JP2020066723A - 誘電体組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】比誘電率、可撓性、及び耐熱性に優れた誘電体組成物を提供すること。【解決手段】誘電体組成物は、耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子とを備えている。前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、及び/又は、ポリイミド(PI)樹脂が好ましい。また、前記無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子が好ましい。さらに、前記誘電体組成物は、前記無機酸化物粒子が前記熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に分散しているネットワーク分散構造を備えているものが好ましい。【選択図】図2
Description
本発明は、誘電体組成物に関し、さらに詳しくは、BaTiO3などの無機酸化物粒子と高耐熱性熱可塑性樹脂とを主成分とする誘電体組成物に関する。
コンデンサは、2枚の電極の間に誘電体を挿入したものであり、その静電容量は、誘電体の比誘電率に比例する。コンデンサに使用される誘電体としては、例えば、セラミックス、プラスチック、絶縁油、マイカなどが知られている。特に、BaTiO3は、比誘電率が大きいため、小型・大容量のコンデンサの誘電体には、主としてBaTiO3が用いられている。
BaTiO3は、常温(25℃)では正方晶であるが、結晶構造が正方晶(強誘電体)から立方晶(常誘電体)に変化するキュリー点(約125℃)を持ち、キュリー点では比誘電率が最も高くなる。そのため、BaTiO3を用いたコンデンサは、キュリー点近傍において静電容量が大きく変化する。しかし、BaTiO3からなる緻密な焼結体を得るためには、1300℃前後の高い焼結温度を必要とする。さらに、BaTiO3は、加工性に乏しいために、任意の形状や複雑な形状に加工するのが難しい。
一方、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂からなるプラスチックフィルムは、フィルムコンデンサの誘電体として用いられている。プラスチックフィルムは、可撓性があるために、容易にロール状に巻き取ることができる。しかしながら、熱可塑性樹脂は、比誘電率が小さいために、コンデンサ容量を大きくするためには、巻回数を多くする必要がある。そのため、フィルムコンデンサは、積層セラミックチップコンデンサに比べて大型化するという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂にチタン酸バリウムを含有させた可撓性を有する熱硬化性複合誘電体フィルムが開示されている。
同文献には、
(a)このような複合誘電体フィルムは、高い比誘電率を有しているので、静電容量の大きなコンデンサを形成することができる点、及び、
(b)複合誘電体フィルムは、可撓性を有しているので、フレキシブルな基板にも組み込むことができる点、
が記載されている。
例えば、特許文献1には、エポキシ樹脂にチタン酸バリウムを含有させた可撓性を有する熱硬化性複合誘電体フィルムが開示されている。
同文献には、
(a)このような複合誘電体フィルムは、高い比誘電率を有しているので、静電容量の大きなコンデンサを形成することができる点、及び、
(b)複合誘電体フィルムは、可撓性を有しているので、フレキシブルな基板にも組み込むことができる点、
が記載されている。
ハイブリッド車やEV車のパワーコントロールユニット(PCU)には、高出力化が求められており、半導体パワー素子の材料としてSiCやGaNを用いることが検討されている。このような高出力のPCUに用いられるコンデンサには、耐熱性(−40℃〜250℃)、熱伝導性、及び耐電圧性(650V以上)が必要となる。さらに、PCUを低コスト化するには、これに用いられるコンデンサの低コスト化も求められている。
しかし、従来の誘電体組成物でこれらの条件をすべて満たすものは知られていない。例えば、BaTiO3は、比誘電率、耐電圧性、及び耐熱性は高いが、緻密な焼結体を得るためには高い焼結温度が必要であるため、高コストである。また、焼結温度を下げるためにガラスと複合化させると、熱伝導率が低下する。
しかし、従来の誘電体組成物でこれらの条件をすべて満たすものは知られていない。例えば、BaTiO3は、比誘電率、耐電圧性、及び耐熱性は高いが、緻密な焼結体を得るためには高い焼結温度が必要であるため、高コストである。また、焼結温度を下げるためにガラスと複合化させると、熱伝導率が低下する。
さらに、コンデンサを小さくするには、誘電体の比誘電率を大きくする必要がある。樹脂のみからなる誘電体は、比誘電率が小さいために、樹脂中にBaTiO3などの無機酸化物を添加するのが一般的である。しかしながら、樹脂としてエポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂を用いた場合、可撓性が不十分であるために、クラックが生じやすい。一方、樹脂としてポリプロピレンを用いた場合、可撓性は良好であるが、耐熱性が低いという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、比誘電率、可撓性、及び耐熱性に優れた誘電体組成物を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る誘電体組成物は、
耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、
前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子と
を備えていることを要旨とする。
前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、及び/又は、ポリイミド(PI)樹脂が好ましい。
また、前記無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子が好ましい。
耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、
前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子と
を備えていることを要旨とする。
前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、及び/又は、ポリイミド(PI)樹脂が好ましい。
また、前記無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子が好ましい。
BaTiO3粒子などの無機酸化物粒子は、樹脂に比べて比誘電率が大きい。そのため、このような無機酸化物粒子を樹脂中に分散させると、比誘電率の高い誘電体組成物が得られる。また、樹脂として、耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂を用いると、可撓性及び耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 誘電体組成物]
本発明に係る誘電体組成物は、
耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、
前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子と
を備えている。
[1. 誘電体組成物]
本発明に係る誘電体組成物は、
耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、
前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子と
を備えている。
[1.1. マトリックス]
マトリックスは、耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなる。ここで、「耐熱温度」とは、JIS S 2029に従って測定される温度をいう。
誘電体として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)が知られている。しかしながら、PPは耐熱温度が低いために、これを用いた誘電体組成物は、高温雰囲気で使用できない。一方、マトリックスとして、耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂を用いると、高温雰囲気下で使用可能な誘電体組成物を得ることができる。
マトリックスは、耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなる。ここで、「耐熱温度」とは、JIS S 2029に従って測定される温度をいう。
誘電体として用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)が知られている。しかしながら、PPは耐熱温度が低いために、これを用いた誘電体組成物は、高温雰囲気で使用できない。一方、マトリックスとして、耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂を用いると、高温雰囲気下で使用可能な誘電体組成物を得ることができる。
耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂などがある。マトリックスは、これらのいずれか1種の樹脂からなるものでも良く、あるいは、2種以上の樹脂からなるものでも良い。
これらの中でも、熱可塑性樹脂は、PEEK及び/又はPIが好ましい。これは、耐熱性があり、可塑性が良好で、成形性が良いためである。
これらの中でも、熱可塑性樹脂は、PEEK及び/又はPIが好ましい。これは、耐熱性があり、可塑性が良好で、成形性が良いためである。
[1.2. 無機酸化物粒子]
[1.2.1. 組成]
マトリックス中には、無機酸化物粒子が分散している。本発明において、無機酸化物粒子には、比誘電率が100以上である酸化物が用いられる。一般に、無機酸化物粒子の非誘電率が高くなるほど、誘電体組成物の比誘電率が高くなる。比誘電率は、好ましくは、300以上、さらに好ましくは、1000以上である。
[1.2.1. 組成]
マトリックス中には、無機酸化物粒子が分散している。本発明において、無機酸化物粒子には、比誘電率が100以上である酸化物が用いられる。一般に、無機酸化物粒子の非誘電率が高くなるほど、誘電体組成物の比誘電率が高くなる。比誘電率は、好ましくは、300以上、さらに好ましくは、1000以上である。
このような条件を満たす無機酸化物粒子としては、例えば、
(a)BaTiO3粒子、
(b)BaTiO3のBaサイトの一部及び/又はTiサイトの一部が他の元素Mで置換されたBaTiO3系化合物粒子、
(c)Ba0.9Ca0.1TiO3、Ba0.9Mg0.1TiO3、Ba(Ti0.8Zr0.2)O3、
(d)BaTi0.9Ca0.1O2.9、BaTi0.9Mg0.1O2.9、
などがある。
(a)BaTiO3粒子、
(b)BaTiO3のBaサイトの一部及び/又はTiサイトの一部が他の元素Mで置換されたBaTiO3系化合物粒子、
(c)Ba0.9Ca0.1TiO3、Ba0.9Mg0.1TiO3、Ba(Ti0.8Zr0.2)O3、
(d)BaTi0.9Ca0.1O2.9、BaTi0.9Mg0.1O2.9、
などがある。
無機酸化物粒子がBaTiO3系化合物粒子である場合、BaTiO3系化合物粒子に含まれる元素Mの種類及び含有量は、特に限定されるものではなく、誘電体組成物に要求される特性などに応じて、最適なものを選択することができる。最適な含有量(元素Mが占有するサイトに占める元素Mの割合)は、元素Mの種類などにより異なるが、通常、0.1mol%〜5mol%程度である。
元素Mとしては、例えば、誘電体組成物の絶縁破壊電圧を向上させる作用があるMn、Y、Mg、Ca、Al、Siなどがある。
これらの中でも、無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子が好ましい。これは、比誘電率が大きいためである。
元素Mとしては、例えば、誘電体組成物の絶縁破壊電圧を向上させる作用があるMn、Y、Mg、Ca、Al、Siなどがある。
これらの中でも、無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子が好ましい。これは、比誘電率が大きいためである。
[1.2.2. 無機酸化物粒子の含有量]
熱可塑性樹脂は、無機酸化物粒子に比べて比誘電率が小さい。そのため、無機酸化物粒子の含有量が少なすぎると、誘電体組成物の比誘電率が低下する。従って、無機酸化物粒子の含有量は、5vol%以上が好ましい。無機酸化物粒子の含有量は、好ましくは、10vol%以上、さらに好ましくは、20vol%以上である。
一方、無機酸化物粒子の含有量が過剰になると、絶縁破壊強度が低下する場合がある。従って、無機酸化物粒子の含有量は、40vol%以下が好ましい。無機酸化物粒子の含有量は、好ましくは、30vol%以下、さらに好ましくは、25vol%以下である。
熱可塑性樹脂は、無機酸化物粒子に比べて比誘電率が小さい。そのため、無機酸化物粒子の含有量が少なすぎると、誘電体組成物の比誘電率が低下する。従って、無機酸化物粒子の含有量は、5vol%以上が好ましい。無機酸化物粒子の含有量は、好ましくは、10vol%以上、さらに好ましくは、20vol%以上である。
一方、無機酸化物粒子の含有量が過剰になると、絶縁破壊強度が低下する場合がある。従って、無機酸化物粒子の含有量は、40vol%以下が好ましい。無機酸化物粒子の含有量は、好ましくは、30vol%以下、さらに好ましくは、25vol%以下である。
[1.2.3. 無機酸化物粒子の平均粒径]
無機酸化物粒子の平均粒径は、誘電体組成物の誘電特性に影響を与える。
ここで、「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法により測定される粒子のメディアン径をいう。
無機酸化物粒子の平均粒径は、誘電体組成物の誘電特性に影響を与える。
ここで、「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法により測定される粒子のメディアン径をいう。
一般に、無機酸化物粒子の平均粒径が小さくなりすぎると、比誘電率が低下する。従って、無機酸化物粒子の平均粒径は、50nm以上が好ましい。平均粒径は、好ましくは、100nm以上、さらに好ましくは、200nm以上である。
一方、無機酸化物粒子の平均粒径が大きくなりすぎると、気孔率が増大し、絶縁破壊強度が低下する場合がある。従って、無機酸化物粒子の平均粒径は、500nm以下が好ましい。平均粒径は、好ましくは、400nm以下、さらに好ましくは、300nm以下である。
一方、無機酸化物粒子の平均粒径が大きくなりすぎると、気孔率が増大し、絶縁破壊強度が低下する場合がある。従って、無機酸化物粒子の平均粒径は、500nm以下が好ましい。平均粒径は、好ましくは、400nm以下、さらに好ましくは、300nm以下である。
[1.3. 微構造]
[1.3.1. 概要]
誘電体組成物は、
(a)無機酸化物粒子がマトリックス中に均一に分散している均一分散構造、又は、
(b)無機酸化物粒子が熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に分散しているネットワーク分散構造
のいずれの構造を備えていても良い。
特に、ネットワーク分散構造は、少量の無機酸化物粒子の添加で高い比誘電率が得られるので、誘電体組成物の微構造として好適である。
[1.3.1. 概要]
誘電体組成物は、
(a)無機酸化物粒子がマトリックス中に均一に分散している均一分散構造、又は、
(b)無機酸化物粒子が熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に分散しているネットワーク分散構造
のいずれの構造を備えていても良い。
特に、ネットワーク分散構造は、少量の無機酸化物粒子の添加で高い比誘電率が得られるので、誘電体組成物の微構造として好適である。
[1.3.2. 樹脂粒径]
誘電体組成物がネットワーク分散構造を備えている場合、樹脂粒子の大きさは、比誘電率、可撓性、及び強度に影響を与える。樹脂粒子の粒径が小さくなりすぎると、比誘電率が均一分散構造のそれに近づく。高い比誘電率を得るためには、樹脂粒子の粒径は、3μm以上が好ましい。樹脂粒子の粒径は、好ましくは、4μm以上、さらに好ましくは、5μm以上である。
一方、樹脂粒子の粒径が大きくなりすぎると、可撓性が悪くなり、強度が低下する。従って、樹脂粒子の粒径は、10μm以下が好ましい。樹脂粒子の粒径は、好ましくは、8.5μm以下、さらに好ましくは、7μm以下である。
誘電体組成物がネットワーク分散構造を備えている場合、樹脂粒子の大きさは、比誘電率、可撓性、及び強度に影響を与える。樹脂粒子の粒径が小さくなりすぎると、比誘電率が均一分散構造のそれに近づく。高い比誘電率を得るためには、樹脂粒子の粒径は、3μm以上が好ましい。樹脂粒子の粒径は、好ましくは、4μm以上、さらに好ましくは、5μm以上である。
一方、樹脂粒子の粒径が大きくなりすぎると、可撓性が悪くなり、強度が低下する。従って、樹脂粒子の粒径は、10μm以下が好ましい。樹脂粒子の粒径は、好ましくは、8.5μm以下、さらに好ましくは、7μm以下である。
[1.3.3. 粒径比]
誘電体組成物がネットワーク分散構造を備えている場合、無機酸化物粒子の粒径(d1)に対する樹脂粒径(d2)の比(=d2/d1、以下単に「粒径比」ともいう)は、比誘電率及び可撓性に影響を与える。一般に、粒径比が小さくなりすぎると、比誘電率が小さくなる。従って、粒径比は、15以上が好ましい。粒径比は、好ましくは、20以上、さらに好ましくは、30以上である。
一方、粒径比が大きくなりすぎると、機械的強度が低くなり、絶縁破壊強度も低くなる。従って、粒径比は、50以下が好ましい。粒径比は、好ましくは、40以下、さらに好ましくは、35以下である。
誘電体組成物がネットワーク分散構造を備えている場合、無機酸化物粒子の粒径(d1)に対する樹脂粒径(d2)の比(=d2/d1、以下単に「粒径比」ともいう)は、比誘電率及び可撓性に影響を与える。一般に、粒径比が小さくなりすぎると、比誘電率が小さくなる。従って、粒径比は、15以上が好ましい。粒径比は、好ましくは、20以上、さらに好ましくは、30以上である。
一方、粒径比が大きくなりすぎると、機械的強度が低くなり、絶縁破壊強度も低くなる。従って、粒径比は、50以下が好ましい。粒径比は、好ましくは、40以下、さらに好ましくは、35以下である。
[3. 誘電体組成物の製造方法]
本発明に係る誘電体組成物は、
(a)所定の組成となるように原料を混合し、
(b)混合物を所定の形状に成形する
ことにより製造することができる。
本発明に係る誘電体組成物は、
(a)所定の組成となるように原料を混合し、
(b)混合物を所定の形状に成形する
ことにより製造することができる。
[3.1. 混合工程]
まず、所定の組成となるように原料を混合する(混合工程)。原料の混合方法及び混合条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法及び条件を用いることができる。
例えば、均一分散構造を備えた誘電体組成物を作製する場合、溶融した熱可塑性樹脂に無機酸化物粒子を添加し、これらを均一に混合する。
一方、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物を作製する場合、所定の粒径を備えた樹脂粒子に無機酸化物粒子を添加し、樹脂粒子を溶融させることなくこれらを混合する。これにより、樹脂粒子の周囲に無機酸化物粒子が付着した複合粒子が得られる。
まず、所定の組成となるように原料を混合する(混合工程)。原料の混合方法及び混合条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法及び条件を用いることができる。
例えば、均一分散構造を備えた誘電体組成物を作製する場合、溶融した熱可塑性樹脂に無機酸化物粒子を添加し、これらを均一に混合する。
一方、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物を作製する場合、所定の粒径を備えた樹脂粒子に無機酸化物粒子を添加し、樹脂粒子を溶融させることなくこれらを混合する。これにより、樹脂粒子の周囲に無機酸化物粒子が付着した複合粒子が得られる。
[3.2. 成形工程]
次に、原料粉末の混合物を所定の形状に成形する(成形工程)。混合物の成形方法及び成形条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法及び条件を選択することができる。成形方法としては、例えば、押出成形法、シート成形法、ドクターブレード法などがある。
例えば、均一混合された原料を用いて押出成形した場合、均一分散構造を備えた誘電体組成物を得ることができる。
一方、ネットワーク分散させた複合粒子を用いて押出成形した場合、無機酸化物粒子のネットワーク分散構造を維持したまま、熱可塑性樹脂が溶融及び固化する。その結果、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物を得ることができる。
次に、原料粉末の混合物を所定の形状に成形する(成形工程)。混合物の成形方法及び成形条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な方法及び条件を選択することができる。成形方法としては、例えば、押出成形法、シート成形法、ドクターブレード法などがある。
例えば、均一混合された原料を用いて押出成形した場合、均一分散構造を備えた誘電体組成物を得ることができる。
一方、ネットワーク分散させた複合粒子を用いて押出成形した場合、無機酸化物粒子のネットワーク分散構造を維持したまま、熱可塑性樹脂が溶融及び固化する。その結果、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物を得ることができる。
[4. 作用]
BaTiO3粒子などの無機酸化物粒子は、樹脂に比べて比誘電率が大きい。そのため、このような無機酸化物粒子を樹脂中に分散させると、比誘電率の高い誘電体組成物が得られる。また、樹脂として、耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂を用いると、可撓性及び耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる。
BaTiO3粒子などの無機酸化物粒子は、樹脂に比べて比誘電率が大きい。そのため、このような無機酸化物粒子を樹脂中に分散させると、比誘電率の高い誘電体組成物が得られる。また、樹脂として、耐熱温度が200〜300℃である熱可塑性樹脂を用いると、可撓性及び耐熱性に優れた樹脂組成物が得られる。
このような高耐熱性の熱可塑性樹脂に無機酸化物粒子が均一分散させた樹脂組成物を用いると、耐熱性及び比誘電率が高いコンデンサを得ることができる。
また、高耐熱性の熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に無機酸化物粒子がネットワーク分散している樹脂組成物を用いると、比誘電率がさらに高いコンデンサを得ることができる。
また、高耐熱性の熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に無機酸化物粒子がネットワーク分散している樹脂組成物を用いると、比誘電率がさらに高いコンデンサを得ることができる。
(実施例1: 均一分散)
[1. 試料の作製]
マトリックスには、高耐熱性で可撓性が良好なPEEK樹脂(VOLTEX社製、平均粒径:3μm)を使用した。また、無機酸化物粒子には、比誘電率が1400であるBaTiO3粉末(堺化学工業(株)製、平均粒径:200nm)を用いた。
PEEK樹脂にBaTiO3粉末を添加し、PEEK樹脂を溶融させながら混合することにより、均一分散粉を作製した。BaTiO3粉末の添加量は、10vol%、20vol%、30vol%、40vol%、又は、50vol%とした。得られた均一分散粉を2軸混練機で混合し、押出成形機で厚さ50μmのフィルムを作製した。
[1. 試料の作製]
マトリックスには、高耐熱性で可撓性が良好なPEEK樹脂(VOLTEX社製、平均粒径:3μm)を使用した。また、無機酸化物粒子には、比誘電率が1400であるBaTiO3粉末(堺化学工業(株)製、平均粒径:200nm)を用いた。
PEEK樹脂にBaTiO3粉末を添加し、PEEK樹脂を溶融させながら混合することにより、均一分散粉を作製した。BaTiO3粉末の添加量は、10vol%、20vol%、30vol%、40vol%、又は、50vol%とした。得られた均一分散粉を2軸混練機で混合し、押出成形機で厚さ50μmのフィルムを作製した。
[2. 試験方法]
図1に、評価試料の概略図を示す。得られたフィルムの両面に、金蒸着により上部電極及び下部電極を形成した。次いで、インピーダンスアナライザを用いて、得られたフィルムの比誘電率及びtanδを測定した。
図1に、評価試料の概略図を示す。得られたフィルムの両面に、金蒸着により上部電極及び下部電極を形成した。次いで、インピーダンスアナライザを用いて、得られたフィルムの比誘電率及びtanδを測定した。
[3. 結果]
図2に、均一分散構造を備えた誘電体組成物のBaTiO3添加量と比誘電率との関係を示す。BaTiO3添加量がが40vol%までは、比誘電率は対数混合則とほぼ同じであった。しかし、BaTiO3添加量が50vol%になると、比誘電率が小さくなり、対数混合則から大きく外れた。このことから、BaTiO3添加量が40vol%を超えると、BaTiO3添加量が過剰であるために、PEEK樹脂との混合状態が悪くなり、比誘電率が低くなったと考えられる。
図2に、均一分散構造を備えた誘電体組成物のBaTiO3添加量と比誘電率との関係を示す。BaTiO3添加量がが40vol%までは、比誘電率は対数混合則とほぼ同じであった。しかし、BaTiO3添加量が50vol%になると、比誘電率が小さくなり、対数混合則から大きく外れた。このことから、BaTiO3添加量が40vol%を超えると、BaTiO3添加量が過剰であるために、PEEK樹脂との混合状態が悪くなり、比誘電率が低くなったと考えられる。
図3に、均一分散構造を備えた誘電体組成物のBaTiO3添加量とtanδとの関係を示す。PEEK単体では、tanδは0.003であった。BaTiO3添加量が10vol%〜50vol%では、tanδは0.015以下であった。
また、BaTiO3添加量が40vol%を超えると、tanδが急激に増加した。これは、BaTiO3添加量が過剰であるために、PEEK樹脂との混合が悪くなり、多量の内部ポアが生成したためと考えられる。
以上より、BaTiO3の添加量は40vol%以下が最適であることがわかった。
また、BaTiO3添加量が40vol%を超えると、tanδが急激に増加した。これは、BaTiO3添加量が過剰であるために、PEEK樹脂との混合が悪くなり、多量の内部ポアが生成したためと考えられる。
以上より、BaTiO3の添加量は40vol%以下が最適であることがわかった。
(実施例2: ネットワーク分散)
[1. 試料の作製]
マトリックスには、高耐熱性で可撓性が良好なPEEK樹脂(VOLTEX社製、平均粒径:3μm〜10μm)を使用した。また、無機酸化物粒子には、比誘電率が1400であるBaTiO3粉末(堺化学工業(株)製、平均粒径:200nm)を用いた。
PEEK樹脂にBaTiO3粉末を添加し、PEEK樹脂を溶融させることなく混合することにより、ネットワーク分散粉を作製した。BaTiO3粉末の添加量は、10vol%、20vol%、30vol%、40vol%、又は、50vol%とした。得られたネットワーク分散粉を2軸混練機で混合し、押出成形機で厚さ50μmのフィルムを作製した。
[1. 試料の作製]
マトリックスには、高耐熱性で可撓性が良好なPEEK樹脂(VOLTEX社製、平均粒径:3μm〜10μm)を使用した。また、無機酸化物粒子には、比誘電率が1400であるBaTiO3粉末(堺化学工業(株)製、平均粒径:200nm)を用いた。
PEEK樹脂にBaTiO3粉末を添加し、PEEK樹脂を溶融させることなく混合することにより、ネットワーク分散粉を作製した。BaTiO3粉末の添加量は、10vol%、20vol%、30vol%、40vol%、又は、50vol%とした。得られたネットワーク分散粉を2軸混練機で混合し、押出成形機で厚さ50μmのフィルムを作製した。
[2. 試験方法]
実施例1と同様にして、フィルムの比誘電率及びtanδを測定した。
実施例1と同様にして、フィルムの比誘電率及びtanδを測定した。
[3. 結果]
[3.1. 比誘電率及びtanδ]
BaTiO3添加量が同一である場合、ネットワーク混合粉を用いたフィルムの比誘電率は、均一混合粉を用いたフィルムの比誘電率に比べて、20〜30%大きくなった。一方、ネットワーク混合粉を用いたフィルムのtanδは、均一混合粉を用いたフィルムのtanδとほぼ同等であっった。
[3.1. 比誘電率及びtanδ]
BaTiO3添加量が同一である場合、ネットワーク混合粉を用いたフィルムの比誘電率は、均一混合粉を用いたフィルムの比誘電率に比べて、20〜30%大きくなった。一方、ネットワーク混合粉を用いたフィルムのtanδは、均一混合粉を用いたフィルムのtanδとほぼ同等であっった。
[3.2. 樹脂粒径依存性]
図4に、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物(BaTiO3添加量:30vol%、BaTiO3の平均粒径:200nm)の樹脂粒径と比誘電率との関係を示す。なお、図4中、樹脂粒径が約0.3μmの位置にあるプロットは、均一分散構造を備えたフィルムの比誘電率を表す。
図4に、ネットワーク分散構造を備えた誘電体組成物(BaTiO3添加量:30vol%、BaTiO3の平均粒径:200nm)の樹脂粒径と比誘電率との関係を示す。なお、図4中、樹脂粒径が約0.3μmの位置にあるプロットは、均一分散構造を備えたフィルムの比誘電率を表す。
樹脂粒径が3μmである場合、フィルムはネットワーク分散構造となった。この場合、BaTiO3粒子は樹脂と樹脂との粒界に多く存在する(BaTiO3粒子の間隔が密になる)ため、均一分散構造に比べて比誘電率が高くなった。さらに、樹脂粒径が10μmになると、粒界に存在するBaTiO3がさらに多くなり、比誘電率がさらに高くなった。しかし、樹脂粒径が10μmを超えると、粒界に存在するBaTiO3粒子が過剰となるために、可撓性が悪くなり、強度が低下した。
図4より、樹脂粒径は、好ましくは、3〜10μm、さらに好ましくは、3〜7μmであることが分かる。また、粒径比は、15〜50が好ましいことが分かる。
図4より、樹脂粒径は、好ましくは、3〜10μm、さらに好ましくは、3〜7μmであることが分かる。また、粒径比は、15〜50が好ましいことが分かる。
以上、本発明の実施施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る誘電体組成物は、ハイブリッド車やHV車のPCUに用いられるコンデンサの誘電体として使用することができる。
Claims (7)
- 耐熱温度が200℃以上300℃以下である熱可塑性樹脂からなるマトリックスと、
前記マトリックス中に分散している、比誘電率が100以上の無機酸化物粒子と
を備えた誘電体組成物。 - 前記熱可塑性樹脂は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、及び/又は、ポリイミド(PI)樹脂である請求項1に記載の誘電体組成物。
- 前記無機酸化物粒子は、BaTiO3粒子である請求項1又は2に記載の誘電体組成物。
- 前記無機酸化物粒子の含有量は、5vol%以上40vol%以下である請求項1から3までのいずれか1項に記載の誘電体組成物。
- 前記無機酸化物粒子の平均粒径は、50nm以上500nm以下である請求項1から4までのいずれか1項に記載の誘電体組成物。
- 前記無機酸化物粒子が前記熱可塑性樹脂からなる樹脂粒子の周囲に分散しているネットワーク分散構造を備えている請求項1から5までのいずれか1項に記載の誘電体組成物。
- 前記樹脂粒子の粒径は、3μm以上10μm以下である請求項6に記載の誘電体組成物。
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JP2018202292A JP2020066723A (ja) | 2018-10-26 | 2018-10-26 | 誘電体組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115304902A (zh) * | 2021-04-07 | 2022-11-08 | 伊顿智能动力有限公司 | 用于飞行器燃料系统的高韧性导电peek |
-
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- 2018-10-26 JP JP2018202292A patent/JP2020066723A/ja active Pending
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