモリからの読み出しが同時に行われる。
図7に示した期間301では、画素20aの光電変換部201aからのA信号のAD変換を行う。このとき、転送トランジスタ202aはオン状態となり、光電変換部201aに蓄積された電荷がFD部203に転送され、増幅トランジスタ205から比較器21aにA信号(アナログ信号)が出力される。比較器21aの出力先は、選択部22により、第2メモリ23dに設定される。これにより、画素20aのA信号(デジタル信号)が第2メモリ23dに保持される。
図8は、期間301における、単位セルおよびAD変換部の接続関係を示す。図8において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。図8に示すように、期間301では、選択部22により、比較器21aと第2メモリ23dが接続されるように設定され、比較器21aと第2メモリ23dがAD変換部を構成する。
図7に示した期間302では、画素20a,20b,20cの3画素のA+B信号のAD変換を行う。画素20aでは、期間301で転送トランジスタ202aをオン状態にしたことに加え、期間302では転送トランジスタ202bもオン状態にする。これにより、光電変換部201aと光電変換部201bで生成された電荷がFD部203に転送され、増幅トランジスタ205から比較器21aにA+B信号(アナログ信号)が出力される。
比較器21aの出力先は、選択部22により、第1メモリ23aに設定される。このとき、それぞれのAD変換部の接続関係は、図3において破線で囲んだ構成となっている。これにより、画素20aのA+B信号(デジタル信号)が第1メモリ23aに保持される。
このように、画素20aから得られたA信号、A+B信号の結果を、第2メモリ23d、第1メモリ23aに保持することにより、画素20aにおいて連続してAD変換を行うことができる。仮に、A信号、A+B信号を同一のメモリを用いてAD変換を行った場合、A信号のAD変換と、A+B信号のAD変換の間に、信号処理回路106を用いてメモリに保持されたA信号を読み出す時間が発生する。この時間差は、焦点検出信号の劣化につながる。
また、図7に示した期間302において、画素20b,20cでは、転送トランジスタ202a,202bをオン状態にし、光電変換部201a,201bで生成された電荷をFD部203に転送する。これにより、画素20b,20cのA+B信号(アナログ信号)が比較器21b,21cにそれぞれ出力される。
比較器21b,21cの出力先は、選択部22により、それぞれ第1メモリ23b,23cに設定される。これにより、画素20b,20cから得られたA+B信号(デジタル信号)がそれぞれ第1メモリ23b,23cに保持される。
図7に示した期間303では、信号処理回路106により、第2メモリ23dから画素20aのA信号を読み出す。図7では、焦点検出演算を先に開始するために、焦点検出信号の読み出しを優先して行っている。すなわち、期間303に示した画素20aのA信号と、期間304に示した画素20aのA+B信号の読み出しを優先して行っている。なお、図3に示したデータ転送線104は、1本で記載されているが、データ読み出し速度を上げるために、並列に複数本設けてもよい。
図7に示した期間304,305,306では、信号処理回路106により、第1メモリ23a,23b,23cから、それぞれ画素20a,20b,20cのA+B信号を読み出す。
以上の動作により、A信号のAD変換を行うタイミングと、A+B信号のAD変換を行うタイミングの時間差を短縮し、焦点検出信号の劣化を防ぐことができ、動体に対しても適切な焦点検出を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、画素20aから焦点検出信号を取得する構成をとっているが、画素20b、画素20cから焦点検出信号を取得し、第2メモリ23dに保持しても構わない。画素20bから焦点検出信号を取得する場合は、図7に示した期間301において、選択部22により、比較器21bを第2メモリ23dに接続するように設定する。これにより、画素20bのA信号(デジタル信号)が第2メモリ23dに保持される。
同様に、画素20cから焦点検出信号を取得する場合は、図7に示した期間301において、選択部22により、比較器21cを第2メモリ23dに接続するように設定する。これにより、画素20cのA信号(デジタル信号)が第2メモリ23dに保持される。
また、本実施形態では、画素20a,20b,20cから撮像信号を取得し、画素20aから焦点検出信号を取得する場合について説明したが、全画素数よりも少ない画素数の信号を用いた高速なライブビュー表示と焦点検出も実施可能である。例えば、図3に示された画素20a,20b,20cのうち、画素20aのみを選択し、画素20b,20cからは撮像信号、焦点検出信号の両方を読み出さないように制御する。
これにより、焦点検出信号だけでなく、撮像信号の読み出し量も減らすことができ、高速な動作が可能となる。このとき、図7の期間302に示した画素20b,画素20cの信号読み出しおよびAD変換は行わなくてよい。また、図7の期間305,306に示したデータ転送も行わなくてよい。
なお、高速な焦点検出よりも、低遅延なライブビュー表示を優先させる場合には、図7の期間304に示したA+B信号の読み出しを、図7の期間303に示したA信号の読み出しよりも先に行うように制御する。
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態の駆動方法について説明する。第2の実施形態においても、図5および図6に示した画素構成をとる。本実施形態では、12ビットで焦点検出信号と撮像信号を取得する第1のモードと、16ビットで撮像信号のみを取得する第2のモードを有する場合に、モード(撮影モード)によってAD変換結果を保持するメモリを切り替える駆動方法について説明する。
図9は、第2の実施形態における単位ユニット102の構成を示す図である。図9では説明の便宜上、図3に示した第1メモリ23aを、第1メモリ23a1、第1メモリ23a2、第1メモリ23a3の3ブロックに分けて示している。
図9において、第1メモリ23a1,23a2,23a3には、それぞれ4ビットのデジタル値が保持される。これは、図3において、第1メモリ23aに12ビットのデジタル値を保持することに相当する。
また、図3に示した第1メモリ23b,23c、第2メモリ23dについても同様に12ビットを保持することができ、図9では4ビットずつ、3ブロックに分けて示している。また、図9において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
最初に、12ビットで焦点検出信号と撮像信号を取得する第1のモードの駆動方法について説明する。第1のモードの駆動方法は、第1の実施形態で説明した駆動方法と同じである。すなわち、図7に示したように画素20aのA信号を、比較器21aを用いてAD変換し、その結果を第2メモリ23dに保持する。
図9では、第2メモリ23d1,23d2,23d3のそれぞれに4ビットずつ保持することにより、12ビットのA信号を保持する。画素20aのA信号のAD変換を行った後、画素20a,20b,20cのA+B信号のAD変換を行い、それぞれの結果を第1メモリ23a,23b,23cに保持する。図9では、4ビットずつ3つのブロックに分けて示したそれぞれの第1メモリに12ビットのA+B信号を保持する。
次に、16ビットで撮像信号のみを取得する第2のモードの駆動方法について説明する。第2のモードは、画素20a,20b,20cそれぞれから16ビットで撮像信号、すなわちA+B信号を取得するモードである。図10は、第2のモードにおける動作タイミングを示すタイミングチャートである。
第2のモードでは、図10の期間401において、画素20a,20b,20cのAD変換を行う。このとき、16ビットのA+B信号のAD変換の結果を保持するために、選択部22により、比較器21aに、第1メモリ23a1,23a2,23a3、および第2メモリ23d1を接続するように設定する。これにより、比較器21aと、第1メモリ23a1,23a2,23a3から構成されるAD変換部では、保持できるビット数は12ビットに制限されるが、第2メモリ23d1を加えることで16ビットまで保持することができる。
図11は、期間401における、画素20aを含む単位セル、および画素20aのAD変換に用いるAD変換部の接続関係を示す。図11において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
図11に示すように、期間401では、選択部22により、比較器21aに対して、第1メモリ23a1,23a2,23a3、および第2メモリ23d1が接続されるように設定され、AD変換部が構成されている。また、画素20aを含む単位セルは、画素20aと、比較器21aと、第1メモリ23a1,23a2,23a3により構成される。
同様に、選択部22により、比較器21bに、第1メモリ23b1,23b2,23b3、および第2メモリ23d2を接続するように設定し、比較器21cに、第1メモリ23c1,23c2,23c3、および第2メモリ23d3を接続するように設定する。これにより、画素20b,20cにおいても、画素20aと同時に、16ビットのA+B信号を保持することができる。
図10に示した期間402,403,404では、信号処理回路106により、第1メモリおよび第2メモリから画素毎にA+B信号(デジタル値)を読み出す。
なお、第1メモリ、第2メモリの保持できるビット数に合わせて、それぞれ12本並列のデータ転送線が設けられている場合、16ビット並列読み出しができない。そのため、メモリ毎に12ビットずつ並列読み出しを行ってもよい。その場合、信号処理回路106または出力部112の出力先で、データの並べ替えを行い、それぞれの画素から得られた16ビットのA+B信号を生成する。
また、第1メモリと第2メモリに12本並列のデータ転送線を設けるとともに、第2メモリにはさらに別の4本並列のデータ転送線を設け、第2のモードの駆動時に画素毎に得られたA+B信号を一括して16ビット並列読み出しを行ってもよい。
<第3の実施形態>
以下、本発明の第3の実施形態の駆動方法について説明する。第3の実施形態では、画素からの出力値の輝度を判定し、参照信号として与えるランプ信号の傾きを変えてAD変換を行う場合について説明する。
最初に、輝度を判定してランプ信号の傾きを切り替える方法について説明する。図12は、第3の実施形態で用いる参照信号と、輝度判定により参照信号を切り替えるための構成を示す図である。
図12(a)は、ランプ信号の傾きを切り替えない場合の第1の参照信号を示す。図12(b)は、輝度判定に用いるパルス信号と、図12(a)とは傾きが異なるランプ信号を含む第2の参照信号Hを示す。図12(c)は、図12(a)と傾きは同じであるが、ランプ信号のピークが低く、AD変換に要する時間が短いランプ信号を含む第2の参照信号Lを示す。図12(d)は、輝度判定により、参照信号を切り替えるための構成を示す。
図12(d)に示すように、図3に示した画素20aと比較器21aに加えて、参照信号線116として信号線116H,116Lの2本が設けられ、さらに参照信号切替部24と、輝度判定部25が設けられている。図3に示した画素20bおよび画素20cに対しても、同様の構成をとる。
本実施形態では、輝度判定を行わずにAD変換を行う第3のモードと、輝度判定を行って参照信号を切り替える第4のモードとを有する。
以下、輝度判定を行う第4のモードを常用モードとして設定し、高輝度と判定された画素において、階調の離散化が目立つ場合に、第3のモードに切り替える方法について説明する。ここでは、第4のモードから第3のモードへ切り替えるか否か、すなわち、階調の離散化が目立つか否かを、前フレームにおいて、あるエリア内に高輝度画素数が閾値以上含まれるか否かによって判定する。また、ユーザーが任意に切り替えを行えるように切り替え用のスイッチなどを設けても良い。
以下、図12(d)、図13および図14を用いて第3の実施形態における駆動方法について説明する。
図13および図14は、第3の実施形態における単位セル、およびAD変換部の接続関係を示す。図13および図14において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
本実施形態では、各画素で輝度判定を行うため、図12(d)のように、参照信号線116H,116Lと、各比較器に対して、参照信号切替部24、および輝度判定部25が設けられるが、図13および図14では省略している。
また、図13および図14では説明の便宜上、図3に示した第2メモリ23dを、第2メモリ23d1、第2メモリ23d2、第2メモリ23d3の3ブロックに分けて示している。第3のモードと第4のモードを切り替える上で、AD変換結果を保持するために、第4のモードでは、14ビットのメモリを必要とし、第3のモードでは、16ビットのメモリを必要とする。
そのため、第1メモリ23a,23b,23cには、14ビットのメモリを用意し、第2メモリ23d1,23d2,23d3には、2ビットずつ3ブロック、合計6ビットのメモリを用意する。なお、同じ構成を用いて第1の実施形態および第2の実施形態も実施できるように、第2メモリ23dとして、6ビットよりも多いビット数のメモリを用意しても構わない。
以下、画素20aを含む単位セルに注目し、図12(d)を用いて詳細な駆動について説明するが、画素20b,20cを含む単位セルについても同様の駆動を行うものとする。
まず、第3のモードでは、参照信号切替部24の入力を参照信号線116Hに設定する。参照信号生成回路114より生成された第1の参照信号を、参照信号線116Hを用いて参照信号切替部24に供給する。なお、ここでは参照信号線116Hを用いているが、参照信号線116Lを用いて第1の参照信号を供給しても構わない。また、輝度判定部25の状態は参照信号線116Hを用いる場合にはHiに固定し、参照信号線116Lを用いる場合にはLowに固定しておく。
参照信号切替部24は、第1の参照信号を比較器21aに入力し、比較器21aは、画素20aからのアナログ信号(入力信号)と、第1の参照信号を比較することにより16ビットでAD変換を行う。このとき、第1メモリは14ビットであるのに対し、AD変換結果は16ビットのため、選択部22により、比較器21aを第1メモリ23aと第2メモリ23d1に接続するように設定する。すなわち、画素20aを含む単位セル、および画素20aのAD変換に用いるAD変換部は、図14に示すような構成を取る。
ここで、第1メモリ23aおよび第2メモリ23d1には、カウンタ信号線120からカウンタ信号が供給されている。そして、比較器21aにおいて画素20aからのアナログ信号と第1の参照信号の大小関係が反転したタイミングでのカウンタ信号が第1メモリ23aおよび第2メモリ23d1に記録される。これにより、画素20aから出力されるアナログ信号が16ビットのデジタル値へと変換される。
同様に、選択部22により、比較器21bを第1メモリ23bと第2メモリ23d2に接続するように設定することにより、画素20bにおいて16ビットのAD変換を行う。また、選択部22により、比較器21cを第1メモリ23cと第2メモリ23d3に接続するように設定することにより、画素20cにおいて16ビットのAD変換を行う。
一方、第4のモードでは、図12に示した時刻t1から時刻t2の期間で輝度判定を行う。すなわち、参照信号切替部24の入力を参照信号線116Hに設定し、参照信号生成回路114により第1の参照信号のピークに対して1/4の強度のパルス信号を参照信号切替部24に供給する。比較器21aは、画素20aから出力されるアナログ信号とパルス信号の大小関係を判定することにより、画素の出力信号が高輝度か低輝度かを判定する。そして、輝度判定部25は、比較器21aを用いて行った輝度判定の結果を、Hi状態またはLow状態で保持する。
参照信号切替部24は、輝度判定部25に保持された輝度判定結果を参照して、図12の時刻t2以降で用いる参照信号を切り替える。すなわち、高輝度であった場合には、参照信号切替部24の入力を参照信号線116Hに設定し、参照信号生成回路114によりランプ信号の傾きが大きい第2の参照信号Hを参照信号切替部24に供給する。
また、低輝度であった場合には、参照信号切替部24の入力を参照信号線116Lに設定し、参照信号生成回路114によりランプ信号の傾きが小さい第2の参照信号Lを参照信号切替部24に供給する。なお、第2の参照信号Hを用いてAD変換する場合、同じレベルのアナログ信号を第2の参照信号Lを用いてAD変換する場合と比べてAD変換にかかる時間が1/4になる。
ここで、第1メモリ23aには、カウンタ信号線120からカウンタ信号が供給されている。そして、比較器21aにおいて画素20aからのアナログ信号と第2の参照信号Hまたは第2の参照信号Lの大小関係が反転したタイミングでのカウンタ信号が第1メモリ23aに記録される。これにより、画素20aから出力されるアナログ信号が14ビットのデジタル値へと変換される。画素20b,20cについても、同様に輝度判定を行った上で、AD変換を行う。また、単位セル、およびAD変換部は図13に示す構成をとる。
なお、低輝度側では第3のモードとAD変換精度が変わらず、第3のモードと同じAD変換結果になるが、低輝度側でとり得るデジタル値の最大値が第3のモードの1/4となっている。そのため、14ビットのメモリでデジタル値を保持することができる。信号処理回路106は、第1メモリ23aからAD変換結果を読み出し、上位2ビットに00を付け加えることで16ビットとして出力部112に出力する。
また、高輝度側では第3のモードよりもAD変換精度が1/4と粗くなり、下位に2ビットシフトした14ビットのデジタル値が出力されるため、高輝度側のデジタル値も14ビットのメモリで保持することができる。信号処理回路106は、第1メモリ23aからAD変換結果を読み出し、上位に2ビットシフトさせることで16ビットとして出力部112に出力する。いずれの場合でも、14ビットから16ビットへの変換は出力部112より先で行ってもよい。
なお、輝度判定を行う場合に、第1の参照信号に示したランプ信号のピークに対して1/4の強度のパルス信号を用いるように説明したが、パルス信号の強度はこの値に限定されるものではない。その場合、ビットシフトを用いず、信号処理回路106において、任意のゲインをかけて、最終的な出力値を算出してもよい。
<第4の実施形態>
以下、本発明の第4の実施形態の駆動方法について説明する。第4の実施形態では、単位ユニットに含まれる複数の画素のうち、焦点検出画素において2回AD変換を行う駆動方法について説明する。本実施形態では、焦点検出画素から取得した2回目のAD変換結果を、第2メモリにより保持することで、焦点検出画素における1回目のAD変換のタイミングと、2回目のAD変換のタイミングの間隔を短縮する。
後述するように、第4の実施形態で用いる焦点検出画素は、開口部により、画素に入射する光が制限されるため、画素が取得できる光量が撮像画素と比べて少なくなる。そのため、低輝度被写体において、焦点検出画素はノイズの影響を受けやすい。第4の実施形態では、低輝度被写体に対して焦点検出を行う場合に、焦点検出画素において、2回AD変換を行って平均値を算出することにより、焦点検出信号のノイズ低減を図り、焦点検出精度を向上させる。
本実施形態では、図3に示した画素のうち、画素20aのみに焦点検出画素が設けられ、画素20b,20cには撮像用の画素が設けられているものとする。図15は、第4の実施形態で用いられる撮影レンズの瞳領域と、焦点検出画素における開口部の対応関係を示した図である。図5とは異なり、開口部254によって瞳領域253の形状が決定されている。焦点検出画素では、感度向上のために、カラーフィルタ252の透過帯域幅が撮像画素よりも広いものが用いられる。
また、瞳領域253を通過した光のみを検出するため、対となる画素、すなわち図15において不図示の右側の瞳領域からの光を検出する画素を別途設けて焦点検出信号を取得する。例えば、図15に示した構成の画素を含む単位ユニットに隣接する別の単位ユニットに、対となる画素を設けてもよい。
図16は、焦点検出画素の回路構成を示している。図16に示した焦点検出画素の回路構成は、撮像画素と同じである。図6との違いは、図16では、光電変換部201と、転送トランジスタ202が1つずつしか設けられていない点である。また、対となる画素の回路構成も図16と同じである。
次に、本実施形態における撮像素子100の駆動方法について説明する。図17は、本実施形態における駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
図17に示した期間501では、選択部22により、比較器21aを第1メモリ23aに、比較器21bを第1メモリ23bに、比較器21cを第1メモリ23cに接続するように設定し、それぞれAD変換を行う。これにより、第1メモリ23aには、画素20aから得られた焦点検出信号が、第1メモリ23b,23cには、画素20b,20cから得られた撮像信号が保持される。このとき、それぞれのAD変換部の構成は、図3において破線で囲んだ構成となっている。
図17に示した期間502では、選択部22により、比較器21aを第2メモリ23dに接続し、画素20aにおいて2回目のAD変換を行う。これにより、第2メモリ23dには、画素20aから得られた焦点検出信号が保持される。このとき、それぞれのAD変換部の構成は、図8において破線で囲んだ構成となっている。
図17に示した期間503〜506では、焦点検出信号を優先して、信号処理回路106によりメモリから順次読み出す。2回の焦点検出信号のAD変換結果は、信号処理回路106または出力部112の先に接続された不図示の信号処理回路により、平均値が算出され、ノイズが低減される。なお、焦点検出画素は、画素20aに限らず、画素20b,20cに設けてもよい。
なお、上記の説明では低輝度被写体における、焦点検出信号のノイズ低減を行ったが、撮像信号のノイズ低減を行うこともできる。例えば、赤の光を検出するR画素、緑の光を検出するG画素、青の光を検出するB画素から成り立つ画素配列では、赤い被写体を撮影した場合に、R画素と比べて、B画素の信号出力は著しく低下する。R、G、B画素に対して単位ユニットを設けることにより、赤い色の被写体を撮影した場合に、B画素で2回AD変換および平均化を行うことで、ノイズを低減できる。
ここで、被写体の色の判定は、前フレームの画像信号に基づいて、信号処理回路106または出力部112の先に接続された不図示の信号処理回路によって行い、選択部22に結果をフィードバックする。同様に、青い色の被写体を撮影した場合には、R画素の信号出力が小さくなるため、R画素で2回AD変換および平均化を行うことで、ノイズを低減できる。
このように、単位ユニットに含まれる複数の画素のうち、信号出力が弱い画素において2回AD変換を行い、平均値を算出することにより、ノイズ低減を図り、焦点検出精度の改善を行ったり、ノイズによるRGB比率のばらつきを抑制したりすることができる。
<第5の実施形態>
以下、本発明の第5の実施形態の駆動方法について説明する。第5の実施形態では、図3に示した単位ユニットに含まれる3つの画素のうち、画素を間引いた1つの画素を選択して2回AD変換を行う駆動方法について説明する。ここでは、撮像信号を2回AD変換するだけでなく、リセットトランジスタ204をオンにして行うリセット動作後のリセットレベルについても2回AD変換を行う。
2回AD変換を行った結果は、平均値を算出することにより、ノイズ低減を図る。本実施形態では、間引いた画素から取得した2回目のリセットレベルのAD変換結果と、撮像信号の2回のAD変換結果を、第1メモリおよび第2メモリにより保持する。これにより、リセットレベルのAD変換のタイミングと、撮像信号のAD変換のタイミングの間隔を短縮する。
なお、単位ユニットに含まれる画素の数、および間引きの数は、特に限定されるものではなく、単位ユニットに含まれる複数の画素から間引きを行い、1つ以上の画素を選択してもよい。また、AD変換の回数は2回以上行い、平均値を算出してノイズ低減を図ってもよい。本実施形態では、図3に示した画素のうち、画素20aのみ撮像信号を取得する場合について考える。この場合、画素20b,20cからは信号を取得しない。
図18は、本実施形態における駆動タイミングを示すタイミングチャートである。図18では、リセットレベルの信号をN信号、撮像信号をS信号と表記する。また、図19に、あるタイミングにおける単位セルと、AD変換部の接続関係を示す。図19において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
図18に示した期間601では、選択部22により、比較器21aを第1メモリ23aに接続するように設定することで、画素20aのN信号の1回目のAD変換結果を第1メモリ23aに保持する。この場合の、単位セルとAD変換部の接続関係を、図19(a)に示す。
図18に示した期間602では、選択部22により、比較器21aを第1メモリ23bに接続するように設定することで、画素20aのN信号の2回目のAD変換結果を第1メモリ23bに保持する。このとき、単位セルとAD変換部の接続関係を、図19(b)に示す。
図18に示した期間603では、画素20aの転送トランジスタ202をオンに設定し、光電変換部201に蓄積された電荷をFD部203に転送する。電荷転送後、転送トランジスタ202をオフ、選択トランジスタ206をオンに設定し、撮像信号のAD変換を行える状態にする。
選択部22により、比較器21aを第1メモリ23cに接続するように設定することで、画素20aのS信号の1回目のAD変換結果を第1メモリ23cに保持する。この場合の、単位セルとAD変換部の接続関係を、図19(c)に示す。
図18に示した期間604では、選択部22により、比較器21aを第2メモリ23dに接続するように設定することで、画素20aのS信号の2回目のAD変換結果を第2メモリ23dに保持する。このとき、単位セルとAD変換部の接続関係を、図19(d)に示す。
リセットレベル、撮像信号のAD変換が完了後、図18の期間605〜608では、信号処理回路106により、第1メモリおよび第2メモリからリセットレベル、撮像信号を読み出す。これにより得られたリセットレベルと、撮像信号、それぞれの2回のAD変換結果は、信号処理回路106または出力部112の先に接続された不図示の信号処理回路により、それぞれ平均値が算出され、ノイズが低減される。
<第6の実施形態>
以下、本発明の第6の実施形態の駆動方法について説明する。第6の実施形態では、1つの画素が4つの光電変換部を有する。4つの光電変換部を有する画素を用いることにより、縦方向の瞳分割、横方向の瞳分割(瞳分割方向)を実現し、縦線と、横線のどちらの被写体であっても、焦点検出を行うことができる。
また、本実施形態では、縦方向に3画素、横方向に3画素並べた計9画素を含む単位ユニット102を形成し、瞳分割の方向に応じて、第2メモリの接続を切り替えることにより、任意の方向の瞳分割を実施することができる。本実施形態では、選択した画素の一方の光電変換部からの信号を第2メモリに格納することによって、選択した画素の焦点検出信号のAD変換のタイミングと、撮像信号のAD変換のタイミングの間隔を短縮する。これにより、動体に対しても、十分な精度で焦点検出を実施することができる。
図20は、本実施形態における1つの画素の上面図である。図20には、画素20eが示されているが、図21に示す画素20fから20mについても同じ構成を取る。図20では、1つの画素内で光電変換部が縦方向、横方向にそれぞれ2つ配置され、計4つの光電変換部を有する。ここでは、4つの光電変換部を、光電変換部201c,201d,201e,201fとする。
光電変換部201cと201eを混合、201dと201fを混合することにより、横方向に瞳分割した場合の位相差検出信号を取得することができる。また、光電変換部201cと201dを混合、201eと201fを混合することにより、縦方向に瞳分割した場合の位相差検出信号を取得することができる。
図22は、本実施形態における画素の回路構成を示す図である。図6との違いは、図22では、光電変換部と、転送トランジスタが4つずつ設けられ、それぞれの光電変換部から独立して信号を読み出すことができる構成となっている点である。
図21は、単位ユニット102に含まれる9画素の画素配列を示す図である。図21に示した9つの画素が、それぞれ図20に示した4つの光電変換部を備える。図23は、本実施形態における、単位ユニット102の構成を示す図である。図23において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
単位ユニット102には、図21に示した9つの画素が含まれ、それぞれの画素に対し、比較器が設けられ、単位セルを構成している。また、それぞれの単位セルに対し、第1メモリが設けられている。また、単位ユニット102には、3つの第2メモリ23n,23o,23pが設けられている。また、図24に、あるタイミングにおける単位セルと、AD変換部の接続関係を示す。図24において、一点鎖線により単位セルを構成する要素を示し、破線によりAD変換部を構成する要素を示す。
次に、本実施形態における、撮像素子100の駆動方法について説明する。本実施形態では、3行のうちの1行から横方向に瞳分割を行った焦点検出信号を取得する第5のモードと、3列のうちの1列から縦方向に瞳分割を行った焦点検出信号を取得する第6のモードを有する。図25は、第5のモードのタイミングチャートである。また、図26は、第6のモードのタイミングチャートである。
第5のモードでは、画素20e,20f,20gから焦点検出信号を取得する。最初に、図25に示す期間701の前に露光を行い、光電変換部201c,201d,201e,201fそれぞれに電荷を蓄積する。
図25に示す期間701では、画素20e,20f,20gにおいて、図22に示す転送トランジスタ202c,202eをオンにして、図20に示す画素の左側の2つの光電変換部に蓄積された電荷をFD部203に転送する。電荷をFD部203に転送後、転送トランジスタ202c,202eをオフにする。その後、選択トランジスタ206をオンにして、AD変換を行う。
このとき、選択部22は、比較器21eを第2メモリ23nに、比較器21fを第2メモリ23oに、比較器21gを第2メモリ23pに接続し、それぞれのAD変換結果を第2メモリに保持する。これにより、図21に示した画素配列のうち、1行目の3画素から横方向に瞳分割を行った焦点検出信号を取得できる。この場合の、単位セルとAD変換部の接続関係を、図24(a)に示す。
図25に示す期間702では、画素20eから20mの9画素において、転送トランジスタ202c,202d,202e,202fをオンにして、画素に含まれる全ての光電変換部で蓄積された電荷をFD部203に転送する。電荷をFD部203に転送後、転送トランジスタ202c,202d,202e,202fをオフにする。
その後、選択トランジスタ206をオンにして、AD変換を行う。このとき、選択部22は、図23において、一点鎖線により示した単位セル、破線により示したAD変換部の構成をとる。それぞれの単位セル毎に、比較器を第1メモリに接続し、単位セル毎に設けられた第1メモリに撮像信号を保持する。
図25に示す期間703〜705では、第2メモリに保持された焦点検出信号を、信号処理回路106によって読み出す。
図25に示す期間706〜714では、第1メモリに保持された撮像信号を、信号処理回路106によって読み出す。このとき、撮像信号を用いて、第2メモリに保持された焦点検出信号と対となる焦点検出信号を生成するために、焦点検出信号を取得した画素20e,20f,20gの撮像信号を優先して読み出す。これにより、高速な焦点検出を実現できる。
第6のモードでは、画素20e,20h,20kから焦点検出信号を取得する。最初に、図26に示す期間801の前に露光を行い、光電変換部201c,201d,201e,201fそれぞれに電荷を蓄積する。
図26に示す期間801では、画素20e,20h,20kにおいて、図22に示す転送トランジスタ202c,202dをオンにして、図20に示す画素20eの上側の2つの光電変換部に蓄積された電荷をFD部203に転送する。電荷をFD部203に転送後、転送トランジスタ202c,202dをオフにする。その後、選択トランジスタ206をオンにして、AD変換を行う。
このとき、選択部22は、比較器21eを第2メモリ23nに、比較器21hを第2メモリ23oに、比較器21kを第2メモリ23pに接続し、それぞれのAD変換結果を第2メモリに保持する。これにより、図21に示した画素配列のうち、1列目の3画素から縦方向に瞳分割を行った焦点検出信号を取得できる。この場合の、単位セルとAD変換部の接続関係を、図24(b)に示す。
図26に示す期間802では、画素20eから20mの9画素において、転送トランジスタ202c,202d,202e,202fをオンにして、画素に含まれる全ての光電変換部で蓄積された電荷をFD部203に転送する。電荷をFD部203に転送後、転送トランジスタ202c,202d,202e,202fをオフにする。その後、選択トランジスタ206をオンにして、AD変換を行う。
このとき、選択部22は、図23において、一点鎖線により示した単位セル、破線により示したAD変換部の構成をとる。それぞれの単位セル毎に、比較器を第1メモリに接続し、単位セル毎に設けられた第1メモリに撮像信号を保持する。
図26に示す期間803〜805では、第2メモリに保持された焦点検出信号を、信号処理回路106によって読み出す。
図26に示す期間806〜814では、第1メモリに保持された撮像信号を、信号処理回路106によって読み出す。
なお、第5のモードでは、1行目から焦点検出信号を取得し、第6のモードでは1列目から焦点検出信号を取得しているが、接続を切替えることで、任意の行、列から焦点検出信号を取得することができる。また、数十行、数十列の画素を含むエリアに対して単位ユニットを設けることにより、被写体に応じて、焦点検出信号を取得する画素を切り替えることもできる。
特に、数十行、数十列の画素を含むエリアから任意の画素を選択することにより、焦点検出エリアの大きさ、焦点検出エリアの位置、画素を間引く割合、R,G,B画素のいずれを使うか、などのパラメータを被写体に応じて最適なものに調整することができる。パラメータの設定は、前フレームの撮像信号に基づいて、信号処理回路106または出力部112の先に接続された不図示の信号処理回路によって被写体認識を行い、パラメータを決め、選択部22に結果をフィードバックすることで実施する。
さらに、1つの画素が4つの光電変換部を有する場合に限らず、もっと多数の光電変換部を有する場合、像高に応じて、同時に電荷を読み出す光電変換部の組み合わせを変更し、像高に応じて瞳分割の方向、形状を変えることにより最適な焦点検出を実現できる。
このように、複数の光電変換部を有する画素のエリアに対して、単位ユニットを設けることにより、少ないメモリを用いて、自由度の高い、高速な焦点検出を実現することが可能となる。
(その他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。