JP2020061994A - 微生物回収方法、発光性カーボンナノワイヤの製造方法、及び、発光性カーボンナノワイヤ - Google Patents

微生物回収方法、発光性カーボンナノワイヤの製造方法、及び、発光性カーボンナノワイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2020061994A
JP2020061994A JP2018197366A JP2018197366A JP2020061994A JP 2020061994 A JP2020061994 A JP 2020061994A JP 2018197366 A JP2018197366 A JP 2018197366A JP 2018197366 A JP2018197366 A JP 2018197366A JP 2020061994 A JP2020061994 A JP 2020061994A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
luminescent
luminescent carbon
carbon nanowire
emission peak
recovery
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018197366A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7123350B2 (ja
Inventor
中尾 秀信
Hidenobu Nakao
秀信 中尾
済徳 金
Zumitoku Kin
済徳 金
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute for Materials Science
Original Assignee
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute for Materials Science filed Critical National Institute for Materials Science
Priority to JP2018197366A priority Critical patent/JP7123350B2/ja
Publication of JP2020061994A publication Critical patent/JP2020061994A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7123350B2 publication Critical patent/JP7123350B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物から、簡便に微生物を回収できる微生物回収方法を提供することを課題とする。【解決手段】微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物と、発光性カーボンナノワイヤとを接触させて、回収阻害因子と発光性カーボンナノワイヤとの会合体を得る工程と、対象物から微生物、及び、会合体からなる群より選択される少なくとも一方を分離する工程と、を有する微生物回収方法。【選択図】なし

Description

本発明は、微生物回収方法、発光性カーボンナノワイヤの製造方法、及び、発光性カーボンナノワイヤに関する。
微生物を含有する対象物から、生死にかかわらず微生物を高収率かつ選択的に回収する方法が求められている。なかでも、対象物中における状態を反映したまま微生物を回収する方法が特に求められている。
従来、対象物から取得した微生物を集積培養して、結果として微生物を選択的に回収する方法が知られているが、上記の方法では培養可能な状態の微生物しか回収できず、また、得られた微生物が対象物中における状態を反映しているか不明であった。
上記の課題を解決する方法として、特許文献1には、「酸性発酵乳を含む検体からの対象微生物回収方法であって、以下のa)〜c)の工程を含み、かつ、工程b)は工程a)の後に施すことを特徴とする微生物の回収方法。a)検体のpHを5.4以上に調整する工程、b)検体を遠心分離する工程、およびc)検体もしくは対象微生物を含む画分に、高分子有機物分解酵素を加え回収阻害因子を分解する工程。」が記載されている。
特開2015−116140号公報
本発明者らは、微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物から、微生物、及び/又は、回収阻害因子を分離し、結果として、微生物を回収する微生物回収方法について検討したところ、特許文献1の方法は、pHの調整、及び、回収阻害因子の分解等を行わなければならず、操作が依然として煩雑であるという課題を有していることを知見した。
そこで、本発明は、微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物から、pHの調整をしなくても、及び/又は、回収阻害因子を分解しなくても、言い換えれば、より簡便に微生物を回収できる微生物回収方法を提供することを課題とする。また、本発明は、発光性カーボンナノワイヤの製造方法、及び、発光性カーボンナノワイヤを提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[1] 微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物と、発光性カーボンナノワイヤとを接触させて、上記回収阻害因子と上記発光性カーボンナノワイヤとの会合体を得る工程と、上記対象物から上記微生物、及び、上記会合体からなる群より選択される少なくとも一方を分離する工程と、を有する微生物回収方法。
[2] 上記発光性カーボンナノワイヤは、発光性ナノカーボンを固結させてなる[1に記載の微生物回収方法。
[3] 上記発光性カーボンナノワイヤは、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射する、[1]又は[2]に記載の微生物回収方法。
[4] 上記対象物が酸性発酵乳である、[1]〜[3]のいずれかに記載の微生物回収方法。
[5] 上記回収阻害因子がタンパク質である、[1]〜[4]のいずれかに記載の微生物回収方法。
[6] 炭素源化合物、窒素源化合物、及び、水を含有する原料溶液を加熱して、発光性ナノカーボンを得る工程と、ワイヤ状の開孔を有する部材の上記開孔内に、上記発光性ナノカーボンと、溶媒とを含有する組成物を配置する工程と、上記開孔内に配置された上記組成物に含有される上記溶媒の少なくとも一部を除去して、上記発光性ナノカーボンを固結させ、発光性カーボンナノワイヤを合成する工程と、上記部材と上記発光性カーボンナノワイヤとを分離する工程と、を有する、発光性カーボンナノワイヤの製造方法。
[7] 発光性ナノカーボンを固結させてなり、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射する、発光性カーボンナノワイヤ。
本発明によれば、微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物から、pHの調整をしなくても、及び/又は、回収阻害因子を分解しなくても、言い換えれば、より簡便に微生物を回収できる微生物回収方法を提供することができる。本発明は、発光性カーボンナノワイヤの製造方法、及び、発光性カーボンナノワイヤを提供することもできる。
発光性カーボンナノワイヤの走査型電子顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤの走査型電子顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤの走査型電子顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤの蛍光顕微鏡像である。 発光性ナノカーボンの蛍光スペクトルである。 発光性カーボンナノワイヤの蛍光スペクトルである。 360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際の蛍光スペクトルの比較を示した。破線は発光性ナノカーボン、実線は発光性カーボンナノワイヤを示している。 市販ヨーグルト試料の光学顕微鏡(ニコンインステック社製「FN−1」)像である。 発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料の混合物の蛍光顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料の混合物の光学顕微鏡像である。 市販ヨーグルト試料の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の蛍光顕微鏡像である。 市販ヨーグルト試料の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の光学顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料との混合物の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の蛍光顕微鏡像である。 発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料との混合物の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の光学顕微鏡像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[微生物回収方法]
本発明の実施形態に係る微生物回収方法(以下、単に「本方法」ともいう。)は、微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物と発光性カーボンナノワイヤとを接触させて、上記回収阻害因子と上記発光性カーボンナノワイヤとの会合体を得る工程と、上記対象物から上記微生物、及び、上記会合体からなる群より選択される少なくとも一方を分離する工程と、を有する微生物回収方法である。
本方法により本発明の課題が解決できる機序は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のとおり推測している。なお、以下の機序は推測であり、以下の機序以外の機序により本発明の課題が解決される場合であっても本発明の範囲に含まれるものとする。
本方法は、回収阻害因子と発光性カーボンナノワイヤとを接触させてこれらを会合させ会合体を得て、回収対象の微生物と上記会合体との間で質量、粒子径、及び、密度からなる群より選択される少なくとも1種の差を大きくし、常法によって(例えば自然沈降、及び、遠心分離等によって)会合体と微生物とを分離し、結果として微生物を回収する方法である。
なお、本明細書において、典型的には回収阻害因子とは、微生物を吸着したり、微生物とともに凝集物を形成する等して、対象物中の微生物の回収を阻害する要素であり、その具体例は後述する。
本発明者らは、一般的に、対象物中には、遊離状態の微生物はあまり含有されておらず、その多くは回収阻害因子に吸着され、及び/又は、会合していることが多く、これが微生物の回収を困難にしている要因であること知見している。
本発明者らは、回収阻害因子から微生物を遊離させることができれば、回収阻害因子と微生物との質量、粒子径、及び、密度からなる群より選択される少なくとも1種の差により、常法により分離回収可能であるという発想に基づき、微生物、又は、回収阻害因子と特異的な相互作用を有する材料を鋭意探索してきた。
そのような中、発光性カーボンナノワイヤが、予想外に回収阻害因子との間に強い相互作用を有し、選択的に回収阻害因子を凝集させる機能を有すること発見した。しかも、発光性カーボンナノワイヤは、回収阻害因子に吸着していた、又は、回収阻害因子と会合していた微生物を回収阻害因子から遊離させる機能も有していることを発見した。本発明者らは上記発見に基づき検討を重ねた結果、本発明の完成に至ったものである。以下では本微生物回収方法の各工程について詳述する。
〔会合体形成工程〕
本方法は、微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物と発光性カーボンナノワイヤとを接触させて、上記回収阻害因子と上記発光性カーボンナノワイヤとの会合体を得る工程(以下、「会合体形成工程」ともいう。)を有する。
対象物と発光性カーボンナノワイヤとを接触させる方法としては特に制限されないが、典型的には、対象物に発光性カーボンナノワイヤを加える方法、及び、発光性カーボンナノワイヤに対象物を加える方法等が挙げられる。
すでに説明したとおり、対象物と発光性カーボンナノワイヤとを接触させると、発光性カーボンナノワイヤは回収阻害因子との特異的な相互作用により、会合体を形成するものと推測される。そしてそれに合わせて回収阻害因子からは回収阻害因子と会合していた微生物が遊離するものと推測される。
発光性カーボンナノワイヤは、一般に、その表面にカルボニル基、及び、水酸基等の相互作用性基を有していると考えられる。このような相互作用性基は、水素結合を介して、回収阻害因子(後述するが、例えば、セルロース等の天然高分子、及び、表面に糖鎖構造を有する細胞)へと結合しやすいものと推測される。
更に、発光性カーボンナノワイヤは、その表面に沿って複数の相互作用性基からなる水素結合が可能な領域(部位)を有するため、同様の領域を有する粒子径が大きい生体分子(回収阻害因子)との相互作用がより強まるものと推測される。
例えば、典型的な回収阻害因子である球状のカゼインミセルにおいては、表面にκカゼインが局在し、そのC末端側に結合している糖鎖がミセル表面に露出していると言われている。従って、上記カゼインミセル表面に存在する糖鎖に対して、発光性カーボンナノワイヤが優先的に結合しやすいものと推測される。
これにより、発光性カーボンナノワイヤと回収阻害因子(例えばカゼインミセル、具体的には後述する。)とが巨大な凝集体ネットワークを形成すると共に、回収阻害因子に接着した微生物を遊離させ、結果として、生死に関わらず微生物の回収が容易になるものと推測される。
<対象物>
本方法の対象物としては、後述する微生物、及び、回収阻害因子を含有していれば特に制限されない。対象物としては、例えば、飲食品;家畜の飼料;ペットフード;土壌;水(地下水、及び、表流水等);ヒト又は動物の臓器、血液、皮膚、及び、糞便等;化粧品;医薬品;等が挙げられる。
飲食品としては特に制限されず、微生物を含有することが明らかな食品(例えば発酵食品)であってもよいし、微生物を含有することが不明である食品であってもよいが、発酵食品が好ましい。
発酵食品としては、例えば、納豆、醤油、味噌、テンペ、及び、パン等の穀物加工品;鰹節、塩辛、くさや、鮒ずし、及び、漁醤等の魚介類加工品;漬物、ピクルス、キムチ、ザーサイ、メンマ、及び、ザワークラウト等の野菜類加工品;ヨーグルト、及び、チーズ等の発酵乳;清酒、ワイン、及び、ビール等の酒類;酢;等が挙げられる。
また、より微生物の回収を容易にするため、対象物は、溶媒を更に含有していてもよい。溶媒としては典型的には、水が挙げられる。すなわち、対象物として上記の食品等を水で希釈したものも含まれる。
なかでもより優れた本発明の効果が得られる点で、対象物としては発酵乳を含有する飲食品組成物が好ましく、酸性発酵乳を含有する飲食品組成物がより好ましい。なお、本明細書において酸性発酵乳を含有する飲食品組成物とは、発酵乳そのものか、又は、発酵乳を含有し、そのpHが5.4未満であるものを意味する。酸性発酵乳としては特に制限されないが、pHが5.3以下であることが好ましく、pHが3.0〜5.2であることがより好ましく、pHが3.4〜5.2であることが更に好ましい。
なお、上記対象物は後述する微生物を含有するが、上記微生物は、コロニーを形成可能なもの(以下「生菌」ともいう。)と、コロニーを形成する機能を失ったもの、又は、その機能を持たないもの(以下、「死菌」ともいう。)とを包含してもよい。また、微生物は、死菌のみであってもよい。本微生物回収方法は、上記のいずれにも適用でき、特に、生菌を含有する対象物に適用することが好ましい。
<微生物>
本方法において回収の対象となる微生物は特に制限されないが、菌類、及び、細菌類等が挙げられる。微生物としては特に制限されないが、具体的には、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・コリニフォルミス、ラクトバチルス・ガセリ、ラクトバチルス・ゼアエ、ラクトバチルス・ジョンソニー、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.デルブルッキィ、及び、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ.ブルガリカス等のラクトバチルス属細菌;ストレプトコッカス・サーモフィルス等のストレプトコッカス属細菌;ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・プランタラム、及び、ラクトコッカス・ラフィノラクチス等のラクトコッカス属細菌;ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・メセンテロイデス サブスピーシーズ.クレモリス、及び、ロイコノストック・ラクチス等のロイコノストック属細菌;エンテロコッカス・フェーカリス、及び、エンテロコッカス・フェシウム等のエンテロコッカス属細菌;等の乳酸菌が挙げられる。
また、微生物としては、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ビフィドバクテリウム・アニマリス、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス、ビフィドバクテリウム・アンギュラータム、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム、及び、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム等のビフィドバクテリウム属細菌;等も挙げられる。
また、微生物としては、サッカロマイセス・セルビシエ等のサッカロマイセス属;シゾサッカロマイセス属;等の酵母も挙げられる。
微生物としては特に制限されないが、回収率、生菌の生存率、及び、コロニー形成能の維持等の点からは乳酸菌が好ましく、特にラクトバチルス属細菌が好ましい。
なお、対象物は、微生物の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併せて含有していてもよい。
<回収阻害因子>
本明細書において、「回収阻害因子」とは、典型的には、対象物に含有される夾雑物の一種であり、対象物から微生物を回収しようとする際、微生物と、その他の夾雑物との分離を妨げる物質を意味する。なお、回収阻害因子が微生物の回収を妨げる機序としては、回収阻害因子が回収対象となる微生物に直接作用してその分離、回収を妨げる場合;回収阻害因子の存在により夾雑物が対象微生物の画分に残存し、精製度が低下する場合;等が挙げられる。なかでも、より優れた本発明の効果が得られやすい点で、回収対象の微生物を吸着し、及び/又は、回収対象の微生物と会合する回収阻害因子が好ましい。
より具体的には、回収阻害因子としては、タンパク質、糖質、及び、脂質からなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、タンパク質がより好ましい。
<発光性カーボンナノワイヤ>
本明細書において、発光性カーボンナノワイヤとは、グラフェン、及び、炭素繊維等とは異なり、自身が発光性を有し、主成分として炭素原子を含有するものである。なお、主成分とは、X線光電子分光法を用いて検出される全原子に対するその原子の含有量の含有原子数比が70atm%以上であることを意味し、80atm%以上が好ましく、90atm%以上がより好ましい。
発光性カーボンナノワイヤの形状としては特に制限されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、長さは1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。また、幅は0.01〜0.7μmが好ましく、0.05〜0.5μmがより好ましい。
なお、上記「長さ」は、発光性カーボンナノワイヤを走査型電子顕微鏡で観察したとき、50本の発光性カーボンナノワイヤの長径の算術平均を意味する。また、「幅」は、同様の方法で観察したとき50本の発光性カーボンナノワイヤの短径の算術平均を意味する。
発光性カーボンナノワイヤのとしては特に制限されないが、より優れた本発明の効果が得られる点で、幅に対する長さの比(長さ/幅)が、1.4〜2000が好ましく、2〜300がより好ましく、5〜100が更に好ましい。
発光性カーボンナノワイヤは主成分として炭素原子を含有してればよく、他の原子を含有していてもよい。他の原子としては特に制限されないが、水素、酸素、窒素、リン、硫黄、ナトリウム、カルシウム、カリウム、塩素、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、フッ素、ヨウ素、セレン、ケイ素、及び、ホウ素等が挙げられ、なかでも、水素、酸素、窒素、リン、硫黄、及び、ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、水素と、酸素、窒素、リン、硫黄、及び、ホウ素からなる群より選択される少なくとも1種とを併せて含有することがより好ましい。
なお、発光性カーボンナノワイヤは他の原子の1種を単独で含有してもよく、2種以上を併せて含有していてもよい。発光性カーボンナノワイヤ中に含有される他の原子の含有量は、すでに説明した主成分の測定方法と同様の方法により測定できる。
発光性カーボンナノワイヤの光学特性としては特に制限されず、発光性を有していればよい。中でもより優れた本発明の効果が得られる点で、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することが好ましく、510〜600nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することがより好ましく、510〜570nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することが更に好ましい。
また、発光性カーボンナノワイヤは、450〜490nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、580〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することも好ましく、550〜630nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することもより好ましい。
また、発光性カーボンナノワイヤは、510〜560nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、600〜700nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することも好ましい。
また、発光性カーボンナノワイヤは、590〜660nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、650〜750nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することも好ましい。
発光性カーボンナノワイヤは、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射し、450〜490nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、580〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射し、510〜560nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、600〜700nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射し、かつ、590〜660nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、650〜750nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射することが好ましい。
また、他の形態としては、発光性カーボンナノワイヤは、励起光の波長によらず略同様の波長の光を放射してもよい。
また、発光性カーボンナノワイヤは、発光性カーボンナノワイヤの光励起時の発光強度最大値を与える励起光波長が、360〜660nmであることが好ましく、400〜630nmであることがより好ましい。
発光性カーボンナノワイヤの発光スペクトルの半値幅(半値全幅)としては特に制限されないが、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に得られる発光スペクトルにおいて、120〜250nmが好ましく、130〜230nmがより好ましい。
発光性カーボンナノワイヤを360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際の発光性カーボンナノワイヤの色調としては特に制限されず、短波長側から、青〜緑〜黄〜橙〜赤のいずれであってもよいが、緑〜黄〜橙〜赤であることが好ましく、黄〜橙〜赤であることがより好ましく、橙〜赤であることが更に好ましい。
(発光性カーボンナノワイヤの製造方法)
発光性カーボンナノワイヤとしては、公知の製造方法で製造したものを使用することができる。発光性カーボンナノワイヤの製造方法としては特に制限されず、例えば、特開2015−67509号公報、及び、RSC Adv.,2018,8,12907等に記載の方法を用いることができ、上記方法は本明細書に組み込まれる。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、発光性カーボンナノワイヤとしては、発光性ナノカーボンを固結させてなる発光性カーボンナノワイヤが好ましい。本明細書において、固結とは、発光性ナノカーボンを加圧、又は、無加圧で、必要に応じて加熱して成形することを意味する。
発光性ナノカーボンとは、すすの中から発見された新規炭素ナノ材料であり、グラフェン、及び、他のナノカーボン材料等とは異なり、それ自体が発光性を有するという特徴がある。また、発光性ナノカーボンの炭素源化合物として用いられるのは有機分子であって、半導体量子ドットのように、硫化カドミウム(CdS)、及び、セレン化カドミウム(CdSe)等、毒性の高いカドミウム化合物、及び/又は、ユーロピウム等などの希少金属が原料として使用されることはない。このため、半導体量子ドットと比較して、より毒性が低いという特長を有する。
発光性ナノカーボンは、公知の方法で合成されたものを特に制限なく使用できる。発光性ナノカーボンの合成方法としては、例えば、気相中で合成したすすを化学処理する方法、液相中の反応を用いて発光性ナノカーボン合成する方法、及び、エレクトロスプレー(静電噴霧)によって合成した極微小液滴間の静電的相互作用を利用する方法等が挙げられる。
・発光性カーボンナノワイヤの製造方法の好適形態
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、発光性カーボンナノワイヤの製造方法としては、以下の工程をこの順に有することが好ましい。
炭素源化合物、窒素源化合物、及び、水を含有する原料溶液を加熱して、発光性ナノカーボンを含有する組成物を得る工程(以下「工程1」ともいう。)。
ワイヤ状の開孔を有する部材の上記開孔内に、上記組成物を配置する工程(以下、「工程2」ともいう。)。
上記開孔内に配置された上記組成物に含有される上記溶媒の少なくとも一部を除去して、発光性ナノカーボンを固結させ、発光性カーボンナノワイヤを合成する工程(以下、「工程3」ともいう。)。
上記部材と上記発光性カーボンナノワイヤとを分離する工程(以下「工程4」ともいう。)。
以下では、上記各工程について詳述する。
・工程1
工程1は、炭素源化合物、窒素源化合物、及び、水を含有する原料溶液を加熱して、発光性ナノカーボンを得る工程である。
本明細書において、炭素源化合物とは、得られる発光性カーボンナノワイヤにおける主成分である炭素原子を供給し得る化合物を意味する。
炭素源化合物としては特に制限されないが、例えば、有機酸、糖類、及び、アルコール類等が使用できる。有機酸としては、ヒドロキシ酸が好ましく、ヒドロキシ酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ガラクタル酸、キナ酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、及び、没食子酸等が挙げられる。
原料溶液は、炭素源化合物の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を併せて含有していてもよい。
より優れた本発明の効果が得られる点で、炭素源化合物としては、有機酸が好ましく、ヒドロキシ酸がより好ましく、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ガラクタル酸、キナ酸、グリセリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、及び、没食子酸からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本明細書において、窒素源化合物とは、得られる発光性カーボンナノワイヤに窒素原子を供給する化合物を意味する。窒素源化合物としては、例えば、芳香族アミン、脂肪族アミン、ヒドロキシアミン、ポリアミン、及び、複素環式アミン等のアミン化合物;尿素;等が挙げられる。
脂肪族アミンとしては、ヘキシルアミン、及び、N,N−ジメチルエチレンジアミン等のモノアミン;エチレンジアミン等のジアミン;等が挙げられる。
芳香族アミンとしては、アニリン、及び、フェニレンジアミン等が挙げられる。
なかでも、より優れた本発明の効果が得られる点で、窒素源化合物としては脂肪族アミンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。
原料溶液は、炭素源化合物と窒素源化合物と水とを含有していれば、他の成分を含有していてもよい。原料溶液の固形分としては特に制限されず、0.01〜99質量%であることが好ましい。
原料溶液を加熱する方法としては特に制限されないが、典型的には原料溶液を反応容器中に配置し、加熱する方法が挙げられる。このときの加熱温度としては特に制限されず、100〜500℃であることが好ましく、150〜400℃がより好ましく、200〜300℃が更に好ましい。
加熱は、密閉容器中で行ってもよく、この場合、加圧、及び、無加圧のいずれでもよく、反応容器中に原料溶液が均一に存在する条件において、すなわち、気液平衡よりも高い圧力とした均一状態の反応溶液(原料溶液)中において、炭素源化合物と窒素源化合物とを反応させることが好ましい。
本工程は、水を含有する原料溶液中で炭素源化合物と窒素源化合物とを必要に応じて加圧下で加熱して発光性ナノカーボンを得るものであり、言い換えれば、発光性ナノカーボンを水熱合成する工程である。
・工程2
工程2は、ワイヤ状の開孔を有する部材の上記開孔内に、発光性ナノカーボンと、溶媒とを含有する組成物を配置する工程である。
溶媒としては特に制限されず、発光性ナノカーボンを分散可能な溶媒であればよく、例えば、水、有機溶媒、及び、これらの混合物が挙げられる。
有機溶媒としては特に制限されず、公知の有機溶媒が使用でき、中でも、水溶性有機溶媒が好ましい。水溶性有機溶媒としては特に制限されないが、アルコール系溶媒等が挙げられる。
組成物を得る方法としては特に制限されないが、典型的には、発光性ナノカーボンに溶媒を加え、公知の方法により分散させる方法が挙げられる。
組成物中における発光性ナノカーボンの含有量としては特に制限されないが、開孔内に組成物をより配置しやすい点で、90質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。また、下限値としては特に制限されないが、一般に1質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
本工程において使用する部材は、ワイヤ状の開孔を有し、発光性カーボンナノワイヤの合成における「鋳型」として機能するものである。
部材としてはワイヤ状の開孔を有していれば特に制限されないが、陽極酸化アルミナ膜等を使用可能である。
なお、開孔の形状としては特に制限されず、所望の発光性カーボンナノワイヤの形状に応じて任意に選択されればよく、細孔径としては、例えば、5〜450nmであってもよい。
また、部材の厚みとしては特に制限されないが、開孔内に組成物を配置するのがより容易な点で、10〜100μmが好ましい。
本明細書において、開孔とは、孔の少なくとも一端が部材の表面に対して開いているものを意味し、具体的には、溝型、袋小路型、環状型、くぼみ型、連続型、及び、これらを組み合わせたものが挙げられる。なかでも、組成物を開孔内により配置しやすい点で、開孔は、連続型、すなわち、孔の両端が部材の表面に対して開いたものが好ましい。また、開孔は、部材の一方の表面に配置された開口部と、上記開口部に連続した筒状の胴部が部材の一方の表面から他方の表面に向かう方向(部材の厚み方向)に沿って延在し、その終端に連続して、部材の他方の表面に他方の開口部が配置されていることがより好ましい。
開孔内に部材を配置する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。なかでも、より容易に開孔内に組成物を配置できる点で、部材に組成物を含浸させて一定時間保持する方法(毛細管現象を用いる方法)が好ましい。このとき、保持する時間を調整することにより、得られる発光性カーボンナノワイヤの形状(典型的には長さ等)を調整することができる。
・工程3
工程3は、開孔内に配置された組成物に含有される溶媒の少なくとも一部を除去して、発光性ナノカーボンを固結させ、発光性カーボンナノワイヤを合成する工程である。
組成物から溶媒を除去する方法としては特に制限されず、減圧、及び/又は、加熱する方法等が挙げられる。
本工程により、発光性ナノカーボン同士が固着し、開孔の形状に応じた形状を有する発光性カーボンナノワイヤが合成される。
加熱する場合、加熱温度としては特に制限されないが、200℃以上が好ましく、270〜350℃がより好ましい。加熱により、発光性ナノカーボンの同士の界面の少なくとも一部において発光性ナノカーボン同士が融着し、より優れた安定性を有する発光性カーボンナノワイヤが得られる。
なお、発光性カーボンナノワイヤの安定性は、後述する実施例に記載した方法により測定される発光性カーボンナノワイヤの物性である。
また、加熱温度が350℃以下であると、発光性ナノカーボンの分解がより抑制され、発光性カーボンナノワイヤの収率がより向上する。
加熱時間としては特に制限されないが、一般に1分〜24時間程度が好ましい。加熱方法としては特に制限されないが、液体中(例えば、有機溶媒中)で行ってもよいし、空気中で行ってもよいし、不活性ガス中で行ってもよい。
・工程4
工程4は、上記部材と上記発光性カーボンナノワイヤとを分離する工程である。
部材から発光性カーボンナノワイヤを分離する方法としては特に制限されないが、典型的には、部材を分解して、発光性カーボンナノワイヤを取り出す方法が好ましい。部材を分解する方法としては特に制限されないが、部材に熱、及び/又は、光によりをエネルギ付与して分解する方法、及び、部材を溶媒に浸漬させて、溶解させる方法等が挙げられる
なかでも、より容易に発光性カーボンナノワイヤを分離できる点で、部材を溶媒に浸漬させて、溶解させる方法が好ましい。
使用する溶媒は、発光性カーボンナノワイヤを溶解しにくく、部材をより溶解させやすいものを、部材の材料成分に応じて適宜選択すればよい。典型的には、部材が陽極酸化アルミナである場合には、水酸化ナトリウム水溶液等を使用できる。
〔分離工程〕
本発明の実施形態に係る微生物回収方法は、対象物から微生物、及び、会合体からなる群より選択される少なくとも一方を分離する工程と、を有する。
すでに説明したとおり、対象物中においては、回収阻害因子と、発光性カーボンナノワイヤとが会合体を形成しており、遊離した微生物との間で、質量、粒子径、及び、密度からなる群より選択される少なくとも1種に差が生じている。そのため、本工程においてはそれらを利用して両者を分離し、結果的に微生物を回収すればよい。
分離する方法としては特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、自然に会合体を対象物中において沈降させて、上清を回収する方法、及び、遠心分離して、上清を回収する方法等が挙げられる。上記の場合、上清には、対象物中の微生物が濃縮されている。
本方法によれば、pHの調整をしなくても、及び/又は、回収阻害因子を分解しなくても、言い換えれば、より簡便に対象物中の微生物がその生死に関わらず回収できる。なお、本発明の実施形態に係る発光性カーボンナノワイヤは、微生物回収用であることが好ましい。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
〔発光性ナノカーボンの合成〕
1.0gのクエン酸、384μLの1,2−エチレンジアミンを混合し、1mLの超純水に溶解させ原料溶液を調製した。次に、原料溶液をガラスチューブオーブン内に密閉し、240℃で30分間加熱したところ、赤褐色で泡状の固体(発光性ナノカーボン、収量0.9〜1g)が得られた。
〔発光性カーボンナノワイヤの合成〕
上記で得られた発光性ナノカーボンを超純水に分散させ、発光性ナノカーボンの含有量が20質量%となるように調整し、組成物を得た。上記組成物を、商品名「アノポア(陽極酸化アルミナ膜、連続孔を有し、細孔径200nm、膜厚は65μmである、部材に該当する)」に含浸させ、60分間維持した。
次に、上記部材を空気雰囲気で、300℃、2時間加熱し、その後、上記部材を3Mの水酸化ナトリウム水溶液に溶解させて、溶解液を得た。次に、上記溶解液を超純水中で3000rpmで3回遠心分離して発光性カーボンナノワイヤを得た。
図1は、走査型電子顕微鏡像であり、図中、黒色に見えるのが発光性カーボンナノワイヤである。図2、及び、図3は、図1の視野内の一部拡大図である。また、図4は、発光性カーボンナノワイヤの蛍光顕微鏡像であり、図中、黒く見える部分は、橙色に蛍光した発光性カーボンナノワイヤを示している。
図5には、上記で合成した発光性ナノカーボンの蛍光スペクトルを示した。図5において、横軸は励起/蛍光波長(nm)を表し、縦軸は蛍光強度を示している。発光性ナノカーボンは、360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際、490nmに発光ピークを有する光を放射(蛍光)することがわかる。このとき、発光性ナノカーボンの蛍光は青色であった。
同様に、450〜490nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、570nmに発光ピークを有する光を放射し、510〜560nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、600nmに発光ピークを有する光を放射し、590〜660nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、675nmに発光ピークを有する光を放射した。
また、360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際の蛍光スペクトルの半値全幅は、100nmであった。
図6には、上記で合成した発光性カーボンナノワイヤの蛍光スペクトルを示した。図6において、横軸は励起/蛍光波長(nm)を表し、縦軸は蛍光強度を示している。発光性カーボンナノワイヤは、360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際、520nmに発光ピークを有する光を放射(蛍光)することがわかる。このとき、発光性ナノカーボンの蛍光は橙色であった。
同様に、450〜490nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、595nmに発光ピークを有する光を放射し、510〜560nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、600nmに発光ピークを有する光を放射し、590〜660nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際には、670nmに発光ピークを有する光を放射した。
また、360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際の蛍光スペクトルの半値全幅は、160nmであった。
図7には、360〜420nmの波長範囲に発光ピークを有する励起光で励起した際の蛍光スペクトルの比較を示した。破線は発光性ナノカーボン、実線は発光性カーボンナノワイヤを示している。
図7からわかるように、発光性カーボンナノワイヤは、発光ピークが長波長側にシフトし、よりブロードであることがわかった。その結果、発光性ナノカーボンの蛍光の色調は青色であるのに対し、発光性カーボンナノワイヤの蛍光の色調は橙色であった。
〔発光性ナノカーボンの安定性評価〕
比較として、RSC Adv.,2018,8,12907のScheme1に記載された方法によってカーボンナノワイヤを合成した。
発光性カーボンナノワイヤと、上記比較カーボンナノワイヤを一晩超純水に浸漬したところ、上記比較カーボンナノワイヤは溶解し始めた一方、発光性カーボンナノワイヤは溶解せず、より優れた安定性を有していることがわかった。
また、工程3における加熱温度を240℃(12時間)とにしたものと比較して、加熱温度を270℃(2時間)とした場合、得られる発光性カーボンナノワイヤはより優れた安定性を有していた。
〔微生物回収試験〕
試料としてヨーグルト(酸性発酵乳に該当する)を準備し、超純水により10倍に希釈して希釈液を得た。次に、上記希釈液の1mLを2000rpm、3分間遠心分離し、上清を除去し、沈殿物に超純水の1mLを加え、再分散させて分散液を得た。
次に、上記分散液の100μLに、発光性カーボンナノワイヤの水分散液(発光性カーボンナノワイヤの含有量:0.0047質量%)の10μLを加えて、撹拌して混合液を得た。次に、上記混合液を遠心分離し、上清を得た。
〔評価〕
図8は、市販ヨーグルト試料の光学顕微鏡(ニコンインステック社製「FN−1」)像である。図8によれば、遊離した乳酸菌(a)は少なく、多くはカゼインミセルの集合体に結合している(b)。
図9、及び、図10は、発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料の混合物の蛍光顕微鏡像、及び、同視野の光学顕微鏡(いずれもニコンインステック社製「FN−1」)像である。遊離した乳酸菌(a)、発光性カーボンナノワイヤとカゼインミセルとの会合体(d)、及び、発光性カーボンナノワイヤ(c)を示している。
図11、及び、図12は、市販ヨーグルト試料の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の蛍光顕微鏡像、及び、同視野の光学顕微鏡(いずれもニコンインステック社製「FN−1」)像である。遊離した乳酸菌は少なく、多くはカゼインミセルの集合体と一緒に沈殿しているため、画像にはほとんど見えていない。
図13、及び、図14は、発光性カーボンナノワイヤと市販ヨーグルト試料との混合物の遠心分離後に得られた上澄み液(上清)の蛍光顕微鏡像、及び、同視野の光学顕微鏡(いずれもニコンインステック社製「FN−1」)像である。発光性カーボンナノワイヤとカゼインミセルとが会合体を形成し、乳酸菌が遊離された結果、上清に多くの遊離した乳酸菌が観察された。

Claims (7)

  1. 微生物、及び、回収阻害因子を含有する対象物と、発光性カーボンナノワイヤとを接触させて、前記回収阻害因子と前記発光性カーボンナノワイヤとの会合体を得る工程と、
    前記対象物から前記微生物、及び、前記会合体からなる群より選択される少なくとも一方を分離する工程と、を有する微生物回収方法。
  2. 前記発光性カーボンナノワイヤは、発光性ナノカーボンを固結させてなる請求項1に記載の微生物回収方法。
  3. 前記発光性カーボンナノワイヤは、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射する、請求項1又は2に記載の微生物回収方法。
  4. 前記対象物が酸性発酵乳である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微生物回収方法。
  5. 前記回収阻害因子がタンパク質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微生物回収方法。
  6. 炭素源化合物、窒素源化合物、及び、水を含有する原料溶液を加熱して、発光性ナノカーボンを得る工程と、
    ワイヤ状の開孔を有する部材の前記開孔内に、前記発光性ナノカーボンと、溶媒とを含有する組成物を配置する工程と、
    前記開孔内に配置された前記組成物に含有される前記溶媒の少なくとも一部を除去して、前記発光性ナノカーボンを固結させ、発光性カーボンナノワイヤを合成する工程と、
    前記部材と前記発光性カーボンナノワイヤとを分離する工程と、を有する、発光性カーボンナノワイヤの製造方法。
  7. 発光性ナノカーボンを固結させてなり、360〜420nmの波長範囲内に発光ピークを有する励起光で励起した際に、500〜650nmの波長範囲内に発光ピークを有する光を放射する、発光性カーボンナノワイヤ。
JP2018197366A 2018-10-19 2018-10-19 微生物回収方法、及び、微生物回収用発光性カーボンナノワイヤ Active JP7123350B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018197366A JP7123350B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 微生物回収方法、及び、微生物回収用発光性カーボンナノワイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018197366A JP7123350B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 微生物回収方法、及び、微生物回収用発光性カーボンナノワイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020061994A true JP2020061994A (ja) 2020-04-23
JP7123350B2 JP7123350B2 (ja) 2022-08-23

Family

ID=70386320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018197366A Active JP7123350B2 (ja) 2018-10-19 2018-10-19 微生物回収方法、及び、微生物回収用発光性カーボンナノワイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7123350B2 (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006524177A (ja) * 2003-03-07 2006-10-26 セルドン テクノロジーズ,エルエルシー ナノ物質による流体の浄化
JP2009506973A (ja) * 2005-09-01 2009-02-19 セルドン テクノロジーズ,インコーポレイテッド ナノ構造材料の大規模製造
JP2009518428A (ja) * 2005-12-08 2009-05-07 ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド 溶液からペプチド及びタンパク質試料を調製するための装置及び方法
JP2012046402A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Toyama Univ タンパク質−カーボンナノチューブ複合体およびカーボンナノチューブ分級・選別方法
JP2015116140A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 株式会社ヤクルト本社 微生物の回収方法
JP2015174945A (ja) * 2014-03-17 2015-10-05 国立大学法人金沢大学 発光性ナノカーボン製造方法および製造装置
JP2017043539A (ja) * 2015-08-25 2017-03-02 国立大学法人金沢大学 発光性ナノカーボン製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006524177A (ja) * 2003-03-07 2006-10-26 セルドン テクノロジーズ,エルエルシー ナノ物質による流体の浄化
JP2009506973A (ja) * 2005-09-01 2009-02-19 セルドン テクノロジーズ,インコーポレイテッド ナノ構造材料の大規模製造
JP2009518428A (ja) * 2005-12-08 2009-05-07 ウオーターズ・インベストメンツ・リミテツド 溶液からペプチド及びタンパク質試料を調製するための装置及び方法
JP2012046402A (ja) * 2010-08-30 2012-03-08 Toyama Univ タンパク質−カーボンナノチューブ複合体およびカーボンナノチューブ分級・選別方法
JP2015116140A (ja) * 2013-12-17 2015-06-25 株式会社ヤクルト本社 微生物の回収方法
JP2015174945A (ja) * 2014-03-17 2015-10-05 国立大学法人金沢大学 発光性ナノカーボン製造方法および製造装置
JP2017043539A (ja) * 2015-08-25 2017-03-02 国立大学法人金沢大学 発光性ナノカーボン製造方法

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"熱分解DNAナノファイバのフォトルミネセンス特性", 表面科学, vol. Volume 36, Number 7, JPN6022021948, 2015, pages 357 - 362, ISSN: 0004792163 *
DEENEY, C ET AL: "Templated microwave synthesis of luminescent carbon nanofibers", RSC ADVANCES, vol. 8, JPN7022002507, 6 April 2018 (2018-04-06), pages 12907 - 12917, ISSN: 0004839369 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP7123350B2 (ja) 2022-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Liu et al. Green synthesis of fluorescent carbon dots from carrot juice for in vitro cellular imaging
Mehta et al. One-step hydrothermal approach to fabricate carbon dots from apple juice for imaging of mycobacterium and fungal cells
CN108251108B (zh) 一种铁离子掺杂碳量子点的制备及得到的碳量子点与应用
Alam et al. Synthesis of carbon quantum dots from cabbage with down-and up-conversion photoluminescence properties: excellent imaging agent for biomedical applications
CN108165268B (zh) 一种铜离子掺杂碳量子点的制备及得到的碳量子点与应用
Huang et al. Facile and green synthesis of photoluminescent carbon nanoparticles for cellular imaging
Lin et al. Eco-friendly synthesis of shrimp egg-derived carbon dots for fluorescent bioimaging
Long et al. Optically active red-emitting Cu nanoclusters originating from complexation and redox reaction between copper (II) and D/L-penicillamine
CN108300462B (zh) 一种钙离子掺杂碳量子点的制备及得到的碳量子点与应用
Dubey et al. A simple one-step hydrothermal route towards water solubilization of carbon quantum dots from soya-nuggets for imaging applications
Malfatti et al. Atomic force microscopy reveals microscale networks and possible symbioses among pelagic marine bacteria
Zhao et al. Controllable acidophilic dual-emission fluorescent carbonized polymer dots for selective imaging of bacteria
CN108251107B (zh) 一种钴离子掺杂碳量子点的制备及得到的碳量子点与应用
Massaro et al. Photoluminescent hybrid nanomaterials from modified halloysite nanotubes
CN109456762B (zh) 一种多红光发射调谐全色碳点及其制备方法和应用
CN109468130B (zh) 一种金属掺杂的荧光碳量子点的制备方法
CN108865124A (zh) 一种n,p掺杂碳量子点、其制备方法及应用
Zhang et al. Carbon quantum dots: synthesis, characterization, and assessment of cytocompatibility
CN103803526A (zh) 一种荧光纳米碳点
JP2021522367A (ja) 発光ダイヤモンド材料およびそれを製造する方法
Barberio et al. Optical properties of TiO2 anatase–Carbon nanotubes composites studied by cathodoluminescence spectroscopy
JP7123350B2 (ja) 微生物回収方法、及び、微生物回収用発光性カーボンナノワイヤ
Dong et al. Labeling of human hepatocellular carcinoma cells by hexamethylene diamine modified fluorescent carbon dots
CN109722242B (zh) 一种乳杆菌来源的碳量子点及其制备方法
Quang et al. Hydrothermal synthesis of carbon nanodots from waste wine cork and their use in biocompatible fluorescence imaging

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210715

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220624

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220802

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7123350

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150