JP2020063746A - バランサ装置用の同期歯車及び歯車 - Google Patents

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Abstract

【課題】トルク変動に起因する動荷重に対して十分な強度を維持することができ、騒音も低減できるバランサ装置用の同期歯車を得る。【解決手段】バランサシャフトを有するバランサ装置用の同期歯車は、前記バランサシャフトに係合される円環部と、歯部を有する歯車部と、これらの間に設けられたゴム部を備えている。前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部との少なくとも何れかには、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成している。【選択図】図4

Description

本発明は、バランサ装置用の同期歯車及び歯車に関し、特に、自動車用エンジンに搭載するバランサ装置用の同期歯車として好適なものである。
近年の自動車においては、ディーゼルエンジンの利用が増えていること、ピストンの大径化およびロングストローク化が進んでいることから、エンジンの振動が増大する傾向にある。このため、エンジンの振動を低減する技術が多く提案されている。それらの中で、アクティブにエンジンの振動を低減するための機構として、バランサウェイトを備える一対のバランサシャフト、即ち駆動側バランサシャフトと従動側バランサシャフトと、これら一対のバランサシャフトを同期回転させるための同期歯車とで構成されるバランサ装置がある。
前記バランサ装置用の同期歯車としては、鋼製歯車が用いられることが多いが、騒音が大きいことや、軽量化が困難であるなどの課題がある。
上記課題に対し、特開平02−241729号公報(特許文献1)のものには、金属製のブッシュと、フェノール樹脂を含浸した補強材からなる歯部構成部材と、を備えたフェノール樹脂製歯車が開示されている。
また、特開2014−74467号公報(特許文献2)のものには、第1のギヤに向き合うよう取り付けられたストッパゴムを第2のギヤに有し、前記第1のギヤに、潤滑油が溜まる凹部を、前記ストッパゴムに向き合うように形成したギヤ装置のダンパ構造が開示されている。
更に、特開2008−151277号公報(特許文献3)のものには、歯部を含むギヤ外周部が、高弾性率かつ高強度の樹脂材からなる内芯部と、内芯部を覆う低弾性率の樹脂材からなる表層部で構成されている樹脂ギヤが開示されている。
特開平02−241729号公報 特開2014−74467号公報 特開2008−151277号公報
特許文献1に記載されているフェノール樹脂製歯車は、歯車の回転方向において、樹脂及び補強材が一様に分布した構成であるため、歯車が受けるトルクが変動する場合、トルクが大きくなる時に生じる歯車内部の応力や衝撃音に対して配慮が為されていない。即ち、特許文献1に記載の樹脂歯車のものでは、エンジンのトルク変動に起因する動荷重に対して、強度が不足し、騒音も十分には低減できない課題がある。
特許文献2に記載されている構成では、部品点数が多くなり、コスト増が不可避であること、ストッパゴムが劣化して破損した場合は歯車の回転が大きく乱れる虞がある。
特許文献3に記載されている構成のものでは、高弾性率かつ高強度の樹脂材(エラストマ)からなる内芯部が劣化して破損した場合には、歯車の回転が大きく乱れたり、歯車の軸方向の拘束がなくなる虞がある。
バランサ装置では、クランクシャフトと同期歯車が同期して回転するため、クランクシャフトの回転と同期して変動するトルクが最大となる瞬間に噛み合う同期歯車の歯は毎回同じとなる。このことから、歯車の強度に対して過負荷となる運転を続けると、上述したトルク最大の瞬間に噛み合う歯が損傷する可能性が高くなる。このため、最大負荷を基準とした設計が必要となり、同期歯車が大形化する。一方、特許文献2に記載のように、ダンパ構造を有するものでは、その信頼性を確保する必要がある。
本発明の目的は、トルク変動に起因する動荷重に対して十分な強度を維持することができ、騒音も低減できるバランサ装置用の同期歯車及び歯車を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、バランサシャフトを有するバランサ装置用の同期歯車であって、前記バランサシャフトに係合される円環部と、歯部を有する歯車部と、これらの間に設けられたゴム部を備え、前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部との少なくとも何れかに、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とする。
本発明の他の特徴は、シャフトに係合される円環部と、歯部を有する歯車部と、これらの間に設けられたゴム部を備え、前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部との少なくとも何れかに、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成している歯車にある。
本発明によれば、トルク変動に起因する動荷重に対して十分な強度を維持することができ、騒音も低減できるバランサ装置用の同期歯車及び歯車を得ることができる効果がある。
エンジン及びバランサ装置の構成を説明する模式図である。 本発明の実施例1におけるバランサ装置の全体構成を示す斜視図である。 バランサ装置におけるトルク変動と同期歯車の噛み合い位置の関係を説明する図である。 本発明の実施例1における同期歯車の構造を説明する分解斜視図である。 図4におけるゴム部と歯車部及び円環部との接合面付近の展開図である。 本発明の実施例2における同期歯車の構造を説明する分解斜視図である。 図6におけるゴム部と歯車部及び円環部との接合面付近の展開図である。 本発明の実施例3における同期歯車の構造を説明する分解斜視図である。 図8におけるゴム部と歯車部及び円環部との接合面付近の展開図である。
以下、本発明のバランサ装置用の同期歯車の具体的実施例を図面に基づいて説明する。各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
本発明は、自動車等のエンジンに付設されるバランサ装置用の同期歯車に関するものであり、最初に、自動車のエンジンのピストンに接続されたクランクシャフトに設けられているバランサ装置について説明する。図1はエンジン及びバランサ装置の構成を説明する模式図である。
図1は、エンジンからバランサ装置の同期歯車までの主な構成要素を示すものである。
図1において、エンジン1は、4気筒の往復動式内燃機関のうちの1つを表している。エンジン1のシリンダ2内には、ピストン3が往復動自在に設けられている。ピストン3のピストンピン4には、コネクティングロッド5の小端部5aが回動可能に結合されている。コネクティングロッド5の大端部5bは、クランクシャフト10のクランクピン11に回動可能に結合されている。
クランクシャフト10は、クランクピン11、クランクアーム12、クランクジャーナル13及びカウンタウェイト14を備えている。クランクピン11は、クランクアーム12と結合されている。また、クランクアーム12は、クランクジャーナル13と結合されている。クランクジャーナル13は、クランクベアリング6により回転可能に支持されている。
クランクシャフト10には、フライホイール7が取り付けられている。このフライホイール7の外周部には、図示しない歯列が形成されている。この歯列には、図示しないスタータのギヤが噛み合うように配置されている。
クランクシャフト10には、更に駆動歯車8が取り付けられている。駆動歯車8には、バランサ装置20の同期歯車21が噛み合って接続されている。即ち、同期歯車21は駆動側の同期歯車21aと従動側の同期歯車21bにより構成され、前記駆動歯車8には駆動側の同期歯車21aが噛み合うように配置されている。更に、駆動側の同期歯車21aには、従動側の同期歯車21bが噛み合うように配置されている。同期歯車21a,21bは、駆動歯車8の半分の直径を有している。
シリンダ2の内部における燃料の爆発(燃焼)に伴い、ピストン3は、一点鎖線で示すY軸方向に往復運動をする。4気筒の往復動式内燃機関の場合、駆動歯車8が1回転する間に2回爆発が起こり、同期歯車21a,21bは、駆動歯車8が半回転する間に1回転する。従って、同期歯車21a,21bが1回転する間に爆発が1回発生するため、爆発によって発生する大きなトルクを受ける同期歯車21a,21bの歯は、毎回同じになる。
ここで、上述したバランサ装置20の具体的一例を、図2を用いて説明する。図2は本発明の実施例1におけるバランサ装置の全体構成を示す斜視図である。
図2において、21aは駆動側の同期歯車で、図1に示す駆動歯車8と噛み合い、クランクシャフト10が1回転、即ち駆動歯車8が1回転すると、同期歯車21aは2回転する。21bは前記同期歯車21aと噛み合って回転する従動側の同期歯車であり、この同期歯車21bは前記同期歯車21aと同じ直径を有し、同期歯車21aが右回りに1回転すると同期歯車21bは左回りに1回転する。
同期歯車21aには、駆動側のバランサシャフト22aが一体に連結されて回転する。このバランサシャフト22aには、軸方向の前端側と後端側の2箇所にそれぞれ円柱状の2つのジャーナル部23a,24aが形成されている。各ジャーナル部23a,24aは、エンジン1(図1参照)のハウジング(図示せず)に設けられている軸受(図示せず)により回転自在に支持されている。更に、前記バランサシャフト22aの前端側のジャーナル部23aと後端側のジャーナル部24aとの間には、駆動側バランサウェイト25aが一体に設けられている。
一方、従動側の同期歯車21bには、従動側のバランサシャフト22bが一体に連結されて回転する。このバランサシャフト22bにも、軸方向の前端側と後端側の2箇所にそれぞれ円柱状の2つのジャーナル部23b,24bが形成されている。各ジャーナル部23b,24bも、エンジン1のハウジングに設けられている軸受により回転自在に支持されている。更に、前記バランサシャフト22bの前端側のジャーナル部23bと後端側のジャーナル部24bとの間には、従動側バランサウェイト25bが一体に設けられている。
前記駆動側バランサウェイト25aと従動側バランサウェイト25bは、基本構成が同一であり、半円柱状(横断面半円弧状)に形成されている。
また、本実施例においては、前記同期歯車21(21a,21b)は、それぞれ、歯を有する樹脂製の歯車部211と、バランサシャフト22a,22bとの当接部となる中心側の金属製の円環部212と、これらの間に設けられた環状のゴム部213を備える三層構造に構成されている。なお、本実施例において、前記歯車部211は、はすば歯車(はすば形状)に構成されている。
このように構成されたバランサ装置20によれば、エンジン1が始動されてクランクシャフト10が回転すると、前記駆動歯車8を介して、駆動側のバランサシャフト22aが前記クランクシャフト10の2倍の速度で回転する。これによって、従動側のバランサシャフト22bが、駆動側の同期歯車21aと従動側の同期歯車21bの噛み合いにより回転されて、前記駆動側のバランサシャフト22aと反対方向へ同速度で回転する。
これによって、駆動側、従動側のそれぞれのバランサウェイト25a,25bも互いに反対方向へ回転しながら各バランサシャフト22a,22b自体の左右の遠心力をキャンセルし、上下方向にのみ起振力を発生させる。このように、各バランサシャフト22a,22bの回転に伴い、各バランサウェイト25a,25bが回転して起振力をエンジン1に伝達することによって二次振動を抑制する。
このようにバランサ装置20の同期歯車21(21a,21b)が受けるトルクについて、図3を用いて詳しく説明する。図3はバランサ装置におけるトルク変動と同期歯車の噛み合い位置の関係を説明する図であり、バランサ装置20の同期歯車21におけるトルクの経時変化のグラフと、それに対応する2つの同期歯車21a,21bの噛み合い位置を示したものである。
図3において、グラフの横軸には、同期歯車が回転している状態における時間を、縦軸には、同期歯車が受けるトルクをとっている。
エンジン1のシリンダ内の爆発によって発生するトルク(変動トルク)は、この図3のグラフに示すように、パルス的である。トルクが最大となる時、2つの同期歯車21a,21bの同じ歯(黒い点で示す歯)が接触する。このトルクは、同期歯車21の周方向に歯を押す力である。トルクが最小となる時、最大トルクを受ける歯は、最も離れた状態となる。
この図3に示すように、バランサ装置20では、クランクシャフト10と同期歯車21が同期して回転するため、クランクシャフト10の回転と同期してトルクが変動する。このトルクが最大となる瞬間にかみ合う同期歯車の歯は毎回同じになる。このように、最大トルクを受ける歯は同じ歯になり、特に、はすば歯車としている場合には、同期歯車21には周方向だけでなく、軸方向にも力が作用するため、同期歯車21は十分な強度を確保できる構成とする必要がある。
そこで、本実施例では、トルク変動に起因する動荷重やはすば歯車とした場合に受ける軸方向力に対して十分な強度を維持することができ、騒音も低減できるバランサ装置用の同期歯車とするために、以下説明する構成としたものである。
本実施例1のバランサシステムに用いられる同期歯車の具体的構成を、図4および図5を用いて説明する。
図4に示すように、同期歯車21a,21bは、はすば形状の歯部211aを有する樹脂製の歯車部211、バランサシャフト22a,22b(図2参照)との嵌め合い部となる鋼製の円環部212、及び前記歯車部211と前記円環部212との間に設けられたゴム部213により構成されている。前記円環部212はバランサシャフト22a,22bに対しキー(図示せず)により回転方向に係合される構成となっている。前記歯車部211と前記歯部211aは、同一の樹脂材料を用いて樹脂成形(一体成形)により製作することができる。
なお、歯車部211及び歯部211aを構成する樹脂材料としては、アラミド繊維強化樹脂等が用いられる。前記ゴム部213の材料としては、フッ素ゴム(FKM等)、ニトリルゴム、シリコーンゴム等、耐熱性、耐油性のゴム材が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
前記ゴム部213との接合面となる歯車部211の内周部には全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部214が設けられている。また、前記ゴム部213との接合面となる円環部212の外周部にも全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部215が設けられている。円環形状の前記ゴム部は、前記凹凸部214,215にならう形状に押圧されて変形し、前記歯車部211と前記円環部212との間に配置されている。
歯車部211の歯部211aの歯面には垂直な荷重が作用することから、凹凸部214,215は歯筋方向と平行であることが望ましい。本実施例では、歯車部211の歯部211aをはすば形状に構成しているので、そのねじれ角θと平行となるように、前記凹凸部214,215を形成すると良い。なお、歯車部211を平歯車とする場合には、軸方向となるように前記凹凸部214,215を形成すると良い。
樹脂製の歯車部211の内周部に設ける前記凹凸部214は、型を用いた成形により歯車部211の成形と同時に凹凸部214も成形すると良い。また、金属製(本実施例では鋼製)の円環部212の外周部に設ける前記凹凸部215はローレット加工などで成形すると良い。
また、図5に示すように、ゴム部213の厚さTが周方向に均一となるように、凹凸部214と凹凸部215の周方向の数を合せ、凹凸部214,215の片振幅HとHを一致させると共に、位相も一致させると良い。
なお、ゴム部213の充填のし易さ、及び界面強度の観点から、「T>(H+H)」または「T>2H(またはH)」とすることが望ましい。また、前記片振幅H1,H2の大きさはゴム部213の厚さTに対して0.02T〜0.5T、好ましくは0.05T〜0.1Tにすると良い。即ち、前記ゴム部213の厚さを前記凹凸部の片振幅の2〜50倍、好ましくは10〜20倍に構成すると良い。
本実施例においては、前記歯車部211の内周部及び前記円環部212の外周部に、それぞれ全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部214,215を設けているが、これらの凹凸部214,215の両方の面或いは一方の面に、更に微細な凹凸216を有する構成にすると良い。微細な凹凸216を有する構成にすることにより、トルク変動に起因する動荷重やはすば歯車とした場合に受ける軸方向力に対して更に十分な強度を維持できる同期歯車21を得ることができる。
なお、前記微細な凹凸216は、前記歯車部211の内周部や前記円環部212の外周部が金属である場合には、ショットピーニングやケミカルエッチングを施すことにより形成できる。前記歯車部211の内周部や前記円環部212の外周部が樹脂である場合には、プラズマ照射などで形成することができる。
前記ゴム部213と前記歯車部211の内周部との間、及び前記ゴム部213と前記円環部212の外周部との間は接着剤により接着させることが好ましい。前記接着剤としては、加硫接着剤を使用すると良い。
また、本実施例では、前記歯車部211を樹脂製としたが、一定以上の強度を要求される場合は、前記歯車部211を金属または繊維強化した樹脂などで構成すると良い。
円環部212とバランサシャフト22a,22bとの嵌め合い公差が厳密に要求される場合は、本実施例のように、前記円環部212を鋼材などの金属で構成することが好ましいが、嵌め合い公差が厳密に要求されない場合には、前記円環部212を樹脂で構成しても良い。
図2に示すように、2つの同期歯車21a,21bをバランサ装置20に組み込み、エンジン1(図1参照)を回転させて前記同期歯車21を回転させると、図3に示すように、変動トルクが、同期歯車21の歯部に作用する。このとき、変動トルクに起因した振動は、同期歯車21の歯部から前記同期歯車21を介してバランサシャフト22a,22bへと伝播し、騒音の原因となる。
しかし、前記同期歯車21を図4に示す本実施例の構造とすることにより、前記変動トルクに起因した振動は、同期歯車21の歯部211a、歯車部211、ゴム部213及び鋼製の円環部212を介してバランサシャフト22a,22bへと伝播する。前記ゴム部213の減衰係数は大きいため、同期歯車21の軸への振動伝播を大幅に低減することができる。
また、バランサ装置20では、クランクシャフト10(図1参照)と同期歯車21が同期して回転するため、クランクシャフト10の回転と同期してトルクが変動する。このトルクが最大となる瞬間にかみ合う同期歯車の歯は毎回同じになる。また、はすば歯車としている場合には、同期歯車21には周方向だけでなく、軸方向にも力が作用するため、同期歯車21を十分な強度を確保できる構成とする必要がある。
これに対し、本実施例では、同期歯車21における前記ゴム部213との接合面となる歯車部211の内周部及び円環部212の外周部に、それぞれ全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部214,215を設けている。従って、トルク変動に起因する動荷重やはすば歯車とした場合に受ける軸方向力に対して、十分な強度を維持することのできる同期歯車21を実現することができる。
なお、図4の構成とする同期歯車21は、2つの同期歯車21a,21bのうち、一方側だけとし、他方の同期歯車については、全体が鋼製の歯車としても良い。
また、本実施例1おいては、同期歯車21の円環部212を金属製(鋼製)としたもので説明したが、これに限定されるものではなく、円環部212を、歯車部211を構成する樹脂材料よりも高強度を有する金属、樹脂材料、セラミックス等で形成しても良い。
高強度の樹脂材料としては、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等がある。
以上説明した本実施例によれば、従来の全体が鋼製の同期歯車としたものに対して低騒音にできると共に、クランクシャフトのトルク変動に起因する動荷重やはすば歯車とした場合に同期歯車に作用する軸方向力に対して、十分な強度を維持することのできる同期歯車21を実現することができる。
本発明のバランサ装置用の同期歯車の実施例2を、図6及び図7を用いて説明する。なお、本実施例2の説明において、上述した実施例1と同一部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施例2においても、同期歯車21a,21bは、はすば形状の歯部211aを有する樹脂製の歯車部211、バランサシャフト22a,22b(図2参照)との嵌め合い部となる鋼製の円環部212、及び前記歯車部211と前記円環部212との間に設けられたゴム部213により構成されていることは同じである。
本実施例2が上記実施例1と異なる部分は、ゴム部213との接合面となる歯車部211の内周部には、図4に示すような凹凸部214は設けられておらず、ゴム部213との接合面となる円環部212の外周部にのみ全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部215を設けているものである。また、前記凹凸部215の面には微細な凹凸216も有する構成にしている。なお、本実施例では、ゴム部213との接合面となる歯車部211の内周部に凹凸部は設けられていないが、前記歯車部211の内周部に微細な凹凸を設けるようにしても良い。
前記凹凸部215は、歯車部211の歯部211aがはすば形状であるので、そのねじれ角θと平行となるように形成されている。なお、歯車部211を平歯車とする場合には、軸方向となるように前記凹凸部215を形成する。
なお、図7に示すように、ゴム部213の設置のし易さ及び界面強度の観点から、本実施例では、ゴム部213の厚さTを片振幅Hの2倍以上(T>2H)に構成している。また、前記片振幅H2の大きさは、前記実施例1と同様に、ゴム部213の厚さTに対して0.02T〜0.5T、好ましくは0.05T〜0.1Tにしている。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本実施例2は、歯車部211の内周部とゴム部213との接合部に対し、円環部212の外周部とゴム部213との接合部の接合強度が不足する場合に有効であり、歯車部211の内周部には凹凸部を設けないので製作も容易になる。特に、円環部212には大きな力が作用するので、円環部212の外周部にのみ凹凸部215を設けることで、コスト低減を図ることができる。本実施例2は、歯車部211側に作用する力が小さく、歯車部211の内周部とゴム部213との接合部が、接着剤のみでも負荷を支持できる場合に有効である。
本発明のバランサ装置用の同期歯車の実施例3を、図8及び図9を用いて説明する。なお、本実施例3の説明においても、上述した実施例1と同一部分については説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
本実施例3においても、同期歯車21a,21bは、はすば形状の歯部211aを有する樹脂製の歯車部211、バランサシャフト22a,22b(図2参照)との嵌め合い部となる鋼製の円環部212、及び前記歯車部211と前記円環部212との間に設けられたゴム部213により構成されていることは同じである。
本実施例3が上記実施例1と異なる部分は、ゴム部213との接合面となる円環部212の外周部には、図4に示すような凹凸部215は設けられておらず、ゴム部213との接合面となる歯車部211の内周部にのみ全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部214を設けているものである。また、前記凹凸部214の面にも微細な凹凸216も有する構成にしている。なお、本実施例では、ゴム部213との接合面となる円環部212の外周部に凹凸部は設けられていないが、前記円環部212の外周部に微細な凹凸を設けるようにしても良い。
前記凹凸部214は、歯車部211の歯部211aがはすば形状であるので、そのねじれ角θと平行となるように形成されている。なお、歯車部211を平歯車とする場合には、軸方向となるように前記凹凸部215を形成する。
なお、図9に示すように、ゴム部213の設置のし易さ及び界面強度の観点から、本実施例でも、ゴム部213の厚さTを片振幅Hの2倍以上(T>2H)に構成している。また、前記片振幅Hの大きさは、前記実施例1と同様に、ゴム部213の厚さTに対して0.02T〜0.5T、好ましくは0.05T〜0.1Tにしている。
他の構成は上述した実施例1と同様である。
本実施例3は、円環部212の外周部とゴム部213との接合部に対し、歯車部211の内周部とゴム部213との接合部の接合強度が不足する場合に有効であり、円環部212の外周部には凹凸部を設けないので製作が容易になる。
前記円環部212は金属(鋼製)であることから、ゴム部213との間で大きな接着力が得られ、前記歯車部211は樹脂製であることから、ゴム部213との間で十分な接着力が得られない場合に、本実施例3は有効である。このように円環部212側の接着強度が大きいときには前記凹凸部215を設けず、接着剤のみで接合することでコスト低減を図れる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施例では、駆動側の同期歯車21aと従動側の同期歯車21bの両方に、図4、図6、図8で示す構造の同期歯車とする例を説明したが、駆動側の同期歯車21aのみを図4、図6、図8で示す構造の同期歯車としても良い。
また、本発明は、バランサ装置用の同期歯車には限定されず、トルク変動の大きいシャフトに結合されて使用される歯車としても使用可能である。
更に、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1…エンジン、2…シリンダ、3…ピストン、4…ピストンピン、
5…コネクティングロッド、5a…小端部、5b…大端部、
6…クランクベアリング、7…フライホイール、
8…駆動歯車、10…クランクシャフト、11…クランクピン、12クランクアーム、
13…クランクジャーナル、14…カウンタウェイト、
20…バランサ装置、21…同期歯車、
21a:駆動側の同期歯車、21b:従動側の同期歯車、
22a…駆動側のバランサシャフト、22b…従動側のバランサシャフト、
23a,23b,24a,24b…ジャーナル部、
25a…駆動側バランサウェイト、25b…従動側バランサウェイト、
211…歯車部、211a…歯部、212:円環部、213…ゴム部、
214,215…凹凸部、216…微細な凹凸、θ…歯部のねじれ角。

Claims (11)

  1. バランサシャフトを有するバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記バランサシャフトに係合される円環部と、歯部を有する歯車部と、これらの間に設けられたゴム部を備え、
    前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部との少なくとも何れかに、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  2. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記歯車部の内周部の両方に、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  3. 請求項2に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記ゴム部の厚さTが周方向に均一となるように、前記円環部の外周部に設けた凹凸部と前記歯車部の内周部に設けた凹凸部は、周方向の数が同じで且つ位相も一致していることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  4. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    少なくとも、前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部に、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  5. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    少なくとも、前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部に、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  6. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記歯車部の歯部がはすば形状であり、前記凹凸部ははすば形状の歯部のねじれ角と平行であることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  7. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記ゴム部の厚さは、前記凹凸部の片振幅の2〜50倍に構成されていることを特徴とするバランサ装置。
  8. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記凹凸部には微細な凹凸を有することを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  9. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記円環部は金属製であり、前記歯車部は樹脂製であることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  10. 請求項1に記載のバランサ装置用の同期歯車であって、
    前記円環部は金属製であり、前記歯車部も金属製であることを特徴とするバランサ装置用の同期歯車。
  11. シャフトに係合される円環部と、歯部を有する歯車部と、これらの間に設けられたゴム部を備え、
    前記ゴム部との接合部となる前記円環部の外周部と前記ゴム部との接合部となる前記歯車部の内周部との少なくとも何れかに、全周に亘って一定の周期で滑らかに変化する凹凸部を形成していることを特徴とする歯車。
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