JP2020067028A - 圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】吸込流路内の圧力の変動に対する応答性を高めつつ、消費電力を低減する。【解決手段】圧縮機(ガス圧縮機1)は、ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体10と、圧縮機本体10に流体を流入させる吸込流路30と圧縮機本体10から流体を流出させる吐出流路32とを連通させる吐出バイパス流路40と、吐出バイパス流路40に設けられる吐出バイパス弁42と、圧縮機本体10内の流体を吐出流路32を介さずに吸込流路30に還流させるエコノバイパス流路50と、エコノバイパス流路50に設けられるエコノバイパス弁52と、吐出流路32の流体の圧力に基づいて吐出バイパス弁42の閉度およびエコノバイパス弁52の閉度を調整する圧力調整部72と、圧力調整部72の調整結果に基づいて目標回転数を導出する回転数制御部74と、目標回転数に従って圧縮機本体10を駆動するモータ20と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機能を有する圧縮機に関する。
特許文献1には、ガスタービンに供給する都市ガスなどのガスの圧力を調整するガス圧縮機が例示されている。このガス圧縮機は、圧縮機本体内のガス圧縮空間部を、流量調整弁(所謂、エコノバイパス弁)を介して吸込口に連通させるバイパス流路(所謂、エコノバイパス)と、吐出流路内のガスの圧力を一定の範囲内に保つように流量調整弁の開度を調整する圧力調整計とを備える。かかる技術によれば、急激な容量制御が可能となる。
特開平10−274180号公報
ガス圧縮機の吸込流路は、都市ガスなどのガスが通る導管に接続される。導管内のガス(都市ガス)の圧力は、需要や外気温などによって変動する。これにより、ガス圧縮機の吸込流路内のガスの圧力も、導管内のガスの圧力の変動にしたがって変動する。
ガス圧縮機には、スクリュ式などのケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型圧縮機がある。容積型圧縮機のうち高い内部容積比が選定される容積型圧縮機では、吸込流路内のガスの圧力が相対的に高い場合、吸込流路内のガスの圧力が相対的に低い場合に比べ、軸動力が大きくなる。つまり、このような容積型圧縮機では、吸込流路内のガスの圧力が高くなるほど、圧縮機本体を駆動するモータにおいて消費される消費電力が大きくなる。
本発明は、このような課題に鑑み、吸込流路内の圧力の変動に対する応答性を高めつつ、消費電力を低減することが可能なガス圧縮機を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の圧縮機は、ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体と、圧縮機本体に流体を流入させる吸込流路と圧縮機本体から流体を流出させる吐出流路とを連通させる吐出バイパス流路と、吐出バイパス流路に設けられる吐出バイパス弁と、圧縮機本体内の流体を吐出流路を介さずに吸込流路に還流させるエコノバイパス流路と、エコノバイパス流路に設けられるエコノバイパス弁と、吐出流路の流体の圧力に基づいて、吐出バイパス弁の閉度およびエコノバイパス弁の閉度を調整する圧力調整部と、圧力調整部の調整結果に基づいて目標回転数を導出する回転数制御部と、目標回転数にしたがって圧縮機本体を駆動するモータと、を備える。
また、回転数制御部は、圧力調整計の調整結果が、吐出バイパス弁の閉度が全閉であり、かつ、エコノバイパス弁の閉度が全閉以外の所定の閉度となるように目標回転数を導出してもよい。
また、回転数制御部は、吐出流路から吐出された流体を消費する装置の出力が定格出力となるモータの回転数に所定割合を乗じた回転数である第1下限値を、吸込流路の流体の圧力に基づいて導出し、目標回転数を第1下限値以上にしてもよい。
また、回転数制御部には、モータの軸トルクが定格軸トルクとなるモータの回転数である第2下限値が設定されおり、回転数制御部は、目標回転数を第2下限値以上にしてもよい。
また、回転数制御部には、モータの危険速度を含む所定回転数範囲が設定されており、回転数制御部は、目標回転数を所定回転数範囲外の回転数としてもよい。
また、回転数制御部におけるモータの回転数制御の制御周期は、圧力調整部における吐出バイパス弁およびエコノバイパス弁の開閉制御の制御周期よりも長くてもよい。
本発明によれば、吸込流路および吐出流路内の圧力の変動に対する応答性を高めつつ、消費電力を低減することが可能となる。
本実施形態によるガス圧縮機の構成を示す概略図である。 MV値について説明する説明図である。 第2下限値を説明する説明図である。 圧力調整部の動作を説明するフローチャートである。 回転数制御部の動作を説明するフローチャートである。 効果を説明する説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態によるガス圧縮機1の構成を示す概略図である。図1では、信号の流れを破線の矢印で示し、流体としてのガスの流れの方向を一点鎖線の矢印で示している。以下では、本実施形態に関係する構成や処理について詳細に説明し、本実施形態と無関係の構成や処理については説明を省略する。圧縮機の一例であるガス圧縮機1は、例えば、スクリュ圧縮機などの容積型圧縮機である。
ガス圧縮機1は、圧縮機本体10、モータ20、吸込流路30、吐出流路32、吐出バイパス流路40、吐出バイパス弁42、エコノバイパス流路50、エコノバイパス弁52、吸込圧力計60、吐出圧力計62、吸込温度計64、ガス圧縮機制御盤70、モータ制御部80を含んで構成される。
圧縮機本体10は、スクリュ式などのケーシング12に固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体である。圧縮機本体10は、ケーシング12と、互いに噛み合う一対のスクリュロータ14とを含んで構成される。図1では、一対のスクリュロータ14の一方を示している。スクリュロータ14は、ケーシング12内に、回転可能に収容されている。スクリュロータ14は、モータ20の回転軸に接続されている。
モータ20は、例えば、同期電動機である。モータ20は、モータ制御部80による制御の下、圧縮機本体10(スクリュロータ14)を駆動させる。なお、モータ20は、誘導電動機であってもよい。
圧縮機本体10には、吸込流路30および吐出流路32が接続されている。吸込流路30は、例えば、都市ガスなどのガスが通る導管(図示略)に接続される。圧縮機本体10には、吸込流路30を通じて導管からガス(都市ガス)が流入される。圧縮機本体10は、圧縮機本体10に流入されたガスを、スクリュロータ14を回転することで圧縮する。
吐出流路32は、例えば、ガスを消費する装置であるガスタービン(図示略)に接続される。圧縮機本体10は、圧縮したガスを吐出流路32を通じてガスタービンに供給する。つまり、圧縮されたガスは、吐出流路32を通って流出される。
吐出バイパス流路40は、吸込流路30と吐出流路32とを連通させる。吐出バイパス流路40は、吐出流路32のガスを吸込流路30へ還流させる。吐出バイパス流路40には、吐出バイパス弁42が設けられている。吐出バイパス弁42は、その閉度(開度)にしたがって、吐出流路32から吸込流路30へ還流させるガスの流量を調整する。
圧縮機本体10におけるスクリュロータ14の軸方向の途中には、エコノバイパス流路50の一端が設けられている。エコノバイパス流路50の他端は、吸込流路30における吐出バイパス流路40との接続ノード44と、圧縮機本体10との間の位置46に接続されている。エコノバイパス流路50は、圧縮機本体10と吸込流路30とを連通させる。エコノバイパス流路50は、圧縮機本体10内のガスを吐出流路32を介さずに吸込流路30に還流させる。エコノバイパス流路50は、圧縮機本体10に吸い込まれたガス量の40%程度のガス(完全に圧縮される前のガス)を、その後のガスタービンに用いることなく、吸込流路30に還流させることができる。
エコノバイパス流路50には、エコノバイパス弁52が設けられている。エコノバイパス弁52は、その閉度(開度)にしたがって、圧縮機本体10内から吸込流路30へ還流させるガスの流量を調整する。
吸込圧力計60は、吸込流路30における吐出バイパス流路40との接続ノード44よりもガスの流れの上流に設けられる。吸込圧力計60は、吸込流路30を通るガスの圧力(吸込圧力)を計測する。吐出圧力計62は、吐出流路32における吐出バイパス流路40との接続ノード48よりもガスの流れの下流に設けられる。吐出圧力計62は、吐出流路32を通るガスの圧力(吐出圧力)を計測する。
吸込温度計64は、吸込流路30における吐出バイパス流路40との接続ノード44よりもガスの流れの上流に設けられる。吸込温度計64は、吸込流路30を通るガスの温度(吸込温度)を計測する。
ガス圧縮機制御盤70は、ガス圧縮機1の各部を制御する各種の機器を収容する箱体である。ガス圧縮機制御盤70には、圧力調整部72および回転数制御部74が収容される。
圧力調整部72は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等を含む半導体集積回路から構成される。
圧力調整部72は、吐出圧力計62によって計測された吐出圧力を取得する。圧力調整部72は、吐出圧力が所定値に維持されるようなMV値(Manipulative Variable値)を導出する。MV値は、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)に対応付けられている。
圧力調整部72は、MV値に基づいて、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)を決定する。MV値、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)の決定については、後に詳述する。
圧力調整部72は、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)が、決定された閉度(開度)となるように、吐出バイパス弁42を開閉するアクチュエータ(図示略)およびエコノバイパス弁52を開閉するアクチュエータ(図示略)を駆動させる。
回転数制御部74は、中央処理装置(CPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ等を含む半導体集積回路から構成される。
回転数制御部74は、圧力調整部72からMV値を取得する。回転数制御部74は、MV値が所定値となるように、モータ20の目標回転数を更新する。
また、回転数制御部74は、吸込圧力計60によって計測された吸込圧力(吸込圧力値)、および、吸込温度計64によって計測された吸込温度を取得する。回転数制御部74は、モータ20の目標回転数の下限値である第1下限値n1を、吸込圧力(吸込圧力値)および吸込温度に基づいて導出する。第1下限値n1については、後に詳述する。回転数制御部74は、第1下限値n1を下回らないようにモータ20の目標回転数を更新する。
回転数制御部74は、更新された目標回転数を示す回転数指令信号をモータ制御部80に送信する。モータ20の目標回転数の更新については、後に詳述する。
モータ制御部80は、例えば、マトリクスコンバータである。モータ制御部80は、商用の交流電力を所望の周波数の交流電力に直接変換する。モータ制御部80は、回転数制御部74から送信される回転数指令信号を受信する。モータ制御部80は、モータ20の回転数が回転数指令信号により示される目標回転数となるような周波数の交流電力に変換し、変換された交流電力をモータ20に供給する。なお、モータ制御部80は、商用の交流電力を一旦直流電力に変換した後に所望の交流電力に変換するインバータであってもよい。
図2は、MV値について説明する説明図である。図2において、横軸は、MV値を示し、縦軸は、吐出バイパス弁42の閉度およびエコノバイパス弁52の閉度を示す。また、図2において、実線A1はエコノバイパス弁52の閉度を示し、一点鎖線A2は吐出バイパス弁42の閉度を示す。
MV値とエコノバイパス弁52の閉度とは比例関係にある。同様に、MV値と吐出バイパス弁42の閉度とは比例関係にある。また、エコノバイパス弁52の閉度を示す実線A1と、吐出バイパス弁42の閉度を示す一点鎖線A2とは、MV値の軸方向にずれている。
例えば、MV値100%は、吐出バイパス弁42の閉度が100%(全閉)であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度が100%(全閉)に相当する。
また、MV値0%は、吐出バイパス弁42の閉度が0%(全開)であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度が0%(全開)に相当する。
また、例えば、MV値60%は、吐出バイパス弁42の閉度が100%であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度が約20%に相当する。MV値50%は、吐出バイパス弁42の閉度が約85%であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度が0%に相当する。
吐出バイパス弁42の閉度とエコノバイパス弁52の閉度とが両方とも100%(開度0%)の状態から、ガス圧縮機1からガスタービンなどに送出する送出ガス量を下げる場合、まず、吐出バイパス弁42の閉度を100%に維持した状態で、エコノバイパス弁52の閉度を下げる(開度を上げる)。
エコノバイパス弁52の閉度が約20%となり、さらに、送出ガス量を下げる場合、エコノバイパス弁52の閉度をさらに下げるとともに、吐出バイパス弁42の閉度を100%から下げていく。エコノバイパス弁52の閉度が0%(開度100%)となり、さらに、送出ガス量を下げる場合、エコノバイパス弁52の閉度を0%に維持した状態で、吐出バイパス弁42の閉度をさらに下げる。
このように、本実施形態のガス圧縮機1では、吐出バイパス弁42よりもエコノバイパス弁52が優先的に開かれる。
また、ガスタービンに供給するガスの圧力(吐出圧力)は、送出ガス量が変化しても、所定値に維持する必要がある。このため、圧力調整部72は、吐出圧力計62の吐出圧力が所定値に維持されるようなMV値を導出する。そして、圧力調整部72は、MV値から吐出バイパス弁42の閉度およびエコノバイパス弁52の閉度を導出する。
図2に示すように、MV値が95%のとき、吐出バイパス弁42の閉度は100%であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度は90%である。例えば、圧力調整部72は、吐出圧力計62の吐出圧力が所定値に維持されるようなMV値として、MV値95%を導出したとする。この場合、圧力調整部72は、吐出バイパス弁42の閉度を100%に決定し、かつ、エコノバイパス弁52の閉度を90%に決定する。そして、回転数制御部74は、MV値95%を圧力調整部72から取得することとなる。
回転数制御部74は、圧力調整部72のMV値の目標値を95%±2%とし、MV値が95%±2%となるように、モータ20の目標回転数を導出する。以後、MV値に基づいて導出されるモータ20の目標回転数を目標回転数n0と呼ぶ。なお、MV値の目標値における中心値は、95%に限らず、MV値の目標値における中心値からの範囲は、±2%に限らない。
例えば、回転数制御部74が圧力調整部72から取得するMV値は、MV値の現在値を示す。また、MV値の目標値を95%とする。回転数制御部74は、MV値の現在値が目標値(95%)になるように、例えば、PIDフィードバック制御などによってMV値の制御値を導出する。また、回転数制御部74には、MV値の制御値とモータ20の目標回転数n0とを関連付けたテーブル(回転数テーブル)が記憶されている。回転数制御部74は、MV値の制御値と回転数テーブルとから、モータ20の目標回転数n0を導出する。
ここで、ガスタービンを低出力で運転する場合には、ガスタービンに供給するガス量は少なくてよいため、モータ20の回転数は低くてもよい。例えば、ガスタービンに供給するガス量が少ない場合(換言すると、ガスタービンが低出力運転の場合)、MV値を相対的に小さくしなければ(吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52を開かなければ)ならない。MV値が小さくなると、そのMV値を目標値に近づけるため、回転数制御部74は、モータ20の目標回転数n0を小さくする。こうして、モータ20の回転数は低回転数となり、MV値は95%に戻る。
ガスタービンが低出力運転であり、かつ、モータ20の回転数が低回転数である状態からガスタービンの出力が急激に増加すると、ガスタービンに供給すべきガス量が急激に多くなる。このとき、吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御のみでは供給すべきガス量を確保できないため、モータ20の回転数を、ガスタービンの出力の増加(供給すべきガス量の増加)に追従して上昇させる必要がある。
しかし、モータ20の回転数を低回転数から高回転数に上昇させるには時間がかかり、モータ20の回転数をガスタービンの出力の増加に追従して上昇させることができない(換言すると、モータ20の回転数制御の応答遅れが生じる)場合がある。
そこで、本実施形態のガス圧縮機1では、モータ20の目標回転数の下限値である第1下限値n1が設けられる。第1下限値n1は、ガスタービンの出力が定格出力となるモータ20の回転数(換言すると、ガスタービンが最大出力運転時のモータ20の回転数)に所定割合を乗じた回転数に設定される。所定割合は、100%以下の、例えば、80%に設定される。
ここで、ガスタービンの出力が定格出力となるモータ20の回転数は、吐出圧力、吸込圧力、吸込温度に基づいて決定することができる。吐出圧力は、固定値あるいは設定値である。しかし、吸込圧力は、導管内のガスの圧力変動にしたがって変動する。また、吸込温度は、導管内のガスの温度変動にしたがって変動する。このため、ガスタービンの出力が定格出力となるモータ20の回転数に所定割合(例えば、80%)を乗じた回転数(第1下限値n1)は、吸込圧力および吸込温度に基づいて導出可能である。
そこで、回転数制御部74は、吸込圧力と吸込温度と第1下限値n1との関係を示すマップ(第1下限値マップ)などを予め記憶しておき、第1下限値マップと吸込圧力計60の吸込圧力と吸込温度計64の吸込温度とから、第1下限値n1を導出する。なお、第1下限値マップは、吐出圧力の設定値ごとに複数設定されてもよい。
そして、回転数制御部74は、モータ20の目標回転数を第1下限値n1以上にする。具体的には、回転数制御部74は、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が第1下限値n1以上の場合、目標回転数n0をモータ20の目標回転数とし、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が第1下限値n1を下回る場合、第1下限値n1をモータ20の目標回転数とする。
これにより、モータ20は、ガスタービンの出力状況に依らず、第1下限値n1以上の回転数で駆動される。このため、ガス圧縮機1は、モータ20の回転数制御よりも応答が早い吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御によって、供給すべきガス量の急激な増加に追従して吐出するガス量を上昇させることができる。
図3は、第2下限値n2を説明する説明図である。図3において、実線B1は、モータ20の軸トルクを示し、一点鎖線B2は、モータ20の出力を示し、破線B3は、モータ20の回転数を示す。また、横軸は、吸込圧力を示し、縦軸は、モータ20における定格値に対する割合(定格軸トルクに対する軸トルクの割合、定格出力に対する出力の割合、および、定格回転数に対する回転数の割合)を示す。定格軸トルクは、例えば、約240Nmであり、定格出力は、例えば、約90kWであり、定格回転数は、例えば、約3600rpmである。
吐出圧力を一定に制御する場合、破線B3で示すように、吸込圧力が高くなるほどモータ20の回転数を低下させる。モータ20の回転数を低下させると、一点鎖線B2で示すように、モータ20の出力は、モータ20の回転数に合わせて低下する。つまり、モータ20の出力については、問題がない。
しかし、高い内部容積比が選定される圧縮機などにおいては、実線B1で示すように、モータ20の軸トルクは、モータ20の回転数が低下する(すなわち、吸込圧力の上昇)にしたがって上昇する。そして、モータ20の軸トルクは、モータ20の回転数が所定の吸込圧力(図3では、0.16MPa)に対応する所定の回転数(図3では、定格回転数の約67%)を下回ると、定格軸トルク(軸トルク100%)を超えてしまう。モータ20が同期電動機の場合、モータ20の軸トルクが定格軸トルクを超えると、モータ20が脱調するおそれがある。
そこで、回転数制御部74には、モータ20の目標回転数の下限値として、第2下限値n2が設定される。第2下限値n2は、モータ20の軸トルクが定格軸トルク(軸トルク100%)となるモータ20の回転数(図3では、定格回転数の約67%)に設定される。
そして、回転数制御部74は、モータ20の目標回転数を第2下限値n2以上にする。具体的には、回転数制御部74は、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が第2下限値n2以上の場合、目標回転数n0をモータ20の目標回転数とし、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が第2下限値n2を下回る場合、第2下限値n2をモータ20の目標回転数とする。
これにより、モータ20は、吸込圧力が相対的に高くなっても、第2下限値n2以上の回転数で駆動される。このため、ガス圧縮機1では、モータ20の軸トルクが定格軸トルクを超える軸トルクとならず、モータ20が脱調することを防止することができる。
また、モータ20には、電磁振動の振動数における共振によって回転子の振動が大きくなる危険速度(危険回転数)がある。モータ20が危険速度で回転を継続すると、回転子の振動によって回転子や回転軸が破損するおそれがある。また、回転子の振動が圧縮機本体10に伝達されて、圧縮機本体10が破損するおそれもある。
そこで、回転数制御部74には、モータ20の危険速度を含む所定回転数範囲が設定される。
そして、回転数制御部74は、モータ20の目標回転数を、所定回転数範囲外の回転数(所定回転数範囲内の回転数を除く回転数)とする。具体的には、回転数制御部74は、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が、所定回転数範囲の上限値以上の場合、または、所定回転数範囲の下限値以下の場合、目標回転数n0をモータ20の目標回転数とする。また、回転数制御部74は、MV値に基づいて導出される目標回転数n0が、所定回転数範囲の上限値より小さく、かつ、所定回転数範囲の下限値より大きい場合、所定回転数範囲の上限値をモータ20の目標回転数とする。
これにより、ガス圧縮機1は、モータ20の回転速度が危険速度となることを防止することができ、モータ20や圧縮機本体10の破損を防止することが可能となる。
また、回転数制御部74は、目標回転数n0、第1下限値n1、第2下限値n2のうち最大値を導出し、その最大値が所定回転数範囲外にある場合、その最大値をモータ20の目標回転数に決定する。また、回転数制御部74は、導出された最大値が所定回転数範囲内にある場合、その所定回転数範囲の上限値をモータ20の目標回転数に決定する。つまり、モータ20の目標回転数は、基本的には目標回転数n0であるが、目標回転数n0が第1下限値n1、第2下限値n2のいずれかを下回った場合には、第1下限値n1、第2下限値n2のうちの最大値となり、目標回転数n0、第1下限値n1、第2下限値n2のうちの最大値が所定回転数範囲内にある場合、所定回転数範囲の上限値となる。
そして、回転数制御部74は、決定されたモータ20の目標回転数を示す回転数指令信号をモータ制御部80に送信する。モータ制御部80は、決定された目標回転数でモータ20を回転させる。
図4は、圧力調整部72の動作を説明するフローチャートである。圧力調整部72は、例えば、所定の制御周期で図4に示す一連の処理を行う。所定制御周期は、例えば、1分などであるが、これに限らず、1分より小さくてもよいし、1分より大きくてもよい。
まず、圧力調整部72は、吐出圧力計62から吐出圧力を取得する(S100)。次に、圧力調整部72は、吐出圧力計62の吐出圧力が所定値(一定値)に維持されるようなMV値を導出する(S110)。例えば、圧力調整部72は、吐出圧力の現在値と設定値とに差が生じた場合、その差分にしたがって、MV値を現在値から増減させて新たなMV値を導出する。
次に、圧力調整部72は、MV値、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)が関連付けられたテーブルなどを参照して、導出されたMV値に対応する吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)を導出する(S120)。
次に、圧力調整部72は、導出された吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)となるように、吐出バイパス弁42の閉度(開度)およびエコノバイパス弁52の閉度(開度)の調整を行い(S130)、一連の処理を終了する。
図5は、回転数制御部74の動作を説明するフローチャートである。回転数制御部74は、例えば、圧力調整部72の制御周期よりも長い制御周期で図5に示す一連の処理を行う。なお、回転数制御部74の制御周期は、圧力調整部72の制御周期と同じであってもよい。
まず、回転数制御部74は、圧力調整部72からMV値を取得する(S200)。次に、回転数制御部74は、取得したMV値に基づいて、目標回転数n0を導出する(S210)。例えば、回転数制御部74は、上述の回転数テーブルなどを参照して、MV値が95%±2%となるように目標回転数n0を導出する。
次に、回転数制御部74は、吸込圧力計60から吸込圧力を取得する(S220)。次に、回転数制御部74は、吸込温度計64から吸込温度を取得する(S230)。次に、回転数制御部74は、吸込圧力および吸込温度に基づいて第1下限値n1を導出する(S240)。例えば、回転数制御部74は、上述の第1下限値マップなどを参照して第1下限値n1を導出する。
次に、回転数制御部74は、導出された目標回転数n0と、導出された第1下限値n1と、予め設定された第2下限値n2と、予め設定された所定回転数範囲とをそれぞれ比較し、モータ20の新たな目標回転数を決定する(S250)。例えば、回転数制御部74は、目標回転数n0、第1下限値n1、第2下限値n2のうち最大値を導出する。回転数制御部74は、導出された最大値が所定回転数範囲外にあるか否かを判定する。所定回転数範囲外にある場合、回転数制御部74は、導出された最大値をモータ20の目標回転数に決定する。所定回転数範囲外にない場合、回転数制御部74は、所定回転数範囲の上限値をモータ20の目標回転数に決定する。
次に、回転数制御部74は、決定された新たな目標回転数を示す回転数指令信号をモータ制御部80に送信し(S260)、一連の処理を終了する。
回転数指令信号を受信したモータ制御部80は、受信した回転数指令信号が示す目標回転数となるように、モータ20の回転数を制御する。例えば、モータ制御部80は、モータ20の回転数が目標回転数となるような周波数の交流電力をモータ20に供給する。
以上のように、本実施形態のガス圧縮機1では、エコノバイパス弁52の開閉制御に加え、圧縮機本体10を駆動するモータ20の回転数制御が行われる。
図6は、効果を説明する説明図である。図6において、横軸は吸込圧力を示し、縦軸はモータ20の軸動力を示す。破線C1は、エコノバイパス流路50を有し、かつ、モータ20を固定速度で駆動させる比較例のガス圧縮機を示す。実線C2は、エコノバイパス流路50を有し、かつ、モータ20の回転数制御を行う本実施形態のガス圧縮機1を示す。
破線C1で示す比較例のガス圧縮機は、吸込圧力が変化してもモータ20の軸動力が概ね80kWとなっている。このため、比較例のガス圧縮機では、吸込圧力が高くなってもモータ20の消費電力が下がらない。
一方、実線C2で示す本実施形態のガス圧縮機1は、吸込圧力が約0.08MPaで、破線C1の比較例のガス圧縮機と同様に、モータ20の軸動力が概ね80kWとなっている。しかし、実線C2で示す本実施形態のガス圧縮機1は、吸込圧力が高くなるにしたがってモータ20の軸動力が漸減している。つまり、本実施形態のガス圧縮機1の軸動力は、吸込圧力が相対的に高くなっても、圧縮すべき圧力差に対応する適切な値となっている。
このように、本実施形態のガス圧縮機1は、上述の比較例に比べ、吸込圧力が高くなるほどモータ20の軸動力を小さくすることができる。このため、本実施形態のガス圧縮機1によれば、上述の比較例に比べ、モータ20の消費電力を低減することが可能となる。
また、本実施形態のガス圧縮機1では、エコノバイパス弁52の開閉制御が行われる。エコノバイパス弁52の開閉制御は、モータ20の回転数制御よりも応答が早く、吸込流路30内の圧力の変動に対する応答性がよい。例えば、エコノバイパス弁52の開閉制御は、吸込圧力が僅かに変動したときなどにおいて、吸込圧力の変動に追従することができる。
したがって、本実施形態のガス圧縮機1によれば、吸込流路30内の圧力の変動に対する応答性を高めつつ、消費電力を低減することが可能である。
また、例えば、MV値の目標値を100%に設定すると、ガス圧縮機1の動力損失を無くすことができる。しかし、吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御によるMV値の上限が100%であるため、MV値の目標値が100%に設定されると、吸込圧力の変動によってMV値100%よりも高いMV値が要求されたとき、吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御で対応することができない。この場合、モータ20の回転数を増加させて吸込圧力の変動に対応することとなるが、モータ20の回転数制御は吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御に比べ応答性が低いため、吸込圧力の変動に早期に対応できないおそれがある。
一方、MV値の目標値を小さく設定すると、吐出バイパス弁およびエコノバイパス弁の開閉制御で吸込圧力の変動に対応することができるため、吸込圧力の変動に早期に対応可能となる。しかし、MV値の目標値を小さく設定すると、ガス圧縮機1の動力損失が大きくなる。
これに対し、本実施形態の回転数制御部74は、圧力調整部72の調整結果(MV値)が、吐出バイパス弁42が全閉であり、かつ、エコノバイパス弁52が全閉に近い値(90%)を示す値(95%)となるように、モータ20の目標回転数を導出している。
これにより、本実施形態のガス圧縮機1は、ガス圧縮機1の動力損失を極力小さくしつつ、吸込圧力の変動に早期に対応可能である。
また、本実施形態のガス圧縮機1には、モータ20の目標回転数の下限値である第1下限値n1が設けられている。このため、本実施形態のガス圧縮機1は、ガスタービンの出力が低出力から増加したとしても、ガスタービンの出力の増加に対応することができる。
また、本実施形態のガス圧縮機1には、モータ20の目標回転数の下限値である第2下限値n2が設けられている。このため、本実施形態のガス圧縮機1は、同期電動機であるモータ20の脱調を防止することができる。
また、本実施形態のガス圧縮機1には、モータ20の危険速度を含む所定回転数範囲が設定されている。このため、本実施形態のガス圧縮機1は、モータ20が危険速度となることを防止することができ、モータ20を安全に駆動させることが可能となる。
また、本実施形態のガス圧縮機1では、モータ20の回転数が、回転数制御の1周期内で一定となる。そして、本実施形態のガス圧縮機1では、回転数制御部74の制御周期が圧縮調整部の制御周期よりも長くなっている。このため、本実施形態のガス圧縮機1では、回転数制御の1周期内において、モータ20の回転数が一定の状態で、吐出バイパス弁42およびエコノバイパス弁52の開閉制御が行われることとなる。したがって、本実施形態のガス圧縮機1では、回転数制御と開閉制御とが並行して行われても、制御量が目標値に収束しないことを防止できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態において、回転数制御部74は、圧力調整部72のMV値が95%(±2%)となるように、モータ20の目標回転数を導出していた。しかし、回転数制御部74は、圧力調整部72のMV値が95%(±2%)となるようにモータ20の目標回転数を導出する態様に限らない。例えば、回転数制御部74は、圧力調整部72の調整結果(MV値)が、吐出バイパス弁42の閉度が全閉であり、かつ、エコノバイパス弁52の閉度が全閉以外の所定の閉度となるように、モータ20の目標回転数を導出してもよい。この態様では、ガス圧縮機1の動力損失を抑えつつ、エコノバイパス弁52の開閉制御で吸込圧力の変動に対応することができ、吸込圧力の変動に早期に対応可能である。
また、上記実施形態では、第1下限値n1、第2下限値n2、所定回転数範囲が設けられていた。しかし、第1下限値n1、第2下限値n2、所定回転数範囲が設けられなくてもよい。また、第1下限値n1、第2下限値n2、所定回転数範囲のうちのいずれか1個または2個のみが設けられてもよい。
また、上記実施形態では、吸込圧力および吸込温度に基づいて第1下限値n1が導出された。しかし、回転数制御部74は、吸込圧力および吸込温度の両方に基づいて第1下限値n1を導出する態様に限らない。例えば、回転数制御部74は、少なくとも吸込圧力に基づいて第1下限値n1を導出してもよい。
また、上記実施形態の圧縮機本体10は、ガスを圧縮していた。しかし、本発明における圧縮機は、ガスを圧縮するガス圧縮機1に限らない。例えば、本発明による圧縮機は、空気などの流体を圧縮してもよい。
本発明は、ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体を有する圧縮機に利用することができる。
1 ガス圧縮機
10 圧縮機本体
20 モータ
30 吸込流路
32 吐出流路
40 吐出バイパス流路
42 吐出バイパス弁
50 エコノバイパス流路
52 エコノバイパス弁
72 圧力調整部
74 回転数制御部
80 モータ制御部
上記課題を解決するために、本発明の圧縮機は、ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体と、圧縮機本体に流体を流入させる吸込流路と圧縮機本体から流体を流出させる吐出流路とを連通させる吐出バイパス流路と、吐出バイパス流路に設けられる吐出バイパス弁と、圧縮機本体内の流体を吐出流路を介さずに吸込流路に還流させるエコノバイパス流路と、エコノバイパス流路に設けられるエコノバイパス弁と、吐出流路の流体の圧力に基づいて、吐出バイパス弁の閉度およびエコノバイパス弁の閉度を調整する圧力調整部と、圧力調整部の調整結果に基づいて目標回転数を導出する回転数制御部と、目標回転数にしたがって圧縮機本体を駆動するモータと、を備え、回転数制御部は、吐出流路から吐出された流体を消費する装置の出力が定格出力となるモータの回転数に所定割合を乗じた回転数である第1下限値を、吸込流路の流体の圧力に基づいて導出し、目標回転数を第1下限値以上にする

Claims (6)

  1. ケーシングに固有の内部容積比を持つ容積型の圧縮機本体と、
    前記圧縮機本体に流体を流入させる吸込流路と前記圧縮機本体から流体を流出させる吐出流路とを連通させる吐出バイパス流路と、
    前記吐出バイパス流路に設けられる吐出バイパス弁と、
    前記圧縮機本体内の流体を前記吐出流路を介さずに前記吸込流路に還流させるエコノバイパス流路と、
    前記エコノバイパス流路に設けられるエコノバイパス弁と、
    前記吐出流路の流体の圧力に基づいて、前記吐出バイパス弁の閉度および前記エコノバイパス弁の閉度を調整する圧力調整部と、
    前記圧力調整部の調整結果に基づいて目標回転数を導出する回転数制御部と、
    前記目標回転数にしたがって前記圧縮機本体を駆動するモータと、
    を備える圧縮機。
  2. 前記回転数制御部は、前記圧力調整部の調整結果が、前記吐出バイパス弁の閉度が全閉であり、かつ、前記エコノバイパス弁の閉度が全閉以外の所定の閉度となるように前記目標回転数を導出する請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記回転数制御部は、前記吐出流路から吐出された流体を消費する装置の出力が定格出力となる前記モータの回転数に所定割合を乗じた回転数である第1下限値を、前記吸込流路の流体の圧力に基づいて導出し、前記目標回転数を前記第1下限値以上にする請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記回転数制御部には、前記モータの軸トルクが定格軸トルクとなる前記モータの回転数である第2下限値が設定されおり、
    前記回転数制御部は、前記目標回転数を前記第2下限値以上にする請求項1または2に記載の圧縮機。
  5. 前記回転数制御部には、前記モータの危険速度を含む所定回転数範囲が設定されており、
    前記回転数制御部は、前記目標回転数を前記所定回転数範囲外の回転数とする請求項1または2に記載の圧縮機。
  6. 前記回転数制御部における前記モータの回転数制御の制御周期は、前記圧力調整部における前記吐出バイパス弁および前記エコノバイパス弁の開閉制御の制御周期よりも長い請求項1から5のいずれか1項に記載の圧縮機。
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