JP2020066754A - 鉄筋コンクリートの電気防食構造および電気防食工法 - Google Patents

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正勝 國川
利之 神田
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利之 神田
三紀夫 若杉
Mikio Wakasugi
三紀夫 若杉
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Abstract

【課題】この発明は、鉄筋コンクリートの電気防食構造に関し、鉄筋コンクリートに恒常的に安定した防食電流を流通させることを目的とする。【解決手段】鉄筋16を含有するコンクリート18の表面に、導電性のコーティング面14を上に向けてMMOチタンテープ10を貼付する。コンクリート18の表面と、MMOチタンテープのコーティング面14とを被覆するように、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料層22を形成する。導電性塗料層22の上に、MMOチタンテープ10を被覆する保水性シートを配置する。【選択図】図3

Description

この発明は、鉄筋コンクリートの電気防食構造および電気防食工法に関する。
特開2018−70764号公報には、コンクリートに含有された鉄筋の腐食を防止するための電気防食構造が開示されている。この構造は、コンクリートの表面を覆う陽極被膜を有している。陽極被膜は、スルホン酸基を有するスルホン酸グラフト重合型ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂を主成分とする。この陽極被膜は、水およびアルコールを含む溶媒と混合された状態で、噴霧または刷毛塗りなどによりコンクリート表面に塗布される。陽極被膜の上には、予め定められた間隔で棒状の陽極電極が複数配置される。これらの陽極電極は、導電性の接着剤によりコンクリート表面に固定される。
上記の電気防食構造は、コンクリート上の陽極電極に正電位を、また、コンクリート内の鉄筋に負電位を夫々付与する直流電源を有している。この構造によれば、陽極電極が一次陽極となり、コンクリート表面を覆う陽極被膜に正電位が伝えられる。そして、陽極被膜が二次電極として機能し、コンクリートの表面から鉄筋に向かう電界が生ずる。
陽極被膜は透水性を有しているため、コンクリートの内部には、酸性雨や海水を含む水分が浸透する。この水分が鉄筋に到達する過程では、陽極被膜から鉄筋に向かってイオン伝導による防食電流が流れる。そして、水分中に含まれる塩素化合物は、その防食電流に起因する電気化学反応により分解される。その結果、コンクリートのアルカリ性が保持され、鉄筋表面の不働態被膜が維持されると共に、鉄筋内の腐食電流の流通が阻止されることから、鉄筋の腐食が防止される。
特開2018−70764号公報
ところで、スルホン酸基のようなイオン発生源から防食電流を発生させるためには、適度な水分が必要である。このため、上記従来の電気防食構造では、陽極被膜が完全に乾燥してしまうと、所望の防食電流が流通しない事態が生じ得る。
上記の構造において、陽極被膜は、陽極電極または接着剤により被覆されていない部分では、雨水などによる水分補給を日常的に受ける。また、このようにして補給された水はその直下のコンクリートに浸み込んで保持される。このため、陽極被膜は、陽極電極等により覆われていない部分では適度な保湿状態を維持することができる。
ところが、陽極被膜のうち、陽極電極等により覆われている部分は、外部からの水分供給を受けられない。この場合、その直下のコンクリートにも必然的に水分は到達せず、陽極被膜が過度に乾燥し易い状態となる。そして、陽極被膜が過度に乾燥すると、その部分で防食電流が適切に流通せず、所望の鉄筋防食機能が得られない事態が生ずる。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、鉄筋コンクリートに、恒常的に安定した防食電流を流通させることのできる鉄筋コンクリートの電気防食構造を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、上記のような電気防食構造を実現することのできる鉄筋コンクリートの電気防食工法を提供することを第2の目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、鉄筋コンクリートの電気防食構造であって、
鉄筋を含有するコンクリートと、
少なくとも一方の面が導電面であり前記コンクリートに隣接して配置されるテープ状の一次陽極と、
前記コンクリートの表面を被覆し、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料層と、
前記一次陽極を被覆する保水性シートと、を備え、
前記保水性シートに被覆された内部で、前記一次陽極の導電面が前記導電性塗料層と導通していることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記一次陽極は、前記導電面が前記コンクリートの表面と同じ方向を向くように配置され、
前記導電性塗料層は、前記コンクリートの表面と、前記一次陽極の導電面とを、共に被覆するように配置され、
前記保水性シートは、前記導電性塗料層を介して前記一次陽極を被覆するように配置されていることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記一次陽極は、前記導電面が前記コンクリートの表面と同じ向きとなるように配置され、
前記導電性塗料層は、前記一次陽極の導電面の少なくとも一部を覆うことなく前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
前記保水性シートは、導電性を有すると共に、前記導電面のうち前記導電性塗料層により被覆されていない部分と、前記導電性塗料層の一部とを共に被覆するように配置されることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、
前記導電性塗料層は、前記一次陽極が配置される部位を含めて前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
前記一次陽極は、前記導電面が前記導電性塗料層と接するように配置され、
前記保水性シートは、当該保水性シートと前記導電性塗料層とで囲まれた空間内に前記一次陽極が収容されるように配置されることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1の発明において、
前記導電性塗料層は、前記一次陽極が配置される部位を含めて前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
前記保水性シートは、導電性を有すると共に、前記一次陽極を取り囲むように配置され、
前記一次陽極は、前記保水性シートに取り囲まれた状態で前記導電性塗料層に隣接して配置されることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至第5の発明の何れかにおいて、
前記導電性塗料層は、スルホン酸基に起因するイオン伝導による導電性を示す主成分と、光触媒とを含むことを特徴とする。
また、第7の発明は、鉄筋コンクリートの電気防食工法であって、
鉄筋を含有するコンクリートの表面に、導電面が前記コンクリートの表面と同じ方向を向くようにテープ状の一次陽極を接着する工程と、
前記コンクリートの表面および前記一次陽極を被覆するように、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
前記導電性塗料層を介して前記一次陽極を被覆するように保水性シートを貼付する工程と、
を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、鉄筋コンクリートの電気防食工法であって、
鉄筋を含有するコンクリートの表面に、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
導電面が前記導電性塗料層と接するように、テープ状の一次陽極を配置する工程と、
前記一次陽極を被覆するように保水性シートを貼付する工程と、を備え、
前記保水性シートは、当該保水性シートと前記導電性塗料層とで囲まれた空間内に前記一次陽極が収容されるように配置されることを特徴とする。
また、第9の発明は、鉄筋コンクリートの電気防食工法であって、
鉄筋を含有するコンクリートの表面に、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
少なくとも一方の面が導電面であるテープ状の一次陽極を配置すべき部分に、当該一次陽極の幅より広い幅を有する導電性の第1の保水性シートを貼付する工程と、
前記第1の保水性シートの幅の中に収まるように前記一次陽極を配置する工程と、
前記第1の保水性シートと前記一次陽極とを被覆するように、導電性の第2の保水性シートを配置する工程と、
を備えることを特徴とする。
また、第10の発明は、第7乃至第9の発明の何れかにおいて、
前記導電性塗料は、スルホン酸基に起因するイオン伝導による導電性を示す主成分と、光触媒と、溶媒とを含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、コンクリートの表面を導電性塗料層で覆うことにより、コンクリートの全面に防食電流を流通させることができる。また、この発明によれば、コンクリートの表面のうち、一次陽極により覆われる部分が、更に保水性シートにより被覆される。この構造によれば、一次陽極の近傍で導電性塗料層が過度に乾燥してしまうのを防ぐことができ、イオン伝導による導電性を適切に維持することができる。このため、本発明によれば、鉄筋コンクリートに、恒常的に安定した防食電流を流通させることができる。
第2の発明によれば、一次陽極の導電面をコンクリートの表面と同じ方向に向け、その上に導電性塗料層を配置することで、導電面と導電性塗料層との導通が確保される。そして、導電性塗料層を介して保水性シートで一次陽極を被覆することにより、一次陽極周辺での導電性塗料層の保湿を確保することができる。
第3の発明によれば、一次陽極の導電面のうち、導電性塗料層に被覆されない部分は、保水性シートと接触する。本発明では、保水性シートが導電性を有するため、当該保水性シートを介して、一次陽極の導電面と導電性塗料層との導通が確保される。また、本発明においても、第2の発明の場合と同様に、保水性シートの機能により、一次陽極周辺での導電性塗料層の保湿が確保される。
第4の発明によれば、コンクリートの表面を覆う導電性塗料層と一次陽極の導電面とを接触させることで、両者の導通を確保することができる。また、本発明においても、第2の発明の場合と同様に、保水性シートの機能により、一次陽極周辺での導電性塗料層の保湿が確保される。
第5の発明によれば、一次陽極は保水性シートと第2の保水性シートにより取り囲まれた状態となる。そして、保水性シートおよび第2の保水性シートが導電性を有するため、一次陽極の導電面と導電性塗料層との導通は、それらを介して確保される。また、本発明では、一次陽極と導電性塗料層との間に介在する保水性シートの機能により、その部分の導電性塗料層の保湿を確保することができる。
第6の発明によれば、導電性塗料層は、スルホン酸基に起因するイオン伝導による導電性を示す。スルホン酸基のプロトンは、コンクリートのカルシウムと反応して安定化する性質を有する。本発明では、東電製塗料層に含まれる光触媒によってその安定化が阻止される。このため、本発明によれば、スルホン酸基に起因する導電性を恒常的に確保することができ、長期に亘って優れた防食効果を維持することができる。
第7の発明によれば、上記第2の発明の電気防食構造を実現することができる。
第8の発明によれば、上記第4の発明の電気防食構造を実現することができる。
第9の発明によれば、上記第5の発明の電気防食構造を実現することができる。
第10の発明によれば、上記第6の発明と同様の原理で、長期に亘って優れた防食効果を発揮する電気防食構造を実現することができる。
本発明の実施の形態1で用いられるMMOチタンシートの構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の電気防食構造の基礎形態を説明するための図である。 本発明の実施の形態1の電気防食構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態2の電気防食構造を説明するための図である。 本発明の実施の形態3の電気防食構造を説明するための図である。 実施の形態1乃至4の電気防食構造に用い得るMMOチタンリボンメッシュの構造を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1において用いられるMMOチタンテープ10の構成を説明するための図である。MMOチタンテープ10は、チタンを主成分とする導電性の部材であり、本実施形態では、鉄筋コンクリートの電気防食を実現するための一次陽極として用いられる。
MMOチタンテープは、チタンで構成された導電層12と、プラチナ系貴金属で構成されたコーティング面14を有している。チタンは、空気中の酸素と反応して絶縁性の酸化被膜を形成する特性を有している。コーティング面14は、その酸化被膜の形成を防ぎ、導電性を維持するために設けられている。このため、コーティング面14は、導電層12と導通する導電面として機能する。
図2は、本実施形態の電気防食構造の基礎形態を説明するための図である。図2に示す構造は、網目状に配列された複数の鉄筋16と、それらの鉄筋16を含有するコンクリート18を備えている。コンクリート18の表面には、絶縁性の接着剤20によりMMOチタンテープ10が貼付されている。MMOチタンテープ10は、導電面がコンクリート18の表面と同じ方向を向くように、つまり、導電層12がコンクリート18と接し、コーティング面14が図中上方を向くように配置されている。
コンクリート18およびMMOチタンテープ10の上には、導電性塗料層22が形成されている。導電性塗料層22は、一次陽極として機能するMMOチタンテープ10と導通して、電気防食構造における二次陽極として機能する。この導電性塗料層22は、コンクリート18の表面に上記の通りMMOチタンテープを貼付した後、コンクリート18の全面に、下記の性質を有する導電性塗料を噴霧または刷毛塗りすることで形成される。
本実施形態において用いられる導電性塗料は、噴霧または刷毛塗りの後に、乾燥工程を経て、コンクリート18の表面に多孔質状の膜を形成するような造膜性と含浸性を有している。このようにして形成された導電性塗料層22は、コンクリート18の表面の全域に導電性を与えることができ、また、その全域において吸湿性を維持することができる。
この導電性塗料は、具体的には、スルホン酸基(SO )に起因するイオン伝導による導電性を示す主成分と、光触媒(例えばTiO)と、溶媒とを含んでいる。スルホン酸基は、適度な水分の存在下では、プロトン(H)を放出してイオン伝導による導電性を示すが、カルシウム(Ca)の存在下では、Ca2+が2Hと置き換わることで安定状態となる。このため、コンクリート18の上に置かれたスルホン酸基は、カルシウムの影響によりイオン伝導性を示さない状態に陥ることがある。
光触媒は、このような状況下で、スルホン酸基を刺激し続け、Caによるスルホン酸基の安定化を恒常的に阻止する。このため、本実施形態の導電性塗料層22は、コンクリート18の上に形成された状況下で、恒常的かつ安定的に、イオン伝導による導電性を維持することができる。
導電性塗料の主成分は、具体的には、炭素とフッ素からなるテフロン(登録商標)骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料として公知のナフィオンにより実現することができる。更に具体的には、この主成分としては、特開2018−70764号公報に開示されるスルホン酸グラフト重合型PTFE樹脂を用いることができる。
本実施形態のコンクリート18は、屋外、炎天下を含む様々な環境に置かれることが想定されている。このような環境下では、導電性塗料層22が、大気中の水分や雨滴から水分を吸収する。そして、導電性塗料層22の直下に位置するコンクリート18には、導電性塗料層22を透過した水が吸収される。
コンクリート18の内部には、このようにして吸収した水分が、ある程度保持される。そして、コンクリート18を覆う導電性塗料層22が乾燥すると、コンクリート18に保持されている水分がその導電性塗料層22に補給される。その結果、コンクリート18の直上に位置する部分では、導電性塗料層22は、過度な乾燥状態に至り難い。
これに対して、MMOチタンテープ10は、コンクリート18のような保湿性を有しない。このため、図2に示す構造において、MMOチタンテープ10の直上に位置する部分では、導電性塗料層22に過度な乾燥が生じ易い。そして、導電性塗料層22の導電性は、イオン伝導に依拠しているため、過度な乾燥下ではその導電性は維持されない。このため、図2に示す基礎形態は、長期に亘って乾燥環境に置かれた場合に、MMOチタンテープと導電性塗料層22との間での導電性が適切に維持できない状態となる。
図3は、本実施形態の電気防食構造の構成を説明するための図である。図3に示す構造は、図2に示す基礎形態を基に構成されている。この構造は、具体的には、図2に示す基礎形態の形成後に、保水性シート24を形成し、更に直流電源26を設置することにより実現されている。
保水性シート24は、MMOチタンテープ10を被覆するように形成されている。より具体的には、保水性シート24は、導電性塗料層22を介してMMOチタンテープ10を被覆するように形成されている。
本実施形態において、MMOチタンテープ10は、上記の通り導電性塗料層22により被覆されている。その結果、導電性塗料層22は、MMOチタンテープを覆う箇所が凸形状となっている。本実施形態における保水性シート24は、その凸形状の上面および側面を覆うように形成されている。
保水性シート24は、外部から水分を吸収し、その内部に水分を保持し、かつ、保持している水分を放出し得る性質を有している。保水性シート24は、具体的には、一般にゲルと呼ばれる材質のシート材、つまりゲルシートにより実現することができる。より具体的には、保水性シート24としては、例えば、積水化成品工業株式会社の製造によるテクノゲル(商品名)を用いることができる。
図3に示す構造によれば、MMOチタンテープ10を覆う部分において、導電性塗料層22は、保水性シート24から水分の補給を受けることができる。このため、この構造によれば、導電性塗料層22がその全域において過度に乾燥することがなく、導電性塗料層22に、適切な導電性を恒常的かつ安定的に発揮させることができる。
図3に示す電気防食構造において、直流電源26は、MMOチタンテープ10に正電位を、また、鉄筋16に負電位を、夫々印加するように構成されている。直流電源26からMMOチタンテープ10に与えられた電位は、コーティング面14から導電性塗料層22に伝わり、コンクリート18の全面に展開される。その結果、コンクリート18の全面において、導電性塗料層22と鉄筋16との間に防食電流28が流れ、鉄筋16の腐食が防止される。そして、本実施形態の構造は、導電性塗料層22の導電性を恒常的かつ安定的に確保するため、極めて長期に亘って鉄筋16の防食効果を維持することができる。
ところで、上述した実施の形態1における保水性シート24は、必ずしも導電性である必要はない。しかしながら、保水性シート24に導電性を付与することとしてもよい。この場合、MMOチタンテープ10の近傍では、導電性塗料層22に加えて保水性シート24も電流の流路となることから、防食電流の流通により有利な状況を作り出すことができる。尚、上述したテクノゲル(商品名)は、導電性を有するゲルシートである。
また、上述した実施の形態1では、MMOチタンテープ10の導電面(つまりコーティング面14)の全面を覆うように、導電性塗料層22を形成することとしている。しかしながら、保水性シート24が導電性を有する場合には、導電性塗料層22が、コーティング面14の少なくとも一部を覆うことなくコンクリート18の表面を覆うようなものであってもよい。
実施の形態2.
次に、図4を参照して本発明の実施の形態2について説明する。図4は、本発明の実施の形態2の電気防食構造を説明するための図である。
本実施形態において、導電性塗料層22は、MMOチタンテープ10が配置される部分を含めてのコンクリート18の表面を被覆するように形成されている。また、MMOチタンテープ10は、導電面として機能するコーティング面14が導電性塗料層22と接するように配置されている。そして、保水性シート24は、導電性塗料層22の上に配置されたMMOチタンテープ10の上面および側面を被覆するように形成されている。換言すると、保水性シート24は、当該保水性シート24と導電性塗料層22とで囲まれた空間内にMMOチタンテープ10が収容されるように配置されている。
本実施形態の電気防食構造は、上記の点を除いて実施の形態1の構造と同様である。この構造は、以下の工法による実現することができる。
(ステップ1)コンクリート18の表面に実施の形態1の場合と同様の導電性塗料により導電性塗料層22を形成する。
(ステップ2)導電性塗料層22の上に、上記の向きでMMOチタンテープ10を配置する。
(ステップ3)MMOチタンテープ10を被覆するように保水性シート24を貼付する。
この構造によれば、MMOチタンテープ10に与えられた電位は、コンクリート18と向き合っているコーティング面14を通って導電性塗料層22に伝えられる。そして、実施の形態1の場合と同様に、その電位が導電性塗料層22を伝って広がり、コンクリート18の全体において鉄筋16に向かう防食電流28が生成される。
また、本実施形態の構造においても、MMOチタンテープ10の周辺において、導電性塗料層22は、保水性シート24の機能によって安定した保湿状態に維持される。このため、この構造によっても、実施の形態1の場合と同様に、導電性塗料層22の導電性を恒常的かつ安定的に確保することができ、その結果、極めて長期に亘って鉄筋16の防食効果を維持することができる。
尚、本実施形態の保水性シート24も、実施の形態1の場合と同様に、必ずしも導電性を有する必要はない。しかしながら、本実施形態の構成においても、保水性シート24に導電性を付与することとしてもよい。
実施の形態3.
次に、図5を参照して本発明の実施の形態3について説明する。図5は、本発明の実施の形態3の電気防食構造を説明するための図である。
本実施形態において、導電性塗料層22は、実施の形態2の場合と同様に、MMOチタンテープ10を配置すべき部分にも形成されている。MMOチタンテープ10は、保水性シート24に取り囲まれた状態で、導電性塗料層22に隣接して配置されている。そして、本実施形態では、保水性シート24として導電性を有するゲルシートが用いられる。
本実施形態の電気防食構造は、上記の点を除いて実施の形態1の構造と同様である。この構造は、以下の工法により実現することができる。
(ステップ1)コンクリート18の表面に、実施の形態1の場合と同様の導電性塗料により導電性塗料層22を形成する。
(ステップ2)MMOチタンテープ10を配置すべき部分に、導電性の第1の保水性シート30を貼付する。第1の保水性シート30には、MMOチタンテープ10の幅より広い幅を与える。
(ステップ3)第1の保水性シート30の幅の中に収まるようにMMOチタンテープ10を配置する。図5には、コーティング面14が下向きとなる配置例を示しているが、その向きはこれに限定されるものではなく、MMOチタンテープ10は、コーティング面14が上向きとなるように配置してもよい。
(ステップ4)第1の保水性シート30とMMOチタンテープ10とを被覆するように、導電性の第2の保水性シート32を配置する。これにより、第1の保水性シート30と第2の保水性シート32が一体化して、MMOチタンテープ10を取り囲む保水性シート24が形成される。
この構造によれば、MMOチタンテープ10に与えられた電位は、導電性の保水性シート24を介して導電性塗料層22に伝えられる。そして、実施の形態1の場合と同様に、その電位が導電性塗料層22を伝って広がり、コンクリート18の全体において鉄筋16に向かう防食電流28が生成される。
また、本実施形態の構造においても、MMOチタンテープ10の周辺において、導電性塗料層22は、保水性シート24の機能によって安定した保湿状態に維持される。このため、この構造によっても、実施の形態1の場合と同様に、導電性塗料層22の導電性を恒常的かつ安定的に確保することができ、その結果、極めて長期に亘って鉄筋16の防食効果を維持することができる。
[変形例]
図6は、上述した実施の形態1乃至4において、MMOチタンテープ10に代えて使用することのできるMMOチタンリボンメッシュ40の構造を示す。MMOチタンリボンメッシュ40は、導電層12とコーティング面14とに加えて、メッシュ層42を備えている。メッシュ層42は、導電層12と同様にチタンで構成されている。MMOチタンリボンメッシュ40は、MMOチタンテープ10と同様に電気防食構造の一次陽極として広く知られた部材であり、実施の形態1乃至4の要素として問題なく使用することができる。
10 MMOチタンテープ
12 導電層
14 コーティング面
16 鉄筋
18 コンクリート
22 導電性塗料層
24 保水性シート
26 直流電源
28 防食電流
30 第1の保水性シート
32 第2の保水性シート
40 MMOチタンリボンメッシュ

Claims (10)

  1. 鉄筋を含有するコンクリートと、
    少なくとも一方の面が導電面であり前記コンクリートに隣接して配置されるテープ状の一次陽極と、
    前記コンクリートの表面を被覆し、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料層と、
    前記一次陽極を被覆する保水性シートと、を備え、
    前記保水性シートに被覆された内部で、前記一次陽極の導電面が前記導電性塗料層と導通している鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  2. 前記一次陽極は、前記導電面が前記コンクリートの表面と同じ方向を向くように配置され、
    前記導電性塗料層は、前記コンクリートの表面と、前記一次陽極の導電面とを、共に被覆するように配置され、
    前記保水性シートは、前記導電性塗料層を介して前記一次陽極を被覆するように配置されている請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  3. 前記一次陽極は、前記導電面が前記コンクリートの表面と同じ向きとなるように配置され、
    前記導電性塗料層は、前記一次陽極の導電面の少なくとも一部を覆うことなく前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
    前記保水性シートは、導電性を有すると共に、前記導電面のうち前記導電性塗料層により被覆されていない部分と、前記導電性塗料層の一部とを共に被覆するように配置される請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  4. 前記導電性塗料層は、前記一次陽極が配置される部位を含めて前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
    前記一次陽極は、前記導電面が前記導電性塗料層と接するように配置され、
    前記保水性シートは、当該保水性シートと前記導電性塗料層とで囲まれた空間内に前記一次陽極が収容されるように配置される請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  5. 前記導電性塗料層は、前記一次陽極が配置される部位を含めて前記コンクリートの表面を被覆するように配置され、
    前記保水性シートは、導電性を有すると共に、前記一次陽極を取り囲むように配置され、
    前記一次陽極は、前記保水性シートに取り囲まれた状態で前記導電性塗料層に隣接して配置される請求項1に記載の鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  6. 前記導電性塗料層は、スルホン酸基に起因するイオン伝導による導電性を示す主成分と、光触媒とを含む請求項1乃至5の何れか1項に記載の鉄筋コンクリートの電気防食構造。
  7. 鉄筋を含有するコンクリートの表面に、導電面が前記コンクリートの表面と同じ方向を向くようにテープ状の一次陽極を接着する工程と、
    前記コンクリートの表面および前記一次陽極を被覆するように、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
    前記導電性塗料層を介して前記一次陽極を被覆するように保水性シートを貼付する工程と、
    を備える鉄筋コンクリートの電気防食工法。
  8. 鉄筋を含有するコンクリートの表面に、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
    導電面が前記導電性塗料層と接するように、テープ状の一次陽極を配置する工程と、
    前記一次陽極を被覆するように保水性シートを貼付する工程と、を備え、
    前記保水性シートは、当該保水性シートと前記導電性塗料層とで囲まれた空間内に前記一次陽極が収容されるように配置される鉄筋コンクリートの電気防食工法。
  9. 鉄筋を含有するコンクリートの表面に、吸湿性とイオン伝導による導電性とを有する導電性塗料を塗布して、導電性塗料層を形成する工程と、
    少なくとも一方の面が導電面であるテープ状の一次陽極を配置すべき部分に、当該一次陽極の幅より広い幅を有する導電性の第1の保水性シートを貼付する工程と、
    前記第1の保水性シートの幅の中に収まるように前記一次陽極を配置する工程と、
    前記第1の保水性シートと前記一次陽極とを被覆するように、導電性の第2の保水性シートを配置する工程と、
    を備える鉄筋コンクリートの電気防食工法。
  10. 前記導電性塗料は、スルホン酸基に起因するイオン伝導による導電性を示す主成分と、光触媒と、溶媒とを含む請求項7乃至9の何れか1項に記載の鉄筋コンクリートの電気防食工法。
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