以下の実施形態は、一般に、点灯システム、照明制御システム、及び照明器具に関する。より詳細には、交流電圧の導通角に応じて光源の明るさをフィードバック制御する点灯システム、照明制御システム、及び照明器具に関する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
実施形態の点灯システム、照明制御システム、及び照明器具は、主に、住戸、オフィス、工場、又は店舗などで用いられる。住戸は、戸建住宅及び集合住宅のいずれでもよい。
以下に実施形態を図面に基づいて説明する。
実施形態の照明制御システムA1は、図1に示すように、照明装置1と、調光器2とを備える。そして、照明装置1と調光器2との直列回路が交流電源9の両端間に接続している。交流電源9は、周波数50Hz又は60Hzの商用電源である。
調光器2は、交流電源9から照明装置1に供給される交流電圧Vaを位相制御する。つまり、照明装置1は、調光器2によって位相制御された電圧(位相制御電圧Vb)が入力される。調光器2が位相制御電圧Vbの半波毎の通電期間である導通角を調整し、照明装置1が導通角に応じて調光を行う。この場合、導通角が、光源12の調光レベルの指示値を表す指示情報に相当する。調光器2は、ユーザによって操作される例えばロータリー式又はスライド式の操作部を具備しており、ユーザが操作部を操作することで、導通角が調整される。
照明装置1は、調光が可能な照明器具であり、図1に示すように、点灯システム11、及び光源12を備える。点灯システム11と光源12は、共通の筐体に収納されて一体に構成されてもよいし、点灯システム11と光源12は、別体に構成されてもよい。
点灯システム11は、電源回路110、整流回路1a、位相検出回路1d、制御回路1e、駆動回路1f、起動回路1g、第1制御電源1h、第2制御電源1i、電流検出回路1j、及び電圧検出回路1kを備える。電源回路110は、コンバータ1b、及びコンデンサ1cを有する。
整流回路1aは、ダイオードブリッジなどを有する全波整流回路であり、調光器2によって位相制御された位相制御電圧Vbが入力される。整流回路1aは、位相制御電圧Vbを全波整流して、脈流電圧Vcを出力する。図2は脈流電圧Vcの波形を示す。図2の脈流電圧Vcは、位相制御電圧Vbと同様に位相制御されており、半波毎に通電状態となっている期間を導通角θとする。なお、図2において、一点鎖線は、交流電圧Vaを全波整流した全波整流電圧Veの波形を示す。さらに、整流回路1aの前段に、フィルタ回路を有していてもよい。フィルタ回路は、例えばノイズ除去用のインダクタ及びコンデンサ、サージアブソーバを有しており、不要な周波数成分(例えば高周波ノイズ)を減衰させる。
電源回路110は、脈流電圧Vcを入力され、直流の出力電圧Voを出力し、光源12に負荷電流Ioを供給する。以下の説明では、負荷電流Ioを負荷パラメータ(制御対象)とし、負荷電流Ioを定電流制御する構成を例示している。
具体的に、コンバータ1bは、脈流電圧Vcを直流電圧に変換して、コンデンサ1cに直流電圧を出力する。コンデンサ1cは、コンバータ1bから出力された直流電圧を平滑し、コンデンサ1cの両端間には直流の出力電圧Voが生じる。コンバータ1bは、半導体スイッチング素子を有するAC/DCコンバータ(スイッチング電源回路)であり、半導体スイッチング素子がオンオフすることによって、脈流電圧Vcが出力電圧Voに変換される。
なお、コンバータ1bは、シングルステージコンバータ(SSコンバータ)を構成することが好ましい。SSコンバータは、力率改善回路の機能とAC/DCコンバータの機能とを備えた、1コンバータ方式(電圧変換が1回)のコンバータである。例えば、コンバータ1bは、力率改善機能を有する昇降圧コンバータであることが好ましい。
光源12は、複数の固体発光素子として、複数のLED(Light Emitting Diode)を具備しており、電流検出回路1jに直列接続されている。光源12と電流検出回路1jとの直列回路は、コンデンサ1cの両端間に接続しており、電源回路110の出力電圧Voを印加される。そして、光源12は、電源回路110から負荷電流Ioを供給されることで、照明光(光出力)を発する。なお、光源12が有する複数のLEDは、直列接続、又は直列接続及び並列接続されている。
位相検出回路1dは、光源12の調光レベルの指示値を表す指示情報を外部から受け取る情報取得部に相当する。本実施形態では、脈流電圧Vcの導通角θ(位相制御電圧Vbの導通角θ)が指示情報に相当する。位相検出回路1dは、PWM回路111と、信号平滑回路112と、を有する。
PWM回路111は、脈流電圧Vcと判定基準値とを比較し、比較結果に基づいて生成したPWM(Power Width Modulation)信号Spを出力する。PWM信号Spは、位相制御電圧Vbに同期したパルス信号であり、PWM信号Spのオンデューティが導通角θの大きさに対応する。具体的に、導通角θが増加すると、PWM信号Spのオンデューティは増加し、導通角θが減少すると、PWM信号Spのオンデューティは減少する。
信号平滑回路112は、図3に示すように、第1平滑回路112a、及び第2平滑回路112bを有する。第1平滑回路112aは、PWM信号Spを平滑して、導通角検出信号Sa1を生成し、導通角検出信号Sa1を制御回路1eへ出力する。第2平滑回路112bは、PWM信号Spを平滑して、参照信号Sa2を生成し、参照信号Sa2を制御回路1eへ出力する。PWM信号Spのオンデューティは、調光レベルの指示値に相当する。したがって、PWM信号Spを平滑した導通角検出信号Sa1及び参照信号Sa2の各電圧値には、調光レベルの指示値が反映される。
図4の最上段(第1段)は脈流電圧Vcの波形、図4の第2段はPWM信号Spの波形、図4の第3段は参照信号Sa2の波形、図4の第4段は導通角検出信号Sa1の波形を示す。第1平滑回路112aは、抵抗及びコンデンサを含む第1ローパスフィルタを有しており、第1ローパスフィルタの時定数を第1時定数とする。第2平滑回路112bは、抵抗及びコンデンサを含む第2ローパスフィルタを有しており、第2ローパスフィルタの時定数を第2時定数とする。本実施形態では、第2時定数が第1時定数より小さくなるように、第1ローパスフィルタの抵抗の抵抗値及びコンデンサの容量、並びに第2ローパスフィルタの抵抗の抵抗値及びコンデンサの容量が設定されている。参照信号Sa2は時定数が小さい第2平滑回路112bによってフィルタリング(平滑)されているため、参照信号Sa2には導通角検出信号Sa1よりも大きいリップルが重畳されている。一方、導通角検出信号Sa1は時定数が大きい第1平滑回路112aによってフィルタリングされているため、導通角検出信号Sa1にはリップルがほとんどない。したがって、調光器2がユーザによって操作されて、導通角θが変化した場合、導通角θの変化に対する参照信号Sa2の応答は、導通角θの変化に対する導通角検出信号Sa1の応答より速くなる。すなわち、導通角θの変化は、導通角検出信号Sa1よりも参照信号Sa2に対して、感度よく反映される。第1時定数が、例えば数秒単位の値に設定されている場合、第2時定数は、例えば数百ミリ秒単位の値に設定されることが好ましい。
制御回路1eは、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、制御回路1eの一部又は全部の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
第1制御電源1hは、起動回路1g又はコンバータ1bから電力を入力され、直流の第1制御電圧Vd1を出力する。第1制御電圧Vd1は、駆動回路1fの動作電圧になる。
起動回路1gは、交流電源9から調光器2を介して点灯システム11への電力供給が開始された直後の始動期間に、脈流電圧Vcを降圧し、脈流電圧Vcの降圧電圧を第1制御電源1hへ出力する。始動期間において、第1制御電源1hは脈流電圧Vcの降圧電圧を入力されて、第1制御電圧Vd1を出力する。
そして、始動期間から定常期間に移行すると、起動回路1gは脈流電圧Vcの降圧電圧の出力を停止する。一方、コンバータ1bは、トランス及びスイッチング素子を具備しており、定常期間では、スイッチング素子をオンオフするスイッチング動作によってトランスの一次巻線に流れる電流を導通、遮断する。そして、トランスの二次巻線に生じる誘起電圧が第1制御電源1hへ供給される。すなわち、定常期間において、第1制御電源1hはコンバータ1bのスイッチング動作による誘起電圧を入力されて、第1制御電圧Vd1を出力する。
駆動回路1fは、第1制御電圧Vd1によって動作し、制御回路1eからスイッチング制御信号Sbを入力され、スイッチング制御信号Sbに基づいて駆動信号Scを生成する。そして、駆動回路1fは、駆動信号Scをコンバータ1bへ出力し、コンバータ1bのスイッチング素子をオンオフ駆動する。
第2制御電源1iは、第1制御電圧Vd1を入力され、直流の第2制御電圧Vd2を出力する。第2制御電圧Vd2は、制御回路1eの動作電圧になる。なお、本実施形態において、第2制御電圧Vd2は第1制御電圧Vd1より低い電圧値であるが、第1制御電圧Vd1と第2制御電圧Vd2の大小関係は、この関係に限定されない。また、第1制御電源1h及び第2制御電源1iは、スイッチング電源、リニア電源のいずれでもよい。
電流検出回路1jは、負荷パラメータの大きさに応じた負荷検出信号を出力する負荷検出回路である。本実施形態では、負荷パラメータは負荷電流Ioであり、負荷検出信号は電流検出信号Sdである。電流検出回路1jは、例えば負荷電流Ioが流れる電流検出抵抗を備えており、電流検出抵抗の両端電圧を電流検出信号Sdとして制御回路1eへ出力する。この場合、電流検出信号Sdは、負荷電流Ioの大きさに比例する電圧値の電圧信号になり、電流検出信号Sdの電圧値が電流検出値(負荷検出値)に相当する。すなわち、電流検出値は、電流検出信号Sdに基づく負荷電流Ioの大きさを表す。
電圧検出回路1kは、コンデンサ1cの両端間に接続された分圧抵抗の直列回路を備えており、出力電圧Voを分圧した電圧を電圧検出信号Seとして制御回路1eへ出力する。この場合、電圧検出信号Seは、出力電圧Voの大きさに比例する電圧値の電圧信号になり、電圧検出信号Seの電圧値が電圧検出値に相当する。
そして、制御回路1eは、導通角検出信号Sa1、参照信号Sa2、電流検出信号Sd、及び電圧検出信号Seに基づいてスイッチング制御信号Sbを生成し、スイッチング制御信号Sbを駆動回路1fへ出力する。
制御回路1eは、負荷パラメータの目標値として、負荷電流Ioの目標電流の値(電流目標値)を決定する。制御回路1eは、電流目標値を決定するために、導通角θの変化に対する感度が低い導通角検出信号Sa1を用いる。制御回路1eは、導通角検出信号Sa1の電圧値から導通角θの大きさを読み取り、読み取った導通角θの値に応じて電流目標値を決定する。以降、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角θの値を、導通角検出値θs1と呼ぶ。そして、制御回路1eは、電流検出値と電流目標値との偏差(差分)が小さくなるように(ゼロに近付くように)、コンバータ1bのスイッチング素子のオンデューティを調整するためのスイッチング制御信号Sbを生成する。すなわち、制御回路1eは、電流検出値と電流目標値との偏差が小さくなるようにコンバータ1bのスイッチング素子のオンデューティを調整するフィードバック制御を行う。この結果、光源12の調光レベルが調光レベルの指示値になるように、負荷電流Ioが定電流制御される。なお、導通角θの大きさが大きいほど調光レベルの指示値は高いので、導通角θの大きさが大きいほど電流目標値は大きくなる。また、導通角θの大きさが小さいほど調光レベルの指示値は低いので、導通角θの大きさが小さいほど電流目標値は小さくなる。
また、制御回路1eは、電圧検出値(電圧検出信号Seの電圧値)に基づいて、出力電圧Voの過電圧状態が発生しているか否かを判定する。そして、制御回路1eは、過電圧状態が発生していると判定した場合、電流目標値をゼロとして、負荷電流Ioの値がゼロになるようにスイッチング制御信号Sbを生成する。すなわち、制御回路1eは、過電圧状態の発生時において出力電圧Voの出力を停止させる。
上述の点灯システム11では、コンバータ1bがSSコンバータであるので、1回の電圧変換で負荷電流Ioを制御することができ、コストダウン及び電気効率の向上を図ることができる。
従来、SSコンバータのスイッチング制御には、汎用的なアナログ制御IC(Integrated Circuit)が広く用いられている。アナログ制御ICは、電流検出値と電流目標値との偏差を求める。そして、アナログ制御ICは、求めた偏差がゼロとなるようにスイッチング素子をフィードバック制御する。このとき、アナログ制御ICは、SSコンバータのスイッチング素子のオン時間の平均値がほぼ固定値になるように、スイッチング素子を制御する。アナログ制御ICを用いたスイッチング制御では、スイッチング素子に流れる電流(スイッチング電流)が交流電圧Vaの正弦波形に応じてスイッチング周期ごとのピーク値が決定されるため、力率改善を容易に実現できる。
しかしながら、SSコンバータが出力する負荷電流には、入力される交流電圧の周波数(50Hz又は60Hz)の2倍の周波数のリップル電流が重畳してしまう。この結果、光源を調光する際に以下の問題が生じる。まず、入力される交流電圧(入力電圧)の値が、外乱又はノイズなどによって瞬時的に変動すると、SSコンバータのスイッチング素子のオン時にスイッチング電流のピーク値が変動するため、負荷電流にも変動が生じる。この結果、入力される交流電圧の値の瞬時的な変動によって、光源が発する光量が変動し、光のちらつきが生じることがある。
例えば、汎用的なアナログ制御ICは、電流検出値と電流目標値との偏差にフィードバックゲインを掛け合わせることで、スイッチング素子のオン時間の制御値を求める。このとき、オン時間を決定するフィードバックゲインは、アナログ制御ICの周辺回路の定数によって一義に決まる。そのため、全点灯状態に対して最適なフィードバックゲインが設定されると、調光点灯状態ではフィードバックゲインが小さすぎるなどの弊害があった。このため、交流電圧の値の瞬時的な変動に追従してオン時間を変化させるフィードバック制御の応答性(追従性)及び安定性が比較的低く、負荷電流の変動が生じやすかった。
さらに、交流電圧の位相を制御する位相制御式が調光方式として採用された場合、負荷電流のみならず入力電圧も変動するので、位相制御電圧の実効値も変動する。このため、スイッチング素子の制御はより複雑になり、汎用的なアナログ制御ICでは安定性及び追従性を両立させることがより困難であった。そのため、従来、位相制御式が調光方式として採用された場合、ACDCコンバータが直流の出力電圧を生成し、ACDCコンバータの出力端に光源と定電流回路との直列回路を接続して、交流−直流変換機能と出力電流制御機能とを分離しているものが主流であった。しかしながら、この従来方式では回路が大規模化し、さらに定電流回路に電力損失が生じるという問題があった。
そこで、本実施形態の制御回路1eは、導通角検出値θs1に応じてフィードバックゲインを変化させる。この結果、交流電圧Vaの値の瞬時的な変動に対して負荷電流Ioを定電流制御する際に、光源12の全点灯状態、調光点灯状態に関わらず高い応答性及び安定性が実現される。
図5は、コンバータ1b(SSコンバータ)のスイッチング素子のオンデューティDonと負荷電流Ioとの関係を表す静特性図である。ここでは、説明の簡単化のために、スイッチング周期T1を一定にしており、オン時間をTonとすると、Don=Ton/T1になる。図5に示すように、オンデューティDonに対する負荷電流Ioの関係は指数関数によって表される関係になっている。すなわち、オンデューティDonの変化量ΔDonに対して、オンデューティDonが大きい領域(調光レベルが高い領域)における負荷電流Ioの変化量ΔIo1と、オンデューティDonが小さい領域(調光レベルが低い領域)における負荷電流Ioの変化量ΔIo2とは、ΔIo1>ΔIo2の関係になる。つまり、負荷電流Ioが変動すると最適なフィードバックゲインも変化することが示されている。
そして、制御回路1eは、所定周期でコンバータ1bのスイッチング素子をオンさせ、電流検出値と電流目標値との偏差が小さくなるようにスイッチング素子のオンデューティDonの制御値を決定する。制御回路1eは、オンデューティDonの制御値に基づいてスイッチング制御信号Sbを生成し、スイッチング制御信号Sbを駆動回路1fへ出力する。駆動回路1fは、スイッチング制御信号Sbにしたがって、コンバータ1bのスイッチング素子のオンデューティDonを増減させる。
本実施形態において、制御値は、前回のオンデューティDonに対する今回のオンデューティDonの差分値(前回オンデューティDonからの増大値又は減少値)である。フィードバックゲインは、制御値を偏差に基づいて求める際に用いられる係数である。本実施形態では、制御回路1eは、離散値を扱うデジタルPID制御方式によって制御値を求める。この場合、離散値のサンプル番号をnとし、制御値をY(n)とし、フィードバックゲインをα1、α2、α3とし、偏差をE(n)とすると、制御回路1eは、以下の式1を用いて制御値Y(n)を求める。なお、Y(n−1)は前回の制御値であり、E(n)は今回の偏差であり、E(n−1)は前回の偏差であり、E(n−2)は前々回の偏差である。
Y(n)=Y(n−1)+α1×E(n)+α2×E(n−1)+α3×E(n−2) ………(式1)
式1のフィードバックゲインα1、α2、α3は、基本的に、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角検出値θs1に応じて設定される。具体的に、導通角検出値θs1が小さいほど(調光レベルの指示値が低いほど)、フィードバックゲインα1、α2、α3の絶対値はそれぞれ大きくなる。また、導通角検出値θs1が大きいほど(調光レベルの指示値が大きいほど)、フィードバックゲインα1、α2、α3の絶対値はそれぞれ小さくなる。
したがって、調光レベルが下がるほどフィードバックゲインα1、α2、α3の絶対値がそれぞれ大きくなる。この結果、交流電圧Vaの値の瞬時的な変動に追従してオンデューティDonを変化させるフィードバック制御の応答性及び安定性が向上し、負荷電流Ioの変動を抑えることができる。
また、調光レベルが低くなるほど位相制御電圧Vbの実効値は小さくなり、調光レベルが高くなるほど位相制御電圧Vbの実効値は大きくなる。しかしながら、本実施形態の制御回路1eは、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角検出値θs1に対応するフィードバックゲインα1、α2、α3を用いて制御値Y(n)を求めるので、位相制御電圧Vbの実効値の変動に関わらず、フィードバック制御の応答性及び安定性を維持することができる。
すなわち、点灯システム11は、入力電圧(交流電圧Va)の値が瞬時的に変動した場合でも、光源12が発する光のちらつきを低減することができる。
図6及び図7は、コンバータ1bが、SEPIC回路、及びRC平滑回路を備える場合のゲイン特性及び位相特性を示す。なお、RC平滑回路は、抵抗及びコンデンサを有する。
図6では、調光レベルとして最大レベル(100%の全点灯状態)を指示されており、図6は、位相制御電圧Vbの実効値が100Vである場合の各特性を示す。図6の上段はゲイン特性Y11−Y14を示し、図6の下段は位相特性Y21−Y24を示す。ゲイン特性Y11及び位相特性Y21は、SEPIC回路単体の各特性であり、ゲイン特性Y12及び位相特性Y22は、制御回路1eが実行するデジタルPID制御の各特性である。また、ゲイン特性Y13及び位相特性Y23は、RC平滑回路単体の各特性であり、ゲイン特性Y14は、上述のゲイン特性Y11−Y13を合成したゲイン特性であり、位相特性Y24は、上述の位相特性Y21−Y23を合成した位相特性である。さらに、Y15はゲイン余裕を示し、Y25は位相余裕を示す。
一方、図7では、調光レベルとして10%の調光点灯(調光点灯状態)を指示されており、図7は、位相制御電圧Vbの実効値が50Vである場合の各特性を示す。図7の上段はゲイン特性Y31−Y34を示し、図7の下段は位相特性Y41−Y44を示す。ゲイン特性Y31及び位相特性Y41は、SEPIC回路単体の各特性であり、ゲイン特性Y32及び位相特性Y42は、制御回路1eが実行するデジタルPID制御の各特性である。また、ゲイン特性Y33及び位相特性Y43は、RC平滑回路単体の各特性であり、ゲイン特性Y34は、上述のゲイン特性Y31−Y33を合成したゲイン特性であり、位相特性Y44は、上述の位相特性Y41−Y43を合成した位相特性である。さらに、Y35はゲイン余裕を示し、Y45は位相余裕を示す。
本実施形態の制御回路1eは、全点灯状態及び調光点灯状態のそれぞれにおいて、調光レベル(負荷電流Io及び位相制御電圧Vbの実効値に対応するパラメータ)に応じてフィードバックゲインα1、α2、α3を変化させる。この結果、図6及び図7に示すように、全点灯状態のゲイン特性と調光点灯状態のゲイン特性とがほぼ同じ特性になり、光源12の点灯状態に関わらず高い応答性が実現される。また、位相余裕も十分に確保されており、高い安定性が実現されている。
なお、図7以外の調光点灯状態においても、調光レベルに応じてフィードバックゲインα1、α2、α3を変化させることで、応答性及び安定性を確保できる。
もし、調光レベルに応じてフィードバックゲインを変化させなければ、SEPIC回路単体の特性に対応するフィードバックゲインは、位相制御電圧Vbの実効値が減少すれば下がり、また光源12を調光点灯状態に制御することでも下がる。また、調光レベルに応じてフィードバックゲインを変化させなければ、調光点灯時の位相余裕が減少する。この結果、本実施形態のような高い応答性及び安定性を確保することはできない。
なお、本実施形態では、制御回路1eがデジタルPID制御を実行するが、デジタルPID制御以外の他の制御を実行してもよい。
上述のように、制御回路1eは、導通角検出信号Sa1に基づく導通角検出値θs1と電流目標値とを予め紐付けている。調光器2が調整する位相制御電圧Vbの導通角θは、環境要因により不安定に微小変動(不安定な変動)することがある。この場合、導通角θの微小変動によって、制御回路1eが認識する調光レベルも微小変動すると、電流目標値も不安定に微小変動してしまう。この結果、負荷電流Ioが微小変動し、光源12の光出力の不安定な微小変動が、人間の目にはチラツキとして認識されてしまう可能性がある。そのため、第1平滑回路112aは、十分に大きな(例えば数秒単位の)第1時定数をもった第1ローパスフィルタによってPWM信号Spを平滑することで、導通角検出信号Sa1を生成している。したがって、導通角検出信号Sa1には、導通角θの微小変動が反映され難くなる。
しかしながら、ユーザが光源12の調光レベルを調節するために調光器2を操作して、位相制御電圧Vbの導通角θが変動すると、導通角検出信号Sa1には、調光器2の操作から第1時定数に応じた遅れ時間(例えば数秒程度)が経過した後に、導通角θの変動が反映される。すなわち、位相制御電圧Vbの導通角θの変動が導通角検出値θs1に反映されるまでには、第1時定数に応じた遅れ時間を要する。調光器2の操作から遅れ時間が経過するまでの期間は、導通角θの変動によって位相制御電圧Vbの実効値(または脈流電圧Vcの平均値)が変動し、この結果、コンバータ1bの回路ゲインが変化する。また、調光器2の操作から遅れ時間が経過するまでの期間では、負荷電流Ioは、位相制御電圧Vbの実効値(または脈流電圧Vcの平均値)の変動に対して、遅れながら追随している。
以降、調光器2の操作から第1時定数に応じた遅れ時間が経過するまでの期間、すなわち、光源12の調光レベルが調光器2による調光レベルの指示値(導通角θに対応する指示値)に一致していない期間を過渡期間と呼ぶ。また、光源12の調光レベルが調光器2による調光レベルの指示値に一致している期間を定常期間と呼ぶ。
過渡期間における位相制御電圧Vbの導通角θと光源12の調光レベル(負荷電流Io)との関係は、定常期間における関係と異なる。図8の特性Y5は定常期間における導通角θと光源12の調光レベルとの関係を示したものである。一方、過渡期間における導通角θと光源12の調光レベルとの関係は、図8の斜線部分Z1、Z2の範囲内で成立する。斜線部分Z1は、導通角θに対応する指示値を上回る調光レベルになる場合に負荷電流Ioがとり得る領域である。斜線部分Z2は、導通角θに対応する指示値を下回る調光レベルになる場合に負荷電流Ioがとり得る領域である。
図8に示すように、導通角θと光源12の調光レベルとの関係は、定常期間と過渡期間とでは異なるので、定常期間に最適なフィードバックゲインα1、α2、α3と過渡期間に最適なフィードバックゲインα1、α2、α3とは、互いに異なる。例えば、ユーザが調光レベルを増加させる操作を調光器2に対して行った場合(導通角θが増加)、位相制御電圧Vbの実効値(または脈流電圧Vcの平均値)が増加し、制御値Y(n)に対するコンバータ1bの回路ゲインが増加する。それにも関わらず、定常期間と過渡期間とでフィードバックゲインα1、α2、α3を切り換えなければ、過渡期間が開始されてから上述の遅れ時間が経過するまで、フィードバックゲインα1、α2、α3は主に定常期間のフィードバックゲインになる。したがって、過渡期間ではフィードバックゲインα1、α2、α3が過大又は過少になる場合がある。フィードバックゲインα1、α2、α3が過大になると、負荷電流Ioが振動して、光源12から発せられる光がちらつくことがある。また、フィードバックゲインα1、α2、α3が過少になると、負荷電流Ioの収束に時間がかかり過ぎる。
そこで、本実施形態では、導通角θの変動により回路ゲインが変化し、一方で負荷電流Ioは導通角θの変動に対して遅れながら追随している過渡期間において、定常期間とは異なるフィードバックゲインα1、α2、α3を設定する。すなわち、電流目標値が同じであっても、定常期間及び過渡期間の各フィードバックゲインα1、α2、α3を、互いに異ならせる。この結果、過渡期間におけるフィードバックゲインα1、α2、α3が過大又は過少となることを抑制できる。
以下、定常期間及び過渡期間の判定方法、並びに定常期間及び過渡期間のそれぞれにおけるフィードバックゲインの設定方法について、具体的に説明する。
制御回路1eは、定常期間では負荷電流Ioの大きさを一定に維持する定常制御を行う。制御回路1eは、過渡期間では負荷電流Ioの大きさを変化させる過渡制御を行う。そして、制御回路1eは、導通角θの複数の値のそれぞれと電流検出値の複数の値のそれぞれとの組み合わせ毎に、定常制御及び過渡制御のいずれかに対応付けた判定用データを予め保持している。判定用データは、導通角θに対応する調光レベルを実現する負荷電流Ioの値を有する組み合わせを定常制御に対応付けている。さらに、判定用データは、導通角θに対応する調光レベルを実現できない負荷電流Ioの値を有する組み合わせを過渡制御に対応付けている。導通角θに対応する調光レベルを実現できない負荷電流Ioの値とは、導通角θに対応する指示値を上回る調光レベルになる負荷電流Ioの値、又は導通角θに対応する指示値を下回る調光レベルになる負荷電流Ioの値である。判定用データは、例えばルックアップテーブルのようなデータ構造で作成される。
そして、制御回路1eは、導通角検出信号Sa1に基づく導通角検出値θs1及び電流検出信号Sdに基づく電流検出値を判定用データに照合することで、定常制御及び過渡制御のいずれを行うかを判定する。
また、制御回路1eは、導通角検出値θs1及び電流検出値を変数とする判定式(関数)を、判定用データとして予め保持してもよい。この場合、制御回路1eは、導通角検出値θs1及び電流検出値を判定式に代入することで、定常制御及び過渡制御のいずれを行うかを判定する。
制御回路1eは、定常制御を行うと判定した場合、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角検出値θs1に対応する電流目標値及び定常制御時のフィードバックゲインを求める。例えば、制御回路1eは、導通角検出値θs1の全範囲に亘る各値に電流目標値を対応付けた第1ルックアップテーブル、及び導通角検出値θs1の全範囲に亘る各値に定常制御時のフィードバックゲインを対応付けた第2ルックアップテーブルを予め記憶している。そして、制御回路1eは、導通角検出値θs1に対応する電流目標値及び定常制御時のフィードバックゲインを、第1ルックアップテーブル及び第2ルックアップテーブルを参照して求める。
また、制御回路1eは、定常制御を行うと判定した場合、導通角検出値θs1を変数として電流目標値を求める第1関数、及び導通角検出値θs1を変数として定常制御時のフィードバックゲインを求める第2関数を予め記憶していてもよい。この場合、制御回路1eは、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角検出値θs1を第1関数及び第2関数にそれぞれ代入して、電流目標値及び定常制御時のフィードバックゲインを求める。
制御回路1eは、過渡制御を行うと判定した場合、導通角検出信号Sa1から読み取った導通角検出値θs1に対応する電流目標値を、定常制御時と同様に求める。そして、制御回路1eは、過渡制御を行うと判定した場合、負荷電流Io、点灯システム11の入力電圧、及び目標とする調光レベルに基づいて、過渡制御時のフィードバックゲインを求める。
参照信号Sa2は、導通角θの変化に対する感度が導通角検出信号Sa1よりも高い。そこで、制御回路1eは、参照信号Sa2から読み取った位相制御電圧Vbの導通角θの値を導通角検出値θs2とする。導通角検出値θs2は、導通角検出値θs1に比べて、導通角θに対する追従性が高い。そこで、制御回路1eは、点灯システム11の入力電圧(位相制御電圧Vbの実効値)として、導通角検出値θs2を用いる。導通角検出値θs2が大きいほど、点灯システム11の入力電圧は大きくなるので、制御回路1eは、導通角検出値θs2の大きさに基づいて、点灯システム11の入力電圧を高感度に監視できる。すなわち、制御回路1eは、導通角検出値θs2の大きさに基づいて点灯システム11の入力電圧を監視することで、点灯システム11の入力電圧に対する追従性が向上する。
さらに、制御回路1eは、目標とする調光レベルとして、導通角検出値θs1又は導通角検出値θs2を用いる。
また、制御回路1eは、負荷電流Ioとして、負荷電流Ioの電流検出値を用いる。
すなわち、制御回路1eは、負荷電流Ioの電流検出値、及び導通角検出値θs2の2変数、又は負荷電流Ioの電流検出値、及び導通角検出値θs1、θs2の3変数に基づいて、過渡制御時のフィードバックゲインを求めることができる。
そこで、制御回路1eは、上述の2変数に基づいて過渡制御時のフィードバックゲインを求める場合、負荷電流Ioの電流検出値、及び導通角検出値θs2の組み合わせ毎に過渡制御時のフィードバックゲインを対応付けた第3ルックアップテーブルを予め記憶している。そして、制御回路1eは、電流検出値、及び導通角検出値θs2の組み合わせに対応する過渡制御時のフィードバックゲインを、第3ルックアップテーブルを参照して求める。
また、制御回路1eは、電流検出値、及び導通角検出値θs2を変数として、過渡制御時のフィードバックゲインを求める関数を予め記憶し、この関数に電流検出値、及び導通角検出値θs2を代入することで、過渡制御時のフィードバックゲインを求めてもよい。
また、制御回路1eは、上述の3変数に基づいて過渡制御時のフィードバックゲインを求める場合、負荷電流Ioの電流検出値、及び導通角検出値θs1、θs2の組み合わせ毎に過渡制御時のフィードバックゲインを対応付けた第3ルックアップテーブルを予め記憶している。そして、制御回路1eは、電流検出値、及び導通角検出値θs1、θs2の組み合わせに対応する過渡制御時のフィードバックゲインを、第3ルックアップテーブルを参照して求める。
また、制御回路1eは、電流検出値、及び導通角検出値θs1、θs2を変数として、過渡制御時のフィードバックゲインを求める関数を予め記憶し、この関数に電流検出値、及び導通角検出値θs1、θs2を代入することで、過渡制御時のフィードバックゲインを求めてもよい。
ここで、負荷電流Io、及び目標とする調光レベルに基づいて、調光器2の操作によって導通角θが増加しているのか、又は調光器2の操作によって導通角θが減少しているのか、を区別できる。負荷電流Ioの検出値に対して、導通角検出値θs2(目標とする調光レベル)が大きすぎれば、調光器2の操作によって導通角θが増加している。また、制御回路1eは、負荷電流Ioの検出値に対して、導通角検出値θs2(目標とする調光レベル)が小さすぎれば、調光器2の操作によって導通角θが減少している。この過渡期間における導通角検出値θs2と負荷電流Ioの電流検出値との関係は、図8の斜線部分Z1、Z2に対応する。
そして、上述の第3ルックアップテーブル又は関数では、導通角θが増加する方向に調光器2が操作されると、当該過渡制御におけるフィードバックゲインを、当該過渡制御に移行する直前の定常制御におけるフィードバックゲインよりも小さくする。
また、上述の第3ルックアップテーブル又は関数では、導通角θが減少する方向に調光器2が操作されると、当該過渡制御におけるフィードバックゲインを、当該過渡制御に移行する直前の定常制御におけるフィードバックゲインよりも大きくする。
上述のように、点灯システム11は、過渡制御時には、定常制御時とは異なるフィードバックゲインを用いて、負荷電流Ioをフィードバック制御する。したがって、点灯システム11は、導通角θに応じて光源12の明るさをフィードバック制御する場合に、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
(第1変形例)
第1変形例の制御回路1eは、以下のように、定常期間及び過渡期間を判定してもよい。
図9は、時間t1に導通角θがθ1からθ2に変化した場合の導通角検出信号Sa1、参照信号Sa2、及び脈流電圧Vcの各波形を示す。導通角θ2は導通角θ1より小さく、調光レベルが低下する方向に調光器2が操作されている。
時間t1以前では、導通角θはθ1であり、導通角検出信号Sa1の電圧値及び参照信号Sa2の電圧値は、互いにほぼ同じ値である。したがって、参照信号Sa2の電圧値から導通角検出信号Sa1の電圧値を差し引いた値を差分信号値とすると、差分信号値は、一定の範囲内に収まっている。制御回路1eは、差分信号値が一定の範囲に収まっていれば、定常制御を行う。
時間t1に導通角θはθ1からθ2に変動し、時間t1以降では、時定数の小さな参照信号Sa2の電圧値は急激に降下するが、時定数の大きな導通角検出信号Sa1の電圧値はゆっくりと降下する。したがって、時間t1以降では、差分信号値の絶対値は徐々に大きくなり、制御回路1eは、差分信号値が一定の範囲を超えると過渡制御を行う。
例えば、導通角θが増加する方向に調光器2が操作されると、差分信号値が正値になる。制御回路1eは、過渡制御を行うときに差分信号値が正値であれば、当該過渡制御におけるフィードバックゲインを、当該過渡制御に移行する直前の定常制御におけるフィードバックゲインよりも小さくする。
導通角θが減少する方向に調光器2が操作されると、差分信号値が負値になる。制御回路1eは、過渡制御を行うときに差分信号値が負値であれば、当該過渡制御におけるフィードバックゲインを、当該過渡制御に移行する直前の定常制御におけるフィードバックゲインよりも大きくする。
第1変形例においても、制御回路1eは、定常期間及び過渡期間を精度よく判定することができる。
(第2変形例)
図10は、点灯システム11の第2変形例を示す。
調光レベルが低くなるほど負荷電流Ioが小さくなるため、電流検出信号Sdのノイズ耐性は、調光レベルが低くなるほど低下する。例えば、光源12が1%の調光点灯状態である場合、電流検出信号Sdの電圧値は、100%の全点灯状態時の電流検出信号Sdの電圧値に比べて、100分の1になる。
そこで、第2変形例の点灯システム11は、オフセット回路1mをさらに備える。オフセット回路1mは、電流検出値が増大する方向に電流検出信号Sdの大きさをオフセットさせる。そして、制御回路1eは、オフセットされた電流検出信号Sdに基づいて電流検出値を求める。
具体的に、オフセット回路1mは、電流検出回路1jに所定値の直流電流をさらに流すことで、電圧値が大きくなる方向にオフセットした電流検出信号Sdを生成し、電流検出信号Sdのノイズ耐性を向上させている。ここで、オフセット回路1mにおける電力損失を低減し、かつ制御回路1eに掛かる電気的なストレスを低減するために、オフセット回路1mは、第1制御電圧Vd1又は第2制御電圧Vd2を電源として、電流検出回路1jに供給する直流電流を生成することが好ましい。なお、図10では、オフセット回路1mの電源を第2制御電圧Vd2としている。
(第3変形例)
図11は、点灯システム11の第3変形例を示す。
上述のように、調光レベルが低くなるほど負荷電流Ioが小さくなるため、電流検出信号Sdのノイズ耐性は、調光レベルが低くなるほど低下する。
そこで、第3変形例の点灯システム11は、偏差増幅回路1nをさらに備える。偏差増幅回路1nは、電流目標値と電流検出値との偏差を増幅させることで、点灯状態に関わらずノイズ耐性を向上させることができる。
具体的に、制御回路1eは、電流目標値に対応する大きさの直流電圧を、電流目標信号Sfとして偏差増幅回路1nへ出力する。偏差増幅回路1nは、電流目標信号Sfの電圧値と電流検出信号Sdの電圧値との差分電圧を増幅し、偏差信号Sgとして制御回路1eへ出力する。そして、制御回路1eは、偏差信号Sgの電圧値に基づいて偏差を求める。偏差信号Sgの電圧値が大きいほど、偏差は大きく、偏差信号Sgの電圧値が小さいほど、偏差は小さくなる。
(第4変形例)
上述の実施形態、第1変形例、第2変形例、及び第3変形例では、調光レベルの指示値が低いほど、フィードバックゲインの絶対値を大きくして、フィードバック制御の応答性を早くする(位相余裕を大きくする)ことで、光のちらつきを低減させている。この場合、調光レベルの指示値に応じてちらつきを回避可能なフィードバックゲインの値を設定する必要がある。しかしながら、点灯システム11が、順方向電圧の特性が異なる複数の光源のそれぞれを光源12として用いることができるマルチ負荷タイプのシステムである場合、光源12の順方向電圧の特性によって、ちらつきを回避可能なフィードバックゲインの値が異なる。
そこで、第4変形例では、点灯システム11は、負荷電圧検出回路を備える。負荷電圧検出回路は、光源12の両端電圧である負荷電圧Vfを検出し、負荷電圧検出信号を出力する。負荷電圧検出信号は、負荷電圧Vfの大きさに比例する電圧値の電圧信号になり、負荷電圧検出信号の電圧値が負荷電圧値に相当する。すなわち、負荷電圧値は、負荷電圧検出信号に基づく負荷電圧Vfの大きさを表す。
制御回路1eは、負荷電圧検出信号に基づいて負荷電圧値を読み取り、負荷電圧値に応じてフィードバックゲインを補正する。具体的に、負荷電圧値が小さいほどフィードバックゲインの絶対値がそれぞれ大きくなる。この結果、交流電圧Vaの値の瞬時的な変動に追従してオンデューティDonを変化させるフィードバック制御の応答性及び安定性が向上し、負荷電流Ioの変動を抑えることができる。
すなわち、複数の光源のそれぞれを光源12として用いることができるマルチ負荷タイプの点灯システム11であっても、光源12として用いられる光源の順方向電圧の特性に応じたフィードバックゲインを設定することができる。この結果、光源12として用いられる光源の順方向電圧の特性に関わらず、光源12が発する光のちらつきを低減することができる。
なお、光源12が有する複数の固体発光素子の各々は、LEDに限らず、有機EL(Organic Electro Luminescence、OEL)、又は無機ELなどの他の固体発光素子であってもよい。また、固体発光素子の数は、複数に限らず、1つであってもよい。複数の固体発光素子の電気的な接続関係は、直列接続、並列接続のいずれであってもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせた接続関係であってもよい。
図12Aは、天井パネル5に埋込配設されるダウンライトである照明器具B1を示す。照明器具B1は、上述の点灯システム11と、上述の光源12と、筐体31,32とを備える。筐体31は、アルミニウムなどの金属によって、上面が閉塞され、下面が開口した有底の円筒形状に形成されている。筐体31は光源12を支持し、筐体31の上底面には、光源12が取り付けられている。光源12は、基板上に複数のLEDが実装されている。また、筐体31の下面開口は円板状のカバー33で閉塞されている。カバー33は、ガラス又はポリカーボネートなどの透光性材料で形成されている。点灯システム11は、矩形箱状に形成された金属製の筐体32に収納され、筐体32に支持されており、天井パネル5の上面に配置されている。点灯システム11は、電気ケーブル41及びコネクタ42を介して光源12に電気的に接続されている。
図12Bは、天井パネル5に埋込配設される別のダウンライトである照明器具B2を示す。照明器具B2は、上述の点灯システム11と、上述の光源12と、筐体61とを備える。筐体61は、アルミニウムなどの金属によって、上面が閉塞され、下面が開口した有底の円筒形状に形成されている。筐体61の下面開口は、円板状のカバー62で閉塞されている。カバー62は、ガラス又はポリカーボネートなどの透光性材料で形成されている。筐体61内は、円板状の仕切板63によって上下に分割されている。仕切板63の上面側には、点灯システム11が配置されており、筐体61は点灯システム11を支持している。仕切板63の下面には、光源12が配置されている。点灯システム11は、仕切板63の通線孔64を通る電気ケーブル71によって、光源12と電気的に接続されている。
照明器具B1,B2のそれぞれは、上述の点灯システム11を備えるので、導通角θに応じて光源12の明るさをフィードバック制御する場合に、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
なお、上述の点灯システム11では、光源12としてLEDなどの固定発光素子を想定し、点灯システム11は、負荷電流Ioを定電流制御する。一方、光源12が定電圧制御を要求する場合においては、出力電圧Voを負荷パラメータとし、点灯システム11が出力電圧Voを定電圧制御すればよい。この場合、電圧検出回路1kが負荷検出回路に相当し、電圧検出信号Seが負荷検出信号に相当する。さらに、出力電圧Voの目標値(電圧目標値)が負荷パラメータの目標値に相当する。そして、点灯システム11が出力電圧Voを定電圧制御する場合でも、点灯システム11が負荷電流Ioを定電流制御する場合と同様の効果を得ることができる。つまり、フィードバックする負荷パラメータを負荷電流Ioから出力電圧Voに置き換えることで、導通角θに応じて出力電圧Voをフィードバック制御する場合でも、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
以上のように、実施形態に係る第1の態様の点灯システム11は、電源回路110と、負荷検出回路(電流検出回路1j)と、位相検出回路1dと、制御回路1eと、を備える。電源回路110は、交流電圧Vaの通電期間である導通角θが可変に設定された位相制御電圧Vbを入力され、スイッチング素子のオンデューティが制御されることで光源12に直流電力を供給する。負荷検出回路は、電源回路110が光源12に供給する負荷電流Io又は電源回路110が出力する出力電圧Voを負荷パラメータとして、負荷パラメータの大きさに応じた負荷検出信号(電流検出信号Sd、電圧検出信号Se)を出力する。位相検出回路1dは、導通角θを検出して導通角検出信号Sa1を出力する。制御回路1eは、導通角検出信号Sa1に基づく導通角θの検出値(導通角検出値θs1)に応じて負荷パラメータの目標値(電流目標値、電圧目標値)を設定する。制御回路1eは、負荷検出信号に基づく負荷パラメータの大きさを表す負荷検出値(電流検出値、電圧検出値)と目標値との差分を偏差とする、制御回路1eは、偏差を小さくするためのスイッチング素子のオンデューティDonの制御値Y(n)を求め、制御値Y(n)に基づいてオンデューティDonを調整するフィードバック制御を行う。そして、制御回路1eは、負荷パラメータの大きさを一定に維持する定常制御におけるフィードバック制御のフィードバックゲインα1、α2、α3と、負荷パラメータの大きさを変化させる過渡制御におけるフィードバック制御のフィードバックゲインα1、α2、α3とを異ならせる。
上述の点灯システム11は、導通角θに応じて光源12の明るさをフィードバック制御する場合に、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
また、実施形態に係る第2の態様の点灯システム11では、第1の態様において、制御回路1eは、導通角検出値θs1及び負荷検出値に基づいて、定常制御及び過渡制御のいずれを行うかを判定することが好ましい。
上述の点灯システム11は、定常制御及び過渡制御のいずれを行うべきかを精度よく判定できる。
また、実施形態に係る第3の態様の点灯システム11では、第1の態様において、位相検出回路1dは、PWM回路111と、信号平滑回路112と、を有することが好ましい。PWM回路111は、導通角θに応じたオンデューティのPWM信号Spを生成する。信号平滑回路112は、PWM信号Spを平滑し、導通角検出信号Sa1、及び参照信号Sa2を生成する。信号平滑回路112は、第1時定数でPWM信号Spを平滑することで導通角検出信号Sa1を生成し、第1時定数より小さい第2時定数でPWM信号Spを平滑することで参照信号Sa2を生成する。制御回路1eは、導通角検出値θs1に応じて目標値を設定し、少なくとも参照信号Sa2を用いて、定常制御及び過渡制御のいずれを行うかを判定する。
上述の点灯システム11は、定常制御及び過渡制御のいずれを行うべきかを精度よく判定できる。
また、実施形態に係る第4の態様の点灯システム11では、第3の態様において、信号平滑回路112は、第1平滑回路112aと、第2平滑回路112bと、を備えることが好ましい。第1平滑回路112aは、第1時定数に対応するローパスフィルタを有して導通角検出信号Sa1を生成する。第2平滑回路112bは、第2時定数に対応するローパスフィルタを有して参照信号Sa2を生成する。
上述の点灯システム11は、定常制御及び過渡制御のいずれを行うべきかを精度よく判定できる。
また、実施形態に係る第5の態様の点灯システム11では、第3又は第4の態様において、制御回路1eは、過渡制御を行う場合、少なくとも負荷検出値、及び参照信号Sa2に基づいて、フィードバックゲインα1、α2、α3を設定することが好ましい。
上述の点灯システム11は、過渡制御時におけるフィードバックゲインα1、α2、α3が過大又は過少になることを抑制できる。
また、実施形態に係る第6の態様の点灯システム11は、第1乃至第5の態様のいずれか一つにおいて、制御回路1eは、導通角θが増加して過渡制御を行う場合、当該過渡制御におけるフィードバックゲインα1、α2、α3を、定常制御におけるフィードバックゲインα1、α2、α3よりも小さくすることが好ましい。
上述の点灯システム11は、過渡制御時におけるフィードバックゲインα1、α2、α3が過大になることを抑制でき、過渡制御時における負荷パラメータ(負荷電流Io、出力電圧Vo)の振動を抑制できる。
また、実施形態に係る第7の態様の点灯システム11は、第1乃至第6の態様のいずれか一つにおいて、制御回路1eは、導通角θが減少して過渡制御を行う場合、当該過渡制御におけるフィードバックゲインα1、α2、α3を、定常制御におけるフィードバックゲインα1、α2、α3よりも大きくすることが好ましい。
上述の点灯システム11は、過渡制御時におけるフィードバックゲインα1、α2、α3が過少になることを抑制でき、過渡制御時における負荷パラメータ(負荷電流Io、出力電圧Vo)の収束に要する時間を短縮できる。
また、実施形態に係る第8の態様の照明制御システムA1は、交流電源9に接続された第1乃至第7の態様のいずれか一つの点灯システム11と調光器2との直列回路を備える。調光器2は、交流電源9の交流電圧Vaの通電期間である導通角θが可変に設定された位相制御電圧Vbを点灯システム11へ出力する。
上述の照明制御システムA1は、導通角θに応じて光源12の明るさをフィードバック制御する場合に、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
また、実施形態に係る第9の態様の照明器具B1,B2は、第1乃至第7の態様のいずれか一つの点灯システム11と、点灯システム11から負荷電流Ioを供給される光源12と、少なくとも光源12が支持される筐体31,32,61と、を備える。
上述の照明器具B1,B2は、導通角θに応じて光源12の明るさをフィードバック制御する場合に、フィードバックゲインが過大又は過少になることを抑制できる。
また、上述の実施形態及び変形例は一例である。このため、本発明は、上述の実施形態及び変形例に限定されることはなく、この実施形態及び変形例以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。