JP2020063628A - プレキャストコンクリート部材の接合方法 - Google Patents
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特許文献1には、鉄筋コンクリート柱部材の上にプレキャスト鉄筋コンクリート部材を接合する接合方法が示されている。この鉄筋コンクリート柱部材の上面には、鉛直上方に柱主筋が突き出ている。また、プレキャスト鉄筋コンクリート部材には、柱主筋が挿通する挿通孔が設けられている。
特許文献1では、まず、鉄筋コンクリート柱部材の上に、目地空間を設けてプレキャスト鉄筋コンクリート部材を配置して、挿通孔内に柱主筋を挿通する。次に、鉄筋コンクリート柱部材とプレキャスト鉄筋コンクリート部材との間の目地空間の周囲を固定する。次に、挿通孔の上方から所定の充填材を注入し、充填材を挿通孔および目地空間内に充填する。
この特許文献1では、柱部材の上に所定の隙間を目時空間部として空けて接合部材を配置して、接合部材の主鉄筋貫通孔に軸方向鉄筋を挿通する。次に、柱部材の側面から充填材注入孔から充填材を注入することで、充填材を目地空間部および主鉄筋貫通孔に充填して、柱部材と接合部材とを一体化する。
第1の発明のプレキャストコンクリート部材の接合方法は、プレキャストコンクリート造の梁部材(例えば、後述の梁部材40)が側面に接合されるプレキャストコンクリート造の柱部材(例えば、後述の柱部材10)の上に、プレキャストコンクリート造の接合部材(例えば、後述の接合部材20)を接合する、プレキャストコンクリート部材の接合方法であって、前記柱部材の上端面には、柱主筋(例えば、後述の柱主筋11)が上方に突出しており、前記柱部材には、内壁面がコンクリート面で形成されて当該柱部材の側面のうち前記梁部材の底面よりも下方の高さ位置から当該柱部材の内部を湾曲して延びて当該柱部材の上端面に至る充填材注入孔(例えば、後述の充填材注入孔12)が設けられ、前記接合部材には、前記柱主筋が挿通する柱主筋貫通孔(例えば、後述の柱主筋貫通孔21)が形成されており、前記柱部材の上に目地空間(例えば、後述の目地空間13)として所定の隙間を空けて前記接合部材を配置して、前記接合部材の柱主筋貫通孔に前記柱主筋を挿通する工程(例えば、後述のステップS1)と、前記柱部材の側面の前記充填材注入孔から充填材(例えば、後述の充填材C)を注入することで、当該充填材を前記目地空間および前記柱主筋貫通孔に充填する工程(例えば、後述のステップS2)と、を備えることを特徴とする。
また、柱部材に設けた充填材注入孔を湾曲させたので、柱部材を所定位置に建て込んだ後、柱部材と接合部材を一体化するまでの期間に雨が降った場合でも、柱部材の上端面に溜まった雨水が充填材注入孔を通って自然に排出される。よって、雨が降った場合でも、柱部材の上端面を排水して、充填材を確実に充填できる。
また、充填材注入孔の内壁面がコンクリート面で形成されていることで、柱部材のコンクリート内にコンクリート以外の異物を埋設することなく、柱部材を密実なコンクリート体とすることができる。
また、柱部材に設けた充填材注入孔を湾曲させたので、柱部材を所定位置に建て込んだ後、柱部材と接合部材を一体化するまでの期間に雨が降った場合でも、柱部材の上端面に溜まった雨水が充填材注入孔を通って自然に排出される。よって、雨が降った場合でも、柱部材の上端面を排水して、充填材を確実に充填できる。
また、下側の柱部材の側面から充填材注入孔に充填材を注入することで、この充填材が目地空間、柱主筋貫通孔、および継手部に充填されて、上下の柱部材同士が接合部材を挟んで接合されて一体化される。よって、充填材の充填作業を一度行うだけでよいので、工期の短縮が可能である。
第1実施形態は、柱部材と当該柱部材上に設置する接合部材との接合方法である(図1〜図6)。第2実施形態は、柱部材と当該柱部材上に設置する接合部材および直上階の柱部材との接合方法である(図7〜図9)。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る柱部材と接合部材との接合構造1の斜視図である。図2は、柱部材と接合部材との接合構造1の分解斜視図である。
柱部材と接合部材との接合構造1は、柱部材10の上に接合部材20を接合して構築されている。
柱部材10は、プレキャストコンクリート造であり、平面視矩形状で鉛直方向に延びている。この柱部材10の上端部の側面には、プレキャストコンクリート造の梁部材40が接合される(図1中破線で示す)。
接合部材20は、プレキャストコンクリート造の直方体状であり、柱部材10の上に接合される。また、柱部材10の上端面と接合部材20の下端面との間には、目地部30が形成されている。
柱部材10には、鉛直方向に延びる複数本の柱主筋11と、これら柱主筋11に所定間隔おきに巻き回された図示しない複数本の帯筋(フープ筋)と、が埋設されている。柱主筋11は、柱部材10の上端面から上方に突出している。柱主筋11のうち柱部材10の四隅に位置する1本は、上方にさらに延びてガイド筋11Aとなっている。
柱部材10の側面で梁部材40が接合される部分には、梁主筋41が側方に突出して設けられている。
また、柱部材10には、柱部材10の側面のうち梁部材40の底面よりも下方の高さ位置から柱部材10の内部を湾曲して延びて柱部材10の上端面に至る充填材注入孔12が設けられている。この充填材注入孔12の曲がっている部分は、ほぼ一定の曲率となっている。
充填材注入孔12は、柱部材10の型枠内に空気を入れたチューブを配置し、この状態で型枠内にコンクリートを打設し、その後、チューブ内の空気を抜いて、このチューブを抜き取ることにより形成されている。よって、この充填材注入孔12の内壁面は、コンクリート面で形成されている。また、充填材注入孔12の孔径d1は、目地空間13の高さ寸法d2より大きくなっている(図6参照)。
ここで、図1および図2に示す充填材注入孔12は、柱部材10の側面のうち、建物外周面に沿って架設される外周梁部材が接続される側面ではなく、建物内部側に架設される内周梁部材が接続される側面に設けられている。つまり、本実施形態の梁部材40は、内周梁部材となっている。
外周梁部材が接合される側面に充填材注入孔を設けた場合、充填材を注入する際に、建物外部側への落下防止手段が必要となる。しかし、本実施形態では、柱部材10の内周梁部材が接合される側面に充填材注入孔12を設けたので、建物外部側への落下防止手段が不要となり、充填作業時の安全性および作業効率を高めることができる。
ステップS1では、接合部材20を柱部材10の上に配置する。具体的には、柱部材10の上方から接合部材20を吊り下ろし、図6に示すように、接合部材20の柱主筋貫通孔21に柱部材10の柱主筋11を挿通し、目地空間13として所定の隙間を空けて柱部材10の上に接合部材20を配置する。ここで、接合部材20を柱部材10の上に吊り下ろす際、ガイド筋11Aを利用して位置決めを行う。
ステップS2では、図6に示すように、目地空間13の周囲に型枠14を建て込み、柱部材10の側面の充填材注入孔12から充填材Cを注入することで、充填材Cを目地空間13および柱主筋貫通孔21に充填する。これにより、柱部材10と接合部材20とが一体化し、目地空間13に充填された充填材が硬化して目地部30となる。
(1)梁部材40の底面の下方に位置する充填材注入孔12に充填材Cを注入することで、この充填材Cが目地空間13および柱主筋貫通孔21に充填されて、柱部材10と接合部材20とが接合されて一体化される。よって、接合部材20よりも上方から目地空間13および柱主筋貫通孔21に充填材Cを注入する必要がなく、例えば、当階の床面に設置した足場上から柱部材10の充填材注入孔12に充填材Cを充填できる。したがって、施工効率を高めることができ、工期の短縮が可能である。
また、チューブを用いることで、柱部材10に設けた充填材注入孔12を一定の曲率で湾曲させたので、柱部材10を所定位置に建て込んだ後、柱部材10と接合部材20を一体化するまでの期間に雨が降った場合でも、柱部材10の上端面に溜まった雨水が充填材注入孔12を通って自然に排出される。よって、雨が降った場合でも、柱部材10の上端面を排水して、充填材Cを確実に充填できる。
また、充填材注入孔12の内壁面がコンクリート面で形成されていることで、柱部材10のコンクリート内にコンクリート以外の異物を埋設することなく、柱部材10を密実なコンクリート体とすることができる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る柱部材と接合部材との接合構造1Aの分解斜視図である。
本実施形態では、柱部材と接合部材との接合構造1Aが、柱部材10の上に接合部材20および直上階の柱部材50を接合して構築される点が、第1実施形態と異なる。
柱部材50は、プレキャストコンクリート造であり、平面視矩形状で鉛直方向に延びている。柱部材50には、鉛直方向に延びる複数本の柱主筋11と、これら柱主筋11に所定間隔おきに巻き回された図示しない複数本の帯筋(フープ筋)と、柱主筋11の下端が接合された円筒形状の継手部15と、が埋設されている(図9参照)。継手部15の底面は、柱部材50の下端面から露出している。
ステップS11では、柱部材10の上に接合部材20を配置する。具体的には、柱部材10の上方から接合部材20を吊り下ろし、図9に示すように、接合部材20の柱主筋貫通孔21に柱部材10の柱主筋11を挿通し、目地空間13として所定の隙間を空けて柱部材10の上に接合部材20を配置する。ここで、接合部材20を柱部材10の上に吊り下ろす際、ガイド筋11Aを利用して位置決めを行う。
ステップS12では、接合部材20の上に柱部材50を配置する。具体的には、接合部材20の上方から柱部材50を吊り下ろし、図9に示すように、接合部材20の上端面から突出した柱部材10の柱主筋11を、柱部材50の継手部15に挿入する。ここで、接合部材20を柱部材10の上に吊り下ろす際、ガイド筋11Aを利用して位置決めを行う。
ステップ13では、図9に示すように、目地空間13の周囲に型枠14を建て込み、柱部材10の側面の充填材注入孔12から充填材Cを注入することで、充填材Cを目地空間13、柱主筋貫通孔21、および継手部15に充填する。これにより、柱部材10、接合部材20、および柱部材50が一体化し、目地空間13に充填された充填材が硬化して目地部30となる。
(3)下側の柱部材10の側面から充填材注入孔12に充填材Cを注入することで、この充填材Cが目地空間13、柱主筋貫通孔21、および継手部15に充填されて、上下の柱部材10、50同士が接合部材20を挟んで接合されて一体化される。よって、充填材Cの充填作業を一度行うだけでよいので、工期の短縮が可能である。
例えば、上述の各実施形態では、接合部材20を直方体状としたが、これに限らず、図10(a)に示すように、接合部材20Aの互いに背中合わせとなる二側面に側方に突出する梁22を設けてもよいし、図10(b)に示すように、接合部材20Bの三側面に側方に突出する梁22を設けてもよい。あるいは、図11に示すように、接合部材20Cの互いに背中合わせとなる二側面に側方に突出する梁22を設けるとともに、残る一側面に側方に突出する梁主筋41を設けてもよい。
また、上述の各実施形態では、充填材注入孔12を、柱部材10の内周梁部材が接合される側面に設けたが、これに限らず、プレキャストコンクリート部材の構築手順によっては、柱部材10の外周梁部材が接合される側面に設けてもよい。
10…柱部材 11…柱主筋 11A…ガイド筋 12…充填材注入孔
13…目地空間 14…型枠 15…継手部
20、20A、20B、20C…接合部材 21…柱主筋貫通孔 22…梁
30…目地部 40…梁部材 41…梁主筋 50…直上階の柱部材 C…充填材
Claims (3)
- プレキャストコンクリート造の梁部材が側面に接合されるプレキャストコンクリート造の柱部材の上に、プレキャストコンクリート造の接合部材を接合する、プレキャストコンクリート部材の接合方法であって、
前記柱部材の上端面には、柱主筋が上方に突出しており、
前記柱部材には、内壁面がコンクリート面で形成されて当該柱部材の側面のうち前記梁部材の底面よりも下方の高さ位置から当該柱部材の内部を湾曲して延びて当該柱部材の上端面に至る充填材注入孔が設けられ、
前記接合部材には、前記柱主筋が挿通する柱主筋貫通孔が形成されており、
前記柱部材の上に目地空間として所定の隙間を空けて前記接合部材を配置して、前記接合部材の柱主筋貫通孔に前記柱主筋を挿通する工程と、
前記柱部材の側面の前記充填材注入孔から充填材を注入することで、当該充填材を前記目地空間および前記柱主筋貫通孔に充填する工程と、を備えることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合方法。 - 前記充填材注入孔の孔径は、前記目地空間の高さ寸法より大きいことを特徴とする請求項1に記載のプレキャストコンクリート部材の接合方法。
- 上下に配置されたプレキャストコンクリート造の柱部材同士を接合するプレキャストコンクリート部材の接合方法であって、
前記下側の柱部材の上端面には、柱主筋が上方に突出しており、
前記下側の柱部材には、当該柱部材の側面から当該柱部材の内部を湾曲して延びて当該柱部材の上端面に至る充填材注入孔が設けられ、
前記上側の柱部材の下端面には、前記柱主筋が挿入される継手部が露出しており、
前記柱主筋が挿通する柱主筋貫通孔が形成された接合部材を用意し、前記下側の柱部材の上に、目地空間として所定の隙間を空けて前記接合部材を配置して、前記接合部材の柱主筋貫通孔に前記下側の柱部材の柱主筋を挿通する工程と、
前記接合部材の上に前記上側の柱部材を配置して、前記接合部材の上端面から突出した柱主筋を、前記上側の柱部材の継手部に挿入する工程と、
前記柱部材の側面の前記充填材注入孔から充填材を注入することで、当該充填材を前記目地空間、前記柱主筋貫通孔、および前記継手部に充填する工程と、を備えることを特徴とするプレキャストコンクリート部材の接合方法。
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JP2016199902A (ja) * | 2015-04-09 | 2016-12-01 | 清水建設株式会社 | PCa部材の接合方法 |
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