1.実施形態
1.1 概要
図1は、充電制御システム10を示す。充電制御システム10は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅の施設、又は、事務所、店舗若しくは介護施設等の非住宅の施設に導入され、これらの施設における移動体の蓄電池31の充電を制御する。
充電制御システム10は、蓄電池31の充電を制御するシステムである。充電制御システム10は、図1及び図2に示すように、機器制御装置1と、充電システム2とを含む。充電システム2は、図1に示すように、通電制御部(制御部)22と、第2通信部(通信部)21と、を備える。通電制御部22は、接続部27に接続された蓄電池31の充電を許可する第1モードと蓄電池31の充電を許可しない第2モードとを有する。第2通信部21は、外部装置である機器制御装置1と通信する。通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができない状態では、第1モードを選択する。
以上述べた充電システム2は、外部装置(機器制御装置1)との通信ができない状態であっても、積極的に第1モードを選択することで、蓄電池31の充電を許可する。そのため、外部装置の故障等の不具合により外部装置との通信ができない場合であっても、ユーザは、充電システム2を利用して蓄電池31の充電を行える。したがって、本実施形態の充電システム2によれば、外部装置との通信状態によらずに、蓄電池31の充電が可能になる。また、本実施形態の充電システム2の利便性も向上する。
1.2 詳細
1.2.1 充電制御システム
充電制御システム10は、図2に示すように、戸建住宅である住宅H1に導入されている。充電制御システム10は、住宅H1に付設されているガレージに駐車されている車両3の蓄電池31の充電に用いられる。蓄電池31は、車両3の動力源として用いられる。
車両3は、移動体であって、動力源としての蓄電池31から出力される電気エネルギ(電力)を、電動機等で機械エネルギ(駆動力)に変換し、この機械エネルギを利用して移動する。この種の移動体においては、蓄電池31に蓄積されている電気エネルギは、移動体の移動に伴って消費するため、移動体を継続的に使用するためには、随時、蓄電池31の充電が必要となる。車両3は、少なくとも蓄電池31を有し、蓄電池31に蓄積された電気エネルギを用いて走行する電動車両である。本開示でいう「電動車両」は、例えば、電動機の出力によって走行する電気自動車、又はエンジンの出力と電動機の出力とを組み合わせて走行するプラグインハイブリッド車等である。また、電動車両は、シニアカー、二輪車(電動バイク)、三輪車又は電動自転車等であってもよい。車両3は、蓄電池31に加えて、充電回路32を更に有している。充電回路32は、充電設備2から電力の供給を受けて、蓄電池31の充電を実行する回路である。
充電制御システム10は、図1及び図2に示すように、機器制御装置1と、充電システム2と、を備えている。言い換えれば、機器制御装置1は、充電システム2と共に充電制御システム10を構成している。本実施形態では、機器制御装置1と充電システム2とが互いに連携して、充電制御システム10としての機能を実現する。
そのため、機器制御装置1と充電システム2とは互いに通信可能に構成されている。本開示において「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。すなわち、機器制御装置1と充電システム2とは、互いに情報を授受することができる。本実施形態では、機器制御装置1と充電システム2とは、互いに双方向に通信可能であって、機器制御装置1から充電システム2への情報の送信、及び充電システム2から機器制御装置1への情報の送信の両方が可能である。
機器制御装置1は、住宅H1の内部に設置されている。機器制御装置1は、少なくとも充電システム2を含む、種々の制御対象となる機器(設備を含む)を制御する装置である。機器制御装置1は、少なくとも充電システム2に対しては、充電の開始を指示するための「充電指令」、及び充電の停止を指示するための「停止指令」を出力することで、充電システム2を制御し、充電システム2による蓄電池31の充電を制御する。
充電システム2は、住宅H1の外壁又は支柱等に取り付けられることにより、住宅H1の外部(屋外)に設置されている。充電システム2には、充電ケーブル8が電気的に接続されている。充電ケーブル8は、その先端部にプラグ81を有している。プラグ81は、車両3に対して取外し可能に接続される。充電システム2は、プラグ81が車両3に接続されている状態で、充電ケーブル8を介して車両3と電気的に接続されるので、充電ケーブル8を介して車両3に電力を供給可能になり、蓄電池31の充電が可能になる。
充電制御システム10では、機器制御装置1は、充電設備2以外の種々の機器(設備を含む)を制御可能である。具体的には、機器制御装置1は、図2に示すように、住宅H1に設置されている分電盤61、照明器具及び空調機器等の電気機器からなる負荷62、及び太陽光発電設備7と通信可能に構成されている。ここでは、機器制御装置1は、ルータ64に接続されており、分電盤61及び負荷62等と、直接的に又はルータ64を介して間接的に通信する。これにより、機器制御装置1は、負荷62の状態(例えば、照明器具であれば点灯/消灯等)に関する情報を負荷62から取得したり、負荷62を制御するための情報を負荷62に送信したりすることが可能である。
分電盤61には、充電システム2が電気的に接続されており、負荷62が更に電気的に接続されている。また、分電盤61には、商用電源等の電力系統63、及び太陽光発電設備7が更に電気的に接続されている。これにより、分電盤61は、電力系統63又は太陽光発電設備7から供給される電力を、充電システム2、及びその他の負荷62に供給することが可能である。
太陽光発電設備7は、太陽電池71に加えて、蓄電装置72及びパワーコンディショナ73を有している。太陽電池71は、太陽電池71に対する日射量に応じた電力を、発電電力として出力する。蓄電装置72は、太陽電池71の発電電力、及び電力系統63からの供給される電力を蓄積可能に構成されている。蓄電装置72は、蓄電装置72に蓄積された電力(電気エネルギ)を放電電力として出力する。パワーコンディショナ73は、太陽電池71の発電電力、又は蓄電装置72の放電電力を、交流電力に変換して分電盤61に出力する。これにより、太陽光発電設備7から出力される電力は、分電盤61を介して、充電システム2、及びその他の負荷62に供給可能となる。
分電盤61は、電力系統63からの供給電力、太陽光発電設備7からの供給電力、及び負荷62等(充電設備2及び太陽光発電設備7を含む)での消費電力等を、電流センサ等により計測する機能を有している。そのため、機器制御装置1は、分電盤61との通信により、電力系統63からの供給電力、太陽光発電設備7からの供給電力、及び負荷62等での消費電力等に関する情報を、分電盤61から適宜取得可能である。
また、機器制御装置1は、ルータ64を介して、インターネット等のネットワーク65に接続されている。これにより、機器制御装置1は、ルータ64を介して情報端末41と通信可能であり、ルータ64及びネットワーク65を介して情報端末42と通信可能になる。情報端末41は住宅H1内にあるスマートフォン又はタブレット端末等の端末であって、情報端末42は住宅H1外にあるスマートフォン又はタブレット端末等の端末である。以下、情報端末41,42を特に区別しない場合には、これら情報端末41,42をまとめて単に「情報端末4」という。ネットワーク65には、サーバ5が更に接続されている。これにより、機器制御装置1は、情報端末4及びサーバ5と通信可能になる。
1.2.2 機器制御装置
機器制御装置1は、充電システム2と共に充電制御システム10を構成しているのであって、充電制御システム10の一部である。機器制御装置1は、図1に示すように、通信部(第1通信部)11、設定部12、制御部13、表示制御部14、入力インタフェース15、表示部16及び外部通信部17を有している。
機器制御装置1は、1以上のメモリ及び1以上のプロセッサを含むコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、機器制御装置1の各部(設定部12、制御部13及び表示制御部14)の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第1通信部11は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、充電システム2と通信する。第1通信部11と充電システム2との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、第1通信部11と充電システム2との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信である。第1通信部11と充電システム2との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、又はECHONET Lite(登録商標)等である。
設定部12は、充電スケジュールを設定する機能を有している。充電スケジュールは、時間帯ごとの動作状態を規定するスケジュールである。設定部12にて設定された充電スケジュールは、機器制御装置1のメモリ、又はサーバ5等に記憶される。設定部12は、充電スケジュールの少なくとも一部の時間帯における動作状態を、複数の状態の中から選択可能である。ここでいう複数の状態は、充電状態と、停止状態と、を含んでいる。充電状態は、蓄電池31を充電する状態である。停止状態は、蓄電池31を充電しない状態である。
また、設定部12は、ユーザの操作を受け付ける入力インタフェース15からの操作信号に基づいて、充電スケジュールを設定する。すなわち、設定部12は、入力インタフェース15から出力される操作信号に基づいて充電スケジュールを設定することにより、ユーザにおいては充電スケジュールを手動で設定可能となる。本開示でいう「ユーザ」は、充電制御システム10を使用する人であって、一例として、住宅H1の住人であって、かつ車両3の使用者である。ここで、ユーザは1人に限らず、複数人であってもよい。例えば、住宅H1の住人が複数人であって、車両3の使用者が1人である場合に、住宅H1の複数人の住人のうち、車両3の使用者以外の住人も、ユーザとなり得る。なお、設定部12は、例えば、電気料金プラン、ユーザの行動パターン(生活パターンを含む)及び車両3の使用計画等の情報に従って、自動的に充電スケジュールを設定してもよい。
制御部13は、蓄電池31の充電を制御する機能を有している。制御部13は、設定部12にて設定された充電スケジュールに従って、蓄電池31の充電を制御する。つまり、制御部13は、充電スケジュールで規定されている時間帯ごとに、充電状態と停止状態とを含む複数の状態のうちのいずれかの動作状態で動作し、蓄電池31の充電を制御する。言い換えれば、充電スケジュールにより、いずれかの動作状態が時間帯ごとに割り当てられているため、各時間帯に割り当てられた動作状態に従って、制御部13が蓄電池31の充電を制御することになる。本実施形態では、実際に蓄電池31の充電を制御するのは、充電システム2であるので、制御部13は、充電システム2を制御することにより、間接的に蓄電池31の充電を制御する。
具体的には、制御部13は、少なくとも充電設備2に対して、充電の開始を指示するための「充電指令」、及び充電の停止を指示するための「停止指令」を出力することで、充電システム2を制御し、充電システム2による蓄電池31の充電を制御する。例えば、制御部13は、充電状態の時間帯には、充電指令を出力して蓄電池31を充電し、停止状態の時間帯には、停止指令を出力して蓄電池31の充電を停止する。
制御部13は、充電状態においては、蓄電池31を充電する。すなわち、充電スケジュールで充電状態が指定(選択)されている時間帯については、制御部13は、蓄電池31の充電を行う。また、制御部13は、停止状態においては、蓄電池31を充電しない。すなわち、充電スケジュールで停止状態が指定(選択)されている時間帯については、制御部13は、蓄電池31の充電を行わない。
表示制御部14は、種々の画面を表示部16に表示するための制御を行う。つまり、表示制御部14は、表示部16に表示させる画面を生成し、表示部16を制御することで種々の画面を表示部16に表示する。本開示でいう「画面」は、表示部16に映し出される画像(種々のオブジェクト及び文字等を含む)を意味する。表示制御部14は、表示部16に代えて又は表示部16と共に、情報端末4等の外部機器の表示部にこれらの画面を表示させてもよい。
入力インタフェース15は、ユーザの操作を受け付けて、ユーザの操作に応じた操作信号を出力する。本開示でいうユーザの「操作」は、タッチパネル若しくはメカニカルスイッチ等に対する操作、音声入力又はジェスチャ等による操作を含む。そのため、入力インタフェース15は、例えば、タッチパネルディスプレイ、メカニカルスイッチ、音声入力部又はカメラ等で実現される。または、入力インタフェース15は、情報端末4等の外部機器に対するユーザの操作を、外部機器との通信により間接的に受け付けてもよい。あるいは、入力インタフェース15は情報端末4等の外部機器に設けられていてもよい。
表示部16は、表示制御部14にて生成される画面を表示する。表示部16は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイで実現される。表示部16は、表示制御部14から出力される映像信号に従って画面を表示する。
本実施形態では、機器制御装置1はタッチパネルディスプレイを搭載しており、タッチパネルディスプレイが入力インタフェース15及び表示部16として機能する。ただし、入力インタフェース15は、タッチパネルディスプレイに限らず、例えば、キーボードやポインティングデバイス、メカニカルスイッチ等であってもよい。
外部通信部17は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報端末4及びサーバ5等の外部機器と通信する。本開示でいう「外部機器」は、充電制御システム10の構成要素に含まれない機器であって、一例として、情報端末4及びサーバ5以外に、分電盤61、負荷62及び太陽光発電設備7を含む。外部通信部17と外部機器との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、外部通信部17は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)又は免許を必要としない小電力無線(特定小電力無線)等の規格に準拠した、電波を通信媒体として用いる無線通信を採用する。
なお、充電制御システム10は、あくまで蓄電池31の充電を制御するだけであるので、動作状態の通りに、蓄電池31が充電されることは必須でない。例えば、充電状態の時間帯においては、充電制御システム10は、蓄電池31を充電するような制御を行うものの、例えば、蓄電池31が満充電である等、そもそも蓄電池31が充電できない状況にあるような場合には、当然ながら蓄電池31は充電されない。
1.2.3 充電システム
充電システム2は、充電設備であって、車両3(電動車両)の蓄電池31の充電に用いられる。充電設備には、大別して、普通充電と急速充電との2種類の設備がある。本実施形態では、充電システム2は、200V(又は100V)の単相交流の供給を受けて、蓄電池31の充電を行う普通充電用の充電設備である。また、普通充電のモードは、充電制御方式によって、「Mode1」、「Mode2」及び「Mode3」に分類される(IEC61851-1)。「Mode1」は、制御回路を持たない充電設備から車両に電力供給を行う方式である。「Mode2」は、充電ケーブルに制御回路を内蔵している方式である。「Mode3」は、充電設備に制御回路を内蔵している方式である。充電システム2は、「Mode3」の方式を採用していることとする。
充電システム2は、機器制御装置1と共に充電制御システム10を構成しているのであって、充電制御システム10の一部である。充電システム2は、図1に示すように、通信部(第2通信部)21、制御部(通電制御部)22、リレー23、保護回路24、車両通信部25、報知部26、及び接続部27を有している。
報知部26は、充電システム2の状態を報知するために用いられる。報知部26は、図3に示すように、4つの光源261〜264を含む。4つの光源261〜264は、互いに発光色が異なっている。一例として、光源261〜264の発光色は、緑色、赤色、黄色、青色である。光源261は、充電システム2が動作中であることを示すために利用される。光源262は、蓄電池31が充電中であることを示すために利用される。光源263は、充電システム2で異常が発生したことを示すために利用される。光源263は、機器制御装置1と連携中であることを示すために利用される。
接続部27は、プラグ81を有する充電ケーブル8が電気的に接続される接続端子を含む。接続部27は、充電ケーブル8のプラグ81を車両3に電気的に接続することで、蓄電池31に電気的に接続される。このように、充電システム2は、プラグ81が車両3に接続されている状態で、充電ケーブル8を介して車両3と電気的に接続される。これにより、充電システム2は、充電ケーブル8を介して、車両3(蓄電池31)に電力を供給可能になり、かつ車両3と通信可能になる。
リレー23は、蓄電池31への電力の供給路に挿入されている。具体的には、充電システム2のうち、分電盤61との接続端子(電源に接続される電源接続部)と、充電ケーブル8との接続端子(蓄電池31に接続される接続部27)と、の間にリレー23が挿入されている。これにより、リレー23がオン(導通状態)であれば、分電盤61と車両3との間が電気的に接続され、電力供給源(電力系統63又は太陽光発電設備7)から車両3(蓄電池31)への電力の供給が可能になる。一方、リレー23がオフ(遮断状態)であれば、分電盤61と車両3との間が電気的に切り離され、電力供給源(電力系統63又は太陽光発電設備7)から車両3(蓄電池31)への電力が供給されなくなる。リレー23は、通電制御部22によって制御可能であればよく、機械接点を有するメカニカルリレー、及び機械接点を有しない半導体リレーのいずれであってもよい。本実施形態では一例として、リレー23はメカニカルリレーにて実現されている。
保護回路24は、例えば、漏電又は過電流等の異常の検出時に、リレー23をオフすることにより、車両3及び充電制御システム10を保護する回路である。保護回路24は、リレー23とは別に、車両3への電力の供給を遮断する素子を有していてもよい。
車両通信部25は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、車両3と通信する。車両通信部25と車両3との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、車両通信部25は、充電ケーブル8を通じて、少なくともCPLT(Control Pilot)信号により、充電設備2と車両3との接続確認、及び車両3の状態確認等ための通信を行う。
第2通信部21は、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、機器制御装置1(第1通信部11)と通信する。第2通信部21と機器制御装置1(第1通信部11)との間の通信方式としては、無線通信又は有線通信の適宜の通信方式が採用される。本実施形態では一例として、第2通信部21と機器制御装置1との間の通信方式は、有線LAN(Local Area Network)等の通信規格に準拠した有線通信である。第2通信部21と機器制御装置1との間の通信における通信プロトコルは、例えば、Ethernet(登録商標)、又はECHONET Lite(登録商標)等である。
通電制御部22は、充電システム2から車両3への通電を制御する。通電制御部22は、第1モードと、第2モードとを有する。第1モードは、接続部27に接続された蓄電池31の充電を許可するモード(許可モード)である。第1モードでは、通電制御部22は、リレー23をオン(導通状態)にして、充電設備2から車両3への通電を行うことで、蓄電池31の充電を許可する。第2モードは、接続部27に接続された蓄電池31の充電を許可しないモード(不許可モード)である。第2モードでは、通電制御部22は、リレー23をオフ(遮断状態)にして、充電システム2から車両3への通電を停止することで、蓄電池31の充電を許可しない。
通電制御部22は、充電システム2の起動時には、第1モードを選択する。その後、通電制御部22は、判定処理を行う。判定処理では、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能か否かを判定する。一例として、通電制御部22は、第2通信部21から機器制御装置1に応答要求を送り、一定期間が経過する前に機器制御装置1から応答が得られれば、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能と判断する。一方、通電制御部22は、応答要求の送信から一定期間が経過しても機器制御装置1から応答が得られなければ、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができないと判断する。
通電制御部22は、判定処理で、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能と判断した場合には、外部装置である機器制御装置1からの指示に従って、第1モードと第2モードとの一方を選択する。上述したように、機器制御装置1からの指示は、充電指令及び停止指令を含んでいる。通電制御部22は、充電指令を受け取ると第1モードを選択し、停止指令を受け取ると第2モードを選択する。
通電制御部22は、更に、報知部26によって種々の通知を行う。通電制御部22は、充電システム2が動作中である場合に、光源261を点灯させる。また、通電制御部22は、第1モードの選択時に、光源262を点灯させる。また、通電制御部22は、充電システム2で異常が発生した場合に、光源263を点灯させる。
また、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能か否かを、報知部26により報知する。通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能と判断した場合、光源264を点灯させ、そうでなければ、光源264を消灯する。つまり、光源264が点灯していれば、機器制御装置1と充電システム2とは通信可能であって、充電システム2が機器制御装置1と連携中であることを示している。なお、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能と判断した場合、光源264を点滅させてもよい。
上述したように、充電制御システム10は、あくまで蓄電池31の充電を制御するだけであって、例えば、蓄電池31が満充電である等、そもそも蓄電池31が充電できない状況にあるような場合には、当然ながら蓄電池31は充電されない。同様に、充電ケーブル8のプラグ81が車両3に接続されておらず、充電システム2と車両3とが電気的に接続されていない場合等においても、当然ながら蓄電池31は充電されない。そのため、このように蓄電池31が充電できない状況にあるような場合には、機器制御装置1からの充電指令を受信したとしても、通電制御部22は、リレー23をオン(導通状態)にせず、充電システム2から車両3への通電を行わない。つまり、通電制御部22は、接続部27に蓄電池31が接続されていなければ、機器制御装置1からの指示とは関係なく第2モードを選択する。
通電制御部22は、1以上のメモリ及び1以上のプロセッサを含むコンピュータシステムにより実現され得る。すなわち、コンピュータシステムの1以上のメモリに記録されたプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより、通電制御部22の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
充電システム2は、図3に示すように、筐体20を更に備える。筐体20は、第2通信部21と、通電制御部22と、リレー23と、保護回路24と、車両通信部25と、報知部26と、接続部27と、を収容する。特に、筐体20は、報知部26の光源261〜264の点灯状態を視認可能に、報知部26を収容する。本実施形態では、筐体20は、矩形の箱状である。筐体20は、報知部26の光源261〜264からの光を個別に通す窓を有している。筐体20は、図3に示すように、施工面W1に取り付けられる。本実施形態では、施工面W1は、建物の壁面である。筐体20は、更に、ケーブル支持部201と、プラグ保持具202と、を備える。ケーブル支持部201は、充電ケーブル8を支持するための部材である。プラグ保持具202は、充電ケーブル8のプラグ81を保持するたえの部材である。要するに、充電ケーブル8を使用しない場合には、プラグ81をプラグ保持具202で保持し、充電ケーブル8がケーブル支持部201に巻き回されて支持される。
1.3 動作
次に、充電制御システム10の充電システム2の動作の一例について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、充電システム2が蓄電池31を充電できないような事情は無く、充電システム2は充電指令を受ければいつでも蓄電池31を充電可能である状況と仮定して、説明する。また、初期状態では、報知部26の光源264は消灯している。
充電システム2が起動すると、通電制御部22は、まず、第1モード(許可モード)を選択する(S11)。その後、通電制御部22は、判定処理を行い、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能か否かを判定する(S12)。
通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができないと判断すれば(S12:No)、第1モードを維持する。また、通電制御部22は、報知部26の光源264の消灯を維持する。そして、通電制御部22は、一定時間経過後に、再度、判定処理を行う(S12)。このように、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができない場合であっても、第1モードを選択している。そのため、ユーザは、充電システム2を用いて車両3の蓄電池31の充電を行うことが可能である。
一方、通電制御部22は、判定処理において、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能と判断すれば(S12:Yes)、報知部26の光源264を点灯させる(S13)。これによって、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能であることを、報知部26により報知する。光源264が点灯していれば、機器制御装置1と充電システム2とは通信可能であって、充電システム2が機器制御装置1と連携中であることを示している。その後、通電制御部22は、機器制御装置1からの指示を待ち受ける(S14)。通電制御部22は、充電指令を受け取ると第1モードを選択し(S15)、停止指令を受け取ると第2モードを選択する(S16)。このように、通電制御部22は、第2通信部21による機器制御装置1との通信が可能な場合には、機器制御装置1からの指示に応じて、第1モードと第2モードとの一方を選択する。機器制御装置1は、充電スケジュールに従って、充電システム2に、充電指令又は停止指令を与えるため、通電制御部22は、充電スケジュールに従って、蓄電池31の充電を許可するかどうかを決定することになる。
以上述べたように、充電システム2は、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができない場合は、機器制御装置1との連携をせずに、単体で蓄電池31の充電を可能とする。つまり、充電システム2は、単独で動作する単機能運転を行う。一方、充電システム2は、第2通信部21による機器制御装置1との通信ができる場合は、機器制御装置1と連携をし、機器制御装置1で設定された充電スケジュールに従って、蓄電池31の充電の可否を決定する。つまり、充電システム2は、外部装置と連携して動作する連携運転を行う。
1.4 まとめ
充電システム2は、接続部27に接続された蓄電池31の充電を許可する第1モードと蓄電池31の充電を許可しない第2モードとを有する制御部22と、外部装置1と通信する通信部21と、を備える。制御部22は、通信部21による外部装置1との通信ができない状態では、第1モードを選択する。この充電システム2によれば、外部装置(機器制御装置1)との通信状態によらずに蓄電池31の充電が可能になる。
換言すれば、充電システム2は、下記の方法(充電方法)を実行しているといえる。充電方法は、接続部27に接続された蓄電池31の充電を行う第1モードと蓄電池31の充電を行わない第2モードとを切り替える充電方法であって、外部装置1との通信ができない状態では、第1モードを選択する。このような充電方法によれば、充電システム2と同様に、外部装置(機器制御装置1)との通信状態によらずに蓄電池31の充電が可能になる。
充電システム2は、コンピュータシステムを利用して実現されている。つまり、充電システム2が実行する方法(充電方法)は、コンピュータシステムがプログラムを実行することにより実現され得る。このプログラムは、1以上のプロセッサに、充電方法を実行させるためのコンピュータプログラムである。このようなプログラムによれば、充電システム2と同様に、外部装置(機器制御装置1)との通信状態によらずに蓄電池31の充電が可能になる。
2.変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
また、上記実施形態では、通電制御部22は、判定処理では、機器制御装置1に応答要求を行うことで機器制御装置1との通信が可能かどうかを判定している。しかしながら、機器制御装置1のような外部装置との通信が可能かどうかを判定する方法は、上記の例に限定されず、従来周知の方法を採用してよい。
また、充電システム2は、複数の接続部27を有していてよく、これによって、複数の蓄電池31の充電を制御可能であって良い。
また、上記実施形態では、充電システム2は、普通充電用の充電設備であるが、この例に限らず、充電システム2は、普通充電に比べて短時間で充電を行うことができる急速充電用の充電設備であってもよい。この場合、充電システム2への電力供給は、例えば、200Vの三相交流により行われる。
また、上記実施形態では、充電システム2に充電ケーブル8が接続されており、充電ケーブル8を介して充電システム2が車両3に接続される。しかしながら、この例に限らず、例えば、充電システム2はコンセント型であってもよい。この場合、車両3側の車載ケーブルを使用して、車載ケーブルのプラグを充電システム2のコンセント(Outlet)に接続することで、充電システム2が車両3に接続される。
また、上記実施形態では、充電システム2は、「Mode3」の方式を採用しているが、この例に限らず、例えば、「Mode2」等の「Mode3」以外の方式を採用してもよい。
また、外部装置は、機器制御装置1に限らず、例えば、情報端末4であってもよい。この場合、情報端末4により充電システム2による充電の制御が可能となる。
また、移動体は、車両3に限らず、例えば、ドローン、航空機又は船舶等であってもよい。さらに、実施形態1では、蓄電池31は、移動体(車両3)に搭載された状態で充電される場合について説明したが、この構成に限らず、蓄電池31は移動体(車両3)から取り外し可能であってもよい。この場合、充電制御システム10は、取り外された状態の蓄電池31の充電の制御に用いられる。
また、充電制御システム10は、蓄電池31の放電を制御する機能を有していてもよい。この場合、車両3の蓄電池31の放電電力を、住宅H1の分電盤61に出力することで、V2H(Vehicle To Home)のシステムを構築可能である。
本開示における充電システム2は、例えば、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における充電システム2としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(UltraLarge Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、充電システム2における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは充電システム2に必須の構成ではなく、充電システム2の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、充電システム2の少なくとも一部の機能、例えば、通電制御部22の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
第1の態様は、充電システム(2)であって、接続部(27)に接続された蓄電池(31)の充電を許可する第1モードと前記蓄電池(31)の充電を許可しない第2モードとを有する制御部(22)と、外部装置(1)と通信する通信部(21)と、を備える。前記制御部(22)は、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信ができない状態では、前記第1モードを選択する。この態様によれば、外部装置(1)との通信状態によらずに蓄電池(31)の充電が可能になる。
なお、第1の態様では、充電システム(2)は、更に、リレー(23)を備えていてよい。前記リレー(23)は、前記蓄電池(31)への電力の供給路に挿入される。前記制御部(22)は、前記第1モードでは前記リレー(23)を閉じ、前記第2モードでは前記リレー(23)を開くとよい。
第2の態様は、第1の態様の充電システム(2)に基づく。第2の態様では、前記制御部(22)は、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信が可能な状態では、前記外部装置(1)からの指示に従って、前記第1モードと前記第2モードとの一方を選択する。この態様によれば、外部装置(1)を用いて充電システム(2)による蓄電池(31)の充電を制御することが可能になる。
第3の態様は、第2の態様の充電システム(2)に基づく。第3の態様では、前記外部装置(1)からの指示は、充電指令と停止指令とを含む。前記制御部(22)は、前記充電指令を受け取ると前記第1モードを選択し、前記停止指令を受け取ると前記第2モードを選択する。この態様によれば、外部装置(1)を用いて充電システム(2)による蓄電池(31)の充電を制御できる。
第4の態様は、第2又は第3の態様の充電システム(2)に基づく。第4の態様では、前記制御部(22)は、前記接続部(27)に前記蓄電池(31)が接続されていなければ、前記外部装置(1)からの指示とは関係なく前記第2モードを選択する。この態様によれば、充電システム(2)の安全性を向上できる。
第5の態様は、第1〜第4の態様のいずれか一つの充電システム(2)に基づく。第5の態様では、前記制御部(22)は、前記第1モードを選択した後に、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信が可能か否かを判定し、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信ができない場合は、前記第1モードを維持する。この態様によれば、外部装置(1)との通信状態によらずに蓄電池(31)の充電が可能になる。
第6の態様は、第1〜第5の態様のいずれか一つの充電システム(2)に基づく。第6の態様では、前記充電システム(2)は、報知部(26)を更に備える。前記制御部(22)は、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信が可能か否かを、前記報知部(26)により報知する。この態様によれば、充電システム(2)と外部装置(1)との通信状態の確認が容易になる。
第7の態様は、第6の態様の充電システム(2)に基づく。第7の態様では、前記報知部(26)は、光源(264)を含む。前記制御部(22)は、前記通信部(21)による前記外部装置(1)との通信が可能な場合は、前記報知部(26)の前記光源(264)を点灯又は点滅させる。この態様によれば、充電システム(2)と外部装置(1)との通信状態の確認が更に容易になる。
第8の態様は、第7の態様の充電システム(2)に基づく。第8の態様では、前記充電システム(2)は、前記制御部(22)、前記通信部(21)、及び前記報知部(26)を収容する筐体(20)を更に備える。前記筐体(20)は、前記報知部(26)の前記光源(264)の点灯状態を視認可能に、前記報知部(26)を収容する。この態様によれば、充電システム(2)と外部装置(1)との通信状態の確認が更に容易になる。
第9の態様は、接続部(27)に接続された蓄電池(31)の充電を行う第1モードと前記蓄電池(31)の充電を行わない第2モードとを切り替える充電方法であって、外部装置(1)との通信ができない状態では、前記第1モードを選択する。この態様によれば、外部装置(1)との通信状態によらずに蓄電池(31)の充電が可能になる。
第10の態様は、1以上のプロセッサに、第9の態様の充電方法を実行させるための、プログラムである。この態様によれば、外部装置(1)との通信状態によらずに蓄電池(31)の充電が可能になる。