以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では同一または相当する構成要素には同一の符号を付して、重複した説明を省略する。また、以下では、ポンプ装置およびポンプシステムの一例として、給水装置および給水システムについて説明するが、こうした例には限定されない。
図1は、本発明の実施形態に係る給水システムの構成の一例を示す図である。図示するように、給水システム100は、ポンプにて建物に水を給水するための複数の給水装置10A〜10C(以下、給水装置10ともいう)と、給水装置10における各種情報を管理するための管理装置90と、を備えている。
本実施形態において、給水装置10A〜10Cは同様の構成であり、以下では重複する説明を省略する。なお、給水装置10A〜10Cは、互いに異なる構成であってもよい。また、図1では、3つの給水装置10A〜10Cが示されているが、給水システム100における給水装置10は、管理装置90と無線通信98aができればよく、給水システム100が、2つ、又は4つ以上の給水装置を備えるものとしてもよい。また、本実施形態では、複数の給水装置10は、例えば同じポンプ室内に配置されるなど、管理装置90が発した無線通信98aの信号が同時に受信できる互いに近い場所に設けられるものとして説明するが、こうした例には限定されない。例えば、管理装置90は、複数のビルやマン
ション等の建物を管理する管理者によって所有されてもよい。本実施形態の給水装置10は、管理装置90と無線通信98aを行う外部通信部73と管理装置90との通信を確立するためのペアリングスイッチ11a、11bを備えている。ペアリングスイッチ11a、11bの詳細については後述する。
本実施形態の管理装置90は、給水装置10とは別の装置であり、一例として複数の給水装置10を管理する管理者やメンテナンスを行うメンテナンス員等にて所有され使用される。つまり、管理装置90は、複数のポンプ装置10A,10B,10CのそれぞれとN対1の無線通信98a(Nは、複数の給水装置10の台数)ができるように構成されている。また、管理装置90としては、ユーザーが持ち運び可能な端末が採用されてもよく、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等PDA(Personal
Digital Assistant)に代表される汎用機器、または遠方監視器などの専用端末が採用されてもよい。図1に示すように、実施形態の管理装置90は、演算部92と、表示部の一例としての操作表示部93と、通信部94と、記憶部95と、を備えている。なお、管理装置90は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ等を備え、ソフトウェアを用いて所定の機能を実現するマイクロコンピュータにて構成されてもよいし、専用の演算処理を行うハードウェア回路にて構成されてもよい。また、管理装置90は、単一の装置によって構成されるものに限定されず、一例として互いに離隔して設けられた複数の装置によって構成されてもよい。
演算部92は、記憶部95に格納されているプログラム及び各種データ等に基づいて、給水装置10を管理するための各種データ(例えば特定情報)の設定、及び、演算等を行う。操作表示部93は、ユーザーインターフェースとして機能し、記憶部95に格納されている各種データを表示することができる。
通信部94は、無線通信98aによって給水装置10と通信可能なように構成されている。一例として、通信部94は、Bluetooth(登録商標)およびWi−Fi(登録商標)など、任意の方式の無線通信98aを利用して給水装置10と通信する。また、無線通信98aは、一例として、3MHz〜30MHzの短波(HF)帯の電波、又は30MHz〜300Mzの超短波(VHF)帯の電波など、任意の周波数の電波が使用されてもよい。
記憶部95には、管理装置90を制御するための制御プログラムが記憶されている。また、記憶部95には、複数の給水装置から無線通信98aにて取得した装置情報、給水装置の機種ごとのメンテナンス情報、ならびに、管理している給水装置ごとの運転関連情報、故障履歴、及びメンテナンス履歴などが格納される管理用データが記憶されている。記憶部95としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリが使用される。記憶部95には、各種データ、例えば演算部92における演算結果のデータ(異常情報、メンテナンス情報)、及び通信部94を通じて入力される、または通信部94を通じて出力されるデータ等が格納される。
管理装置90は、無線通信98aを介して取得した給水装置10の各種情報を外部に出力できるとよい。例えば、管理装置90は公衆回線や任意のネットワーク等を介して、無線通信98aにて取得した情報を、管理者のサーバー等に送信できるとよい。また、管理装置90は、当該情報をUSBやメモリに出力できるとよい。
続いて、給水装置10の具体的な構成について説明する。図2は、実施形態に係る給水装置の構成の一例を示す図である。給水装置は、戸建て、マンション、オフィスビル、商業施設、工場、又は、学校等の建物に水を供給するための装置として使用される。図2で
は、給水装置10が直結給水方式で使用されており、給水装置10の吸込口102は、導入管105を介して水道管(水道本管)104に接続されている。ただし、給水装置10は、給水装置10の上流側の図示しない受水槽を介して水道管104の水を供給する受水槽方式で使用されてもよい。給水装置10の吐出口103には給水管107が接続されており、この給水管107は、各建物の給水栓(例えば蛇口110)に連通している。給水装置10は、水道管104(または受水槽)からの水を増圧または加圧し、建物の各給水栓に水を供給する。
図2に示すように、本実施形態の給水装置10は、水道管104(または受水槽)からの水を増圧または加圧する2台のモータポンプ40と、モータポンプ40の可変速制御器の一例であるインバータ装置50と、モータポンプ40を制御する制御部60と、を備える。モータポンプ40は、図示しない羽根車を有するポンプ44と、ポンプ44に動力を供給する電動機の一例であるモータ42と、を有する。なお、本実施形態では、2台のモータポンプ40が設けられるものとしたが、1台または3台以上のモータポンプが設けられてもよい。
ポンプ44の上流側(吸込側)には、逆流防止装置25が設けられている。本実施形態では、逆流防止装置25は、給水装置10の吸込口を画定する吸込管101に設けられており、給水装置10から水道管104への水の逆流を防止する。逆流防止装置25の上流側には、圧力センサ21が設けられている。圧力センサ21は、ポンプ44の吸込圧力を測定するための圧力測定器である。
ポンプ44の下流側(吐出し側)には、逆止弁23と、フロースイッチ24と、圧力センサ26と、圧力タンク28と、が設けられている。図1に示す例では、ポンプ44、逆止弁23、および、フロースイッチ24が2組設けられ、これらは並列に設けられている。複数台のポンプ44を設けることにより、一部のポンプ44が運転不可となった場合には、運転可能な他のポンプ44にて給水を継続し極力断水を避けるようになっている。
逆止弁23は、ポンプ44の吐出口に接続された吐出管32に設けられており、ポンプ44が停止したときの水の逆流を防止する。逆止弁23の下流側(二次側)には、フロースイッチ24が設けられている。フロースイッチ24は、吐出管32を流れる水の流量が所定の値にまで低下したこと、すなわち過少水量(小水量)を検出する流量検出器である。ただし、フロースイッチ24は、吸込管101、又は吐出し管32の合流管33に1つのみ設けられてもよいし、なくてもよい。また、一端が吐出し口103を画定する合流管33には、圧力センサ26、及び圧力タンク28が設けられている。圧力センサ26は、ポンプ44の吐出し圧力を測定するための圧力測定器である。圧力タンク28は、ポンプ44が停止している間の吐出し圧力を保持するための圧力保持器である。
インバータ装置50は、制御部60からの制御指令に基づいてモータ42を可変速制御する。一例として、インバータ装置50は、ポンプ44の目標回転速度に基づいて指令周波数を算出(例えばPID制御等)し、この指令周波数とモータ42の実際の周波数との差分を最小とするためのPWM信号を生成する。
給水装置10の制御部60は、給水装置10を制御するために設けられている。本実施形態の制御部60は、記憶部(制御用メモリ)66と、演算部67と、I/O部68と、外部通信部73と、を備えている。また、運転パネル70を備えていてもよい。
制御部60の記憶部66としては、ROM、HDD、EEPROM、FeRAM、及び、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリが使用される。記憶部66には、給水装置10を制御するための制御プログラム、装置情報、設定値情報、履歴
情報、運転情報、及び異常情報など、給水装置10に関する各種情報が記憶される。
装置情報は、ポンプ44の台数、ポンプ44の口径、給水量、全揚程、締切揚程、モータ42のモータ出力容量、給水方式(例えば直結給水方式、受水槽方式など)、インバータ装置50の台数、および、ポンプ装置10の機種を示すポンプ装置機種識別情報(例えば機名、型番、製造時に付与される一意のシリアル番号など)を含む。
設定値情報は、主に給水装置10の使用環境、装置構成、および、給水方式等によって値が変更される情報であり、作業者が外部入力によって変更可能な情報である。なお、本実施形態では、設定値情報は、設定部71、外部通信部73、またはI/O部68(図示しない外部入力端子)を通じた入力により設定可能である。本実施形態では、設定部71を通じた入力と、外部通信部73を通じた入力と、I/O部68の外部入力端子に入力された信号とを、「外部入力」という。なお、装置情報も外部入力により変更可能としてもよい。
異常情報は、給水装置10における異常に関する情報である。異常情報は、現在検出中の異常を含む各種警報(インバータトリップ、吐出し圧力異常低下、各種センサ異常等)および異常(流入圧低下または受水槽の満水渇水減水等)に関する情報等を含む。また、異常情報は、インバータ装置50における交換またはメンテナンスを促すための情報などを含むとよい。
履歴情報は、給水装置の各種履歴に関する情報である。履歴情報は、モータポンプ40の積算運転時間並びに積算運転回数、給水装置10にける警報履歴、各種通信の履歴、各種操作履歴等を含むとよい。
運転情報は、給水装置10における現在の状態を示す情報であり、一定の周期(数10mSECから数秒の間隔)にて更新される。運転情報は、現在のモータポンプ40のそれぞれの運転または停止状態、モータポンプ40の回転速度、モータポンプ40を駆動するモータに流れる電流値、給水装置10の入力電圧、モータポンプ40の吸込圧力、モータポンプ40の吐出し圧力、および、目標圧SV等を含む。また、I/O部68に入力される各種センサ類の値や出力信号等を含んでもよい。
制御部60の演算部67としては、例えばCPUが使用される。演算部67は、記憶部66に格納されている制御プログラム及び各種データ、並びにI/O部68から入力される信号に基づいて、給水装置10を構成する各機器を制御するための演算等を行う。また、演算部67は、外部通信部73並びにI/O部68等における通信制御や運転パネル70における表示や操作の制御を行う。演算部67における演算結果は、記憶部66に記憶されるとともに、I/O部68、外部通信部73に出力される。
I/O部68としては、ポート等が使用される。I/O部68は、図示しない各種センサからの検出信号等を受け入れて演算部67に送る。また、I/O部68は、RS422,RS232C,RS485等シリアル通信やEthernet等のパケット通信等の有線もしくは無線等の通信により各インバータ装置50と互いに接続されている。インバータ装置50は、Modbus、またはTCP/IP、又はメーカー特有の通信プロトコルなどのメーカー毎に共通した通信プロトコルを用いて制御部60と通信可能に構成されている。
運転パネル70は、記憶部66に記憶される各種データを、演算部67を介して表示ならびに変更することができるGUI(Graphical User Interface)である。具体的には、運転パネル70は、装置情報および設定値情報の表示および設
定変更、異常情報の表示およびリセット、並びに、運転情報の表示等を行う。本実施形態の運転パネル70は、設定部71と表示部72を備える。なお、制御部60と運転パネル70は別々の基板としてもよい。この場合、制御部60と運転パネル70とは、シリアル通信もしくは信号線等の有線、または無線にて接続されるとよい。また、運転パネル70は、CPUを備えて該CPUにて表示操作の制御をしたり、制御部60および外部装置との通信制御を行ったりしてもよい。また、運転パネル70は、警告音や操作音を鳴らすためのブザー(不図示)を備えてもよい。
運転パネル70の設定部71は、制御部60の情報入力部であって、ユーザーの外部操作により給水装置10における自動給水の運転/停止、警報リセット、及び、各種データの設定変更等の各種入力操作を行うために使用される。設定部71は、不図示の操作ボタンまたはタッチパネル等を備えるとよい。設定部71を通じて外部操作によって入力された情報は記憶部66に記憶される。
また、給水装置10には管理装置90との無線通信98aを確立するための通信確立機構としてのペアリングスイッチ11a(第2の通信確立機構)、及びペアリングスイッチ11b(第1の通信確立機構)が設けられている。一実施形態として、ペアリングスイッチ11a、11bは設定部71に備えられる。本実施形態では、ペアリングスイッチ11aは、建物の住人または建物の管理人等の管理装置90の一部の機能を使用することが制限された権限のユーザー(以下、「一般ユーザー」ともいう)用に設けられており、ペアリングスイッチ11bは、技術者またはメンテナンス員等の管理装置90の全ての機能を使用する権限のあるユーザー(以下、「特別ユーザー」ともいう)用に設けられている。
特別ユーザー用のペアリングスイッチ11bは、給水装置10に対して所定の操作または所定の認証を行うことにより所定の保護モードが解除されているときに操作できるように構成されるとよい。なお、ペアリングスイッチ11a、11bは、表示部72のタッチパネル式の画面上に現れる仮想的なスイッチとしてもよいし、ボタン等の機械的なスイッチとしてもよい。なお、ペアリングスイッチ11a、11bは、物理的に区別されるものに限定されず、例えば単一のペアリングスイッチが設けられ、所定の保護モードが機能しているときにはペアリングスイッチ11aとして機能し、所定の保護モードが解除されているときにはペアリングスイッチ11bとして機能するように構成されてもよい。ユーザーによってペアリングスイッチ11a、11bが操作されると、それをトリガとして、給水装置10から通信要請信号が送信されて給水装置10と管理装置90とのペアリングが開始される。ペアリングの詳細については後述する。また、ペアリングスイッチ11bは、一般ユーザーによる誤操作を防止するため、給水装置10の正面から視認できないところに設けられてもよい。例えば、ペアリングスイッチ11bは、ペアリングスイッチ11aとは別の場所、つまり、運転パネル70を避けた制御部60の基板上や制御盤内に設けられてもよい。
運転パネル70の表示部72は、ユーザーインターフェースとして機能し、記憶部66に格納されている各種データを表示できるように構成されている。給水装置10が機械室またはポンプ室などの電気的なノイズの多い環境に設置される場合に備えて、表示部72として、液晶表示およびタッチパネルよりも電気的ノイズに強い7セグメントLEDまたは表示灯、並びに、機械的な押圧ボタンなどにて構成された表示器が使用されてもよい。これにより、給水装置10を電気的ノイズの多い環境下にも設置することができる。ただし、表示部72としては、電気的ノイズに強い表示器に限定されず、ドットマトリクス方式による液晶表示器などが使用されてもよい。
外部通信部73は、有線通信または無線通信である通信99によって外部端末80と通信可能なように構成されている。外部通信部73における通信99の無線通信としては、
例えば近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)の技術を利用することができる。また、Bluetooth(登録商標)およびWi−Fiなど、任意の方式の無線通信を利用することができる。ここで、NFCは、制御部60と外部端末80とを近づけるだけで通信99を完了させることができる点で有利である。また、通信99の有線通信としては、例えば制御部60にUSB(Universal Serial Bus)のような外部接続端子が設けられ、ここに外部端末80が接続されることによって通信がなされてもよいし、RS422,RS232C,RS485等のシリアル通信を用いてもよい。なお、外部端末80としては、例えばスマートフォン、携帯電話、パソコン、タブレット等のPDAに代表される汎用機器、または遠方監視器などの専用端末が採用されてもよい。
外部通信部73は、更に、無線通信98aによって管理装置90の通信部94と通信可能なように構成されている。一例として、無線通信98aとしてBluetooth(登録商標)およびWi−Fiなど、任意の方式の無線通信を利用してもよい。また、無線通信98aは、一例として、3MHz〜30MHzの短波(HF)帯の電波、又は30MHz〜300Mzの超短波(VHF)帯の電波など、任意の周波数の電波が使用されてもよい。
なお、制御部60に運転パネル70または表示部72が設けられずに、外部通信部73を通じて外部表示器80または管理装置90にて運転パネル70または表示部72の機能を実施するものとしてもよい。給水装置10には表示器自体を設ける必要がなくなるので、給水装置10全体のコストを下げることが可能である。この場合でも、ペアリングスイッチ11a、11bは給水装置10に設けられる。また、ペアリングスイッチ11a、11bは制御部に配置されることが好ましい。
以上説明した給水装置10を構成する各構成要素の少なくとも一部は、キャビネットや屋外カバー等の函体30内に収容される。函体30には窓部30aが設けられ、操作者は当該窓部30aを介してペアリングスイッチ11a、11bにアクセスできるとよい。なお、函体30を備えていないタイプの給水装置もある。
こうした給水装置10では、制御部60によって以下の自動給水(ポンプ44の自動運転制御)が行われる。制御部60内のポンプ44が停止している状態で吐出し圧力が所定の始動圧力以下に至ると、制御部60はポンプ44の始動条件が成立したものと判断して、ポンプ44のうち少なくとも1台を所定の始動回転速度で始動させる。なお、ポンプ44の始動条件は、吐出し圧力が始動圧力Pstart以下に至ることに代えて、または加えて予め定められた種々の条件が用いられてもよい。ポンプ44の運転中、制御部60は設定された圧力(設定圧)により既知の推定末端圧力一定制御または目標圧力一定制御などのポンプ44の回転速度制御を行う。具体的に、制御部60は推定末端圧力一定制御の場合はポンプ44の回転速度と目標圧力制御カーブとを用いて目標圧(SV)を設定し、目標圧力一定制御の場合は設定圧を目標圧(SV)とする。また、吐出し圧力を現在圧(PV)とする。そして、制御部60は、SVとPVの差に基づいて、比例ゲインGp、及び、積分ゲインGiを用いたPI演算、もしくは、比例ゲインGp、積分ゲインGi、及び、微分ゲインGdを用いたPID演算を行い、ポンプ44の回転速度を算出する。また、制御部60は、本実施形態のようにポンプ44が複数台ある場合は、同時に起動可能なポンプ台数(ポンプ並列運転台数)にて水量に応じたポンプの台数制御も行う。
ポンプ44にて給水中に建物での水の使用が少なくなると、フロースイッチ24は、過少水量を検出し、その検出信号を制御部60に送る(小水量状態)。制御部60はこの検出信号を受け、吐出し圧力が所定の停止圧力に達するまでポンプ44の回転速度を増加させ圧力タンク28に蓄圧した後、ポンプ44を停止(小水量停止)させる。ポンプ44が小水量停止した後に、再び建物内で水が使用されると吐出し圧力が始動圧力以下まで低下
しポンプ44が始動する(小停再始動)。なお、本実施形態のようにポンプ44が複数台ある場合には、始動するポンプ44をローテーションさせ、ポンプ44内に水が滞留するのを防ぐことが好ましい。また、小水量を検知する方法としては、フロースイッチ24を用いずに、モータ42の電流値による低負荷や締切り圧力等その他の手段を用いてもよい。
次に、給水システム100における給水装置10と管理装置90との無線通信98aについて説明する。本実施形態では、図1に示すように、管理装置90は、3台の給水装置10A,10B,10Cと1対3の無線通信98aが可能なように構成されている。このため、給水装置10と管理装置90とが1対1で通信する従来の給水装置10では、管理装置90による無線通信98aの距離範囲内に複数の給水装置10A、10B、10Cが位置すると管理装置90が送信した信号を給水装置10A、10B、10Cが受信できてしまい、管理装置90が給水装置10A、10B、10Cのうちの何れかと通信しようとしているのか識別できない。ここで、給水装置10は、ライフラインに関するものであり、例えば、断水を避けるために、給水装置10A、10Bにて給水を継続しながら給水装置10Cのポンプ44を停止した状態でメンテナンスを行うことがある。そこで、管理装置90が誤って給水中の給水装置10A、10Bにポンプ44の停止指令をしたり、メンテナンス中の給水装置10Cに運転指令を送信するなどの意図しないアクセスを防止することが望まれる。このため、本実施形態では、複数の給水装置10A、10B、10Cと管理装置90とがそれぞれの無線通信98aを確実に確立するために、互いの認証(以下、「ペアリング)ともいう)を行う。
図3は、給水装置10と管理装置90とが無線通信98aを確立する際の動作の一例を示す図である。以下、説明のため、給水装置10Aと管理装置90とが無線通信98aを確立させるが、給水装置10Bまたは10Cと管理装置90とが無線通信98aを確立させる場合も同様である。給水装置10Aと管理装置90との無線通信98aを確立する際には、まずユーザーが、給水装置10Aに設けられたペアリングスイッチ11a、11bを操作する(SU01)。具体的には、一例として、ペアリングスイッチ11a、11bがボタンであれば押下する。ここで、建物の住人または建物の管理者などの不特定の一般ユーザーはペアリングスイッチ11aを操作でき、技術者またはメンテナンス員等の特別ユーザーは、例えば、パスワードの入力や長押し等の特殊な操作等にて、ペアリングスイッチ11bを操作できる。ペアリングスイッチ11a又はペアリングスイッチ11bの操作をトリガにして、給水装置10Aが管理装置90へ通信要請信号を送信する(SW02)ことでペアリングを開始する。このときには、給水装置10Aは、通信要請信号と共に、ペアリングスイッチ11a、11bの何れが操作されたのかを示す情報を管理装置90へと送信するとよい。一例として、SW02にて送信する通信要請信号は、給水システム100の全ての給水装置10A、10B、10Cにおいて共通の情報である。なお、管理装置90は常時通信要請信号の送信し、ペアリングスイッチ11a、11bの操作をトリガにして、給水装置10Aが管理装置90からの通信要請信号を受信することでペアリングを開始するとよい。ただし、ペアリングスイッチ11a、11bが操作された給水装置10が管理装置90へ通信要請信号を送信(SW02)してペアリングが開始されれば、例えば、操作ミスにて複数の給水装置10でペアリングスイッチ11a、11bの押下が重なった場合でも、管理装置90は、正しい認証情報を作成し、対象の給水装置10へと送信できる。
管理装置90は、無線通信98aが確立されていない給水装置10からの通信要請信号を受信する待機状態を有する。管理装置90は、管理装置90の起動時に常に待機状態であるように構成されてもよいし、例えば管理装置90に設けられたスイッチを操作されることにより管理装置90が待機状態となってもよい。なお、スイッチ等を操作することにより管理装置90を待機状態とする場合には、給水装置10のペアリングスイッチ11a
、11bを操作する前に管理装置90を待機状態にすることが好ましい。こうすれば、給水装置10から通信要請信号を発信する時間を短くすることができる。また、管理装置90は、通信が確立されている給水装置10がない場合は常時待機状態とし、既に無線通信98aが確立されている給水装置10がある場合は、無線通信98aを行いつつ、任意のタイミングにて待機状態とするとよい。これにより、管理装置90は、複数の給水装置10と同時に無線通信98aを行うことができる。ただし、こうした例に限定されず、管理装置90は、ペアリングスイッチ11a、11bが操作された後に待機状態とされてもよい。
管理装置90は、通信要請信号を受信すると、ペアリングのための認証情報を作成して自身の記憶部95に認証情報を記憶し(SA03)、認証情報を給水装置10Aへ送信する(SA04)。この認証情報は、通信要請信号を送信した給水装置10Aを、給水装置10B、10Cとは異なる一意の通信先と識別して、以降の無線通信98aにおいて互いを認証するために使用される情報である。認証情報は、こうした利用に適した情報であればよく、種々の方法によって管理装置90において定められればよい。また、管理装置90は、認証情報を作成して給水装置10と通信する場合には、操作表示部93に認証情報を表示してもよい。
給水装置10Aは、管理装置90から認証情報を受信すると、受信した認証情報を記憶部66に記憶する(SW05)。ここで、本実施形態では、管理装置90は複数の給水装置10A、10B,10Cと通信することができるように構成され、管理装置90から送信された給水装置10Aを識別するための認証情報を複数の給水装置10B,10Cが受信できる。このため、ペアリングスイッチ11a、11bが操作された給水装置10Aは、当該操作から所定期間以内(例えば数秒など)に管理装置90から認証情報が受信された場合に、認証情報を記憶部66に記憶するものとし、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されていない給水装置10B,10Cは、受信した認証情報を破棄するとよい。
また、給水装置10Aは、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されてから所定期間以上管理装置90から認証情報が送信されてこない場合には、表示部72などでエラーを表示してもよい。なお、給水装置10Aは、受信した認証情報を表示部72で表示してもよい。このように、給水装置10の表示部72および管理装置90の操作表示部93のそれぞれで認証情報が表示されることにより、管理装置90がどの給水装置10と無線通信98aをしているのかをユーザーが確認できる。
そして、給水装置10Aは、受信した認証情報を記憶すると、管理装置90へ受信通知信号(アクノリッジ信号)と当該受信した認証情報とを送信する(SW06)。なお、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されていない給水装置10B,10Cは、管理装置90からのSA04の送信は無視する。
管理装置90は、給水装置10Aから受信通知信号と認証情報とを受信すると、給水装置10へ認証通知信号を送信し(SA07)、これにより給水装置10Aおよび管理装置90とは互いにペアリングが完了したと判断して無線通信98aが確立される。なお、管理装置90は、給水装置10Aから誤った認証情報が受信された場合や、所定時間以上給水装置10Aから受信通知信号が受信されない場合には、無線通信98aを確立することができないと判断し、操作表示部93などで認証エラーを表示してもよい。また、以降の給水装置10Aと管理装置90との無線通信98aでは認証情報を用いてなされるとよい。
ここで、SU01で一般ユーザー用のペアリングスイッチ11aが使用されて給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立されたときには、無線通信98aを通じて
管理装置90から給水装置10へ一般ユーザー用の指令(第2指令)が可能とされるとよい。また、SU01で特別ユーザー用のペアリングスイッチ11bが使用されて給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立されたときには、無線通信98aを使用して管理装置90から給水装置10へ特別ユーザー用の指令(第1指令)が可能とされるとよい。つまり、ペアリングスイッチ11aが操作されたときには、管理装置90から給水装置10へ指令できる内容が制限される。これは、例えば専門家でない一般ユーザーによって給水装置10が操作され、給水装置10が誤作動してしまうことを防止する設計である。これにより、特別ユーザーは管理装置90から給水装置10へ種々の指令を行うことができると共に、一般ユーザーによって給水装置10へ意図しない指令がなされることを抑制できる。ただし、通信確立機構としては、このように2つのペアリングスイッチ11a、11bが設けられるものに限定されず、1つまたは3つ以上の通信確立機構が設けられるものとしてもよい。また、給水装置10は、ひとつのペアリングスイッチへの異なる操作で、第1の通信確立機構と第2の通信確立機構を区別してもよい。具体的には、ペアリングスイッチの長押しやパスワードの入力等の特殊操作にて無線通信98aが確立されたときには、ペアリングスイッチ11bへの所定の操作と同様に操作第1指令が可能となり、ペアリングスイッチの押下にて無線通信98aが確立されたときには、ペアリングスイッチ11aへの所定の操作と同様に第2指令が可能となるとよい。
ここで、特別ユーザー用の指令は、給水装置10の記憶部66に記憶される各種情報(運転状態、履歴情報、設定情報等)の表示、ポンプ44の運転停止指令、警報リセット、履歴のクリア、および、全ての設定変更等を含む管理装置90の全ての機能が使用でき、一般ユーザー用の指令は、ポンプ44の運転停止指令、警報リセット、履歴のクリア、および、設定変更が制限され、運転情報や履歴情報の表示できる。これにより、一般ユーザーによって、メンテナンス中に誤って運転指令がなされたり、意図しない給水装置のポンプを停止させ断水となることを防止できる。なお、一般ユーザー用の指令では、設定圧を含む一部の設定変更が許可されてもよい。一般ユーザー用の指令における運転情報は、現在のモータポンプ40のそれぞれの運転または停止状態、モータポンプ40の回転速度、モータポンプ40を駆動するモータに流れる電流値、給水装置10の入力電圧、モータポンプ40の吸込圧力、モータポンプ40の吐出し圧力、および、警報や異常等の運転パネルに常時表示される項目のみでもよい。
以上のように、本実施形態の給水システム100では、ユーザーによって給水装置10のペアリングスイッチ11a、11bが操作されることにより給水装置10から管理装置90へ通信要請信号が送信され、給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立される。これにより、複数の給水装置10のうち所望の給水装置10と管理装置90との無線通信98aを適正に確立させることができる。また、給水装置10に対するユーザーの操作をトリガとして給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立されるので、給水装置10の状態が目視で確認できる状態で無線通信98aを開始することができ、意図しない給水装置10と管理装置90とで無線通信98aがなされることを防止できる。また、給水装置10を構成する各機器の少なくとも一部がキャビネットや屋外カバー等の函体30に収容される給水装置であれば、ペアリングスイッチ11a、11bを当該函体30内に設けることで外的環境から保護し、且つ、外部から不正アクセスによるペアリングがなされることを防止できる。
なお、給水装置10と管理装置90とのペアリングが終了した後の無線通信98aは、例えば管理装置90をマスタ側、給水装置10をスレーブ側としたマスタ・スレーブ方式にて通信を行うものとしてもよい。一例として、マスタ側は、スレーブ側に問い合わせの通信コマンドを送信し、スレーブ側は通信コマンドの内容に基づき、レスポンスとして正常応答または異常応答を送信する。マスタ側は、異常応答を受信した場合、又は通信コマンドを送信してから所定期間以上経過した場合には、通信エラーが発生したと判断する。
また、スレーブ側は、所定期間以上通信が途切れたと判断したら通信エラーと判断するものとしてもよく、この場合マスタ側は、無線通信98aを維持するための通信コマンドを所定期間毎に送信してもよい。
また、給水システム100は、給水装置10と管理装置90とのペアリングによって無線通信98aが確立してから、所定期間(例えば、数秒、数分、数時間、数日など)以上が経過したときには、管理装置90から給水装置10へ行うことができる指令が制限されるものとしてもよい。換言すれば、ペアリングによって無線通信98aが確立されてから所定期間が経過するまでは、無線通信98aを通じて管理装置90から給水装置へ所定の指令(第3指令)を可能とし、無線通信98aが確立されてから所定期間が経過した以降は、無線通信98aを通じて管理装置90から給水装置10へ第3指令よりも制限された指令(第4指令)を可能とする。具体的には、一例として、ペアリングによって給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立してから、所定期間以内であれば、給水装置10は全ての管理装置90からの問い合わせに対して、正常応答を送信する。そして、ペアリングによって給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立してから、所定期間以上が経過したら、給水装置10は管理装置90からの問い合わせに対して、無応答となるかまたは異常応答を送信する。また、一例として、ペアリングによって給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立してから、所定期間以内であれば、給水装置10は管理装置90からの全ての正常な問い合わせに対して、正常応答を送信する。そして、給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立してから、所定期間以上が経過したら、給水装置10は管理装置90からの一部の問い合わせに対して、無応答となるかまたは異常応答を送信する。
本実施形態の給水システム100では、給水装置10のペアリングスイッチ11a、11bが操作されることによりペアリングが開始し無線通信98aが確立されるため、無線通信98aが確立されるときにはユーザーが給水装置10の傍にいることが想定される。一方、無線通信98aが比較的長い距離で維持できる場合、無線通信98aが確立された後にユーザーが管理装置90を携帯して給水装置10から離れることも想定される。こうした場合には、給水装置10を実際に視認できない状態で管理装置90から給水装置10への指令が行われるため、例えば給水装置10に不具合が生じた場合にユーザーが即座に対応できないおそれがある。よって、本実施形態では、無線通信98aが確立されてから所定期間が経過した以降は、管理装置90から給水装置10への指令が制限される。こうした構成により、無線通信98aが確立されてから所定期間が経過した以降に、例えば給水装置10の運転情報の確認などの制限された指令を行うことができると共に、管理装置90から給水装置10へ意図しない指令がなされることを防止できる。
また、給水システム100は、所定期間に代えて、又は加えて、給水装置10と管理装置90との距離に基づいて指令が制限されるものとしてもよい。つまり、管理装置90と給水装置10との距離が所定距離(例えば数メートル)未満であるときには、無線通信98aを通じて管理装置90から給水装置10へ所定の指令(第3指令)を可能とし、管理装置90と給水装置10との距離が所定距離以上であるときには、無線通信98aを通じて管理装置90から給水装置へ制限された指令(第4指令)を可能としてもよい。具体的には、管理装置90は問い合わせに対する正常応答を所定の時間間隔内で受信したら管理装置90と給水装置10との距離が所定距離(例えば数メートル)未満であると判断するとよい。また、管理装置90は問い合わせに対する正常応答を所定の時間間隔内で受信できない場合に管理装置90と給水装置10との距離が所定距離以上であると判断するとよい。
また、給水システム100は、給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立した後の無線通信98aが途切れてから、所定期間(例えば、数秒、数分、数時間、数日
など)以上が経過したら管理装置90から給水装置10へ行うことができる指令が制限されるものとしてもよい。換言すれば、給水装置10は、ペアリングが終了して無線通信98aが確立されて所定期間内に管理装置90からの第3指令の問い合わせを受信したら、管理装置90から給水装置10へ指令を可能とする。そして、給水装置10は、管理装置90からの第3指令問い合わせを受信することなく所定期間が経過したら、第4指令のみを可能とする。
ここで、無線通信98aを通じて管理装置90から給水装置へ制限された指令(第4指令)を可能とするときには、管理装置90においてコマンド指令をするための操作が制限されるものとしてもよいし、給水装置10において一部のコマンド指令を受け付けないものとしてもよい。後者の場合、給水装置10は、管理装置90へ異常応答をしてもよいし、コマンド指令が制限されていることを示す情報を管理装置90へ送信してもよい。
ここで、第3指令は、特別ユーザー用の指令、または/および、一般ユーザー用の指令であるとよい。具体的には、ペアリングスイッチ11bが使用されたときの第3指令で、ユーザーは、各種情報の表示、ポンプ44の運転停止指令、警報リセット、履歴のクリアおよび全ての設定変更等を含む管理装置90の全ての機能が使用できる。ペアリングスイッチ11aが使用されたときの第4指令でユーザーは、ポンプ44の運転停止指令、警報リセット、および、設定変更が制限され、運転情報や履歴情報の表示、設定圧を含む一部の設定変更のみができる。また、第4指令は、一般ユーザー用の指令における表示項目と同じ項目を表示できる。具体的には、第4指令でユーザーは、給水装置10の記憶部66に記憶された履歴情報、運転情報、及び異常情報等を確認できる。
また、給水システム100は、ペアリングによって無線通信98aが確立されてから所定の期間(例えば数分など)が経過したときには、無線通信98aの確立をリセットしてもよい。具体的には、無線通信98aの確立のリセットは、管理装置90はSA03にて記憶した認証情報を記憶部95から削除し、給水装置10はSW05にて記憶した認証情報を記憶部66から削除する。ここで、所定の通信期間は、上記した指令の制限を切り替える所定期間よりも長い時間とするとよい。このように、通信期間が経過したときには無線通信98aの確立をリセットすることにより、管理装置90から給水装置10へ意図しない指令がなされることや、確立された無線通信98aを利用して給水装置10へ不正アクセスがされることなどを抑制できる。
なお、給水装置10は、ペアリングによって無線通信が98a確立されてから所定の期間(例えば数分など)が経過したときに無線通信98aの確立をリセットするか否かを、設定変更できるとよい。具体的に、給水装置10は当該リセットするか否かを設定値情報(第1設定値情報)として記憶部66に記憶し、外部入力によって設定変更可能とする。例えば、給水装置10が施錠されたポンプ室等に設置され、且つ、ポンプ室の外の管理者から定期的に第4指令を用いて点検される場合等は、再びペアリングスイッチ11a、11bにてペアリングされるまで無線通信98aの確立を維持したい。一方、給水装置10が道路に面した場所に設置される場合は、不正アクセス防止のため所定の期間が経過したら無線通信98aの確立をリセットしたい。よって、設置場所や管理方法等によって、給水装置10は、無線通信98aの確立をリセットするか否かをユーザーが変更できるとよい。
図4は、給水装置10と管理装置90とが無線通信98aを確立する際の動作の別の一例を示す図である。上記した図3の例ではペアリングのための認証情報を管理装置90が作成するものとしたが、図4の例では認証情報を給水装置10が作成する点で図3の例と異なる。以下、図3と重複する内容については説明を省略する。
給水装置10と管理装置90との無線通信98aを確立する際には、図3の例と同様に、まずユーザーが、給水装置10に設けられたペアリングスイッチ11a、11bを操作する(SU11)。ペアリングスイッチ11a、11bが操作されると、給水装置10は、ペアリングのための認証情報を作成して自身の記憶部66に記憶し(SW12)、管理装置90へ通信要請信号と認証情報とを送信する(SW13)。
ここで、認証情報は、上記した認証情報としての利用に適するように、種々の方法によって給水装置10によって定められればよく、例えばペアリングスイッチ11aが操作されたときの時刻情報および/または給水装置10が製造時に付与される一意のシリアル番号に基づいて定められてもよい。複数の給水装置10において同時刻にペアリングスイッチ11a、11bが操作されることは考えにくい。よって、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されたときの時刻情報を含むことで、管理装置90は複数の給水装置10を識別することができる。
管理装置90は、給水装置10から通信要請信号と認証情報とを受信すると、認証情報を記憶部95に記憶して(SA14)、給水装置10へ受信通知信号と認証情報とを送信する(SA15)。そして、給水装置10は、管理装置90から受信通知信号と認証情報とを受信すると、管理装置90へ受信通知信号を送信し(SW16)、これにより給水装置10と管理装置90とは互いにペアリングが完了したと判断して無線通信98aが確立される。なお、給水装置10は、管理装置90から誤った認証情報が受信された場合や、通信要請信号を送信してから所定時間以上管理装置90から受信通知信号が受信されない場合には、無線通信98aを確立することができないと判断して、表示部72などでエラーを表示してもよい。
こうした図4の例によれば、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されたときに給水装置10が認証情報を作成して管理装置90へ送信する。こうした例においても、上記した図3の例と同様に、管理装置90と所望の給水装置10との無線通信98aを確立することができる。また、図4の例では、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されると、給水装置10から通信要請信号と認証情報とが一緒に管理装置90へ送信されるため、図3の例に比べてペアリングのための給水装置10と管理装置90とのやりとりを少なくすることができる。
図5は、給水装置10と管理装置90とが無線通信98aを確立する際の動作の更に別の一例を示す図である。図5の例では、給水装置10に予め記憶された情報を認証情報として利用する点で図4の例と異なり、その他の点は図4の例と同一である。
給水装置10と管理装置90との無線通信98aを確立する際には、まずユーザーが、給水装置10に設けられたペアリングスイッチ11a、11bを操作する(SU11)。ペアリングスイッチ11a、11bが操作されると、給水装置10は、予め定められて記憶部95に記憶された認証情報を通信要請信号と共に管理装置90へ送信する(SW13A)。ここで、認証情報は、例えば予め外部入力によって設定できるものとしてもよい。また、認証情報は、給水装置10の初回起動時または工場出荷時に設定されて装置情報として記憶部95に記憶されるシリアル情報などが用いられてもよい。
そして、図4の例と同様に、図5で管理装置90は、給水装置10から通信要請信号と認証情報とを受信すると、認証情報を記憶部95に記憶して(SA14)、給水装置10へ受信通知信号と認証情報とを送信する(SA15)。給水装置10は、管理装置90から受信通知信号と認証情報とを受信すると、管理装置90へ受信通知信号を送信し(SW16)、これにより給水装置10と管理装置90とは互いにペアリングが完了したと判断して無線通信98aが確立される。
こうした図5の例においても、上記した図3及び図4の例と同様に、管理装置90と所望の給水装置10との無線通信98aを確立することができる。また、図5の例では、ペアリングスイッチ11a、11bが操作されると、給水装置10から通信要請信号と認証情報とが一緒に管理装置90へ送信されるため、図3の例に比べてペアリングのための給水装置10と管理装置90とのやりとりを少なくすることができる。さらに、図5の例では、給水装置10に予め記憶された情報を認証情報として利用するため、図4におけるSW12の処理を省略することができ、迅速に無線通信98aを確立することができる。
なお、図3の例と同様に、給水システム100は、ペアリングによって無線通信98aが確立されてから所定の期間(例えば数分など)が経過したときには、無線通信98aの確立をリセットしてもよい。具体的には、無線通信98aの確立のリセットは、管理装置90はSA14にて記憶した認証情報を記憶部95から削除する。
このように、ポンプ装置の一例である給水装置10は、複数のポンプ装置A,B,Cのそれぞれと無線通信98aできるように構成された管理装置90と通信する通信部と、管理装置90との無線通信98aを確立するための通信確立機構であるペアリングスイッチ11aおよび/または11bと、を備え、当該通信確立機構に対する所定の操作をトリガにして、無線通信98aを確立するためのペアリングが開始される。これにより、ポンプ装置10は、管理装置90との無線通信98aを適正に行うことができる。つまり、管理装置90が意図しない給水装置10と無線通信98aを行うことを防止できる。
(変形例1)
図6は、変形例の給水システム200の構成の一例を示す図である。変形例の給水システム200は、実施形態の給水システム100と同様に、複数の給水装置10と、これら複数の給水装置10のそれぞれとN対1の無線通信98a(Nは、複数の給水装置10の台数)できるように構成された管理装置90とを備える。変形例の給水システム200は、複数の給水装置10が通信確立機構として無線通信98aよりも近距離を対象とした近距離無線通信部11cを備え、管理装置90が近距離無線通信98cを介して近距離無線通信部11cへの所定の操作にてペアリングを開始する点で、実施形態の給水システム100と異なる。具体的に、給水装置10の外部通信部73は、通信確立機構として無線通信98aよりも近距離を対象とした近距離無線通信部11c(第1の近距離無線通信部)を備え、当該第1の近距離無線通信部は管理装置90と近距離無線通信98bにて通信できる。そして、変形例の給水システム200では、管理装置90が、複数の給水装置10A,B,Cのそれぞれと無線通信98aすることができると共に(図6中、符号98a参照)、複数の給水装置10のそれぞれと近距離無線通信98bすることができる(図6中符号98b)。変形例の給水システム200は、その他の点については上記した実施形態の給水システム100と同様であり、重複する説明を省略する。なお、近距離無線通信98bは、無線通信98aよりも近距離を対象とし、給水装置10が視認できる機側でのみ通信できる任意の無線通信であればよく、例えばNFC(Near Field Communication)の技術を利用することができる。NFCは、給水装置10と管理装置90とを数センチ〜数ミリまで近づけるだけで通信することができる点で有利である。
図7は、変形例1の給水装置10と管理装置90とが無線通信98aを確立する際の動作の一例を示す図である。なお、図7では、図3と同一の処理について図4と同一の符号を付し、図3の処理と対応する処理について末尾に「A」を付して示している。
変形例1において給水装置10と管理装置90との無線通信98aを確立する際には、まずユーザーが管理装置90にペアリング開始の指令を操作入力し、給水装置10の近距離無線通信部11cに対して当該ペアリング開始の指令が操作入力された管理装置90を
近づけて給水装置10と管理装置90との近距離無線通信98bを行う(SU01A)。ここで、上記したように、近距離無線通信部11cがNFCに使用される場合、給水装置10と管理装置90とを近づけるだけで近距離無線通信98bを確立できる点で有利である。また、近距離無線通信部11cが他の近距離無線通信方法に使用される場合、近距離無線通信98bを確立させるために適切な種々の操作がなされればよい。近距離無線通信98bをトリガとして無線通信98aを確立するためのペアリングが開始される。具体的には、給水装置10は、近距離無線通信98bを介して管理装置90へ通信要請信号を送信する(SW02A)。これにより、ポンプ装置10が建物と建物の間等で通信確立機構である近距離無線通信部11cが視認し難い場所に設置されていても、ユーザーはペアリング開始の指令を手元で入力できるので、容易にペアリングを開始することができる。
管理装置90は、通信要請信号を受信すると、ペアリングのための認証情報を作成して自身の記憶部95に認証情報を記憶し(SA03)、近距離無線通信98bを通じて認証情報を給水装置10へ送信する(SA04A)。なお、図7の例では、管理装置90が認証情報を作成するものとしたが、図4の例のように給水装置10が認証情報を作成してもよいし、図5の例のように給水装置10に予め記憶された認証情報が使用されてもよい。
給水装置10は、管理装置90から認証情報を受信すると、受信した認証情報を記憶部66に記憶する(SW05)。そして、給水装置10は、受信した認証情報を記憶すると、近距離無線通信98bを通じて管理装置90へ受信通知信号(アクノリッジ信号)と認証情報とを送信する(SW06A)。
管理装置90は、給水装置10から受信通知信号と認証情報とを受信すると、近距離無線通信98bを通じて給水装置10へ認証通知信号を送信し(SA07)、これにより給水装置10および管理装置90とは互いにペアリングが完了したと判断して無線通信が確立される。そして、近距離無線通信98bを通じてやりとりされた認証情報に基づいて、以降の給水装置10と管理装置90との無線通信98aが行われるとよい。
なお、図7の例では、近距離無線通信98bを通じて、無線通信98aを確立するための情報のやりとりが行われるものとした。しかし、こうした例に限定されず、図7の例における少なくとも一部の通信は、無線通信98aを通じて行われるものとしてもよい。また、給水装置10が備える通信確立機構は管理装置90との有線通信(例えば、RS485やRS232C等)でもよい。この場合も、給水装置10の通信確立機構である有線通信にて管理装置90からペアリングの開始を指令される。そして、図7の例におけるペアリングの少なくとも一部の通信は、無線通信98aを通じて行われるものとしてもよい。
(変形例2)
図8は、変形例の給水システム300の構成の一例を示す図である。変形例の給水システム300は、複数の給水装置10と、これら複数の給水装置10のそれぞれと無線通信98aできるように構成された管理装置90と、給水装置10の通信確立機構と通信可能な通信機能を備える外部端末80を備える。変形例の給水システム300は、複数の給水装置10が通信確立機構として無線通信98aよりも近距離を対象とした近距離無線通信部11cを備え、外部端末80から近距離無線通信部11cへの通信98cを介した所定の操作にてペアリングを開始する点で、前述の実施形態ならびに変形例と異なる。具体的に、給水装置10の外部通信部73は、通信確立機構として無線通信98aよりも近距離を対象とした近距離無線通信部11c(第2の近距離無線通信部)を備え、当該第2の近距離無線通信部が外部端末80と通信することでペアリングを開始する。
なお、図7で給水システム200は、近距離無線通信98bを通じて、無線通信98aを確立するための情報のやりとりが行われるものとしたが、図8の変形例で外部端末80
からの通信確立機構に対する所定の操作によって開始されたペアリングは無線通信98aを通じて行われるものとする。また、給水装置10が備える通信確立機構は外部端末80との有線通信(例えば、RS485やRS232C等)でもよい。この場合も、給水装置10の通信確立機構である有線通信にて外部端末80からペアリングの開始を指令される。そして、ペアリングの通信は、無線通信98aを通じて行われる。
なお、図6又は図8において、近距離無線通信98b, 98cにてペアリングを開始するときにユーザーは、給水装置10の機側にて通信確立機構に対する所定の操作を行う。また、有線通信にてペアリングを開始するときにユーザーは、給水装置10にコネクタに通信線を取り付けるなどの手順が必要で且つ通信線の届く範囲の機側にて通信確立機構に対する所定の操作を行う。ペアリングの開始を給水装置10の機側にて行うことで、管理装置90からの指令によってメンテナンス中に誤って運転指令がなされたり、意図しない給水装置のポンプを停止させ断水となることを防止できる。
以上説明した変形例1の給水システム200によれば、管理装置90を給水装置10の近距離無線通信部11cに近づける近距離無線通信98bをトリガとして給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立される。また、変形例2の給水システム300によれば、外部端末80を給水装置10の近距離無線通信部11cに近づける近距離無線通信98cをトリガとして給水装置10と管理装置90との無線通信98aが確立される。なお、変形例1の第1の近距離無線通信部と変形例2の第2の近距離無線通信部は、同一のハードウェア、通信プロトコル等によって構成されてもよいし、別々のハードウェア、通信プロトコルによって構成されてもよい。こうした変形例の給水システム100においても、複数の給水装置10のうち所望の給水装置10と管理装置90との無線通信98aを適正に確立させることができる。
(変形例3)
図9は、変形例の給水システム400の構成の一例を示す図である。変形例3の給水システム400の給水装置10は、バーコード11d(例えば、QRコード(登録商標)等の2次元バーコード)を有する。具体的には、バーコード11dが印刷されたシール等が給水装置10の部品に貼られる、または、バーコード11dが給水装置10の部品に直接印刷されてもよい。また、管理装置90はバーコード11dの読込手段(例えば、カメラ、バーコードリーダ等)を有する。
なお、給水装置10において、バーコード11dが函体30内に収容された部品に貼られることで外的環境から保護できる。その場合、函体30は、外部からバーコード11dを読み取り可能な透明な窓部30aが設けられるとよい。
本変形例において、給水装置10のバーコード11dは通信確立機構であって、操作者が管理装置90による当該バーコード11dの読込み操作98dをトリガとして、給水装置10と管理装置90との無線通信98aのペアリングを開始する。バーコード11dには、給水装置10を一意に識別可能な認証情報が格納されており、例えば、無線通信98aがBluetooth(登録商標)およびWi−Fi(登録商標)であれば、SSIDやパスワード等の認証情報が格納されるとよい。
本変形例での無線通信98aを確立する際の動作は、図7に示されるSW02Aが省略され、更に、SA03にてペアリングのための認証情報作成に代えてバーコード11dより読込んだ認証情報にてペアリングが開始され、その後、SA04A以降の処理を実行すればペアリングが完了する。この場合も、ポンプ装置10に貼られたバーコード11d(通信確立機構)への操作によって、複数のポンプ装置10A,10B、10Cのそれぞれと無線通信98aができるように構成された管理装置90に対して無線通信98aを適正
に行うことができる。
なお、バーコード11dは、第1の通信確立機構と第2の通信確立機構に相当してもよい。具体的には、バーコード11dを複数有し、第1の通信確立機構に相当するバーコード11dと第2の通信確立機構に相当するバーコード11dを備えてもよい。また、ひとつのバーコード11dに、第1の通信確立機構に相当する情報と第2の通信確立機構に相当する情報が格納されてもよい。
給水装置10は、上述した実施例並びに変形例による通信確立機構(ペアリングスイッチ11a、11b、有線通信、第1の近距離無線通信部、第2の近距離無線通信部等、および/または、バーコード11d)のうちの何れか複数を有し、これら複数の通信確立機構のうちの何れかひとつへの所定の操作をトリガとして、給水装置10と管理装置90とのペアリングが開始されてもよい。
さらに、上述した実施例並びに変形例で、函体30に設けられた窓部30aは、函体30を取り外すことなく通信確立機構にアクセス可能な構造とするとよい。具体的には、通信確立機構がペアリングスイッチ11a、11bの場合、窓部30aを開閉にてペアリングスイッチ11a、11bを操作できるとよい。通信確立機構が近距離無線通信の場合、窓部30aを通信信号が透過できる樹脂等で構成するとよい。また、通信確立機構がバーコード11dの場合、函体30は、外部からバーコード11dを読み取り可能な透明な窓部30aを設けるとよい。このように、函体30によって通信確立機構を外的環境から保護すると同時に窓部30aによって、函体30を取り外すことなくペアリングを開始することができる。また、第1の通信確立機構は窓部30aを介してアクセス不可とし、機能制限される第2の通信確立機構のみ窓部30aを介してアクセス可能とすることで、外部からの不正アクセスによる給水装置10の誤動作等を防止できる。
本発明は、以下の形態としても記載することができる。
[形態1]形態1によれば、ポンプにて建物に給水するためのポンプ装置が提案され、前記ポンプ装置は、複数のポンプ装置のそれぞれと無線通信できるように構成された管理装置と通信する通信部と、前記管理装置との前記無線通信を確立するための通信確立機構と、を備え、前記通信確立機構に対する所定の操作をトリガにして、前記無線通信を確立するためのペアリングが開始される。形態1によれば、ポンプ装置は、通信確立機構の操作によって、複数のポンプ装置のそれぞれと無線通信できるように構成された管理装置に対して無線通信を適正に行うことができる。
[形態2]形態2によれば、形態1のポンプ装置において、前記通信確立機構は、前記ポンプ装置を構成する構成要素の少なくとも一部が収容される函体内に配置される。形態2によれば、外部から不正アクセスによる無線通信がなされることを防止できる。
[形態3]形態3によれば、形態1または2のポンプ装置において、前記通信確立機構はスイッチであり、前記所定の操作は、ユーザーによる前記スイッチの操作である。形態3によれば、機側にいるユーザーがポンプ装置のスイッチを操作することにより、ポンプ装置と管理装置とを正しくペアリングすることができる。
[形態4]形態4によれば、形態1から3のポンプ装置において、前記ポンプ装置は、前記管理装置と前記無線通信よりも近距離の通信を対象とした近距離無線通信を行う第1の近距離無線通信部を備え、前記通信確立機構は、前記第1の近距離無線通信部であり、前記所定の操作は、ユーザーが前記管理装置を前記通信確立機構に近づけて前記第1の近距離無線通信を確立させる操作である。形態4によれば、ユーザーが管理装置を通信確立機構に近づけて近距離無線通信を確立させることにより、ポンプ装置と管理装置との無線通
信を確立させることができる。これにより、ポンプ装置が建物と建物の間等の通信確立機構が視認し難い場所に設置されていても、容易にペアリングを開始することができる。
[形態5]形態5によれば、形態4のポンプ装置において、前記第1の近距離無線通信部を通じて前記ペアリングのための信号を前記管理装置と通信する。形態5によれば、近距離無線通信を通じてポンプ装置と管理装置との無線通信を確立するための信号のやりとりを行うことができる。
[形態6]形態6によれば、形態1から5のポンプ装置において、前記ポンプ装置は、外部端末と前記無線通信よりも近距離の通信を対象とした第2の近距離無線通信を行う近距離無線通信部を備え、前記通信確立機構は、前記第2の近距離無線通信部であり、前記所定の操作は、ユーザーが前記外部端末を前記通信確立機構に近づけて前記第2の近距離無線通信を確立させる操作である。形態6によれば、ユーザーが外部端末を通信確立機構に近づけて近距離無線通信を確立させることにより、ポンプ装置と管理装置との無線通信を確立させることができる。
[形態7]形態7によれば、形態1から6のポンプ装置において、前記通信確立機構は、第1の通信確立機構と、第2の通信確立機構と、を含み、前記第1の通信確立機構を使用して前記無線通信が確立されたときには、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置に第1指令が可能となり、前記第2の通信確立機構を使用して前記無線通信が確立されたときには、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置へ前記第1指令よりも制限された第2指令が可能となる。形態7によれば、例えばメンテナンス員等の権限のあるユーザーは、第1通信確立機構を操作してポンプ装置と管理装置との無線通信を確立させ、管理装置からポンプ装置へ第1指令を行うことができる。また、例えばポンプ装置が設けられた建物の住居人等の制限された権限のユーザーは、第2通信確立機構を操作してポンプ装置と管理装置との無線通信を確立させ、管理装置からポンプ装置へ第1指令よりも制限された第2指令を行うことができる。これにより、権限のあるユーザーはポンプ装置へ種々の指令を行うことができると共に、制限された権限のユーザーによってポンプ装置へ意図しない指令がなされることを防止できる。
[形態8]形態8によれば、形態7のポンプ装置において、前記第1指令は、前記ポンプの設定値情報の設定変更、前記ポンプの運転停止指令、及び警報リセットを含む指令であり、前記第2指令は、前記ポンプの設定値情報の設定変更、前記ポンプの運転停止指令、及び警報リセットの少なくとも1つが制限された指令である。形態8によれば、制限された権限のユーザーによって、例えばメンテナンス中に誤って運転指令がなされたり、意図しないポンプ装置のポンプを停止させ断水となることを防止できる。
[形態9]形態9によれば、形態1から8のポンプ装置において、前記無線通信が確立されてから所定期間が経過するまでは、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置へ第3指令が可能であり、前記無線通信が確立されてから所定期間が経過した以降は、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置へ前記第3指令よりも制限された第4指令が可能である。形態9によれば、無線通信が確立されてから所定期間が経過した以降に、管理装置からポンプ装置へ、制限された指令を行うことができる。これにより、管理装置からポンプ装置へ意図しない指令がなされてしまうことを防止できる。
[形態10]形態10によれば、形態1から9のポンプ装置において、前記管理装置と前記ポンプ装置との距離が所定距離未満であるときには、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置へ第3指令が可能であり、前記管理装置と前記ポンプ装置との距離が前記所定距離以上であるときには、前記無線通信を通じて前記管理装置から前記ポンプ装置へ前記第3指令よりも制限された第4指令が可能である。形態10によれば、管理装
置とポンプ装置との距離が所定距離以上であるときには管理装置からポンプ装置へ、制限された指令を行うことができる。これにより、ユーザーがポンプ装置から離れた状態で、管理装置からポンプ装置へ意図しない指令がなされてしまうことを防止できる。
[形態11]形態11によれば、形態10のポンプ装置において、前記第3指令は、前記ポンプの設定値情報の設定変更、前記ポンプの運転停止指令、及び警報リセットを含む指令であるか、又は前記ポンプの設定値情報の設定変更、前記ポンプの運転停止指令、及び警報リセットの少なくとも1つが制限された指令であり、前記第4指令は、前記ポンプの設定値情報の設定変更、前記ポンプの運転停止指令、及び警報リセットの少なくとも1つが制限された指令である。形態11によれば、ユーザーがポンプ装置から離れた状態で、ポンプの設定値情報の設定変更、ポンプの運転停止指令、又は警報リセットがなされてしまうことを防止できる。
[形態12]形態12によれば、形態1から11のポンプ装置において、前記無線通信が確立されてから所定の通信期間が経過したときには前記無線通信の確立をリセットする。形態12によれば、ユーザーによって管理装置からポンプ装置へ意図しない指令がなされてしまうことを抑制できる。
[形態13]形態13によれば、形態1から11のポンプ装置において、前記ポンプ装置は、外部入力によって設定変更できる第1設定値情報を有し、前記無線通信が確立されてから所定の期間が経過したときに前記無線通信の確立をリセットするか否かを前記第1設定値情報に基づいて判断する。形態13によれば、無線通信が確立されてから所定の機関が経過したときに無線通信の確立をリセットするか否かをユーザーが設定することができる。
[形態14]形態14によれば、形態1から13のポンプ装置において、前記ポンプ装置は、ユーザーによって前記通信確立機構に対する前記所定の操作がなされたときに、前記管理装置へ前記ペアリングのための通信要請信号を送信することを特徴とする。前記所定の操作がなされた給水装置が管理装置へ通信要請信号を送信してペアリングが開始されれば、例えば、ペアリングが重なった場合に管理装置は、正しい認証情報を作成し対象の給水装置へと送信できる。
[形態15]形態15によれば、形態14のポンプ装置において、前記通信要請信号を受信した前記管理装置から送信される認証情報を受信すると、前記認証情報を記憶すると共に前記認証情報を前記管理装置へ送信し、無線通信を確立する。形態15によれば、ポンプ装置が管理装置から認証情報を受信し、当該認証情報をポンプ装置から管理装置へと送信することにより、互いに共通の認証情報を記憶して無線通信を確立することができる。
[形態16]形態16によれば、形態14のポンプ装置において、前記通信要請信号は、前記ポンプ装置に記憶された認証情報を含み、前記ポンプ装置は、前記通信要請信号を受信した前記管理装置から送信された前記認証情報を受信したことを示す信号を前記管理装置へ送信する。形態16によれば、ポンプ装置に記憶された認証情報をポンプ装置から管理装置へと送信し、管理装置から当該認証情報を受信したことを示す信号を受信することにより、互いを認証して無線通信を確立することができる。
[形態17]形態17によれば、形態16のポンプ装置において、前記認証情報は、前記ポンプ装置が前記通信要請信号を送信する際に作成されて前記ポンプ装置に記憶される情報である。形態17によれば、ポンプ装置が認証情報を作成するため、複数のポンプ装置において認証情報が重複してしまうことを抑制できる。
[形態18]形態18によれば、形態17のポンプ装置において、前記認証情報は、前記通信確立機構に対する前記所定の操作がなされたときの時刻情報に基づいて作成される。形態18によれば、複数のポンプ装置において認証情報が重複してしまうことを抑制できる。
[形態19]形態19によれば、形態17のポンプ装置において、前記認証情報は、予め定められて前記ポンプ装置に記憶される情報である。
[形態20]形態20によれば、形態19のポンプ装置において、前記認証情報は、前記ポンプ装置の製造時に付与される一意のシリアル番号に基づいて定められる情報である。形態20によれば、複数のポンプ装置において認証情報が重複してしまうことを抑制できる。
[形態21]形態21によれば、形態15から20のポンプ装置において、前記ポンプ装置は、前記認証情報を表示する表示部を有する。形態21によれば、ユーザーが認証情報を確認することができる。
[形態22]形態22によれば、形態1から21のポンプ装置において、前記通信確立機構はバーコードであり、前記所定の操作は、前記管理装置での前記バーコードの読取り操作である。
[形態23]形態23によれば、形態22のポンプ装置において、前記通信確立機構は、前記ポンプ装置を構成する構成要素の少なくとも一部が収容される函体内に配置され、前記函体には外部から前記バーコードを読み取り可能な透明の窓部が設けられる。形態23によれば、函体によって通信確立機構を外的環境から保護すると同時に、函体を取り外すことなく窓部を介してペアリングを開始することができる。
[形態24]形態24によれば、形態7のポンプ装置において、前記通信確立機構は、前記ポンプ装置を構成する構成要素の少なくとも一部が収容される函体内に配置されるとともに前記函体は窓部が設けられ、前記第1の通信確立機構は前記窓部を介してアクセス不可とし、前記第2の通信確立機構のみ前記窓部を介してアクセス可能とする。形態24によれば、函体によって通信確立機構を外的環境から保護することができ、第2の通信確立機構によって函体を取り外すことなく窓部を介してペアリングを開始することができる。また、第1の通信確立機構は窓部を介してアクセス不可に構成されているため、外部からの不正アクセスによるポンプ装置の誤動作等を防止できる。
[形態25]形態25によれば、形態1から24のポンプ装置と、複数のポンプ装置のそれぞれと無線通信できるように構成された管理装置と、を備えるポンプシステムが提案される。形態25によれば、上記したポンプ装置と同様の効果を奏することができる。
[形態26]形態26によれば、ポンプにて建物に給水するためのポンプ装置における無線通信方法であって、前記ポンプ装置は、複数のポンプ装置のそれぞれと無線通信できるように構成された管理装置と通信する通信部と、前記管理装置との前記無線通信を確立するための通信確立機構と、を備え、前記無線通信方法は、前記通信確立機構に対する所定の操作をトリガにして、前記無線通信を確立するためのペアリングが開始されることを特徴とする。形態26によれば、上記したポンプ装置またはポンプシステムと同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、
その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。