JP2020063472A - 磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼 Download PDF

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Abstract

【課題】耐衝撃性及び磁気特性に優れ、磁気遮断器の接点部材として好適なフェライト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】質量%で、C:0.020%以下、Si:1.00%以下、Mn:1.00%以下、P:0.035%以下、S:0.0030%以下、Cr:10.0〜18.0%、N:0.020%以下、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Al:0.10%以下、Sn:0.001〜0.5%、B:0.005%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を採用する。【選択図】図1

Description

本発明は磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関するものであり、特に、磁気遮断器の接点材として好適なフェライト系ステンレス鋼に関する。
ハイブリッド車や電気自動車には、車両に搭載された高電圧回路において電流遮断を確実に行うために、車両1台あたり複数個の磁気遮断器が搭載されている。特にこれらの車両では、大容量の電流を遮断する必要がある。この用途に使用される磁気遮断器としては、接点装置と、電磁式の開閉装置とを有するものが知られている。接点装置には、固定接点部を有する固定接点部材と、可動接点部を有する可動接点部材と、これらを収納する筐体とが備えられており、可動接点部材は開閉装置によって可動自在とされている。磁気遮断器によって高電圧回路を電流遮断する場合は、開閉装置によって可動接点部材を駆動させ、可動接点部と固定接点部とを非接触状態にすることで、電流遮断を行っている。
磁気遮断器による電流遮断は、車両の運転状況によって頻繁に行われる。このため、可動接点や固定接点には、耐衝撃性が求められる。また、磁気遮断器の一部には、電流遮断時に発生するアーク放電を速やかに消弧させるために、接点装置の筐体の内部に磁界を生じさせるものがある。すなわち、固定接点と可動接点を離間させる際に接点間に生じたアークを、磁界の作用によって、各接点の端まで移動させ、更にはアークを引き延ばさせることで、アーク電圧を上昇させて遮断を完了させている。このため、筐体内部に配置される固定接点部材及び可動接点部材は、磁化しやすい性質(磁気特性)に優れることが求められる。
固定接点部材や可動接点部材には、導電性金属(例えば銅または銅合金)そのもの、または、セラミックスに導電性金属を複合化したものが使用されている。しかし、銅または銅合金は磁気特性が十分ではない。また、セラミックスは耐衝撃性及び磁気特性が低いという問題がある。そこで、耐衝撃性及び磁気特性に優れる材料として、ステンレス鋼の適用が考えられる。
特許文献1には、磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板として、重量%にて、C≦0.01%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.1〜1.0%、S≦0.004%、Cr:5〜13%、Ti:0.05〜0.5%、O≦0.004%、N≦0.015%を含有し、かつC+N≦0.015%であり、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、表層および中心層における(111)面強度の和が10以下であり、最大比透磁率≧4000であるフェライト系ステンレス鋼板が記載されている。
また、特許文献2には、磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼板として、重量%で、C:0.015%以下、N:0.015%以下、Si:1.5%以下、Mn:1.0%以下、Cr:10〜14%、Ti:0.05〜0.30%を含有するスラブを熱間圧延により熱延板としたのち、該熱延板に圧下率:20〜60%の冷間圧延を施し、ついで、800〜930℃で焼鈍することによって製造されるフェライト系ステンレス鋼板が記載されている。
特許第3629102号公報 特開平11−61255号公報
特許文献1及び2に記載されたフェライト系ステンレス鋼板は、銅、銅合金またはセラミックスに比べると、耐衝撃性及び磁気特性に優れる。しかし、磁気特性に関しては、磁気遮断器用の接点材料として満足できる程度の磁気特性を有するものではない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐衝撃性及び磁気特性に優れ、磁気遮断器の接点部材として好適なフェライト系ステンレス鋼を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 質量%で、
C:0.020%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.035%以下、
S:0.0030%以下、
Cr:10.0〜18.0%、
N:0.020%以下、
Nb:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、
Al:0.10%以下、
Sn:0.001〜0.5%、
B:0.005%以下を含み、
残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[2] さらに質量%で、
Ni:1%以下、
Cu:1%以下、
Mo:1%以下、
Sb:0.2%以下、
V:0.5%以下、
W:0.5%以下、
Zr:0.5%以下、
Co:0.5%以下、
Mg:0.005%以下、
Ca:0.005%以下、
Ga:0.005%以下、
La:0.1%以下、
Y:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
REM:0.1%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[3] 前記フェライト系ステンレス鋼の断面に露出させた結晶粒界表面における全元素量を100質量%としたとき、Sn、Nb及びTiの濃度がそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[4] 磁界内に配置される接点部材として用いられることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
本発明によれば、耐衝撃性及び磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供できる。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼は、磁気遮断器の接点部材用の材料として好適に用いることができる。
磁気遮断器の一例を示す断面模式図である。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、フェライト系ステンレス鋼において、耐衝撃性及び磁気特性に影響を及ぼす合金元素について鋭意検討を行い,下記の新しい知見を得て本発明をなすに至った。
(a)上述のように、磁気遮断器の接点材料に求められる特性としては、耐衝撃性及び磁気特性がある。ステンレス鋼は、銅等の他の接点材料に比べて耐衝撃性及び磁気特性に優れるが、磁気特性については、磁気遮断器の接点部材として好適な特性を有するものは得られていない。磁気特性の指標となる比透磁率の値は外部磁場に依存し、車載用途での外部磁場は必ずしもステンレス鋼の飽和磁化に到達しない印加磁場力(例えば1000A/m)を想定し磁化の容易さを評価する必要がある。ステンレス鋼は一般に、耐食性を高めるために合金元素を含有させるが、合金元素を含有させるとFeの含有量が相対的に低下し、磁気特性が低下する。従って、磁気遮断器の接点材料として好適なステンレス鋼を実現するためには、合金元素の含有量を可能な限り低減させる必要があり、特にCr量については、含有量を18%以下に抑制することが好ましいことを知見した。
(b)また、ステンレス鋼の磁気特性は、結晶粒界の影響を受ける。結晶粒界は磁気の障壁となって磁気特性を低下させやすい。特にステンレス鋼では、結晶粒界にPやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させる。そこで本発明者らはSnに着目した。Snは粒界偏析元素であり、PやS等の粒界偏析を抑制して磁気特性の改善に有効な元素である。Snを所定の範囲で含有させることにより、磁気特性の改善が見込まれることを見出した。
(c)上述のように、ステンレス鋼では結晶粒界にPやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させるが、結晶粒界に偏析して磁気特性を阻害する元素には、C、Nといった元素もある。本発明者らは、TiやNbが、P、S、C、N等と化合してリン化物、硫化物、炭化物、窒化物等を形成させることでこれらの元素を固定させて、磁気特性の劣化を抑制する効果があることを見出した。また、本発明者らは、TiやNbはそれ自体が粒界に偏析することで、PやSの粒界偏析を抑制して磁気特性の劣化を防止できることも見出した。
上記(a)〜(c)の知見に基づいて成された本発明の要旨は、以下の通りである。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、質量%で、C:0.020%以下、Si:1.00%以下、Mn:1.00%以下、P:0.035%以下、S:0.0030%以下、Cr:10.0〜18.0%、N:0.020%以下、Nb:0.5%以下、Ti:0.5%以下、Al:0.10%以下、Sn:0.001〜0.5%、B:0.005%以下を含み、残部がFeおよび不純物からなる磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼である。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、さらに質量%で、Ni:1%以下、Cu:1%以下、Mo:1%以下、Sb:0.2%以下、V:0.5%以下、W:0.5%以下、Zr:0.5%以下、Co:0.5%以下、Mg:0.005%以下、Ca:0.005%以下、Ga:0.005%以下、La:0.1%以下、Y:0.1%以下、Hf:0.1%以下、REM:0.1%以下、の1種または2種以上を含有してもよい。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、フェライト系ステンレス鋼の断面に露出させた結晶粒界表面における全元素量を100質量%としたとき、Sn、Nb及びTiの濃度がそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、磁界内に配置される接点部材として用いられることが好ましい。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
C:0.020%以下
Cは、含有量が多すぎると合金中に炭化物を形成ならびに粒界偏析して磁気特性を劣化させ、更には靱性を低下させて耐衝撃性を悪化させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.020%以下とする。ただし、炭素量を低減させるには精錬工程が煩雑になりコストが増大する。よってC量は0.001%以上とすることが好ましい。精錬コストも考慮した好ましい範囲は0.003〜0.015%であり、更に好ましい範囲は0.003〜0.010%である。
Si:1.00%以下
Siは、脱酸元素として有効であり、磁気特性の向上にも有効な元素だが、過剰に含有させると、Siは固溶強化元素として作用し、鋼の靭性や加工性の低下を招くため、上限を1.00%以下とする。磁気特性を確保するために下限を0.01%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、効果と製造性を考慮して0.05〜0.50%であり、0.05〜0.30%であってもよい。
Mn:1.00%以下
Mnは、脱酸元素として有効な元素であり、また、磁気特性を低下させるSの固定するために有効な元素でもある。一方、Mnは鋼に固溶すると耐食性や靭性の低下を招くため、上限を1.00%以下とする。脱酸やS固定の作用を確保するため、下限は0.01%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、効果と製造コストを考慮して0.05〜0.50%であり、0.05〜0.30%であってもよい。
P:0.035%以下
Pは、粒界偏析して磁気特性を低下させ、また、鋼の靭性を阻害する元素であり、その含有量は少ないほどよいため、上限を0.035%以下とする。但し、過度の低減は精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.005%以上とする。好ましい範囲は、製造コストを考慮して0.010〜0.030%であり、0.010〜0.020%であってもよい。
S:0.0030%以下
Sは、多量に含有させると合金中に硫化物を形成して磁気特性を劣化させ、また、粒界偏析することによっても磁気特性や鋼の靭性を劣化させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.0030%以下とする。但し、過度の低減は原料及び精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.0001%以上とする。好ましい範囲は、磁気特性の向上や製造コストを考慮して0.0002〜0.0015%であり、0.0002〜0.0008%であってもよい。
Cr:10.0〜18.0%
Crは、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の基本元素であり、耐食性及び磁気特性を確保するために必須の元素である。本実施形態の磁気遮断器の接点材料としての用途を想定した耐食性を確保するために下限を10.0%以上とする。上限は、磁気特性の向上の観点から18.0%以下とする。非磁性元素であるCrが18.0%を超えると磁気特性が劣化する。より好ましいCrの範囲は、10.0〜15.0%未満としてもよく、10.0〜12.0%でもよい。
N:0.020%以下
Nは、CやSと同様に、過剰に含有すると合金中に窒化物を形成して磁気特性を低下させ、また、Nが粒界偏析することでも磁気特性を低下させるため、その含有量は少ないほどよく、上限を0.020%以下とする。但し、過度の低減は精錬コストの増加に繋がるため、下限を0.001%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、磁気特性と製造コストを考慮して0.005〜0.015%である。
Nb:0.5%以下
Ti:0.5%以下
Nb、Tiは、粒界に偏析することでPやSの粒界偏析を抑制して磁気特性の改善を図る作用がある。また、Nb、Tiには、磁気特性を阻害するC,N,P,Sを固定するための安定化元素としての作用もある。Nb,Tiとも、これら2つの作用を発揮するが、Nbは特に前者の作用に有効に働き、Tiは後者の作用に有効に働くと推測される。これらの作用によりTi、Nbは、耐食性の改善に加えて、本発明の目標とする磁気特性の改善に有効な元素となる。含有する場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。但し、過度な含有は合金コストの上昇や加工性の低下に繋がり、また、靱性が低下して耐衝撃性が劣化するため、上限をそれぞれ0.5%以下とする。好ましい範囲は、磁気特性の向上効果と合金コストおよび製造性を考慮して、Nb、Tiについてそれぞれ0.05〜0.5%とする。より好ましい範囲はそれぞれ0.08〜0.3%であり、それぞれ0.1〜0.3%であってもよい。
Al:0.10%以下
Alは、脱酸元素として極めて有効な元素である。一方、鋼の靭性の低下を招くため、上限を0.10%以下とする。下限は、脱酸効果を考慮して0.005%以上とすることが好ましい。好ましい範囲は、製造性と性能を考慮して0.01〜0.07%であり、0.01〜0.05%であってもよい。
Sn:0.001〜0.5%
Snは、耐食性に加えて、本発明の目標とする磁気特性を向上させるために有効な元素である。ステンレス鋼の結晶粒界には、PやS等の不純物元素が偏析して磁気特性を低下させる。Snは、自身が粒界偏析元素であり、PやS等の粒界偏析を抑制して磁気特性の改善に有効な元素である。Snを所定の範囲で含有させることにより、磁気特性の改善が見込まれるので、本発明では0.001〜0.5%の範囲で含有させる。Snを0.001%以上含有させることで、前出の効果が発現されて磁気特性が向上する。但し、過度な含有は、結晶粒界におけるSn濃度を増大させて磁気特性の低下につながり、また、靱性を低下させて耐衝撃性の低下を招くため、上限を0.5%以下とする。好ましくは0.005〜0.3%であり、0.010〜0.2%でもよい。
B:0.005%以下
Bは、粒界偏析元素であり、Snと同様に磁気特性を向上させるとともに熱間加工性を向上させる元素であり、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼に含有させることは有効である。Bの下限は磁気特性の向上を図るため0.0003%以上とすることが好ましい。しかし、過度のBの含有は、伸びの低下をもたらし製造性を低下させるため、上限を0.005%以下とする。好ましくは0.0005〜0.002%とし、0.001〜0.002%でもよい。
上記した元素以外は、Feおよび不純物からなる。但し、本発明の技術特徴が奏する効果を阻害しない範囲で、上記以外の以下に記載する元素を、選択的に含有させることができる。以下に限定理由を記載する。これらの元素の下限は0%である。
Ni:1%以下
Cu:1%以下
Mo:1%以下
Ni、Cu、Moは、耐食性に有効な元素である。この効果を発揮させるため、Ni、Cu、Moはそれぞれ、0.05%以上の範囲で含有させてもよい。過度の含有は、ステンレス鋼の再結晶および結晶粒成長を阻害して磁気特性の低下を招くため、それぞれ上限は1%以下とする。より好ましい範囲はそれぞれ、0.1%以上0.8%以下であり、更に好ましくは0.3%以上0.6%以下である。
Sb:0.2%以下
V:0.5%以下
W:0.5%以下
Zr:0.5%以下
Co:0.5%以下
Sb、V、W、Zr、Coは、耐食性の改善とP、Sの粒界偏析を抑制して磁気特性の向上に有効な元素であり、必要に応じて含有させる。特にSbは強力な粒界偏析元素であり、SnやBと同様に、P、Sなど不純物元素の粒界偏析を排除する作用を持つ。これらの元素を含有させる場合は、それぞれその効果が発現する0.01%以上とする。過度な含有は製造性や磁気特性の低下に繋がるため、Sbを0.2%以下、V、W、Zr、Coをそれぞれ0.5%以下とする。より好ましいSbの範囲は、0.02〜0.15%、更に好ましくは0.02〜0.1%以下である。V、W、Zr、Coのより好ましい範囲は0.02〜0.3%、更に好ましい範囲は0.02〜0.2%である。
Mg:0.005%以下
Mgは、溶鋼中でAlとともにMg酸化物を形成し脱酸剤として作用する他、TiNの晶出核として作用する。TiNは凝固過程においてフェライト相の凝固核となり、TiNの晶出を促進させることで、凝固時にフェライト相を微細生成させることができる。凝固組織を微細化させることにより、再結晶と結晶粒成長を促進して磁気特性を向上させることができる。含有させる場合は、これら効果を発現する0.0001%以上とする。但し、Mgが0.005%を超えると磁気特性が劣化するため、上限を0.005%以下とする。好ましくは0.0003〜0.002%とし、更に好ましくは0.0003〜0.001%する。
Ca:0.005%以下
Ga:0.005%以下
Ca、Gaは、鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて含有させる。含有させる場合は、これら効果を発現するためにそれぞれ0.0003%以上とする。しかし、過度の含有は磁気特性の劣化に繋がるため、上限をそれぞれ0.005%以下とする。好ましくはそれぞれ0.0003〜0.0015%とし、更に好ましくは0.0003〜0.001%する。
La:0.1%以下
Y:0.1%以下
Hf:0.1%以下
REM:0.1%以下
La、Y、Hf、REMは、Ca、Gaと同様に鋼の清浄度を向上させる元素であり、必要に応じて含有してもよい。含有させる場合は、効果が発現するためにそれぞれ0.001%以上とする。しかし、過度の含有は、磁気特性の劣化に繋がるため、上限をそれぞれ0.1%以下とする。好ましくはそれぞれ0.001〜0.05%とし、更に好ましくは0.001〜0.03%とする。
REM(希土類元素)は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、周期律表においてセリウム(Ce)からルテチウム(Lu)までの14元素(ランタノイド)の総称を指す。これらの元素は単独で含有させてもよいし、混合物であってもよい。
なお、残部に含まれる不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本発明の鋼に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
次に本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の組織について説明する。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、鋼の断面に露出させた結晶粒界表面における全元素量を100質量%としたとき、Sn、Nb及びTiの濃度がそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下であることが好ましい。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、フェライトの結晶粒を含有する。フェライト結晶粒は、結晶粒界を介して他のフェライト結晶粒に接しているが、この結晶粒界におけるP、S、C、N、Oなどの不純物元素の存在比率が高いと磁気特性が大きく劣化する。これら不純物元素の粒界偏析を抑制するために、結晶粒界におけるSn、Nb及びTiの存在比率を制御することで、磁気特性は改善する。この効果を発揮させるためには、結晶粒界に、Sn:0.1質量%以上、Nb:0.5質量%以上、Ti:0.2質量%以上の濃度で存在することが好ましい。より好ましくは、結晶粒界に、Sn:0.7質量%以上、Nb:0.7質量%以上、Ti:0.4質量%以上の濃度で存在するとよい。但し、Sn、Ti、Nbの過度な粒界偏析は磁気特性の低下を招くため、結晶粒界におけるSn、Nb及びTiの濃度をそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下に制限する必要がある。より好ましくは、Sn:1.5質量%以下、Nb:3.0質量%以下、Ti:1.5質量%以下である。
結晶粒界におけるSn、Ti及びNbの濃度測定方法について説明する。
結晶粒界での各元素の濃度は、フェライト系ステンレス鋼から、3mm厚×4mm×20mmのVノッチ付き分析試料を採取し、AES(オージェ電子分光装置)内で液体窒素冷却下にて破壊して破面を露出させ、破面に露出した結晶粒界の濃化元素を測定する。ここで、AES装置内の破面出しは、10−4Pa以下の真空度を確保した上で、分析試料は液体窒素(77K)で冷却した上で行い、次いで濃化元素を定量分析する。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、磁気特性として、比透磁率が高く、保磁力が小さいことが好ましい。比透磁率と保磁力は、以下の測定条件により得られる数値により接点部材への適用性を評価する。測定条件は、外径Φ45mm、内径Φ33mmのリング状試験片を作製し、巻き線数100、印加磁化力1000A/mとし、室温にて磁気測定(B−H曲線)を行い、比透磁率(μ)と保磁力(Hc[A/m])を求める。印加磁化力は、飽和磁化に到達しない値として磁化の容易さを評価する。磁化の容易さは比透磁率が高いほど、ヒステリシス損は保磁力が小さいほど良好である。
比透磁率μは、500以上がよく、好ましくは600以上、より好ましくは700以上である。保磁力Hcは400A/m以下、好ましくは300A/m以下、より好ましくは250A/m以下である。
比透磁率が高く、保磁力が低いと、フェライト系ステンレス鋼を接点部材に適用した際に、磁化しやすくヒシテリスス損が小さいので好ましい。
次に、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の製造方法について説明する。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、上記の化学成分を満足すれば、鋳造、熱間加工、冷間加工等の通常のプロセス条件で製造しても本発明の目標とする磁気特性を確保することが可能である。
より好ましくは、冷間加工してから800℃以上で仕上げ焼鈍を終了後、650℃未満まで降温することなく650〜750℃にて1分超保持してもよい。
また、冷間加工してから800℃以上で仕上げ焼鈍を終了してから、一旦650℃未満まで温度を下げる場合には、降温後に650〜750℃の範囲まで再加熱し、650〜750℃における温度保持を合計で1分超、5分未満になるように温度保持を行ってもよい。
仕上げ焼鈍温度を800℃以上とするのは、冷間加工後の鋼を再結晶させて磁気特性を確保しやすくするためである。焼鈍温度の過度な上昇は、結晶粒径が粗大化して材料強度や耐衝撃特性ならびに磁気特性の低下に繋がる場合がある。好ましくは、焼鈍温度の上限を1000℃とする。
仕上げ焼鈍をした後、650〜750℃の温度域で温度保持時間を1分超とするために冷却速度を調整する、あるいは650〜750℃に再加熱して1分超、5分未満保持しても構わない。750℃を超えると、SnやNb、Tiの粒界偏析が抑制されて磁気特性が低下する場合があるため、上限は750℃以下としてもよい。また、650℃未満では、PやSの粒界偏析を助長させる場合があるため、下限を650℃以上としてもよい。
650〜750℃での温度保持時間は、好適な金属組織の要件を得るためには、1分超とする。温度保持時間の上限は、SnやNb、Tiの粒界偏析を促進するために、高温仕上げ焼鈍後に650℃未満まで一旦冷却すること無く温度保持する場合は5分未満、高温仕上げ焼鈍後に650℃未満まで一旦冷却した後、再加熱で温度保持する場合は、高温仕上げ焼鈍後に行う全ての温度保持の合計時間を5分未満とする。保持時間が5分以上になると、過度な粒界偏析により磁気特性が低下する場合があるので、保持時間の上限は5分未満とすることが好ましい。
本発明の目標とする磁気特性に優れた鋼のSn、Nb及びTiの粒界偏析を抑制するためは、焼鈍後に温度保持する場合には650℃以上、750℃以下で1分超から5分未満の範囲で前記温度保持を行うことが好ましい。
なお、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、鋼板、棒鋼、鋼線、鋼管など、特にその形態に限定はない。また、製造方法における熱間加工は、熱間圧延や熱間鍛造を例示でき、また、冷間加工は冷間圧延、冷間鍛造等を例示できる。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、磁界内に配置される接点部材として好適に用いることができる。
図1には、磁気遮断器の一例を示す。図1に示す磁気遮断器1は、リレー部10と駆動部20とを備える。磁気遮断器1は、リレー部10に備えられた可動接点部材13が駆動部20によって上下に駆動することで、一対の固定接点部材12に可動接点部材13が接触または非接触するように構成されている。固定接点部材12は外部回路に接続されている。そして、可動接点部材13と固定接点部材12とが接触状態にあるときには外部回路の電流が遮断されず、非接触状態にあるときには外部回路の電流を遮断するようになっている。以下、磁気遮断器1の構造について説明する。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、可動接点部材13及び固定接点部材12の素材に適用される。
リレー部10は、中空箱状のリレー部筐体11と、リレー部筐体11の上面11aを貫通する2つの柱状の固定接点部材12と、リレー部側筐体11の内部に配置された棒状の可動接点部材13と、可動接点部材13を固定接点部材12側に付勢するばね14とを備えている。可動接点部材13及び固定接点部材12は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。2つの固定接点部材12は、相互に離間して配置されている。柱状の固定接点部材12は、一端側に固定接点部12aが設けられ、他端側には外部端子部12bが設けられている。固定接点部12aは、リレー部筐体11の内部に挿入され、可動接点部材13に対向するように配置されている。外部端子部12bは、リレー部筐部材11の外側に配置されており、外部回路に接続される。
棒状の可動接点部材13は、上面に可動接点部13aを有している。可動接点部材13は、可動接点部13aが2つの固定接点部12bと対向するようにリレー部筐体11内に配置されている。可動接点部材13は、駆動部20の接続シャフト24に接続されている。図1では、可動接点部材13がその可動範囲の最下方に位置している状態を示している。この状態は、可動接点部13aと固定接点部12aが離間して外部回路の電流が遮断された状態にある。また、図1に示す一点鎖線は、可動接点部材13がその可動範囲の最上方に位置している状態を示している。この状態は、可動接点部13aと固定接点部12aが接触して外部回路の電流が遮断されていない状態にある。
リレー部筐体11の内部には、ばね14が配置されている。ばね14は、可動接点部材13を固定接点部材12に接触させるために、可動接点部材13を固定接点部材12側に付勢する。ばね14には、接続シャフト24が挿通されている。また、リレー部筐体11の内部には図示略の磁石によって磁界が形成されている。
駆動部20は、駆動部筐体21と、駆動部筐体21の内部に配置された電磁石コイル22と、電磁石コイル22の中空部22aに挿入された筒状のヨーク23と、ヨーク23に挿入された接続シャフト24と、ヨーク23を案内する中空筒状のガイド部材25とが備えられている。接続シャフト24は、駆動部筐体21を貫通して可動接点部材13に接続されている。
磁気遮断器1の動作を説明する。電磁石コイル22に通電しない場合は、ばね14によって可動接点部材13が固定接点部材12側に付勢され、可動接点部13aと固定接点部12aとが接触する。これにより、外部回路の電流が流される。一方、電磁石コイル22に通電して磁力を発生させると、ばね14の付勢力に抗してヨーク23が電磁石コイル22に吸引され、これにより、接続シャフト24を介して可動接点部材13が固定接点部材12から離間され、外部回路の電流が遮断される。リレー部筐体11の内部には図示略の磁石によって磁界が形成されており、電流遮断時に発生するアークは、リレー部筐体11の内部の磁界によって引き延ばされることで、たとえ大電流であっても確実に遮断される。
上記の磁気遮断器1の可動接点部材13及び固定接点部材12は、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼によって形成されている。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、従来の接点材料である銅合金等に比べて、耐衝撃性に優れるため、可動接点部材13と固定接点部材12との接触/非接触が何度も繰り返された場合であっても、可動接点部材13及び固定接点部材12の破損を防止できる。また、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、磁気特性にも優れるため、可動接点部材13及び固定接点部材12は、リレー部筐体11の内部に発生させた磁界によって容易に磁化される。これにより、リレー部筐体11内部の磁界の分布が、可動接点部材13と固定接点部材12によって乱されることがなく、磁界による電流遮断時のアークの引き延ばしを阻害することがなく、電流を確実に遮断させることができる。
なお、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、図1に示す磁気遮断器1に限定されるものではなく、磁界によってアークを消弧させる遮断器であれば、その接点材料として好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。
表1の成分組成を有するフェライト系ステンレス鋼を溶製し、加熱温度1150〜1250℃まで加熱して熱間圧延を行い、板厚8.0mmの熱延鋼板を製造した。熱延鋼板を900〜1000℃にて焼鈍し、酸洗後に板厚4.0mmまで冷間圧延して冷間圧延板とした。冷間圧延板に対して900〜980℃の仕上げ焼鈍と酸洗を行った、更に、一部の冷延鋼板に対して、仕上げ焼鈍後に、650〜750℃での温度保持を行った。温度保持の条件は表2に示す。このようにして、フェライト系ステンレス鋼を製造した。得られたフェライト系ステンレス鋼について、磁気特性および耐衝撃特性の評価に供した。
磁気特性の評価は、JIS C 2556準拠して以下の手順で実施した。
磁気特性の評価は、外径Φ45mm、内径Φ33mmのリング状試験片を作製し、巻き線数100、印加磁化力1000A/mとし、室温にて磁気測定(B−H曲線)を行い、比透磁率(μ)と保磁力(Hc[A/m])を求めた。印加磁化力は、飽和磁化に到達しない値として磁化の容易さを評価した。評価基準は以下の通りとした。◎および○を合格とした。
○:比透磁率が500以上700未満かつ保磁力が250A/m超400A/m以下を満たす。
◎:比透磁率が700以上かつ保磁力が250A/m以下を満たす。
×:比透磁率が500未満または保磁力が400A/m超の何れか一方または両方を満たす。
耐衝撃特性は、シャルピー衝撃試験によって評価した。シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242に準拠して実施した。試験片は板厚×10mm幅×55mm長さのVノッチ形状とし、試験温度は0℃とした。衝撃値が20J/cm以上の場合を合格(○)とし、衝撃値が20J/cm未満の場合を不合格(×)とした。衝撃値が20J/cm以上の場合に延性的な破面形状が現れるのでこれを合格とし、衝撃値が20J/cm未満の場合は脆性的な破面形状が現れるため不合格とした。
結晶粒界におけるSn、Ti及びNbの濃度は、以下のようにして測定した。
フェライト系ステンレス鋼から、板厚を1mm研削(表裏から0.5mm厚ずつ研削)して、3mm厚×4mm×20mmのVノッチ付き分析試料を採取した。次いで、AES(オージェ電子分光装置)内で液体窒素冷却下にてVノッチを起点して破壊して破面を露出させ、破面に露出した結晶粒界の濃化元素を測定した。ここで、AES装置内の破面出しは、10−4Pa以下の真空度を確保した上で、分析試料は液体窒素(77K)で冷却した上で行った。次いで破面に露出した結晶粒界における濃化元素を定量分析した。
表2に試験結果をまとめて示す。
No.1〜11は、何れも本発明範囲の化学成分を有するフェライト系ステンレス鋼であり、磁気特性及び耐衝撃特性が良好であった。特に、仕上げ焼鈍後に温度保持を行ったNo.5、8、10は、同じ化学成分でありながら仕上げ焼鈍後に温度保持を行わなかったNo.4、7、9に比べて、磁気特性が更に向上した。No.5、8、10は、結晶粒界に偏析したSn、Nb及びTiの濃度がNo.4、7、9に比べて高くなっており、磁気特性を阻害するPやSの偏析を抑制することで、磁気特性が向上したと推測される。
No.12〜18は、何れも本発明範囲の化学成分を有しないフェライト系ステンレス鋼であり、磁気特性または耐衝撃特性のいずれか一方または両方が劣った。
No.12は、C量が過剰であり、炭化物が粒界偏析したため、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.13は、Si量が過剰であり、加工性が低下し、耐衝撃特性が劣った。
No.14は、Mn量及びAl量が過剰であり、耐衝撃性が劣った。
No.15は、P量が過剰であり、Pが結晶粒界に過剰に偏析し、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.16は、S量が過剰であり、合金中に硫化物を形成し、またSが結晶粒界に過剰に偏析し、磁気特性及び耐衝撃特性の両方が劣った。
No.17は、Cr量およびN量が過剰であり、非磁性元素であるCrが多くなり、また、合金中に窒化物を形成し、更にNが結晶粒界に過剰に偏析したことで、磁気特性が劣った。
No.18は、Sn量が少なく、PやS等の粒界偏析を抑制する効果が発現せず、磁気特性が改善されなかった。
Figure 2020063472
Figure 2020063472
1…磁気遮断器、10…リレー部、12…固定接点部材、13…可動接点部材、20…駆動部。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
[1] 質量%で、
C:0.020%以下、
Si:1.00%以下、
Mn:1.00%以下、
P:0.035%以下、
S:0.0030%以下、
Cr:10.0〜18.0%、
N:0.020%以下、
Nb:0.5%以下、
Ti:0.5%以下、
Al:0.10%以下、
Sn:0.001〜0.5%、
B:0.005%以下を含み、
残部がFeおよび不純物からなり、
比透磁率μが500以上、保磁力Hcが400A/m以下であることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[2] さらに質量%で、
Ni:1%以下、
Cu:1%以下、
Mo:1%以下、
Sb:0.2%以下、
V:0.5%以下、
W:0.5%以下、
Zr:0.5%以下、
Co:0.5%以下、
Mg:0.005%以下、
Ca:0.005%以下、
Ga:0.005%以下、
La:0.1%以下、
Y:0.1%以下、
Hf:0.1%以下、
REM:0.1%以下
の1種または2種以上を含有することを特徴とする[1]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[3] 前記フェライト系ステンレス鋼の断面に露出させた結晶粒界表面における全元素量を100質量%としたとき、Sn、Nb及びTiの濃度がそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下であることを特徴とする[1]または[2]に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
[4] 磁界内に配置される接点部材として用いられることを特徴とする[1]乃至[3]の何れか一項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    Si:1.00%以下、
    Mn:1.00%以下、
    P:0.035%以下、
    S:0.0030%以下、
    Cr:10.0〜18.0%、
    N:0.020%以下、
    Nb:0.5%以下、
    Ti:0.5%以下、
    Al:0.10%以下、
    Sn:0.001〜0.5%、
    B:0.005%以下を含み、
    残部がFeおよび不純物からなることを特徴とする磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  2. さらに質量%で、
    Ni:1%以下、
    Cu:1%以下、
    Mo:1%以下、
    Sb:0.2%以下、
    V:0.5%以下、
    W:0.5%以下、
    Zr:0.5%以下、
    Co:0.5%以下、
    Mg:0.005%以下、
    Ca:0.005%以下、
    Ga:0.005%以下、
    La:0.1%以下、
    Y:0.1%以下、
    Hf:0.1%以下、
    REM:0.1%以下
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  3. 前記フェライト系ステンレス鋼の断面に露出させた結晶粒界表面における全元素量を100質量%としたとき、Sn、Nb及びTiの濃度がそれぞれ、Sn:2.0質量%以下、Nb:5.0質量%以下、Ti:2.0質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. 磁界内に配置される接点部材として用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の磁気特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
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