JP2020070370A - コーティング剤組成物、コーティング膜及び物品 - Google Patents

コーティング剤組成物、コーティング膜及び物品 Download PDF

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寛 松谷
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隆文 近藤
知里 吉川
Tomosato Yoshikawa
知里 吉川
竹村 賢三
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賢三 竹村
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Masahiro Matsunaga
昌大 松永
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Abstract

【課題】着雪氷防止効果及び透明性に優れ、かつ、高い硬度を有するコーティング剤組成物を提供する。【解決手段】ポリシロキサンと、アルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン樹脂と、硬化触媒とを含有し ポリシロキサン100質量部に対するシリコーン樹脂の含有量が1〜10質量部であるコーティング剤組成物である。シリコーン樹脂中のアルキレンオキサイド鎖の含有割合が10〜50モル%であることが好ましい。また、ポリシロキサン100質量部に対する前記シリコーン樹脂の含有量が1〜15質量部であることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、着雪氷防止のために使用し得るコーティング剤組成物、コーティング膜、及び該コーティング膜が形成された物品に関する。
外気温が氷点下となる寒冷地においては、道路交通標識、信号機、送電線、鉄塔、屋外設備等の各種構造物や、自動車やトラック等の車両が積雪や低温に晒され、表面に着雪氷が発生することで様々なトラブル発生の原因となる。例えば、道路交通標識や信号機に着雪氷が発生すると、ドライバーが道路交通標識や信号機の表示を認識できなくなるため、交通障害や交通事故の発生が危惧される。また、送電線に着雪氷が発生すると、雪又は氷の重みで送電線が垂れ下がったり断線したりすることがある。さらには、車両のヘッドライトのカバー部材に着雪氷が発生すると、ライトから発せられた光が雪や氷に遮られ、前方を十分に照らすことが困難となる。寒冷地のみならず、冷蔵庫内及び冷凍庫内で用いられるものなどにおいても着雪氷が発生することで冷蔵又は冷凍、その他の性能の低下の原因となる。
以上のようなトラブルを防止するため、着雪氷が発生しやすい面に撥水性の被膜を形成し、着雪氷を防止することが提案されている(特許文献1〜2参照)。例えば、着雪氷を防止しようとする面に、水との接触角が高い材料を含む組成物によるコーティング膜を形成して、撥水性を高めて着雪氷を防止しようとするものである。
しかし、固相たる雪や氷は、液相たる水とは異なり、水との接触角のみを考慮しても、着雪氷を十分に防止することができない。特に、低温になればなるほど、雪や氷は接触面に強く固着し容易に脱離しなくなる。
一方、透明材料の表面に形成するコーティング膜としては、当該透明材料の本来の機能を発揮するため透明性に優れることが好ましい。例えば、車両のヘッドライトのカバー部材は透明材料からなるが、ライトから発せられた光を透過して効率良く前方に出射するには、カバー部材に形成するコーティング膜も透明性が十分であることが好ましい。他にも、道路標識等、コーティング膜が形成される面に描かれた文字等の情報を外部から視認可能とするためにも、当該コーティング膜は透明性が十分であることが好ましい。
しかし、一般に、水に対する接触角が大きい(100°以上)物質ほど可視光透過率が低い傾向にある。つまり、接触角が一定以上となると、接触角と可視光透過率とは反比例の関係にあり、従来においては、着雪氷防止効果を高めつつ、透明性を確保することは困難であった。
さらに、コーティング膜は物品の表面を保護するため高い硬度を有することが望まれるが、着雪氷防止を目的とした従来のコーティング膜は十分な硬度を有しない。
特開2001−40338号公報 特開2015−155512号公報
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものである。すなわち、本発明の目的は、着雪氷防止効果及び透明性に優れ、かつ、高い硬度を有するコーティング剤組成物、該コーティング剤組成物を硬化してなるコーティング膜、及び該コーティング膜が形成された物品を提供することにある。
前記課題を解決する手段は以下の通りである。
(1)ポリシロキサンと、アルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン樹脂と、硬化触媒とを含有し、前記ポリシロキサン100質量部に対する前記シリコーン樹脂の含有量が1〜15質量部であるコーティング剤組成物。
(2)前記シリコーン樹脂中のアルキレンオキサイド鎖の含有割合が10〜50モル%である前記(1)に記載のコーティング剤組成物。
(3)前記シリコーン樹脂が、3−(ポリエチレンオキシ)プロピル基で変性されたジメチルシリコーン樹脂である前記(1)又は(2)に記載のコーティング剤組成物。
(4)前記ポリシロキサン100質量部に対する前記シリコーン樹脂の含有量が1〜10質量部である前記(1)〜(3)のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のコーティング剤組成物を硬化してなるコーティング膜。
(6)基材表面に、前記(5)に記載のコーティング膜が形成された物品。
本発明によれば、着雪氷防止効果及び透明性に優れ、かつ、高い硬度を有するコーティング剤組成物、該コーティング剤組成物を硬化してなるコーティング膜、及び該コーティング膜が形成された物品を提供することができる。
本実施形態のコーティング膜上に着氷した様子を示す模式図である。 着氷力の評価試験に用いる機器を模式的に示す斜視図である。
<コーティング剤組成物>
本実施形態のコーティング剤組成物は、ポリシロキサンと、アルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン樹脂(以下、「変性シリコーン樹脂」とも呼ぶ。)と、硬化触媒とを含有することを特徴としている。
本実施形態のコーティング剤組成物は、少なくとも上記3つの成分が混合されてなる。これら3つの成分のうち、ポリシロキサンと変性シリコーン樹脂とは非相溶であるため相分離した状態にある。そのような状態の組成物を基材に塗布して硬化すると、ポリシロキサンの海部と、変性シリコーン樹脂の島部とからなる海島構造を有する平滑なコーティング膜となる。図1は、本実施形態のコーティング剤組成物を基材10上に塗布してコーティング膜12を形成した状態を示す。図1に示すように、コーティング膜12は、ポリシロキサン(無機ドメイン)の海部14と、変性シリコーン樹脂(有機ドメイン)の島部16とからなる。そして、そのような状態のコーティング膜12に、例えば、氷が付着した場合であっても、コーティング膜12から氷は容易に離脱する。そのメカニズムは必ずしも定かではないが、例えば、コーティング膜12表面の島部16のアルキレンオキサイド鎖と氷との界面に薄い水膜が形成され、その水膜により氷が離脱しやすくなると推察される。よって、コーティング膜12は着雪氷防止効果を有する。なお、コーティング膜12は、水との接触角が100°に満たない場合もあるが、そのような場合であっても高い着雪氷防止効果が得られる。
また、ポリシロキサン及び変性シリコーン樹脂は透明性に優れることから、コーティング膜12は、その厚みにもよるが一定以上の透明性を有する。
さらに、コーティング膜12は、海部14が高い硬度を有する無機物で、島部16が柔軟性に富む有機物であり、両者のバランスにより高い硬度を有しながらも割れが生じ難い。
なお、図1は、ポリシロキサンの海部14と、変性シリコーン樹脂の島部16との状態をあくまでも概念的に示したものであり、海部14に対する島部16の面積比率、及び島部16の形状及び配置態様は実際とは異なる。
以下に、本実施形態のコーティング剤組成物の各成分について順次説明する。
[ポリシロキサン]
本実施形態のコーティング剤組成物において、ポリシロキサンはコーティング膜としたとき、海島構造における海部を構成する。本実施形態において用いられるポリシロキサンとしては特に制限はない。例えば、アルキルアルコキシシロキサン、アリールアルコキシシロキサンを由来とする構造単位を有するものが挙げられる。また、着雪氷防止効果を損なわない範囲においてアルコキシ基の一部がヒドロキシ基となっていてもよい。本実施形態において、ポリシロキサンは1種の構造単位から構成されてもよいし、2種以上の構造単位から構成されていてもよい。
前記構造単位がアルキル基を有する場合のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましい。また、前記構造単位がアリール基を有する場合のアリール基としては、フェニル基及びナフチル基を挙げることができ、フェニル基であることが好ましい。
以上のポリシロキサンは、例えば、アルキルトリアルコキシシラン又はアリールトリアルコキシシランの加水分解縮合することで得られる。すなわち、当該ポリシロキサンは、別の表現によると、アルキルトリアルコキシシラン又はアリールトリアルコキシシランの加水分解縮合物である。
本実施形態おいて、ポリシロキサンとして、さらに具体的には、下記式(1)〜(3)で示される構造単位を有するものが挙げられる。
Figure 2020070370
式(1)〜(3)で示される構造単位を有するポリシロキサンの全構成単位の合計(100質量%)に対する(1)で示される構造単位の割合は、10〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。同様に、(2)で示される構造単位の割合は、20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましい。さらに、(3)で示される構造単位の割合は、0〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。また、撥水性を低下させない観点から、シラノール基を有する式(2)の構造単位は80質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、ポリシロキサンの重量平均分子量は、組成物の安定性を維持する観点から300〜50000であることが好ましく、500〜10000であることがより好ましい。
本実施形態において、ポリシロキサンは市販されているものも使用することができる。例えば、信越化学工業株式会社製:KR−500、FA−600、KC−89S、KR−516、X−40−9296、KR−513、X−22−161A、X−22−162C、X−22−163、X−22−163A、X−22−164、X−22−164A、X−22−173BX、X−22−174ASX、X−22−176DX、X−22−343、X−22−2046、X−22−2445、X−22−3939A、X−22−4039、X−22−4015、X−22−4272、XX−22−4741、X−22−4952、X−22−6266、KF−50−100cs、KF−96L−1cs、KF−101、KF−102、KF−105、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−393、KF−615A、KF−618、KF−857、KF−859、KF−860、KF−862、KF−877、KF−889、KF−945、KF−1001、KF−1002、KF−1005、KF−2012、KF−2201、X−22−2404、X−22−2426、X−22−3710、KF−6004、KF−6011、KF−6015、KF−6123、KF−8001、KF−8010、KF−8012、X−22−9002、共栄社化学株式会社製:GL−01、GL−02R、GL−03、GL−04R、日信化学工業株式会社製:シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG503A、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE、東レ・ダウコーニング株式会社製:DOW CORNING 100F ADDITIVE、DOW CORNING 11 ADDITIVE、DOW CORNING 3037 INTERMEDIATE、DOW CORNING 56 ADDITIVE、DOW CORNING TORAY Z−6094、DOW CORNING TORAY FZ−2104、DOW CORNING TORAY AY42−119、DOW CORNING TORAY FZ−2222、花王株式会社製:エマルゲン102KG、エマルゲン、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70、エマルゲン1135S−70、エマルゲン2020G−HA、エマルゲン2025G、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS114、等が挙げられる。
[アルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン樹脂(変性シリコーン樹脂)]
本実施形態のコーティング剤組成物において、変性シリコーン樹脂は、コーティング膜としたとき海島構造における島部を構成する。当該変性シリコーン樹脂は、上述の通り、シリコーン樹脂にアルキレンオキサイド鎖が結合してなる共重合体である。中でも、着雪氷防止効果がより向上する観点からブロック共重合体であることが好ましい。
変性シリコーン樹脂におけるシリコーン樹脂部分は、ジアルキルシリコーン樹脂、アルキルアリールシリコーン樹脂、ジアリールシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂の構造単位におけるアルキル基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。また、アリール基としては、フェニル基及びナフチル基を挙げることができ、フェニル基であることが好ましい。ジアルキルシリコーン樹脂、アルキルアリールシリコーン樹脂、及びジアリールシリコーン樹脂の一例としては、それぞれ、ジメチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂が挙げられる。
変性シリコーン樹脂におけるアルキレンオキサイド鎖としては、ジエチレンオキサイド鎖、トリエチレンオキサイド鎖などのポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖、ポリブチレンオキサイド鎖、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合体等が挙げられる。なお、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイド等の単一の構造単位からなるものは、構造単位が複数ではないため鎖状とは言いえないとも考えられる。しかし、本明細書において、アルキレンオキサイド鎖には、エチレンオキサイド等の単一の構造単位のものも含むものとする。
着雪氷防止効果を高める観点から、変性シリコーン樹脂中のアルキレンオキサイド鎖の含有割合は、10〜50モル%であることが好ましく、20〜40モル%であることがより好ましい。なお、本実施形態に係る変性シリコーン樹脂において、アルキレンオキサイドの酸素原子は、シリコーン樹脂のケイ素原子と直接結合していてもよいし、1又は2以上のメチレン基を介してシリコーン樹脂のケイ素原子に結合していてもよい。
本実施形態における変性シリコーン樹脂の一例を以下に示す。当該変性シリコーン樹脂は、下記構造式(4)で示される構造単位を有する。
Figure 2020070370
[構造式(4a)及び(4b)中、o、p、x、yはそれぞれの構造単位の数を示し、1以上の数である。]
構造式(4a)及び(4b)中、o及びpはそれぞれ独立に2〜100の整数であり、xは1〜25の整数であり、yは1〜3の整数である。なお、着雪氷防止効果を向上させる観点から、上記xは1〜10が好ましく、1〜8がより好ましい。ここで、構造式(4a)及び(4b)において、oをその構造単位数とするポリシロキサン単位とポリエチレンオキサイド鎖とは一体であることから、ポリエチレンオキサイド鎖の含有割合はxのみならずoにも依存して変動する。また、上記の通り、変性シリコーン樹脂中のアルキレンオキサイド鎖の含有割合は10〜50モル%が好ましいため、x及びoの数は当該含有割合の範囲内で変動する。
変性シリコーン樹脂として、上記の中でも、3−(ポリエチレンオキシ)プロピル基で変性されたジメチルシリコーン樹脂であることが好ましい。
本実施形態において、変性シリコーン樹脂の重量平均分子量は、塗膜の耐久性の観点から、1000〜50000であることが好ましく、2000〜30000であることがより好ましい。
本実施形態のコーティング剤組成物において、コーティング膜としたときに着雪氷防止効果を高める観点から、変性シリコーン樹脂の含有量は、ポリシロキサン100質量部に対して1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜10質量部であることがさらに好ましい。
[硬化触媒]
本実施形態のコーティング剤組成物において、硬化触媒はポリシロキサンを硬化させるために用いられる。硬化触媒としては、特に限定はないが、例えば、チタン、アルミニウム、スズ等の化合物が挙げられる。具体的には、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、テトラキス(2−ブトキシエチルアルコラート)チタニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジブチルスズジアセテート、ビス(ラウロキシジブチルスズ)オキサイド等が挙げられる。市販品としては、信越化学工業株式会社製、D−20、D−25、DX−9740などがある。
本実施形態のコーティング剤組成物において、ポリシロキサンを十分に硬化させる観点から、硬化触媒の含有量は、ポリシロキサン100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
本実施形態のコーティング剤組成物は、ポリシロキサンと、変性シリコーン樹脂と、硬化触媒とを少なくとも混合し、撹拌することで得られる。
本実施形態のコーティング剤組成物は、上記成分の他に、その効果を阻害しない範囲において、当該技術分野において一般に使用されている成分を配合することができる。当該成分としては、分散剤、表面改質剤、消泡材、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの成分の配合量は、使用する成分の種類に応じて適宜調整することができる。
本実施形態のコーティング剤組成物は、基材に塗布し、乾燥して硬化することにより、コーティング膜を形成することができる。
本実施形態のコーティング剤組成物の基材への塗布方法は特に限定されないが、スプレー塗布、バーコータ塗布、スピンコート塗布、インクジェット塗布、刷毛塗り、浸漬法等が挙げられる。塗布する際の膜厚は特に制限されないが、発泡や硬化不良を防ぐため100μm以下が好ましく、さらに好ましくは50μm以下である。また、製膜後に重ね塗りにすることで厚膜塗装を行うこともできる。一方、塗膜を硬化した際の膜厚、すなわちコーティング膜の厚みについては後述する。
本実施形態のコーティング剤組成物を基材に塗布した後、乾燥することによって硬化する。室温で乾燥させる場合、乾燥時間は一般的に、1時間から3日程度である。また、加熱により乾燥させる場合、当該加熱温度としては、作業の簡便性から30〜100℃とすることが好ましく、40〜80℃とすることがより好ましい。加熱時間は温度に応じて変動するが、一般的には10分〜6時間程度が好ましい。
<コーティング膜>
本実施形態のコーティング膜は、上述の本実施形態のコーティング剤組成物を硬化してなることを特徴としている。本実施形態のコーティング膜は、上記した図1に示すように、ポリシロキサンの海部と、変性シリコーン樹脂の島部とからなる海島構造を有する平滑なコーティング膜である。そして、上述の本実施形態のコーティング剤組成物において説明した通り、メカニズムは定かではないものの、本実施形態のコーティング膜に氷が付着した場合に氷は容易に離脱する。すなわち、本実施形態のコーティング膜は優れた着雪氷防止効果を有する。従って、本実施形態のコーティング膜を、後記のように、寒冷地において用いられる物品等の基材表面に形成することで着雪氷防止効果を発揮する。
一方、コーティング膜の厚みが一定の場合、水に対する接触角が100°を超えると透明性が低下する傾向にある。しかし、本実施形態のコーティング膜は、ポリシロキサン及び変性シリコーン樹脂は透明性に優れることから、コーティング膜はその厚みにもよるが一定以上の透明性を有する。つまり、水に対する接触角が100°を超えても一定以上の透明性を有する。
本実施形態のコーティング膜は、上述のように、海部が高い硬度を有する無機物で、島部が柔軟性に富む有機物であり、両者のバランスにより高い硬度を有しながらも割れが生じ難い。
本実施形態のコーティング膜の厚みとしては、着雪氷防止効果を発揮する観点から、1〜100μmとすることが好ましく、5〜50μmとすることがより好ましい。
一方、コーティング膜を基材上に形成するに当たり、接着性向上のため接着助剤を用いることが好ましい。特に、金属の基材にコーティング膜を形成するとき、十分な接着力が得られない場合には接着助剤を用いることが好ましい。接着助剤としては、シラン化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物等が挙げられる。例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、などのシラン化合物、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、などのチタン化合物等が挙げられる。
<物品>
本実施形態の物品は、基材表面に、上述の本実施形態のコーティング膜が形成されたことを特徴としている。換言すると、本実施形態の物品は、基材の最表面に上述の本実施形態のコーティング膜が形成されている。本実施形態の物品は、本実施形態のコーティング膜を形成されていることにより、コーティング膜が形成された領域において着雪氷防止効果に優れる。なお、本実施形態の物品において、コーティング膜が形成される基材としては、当該物品中において着雪氷の防止が所望される部位であって、物品の全体であっても一部であってもよい。例えば、信号機であればフードの上部、自動車用のヘッドライトであればカバー部材の外側面が、コーティング膜が形成される基材となる。
基材の材料としては、特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック、金属、セラミックス、繊維、塗装面等の種々の材料が挙げられる。また、基材の形状としても、特に限定されず、平面状、球面状、湾曲面状等が挙げられ、それらには段差部があってもよい。
本実施形態の物品としては、着雪氷防止効果に優れるコーティング膜が形成されていることから、寒冷地において使用されるもの、寒冷地に移動し得る車両、冷蔵・冷凍機器又は冷蔵・冷凍設備において使用されるものに対してその効果を十分に発揮し得る。具体的には、道路交通標識、信号機、送電線、鉄塔、屋外設備等の各種構造物や、自動車やトラック等の車両、冷蔵庫や冷凍庫などの冷蔵又は冷凍される内部の部材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本実施形態のコーティング膜は透明性に優れることから、当該コーティング膜を透明の基材に形成した場合であっても、その基材の透明性を維持しつつ、着雪氷防止効果等の効果を発揮し得る。
以下、実施例により本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
50mLガラスバイアルに、ポリシロキサン20g(信越化学工業株式会社製、KR−500)、エチレンオキサイド含有シリコーン樹脂0.4g(Gelest,Inc.製、DBE−224)、チタン系硬化触媒4.0g(10質量%IPA溶液)(信越化学工業株式会社製、D−20)を量り取り、転倒回転型撹拌器(ミックスローター)で40rpm、30分撹拌した。得られた混合液をガラス基材上にバーコート法により塗布し、50℃、60%RHで24時間硬化させてコーティング膜(厚み:20μm)を得た。
[実施例2〜3]
実施例1と同様に、ポリシロキサンとエチレンオキサイド含有シリコーン樹脂を表1に示す比で量り取った。その後、実施例1と同様の工程を経て、コーティング膜を得た。
[比較例1]
50mLガラスバイアルに、ポリシロキサン20g(信越化学工業株式会社製、KR−500)、硬化触媒4.0g(10質量%IPA溶液)(信越化学工業株式会社製、D−20)を量り取り、転倒回転型撹拌器(ミックスローター)で40rpm、30分撹拌した。得られた混合液をガラス基材上に塗布し、50℃、60%RHで24時間硬化させてコーティング膜を得た。
[比較例2]
実施例1と同様に、ポリシロキサンとエチレンオキサイド含有シリコーン樹脂を表1に示す比で量り取った。その後、実施例1と同様の工程を経て、コーティング膜を得た。
Figure 2020070370
<透過率測定>
各実施例・比較例において、上記のようにガラス基材上に形成したコーティング膜の全光線透過率(T.T.)を、JISK7361−1に則って、日本電色工業株式会社製、NDH−5000ヘーズメーターを用いて測定した。コーティング膜を塗布していないガラスをリファレンスとすることでT.T.を測定した。
<鉛筆硬度>
各実施例・比較例において、上記のようにガラス基材上に形成したコーティング膜の鉛筆硬度をJISK5600−5−4に則って、株式会社安田精機製作所No.553−M鉛筆引っかき硬度試験機を用いて測定した。傷跡を生じなかった最も硬い鉛筆の硬度を、評価のための鉛筆硬度とした。
<水の接触角測定>
各実施例・比較例において、上記のようにガラス基材上に形成したコーティング膜の表面の水の接触角を、JISR3257に則って静滴法によって測定した。水滴の容量は2.0μLとした。接触角は着滴から液滴の安定する1秒後の値を測定した。10か所で測定し、その平均値を求めた。
<着氷力測定>
着氷力の測定は図2に示す機器を用いて行った。まず、図2に示すように、ガラス基材20上に形成したコーティング膜22の表面に、外径3.0cm、内径2.5cm、高さ1.5cmの円筒形状のSUSリング24を載置した。次いで、SUSリング24の内側の空間に約4mLの純水を注入した。その状態で、−9℃の恒温槽中に投入して少なくとも1時間静置し、SUSリング24の内側の純水を凍結させ、氷26がコーティング膜22の表面に付着している状態とした。その後、図2に示すように、SUSリング24の側面に押進治具28を当接させた。押進治具28は、図示しない駆動手段により押進し、SUSリング24を水平方向に、所定の力及び速度で荷重できるように設定されている。そして、図22の矢印方向に押進治具28を押進させてSUSリング24の側面から水平方向に荷重し、コーティング膜22に付着した氷26が剪断剥離するまでの最大応力を測定した。測定した最大応力値を氷の付着面積で除した値を算出し、その値を着氷力とした。以上の測定を少なくとも5回繰り返し、得られた着氷力の平均値を求めた。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたコーティング膜の透過率、鉛筆硬度、水の接触角、及び着氷力を表2に示す。
Figure 2020070370
表2より、実施例1〜3においてはいずれも着氷力が小さく、着氷防止効果に優れることが分かる。また、着氷防止効果に優れることから、着雪防止効果にも優れると推察される。さらに、透過率が大きいことから透明性に優れ、鉛筆硬度が2H〜4Hであることから高い硬度を有することが分かる。なお、実施例1〜3においては、接触角が100°未満であっても着氷力が小さく、このことから、接触角よりも変性シリコーン樹脂が着氷力の低下に寄与したと考えられる。
これに対して、変性シリコーン樹脂を含まない比較例1においては着氷力が大きく、着氷防止効果に劣ることが分かる。また、ポリシロキサン100質量部に対する変性シリコーン樹脂の含有量が10質量部を超える比較例2(20質量部)は着氷力及び硬度に劣っていた。
以上より、本実施形態のコーティング剤組成物により、雪氷防止効果及び透明性に優れ、かつ、高い硬度を有するコーティング膜を形成できることが示された。

Claims (6)

  1. ポリシロキサンと、アルキレンオキサイド鎖を有するシリコーン樹脂と、硬化触媒とを含有し、
    前記ポリシロキサン100質量部に対する前記シリコーン樹脂の含有量が1〜15質量部であるコーティング剤組成物。
  2. 前記シリコーン樹脂中のアルキレンオキサイド鎖の含有割合が10〜50モル%である請求項1に記載のコーティング剤組成物。
  3. 前記シリコーン樹脂が、3−(ポリエチレンオキシ)プロピル基で変性されたジメチルシリコーン樹脂である請求項1又は2に記載のコーティング剤組成物。
  4. 前記ポリシロキサン100質量部に対する前記シリコーン樹脂の含有量が1〜10質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング剤組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング剤組成物を硬化してなるコーティング膜。
  6. 基材表面に、請求項5に記載のコーティング膜が形成された物品。
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