JP2020068537A - 多層静電アクチュエータ - Google Patents

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Tetsuro Okano
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Abstract

【課題】電極間の短絡を抑制しつつ誘電エラストマーをより薄く構成し発生力の向上を実現することができると共に、各電極への配線接続を容易とすることができる多層静電アクチュエータを提供することを目的とする。【解決手段】この目的を達成するため、本発明の多層静電アクチュエータは、誘電エラストマー層と、伸縮性を備えるシート状の電極とを交互に複数積層したものであって、隣り合う当該誘電エラストマー層のうち、一方の誘電エラストマー層の外縁の少なくとも一部を切り欠いた状態とし、他方の誘電エラストマー層の一部を露出面とした段部を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、電場駆動する誘電エラストマーを備えた多層静電アクチュエータに関する。
近年、モータに代わる駆動源として電場駆動型のソフトアクチュエータの開発が注目されている。このアクチュエータは、誘電性を有する高分子材料を用いたものであり、小型軽量で柔軟な動きが可能である。そのため、当該アクチュエータは、人工筋肉、電気駆動によるブレーキシステム、電気駆動によるバルブシステム等への応用が期待されている。このようなアクチュエータとして、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1に開示されたアクチュエータは、正の電圧が印加される第1の電極と、負の電圧が印加される第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟持された誘電エラストマーと、を有し、前記第1の電極と前記第2の電極とが前記誘電エラストマーを介して交互に複数配置された積層構造を有する。これにより、各電極間に電圧が印加されると、電極間に発生するクーロン力により電極同士が引きつけ合う。すると、これらの間に挟持された誘電エラストマーは、弾性変形により電極に対して垂直方向に圧縮され、電極に対して水平方向に伸長される。このアクチュエータでは、第1の電極と第2の電極とが誘電エラストマーを介して交互に複数配置された積層構造であるため、アクチュエータ全体の圧縮変位量は、各誘電エラストマーの圧縮変位量と各電極の圧縮変位量(電極が伸縮性を有する場合)とを足し合わせた大きさとなる。これにより、各電極間への電圧の印加を制御することで、アクチュエータは積層方向に伸縮可能となる。
特開2011−103713号公報
昨今の研究により、上述したようなアクチュエータにおいても、比較的低い駆動電圧で、大きな変位量を得ることが可能になってきている。しかしながら、実用的な変位量を得るためには、いまだ、数ボルトから数千ボルトの駆動電圧が必要とされる。第1電極と第2電極とが引き合う力は、誘電エラストマーの厚さ(電極間距離)の二乗に反比例する。そのため、誘電エラストマーを厚くしてアクチュエータ全体の変位量を大きくすることは、より高い駆動電圧が必要となり現実的ではない。そこで、各誘電エラストマーを薄くして、数多く積層することで、アクチュエータ全体の変位量を確保して、発生力の増大を図っていた。しかし、電極の端部が露出した状態で当該誘電エラストマーを薄くすると、電極同士が近接し、大気を介して電極間で短絡が生じやすくなる問題があった。
そこで、各電極を誘電エラストマーよりも小さくし、電極の外縁が誘電エラストマーの外縁よりも内側となるように配置して、大気を介した電極間の短絡を抑制していた。この場合、電極への給電は、配線を電極と誘電エラストマーとの間に挟み込んで行っていた。しかし、挟み込んだ配線部分も厚みを有しているため、当該部分の誘電エラストマーは、配線を挟み込んだ部分の厚みだけ薄くなり、誘電エラストマー層が不均一となる。そうすると、誘電エラストマーの薄くなった部分の絶縁破壊を生じる電圧が低くなり、それ以上電圧を印加することができないため、アクチュエータとしての性能が低下するという問題がある。
また、電極や誘電エラストマーの積層数が多いと、挟み込んで配線接続する数が多くなり、組立作業性が煩雑となる問題がある。
そのため、市場からは、電極間の短絡を抑制しつつ誘電エラストマーをより薄く構成し発生力の向上を実現することができると共に、各電極への配線接続を容易とすることができる多層静電アクチュエータの開発が要望されてきた。
本発明に係る多層静電アクチュエータは、誘電エラストマー層と、伸縮性を備えるシート状の電極とを交互に複数積層したものであって、隣り合う当該誘電エラストマー層のうち、一方の誘電エラストマー層の外縁の少なくとも一部を切り欠いた状態とし、他方の誘電エラストマー層の一部を露出面とした段部を備えることを特徴とする。
これにより、本発明に係る多層静電アクチュエータは、前記段部の露出面に、前記電極の少なくとも一部を配置することができる。
また、本発明に係る多層静電アクチュエータは、前記電極が、前記誘電エラストマー層に対する圧縮応力負荷領域と、当該圧縮応力負荷領域の外縁から延出した電極接続端子部とを備え、前記段部の露出面に当該電極接続端子部を配することも好ましい。
このとき、前記電極の圧縮応力負荷領域は、接する前記誘電エラストマー層のいずれよりも面積が小さいことが好ましい。
本発明に係る多層静電アクチュエータにおいて、各電極は、前記誘電エラストマー層を挟んで隣り合って配置した電極に印加される電位が相互に異なる第1電極又は第2電極であり、当該第1電極又は第2電極の少なくとも一方の前記電極接続端子部を前記段部の露出面に配することができる。
このとき、前記多層静電アクチュエータの外縁に沿って、複数の前記第1電極の電極接続端子部が形成する列と、複数の前記第2電極の電極接続端子部が形成する列とを、離して配することがより好ましい。
また、本発明に係る多層静電アクチュエータは、当該多層静電アクチュエータの外縁が形成する稜線が、複数の前記段部からなる階段部を備えるものとすることも好ましい。
上述した多層静電アクチュエータは、当該多層静電アクチュエータの外縁が形成する稜線が、当該多層静電アクチュエータの積層方向における少なくともいずれか一方の端部に向けて徐々に小さくなる先細り形状であることも好ましい。
また、本発明に係る多層静電アクチュエータは、前記誘電エラストマー層を同心状に積層することも好ましい。
さらに、本発明に係る多層静電アクチュエータを構成する複数の前記誘電エラストマー層が、互いに相似形であることも好ましい。
本発明に係る多層静電アクチュエータによれば、隣り合う誘電エラストマー層のうち、一方の誘電エラストマー層の外縁の少なくとも一部を切り欠いた状態とし、他方の誘電エラストマー層の一部を露出面とした段部を備えたので、段部を構成する誘電エラストマー層の間に配置した電極の端子は、少なくとも一部をこの段部の露出面に配置することができる。よって、電極の端子への配線は、段部の露出面に配置された部分で行うことができ、誘電エラストマー層が不均一とならない、また、配線作業性が良好となる。また、隣り合う電極の端子は、積層方向で対向配置とならないので、これら電極の端子間で短絡するおそれがない。
よって、誘電エラストマー層の厚みを全体で薄くすることができ、多層静電アクチュエータのコンパクト化を実現することができる。
本実施形態に係る多層静電アクチュエータの斜視図である。 図1の多層静電アクチュエータの平面図である。 図2のA−A断面図である。 図3の円B拡大図である。 誘電エラストマー層と電極との積層状態を説明する図である。 他の実施形態に係る多層静電アクチュエータの縦断側面図である。
以下、本発明に係る多層静電アクチュエータについて説明する。以下に、本発明に係る多層静電アクチュエータの一実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明に係る多層静電アクチュエータは、以下に述べる実施形態に限定されるものではないことを念のために述べておく。
本発明に係る多層静電アクチュエータは、誘電エラストマー層と、伸縮性を備えるシート状の電極とを交互に複数積層した多層静電アクチュエータである。本発明に係る多層静電アクチュエータは、隣り合う当該誘電エラストマー層のうち、一方の誘電エラストマー層の外縁の少なくとも一部を切り欠いた状態とし、他方の誘電エラストマー層の一部を露出面とした段部を備える点に特徴を有する。
具体的に、本発明に係る多層静電アクチュエータ1は、図1〜図3に示すように、誘電エラストマー層10とシート状の電極20とが交互に、複数、誘電エラストマー層10の厚さ方向に積層している。図3の断面図を参照して説明すると、多層静電アクチュエータ1は、図中上側から順に、第1電極20A/誘電エラストマー層10/第2電極20B/誘電エラストマー層10/・・(中略)・・/誘電エラストマー層10/第1電極20A/誘電エラストマー層10/第2電極20Bの層構成である。各誘電エラストマー層10は、いずれも第1電極20Aと第2電極20Bの間に存在する。この第1電極20Aと、第2電極20Bとは、シート状の電極20であり、相互に異なる電圧を印加する電極である。
そして、多層静電アクチュエータ1は、相互に隣り合う誘電エラストマー層10、10の間で構成する段部11を備える。具体的に図4の拡大図を参照して段部11を説明する。なお、図4では説明のしやすさを考慮し、注目する電極20及びそれと当接配置した誘電エラストマー層10A、10Bのみに符号を付す。図4に示すように、相互に隣り合う誘電エラストマー層10のうち、一方の誘電エラストマー層10Aは、その外縁12の少なくとも一部を切り欠いた状態である。これにより、この誘電エラストマー層10Aと隣り合う他方の誘電エラストマー層10Bは、少なくとも一部が外部に露出した露出面13となり、隣り合う誘電エラストマー層10Aと10Bとの間で段部11を形成する。本発明に係る多層静電アクチュエータ1では、この段部11の一部を構成する露出面13において、段部11を構成する隣り合う誘電エラストマー層10A、10Bの間に配置した電極20への配線を行うことが可能となる。これにより、本発明に係る多層静電アクチュエータは、電極20への配線を、当該電極20と隣り合う電極20とで挟まれる誘電エラストマー10Aや10B内で行う必要がないため、誘電エラストマー層10の圧縮変形量の均一性を阻害しない。よって、多層静電アクチュエータ1全体のコンパクト化を実現できる。以下、本発明に係る多層静電アクチュエータ1を構成する「誘電エラストマー層」及び、「電極」のそれぞれについて詳述する。その後で、「多層静電アクチュエータの全体構成」について述べる。
(1)誘電エラストマー層
本発明における誘電エラストマー層10を構成する誘電エラストマーは、電場応答性高分子からなり、誘電率が高く、絶縁性及び柔軟性に優れている。誘電エラストマー層10は、一面に第1電極20Aを配置し、他面に第2電極20Bを配置する。これら電極間への電圧制御により、誘電エラストマー層10は弾性変形する。具体的には、第1電極20Aと第2電極20Bとの間に電圧を印加すると、第1電極20Aと第2電極20Bとが引き合う力によって、誘電エラストマー層10は厚さ方向に圧縮され、平面方向に伸長される。電極20間への電圧の印加を止めると、誘電エラストマー層10は、自身の弾性によって元の形状に回復する。
誘電エラストマー層10を構成する材料としては、アクリルゴムやシリコーンゴム等に代表される誘電性高分子や、PVDFやPVDF2(ポリビニリデンフルオライドやその共重合体)に代表される強誘電性高分子等を用いることができる。しかし、本発明における誘電エラストマー層を構成する材料としては、ここに挙げたものに限定されない。
(2)電極
本発明における電極20は、上述した誘電エラストマー層10の両面に設ける。誘電エラストマー層10を挟んで隣り合って配置した電極20に対してそれぞれ異なる電圧を印加することにより、電極20間にクーロン力が発生し、誘電エラストマー層10が弾性変形される。ここでは、誘電エラストマー層10の一面に設けた電極20を陽極として機能する第1電極20Aとし、他面に設けた電極20を陰極として機能する第2電極20Bとする。第1電極20A及び第2電極20Bは、誘電エラストマー層10の変形に応じて伸縮する柔軟性を備えたシート状電極であることが好ましい。具体的には、シート状電極は、金、白金、銀、銅等の金属や、炭素微粒子、炭素繊維、カーボンナノチューブ等に代表される導電性材料を樹脂材料に分散して構成することができる。この場合、誘電エラストマー層10の伸縮に追従する柔軟性を実現するため、シート状電極を構成する樹脂材料としては、アクリル系、シリコン系、ウレタン系、スチレン系のエラストマー材料やシリコングリース等の高粘性樹脂材料を用いることができる。なお、本発明では、シート状電極は、誘電エラストマー層10の伸縮に追従可能な柔軟性を備えていればよく、ここで挙げたものに限られない。
本実施の形態における第1電極20A及び第2電極20Bは、それぞれ圧縮応力負荷領域22と、電極接続端子部24とを備えている。この圧縮応力負荷領域22と電極接続端子部24について、図5を参照して説明する。図5には図3の電極20と誘電エラストマー層10とを部分的に抜き出して、各領域の範囲を示す。
圧縮応力負荷領域22は、電極20に電圧を印加した際に、電極20と当接して配置した誘電エラストマー層10に対して圧縮応力を負担する領域である。上述したように、電極20は、2つの誘電エラストマー層10A、10Bの間に配置する。圧縮応力負荷領域22は、この電極20と当接して配置したいずれの誘電エラストマー層10A及び10Bの電極20側の面の面積よりも小さいことが好ましい。圧縮応力負荷領域22の面積が、当接して配置した誘電エラストマー層10A及び10Bの電極20側の面の面積より、わずかでも小さければ、圧縮応力負荷領域22全域を誘電エラストマー層10A及び10Bによって被覆することができる。これにより、隣り合う電極20の間には、誘電エラストマー層10A又は10Bが介在することになるので、隣り合う電極20の間で短絡を生じる不都合を抑制できる。
電極接続端子部24は、圧縮応力負荷領域22の外縁から延出した領域に形成する。電極接続端子部24は、圧縮応力負荷領域22の外縁の全周全域に渡って形成するのではなく、図2に示すように、圧縮応力負荷領域22の外縁の一部のみから延出して形成することが好ましい。本実施の形態では、電極接続端子部24は、上述した隣り合う誘電エラストマー層10Aと10Bとの間において形成した段部11の露出面13上に配する。そのため、電極接続端子部24は、露出面13に沿って配置可能な大きさであることが好ましい。電極接続端子部24が露出面13よりも外方に延出する大きさであると、隣り合って配置した電極20の電極接続端子部24と短絡が生じやすくなるからである。電極接続端子部24は、図示しない配線を支障なく接続できる面積を有していれば、その効果を十分に得ることができる。なお、図1及び図2では、第1電極20Aの電極接続端子部を24Aとし、第2電極20Bの電極接続端子部を24Bとして示す。
(3)多層静電アクチュエータの全体構成
次に、本実施の形態に係る多層静電アクチュエータ1の全体構成について説明する。本実施の形態に係る多層静電アクチュエータ1は、誘電エラストマー層10を介して第1電極20Aと第2電極20Bとが交互に存在している。この状態で、各電極20の圧縮応力負荷領域22は、それぞれの電極20の一面側及び他面側に存在する誘電エラストマー層10Aと10Bによって覆われた状態となる。その一方で、電極20の圧縮応力負荷領域22を覆う誘電エラストマー層10Aと10Bとの間には、外縁に段部11が存在し、段部11を構成する露出面13に電極20の電極接続端子部24を配することができる。
段部11は、隣り合うすべての誘電エラストマー層10Aと10Bとの間に形成してもよいが、その一部のみに形成してもよい。少なくとも段部11を形成する誘電エラストマー層10Aと10Bとの間に存在する電極20は、電極接続端子部24を段部11の露出面13に延出して形成することができる。よって、電極20への配線作業は、支障なく外部に露出した電極接続端子部24に対して行うことができる。また、隣り合う電極20の間には、誘電エラストマー層10が存在するため、異なる電位を印加する第1電極20Aと第2電極20Bとの間で短絡するおそれがない。
さらに、電極接続端子部24に接続する配線は、電極20と誘電エラストマー層10との間に挟み込む必要がない。それゆえ、配線による誘電エラストマー層10の圧縮変形量が不均一となる不都合を回避することができる。その結果、部分的に誘電エラストマー層10の厚さを調整する必要がなくなる。よって、誘電エラストマー層10の厚みを全体で均一に薄くすることができる。この誘電エラストマー層10の厚さは、多層静電アクチュエータ1の全体の発生力に大きく影響を及ぼす。以下に、誘電エラストマー層10の厚さ方向に働くマクスウェル応力Pelを求める式(1)を示す。
Figure 2020068537

ただし、εは真空の誘電率、εは非誘電率、Vは電圧、dは電極間距離である。
式(1)から誘電エラストマー層10の厚さ方向に働く応力Pelは、電極間距離dの2乗に反比例することが分かる。式(1)における電極間距離dは、本発明において、誘電エラストマー層10(単層)の厚さに相当する。よって、誘電エラストマー層10に不均一な厚み部分が存在すると、発生力の偏りが生じる可能性がある。また、部分的に電極間距離dが極端に近くなると、絶縁破壊を生じて短絡が生じる可能性がある。したがって、段部11に配した電極接続端子部24において電極20への配線接続を行うことで、配線による誘電エラストマー層10の厚みの不均一を排し、これまで以上に誘電エラストマー層10を薄く形成することができるようになる。その結果、各誘電エラストマー層10をより薄く構成でき、より発生力が大きな多層静電アクチュエータ1を、より一層コンパクトに実現することができる。
本発明における段部11は、外形寸法が異なる2種類の誘電エラストマー層10を交互に配置することで複数、形成してもよい。この場合、積層方向における多層静電アクチュエータ1の外形寸法が全体で大きく変わらない構成とすることができる。
これ以外にも、段部11を備えた多層静電アクチュエータ1としては、基準とする誘電エラストマー層10から積層方向にいくに従って、積層した誘電エラストマー層10の外形寸法を、順次、小さく、若しくは、大きく変化させた階段状を形成してもよい。この場合、各誘電エラストマー層10と交互に配置した第1電極20A及び第2電極20Bも、それぞれが当接する誘電エラストマー層10の大きさに応じて、圧縮応力負荷領域22が当該誘電エラストマー層10によって覆われた状態となるように、大きさを変更して形成する。当該構成により、多層静電アクチュエータ1の外縁が形成する稜線は、複数の段部11からなる階段部15を備えることとなる。
本実施形態の説明に用いた図1〜図4に示す多層静電アクチュエータ1では、積層方向において中央に位置する誘電エラストマー層10を基準とする誘電エラストマー層10Sとする。積層した各誘電エラストマー層10の外形寸法は、基準とする誘電エラストマー層10Sから積層方向、具体的には、多層静電アクチュエータ1の端部方向にいくに従って、順次小さく形成している。よって、図3の側面図に示すように、多層静電アクチュエータ1の外縁は、中央に位置する誘電エラストマー層10Sの面積が最も大きく、端部にいくに従って各誘電エラストマー層10の面積が徐々に小さくなる階段状を呈している。
このように多層静電アクチュエータ1の外縁が形成する稜線は、少なくともいずれか一方の端部に向けて徐々に小さくなる先細り形状を備えていることにより、当該多層静電アクチュエータ1により動かす対象物との当接面を小さくできる。すなわち、上記対象物に固定される領域を小さくすることができるため、多層静電アクチュエータ1の変形を阻害しない。よって、汎用性が高く、さらに効率が良い多層静電アクチュエータとすることができる。
ここで説明した多層静電アクチュエータ1では、全体形状が円錐を2つ合わせた断面菱形状を呈しているが、最も外形寸法が大きい誘電エラストマー層10Sは、積層方向の中央に配置したものに限らない。これ以外にも、例えば、図6に示すように、当該菱形状の多層静電アクチュエータ1をさらに上下に複数、設けて一つの多層静電アクチュエータ2を構成してもよい。
また、階段部15を備えた多層静電アクチュエータの全体形状は、上述した断面菱形状を備えるものに限定されない。例えば、多層静電アクチュエータの積層方向の一端から他端にわたって徐々に積層した誘電エラストマー層10の外形寸法が、順に、小さく、又は、大きくなる円錐状であってもよい。これ以外にも、多層静電アクチュエータ1の一部のみに階段部15を備えていてもよい。
上述した実施の形態のように、誘電エラストマー層10の厚さ方向に積層していく各誘電エラストマー層10は、同心状に配置することが好ましい。この場合、各誘電エラストマー層10と交互に存在する各電極20も、各誘電エラストマー層10と同心状に配置することが好ましい。積層する各誘電エラストマー層10及び各電極20を同心状に配置することで、各誘電エラストマー層10に生じた発生力を多層静電アクチュエータ全体の発生力として効率的に用いることができるからである。同様の理由から、誘電エラストマー層10の厚さ方向に積層していく複数の誘電エラストマー層10は、相互に相似形であることが好ましい。また、各誘電エラストマー層10と交互に存在する各電極20の圧縮応力負荷領域22も、各誘電エラストマー層10と相似形であることが好ましい。
上述したいずれの実施の形態であっても、多層静電アクチュエータ1は、誘電エラストマー層10を介して、第1電極20Aと第2電極20Bとが交互に存在する。そのため、各第1電極20Aが備える電極接続端子部24Aは、図1や図2から理解できるように、多層静電アクチュエータ1の外縁に沿って並べて配置し、電極接続端子部24Aの列25Aを形成することが好ましい。同様に、各第2電極20Bが備える電極接続端子部24Bは、電極接続端子部24Bの列25Bを形成することが好ましい。同じ電位を印加する電極20の電極接続端子部24を多層静電アクチュエータ1の外縁に沿って並べて配置することで、各電極接続端子部24への配線接続をより近くで行うことができる。よって、配線レイアウトを簡素化することができると共に、配線作業性も良好となる。なお、図1〜図4では、第1電極20Aの電極接続端子部24Aも、第2電極20Bの電極接続端子部24Bも、それぞれ多層静電アクチュエータ1の外縁に沿って並べて配置しているが、いずれか一方の電極20の電極接続端子部24のみを並べて配列してもよい。また、列25A及び列25Bは、多層静電アクチュエータ1の積層方向(すなわち、誘電エラストマー層の厚さ方向)に沿って直線状に配置しているが、本発明は、これに限られない。
さらに、多層静電アクチュエータ1の外縁に沿って並べて形成した電極接続端子部24Aの列25Aと、電極接続端子部24Bの列25Bとは、離して配することがより好ましい。本実施の形態では、図2に示すように、列25Aと列25Bとが最も離れた位置となるように、列25Aと列25Bは、多層静電アクチュエータ1の積層方向に延びた中心軸Cを挟んで対向する位置に設けている。当該構成により、列25Aを成す各電極接続端子部24Aへの配線と、列25Bを成す各電極接続端子部24Bへの配線を離して設けることができ、より効果的に短絡が生じる不都合を抑制することができる。
本発明に係る多層静電アクチュエータは、配線による誘電エラストマー層の圧縮変形量の不均一が生じないため、誘電エラストマー層をより薄くでき、より低い駆動電圧で、より大きな発生力を得ることができる。よって、本発明に係る多層静電アクチュエータは、小型で、より大きな発生力が要求される人工筋肉や、電気駆動によるブレーキシステム、電気駆動によるバルブシステム等に好適である。
1、2 多層静電アクチュエータ
10、10A、10B 誘電エラストマー層
11 段部
12 外縁
13 露出面
20 電極
20A 第1電極
20B 第2電極
22 圧縮応力負荷領域
24、24A、24B 電極接続端子部
25A、25B 列

Claims (10)

  1. 誘電エラストマー層と、伸縮性を備えるシート状の電極とを交互に複数積層した多層静電アクチュエータにおいて、
    隣り合う当該誘電エラストマー層のうち、一方の誘電エラストマー層の外縁の少なくとも一部を切り欠いた状態とし、他方の誘電エラストマー層の一部を露出面とした段部を備えることを特徴とする多層静電アクチュエータ。
  2. 前記段部の露出面に、前記電極の少なくとも一部を配置した請求項1に記載の多層静電アクチュエータ。
  3. 前記電極は、前記誘電エラストマー層に対する圧縮応力負荷領域と、当該圧縮応力負荷領域の外縁から延出した電極接続端子部とを備え、
    前記段部の露出面に当該電極接続端子部を配した請求項2に記載の多層静電アクチュエータ。
  4. 前記電極の圧縮応力負荷領域は、接する前記誘電エラストマー層のいずれよりも面積が小さい請求項3に記載の多層静電アクチュエータ。
  5. 前記多層静電アクチュエータを構成する各電極は、前記誘電エラストマー層を挟んで隣り合って配置した電極に印加される電位が相互に異なる第1電極又は第2電極であり、
    当該第1電極又は第2電極の少なくとも一方の前記電極接続端子部を前記段部の露出面に配した請求項3又は請求項4に記載の多層静電アクチュエータ。
  6. 前記多層静電アクチュエータの外縁に沿って、複数の前記第1電極の電極接続端子部が形成する列と、複数の前記第2電極の電極接続端子部が形成する列とを、離して配した請求項5に記載の多層静電アクチュエータ。
  7. 前記多層静電アクチュエータの外縁が形成する稜線が、複数の前記段部からなる階段部を備える請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の多層静電アクチュエータ。
  8. 前記多層静電アクチュエータの外縁が形成する稜線が、当該多層静電アクチュエータの積層方向における少なくともいずれか一方の端部に向けて徐々に小さくなる先細り形状である請求項7に記載の多層静電アクチュエータ。
  9. 前記誘電エラストマー層を同心状に積層した請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の多層静電アクチュエータ。
  10. 前記多層静電アクチュエータを構成する複数の前記誘電エラストマー層は、互いに相似形である請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の多層静電アクチュエータ。
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