JP2020076288A - 泥土測定装置および泥土管理方法 - Google Patents

泥土測定装置および泥土管理方法 Download PDF

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Tsunetaro Iwabuchi
常太郎 岩淵
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Abstract

【課題】泥土の品質を簡易に測定することができ、その結果、泥土の品質管理に要する手間と費用を低減することを可能とした泥土測定装置および泥土管理方法を提案する。【解決手段】縦材2と、縦材2の異なる高さ位置にそれぞれ設置された複数の圧力センサ3,3,3と、縦材2の下端部に設けられた錘4と、縦材2の上端部に設けられた浮手段6とを備える泥土測定装置1。泥土測定装置1を泥土D中に立設させて、泥土密度を測定するとともに測定結果に応じて泥土Dを撹拌する泥土管理方法。【選択図】図1

Description

本発明は、泥土測定装置および泥土管理方法に関する。
流動化処理土は、土工における埋め戻しや、空隙の充填に使用される。流動化処理土は、上載物と地盤との間における荷重の伝達機能を備えている一方で、再掘削が可能となるように、低強度である必要がある。そのため、流動化処理土は、流し込み施工が可能で、かつ、掘削可能な程度に強度が低く均一であるのが望ましい。
流動化処理土は、原料土と水とを解泥し混合し製造した泥土(泥水も含む)に、固化材を添加することにより製造する。泥土は、貯泥槽(解泥槽での代用を含む)に貯留された状態で保管されていて、貯泥槽から採取した所定量の泥土に対して所定の配合により固化材を添加することで、流動化処理土を製造するのが一般的である。
ところが、貯泥槽に貯留された泥土は、時間の経過とともに粒子が沈降して密度の均質性が変化するおそれがある。
また、原料土は、掘削残土等の建設発生土等を使用する場合が多いため、掘削対象地盤の堆積条件、掘削条件や運搬・仕分け条件等により細粒分含有率等がバラつく傾向にある。したがって、設計通りの配合により泥土を製造したとしても、細粒分含有率のバラつき(変動)に起因して、泥土の粘性に変動が生じる恐れがある。また、粘土分の解泥ムラがあった場合も、泥土の粘性に変動が生じる恐れがある。泥土の粘性が変化すると、その度合いによっては時間の経過によってブリーディング水が浮き上がることや、泥土中の砂粒子が沈降する材料分離が発生することがあり、結果として泥土の密度が変化する。
そのため、製造後の泥土に対しては、定期的に採取したサンプルに対して密度試験やフロー試験を実施して、配合試験で設定された数値の許容範囲内に収まっているかを確認する必要がある。例えば、特許文献1には、泥土密度とフロー値とを測定して、その結果に応じた製造管理を行う流動化処理土の製造方法が開示されている。
特開2017−014855号公報
密度試験およびフロー試験は、試験設備の整った室内において技術者が手作業で行うのが一般的である。そのため、密度試験およびフロー試験は、試験回数に応じて費用、労力および時間が増加する。すなわち、密度試験及びフロー試験は、品質の向上を目的として実施回数を増やすことが望まれる一方で、実施回数を増やすと費用および時間が増加してしまう。
そのため、本発明は、泥土の品質を簡易に測定することができ、その結果、泥土の品質管理に要する手間と費用を低減することを可能とした泥土測定装置および泥土管理方法を提案することを課題とする。
このような課題を解決する本発明の第一の泥土測定装置は、縦材と、前記縦材の異なる高さ位置にそれぞれ設置された複数の圧力センサと、前記縦材の下端部に設けられた錘と、前記縦材の上端部に設けられた浮手段とを備えるものである。
また、本発明の第二の泥土測定装置は、上下方向に張設されたガイドワイヤと、前記ガイドワイヤに沿って上下する縦材と、前記縦材の異なる高さ位置にそれぞれ設置された複数の圧力センサと、前記縦材の上端部に設けられた浮手段とを備えるものである。なお、前記ガイドワイヤの下端は、錘が固定されていてもよいし、底部に固定されていてもよい。
さらに、本発明の第三の泥土測定装置は、上下方向に張設されたガイドワイヤと、前記ガイドワイヤに沿って上下する縦材と、前記縦材に設置された圧力センサと、前記縦材の上端部に設けられた浮手段とを備えるものである。なお、前記ガイドワイヤの下端は、錘が固定されていてもよいし、底部に固定されていてもよい。
かかる泥土測定装置によれば、縦材が浮手段と錘とにより泥土中に鉛直に配設されるので、圧力センサによって既知の深さにおいて泥土の圧力を測定することができる。そのため、測定結果に基づいて貯泥槽内の泥土の深さ毎の密度を把握でき、泥土の品質を確認することができる。すなわち、泥土からサンプルを採取して試験を行う頻度を削減することができるため、簡易に泥土の品質を管理することができる。なお、本発明において、泥土には泥水も含まれる。
前記縦材は、側方に向けて開口する取付口が形成された管状部と、前記管状部の下端を遮蔽する閉塞キャップとを備えているのが望ましい。このとき、前記圧力センサは、前記取付口に設ければよい。
前記縦材の上端に上部の外径が下部の外径よりも大きい広口部材が設けられており、前記浮手段には前記広口部材の下部の外径よりも大きく当該広口部材の上部の外径よりも小さな貫通孔が形成されている場合には、前記縦材を前記広口部材が前記フロートの上面に係止された状態で前記貫通孔を挿通すればよい。このようにすれば、縦材が浮手段に対して回動可能であるため、泥土の表面に波が生じた場合であっても、浮手段のみが揺れて縦材の鉛直状態を維持することができる。そのため縦材の揺れに起因する測定誤差が生じ難い。
なお、複数の圧力センサは、前記浮手段の下面から下側に30cm〜60cmの位置に第一の圧力センサを設置し、泥土の深さの50%以深に第二の圧力センサを設置し、第二の圧力センサから下側に30cm〜60cmの位置に第三の圧力センサを設置するのが望ましい。すなわち、第一の圧力センサと第二の圧力センサとの間隔を広くすることで、中間部の泥土密度が泥土全体の代表する値として使用し得るようにするとよい。
なお、前記圧力センサは、センサ本体と、前記センサ本体の圧力感知面に添設されたフィルター材と、前記センサ本体および前記フィルター材を保持する取付台座とを備えており、前記センサ本体は前記圧力感知面が下向きになるように保持されていてもよい。
さらに、前記泥土測定装置は、前記圧力センサの測定結果に基づいて、泥土密度を算出する演算手段と、前記演算手段により算出された泥土密度を表示する表示手段とをさらに備えていてもよい。
また、本発明の泥土管理方法は、高さ方向に異なる位置に複数の圧力センサが設けられた縦材を泥土中に立設する装置設置工程と、複数の前記圧力センサにより前記泥土中の深さの異なる位置で圧力を測定する測定工程と、前記複数の圧力センサの測定結果から泥土密度を推定する密度推定工程とを備えるものである。前記密度推定工程では、前記泥土の上面から最も高い位置に配設された圧力センサまでの区間中の泥土密度を当該圧力センサの測定値により推定するとともに、上下に隣り合う圧力センサ同士の間の区間の泥土密度を当該区間の下側の圧力センサの測定値により推定し、区間毎の泥土密度に応じて泥土を撹拌する。
かかる泥土管理方法によれば、貯泥槽内の泥土の状況に応じて撹拌するため、泥土の品質を維持することができる。測定データをコンピュータに取り込んで管理すれば、泥土の密度測定から撹拌を自動的に制御することもできる。
本発明の泥土測定装置および泥土管理方法によれば、泥土の品質を簡易に測定することができ、その結果、泥土の品質管理に要する手間と費用を低減することが可能となる。
第一の実施形態に係る泥土測定装置の使用例を示す概略図である。 泥土測定装置の分解斜視図である。 圧力センサを示す分解斜視図である。 (a)〜(c)は時間毎の泥土密度分布図の一例である。 第二の実施形態に係る泥土測定装置の仕様例を示す概略図である。 第二の実施形態に係る縦材と浮き手段との連結状況を示す分解斜視図である。 第二の実施形態に係る圧力センサを示す分解斜視図である。 第二の実施形態に係る泥土測定装置の概要を示す模式図である。 第三の実施形態に係る泥土測定装置の概要を示す模式図である。 第四の実施形態に係る泥土測定装置の概要を示す模式図である。
<第一の実施形態>
第一の実施形態では、流動化処理土を含むスラリー系固化処理土の原料である泥土(泥水を含む)Dの品質管理に使用する泥土測定装置1について説明する。泥土測定装置1は、図1に示すように、泥土Dが解泥され貯泥された貯泥槽(または解泥槽)T内に配設されて、泥土密度を測定する。ここで、本実施形態における泥土Dとは、フロー値が450以下のものをいう。泥土測定装置1は、図2に示すように、縦材2と、複数の圧力センサ3と、錘4と、広口部材5と、浮手段6とを備えている。
本実施形態では、泥土Dのフロー値が450mm以下だと、水が浮上るブリーディング率を1%程度以下にコントロールできるため、泥土製造時のフロー値の目標を450mm以下とするが、泥土Dのフロー値は必ずしも450mmに限定されるものではない。
縦材2は、側方に向けて開口する複数の取付口23が形成された管状部21と、管状部21の下端を遮蔽する閉塞キャップ22とを備えている。
管状部21は、複数の直管24,24,…と、直管24同士を連結する複数のT字管25,25,…とにより形成されている。管状部21を構成する管材(直管24およびT字管25)は、貯泥槽T内の滞留の影響を考慮して、小径のものを採用するのが望ましい。
直管24は、中空の管材であって、円筒形を呈している。直管24を構成する材料は限定されるものではないが、例えば、塩化ビニル管や鋼管などにより構成する。また、直管24の断面形状は、中空の管材であれば限定されるものではなく、例えば、角管であってもよい。
T字管25は、上下に連通する直部25aと、直部25aの高さ方向中央から側方に開口する分岐部25bとにより、T字状に形成された管材である。直部25aは、上下に連結された直管24,24を連結している。直部25aの内径は、直管24の外径と同等であり、直管24の端部を直部25aに挿入することで、直管24とT字管25とが液密に連結されている。分岐部25bは、縦材2の側方に向けて開口した取付口23を形成している。
本実施形態では、異なる高さ位置に3つのT字管25が取り付けられている。すなわち、縦材2には、異なる高さ位置に複数の取付口23が形成されている。本実施形態では、水面(浮手段6の下面)から下側に30cm〜60cmの位置に第一取付口23aが形成されており、泥土Dの深さの50%以深に第二取付口23bが形成されており、第二取付口23bから下側に30cm〜60cmの位置に第三取付口23cが形成されている。なお、取付口23の高さ位置は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。また、取付口23の高さ位置の設定は、直管24の長さを調節することにより行う。
圧力センサ3は、縦材2の取付口23にそれぞれ設けられている。すなわち、第一取付口23aに第一圧力センサ3aが設置されていて、第二取付口23bに第二圧力センサ3bが設置されていて、第三取付口23cに第三圧力センサ3cが設置されている。
圧力センサ3は、図3に示すように、センサ本体31と、センサ固定板32と、ゴムパッキン33と、フィルター材34と、防護カバー35を備えている。
センサ本体31は、センサ固定板32に固定されている。センサ本体31は、表面(測定面)に気泡等が滞留することがないように、横向き(センサ本体31の表面を鉛直)に設置する。センサ本体31には、センサ本体31に電力を供給する送電線と、測定データを送信するためのデータ用配線とを含むケーブル36が接続されている。ケーブル36は、漏電を防止するために、防水性を確保することが望ましい。そのため、本実施形態のケーブル36は、取付口23から縦材2内を通って上方へ配線された後、広口部材5の上端の開口から縦材2の外部に延設されている。ケーブル36は、貯泥槽T外に配設された図示しない電力供給手段およびコンピュータに接続されている。
センサ固定板32は、中央に貫通孔(図示せず)が形成された板材であって、表面が防護カバー35の端面に固定されていて、裏面にセンサ本体31が固定されている。センサ本体31は、センサ固定板32の貫通孔に面している。
防護カバー35は、有底の管状部材からなる。防護カバー35の端板35aには、センサ固定板32の貫通孔に連通する測定孔35bが形成されている。センサ固定板32は、端板35aに固定ネジ37により固定されている。
ゴムパッキン33とフィルター材34は、センサ固定板32と端板35aとの間に介設されている。ゴムパッキン33がセンサ固定板32と端板35aとの間に介設されていることで、防水性と気密性が確保されている。ゴムパッキン33には、センサ固定板32の貫通孔と連通する測定孔33aが形成されている。フィルター材34は、不織布からなり、測定孔33a、35bを塞ぐように、ゴムパッキン33と端板35aとの間に介設されている。フィルター材34は、圧力センサ3による測定を可能とするとともに、センサ本体31への砂礫等の接触を防止する。
錘4は、縦材2の下端部に設けられている。本実施形態では、金属製の球体からなる複数の錘4,4,…が、縦材2の底部に収納されている。すなわち、縦材2の内部には、錘4を収納可能な空間が形成されている。なお、錘4の形状や数は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。また、錘4は、必ずしも縦材2の内部に収納されている必要はなく、縦材2の下端部に固定してもよい。
広口部材5は、縦材2の上端に設けられている。広口部材5は、円筒状の下部51と、下部51の外径よりも大きい外径を有する円筒状の上部52と、下部51と上部52との間に形成されたテーパー部53とにより形成されている。縦材2は、ほぼ全体が泥土D(泥水)中に挿入されるため、防水構造となっていて、広口部材5の上面のみが開口している。
下部51は、縦材2との接合部である。下部51の内径は、縦材2の直管24の外径と同等であり、下部51に縦材2の上端を挿入することで広口部材5と縦材2とが液密に連結されている。
テーパー部53は、下端が下部51と同じ外径を有していて、上端が上部52と同じ外径を有した筒体であって、上に行くにしたがって拡径する形状を有している。
浮手段6は、縦材2の上端部に設けられている。浮手段6は、フロート61と穴あき板62とを備えている。
フロート61には、挿通孔61aが形成されている。挿通孔61aの孔径は、広口部材5の下部51の外径よりも大きく、広口部材5の上部52の外径よりも小さい。なお、フロート61の挿通孔61aの形状は、広口部材5の下部51および縦材2を挿通可能で、穴あき板62の外形よりも小さな内径であれば限定されるものではない。フロート61は、縦材2や錘4等に対して十分な浮力を有している。フロート61を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、中空部材や、発泡樹脂製の部材等により構成すればよい。本実施形態のフロート61は平面視円形を呈しているが、フロート61の形状は限定されるものではない。
穴あき板62は、平面形状がフロート61と同等の板材からなり、フロート61の上面に載置されている。すなわち、穴あき板62は、平面視円形で、中央部にフロート61の挿通孔61aと連通する挿通孔62aが形成されている。挿通孔62aの内径は、広口部材5の下部51の外径よりも大きく、広口部材5の上部52の外径よりも小さい。なお、穴あき板62は、広口部材5の上部52の外形よりも大きな外径を有していればよく、必ずしもフロート61と同等の平面形状を有している必要はない。また、穴あき板62を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、鋼板により構成すればよい。
浮手段6は、上面(穴あき板62の上面)に広口部材5の上部52またはテーパー部53が係止された状態で、縦材2の上端部に配設されている。したがって、挿通孔61a,62aには、縦材2および広口部材5の下部51が挿入(挿通)される。
次に、泥土測定装置1を利用した泥土管理方法について説明する。本実施形態の泥土管理方法は、装置設置工程と、測定工程と、密度推定工程と、撹拌(解泥を含む)工程とを備えている。
装置設置工程は、高さ方向に異なる位置に複数の圧力センサ3,3,3が設けられた縦材2を泥土D中に立設する工程である。縦材2は、上端部に水面上に浮く浮手段6が係止されているとともに、下端に錘4が設けられているため、泥土D中にほぼ鉛直に配設される。また、縦材2と浮手段6とは固定されておらず、縦材2の上端は自由端となっているため、泥土Dの表面に波が生じて浮手段6が揺れた場合(左右に傾いた場合)であっても、縦材2の傾きは小さく、鉛直性が保持される。
測定工程は、圧力センサ3a〜3cにより泥土D中の深さの異なる位置の圧力を測定する工程である。なお、圧力測定の頻度は限定されるものではないが、予め設定された所定の時間毎に行うのが望ましい。
密度推定工程は、複数の圧力センサ3,3,3の測定結果から泥土密度を推定する工程である。本実施形態では、泥土Dの上面(水面)から第一圧力センサ3a(最も高い位置に配設された圧力センサ3)までの第一区間S1の泥土密度を第一圧力センサ3aの測定値により推定する。また、第一圧力センサ3aと第二圧力センサ3bとの間の区間(上下に隣り合う圧力センサ3同士の間の区間)である第二区間S2の泥土密度を第二圧力センサ3b(下側の圧力センサ3)の測定値により推定する。さらに、第二圧力センサ3bから貯泥槽Tの底面までの第三区間S3の泥土密度を第三圧力センサ3cの測定値により推定する。測定開始から30分毎の各区間の泥土密度を図4に示す。
各区間(第一区間S1、第二区間S2および第三区間S3)の泥土密度の関係式を示す。
第一区間:p=ρf1×H1
第二区間:p=p+ρf2×H2
第三区間:p=p+ρf3×H3
〜p:圧力センサ3a〜3cの測定値
ρf1〜ρf3:第一区間S1〜第三区間S3の泥土密度
H1〜H3:第一区間S1〜第三区間S3の区間長
ここで、「液体中の土粒子の沈降は、はじめは重力により沈降速度が加速されるが、液体の抵抗により速度は徐々に拮抗して一定になる」というストークスの法則により、貯泥槽Tに貯泥された泥土D中の土粒子の分離現象は、泥土Dの表面付近の区間(第一区間S1)の方が深い区間(第三区間S3)と比較して早期に分離することが推測される。一方、深い区間(第三区間S3)では、「土粒子の進行速度は粒径の二乗に比例する」というストークスの法則により、粒径の大きな砂粒子の沈降が主として進行していることが推測される。さらに、中間区間(第二区間S2)は、土粒子沈降の通過点であると推測される。すなわち、中間区間(第二区間S2)では、上方から沈降した土粒子と、下へ沈降する土粒子とがあり、この区間(第二区間S2)は、上下の区間(第一区間S1および第三区間S3)の土粒子の沈降の影響を受けることになるが、土粒子の通過点となるため、比較的変動は小さいと推測できる。そのため、本実施形態では、中間区間(第二区間S2)の範囲(深さ)を大きくして、上下の区間との泥土密度と比較することで、貯泥槽Tの材料分離の進行状況や泥土密度を推定する。
なお、圧力センサ3は、有線または無線によりコンピュータ(演算手段)に接続されている。コンピュータは、圧力センサ3の測定結果を保存するとともに、当該測定結果に基づいて、泥土密度を算出する。コンピュータにより算出された泥土密度は、表示手段により表示する。なお、表示手段は限定されるものではなく、コンピュータに有線または無線により接続されたモニターや、コンピュータにインターネット等を介して接続されたタブレット等であってもよい。
撹拌工程は、区間毎の泥土密度に応じて泥土Dを撹拌する工程である。図4(a)に示すように、第一区間S1〜第三区間S3において、泥土密度が比較的近似している場合には、材料分離が進行していないと推測されるため泥土Dを撹拌する必要はない。解泥時にあっては解泥が完了していると推定される。また、流動化処理土を製造する際の固化材の配合量を判断する際には、第二区間S2の泥土密度を参照すればよい。
図4(b)では、第一区間S1の泥土密度が第二区間S2の泥土密度と比較して低下している。このため、第一区間S1において土粒子の沈降が発生し、材料分離が進行していることが推測される。一方、第二区間S2の泥土密度と第三区間S3の泥土密度は比較的近似しているため、第二区間S2の土粒子の沈降は第一区間S1の影響をあまり受けていないと推測される。そのため、流動化処理土を製造する際の固化材の配合量を判断する際には、第二区間S2の泥土密度を参照すればよい。このとき、貯泥槽T内の泥土Dの撹拌を実施してもよいし、実施しなくてもよい。
図4(c)では、第一区間S1、第二区間S2、第三区間S3の各泥土密度が、それぞれ異なっているため、貯泥槽T内で材料分離が顕著に進んでいると推測できる。この場合には、貯泥槽T内の泥土Dの撹拌を行う。本実施形態では、貯泥槽T内に設置された水中ポンプ(サンドポンプ)Pを利用して、貯泥槽Tの底部に滞留する泥土Dを上方に移動させるなどして、貯泥槽T内の泥土Dを撹拌する。なお、泥土Dを撹拌する撹拌手段は水中ポンプPに限定されるものではなく、例えば、バックホウにより撹拌してもよい。
本実施形態の泥土測定装置1および泥土管理方法によれば、縦材2が錘4と浮手段6とにより泥土D中にほぼ鉛直に配設されるので、圧力センサ3によって既知の深さにおける泥土Dの圧力を測定することができる。そのため、測定結果に基づいて貯泥槽T内の泥土Dの深さ毎の泥土密度を把握でき、貯泥槽T内の泥土Dの品質を確認することができる。したがって、泥土Dを流動化処理土等の原料として使用する場合において、安定した品質を確保することできる。また、貯泥槽T内の泥土Dの状況に応じて撹拌するため、泥土Dの品質を維持することができる。さらに、泥土Dからサンプルを採取して試験を行う必要がない、あるいは試験の頻度を削減できるため、簡易に泥土Dの品質を管理することができる。
また、泥土測定装置1は、広口部材5の上端以外は開口しておらず、気密性を確保しているため、内部に泥土D等が浸入することがない。
また、縦材2が浮手段6に対して回動可能であるため、泥土Dの表面に生じた波によって浮手段6が揺れた場合であっても、縦材2の鉛直状態を維持することができる。そのため縦材2の揺れに起因する測定誤差が生じ難い。
また、表示手段を介して泥土密度をリアルタイムに確認することができるため、現場作業において、製造直後に、必要に応じて時系列で、密度とその変化から粘性の品質を確認し、不具合が生じた場合には即座に改良することができる。
<第二の実施形態>
第二の実施形態では、第一の実施形態と同様に、流動化処理土を含むスラリー系固化処理土の原料である泥土(泥水を含む)Dの品質管理に使用する泥土測定装置1について説明する。泥土測定装置1は、泥土Dが解泥された状態で貯泥された貯泥槽(または解泥槽)T内に配設されて、泥土密度を測定する(図1参照)。
泥土測定装置1は、図5に示すように、ガイドワイヤ7と、縦材2と、圧力センサ3と、錘4と、広口部材5と、浮手段6とを備えている。
ガイドワイヤ7は、貯泥槽T内における泥土測定装置1の横揺れを抑制する。ガイドワイヤ7の下端には錘4が固定されていて、ガイドワイヤ7の上端は、貯泥槽Tに架設された部材等に保持されている。ガイドワイヤ7は、たるみが無い(引張力が作用した)状態で鉛直になるように配置されている。ガイドワイヤ7の上端の固定方法は限定されるものではなく、例えば、貯泥槽Tの縁に横架された部材に取り付けられた治具に固定すればよい。ガイドワイヤ7は、泥土Dの対流の影響による縦材2の揺れを制御し、縦材2の鉛直性を確保する。
錘4は、ガイドワイヤ7の下端に固定されている。本実施形態の錘4は、金属製の球体からなる。なお、錘4の形状や数は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。また、ガイドワイヤ7の下端を貯泥槽Tの底面に固定して、錘4を省略してもよい。
縦材2は、薄肉の管材からなる。縦材2は、外径が小さいものが望ましく、少なくともガイドワイヤ7を挿通可能な内径を有している。縦材2としてこのような管材を使用することで、縦材2の体積を抑え、ひいては浮力の影響を極力抑え、泥土密度の測定精度を一定程度のレベルの範囲に抑制することができる。また、縦材2を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、塩化ビニル管や鋼管により構成すればよい。また、縦材2の断面形状は中空であれば限定されるものではなく、例えば、円筒形であってもよいし、角筒形であってもよい。縦材2の長さは、貯泥槽T内の泥土Dの深さに応じて適宜決定すればよい。また、縦材2は、一本の管材により構成してもよいし、複数の管材を連結することにより形成してもよい。縦材2の上端部には、図6に示すように、広口部材5と連結するためのワイヤ材26が取り付けられている。すなわち、縦材2は、広口部材5を介して浮手段6に取り付けられている。なお、縦材2を広口部材5に連結するための部材はワイヤ材26に限定されるものではなく、例えば、フック等であってもよい。
広口部材5は、図5に示すように、縦材2の上方に設けられているとともに、浮手段6に取り付けられている。広口部材5は、縦材2の外径(外幅)よりも大きな内径を有した円筒状部材からなる。広口部材5の側面には、貫通孔が形成されている。貫通孔には、取付ネジ54が挿通されている。すなわち、広口部材5には、取付ネジ54が横架されている。取付ネジ54は、ワイヤ材26を掛止する掛止部として機能する。図6に示すように、ワイヤ材26は、取付ネジ54にかけ回すことにより広口部材5に取り付けられている。すなわち、縦材2は、広口部材5に固定することなく、回転自由端となるように配置される。こうすることで、泥土表面の波により浮手段6が揺れた場合であっても、縦材2は浮手段6の揺れとは連動せず、鉛直性を確保できる。
浮手段6は、いわゆるフロートである。浮手段6には、図6に示すように、挿通孔63が形成されている。挿通孔63には、広口部材5が挿入される。なお、広口部材5は、上端部に形成された挿通孔63の孔径よりも大きな外形の係止部55により浮手段6に係止されている。浮手段6は、縦材2に対して十分な浮力を有している。浮手段6を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、中空部材や、発泡樹脂製の部材等により構成すればよい。本実施形態の浮手段6は平面視円形を呈しているが、浮手段6の形状は限定されるものではない。
浮手段6は、上面に広口部材5の係止部55が係止された状態で、縦材2の上方に配設されている。縦材2の上部を広口部材5に挿入してもよい。
圧力センサ3は、図5に示すように、縦材2の予め定められた位置に取り付けられている。縦材2は、浮手段6に取り付けられているため、貯泥槽T内の泥土Dの水位(深さ)が変化した場合であっても、浮手段6とともに縦材2が上下する。そのため、泥土Dの水位が変化した場合であっても、圧力センサ3の泥土水面下の深さ位置を維持することができる。圧力センサ3の縦材2への固定方法は限定されるものではなく、例えば治具により固定してもよいし、接着してもよい。
本実施形態の圧力センサ3は、図7に示すように、センサ本体31と、防護カバー35と、取付台座38と、フィルター材34とを備えている。なお、圧力センサ3には、圧力センサ3に作用する浮力を抑制するための浮力調整用錘を取り付けてもよい。
センサ本体31は、取付台座38に固定されている。センサ本体31は、下向きに(圧力感知面が下向きとなるように)設置する。センサ本体31には、センサ本体31に電力を供給する送電線と、測定データを送信するためのデータ用配線とを含むケーブル36が接続されている。ケーブル36は、漏電を防止するために、防水性を確保することが望ましい。ケーブル36は、貯泥槽T外に配設された図示しない電力供給手段およびコンピュータに接続されている。
防護カバー35は、管状部材からなる。防護カバー35の上端には、必要に応じて密閉キャップ35cを取り付ける。防護カバー35には、ケーブル36が挿通される。また、防護カバー35の下端には、取付台座38が取り付けられる。本実施形態では、防護カバー35の下端内面に雌ネジが形成されていて、取付台座38の外周面の雄ネジが螺合可能となっている。本実施形態では、防護カバー35を縦材2に固定することで、圧力センサ3を所定の位置に配置する。縦材2への固定方法は限定されるものではなく、例えば、治具を介して固定すればよい。
取付台座38には、センサ本体31が固定される。取付台座38の下部(センサ本体31の圧力感知面よりも下側の部分)は、筒状を呈している。取付台座38の下端は開口しており、当該開口を通じて取付台座38内に泥土Dが流入する。また、取付台座38には、センサ本体31の圧力感知面(ダイアフラム面)に空気が溜まることがないように、排気用にスリット38aが形成されている。スリット38aは、泥土Dが滞留することがないように、十分な大きさを有している。取付台座38の上部には、防護カバー35に螺合可能な雄ネジが形成されている。
取付台座38の下部には、フィルター材34が挿入されている。フィルター材34は、泥水(泥土D)を透過可能なメッシュ材からなる。フィルター材34は、圧力センサ3の圧力感知面に当接しており、センサ本体31への砂礫等の接触を防止する。フィルター材34は、取付台座38に固定された止めネジ38bにより、取付台座38からの抜け出しが防止されている。なお、フィルター材34の取付方法は限定されるものではなく、例えば、係止部材を介して、取付台座38に固定してもよい。また、フィルター材34を構成する材料は限定されるものではない。
なお、圧力センサ3は、有線または無線によりコンピュータ(演算手段)に接続されている。コンピュータは、圧力センサ3の測定結果を保存するとともに、当該測定結果に基づいて、泥土密度を算出する。コンピュータにより算出された泥土密度は、表示手段Cにより表示する。なお、表示手段は限定されるものではなく、コンピュータに接続されたモニターや、タブレット等であってもよい。
次に、泥土測定装置1を利用した泥土管理方法について説明する。本実施形態の泥土管理方法は、装置設置工程と、測定工程と、密度推定工程と、撹拌(解泥を含む)工程とを備えている。
装置設置工程は、図8に示すように、高さ方向に異なる位置に二つの圧力センサ3,3が設けられた縦材2を泥土D中に立設する工程である。縦材2には、ガイドワイヤ7を挿通し、縦材2の上端部は水面上に浮く浮手段6に係止する。ガイドワイヤ7の下端を錘4に取り付け、ガイドワイヤ7が鉛直になるように配置すると、縦材2が泥土D中にほぼ鉛直に配設される。また、縦材2と浮手段6とは固定されておらず、縦材2の上端は自由端となっているため、泥土Dの表面に波が生じて浮手段6が揺れた場合(左右に傾いた場合)であっても、縦材2の傾きは小さく、鉛直性が保持される。
圧力センサ3,3は、貯泥槽T内の泥土Dの深さを3分割したときの中間層(第二区間S2)の上面と下面の位置にそれぞれ配置する。すなわち、泥土表面(水面)から中間層の下端までの深さLの位置に第一圧力センサ3aを設置し、泥土表面からL/2の位置に第二圧力センサ3bを設置する。この配置は、主として貯泥槽Tの深さが2〜3mと比較的浅い場合に適用する。
なお、第一圧力センサ3aおよび第二圧力センサ3bの配置は限定されるものではない。例えば、泥土表面付近の泥土密度の変動について注目する場合は、第一圧力センサ3aの位置を深さL/2よりも上側(浅い位置)に配置して上層(第一区間S1)の測定区間を短くしてもよい。また、底面付近の泥土密度の変動について注目する場合には、第二圧力センサ3bの位置を深さLよりも下側(深い位置)に配置して、下層(第三区間S3)の測定区間を短くしてもよい。
測定工程は、圧力センサ3により泥土D中の深さの異なる位置の圧力を測定する工程である。泥土密度の測定区間は、泥土表面から上側の第一圧力センサ3aまでの区間を上層、圧力センサ3同士の間の区間を中間層、第二圧力センサ3bから貯泥槽T底面までの区間を下層として、上層と中間層の区間について二つの圧力センサ3により泥土密度を観測する。
密度推定工程は、複数の圧力センサ3,3の測定結果から泥土密度を推定する工程である。本実施形態では、上層の泥土密度は、式1を利用して、第一圧力センサ3aの測定値から推定する。このとき、泥土表面の圧力をゼロとする。
中間層の泥土密度は、式1を利用して、第一圧力センサ3aの測定値と第二圧力センサ3bの測定値の差から推定する。
ρ={σ−σ}/区間長 ・・・ 式1
ρ:泥土密度(ton/m3
σ:測定区間の上端の圧力(kN/m3)なお、泥土表面ではσ=0
σ:測定区間の下端の圧力(kN/m3
中間層の泥土Dの密度は、ストークスの法則により、上層よりも安定した傾向を示すと考えられる。そこで、中間層の泥土密度の推定値と上層の泥土密度の推定値とを比較して、両者が近似している場合は、「品質に影響を与える実質的な材料分離は進行していない」と判断できる。そして、下層の土粒子の沈降は上層よりも緩やかになることが推定されるため、中間層と上層との泥土密度の推定値同士が近似している場合は、下層の泥土密度も中間層と同程度であると類推できる。したがって、貯泥槽T内の泥土密度は、中間層の泥土密度をもって代表されると判断できる。
撹拌工程は、区間毎の泥土密度に応じて泥土Dを撹拌する工程である。貯泥槽T内における泥土密度が比較的近似している場合には、材料分離が進行していないと推測されるため泥土Dを撹拌する必要はない。一方、貯泥槽T内で材料分離が顕著に進んでいることが時系列での泥土密度の推移から推測される場合には、原料土の細粒分含有量が減少し泥土の粘性が不足していると判断し、貯泥槽T内の泥土Dの撹拌を行い、泥土密度の均等化を図る。
本実施形態の泥土測定装置1および泥土管理方法によれば、下端に錘4が取り付けられたガイドワイヤ7を縦材2に挿通しているため、貯泥槽T内で縦材2の鉛直状態が維持されている。そのため、縦材2の揺れに起因する測定誤差が生じ難い。また、縦材2が浮手段6に対して回動可能であるがため、泥土Dの表面に生じた波によって浮手段6が揺れた場合であっても、縦材2の鉛直状態を維持することができる。そのため縦材2の揺れに起因する測定誤差が生じ難い。ゆえに、圧力センサ3によって既知の深さにおける泥土Dの圧力を測定することができる。そのため、測定結果に基づいて貯泥槽T内の泥土Dの深さ毎の泥土密度を把握でき、貯泥槽T内の泥土Dの品質を確認することができる。したがって、泥土Dを流動化処理土等の原料として使用する場合において、安定した品質を確保することできる。また、貯泥槽T内の泥土Dの状況に応じて撹拌するため、泥土Dの品質を維持することができる。さらに、泥土Dからサンプルを採取して試験を行う必要がない、あるいは試験の頻度を削減できるため、簡易に泥土Dの品質を管理することができる。
また、圧力センサ3の圧力感知面を下向きに配置しているため、センサーユニットの重心が縦材2の中心軸に近くなり、鉛直性を確保しやすくなる。
また、縦材2を薄肉軽量中空構造とすることで、浮力を極力抑えているため、縦材2の浮力により圧力センサ3の鉛直深さが移動する可能性を抑制し、測定精度の向上を図ることが可能となる。
<第三の実施形態>
第三の実施形態では、第一の実施形態と同様に、流動化処理土を含むスラリー系固化処理土の原料である泥土(泥水を含む)Dの品質管理に使用する泥土測定装置1について説明する。泥土測定装置1は、泥土Dが解泥された状態で貯泥された貯泥槽(または解泥槽)T内に配設されて、泥土密度を測定する(図1参照)。
泥土測定装置1は、ガイドワイヤ7と、縦材2と、圧力センサ3と、錘4と、広口部材5と、浮手段6とを備えている。なお、本実施形態の泥土測定装置1の詳細は、第二の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
次に、泥土測定装置1を利用した泥土管理方法について説明する。本実施形態の泥土管理方法は、装置設置工程と、測定工程と、密度推定工程と、撹拌(解泥を含む)工程とを備えている。本実施形態では、貯泥槽Tの深さが3mを越える場合について説明する。
装置設置工程は、図9に示すように、高さ方向に異なる位置に三つの圧力センサ3,3,3が設けられた縦材2を泥土D中に立設する工程である。縦材2は、ガイドワイヤ7にガイドされているため、泥土D中にほぼ鉛直に配設される。また、縦材2と浮手段6とは固定されておらず、縦材2の上端は自由端となっているため、泥土Dの表面に波が生じて浮手段6が揺れた場合(左右に傾いた場合)であっても、縦材2の傾きは小さく、鉛直性が保持される。
最も深い位置に配設された圧力センサ3である第三圧力センサ3cは、貯泥槽Tの底面に堆積した土粒子に接触しない程度の位置に配置する。泥土表面(水面)から第三圧力センサ3cまでの深さをLとした場合に、L/3の深さ位置に第一圧力センサ3a、2L/3の深さ位置に第二圧力センサ3bをそれぞれ配置する。
なお、第一圧力センサ3aおよび第二圧力センサ3bの位置は限定されるものではない。例えば、泥土表面付近の泥土密度の変動について注目する場合は、第一圧力センサ3aの位置を深さL/3よりも上側(浅い位置)に配置して上層(第一区間S1)の測定区間を短くしてもよい。また、底面付近の泥土密度の変動について注目する場合には、第二圧力センサ3bの位置を深さ2L/3よりも下側(深い位置)に配置して、下層(第三区間S3)の測定区間を短くしてもよい。
測定工程は、圧力センサ3により泥土D中の深さの異なる位置の圧力を測定する工程である。泥土密度の測定区間は、泥土表面から第一圧力センサ3aまでの区間を上層(第一区間S1)、第一圧力センサ3aと第二圧力センサ3bとの間の区間を中間層(第二区間S2)、第二圧力センサ3bと第三圧力センサ3cとの間の区間を下層(第三区間S3)として、三つの圧力センサ3により泥土密度を観測する。
密度推定工程は、複数の圧力センサ3の測定結果から泥土密度を推定する工程である。本実施形態では、上層の泥土密度は、式1を利用して、第一圧力センサ3aの測定値から推定する。このとき、泥土表面の圧力をゼロとする。
中間層および下層の泥土密度は、式1を利用して、第一圧力センサ3aの測定値と第二圧力センサ3bの測定値の差または、第二圧力センサ3bの測定値と第三圧力センサ3cの測定値の差から推定する。
ρ={σ−σ}/区間長 ・・・ 式1
ρ:泥土密度(ton/m3
σ:測定区間の上端の圧力(kN/m3)なお、泥土表面ではσ=0
σ:測定区間の下端の圧力(kN/m3
このように、3つの圧力センサ3を配置することで、上層の泥土密度の低下が確認された場合であっても、中間層と仮想の泥土密度が同程度であれば、材料分離の進行は上層にとどまるため、貯泥槽T全体としては、品質に影響を与える実質的な材料分離は進行していないと判断できる。
撹拌工程は、区間毎の泥土密度に応じて泥土Dを撹拌する工程である。攪拌工程の詳細は、第二の実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本実施形態の泥土測定装置1および泥土管理方法の作用効果は、第二の実施形態の泥土測定装置1および泥土管理方法と同様なため、詳細な説明は省略する。
<第四の実施形態>
第四の実施形態では、第一の実施形態と同様に、流動化処理土を含むスラリー系固化処理土の原料である泥土(泥水を含む)Dの品質管理に使用する泥土測定装置1について説明する。泥土測定装置1は、泥土Dが解泥された状態で貯泥された貯泥槽(または解泥槽)T内に配設されて、泥土密度を測定する(図1参照)。
泥土測定装置1は、ガイドワイヤ7と、縦材2と、圧力センサ3と、錘4と、広口部材5と、浮手段6とを備えている。
圧力センサ3は、図10に示すように、貯泥槽Tの底面に堆積した土粒子に接触しない程度の位置に配置する。すなわち、本実施形態の圧力センサ3は、泥土表面から貯泥槽Tの底面までの範囲の平均的な泥土密度を測定するものとする。貯泥槽T内の泥土Dを必ず攪拌する場合や、泥土製造後、比較的短時間(例えば数十分程度)に混練りを実施する場合等では、材料分離の進行の有無を確認する必要がないため、測定した泥土密度は貯泥槽T内の代表的な泥土密度に等しいと判断できる。また、土と水とを混錬して解泥する作業において、解泥後の泥土Dの平均密度を測定することで、泥土密度をリアルタイムに確認できる。そのため、泥土密度が配合設計の目標値と異なっている場合は、その場で即座に修正でき、品質の安定化を図ることができる。
この他の泥土測定装置1の詳細は、第二実施形態で示した内容と同様なため、詳細な説明は省略する。
以上、本発明の実施形態について説明したが本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
例えば、貯泥槽T内の泥土Dの撹拌を自動制御してもよい。すなわち、上下に隣接する区間の泥土密度の差が閾値(例えば、±0.05t/m)を超えた場合に、水中ポンプPが稼働するようにしてもよい。
第一の実施形態では、T字管25(分岐管)を配設することで取付口23を形成したが、取付口23の形成方法は限定されるものではなく、例えば、直管24からなる縦材2の所定の位置に形成した孔を取付口23としてもよい。
1 泥土測定装置
2 縦材
21 管状部
22 閉塞キャップ
23 取付口
3 圧力センサ
3a 第一圧力センサ(第一の圧力センサ)
3b 第二圧力センサ(第二の圧力センサ)
3c 第三圧力センサ(第三の圧力センサ)
4 錘
5 広口部材
6 浮手段
61 フロート
7 ガイドワイヤ
D 泥土
P 水中ポンプ
T 貯泥槽(解泥槽を含む)

Claims (10)

  1. 縦材と、
    前記縦材の異なる高さ位置にそれぞれ設置された複数の圧力センサと、
    前記縦材の下端部に設けられた錘と、
    前記縦材の上端部に設けられた浮手段と、を備えることを特徴とする、泥土測定装置。
  2. 前記縦材は、管状部と、前記管状部の下端を遮蔽する閉塞キャップと、を備えており、
    前記管状部には側方に向けて開口する取付口が形成されており、
    前記圧力センサは、前記取付口に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の泥土測定装置。
  3. 前記縦材の上端に、上部の外径が下部の外径よりも大きい広口部材が設けられており、
    前記浮手段には、前記広口部材の下部の外径よりも大きく、当該広口部材の上部の外径よりも小さな貫通孔が形成されており、
    前記縦材は、前記広口部材が前記浮手段の上面に係止された状態で、前記貫通孔を挿通していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の泥土測定装置。
  4. 前記浮手段の下面から下側に30cm〜60cmの位置に第一の圧力センサが設置されていて、
    泥土の深さの50%以深に第二の圧力センサが設置されていて、
    第二の圧力センサから下側に30cm〜60cmの位置に第三の圧力センサが設置されていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の泥土測定装置。
  5. 上下方向に張設されたガイドワイヤと、
    前記ガイドワイヤに沿って上下する縦材と、
    前記縦材の異なる高さ位置にそれぞれ設置された複数の圧力センサと、
    前記縦材の上端部に設けられた浮手段と、を備えることを特徴とする、泥土測定装置。
  6. 上下方向に張設されたガイドワイヤと、
    前記ガイドワイヤに沿って上下する縦材と、
    前記縦材に設置された圧力センサと、
    前記縦材の上端部に設けられた浮手段と、を備えることを特徴とする、泥土測定装置。
  7. 前記ガイドワイヤの下端に錘が固定されていることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載の泥土測定装置。
  8. 前記圧力センサは、センサ本体と、前記センサ本体の圧力感知面に添設されたフィルター材と、前記センサ本体および前記フィルター材を保持する取付台座と、を備えており、
    前記センサ本体は、前記圧力感知面が下向きになるように保持されていることを特徴とする、請求項1、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の泥土測定装置。
  9. 前記圧力センサの測定結果に基づいて、泥土密度を算出する演算手段と、
    前記演算手段により算出された泥土密度を表示する表示手段と、をさらに備えていることを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の泥土測定装置。
  10. 高さ方向に異なる位置に複数の圧力センサが設けられた縦材を泥土中に立設する装置設置工程と、
    複数の前記圧力センサにより前記泥土中の深さの異なる位置で圧力を測定する測定工程と、
    前記複数の圧力センサの測定結果から泥土密度を推定する密度推定工程と、を備える泥土管理方法であって、
    前記密度推定工程では、前記泥土の上面から最も高い位置に配設された圧力センサまでの区間中の泥土密度を当該圧力センサの測定値により推定するとともに、上下に隣り合う圧力センサ同士の間の区間の泥土密度を当該区間の下側の圧力センサの測定値により推定し、
    区間毎の泥土密度に応じて泥土を撹拌することを特徴とする泥土管理方法。
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