以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“TD”によって参照される実使用トリミングデータは(図7参照)、実使用トリミングデータTDと表記されることもあるし、データTDと略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
まず、本実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部を指す又は基準電位そのものを指す。各実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る信号生成回路1の概略ブロック図である。信号生成回路1は、トリミングデータ保持部2、トリミングデータ設定部3及び対象信号生成部4を備える。
トリミングデータ保持部2(以下、保持部2と略記され得る)は、第1〜第mトリミングデータを保持する。mは2以上の任意の整数である。詳細は後述の説明から明らかとなるが、各トリミングデータは後述のトリミング機能部5の状態の制御(調整)に供される。トリミングデータ保持部2は、不揮発性メモリ(例えばOTPROM(one time programmable read only memory))、ツェナーザップ法、ポリシリコンフューズ法、又は、レーザーカット法など、周知の手法を用いて第1〜第mトリミングデータを不揮発的に保持する。
トリミングデータ設定部3(以下、設定部3と略記され得る)は、保持部2から供給される第1〜第mトリミングデータに基づき、後述のトリミング機能部5の状態の制御に実際に使用される実使用トリミングデータを設定する。この設定の際、温度情報取得部6(図2(a)等参照)から提供される温度情報が参照される。
対象信号生成部4はトリミング機能部5を有し、トリミング機能部5を用いて対象信号を生成及び出力する。対象信号は、信号生成回路1の後段回路(不図示)に利用される任意の信号であって良い。例えば、対象信号は、所望の周波数を有するクロック信号であっても良いし、所望の電圧値を持つ電圧信号であっても良い。
図2(a)〜(c)に示される温度情報取得部6は、対象信号生成部4の周辺温度を示す温度情報を取得する。対象信号生成部4の周辺温度は対象信号生成部4が配置される環境の温度であり、環境温度と読み替えられても良い。対象信号生成部4の周辺温度は信号生成回路1の周辺温度でもあり、信号生成回路1を含む装置(例えば信号生成回路1を内包する半導体ICチップ)の周辺温度でもある。以下、温度情報にて示される周辺温度を記号“Tmp”にて参照し、周辺温度Tmp又は単に温度Tmpと表記することがある。図2(a)に示す如く、温度情報取得部6は測定対象温度を測定するための測温素子6aを備え、温度情報取得部6は、測温素子6aを用いて測定対象温度に応じた情報を温度情報として取得する。ここにおける測定対象温度は温度Tmpである。測温素子6aは測定対象温度の変化に対して自身の電気的特性が変化する素子であれば任意である。例えば、測温素子6aとして、測温抵抗体、リニア抵抗、サーミスタ又はダイオードを利用でき、半導体集積化回路として構成された温度センサを温度情報取得部6として利用しても良い。
測温素子6aを含む温度情報取得部6は信号生成回路1の構成要素に含まれていても良いし、図2(b)に示すように、測温素子6aを含む温度情報取得部6が信号生成回路1の外部に設けられると考えても良い。この場合、信号生成回路1に対して温度情報取得部6が外付け接続されることになる。また、図2(c)に示す如く、測温素子6aを含まない温度情報取得部6が信号生成回路1内に設けられ且つ信号生成回路1に対して測温素子6aが外付け接続される形態を採用しても良い。
図3に示す如く、トリミング機能部5は第1〜第nトリミング状態の何れかの状態をとる。nは2以上の任意の整数である。詳細は後述されるが、例えば、トリミング機能部5内の2つのノード間の抵抗値が可変となるようにトリミング機能部5が構成されており、実使用トリミングデータに基づき当該抵抗値が第1抵抗値、第2抵抗値、・・・、第n抵抗値に設定されることで、トリミング機能部5の状態が夫々第1、第2、・・・、第nトリミング状態となる。第1〜第nトリミング状態の内、予め定められた1つのトリミング状態は基準トリミング状態と称される。
対象信号はトリミング機能部5を用いて生成されるため、トリミング機能部5の状態が変化すれば対象信号の特性(周波数、電圧値など)も変化する。つまり、対象信号の特性はトリミング機能部5の状態に依存する。また、対象信号生成部4はトリミング機能部5を含んで構成されるのであるから、対象信号生成部4の特性(周波数特性など)もトリミング機能部5の状態に依存すると言える。故に、トリミング機能部5の状態の制御を通じて対象信号の特性又はトリミング機能部5の特性を調整することが可能である。
図4を参照し、保持部2に保持されるべき第1〜第mトリミングデータは、夫々、周辺温度Tmpを所定の温度Tmp[1]〜Tmp[m]に設定した状態で取得される。温度Tmp[1]〜Tmp[m]は互いに異なる温度であり、ここでは任意の整数iに関し、“Tmp[i]<Tmp[i+1]”が成立するものとする。第1〜第mトリミングデータは、信号生成回路1の製造工程の最終段階に実施される出荷時トリミング用工程の中で取得される。
図5及び図6を参照して出荷時トリミング用工程を説明する。図5は出荷時トリミング用工程のフローチャートである。図6は出荷時トリミング用工程に関わる部位のブロック図である。図6の出荷検査装置SSは出荷時トリミング用工程にて対象信号生成部4及びトリミングデータ保持部2に接続され、出荷時トリミング用工程は出荷検査装置SSの制御の下で実行される。出荷時トリミング用工程においてトリミングデータ設定部3は機能しない。
出荷時トリミング用工程はステップS11〜S15の処理から成る。出荷時トリミング用工程において、まずステップS11では変数iに1が代入され、続くステップS12では第i調整条件での対象信号が評価される。第i調整条件は、温度Tmpが所定の温度Tmp[i]に設定され且つトリミング機能部5の状態が基準トリミング状態に設定される条件である。即ち、ステップS12では、出荷検査者により温度Tmpが所定の温度Tmp[i]となるように信号生成回路1の周辺の環境が整えられ、その環境の下、出荷検査装置SSは、トリミング機能部5の状態を基準トリミング状態に設定した上で対象信号生成部4を動作させて、対象信号生成部4からの対象信号を評価する。
ステップS12に続くステップS13において、出荷検査装置SSは、第i調整条件の下で取得された対象信号の評価結果に基づいて第iトリミングデータを決定し、決定した第iトリミングデータをトリミングデータ保持部2に対して不揮発的に書き込む。続くステップS14では変数iが“m”の値に達しているか否かが確認される。変数iが“m”の値に達していない場合にはステップS15にて変数iに“1”を加算してからステップS12に戻り、ステップS12及びS13の処理が繰り返される。変数iが“m”の値に達している場合には、出荷時トリミング用工程を終える。
これにより、“1≦i≦m”を満たす夫々の整数iに関してステップS12及びS13の処理が実行され、出荷時トリミング用工程を終える時点では、第1〜第mトリミングデータがトリミングデータ保持部2に書き込まれて保持されることになる。
出荷時トリミング用工程の完了後には、トリミングデータ設定部3が有効に機能する。出荷時トリミング用工程の実行時の動作と、その後の動作とを明確にすべく、出荷時トリミング用工程の完了後における信号生成回路1の動作を実稼働動作と称する。実稼働動作では、トリミングデータ設定部3によりトリミングデータ保持部2の保持データに基づいて実使用トリミングデータが設定され、実使用トリミングデータに基づきトリミング機能部5の状態が制御(調整)されることで対象信号の特性又は対象信号生成部4の特性が調整される。対象信号生成部4の特性の調整を通じて対象信号の特性が調整される、と考えることもできる。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態及び後述の第3〜第7実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2〜第7実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2〜第7実施形態にも適用される。第2実施形態の記載を解釈するにあたり、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3〜第7実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1〜第7実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
図7は、本発明の第2実施形態に係る信号生成回路10の概略ブロック図である。信号生成回路10は図1の信号生成回路1の例である。信号生成回路10は、トリミングデータ保持部20(以下、保持部20と略記され得る)と、トリミングデータ設定部30(以下、設定部30と略記され得る)と、トリミング機能部50を有する発振回路40と、を備える。第2実施形態では、保持部20、設定部30、発振回路40及びトリミング機能部50が、夫々、図1の保持部2、設定部3、対象信号生成部4及びトリミング機能部5として機能する。設定部30により設定される実使用トリミングデータを記号“TD”にて参照する。発振回路40は、対象信号としてクロック信号CLKを生成及び出力する。クロック信号CLKは周期的に信号レベルが交互にローレベル及びハイレベルとなる矩形波信号である。設定部30には周辺温度Tmpを示す温度情報が与えられる。
まず、図1の対象信号生成部4の例としての発振回路40について説明する。図8は、発振回路40の一構成例を示す回路図である。本構成例の発振回路40は、インバータ111〜114と、コンデンサ115及び116と、Nチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)として構成されたトランジスタ117と、トランスミッションゲート118と、トリミング機能部50と、を備える。
インバータ111の入力端は、トランジスタ117のドレインに接続される。インバータ111の出力端は、インバータ112の入力端に接続される。インバータ112の出力端は、インバータ113の入力端に接続される。インバータ113の出力端は、トランスミッションゲート118の第1端に接続される。トランスミッションゲート118の第2端は、トリミング機能部50の入力端に接続される。トリミング機能部50の入力端をノードND1と称し、トリミング機能部50の出力端をノードND2と称する。ノードND1における信号がクロック信号CLKとして発振回路40から出力される。トリミング機能部50の出力端(即ちノードND2)は、インバータ111の入力端に接続される。このように、図8の発振回路40では、3段のインバータ111〜113を含むリングオシレータが形成されている。ただし、遅延素子の段数については上記に限定されるものではない。
インバータ114の入力端とトランスミッションゲート118の非反転制御端には、イネーブル信号ENが供給される。イネーブル信号ENはローレベル又はハイレベルの信号レベルをとる二値信号であり、信号生成回路10内で生成される、又は、信号生成回路10に接続された外部回路(不図示)から供給される。インバータ114の出力端は、トランジスタ117のゲートとトランスミッションゲート118の反転制御端に接続される。トランジスタ117のソースはグランドに接続される。コンデンサ115は、インバータ111の入力端とグランドとの間に接続される。コンデンサ116は、インバータ111の入力端とインバータ112の出力端との間に接続される。このような回路構成により、イネーブル信号ENがハイレベルであるときにクロック信号CLKの生成動作が許可される状態(イネーブル状態)となり、イネーブル信号ENがローレベルであるときにクロック信号CLKの生成動作が禁止される状態(ディセーブル状態)となる。
トリミング機能部50は、RCフィルタによるローパスフィルタを形成しており、クロック信号CLKの周波数(以下、発振周波数fCLKと称する)の精度を向上させるために、実使用トリミングデータTDに応じてRCフィルタの時定数を切り替える。トリミング機能部50によるノードND1及びND2間のRCフィルタの時定数を“τ”にて表す。
図9はトリミング機能部50の一構成例を示す回路図である。図9のトリミング機能部50は、抵抗R[1]〜R[g]と、コンデンサC[1]〜C[g]と、インバータINV[1]〜INV[g]と、トランスミッションゲートSW[1]〜SW[g]と、を備える。gは2以上の任意の整数である。任意の整数iに関し、抵抗R[i]の抵抗値よりも抵抗R[i+1]の抵抗値の方が大きい。トリミング機能部50には実使用トリミングデータTDが入力される。実使用トリミングデータTDはgビットのデータであり、実使用トリミングデータTDにおける第i番目のビットのデータを“TD_[i]”にて表す(iは整数)。データTD_[1]〜TD_[g]の内、データTD_[1]が最下位ビットのデータであって且つデータTD_[g]が最上位ビットのデータであり、データTD_[1]からデータTD_[g]に向けて、対応するビットが上位に向かう。
抵抗R[1]〜R[g]はノードND1とノードND2との間に直列に接続される。抵抗R[1]〜R[g]の直列回路において、抵抗R[i]が抵抗R[i+1]よりもノードND1側に配置される(iは整数)。任意の整数iに関し、コンデンサC[i]は抵抗R[i]と共にRCフィルタを形成するように、抵抗R[i]一端とグランドとの間に接続される。任意の整数iに関し、トランスミッションゲートSW[i]は抵抗R[i]に対して並列に接続され、インバータINV[i]の入力端とトランスミッションゲートSW[i]の非反転制御端にはデータTD_[i]を示す信号が入力され、インバータINV[i]の出力端はトランスミッションゲートSW[i]の反転制御端に接続される。データTD_[i]は“1”又は“0”をとり、“1”、“0”のデータTD_[i]に対応する信号のレベルは、夫々、ハイレベル、ローレベルである。
例えば、データTD_[1]がローレベルである場合には、トランスミッションゲートSW[1]がオフするので、抵抗R[1]とコンデンサC[1]から成るRCフィルタがノードND1及びND2間に挿入された形となる。一方、データTD_[1]がハイレベルである場合には、トランスミッションゲートSW[1]がオンして抵抗R[1]の両端間が短絡されるので、抵抗R[1]とコンデンサC[1]から成るRCフィルタがノードND1及びND2間に挿入されない形となる。データTD_[2]〜TD_[g]についても同様である。従って、データTD_[1]〜TD_[g]の論理レベルに応じて、ノードND1及びND2間に挿入されるRCフィルタの時定数τを任意に切り替えることができる。本回路構成では、時定数τが大きいほど発振周波数fCLKは低くなり、時定数τが小さいほど発振周波数fCLKは高くなる。
データTD_[1]〜TD_[g]から成る実使用トリミングデータTDは、トリミングデータ保持部20に保持された第1〜第mトリミングデータ(図1参照)に基づき設定される。第2実施形態では、数値例として“m=3”が採用されている。即ち、保持部20は第1〜第3トリミングデータを保持する。出荷時トリミング用工程において、第1〜第3トリミングデータが取得されるときの温度Tmp[1]〜Tmp[3]に関し、“Tmp[1]<Tmp[2]<Tmp[3]”が成立する。温度Tmp[2]は常温に属し、温度Tmp[1]は常温よりも低い低温に属し、温度Tmp[3]は常温よりも高い高温に属する。故に、保持部20により保持される第1、第2、第3トリミングデータは、夫々、低温用トリミングデータ、常温用トリミングデータ、高温用トリミングデータとも称され得る。
出荷時トリミング用工程における第1〜第3トリミングデータの決定方法について説明する。図10は、出荷時トリミング用工程にて参照されるテーブルTBLを示している。出荷検査装置SSはテーブルTBLを参照して、図5のステップS13の処理を実行する。尚、ここでは“g=8”であるとする。即ち、実使用トリミングデータTDは8ビットデータであるとする。これに対応して、保持部20により保持される第1、第2及び第3トリミングデータの夫々も8ビットデータとされる。抵抗R[1]〜R[8]の抵抗値を、夫々、記号“R[1]〜R[8]”にて参照すると、“R[1]<R[2]<R[3]<R[4]<R[5]<R[6]<R[7]<R[8]”が成立し、ここでは、“R[i+1]=R[i]×2”であるとする。また、ここでは、実稼働動作におけるクロック信号CLKの目標周波数fTGは5.00MHz(メガヘルツ)であるとする。実稼働動作において、実際の発振周波数fCLKは、発振回路40の構成素子の特性ばらつきや温度ばらつきにより目標周波数fTGからずれうるが、適切な実使用トリミングデータTDが設定されることで、発振周波数fCLKを目標周波数fTGに近づける又は一致させることができる。
出荷時トリミング用工程では、まず第1調整条件での対象信号に相当する第1調整条件でのクロック信号CLKが取得され(“i=1”でのステップS12)、次に第2調整条件での対象信号に相当する第2調整条件でのクロック信号CLKが取得され(“i=2”でのステップS12)、最後に第3調整条件での対象信号に相当する第3調整条件でのクロック信号CLKが取得される(“i=3”でのステップS12)。上述したように、各調整条件ではトリミング機能部5の例であるトリミング機能部50の状態が基準トリミング状態とされる。ここでは、基準トリミング状態に対応するデータTD_[8]〜TD_[1]は「10000000」であるとする。「10000000」のような、かぎカッコ内に記述された8つの“1”又は“0”の数値の列は、2進数表記におけるトリミングデータを表し、その数値の列において、左側に示す数値の方が上位側のビットに対応する。「10000000」のデータTD_[8]〜TD_[1]がトリミング機能部5に入力されたとき、トランスミッションゲートSW[1]〜SW[8]の内、トランスミッションゲートSW[8]のみがオンとなる。故に、出荷時トリミング用工程のステップS12では、抵抗R[1]〜R[8]の内、抵抗R[8]の両端間のみが短絡された状態で、クロック信号CLKが取得及び評価される。抵抗R[1]〜R[8]の内、抵抗R[8]の両端間のみが短絡された状態は、RCフィルタの時定数τが設定可能レンジの中央値に設定された状態に相当する。
出荷時トリミング用工程で取得されたクロック信号CLKの周波数は、トリミング機能部50による調整(トリミング)が施されていない状態の周波数であり、トリミング前周波数と称される。出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは、各調整条件で取得されたクロック信号CLKのトリミング前周波数を測定し、その測定結果とテーブルTBLに基づき、保持部20に保持されるべき第1〜第3トリミングデータを決定して保持部20に書き込む。テーブルTBLは、トリミング前周波数と保持部20に保持されるべきトリミングデータとの関係を規定しており、実稼働動作時における発振周波数fCLKを目標周波数fTG(5.00MHz)に合わせ込むために発振回路40の特性を考慮して事前に用意される。テーブルTBLでは、最大で255種類のトリミング前周波数の夫々に対し、8ビットのトリミングデータが個別に対応付けられている。出荷時トリミング用工程では、トリミング前周波数に対応するトリミングデータをテーブルTBLから抽出して保持部20に書き込む処理が、温度Tmp[1]、Tmp[2]及びTmp[3]の夫々に対して実行される。
例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前周波数が5.00MHzである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「10000000」のデータTD_[8]〜TD_[1]を実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での発振周波数fCLKを5.00MHzとすることができる。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「10000000」に決定して保持部20に書き込む。これが実現されるよう、5.00MHzのトリミング前周波数と「10000000」のデータとがテーブルTBLにて対応付けられている。
また例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前周波数が4.98MHzである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「10000010」のデータTD_[8]〜TD_[1]を実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での発振周波数fCLKを5.00MHzとすることができる(そのような特性を発振回路40が有していることが設計段階で分かっている)。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「10000010」に決定して保持部20に書き込む。これが実現されるよう、4.98MHzのトリミング前周波数と「10000010」のデータとがテーブルTBLにて対応付けられている。
温度Tmp[2]でのトリミング前周波数が4.98MHzであった場合、その後の実稼働動作時において(但し、Tmp=Tmp[2]であると仮定)、「10000010」のデータTD_[8]〜TD_[1]が実使用トリミングデータTDとしてトリミング機能部50に入力されると、抵抗R[1]〜R[8]の内、最大の抵抗値を有する抵抗R[8]の両端間だけでなく抵抗R[2]の両端間も短絡される。その結果、抵抗R[8]の両端間だけ短絡した場合と比べて(即ち基準トリミング状態と比べて)RCフィルタの時定数τが小さくなるので、実稼働動作時において、発振周波数fCLKが4.98MHzから5.00MHzへと引き上げられる。
また例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前周波数が5.02MHzである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「01111110」のデータTD_[8]〜TD_[1]を実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での発振周波数fCLKを5.00MHzとすることができる(そのような特性を発振回路40が有していることが設計段階で分かっている)。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「01111110」に決定して保持部20に書き込む。これが実現されるよう、5.02MHzのトリミング前周波数と「01111110」のデータとがテーブルTBLにて対応付けられている。
温度Tmp[2]でのトリミング前周波数が5.02MHzであった場合、その後の実稼働動作時において(但し、Tmp=Tmp[2]であると仮定)、「01111110」のデータTD_[8]〜TD_[1]が実使用トリミングデータTDとしてトリミング機能部50に入力されると、抵抗R[1]〜R[8]の内、最大の抵抗値を有する抵抗R[8]がRCフィルタに挿入され、抵抗R[7]〜R[2]の各両端間のみが短絡される(ここで、抵抗R[7]〜R[2]の直列回路の抵抗値は抵抗R[8]の抵抗値よりも小さい)。その結果、抵抗R[8]の両端間だけ短絡した場合と比べて(即ち基準トリミング状態と比べて)RCフィルタの時定数τが大きくなるので、実稼働動作時において、発振周波数fCLKが5.02MHzから5.00MHzへと引き下げられる。
このように、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは温度Tmp[2]でのトリミング前周波数に基づき、テーブルTBLを参照して、保持部20に保持されるべき第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を決定して保持部20に書き込む。第1トリミングデータ(低温用トリミングデータ)及び第3トリミングデータ(高温用トリミングデータ)についても同様である。但し、上述の説明から理解されるように、出荷時トリミング用工程において、第1トリミングデータ(低温用トリミングデータ)を決定するために評価されるトリミング前周波数は低温環境下にて(即ち温度Tmp[1]にて)取得され、第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を決定するために評価されるトリミング前周波数は常温環境下にて(即ち温度Tmp[2]にて)取得され、第3トリミングデータ(高温用トリミングデータ)を決定するために評価されるトリミング前周波数は高温環境下にて(即ち温度Tmp[3]にて)取得される。
テーブルTBLにおいて、x.yzMHzのトリミング前周波数に対応付けられたトリミングデータを、便宜上、x.yzMHz用のトリミングデータと称する(ここにおけるx、y及びzは夫々に1桁の整数)。即ち例えば、テーブルTBLにおいて、5.00MHzのトリミング前周波数に対応付けられたトリミングデータ(「10000010」)は5.00MHz用のトリミングデータと称され、4.98MHzのトリミング前周波数に対応付けられたトリミングデータ「10000010」は4.98MHz用のトリミングデータと称され、5.02MHzのトリミング前周波数に対応付けられたトリミングデータ「01111110」は5.02MHz用のトリミングデータと称される。4.98MHz用のトリミングデータは、トリミング前周波数が4.98MHzとなるケースにおいて、実稼働動作時の発振周波数fCLKを5.00MHzとするために実使用トリミングデータTDに設定されるべきトリミングデータに相当する。5.02MHz用のトリミングデータ等も同様である。
ここでは、図10に示す如く、テーブルTBLにおいて、トリミング前周波数が0.01MHz減少すると、対応するトリミングデータの値は10進数で“1”だけ増大する。実稼働動作においては、実使用トリミングデータTDの値が増大するほど、ノードND1及びND2間に挿入されるRCフィルタの抵抗値が小さくなって時定数τが小さくなり、結果、発振周波数fCLKが増加することになる。
以下、第2実施形態及び後述の他の各実施形態を含め、特段の断りなく記述される事項は、実稼働動作に関わる事項(例えば実稼働動作における信号生成回路10の説明)であるとし、第1〜第3トリミングデータが保持部20に書き込まれた後の動作(即ち実稼働動作)を説明する。
図11は、実稼働動作時におけるトリミング方法の説明図である。折れ線510は、実稼働動作時における発振周波数fCLKと周辺温度Tmpとの関係を表している。設定部30は、温度情報にて示される周辺温度Tmpに応じ、第1〜第3トリミングデータの何れかを選択的に実使用トリミングデータTDに設定する。具体的には、設定部30は、周辺温度Tmpが所定の温度範囲521に属しているとき、第1トリミングデータ(低温用トリミングデータ)を実使用トリミングデータTDに設定し、周辺温度Tmpが所定の温度範囲522に属しているとき、第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を実使用トリミングデータTDに設定し、周辺温度Tmpが所定の温度範囲523に属しているとき、第3トリミングデータ(高温用トリミングデータ)を実使用トリミングデータTDに設定する。
切り替え温度として温度Tmp_A及びTmp_Bが設定される。温度範囲521は切り替え温度Tmp_A未満の温度範囲であり、温度範囲522は切り替え温度Tmp_A以上且つ切り替え温度Tmp_B未満の温度範囲であり、温度範囲523は切り替え温度Tmp_B以上の温度範囲である。切り替え温度Tmp_Aは温度Tmp[1]及びTmp[2]間の中間温度であり、切り替え温度Tmp_Bは温度Tmp[2]及びTmp[3]間の中間温度である。故に、温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]は、夫々、温度範囲521、522、523に属する。図11において、温度範囲521の下限は温度Tmp[1]と一致していているが、温度Tmp[1]より低くても良い。図11において、温度範囲523の上限は温度Tmp[3]と一致しているが、温度Tmp[3]より高くても良い。温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]は、例えば、夫々、−15℃、25℃、65℃である。
例として、図12に示す如く、温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]でのトリミング前周波数が、夫々、4.90MHz、4.98MHz、5.06MHzであった場合を想定する。この場合、4.90MHz用のトリミングデータ(「10001010」)、4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)、5.06MHz用のトリミングデータ(「01111010」)が、夫々、低温用トリミングデータ、常温用トリミングデータ、高温用トリミングデータとして保持部20に保持され、温度範囲521、522、523において、夫々、4.90MHz用のトリミングデータ、4.98MHz用のトリミングデータ、5.06MHz用のトリミングデータが実使用トリミングデータTDとして設定されることになる。
4.90MHz用のトリミングデータ「10001010」が実使用トリミングデータTDとしてトリミング機能部50に入力されると、抵抗R[1]〜R[8]の内、抵抗R[8]、R[4]及びR[2]の各両端間が短絡され、その分だけ、抵抗R[8]の両端間だけ短絡した場合と比べてRCフィルタの時定数τが小さくなるので、発振周波数fCLKが引き上げられる(例えば4.90MHzから5.00MHzへと引き上げられる)。4.98MHz用のトリミングデータ「10000010」又は5.06MHz用のトリミングデータ「01111010」が実使用トリミングデータTDとしてトリミング機能部50に入力された場合も、同様にして、抵抗R[8]の両端間だけ短絡した場合と比べて、発振周波数fCLKが引き上げられる(例えば4.98MHzから5.00MHzへと引き上げられる)又は引き下げられる(例えば5.06MHzから5.00MHzへと引き下げられる)。
具体的な動作例として、周辺温度Tmpが温度範囲521内から温度範囲523内へと増加していくことを考えると、切り替え温度Tmp_Aを境にデータTDが4.90MHz用のトリミングデータから4.98MHz用のトリミングデータに切り替えられ、切り替え温度Tmp_Bを境にデータTDが4.98MHz用のトリミングデータから5.06MHz用のトリミングデータに切り替えられることになる。周辺温度Tmpの減少過程では、それとは逆の切り替えが行われる。
このように、実稼働動作時において、周辺温度Tmpが温度Tmp[i]と一致するときには、温度Tmp[i]に適した第iトリミングデータが実使用トリミングデータTDとして用いられるので、発振周波数fCLKが目標周波数fTGと一致することが期待される。周辺温度Tmpが温度Tmp[i]からずれていても、周辺温度Tmpが温度Tmp[i]に近いときには、温度Tmp[i]に適した第iトリミングデータが実使用トリミングデータTDとして用いられるので、発振周波数fCLKが目標周波数fTGに近似することが期待される。即ち、発振周波数fCLKの精度の向上(詳細には発振周波数fCLKの温度特性の向上)が図られる。
ここでは、トリミング機能部50におけるRCフィルタの時定数τが固定されている場合、周辺温度Tmpの増大につれて発振周波数fCLKが増加することが想定され且つ周辺温度Tmpの変化と発振周波数fCLKの変化との間に線形性をあることが想定されている。そうすると、温度Tmp[1]及びTmp[3]間の温度範囲において、周辺温度Tmpが温度Tmp_A又はTmp_Bと一致するときに、発振周波数fCLKの目標周波数fTGからのずれが最も大きくなるが、その最大のずれ量は、全温度範囲に亘ってデータTDを固定する方式と比べ大幅に改善される。図11において、ΔfMAXは第2実施形態における当該最大のずれ量を表している。
尚、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_A又はTmp_Bの近辺にあるときにおいて、実使用トリミングデータTDが頻繁に切り替えられるのを抑制すべく、データTDの切り替えに関してヒステリシス特性を持たせると良い(切り替え温度Tmp_A及びTmp_Bに対し一定のヒステリシス幅を持たせると良い)。即ち例えば、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_A未満である状態を起点にして周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_Aを超えることでデータTDが第1トリミングデータから第2トリミングデータに切り替わった後は、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_Aよりも所定温度ΔTmpだけ低い温度“(Tmp_A−ΔTmp)”を下回らない限り、データTDを第1トリミングデータに戻すことを禁止し、周辺温度Tmpが温度“(Tmp_A−ΔTmp)”を下回まったことを受けてデータTDを第1トリミングデータに戻すようにすると良い。これと逆の切り替わりも同様であり、切り替え温度Tmp_Bに関しても同様である。また、ここで述べたヒステリシス特性は、後述の各実施形態におけるデータTDの任意の切り替わりに対し適用されて良い。
また、温度Tmp_Aは温度Tmp[1]及びTmp[2]間の中間温度からずれていても良いし、同様に、温度Tmp_Bは温度Tmp[2]及びTmp[3]間の中間温度からずれていても良い。特に、上記線形性が成り立たない場合には、発振回路40の温度特性に応じて(即ち、発振回路40の温度特性における非線形性の詳細に応じて)温度Tmp_A及びTmp_Bを対応する中間温度からずらして良い。但し、少なくとも、温度Tmp_Aは温度Tmp[1]より高く且つ温度Tmp[2]より低く、温度Tmp_Bは温度Tmp[2]より高く且つ温度Tmp[3]より低い。
温度Tmp[1]は、信号生成回路10の正常動作が保証される温度範囲の下限と一致していても良いし、その下限より高くても良いし、その下限より低くても良い(後述の他の実施形態でも同様)。温度Tmp[3]は、信号生成回路10の正常動作が保証される温度範囲の上限と一致していても良いし、その上限より高くても良いし、その上限より低くても良い(後述の他の実施形態でも同様)。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第2実施形態に示した内容を基礎として実使用トリミングデータTDの他の設定方法を説明する。第3実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1及び第2実施形態の記載が第3実施形態にも適用される。
図13は、実稼働動作時におけるトリミング方法の説明図である。折れ線530は、実稼働動作時における発振周波数fCLKと周辺温度Tmpとの関係を表している。設定部30は、保持部20から提供される第1〜第3トリミングデータに基づき補間トリミングデータA及びBを生成し、温度情報にて示される周辺温度Tmpに応じ、第1〜第3トリミングデータ並びに補間トリミングデータA及びBの何れかを選択的に実使用トリミングデータTDに設定する。具体的には、設定部30は、周辺温度Tmpが所定の温度範囲541、542、543、544、545に属しているとき、実使用トリミングデータTDに対し、夫々、第1トリミングデータ(低温用トリミングデータ)、補間トリミングデータA、第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)、補間トリミングデータB、第3トリミングデータ(高温用トリミングデータ)を設定する。
切り替え温度として所定の温度Tmp_A1、温度Tmp_A2、温度Tmp_B1、温度Tmp_B2が設定される。“Tmp[1]<Tmp_A1<Tmp_A2<Tmp[2]<Tmp_B1<Tmp_B2<Tmp[3]”が成立する。温度範囲541は切り替え温度Tmp_A1未満の温度範囲であり、温度範囲542は切り替え温度Tmp_A1以上且つ切り替え温度Tmp_A2未満の温度範囲であり、温度範囲543は切り替え温度Tmp_A2以上且つ切り替え温度Tmp_B1未満の温度範囲であり、温度範囲544は切り替え温度Tmp_B1以上且つ切り替え温度Tmp_B2未満の温度範囲であり、温度範囲545は切り替え温度Tmp_B2以上の温度範囲である。
温度Tmp[1]及びTmp[2]間の差を“ΔA”で表し、温度Tmp[2]及びTmp[3]間の差を“ΔB”で表す。切り替え温度Tmp_A1は温度Tmp[1]よりも“ΔA/4”だけ高い温度であり、切り替え温度Tmp_A2は温度Tmp[2]よりも“ΔA/4”だけ低い温度である。切り替え温度Tmp_B1は温度Tmp[2]よりも“ΔB/4”だけ高い温度であり、切り替え温度Tmp_B2は温度Tmp[3]よりも“ΔB/4”だけ低い温度である。故に、温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]は、夫々、温度範囲541、543、545に属する。図13において、温度範囲541の下限は温度Tmp[1]と一致していているが、温度Tmp[1]より低くても良い。図13において、温度範囲545の上限は温度Tmp[3]と一致しているが、温度Tmp[3]より高くても良い。温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]は、例えば、夫々、−15℃、25℃、65℃である。
補間トリミングデータAは第1トリミングデータ及び第2トリミングデータに基づいて生成され、補間トリミングデータBは第2トリミングデータ及び第3トリミングデータに基づいて生成される。補間トリミングデータAは第1トリミングデータ及び第2トリミングデータの中間値であって良く、補間トリミングデータBは第2トリミングデータ及び第3トリミングデータの中間値であって良い。
例として、図14に示す如く、温度Tmp[1]、Tmp[2]、Tmp[3]でのトリミング前周波数が、夫々、4.90MHz、4.98MHz、5.06MHzであった場合を想定する。この場合、4.90MHz用のトリミングデータ(「10001010」)、4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)、5.06MHz用のトリミングデータ(「01111010」)が、夫々、低温用トリミングデータ、常温用トリミングデータ、高温用トリミングデータとして保持部20に保持され、温度範囲541、543、545において、夫々、4.90MHz用のトリミングデータ、4.98MHz用のトリミングデータ、5.06MHz用のトリミングデータが実使用トリミングデータTDとして設定されることになる。
更に、この場合、設定部30において、低温用トリミングデータ及び常温用トリミングデータの中間値が補間トリミングデータAとして求められると共に常温用トリミングデータ及び高温用トリミングデータの中間値が補間トリミングデータBとして求められる。本例において、補間トリミングデータAは、4.90MHz用のトリミングデータ(「10001010」)と4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)との中間値であるため、4.94MHz用のトリミングデータ(「10000110」)と一致し、補間トリミングデータBは、4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)と5.06MHz用のトリミングデータ(「01111010」)との中間値であるため、5.02MHz用のトリミングデータ(「01111110」)と一致する。補間トリミングデータA及びBを求めること等を目的としてテーブルTBLを設定部30に設けておいても良い。但し、テーブルTBLが存在していなくても、設定部30は単純な演算により補間トリミングデータA及びBを生成できる。
具体的な動作例として、周辺温度Tmpが温度範囲541内から温度範囲545内へと増加していくことを考えると、切り替え温度Tmp_A1、Tmp_A2、Tmp_B1、Tmp_B2を境に、データTDが、順次、4.90MHz用のトリミングデータから4.94MHz用のトリミングデータへ、4.94MHz用のトリミングデータから4.98MHz用のトリミングデータへ、4.98MHz用のトリミングデータから5.02MHz用のトリミングデータへ、5.02MHz用のトリミングデータから5.06MHz用のトリミングデータへと切り替えられることになる。周辺温度Tmpの減少過程では、それとは逆の切り替えが行われる。
ここでは、トリミング機能部50におけるRCフィルタの時定数τが固定されている場合、周辺温度Tmpの増大につれて発振周波数fCLKが増加することが想定され且つ周辺温度Tmpの変化と発振周波数fCLKの変化との間に線形性をあることが想定されている。そうすると、温度Tmp[1]及びTmp[3]間の温度範囲において、周辺温度Tmpが温度Tmp_A1、Tmp_A2、Tmp_B1又はTmp_B2と一致するときに、発振周波数fCLKの目標周波数fTGからのずれが最も大きくなるが、その最大のずれ量ΔfMAXは、全温度範囲に亘ってデータTDを固定する方式と比べ大幅に改善され、第2実施形態と比べても更なる改善を見込める。
このように、第3実施形態によれば 発振周波数fCLKの精度(詳細には発振周波数fCLKの温度特性)を更に向上させることができる。補間トリミングデータA及びBを特定するために、出荷時トリミング用工程においてトリミング前周波数の測定ポイント数を増やす必要は無い。このため、信号生成回路10の生産性を低下させることなく、精度の高いトリミング(調整)を実現できる。
切り替え温度Tmp_A1は温度Tmp[1]よりも“ΔA/4”だけ高い温度であると述べたが、切り替え温度Tmp_A1は温度Tmp[1]よりも“ΔA/4”だけ高い温度に対してずれていても良い。切り替え温度Tmp_A2、Tmp_B1及びTmp_B2についても同様である。特に上記線形性が成り立たない場合には、発振回路40の温度特性に応じて温度Tmp_A1を温度Tmp[1]よりも“ΔA/4”だけ高い温度からずらしても良い。切り替え温度Tmp_A2、Tmp_B1及びTmp_B2についても同様である。但し、何れにせよ、“Tmp[1]<Tmp_A1<Tmp_A2<Tmp[2]<Tmp_B1<Tmp_B2<Tmp[3]”が成立する。
補間トリミングデータAを第1及び第2トリミングデータの中間値とする例を上述したが、補間トリミングデータAは第1及び第2トリミングデータの中間値からずれていても良い。補間トリミングデータBについても同様である。特に上記線形性が成り立たない場合には、発振回路40の温度特性に応じて(即ち、発振回路40の温度特性における非線形性の詳細に応じて)補間トリミングデータAを第1及び第2トリミングデータの中間値からずらしても良い。例えば、図13及び図14の例において、発振回路40の温度特性に応じ、補間トリミングデータAを4.92MHz用のトリミングデータや4.96MHz用のトリミングデータにしても良い。補間トリミングデータBについても同様である。発振回路40の温度特性を考慮して作成した、第1〜第3トリミングデータから補間トリミングデータA及びBを決定するためのルックアップテーブルを設定部30に設けておいても良い。但し、何れにせよ、補間トリミングデータAは第1トリミングデータの値よりも小さく且つ第2トリミングデータの値よりも大きく、補間トリミングデータBは第2トリミングデータの値よりも小さく且つ第3トリミングデータの値よりも大きい。即ち、第1トリミングデータ、補間トリミングデータA、第2トリミングデータ、補間トリミングデータB、第3トリミングデータが実使用トリミングデータTDに設定されているときのRCフィルタの時定数τを、夫々、τ1、τA、τ2、τB、τ3で表した場合、“τ1<τA<τ2<τB<τ3”を成立させれば良い(必要に応じ図10及び図14を参照)。これにより、補間トリミングデータを利用しない第2実施形態と比べて、最大のずれ量ΔfMAXを低減することができる。
温度Tmp[1]及びTmp[2]間に切り替え温度を2つ設ける例を上述したが、温度Tmp[1]及びTmp[2]間に切り替え温度を3つ以上設けるようにしても良い。同様に温度Tmp[2]及びTmp[3]間に切り替え温度を3つ以上設けるようにしても良い。例えば、温度Tmp[1]及びTmp[2]間に3つの切り替え温度Tmp_A1、Tmp_A2及びTmp_A3を設ける場合(但し、Tmp[1]<Tmp_A1<Tmp_A2<Tmp_A3<Tmp[2])、第1及び第2トリミングデータに基づき補間トリミングデータAを2つ設定し、温度Tmp[1]及びTmp[2]間において、切り替え温度Tmp_A1、Tmp_A2及びTmp_A3を境界に、実使用トリミングデータTDを、第1及び第2トリミングデータ並びに2つの補間トリミングデータA間で切り替えれば良い。温度Tmp[2]及びTmp[3]間に切り替え温度を3つ設ける場合も同様である。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、第2及び第3実施形態に示した内容を基礎として実使用トリミングデータTDの他の設定方法を説明する。第4実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1〜第3実施形態の記載が第4実施形態にも適用される。
第2又は第3実施形態に示した方法では、周辺温度Tmpが何れかの切り替え温度を跨いて変化する際に、発振周波数fCLKが、周波数(fTG+ΔfMAX)及び周波数(fTG−ΔfMAX)間で一気に変化することになる(図11及び図13参照)。このような発振周波数fCLKの急峻な変化は、クロック信号CLKを利用する後段回路(不図示)にとって好ましくないこともある。
そこで、第4実施形態に係る設定部30は、周辺温度Tmpの変化に伴って実使用トリミングデータTDを切り替え前のトリミングデータから切り替え後のトリミングデータへと切り替える際、実使用トリミングデータTDを切り替え前のトリミングデータから切り替え後のトリミングデータに向けて段階的に変化させる段階変化処理(ディミング処理)を実行する。
図15は、段階変化処理を実現するトリミングデータ設定部30の概略内部ブロック図である。図15の設定部30は主設定処理部31及び段階変化処理部32を備える。主設定処理部31は、第1〜第3トリミングデータに基づき、温度情報にて示される周辺温度Tmpに応じて原トリミングデータTD’を設定する。周辺温度Tmpに応じた原トリミングデータTD’の設定方法は、第2又は第3実施形態に示された、周辺温度Tmpに応じた実使用トリミングデータTDの設定方法と同じである。故に例えば、図11に対応する第2実施形態の方法を用いる場合、主設定処理部31は、周辺温度Tmpが所定の温度範囲521、522、523に属しているとき、原トリミングデータTD’に対し、夫々、第1トリミングデータ、第2トリミングデータ、第3トリミングデータを設定する。また例えば、図13に対応する第3実施形態の方法を用いる場合、主設定処理部31は、周辺温度Tmpが所定の温度範囲541、542、543、544、545に属しているとき、原トリミングデータTD’に対し、夫々、第1トリミングデータ、補間トリミングデータA、第2トリミングデータ、補間トリミングデータB、第3トリミングデータを設定する。
段階変化処理部32は、原トリミングデータTD’から実使用トリミングデータTDを生成して、当該実使用トリミングデータTDをトリミング機能部50に出力する。原則として、原トリミングデータTD’がそのまま実使用トリミングデータTDとしてトリミング機能部50に出力される。但し、原トリミングデータTD’が、或るトリミングデータから他のトリミングデータへと切り替わる際には、以下に示すような段階変化処理を経て実使用トリミングデータTDが設定されてトリミング機能部50に出力される。
図16を参照して、段階変化処理の具体例を説明する。図16の例では、第2実施形態に示した方法が採用されていることを想定し、第2実施形態に対する段階変化処理の適用方法を説明する。故に、図16では、第2実施形態の如く(図11参照)、周辺温度Tmpが所定の温度範囲521、522、523に属しているとき、原トリミングデータTD’に対し、夫々、第1トリミングデータ、第2トリミングデータ、第3トリミングデータが設定されることが想定されており、また説明の具体化のため、第1トリミングデータ、第2トリミングデータ、第3トリミングデータは、夫々、図12に示す如く、4.90MHz用のトリミングデータ(「10001010」)、4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)、5.06MHz用のトリミングデータ(「01111010」)であるものとする。また、図16では、トリミング機能部50におけるRCフィルタの時定数τが固定されている場合、周辺温度Tmpの増大につれて発振周波数fCLKが増加することが想定され且つ周辺温度Tmpの変化と発振周波数fCLKの変化との間に線形性をあることが想定されている。
そして、今、タイミングt1よりも前のタイミングからタイミングt4より後のタイミングにかけて、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_Aより低い温度から切り替え温度Tmp_Bより高い温度に向けて徐々に単調増加することを想定する。時間の経過に沿って、タイミングt1、t2、t3、t4がこの順番で訪れる。切り替え温度Tmp_A未満であった周辺温度Tmpはタイミングt1にて切り替え温度Tmp_Aに達し、その後、周辺温度Tmpはタイミングt3にて切り替え温度Tmp_Bに達するものとする。
これらの想定の下、原トリミングデータTD’は、タイミングt1より前において第1トリミングデータ(「10001010」)であり、タイミングt1を境に第1トリミングデータから第2トリミングデータ(「10000010」)に一気に切り替わり、タイミングt3を境に第2トリミングデータから第3トリミングデータ(「01111010」)に一気に切り替わる。
タイミングt1より前においては原トリミングデータTD’がそのまま実使用トリミングデータTDとなる。タイミングt1を境に原トリミングデータTD’が第1トリミングデータから第2トリミングデータに切り替わったとき、段階変化処理部32は、切り替え前のトリミングデータである第1トリミングデータから切り替え後のトリミングデータである第2トリミングデータに向けて実使用トリミングデータTDを段階的に変化させる1回目の段階変化処理を実行する(図17も適宜参照)。
1回目の段階変化処理では、データTDが第1トリミングデータと一致している状態を起点にして、タイミングt1にてデータTDの値を所定のステップ量だけ減じ、その後、所定のステップ時間が経過するごとにデータTDの値を所定のステップ量だけ減じてゆく。データTDの値が第2トリミングデータに達した時点で1回目の段階変化処理は終了する。ここでは、タイミングt2において、タイミングt1から始まる1回目の段階変化処理が終了している。図16の例において、ステップ量は“1”となっている。このため、タイミングt1を起点に、データTDが第1トリミングデータから8段階の減少を経て第2トリミングデータに達する。これに連動して、発振周波数fCLKはタイミングt1及びt2間で“fTG+ΔfMAX”から“fTG−ΔfMAX”に近い周波数に向け8段階で減少してゆく。タイミングt1及びt2間において周辺温度Tmpに変化がなければ、タイミングt2での発振周波数fCLKは“fTG−ΔfMAX”と一致することが期待されるが、図16では、タイミングt1及びt2間でも周辺温度Tmpが単調増加することを想定しているため、タイミングt2での発振周波数fCLKは“fTG−ΔfMAX”よりも若干高くなっている(後述のタイミングt4でも同様且つ後述の図20のタイミングt13等でも同様)。
その後、タイミングt3を境に原トリミングデータTD’が第2リミングデータ(「10000010」)から第3トリミングデータ(「01111010」)に一気に切り替わると、段階変化処理部32は、切り替え前のトリミングデータである第2トリミングデータから切り替え後のトリミングデータである第3トリミングデータに向けて実使用トリミングデータTDを段階的に変化させる2回目の段階変化処理を実行する(図17も適宜参照)。
2回目の段階変化処理では、データTDが第2トリミングデータと一致している状態を起点にして、タイミングt3にてデータTDの値を所定のステップ量だけ減じ、その後、所定のステップ時間が経過するごとにデータTDの値を所定のステップ量だけ減じてゆく。データTDの値が第3トリミングデータに達した時点で2回目の段階変化処理は終了する。ここでは、タイミングt4において、タイミングt3から始まる2回目の段階変化処理が終了している。図16の例において、ステップ量は“1”となっている。このため、タイミングt3を起点に、データTDが第2トリミングデータから8段階の減少を経て第3トリミングデータに達する。これに連動して、発振周波数fCLKはタイミングt3及びt4間で“fTG+ΔfMAX”から“fTG−ΔfMAX”に近い周波数に向け8段階で減少してゆく。
各段階変化処理において上記のステップ量は任意であって良い。例えば、図16の例では、ステップ量が“1”であるが故に各段階変化処理においてデータTDが8段階で変化しているが、ステップ量を“2”に変更すれば各段階変化処理においてデータTDが4段階で変化することになる。また、典型的にはステップ量は一定とされるが、1つの段階変化処理の中でステップ量が変化することがあっても良い。例えば、何れかの段階変化処理において、データTDを5段階で変化させるようにし、データTDの1回目〜5回目のステップ量を夫々“1、”“1”、“1”、“2”、“3”としても良い。
各段階変化処理において上記のステップ時間は任意であって良い。典型的にはステップ時間は一定とされるが、1つの段階変化処理の中でステップ時間が変化することがあっても良い。例えば、何れかの段階変化処理において、データTDの1回目及び2回目の変化タイミング間のステップ時間と、データTDの2回目及び3回目の変化タイミング間のステップ時間と、が異なっていても良い。
図16では、周辺温度Tmpの増加過程における段階変化処理が示されているが、周辺温度Tmpの減少過程においても同様の段階変化処理が実行される。また、図16では、第2実施形態に対して段階変化処理が適用されているが、第3実施形態に対して段階変化処理が適用されても良い。第3実施形態に係る図13の動作例に対し段階変化処理を適用し、周辺温度Tmpが温度Tmp[1]及びTmp[3]間で単調増加又は単調減少することを想定した場合、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_A1、Tmp_A2、Tmp_B1及びTmp_B2を横切る際に、夫々、段階変化処理が実行されることになる。
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態では第4実施形態に示した段階変化処理の応用例を説明する。第5実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1〜第4実施形態の記載が第5実施形態にも適用される。
図18は、第5実施形態に係る画像表示装置200の概略構成図である。画像表示装置200は表示ドライバ210及び表示パネル220を備える。表示ドライバ210は第4実施形態に示した信号生成回路10と画像信号生成回路80を備える。表示パネル220は、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネルなどの表示パネルであり、表示ドライバ210から供給される画像信号に応じた画像表示を行う。
表示ドライバ210は、表示パネル220に接続される装置であって、図示されない外部回路から画像データの入力を受ける。当該外部回路も画像表示装置200の構成要素に含まれると考えて良い。画像データは、表示パネル220にて表示されるべき画像の内容を規定するデジタルデータである。画像信号生成回路80は、画像データを所定の変換形式に従ってアナログの画像信号に変換し、得られた画像信号を表示パネル220に供給することで表示パネル220に画像データに応じた画像を表示させる。尚、表示ドライバ210は、入力された画像データを所定のデータ量分だけ一時的に記憶するバッファメモリ(不図示)を有していて良く、画像信号生成回路80に対する画像データの入力は当該バッファメモリを介して行われても良い。実際には、表示パネル220のサイズ等に応じた画像信号の束が表示ドライバ210から表示パネル220に出力されるが、図面及び説明の簡略化上、ここでは特に必要の無い限り、或る1つの画像信号に注目する。
図19に、画像データが8ビットデータであるときの画像信号生成回路80の構成例を示す。尚、画像データのビット数は8ビット以外でも良い。図19の画像信号生成回路80は、互いに直列接続された計257個の抵抗81[0]〜81[256]と、セレクタ82とを備える。抵抗81[0]〜81[256]の直列回路に対し所定の基準電圧VREFが印加される。基準電圧VREFは正の直流電圧である。“0≦i≦255”を満たす任意の整数iに関して、抵抗81[i]及び81[i+1]は互いに隣接してタップTP[i]にて接続されており、抵抗81[i+1]の方が抵抗81[i]よりも高電位側に配置される。タップTP[i]に生じる電圧の値を信号値として有する電圧信号を記号 “V[i]”にて表す。セレクタ82は、タップTP[0]〜TP[255]に接続され、画像データに基づき電圧信号V[0]〜V[255]の何れかを選択的に画像信号として出力する。具体的には、画像データが10進数表記で“i”の値を有するとき、電圧信号V[i]が画像信号として選択され且つ出力される。抵抗81[0]〜81[256]の抵抗値は表示パネル220の特性(ガンマ値)に応じて設定される。画像データがRGB形式の画像データであって、Rの色データ、Gの色データ及びBの色データを含む場合には、色データごとに画像信号の生成及び出力が行われる。表示パネル220における或る画素での表示内容(色、輝度など)は、当該画素に対する画像信号の電圧値に応じたものとなる。
表示パネル220では、所定のフレーム周期で表示内容が次々と更新される。1つのフレーム周期にて表示パネル220に表示される1枚の画像をフレーム画像と称し、1つのフレーム周期の長さ分の区間をフレーム期間と称する。フレーム期間の一部は、周知の映像規格に従い、ブランキング期間とされる。ブラキング期間は水平ブランキング期間と垂直ブランキング期間を含む。各フレームにおいて、ブランキング期間では、画像信号生成回路80から有効な画像信号が表示パネル220に出力されず、ブランキング期間以外の期間において、画像信号生成回路80から有効な画像信号が表示パネル220に出力されて表示パネル220での画像表示に供される。
表示ドライバ210内の各部は、信号生成回路10から出力されるクロック信号CLKに同期して動作する。例えば、画像信号生成回路80に対してクロック信号CLKそのもの又はクロック信号CLKに同期する信号が供給され、画像信号生成回路80は、クロック信号CLKの発振周波数fCLKに応じた周波数にて画像信号を表示パネル220に出力する。即ち、クロック信号CLKに応じた画像信号に基づき表示パネル220での画像表示が行われる。
上述のような表示ドライバ210において、信号生成回路10が周辺温度Tmpに応じて実使用トリミングデータTDの切り替えを行う際、増加過程又は減少過程にある周辺温度Tmpが切り替え温度に達した直後において、即時、第4実施形態の段階変化処理を行うのではなく、ブランキング期間になるまで待ってから段階変化処理を行うようにする。これにより、データTDの切り替えに伴う表示内容への影響を抑制することが可能となる。
尚、第5実施形態において、周辺温度Tmpは表示ドライバ210の周辺温度と解されて良い。また、信号生成回路10内のトリミングデータ設定部30に温度情報を提供する温度情報取得部6(図2(a)等参照)は、表示ドライバ210に内蔵されていても良いし、表示ドライバ210に外付け接続されていても良い。測温素子6aを含まない温度情報取得部6を表示ドライバ210に設けて、測温素子6aを表示ドライバ210に対して外付け接続するようにしても良い。
図20を参照して、第5実施形態に係る段階変化処理の具体例を説明する。図16では、第2実施形態に示した方法が採用されていることを想定し、第2実施形態に対する段階変化処理の適用例を説明する。故に、図20では、第2実施形態の如く(図11参照)、周辺温度Tmpが所定の温度範囲521、522、523に属しているとき、原トリミングデータTD’に対し、夫々、第1トリミングデータ、第2トリミングデータ、第3トリミングデータが設定されることが想定されており、また説明の具体化のため、第1トリミングデータ、第2トリミングデータ、第3トリミングデータは、夫々、図12に示す如く、4.90MHz用のトリミングデータ(「10001010」)、4.98MHz用のトリミングデータ(「10000010」)、5.06MHz用のトリミングデータ(「01111010」)であるものとする。また、図20では、トリミング機能部50におけるRCフィルタの時定数τが固定されている場合、周辺温度Tmpの増大につれて発振周波数fCLKが増加することが想定され且つ周辺温度Tmpの変化と発振周波数fCLKの変化との間に線形性をあることが想定されている。
そして、今、タイミングt11よりも前のタイミングからタイミングt16より後のタイミングにかけて、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_Aより低い温度から切り替え温度Tmp_Bより高い温度に向けて徐々に単調増加することを想定する。時間の経過に沿って、タイミングt11、t12、t13、t14、t15、t16がこの順番で訪れる。切り替え温度Tmp_A未満であった周辺温度Tmpはタイミングt11にて切り替え温度Tmp_Aに達し、その後、周辺温度Tmpはタイミングt14にて切り替え温度Tmp_Bに達するものとする。
これらの想定の下、原トリミングデータTD’は、タイミングt11より前において第1トリミングデータ(「10001010」)であり、タイミングt11を境に第1トリミングデータから第2トリミングデータ(「10000010」)に一気に切り替わり、タイミングt14を境に第2トリミングデータから第3トリミングデータ(「01111010」)に一気に切り替わる。
タイミングt11より前においては原トリミングデータTD’がそのまま実使用トリミングデータTDとなる。タイミングt11を境に原トリミングデータTD’が第1トリミングデータから第2トリミングデータに切り替わったとき、段階変化処理部32は、同期信号待機状態となり、同期信号待機状態において同期信号がハイレベルからローレベルに切り替わったタイミング12を起点に、切り替え前のトリミングデータである第1トリミングデータから切り替え後のトリミングデータである第2トリミングデータに向けて実使用トリミングデータTDを段階的に変化させる1回目の段階変化処理を実行する(図17も適宜参照)。
同期信号は、表示パネル220での画像表示における垂直同期信号Vsync又は水平同期信号Hsyncである。垂直同期信号Vsyncのハイレベルからローレベルに切り替わりタイミングは垂直ブランキング期間の開始タイミングに相当し、水平同期信号Hsyncのハイレベルからローレベルに切り替わりタイミングは水平ブランキング期間の開始タイミングに相当する。表示ドライバ210に対して画像データを供給する外部回路(不図示)から同期信号が表示ドライバ210に供給される。或いは、表示ドライバ210内にて同期信号が生成されても良い。
1回目の段階変化処理では、データTDが第1トリミングデータと一致している状態を起点にして、タイミングt12にてデータTDの値を所定のステップ量だけ減じ、その後、所定のステップ時間が経過するごとにデータTDの値を所定のステップ量だけ減じてゆく。データTDの値が第2トリミングデータに達した時点で1回目の段階変化処理は終了する。ここでは、タイミングt13において、タイミングt12から始まる1回目の段階変化処理が終了している。図20の例において、ステップ量は“1”となっている。このため、タイミングt12を起点に、データTDが第1トリミングデータから8段階の減少を経て第2トリミングデータに達する。これに連動して、発振周波数fCLKはタイミングt12及びt13間で“fTG+ΔfMAX”に近い周波数から“fTG−ΔfMAX”に近い周波数に向け8段階で減少してゆく。但し、ここにおけるΔfMAXは、第5実施形態の方法が適用されていない第2実施形態でのΔfMAXに相当する。タイミングt12及びt13間の時間の長さが、タイミングt12から始まるブランキング期間の長さ以下となるように、ステップ量及びステップ時間が設定されており、故にブランキング期間内に段階変化処理が完了する。
その後、タイミングt14を境に原トリミングデータTD’が第2リミングデータ(「10000010」)から第3トリミングデータ(「01111010」)に一気に切り替わると、段階変化処理部32は、同期信号待機状態となり、同期信号待機状態において同期信号がハイレベルからローレベルに切り替わったタイミング15を起点に、切り替え前のトリミングデータである第2トリミングデータから切り替え後のトリミングデータである第3トリミングデータに向けて実使用トリミングデータTDを段階的に変化させる2回目の段階変化処理を実行する(図17も適宜参照)。
2回目の段階変化処理では、データTDが第2トリミングデータと一致している状態を起点にして、タイミングt15にてデータTDの値を所定のステップ量だけ減じ、その後、所定のステップ時間が経過するごとにデータTDの値を所定のステップ量だけ減じてゆく。データTDの値が第3トリミングデータに達した時点で2回目の段階変化処理は終了する。ここでは、タイミングt16において、タイミングt15から始まる2回目の段階変化処理が終了している。図20の例において、ステップ量は“1”となっている。このため、タイミングt15を起点に、データTDが第2トリミングデータから8段階の減少を経て第3トリミングデータに達する。これに連動して、発振周波数fCLKはタイミングt15及びt16間で“fTG+ΔfMAX” に近い周波数から “fTG−ΔfMAX”に近い周波数に向け8段階で減少してゆく。タイミングt15及びt16間の時間の長さが、タイミングt15から始まるブランキング期間の長さ以下となるように、ステップ量及びステップ時間が設定されており、故にブランキング期間内に段階変化処理が完了する。
周辺温度Tmpの変化と同期信号とは非同期であるため、タイミングt11及びt12間の時間やタイミングt14及びt15間の時間は様々となる。よって、第5実施形態では、目標周波数fTGからの見た発振周波数fCLKの最大のずれ量も若干変動することになる。しかし、ブランキング期間では有効な画像信号の出力が行われていないため、表示内容への影響は抑えられる。
尚、ステップ量及びステップ時間の設定方法に関して第4実施形態で述べた事項は本実施形態にも適用される。また、図20では、周辺温度Tmpの増加過程における段階変化処理が示されているが、周辺温度Tmpの減少過程においても同様の段階変化処理が実行される。また、図20では、第2実施形態に対して段階変化処理が適用されているが、第3実施形態に対して段階変化処理が適用されても良い。第3実施形態に係る図13の動作例に対し段階変化処理が適用し、周辺温度Tmpが温度Tmp[1]及びTmp[3]間で単調増加又は単調減少することを想定した場合、周辺温度Tmpが切り替え温度Tmp_A1、Tmp_A2、Tmp_B1又はTmp_B2を横切る際に、ブランキング期間内で段階変化処理が実行されることになる。
<<第6実施形態>>
本発明の第6実施形態を説明する。図1の信号生成回路1の例としてクロック信号CLKを対象信号として出力する信号生成回路10(図7参照)を挙げたが、信号生成回路1は任意の種類の対象信号を出力する信号生成回路であって良い。例えば、図21に示すような信号生成回路10aを構成することができる。図21は、本発明の第6実施形態に係る信号生成回路10aの概略ブロック図である。信号生成回路10aは図1の信号生成回路1の例である。信号生成回路10aは、トリミングデータ保持部20a(以下、保持部20aと略記され得る)と、トリミングデータ設定部30a(以下、設定部30aと略記され得る)と、トリミング機能部50aを有する基準電圧生成回路(電圧生成回路)40aと、を備える。設定部30aには周辺温度Tmpを示す温度情報が与えられる。周辺温度Tmpは、信号生成回路10aの周辺温度でもあるし、基準電圧生成回路40aの周辺温度でもある。
保持部20a、設定部30a、基準電圧生成回路40a及びトリミング機能部50aが、夫々、図1の保持部2、設定部3、対象信号生成部4及びトリミング機能部5として機能する。保持部20a及び設定部30aは、第2〜第5実施形態の任意の何れかに示した保持部20及び設定部30と同じものである。故に、第2〜第5実施形態の任意の何れかに示した保持部20及び設定部30についての説明が保持部20a及び設定部30aにも適用され、設定部30aから出力される実使用トリミングデータを、ここでは特に記号“TDa”にて参照する(当該適用に際し、第2〜第5実施形態の文章中の記号“20”、“30”、“TD”は、夫々、“20a”、“30a”、“TDa”に読み替えられる)。
基準電圧生成回路40aは対象信号として基準電圧信号を生成及び出力する。基準電圧信号は基準電圧VREFを有する電圧信号であり、基準電圧VREFは正の直流電圧である。基準電圧生成回路40aは、トリミング機能部50aを用いて基準電圧VREFの値を調整可能に構成されている。
図22(a)に、基準電圧生成回路40aの一構成例を示す。基準電圧生成回路40aは、バンドギャップリファレンスや定電圧ダイオード等を用いて所定の正の直流電圧V1を生成する電圧源41aと、直流電圧V1を増幅することで基準電圧VREFを生成する増幅回路42aと、を備える。増幅回路42aに対し、増幅回路42aの増幅率を可変調整するためのトリミング機能部50aが付加されている。トリミング機能部50aは、設定部30aからの実使用トリミングデータTDaに基づき増幅回路42aの増幅率を設定する。ここでは、実使用トリミングデータTDaは8ビットデータであるとし、図22(b)に示す如く、データTDaの値が10進数表記で“0”から“255”に向けて増加するにつれ増幅回路42aの増幅率が増大するものとする。そうすると、トリミング機能部50aは第1〜第256トリミング状態の何れかの状態をとり得ることになり(図3参照)、トリミング機能部50aの状態に応じて増幅回路42aの増幅率が変化することになる。
また、図23に示す如く、電圧源41aの温度特性により、周辺温度Tmpの増加に伴って電圧V1の値が単調増加するものとする。そうすると、仮に増幅回路42aの増幅率が固定されていたならば、周辺温度Tmpの増加に伴って基準電圧VREFの値も単調増加することになる。設定部30aは、要求される仕様温度範囲内において、基準電圧VREFが所定の目標電圧VTGにて又は目標電圧VTG近辺にて維持されるよう、温度情報に基づき実使用トリミングデータTDaを設定する。
保持部20aに保持される第1〜第3トリミングデータの決定方法は、第2実施形態に示したものと同様である。但し、信号生成回路10aに対しては、上述の“トリミング前周波数”は“トリミング前電圧”に読み替えられる。トリミング前電圧は、出荷時トリミング用工程で取得及び測定される、トリミング機能部50aによる調整(トリミング)が施されていない状態の基準電圧VREFを指す。出荷時トリミング用工程では第1〜第3調整条件が整えられ、各調整条件ではトリミング機能部50aの状態が基準トリミング状態とされた上で基準電圧VREFの値が対象信号の値として評価されるが(図3及び図5参照)、10進数表記で“127”のデータTDaがトリミング機能部50aに与えられたときのトリミング機能部50aの状態が基準トリミング状態に相当し、当該基準トリミング状態は増幅回路42aの増幅率が設定可能レンジの中央値に設定された状態に相当する。
図24に、信号生成回路10aに対して用いられるテーブルTBLaを示す。ここでは目標電圧VTGは5.00Vであるとする。出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは、各調整条件にて増幅回路42aから出力される基準電圧VREFの値を測定し、その測定結果とテーブルTBLaに基づき、保持部20aに保持されるべき第1〜第3トリミングデータを決定して保持部20aに書き込む。テーブルTBLaは、トリミング前電圧と保持部20aに保持されるべきトリミングデータとの関係を規定しており、実稼働動作時における基準電圧VREFを目標電圧VTGに合わせ込むために電圧源41aの特性を考慮して事前に用意される。テーブルTBLaでは、最大で255種類のトリミング前電圧の夫々に対し、8ビットのトリミングデータが個別に対応付けられている。出荷時トリミング用工程では、トリミング前電圧に対応するトリミングデータをテーブルTBLaから抽出して保持部20aに書き込む処理が、温度Tmp[1]、Tmp[2]及びTmp[3]の夫々に対して実行される。
図24のテーブルTBLaでは、トリミング前電圧が0.01V減少すると、対応するトリミングデータの値は10進数で“1”だけ増大する。実稼働動作においては、実使用トリミングデータTDaの値が増大するほど増幅回路42aの増幅率が大きくなる(図22(b)も参照)。
例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前電圧が5.00Vである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「10000000」のデータを実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での基準電圧VREFを5.00Vとすることができる。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「10000000」に決定して保持部20aに書き込む。これが実現されるよう、5.00Vのトリミング前電圧と「10000000」のデータとがテーブルTBLaにて対応付けられている。
また例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前電圧が4.98Vである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「10000010」のデータを実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での基準電圧VREFを5.00Vとすることができる(そのような特性を電圧源41aが有していることが設計段階で分かっている)。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「10000010」に決定して保持部20aに書き込む。これが実現されるよう、4.98Vのトリミング前電圧と「10000010」のデータとがテーブルTBLaにて対応付けられている。
温度Tmp[2]でのトリミング前電圧が4.98Vであった場合、その後の実稼働動作時において(但し、Tmp=Tmp[2]であると仮定)、「10000010」の実使用トリミングデータTDaがトリミング機能部50aに入力されると、「10000000」の実使用トリミングデータTDaが入力された場合と比べて増幅回路42aでの増幅率が高くなり、基準電圧VREFが4.98Vから5.00Vへと引き上げられる。
また例えば、出荷時トリミング用工程において温度Tmp[2]でのトリミング前電圧が5.02Vである場合、その後の実稼働動作で温度Tmpが温度Tmp[2]であるときには、「01111110」のデータを実使用トリミングデータTDaに設定すると、実稼働動作時での基準電圧VREFを5.00Vとすることができる(そのような特性を電圧源41aが有していることが設計段階で分かっている)。故に、この場合、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を「01111110」に決定して保持部20aに書き込む。これが実現されるよう、5.02Vのトリミング前電圧と「01111110」のデータとがテーブルTBLaにて対応付けられている。
温度Tmp[2]でのトリミング前電圧が5.02Vであった場合、その後の実稼働動作時において(但し、Tmp=Tmp[2]であると仮定)、「01111110」の実使用トリミングデータTDaがトリミング機能部50aに入力されると、「10000000」の実使用トリミングデータTDaが入力された場合と比べて増幅回路42aでの増幅率が低くなり、基準電圧VREFが5.02Vから5.00Vへと引き下げられる。
このように、出荷時トリミング用工程において、出荷検査装置SSは温度Tmp[2]でのトリミング前電圧に基づき、テーブルTBLaを参照して、保持部20aに保持されるべき第2トリミングデータ(常温用トリミングデータ)を決定して保持部20aに書き込む。第1トリミングデータ(低温用トリミングデータ)及び第3トリミングデータ(高温用トリミングデータ)についても同様である。
保持部20aに保持された第1〜第3トリミングデータに基づき温度情報に応じて設定部30aが実使用トリミングデータTDaを設定する方法は、第2〜第4実施形態の何れかに示された、保持部20に保持された第1〜第3トリミングデータに基づき温度情報に応じて設定部30が実使用トリミングデータTDを設定する方法と同じであって良い。即ち例えば、第2実施形態の図11に対応する方法を用いる場合、設定部30aは、周辺温度Tmpが所定の温度範囲521、522、523に属しているとき、実使用トリミングデータTDaに対し、夫々、第1、第2、第3トリミングデータを設定する。また例えば、第3実施形態の図13に対応する方法を用いる場合、設定部30aは、周辺温度Tmpが所定の温度範囲541、542、543、544、545に属しているとき、実使用トリミングデータTDaに対し、夫々、第1トリミングデータ、補間トリミングデータA、第2トリミングデータ、補間トリミングデータB、第3トリミングデータを設定する。これらの場合において実使用トリミングデータTDaが切り替えられる際、設定部30aは、第4実施形態に示した段階変化処理を実行しても良い。
そして、図25に示すように、信号生成回路10aを第5実施形態に係る表示ドライバ210に組み込み、信号生成回路10aからの基準電圧信号による基準電圧VREFを、画像信号生成回路80における画像信号生成用の基準電圧VREFとして用いるようにしても良い(図19参照)。表示パネル220における表示内容は画像信号の電圧値に依存し、画像信号の電圧値は基準電圧VREFが変動すると変動する。このため、基準電圧VREFは、温度変化があっても、なるだけ一定に保たれていることが要求される。第2及び第3実施形態に示した方法を用いれば、当該要求に応えることができる。更に、周辺温度Tmpの変化に伴って実使用トリミングデータTDaを切り替える際には、第4及び第5実施形態に示した方法を用い、実使用トリミングデータTDaを切り替え前のトリミングデータから切り替え後のトリミングデータに向けて段階的に変化させる段階変化処理(ディミング処理)を、ブランキング期間に行うと良い。これにより、当該切り替えによる表示内容への影響を抑えることができる。
尚、図22に示す基準電圧生成回路40aは当該回路の一構成例に過ぎず、トリミング機能部50aを用いて基準電圧VREFの値が調整可能である限り、基準電圧生成回路40aの回路構成及びトリミング機能部50aによる調整方法は任意である。
<<第7実施形態>>
本発明の第7実施形態を説明する。第7実施形態では、第1〜第6実施形態に適用可能な応用技術や変形技術などを説明する。
図18又は図25の表示ドライバ210は半導体集積回路により形成される。故に、信号生成回路10又は10aにて具体化された本発明に係る信号生成回路1も半導体集積回路により形成される。図26は表示ドライバ210の概略的な平面図である。表示ドライバ210は、長方形状の半導体ICチップ211により構成され、ICチップ211上に入力端子群TMaと出力端子群TMbとが設けられる。ICチップ211内に表示ドライバ210を構成する各回路素子が集積化して形成される。入力端子群TMaと出力端子群TMbとは、ICチップ211の短辺の方向に沿って離れて配置される。入力端子群TMaはICチップ211の長手方向(長辺の方向)に沿って一列に並ぶ複数の入力端子から成り、出力端子群TMbはICチップ211の長手方向に沿って複数列に並ぶ複数の出力端子から成る。入力端子群TMaにおける幾つかの入力端子に対して画像データが入力され、出力端子群TMbにおける幾つかの出力端子から画像信号が出力される。各入力端子及び各出力端子は、金を含むバンプにて構成される。COG(Chip on Class)実装により、表示パネル220に設けられた複数の入力端子(不図示)が出力端子群TMbの複数の出力端子に接続されることで画像信号が表示パネル220に供給される。
ICチップ211の長手方向において、出力端子の配置位置は上記複数列間でずれている。複数列が3列であるとすると、出力端子群TMbは、第1列に属する複数の出力端子と、第2列に属する複数の出力端子と、第3列に属する複数の出力端子とから成る。ICチップ211の短辺の方向に沿って第1列、第2列及び第3列が並んでおり、第2列は第1列と第3列との間にある。出力端子群TMbの各列において複数の出力端子はICチップ211の長手方向に沿って並ぶことになるが、第1列と第2列を比較した場合、第1列における複数の出力端子の配置位置と第2列における複数の出力端子の配置位置とは、ICチップ211の長手方向においてずれている。第2列と第3列を比較した場合も同様である。
トリミングデータ保持部2(20、20a)に3つのトリミングデータを保持させる例を主として挙げたが、トリミングデータ保持部2(20、20a)に保持されるトリミングデータの個数は2以上であれば任意である。
対象信号に基づいて動作する又は対象信号に応じた信号にて動作する任意の装置を、便宜上、対象装置と称する。第5実施形態では表示パネル220が対象装置に相当すると考えることができる。上述の段階変化処理(ディミング処理)は任意の対象装置に対して適用することができる。段階変化処理は、段階変化処理の実行に伴う対象装置の機能(第5実施形態では表示パネル220の表示機能)への影響が抑えられる期間に実行されると良い。
例えば、モータを駆動するモータドライバが対象装置である場合において、当該モータドライバが、モータの駆動制御に利用するために、モータに加わる電圧又はモータに流れる電流などの情報を測定する機能を持っていることを考える。そして、当該測定は上述の基準電圧VREFを利用して行われるものとする。そうすると、基準電圧VREFに対する段階変化処理は、当該測定が実行されていない期間に行われると良い。
クロック信号CLKの発振周波数fCLK又は基準電圧信号による基準電圧VREFをトリミング機能部を用いて調整する方法を挙げたが、本発明においてトリミング機能部による調整の対象は、これらに限定されない。例えば、対象信号生成部4が、フィルタを含んでいて当該フィルタを用いて対象信号を生成するものであれば、当該フィルタのフィルタ特性が調整の対象とされても良い。第2〜第5実施形態におけるトリミング機能部50(図9参照)は、発振回路50に挿入されるRCフィルタのフィルタ特性を調整の対象にしているとも言える。或いは例えば、対象信号生成部4が、増幅回路を含んでいて当該増幅回路を用いて対象信号を生成するものであれば、当該増幅回路の特性(周波数特性又は増幅率)が調整の対象とされても良い。第6実施形態におけるトリミング機能部50a(図22(a)参照)は、増幅回路42aの特性としての増幅回路42aの増幅率を調整の対象にしているとも言える。この他、トリミングデータを用いてトリミング(調整)を行う任意の回路に対して本発明を適用できる。
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
FETについては、上述の主旨を損なわない形で、FETの型をNチャネル型及びPチャネル型間で入れ替える変形も可能である。
<<発明の考察>>
上述の各実施形態にて具体化された本発明について考察する。
本発明の一側面に係る信号生成装置Wは、第1トリミングデータ及び第2トリミングデータを含む複数のトリミングデータを保持するトリミングデータ保持部(2、20、20a)と、複数の状態の何れかをとるトリミング機能部(5、50、50a)を有し、前記トリミング機能部を用いて対象信号(例えばクロック信号、基準電圧信号)を生成する対象信号生成部(4、40、40a)と、前記トリミングデータ保持部の保持データに基づき、前記対象信号生成部の周辺温度(Tmp)に応じて実使用トリミングデータ(TD、TDa)を設定するトリミングデータ設定部(3、30、30a)と、を備え、前記実使用トリミングデータに基づき前記トリミング機能部の状態が制御されることで、前記対象信号の特性又は前記対象信号生成部の特性が調整されることを特徴とする。
これにより、周辺温度に応じた高精度のトリミングを行うことが可能となる。
尚、上記の信号生成装置Wにおける第1トリミングデータ及び第2トリミングデータは、上記各実施形態においては、低温用トリミングデータ、常温用トリミングデータ及び高温用トリミンデータの内の任意の2つに対応する。例えば、上記の信号生成装置Wにおける第1トリミングデータ及び第2トリミングデータは、低温用トリミングデータ及び常温用トリミングデータであっても良いし、常温用トリミングデータ及び高温用トリミングデータであっても良い。
信号生成装置Wにおいて、例えば、前記トリミングデータ設定部は、前記周辺温度が所定の第1温度範囲(例えば図11の温度範囲521又は図13の温度範囲541)に属するときには前記第1トリミングデータ(例えば低温用トリミングデータ)を前記実使用トリミングデータに設定する一方で、前記周辺温度が前記第1温度範囲とは異なる所定の第2温度範囲(例えば図11の温度範囲522又は図13の温度範囲543)に属するときには前記第2トリミングデータ(例えば常温用トリミングデータ)を前記実使用トリミングデータに設定することができる。
この際例えば、信号生成装置Wにおいて、前記トリミングデータ設定部は、前記周辺温度が前記第1温度範囲と前記第2温度範囲との間の温度範囲(例えば図13において温度範囲541と温度範囲543との間の温度範囲542)に属するときには、前記第1トリミングデータ及び前記第2トリミングデータに基づく補間トリミングデータを前記実使用トリミングデータに設定しても良い。
また例えば、信号生成装置Wにおいて、前記第1トリミングデータは所定の第1条件下(例えば第1調整条件下;図5参照)にて前記対象信号生成部から出力された前記対象信号に基づき決定され、前記第2トリミングデータは所定の第2条件下(例えば第2調整条件下;図5参照)にて前記対象信号生成部から出力された前記対象信号に基づき決定され、前記複数の状態は基準状態(基準トリミング状態;図3参照)を含み、前記第1条件では、前記周辺温度が前記第1温度範囲に属する温度(例えばTmp[1])に設定され且つ前記トリミング機能部の状態が前記基準状態に設定され、前記第2条件では、前記周辺温度が前記第2温度範囲に属する温度(例えばTmp[2])に設定され且つ前記トリミング機能部の状態が前記基準状態に設定されると良い。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。