以下、測定システムおよびデータ処理用プログラムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す測定システム100は、「測定システム」に相当し、一例として、測定装置1A,1Bおよび携帯情報端末2A,2B(以下、区別しないときには「測定装置1」および「携帯情報端末2」ともいう)を備えて構成されている。
なお、以下の説明においては、本願発明についての理解を容易とするために、一例として、基幹電路La、基幹電路Laから分岐した分岐電路Lb1,Lb2・・,Lbn(以下、区別しないときには「分岐電路Lb」ともいう)、および分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1,Lc2・・,Lcn(以下、区別しないときには「分岐電路Lc」ともいう)を備えた測定対象Xについて、基幹電路Laおよび各分岐電路Lb,Lc(以下、これらを区別しないときには「電路L」ともいう)を対象とする漏電検査を実施するものとする。また、一例として、基幹電路Laを「上流側電路」とし、かつ各分岐電路Lb,Lcを「複数の下流側電路」とすると共に、各電路Lの漏れ電流を「予め規定された被測定量」として処理するものとする。
また、本例の測定システム100では、一例として、測定装置1A,1Bが同じ型式の測定装置で構成されて同様の測定処理を実行可能に構成されると共に、携帯情報端末2A,2Bが同じ型式の携帯情報端末で構成されて同様のデータ処理を実行可能に構成されているが、測定システム100の動作についての理解を容易とするために、後述するように基幹電路Laについての測定処理を実行する測定装置1を測定装置1A(「第1の測定装置」の一例)とし、この測定装置1Aの近傍に設置される携帯情報端末2を携帯情報端末2A(「第1のデータ処理装置」)とすると共に、各分岐電路Lb,Lcについての測定処理を実行する測定装置1を測定装置1B(「第2の測定装置」の一例)とし、この測定装置1Bと共に携行される携帯情報端末2を携帯情報端末2B(「第2のデータ処理装置」)とする。
測定装置1は、「測定装置」に相当し、一例として、電路Lの電線などの測定対象導線をクランプ可能なクランプセンサ10a(図2参照)を備え、測定対象導線を流れている電流の電流値を測定することができるように構成されている。具体的には、測定装置1は、図2に示すように、測定部10、通信部11、操作部12、表示部13、処理部14および記憶部15を備えている。
測定部10は、処理部14の制御下で各電路Lを流れる電流に起因して電路Lの周囲に生じる磁気がクランプセンサ10aによって検出されたときに、その検出量に基づいて電路Lを流れる電流の電流値を測定し、測定結果を示す測定値データD1を処理部14に出力する。なお、本例では、測定装置1Aの測定部10によって生成される測定値データD1(基幹電路Laを流れる電流の電流値を特定可能な測定値データD1:以下、「測定値データD1a」ともいう)が「第1の測定値データ」に相当すると共に、測定装置1Bの測定部10によって生成される測定値データD1(分岐電路Lb,Lcを流れる電流の電流値を特定可能な測定値データD1:以下、「測定値データD1b」ともいう)が「第2の測定値データ」に相当する。
通信部11は、一例として、ブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な無線通信モジュールを備え、携帯情報端末2などの外部機器(ブルートゥース対応機器)との間で各種のデータを送受信可能に構成されている。具体的には、本例の測定システム100では、後述するように、測定装置1Aの通信部11が「第1の外部装置」としての携帯情報端末2Aに対して測定値データD1aを送信すると共に、測定装置1Bの通信部11が「第2の外部装置」としての携帯情報端末2Bに対して測定値データD1bを送信することが可能となっている。
操作部12は、測定装置1の動作条件(測定条件)の設定や、測定開始/停止を指示するための各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部14に出力する。表示部13は、処理部14の制御下で測定装置1の動作状態や測定部10による測定結果を表示する。
処理部14は、測定装置1を総括的に制御する。具体的には、処理部14は、測定部10を制御して電路Lを流れる電流の電流値を測定させると共に、測定部10から出力される測定値データD1を記憶部15に記憶させる。また、処理部14は、測定部10からの測定値データD1を通信部11から携帯情報端末2に送信(出力)する。
なお、本例では、測定装置1Aの測定部10が測定値データD1aを生成する上記の処理、およびその測定装置1Aの処理部14が測定値データD1aを通信部11から携帯情報端末2Aに送信する処理が「第1の処理」に相当する。また、本例では、測定装置1Bの測定部10が測定値データD1bを生成する上記の処理、およびその測定装置1Bの処理部14が測定値データD1bを通信部11から携帯情報端末2Bに送信する処理が「第2の処理」に相当する。
記憶部15は、処理部14の動作プログラムや、上記の測定値データD1などを記憶する。なお、測定装置1による上記の「第1の処理」および「第2の処理」は、操作部12の操作によって処理開始を指示された時点から、予め設定された終了条件が満たされるまで繰り返し実行される。この場合、前述したように同じ型式の装置で構成されている測定装置1を測定装置1A,1Bのいずれとして動作させるかについては、図示しない動作条件設定画面を表示させた状態で操作部12を操作することで任意に選択することが可能となっている。
携帯情報端末2Aは、一例として、データ処理用プログラムDpaをインストールした既存のタブレット端末やスマートフォンで構成され、携帯情報端末2Bは、データ処理用プログラムDpb(以下、「データ処理用プログラムDpa」と区別しないときにはデータ処理用プログラムDpa,Dpbを総称して「データ処理用プログラムDp」ともいう)をインストールした既存のタブレット端末やスマートフォン(携帯情報端末2Aと同型の端末)で構成されている。
なお、広義には、「タブレット端末」は「タッチパネル等のポインティングデバイスと表示装置とを備えたPDA(携帯情報端末)」を意味し、「スマートフォン」は「PDA(携帯情報端末)の機能が備わった携帯電話」を意味するが、本明細書では、この広義の「タブレット端末」および広義の「スマートフォン」のうちの「各種プログラムのインストールによって任意の機能を付加したり、端末の操作環境や表示環境等をカスタマイズしたりすることができるもの」を「タブレット端末」や「スマートフォン」という。
この場合、本例の測定システム100における携帯情報端末2は、一例として、タブレット端末で構成されており、図3に示すように、通信部21a,21b、操作部22、表示部23、処理部24および記憶部25を備えている。なお、実際の携帯情報端末2は、上記の各構成要素の他に、「タブレット端末」としての機能を実現するための各種の構成要素を備えているが、本願発明についての理解を容易とするために、これらの構成要素についての図示および説明を省略する。
通信部21aは、測定装置1の通信部11と同様にブルートゥース(Bluetooth :登録商標)規格などの近距離無線通信規格に準ずる無線通信が可能な無線通信モジュールを備え、測定装置1などの外部機器(ブルートゥース対応機器)との間で各種のデータを送受信可能に構成されている。具体的には、本例の測定システム100における携帯情報端末2の通信部21aは、後述するように、測定装置1から送信される測定値データD1を受信して処理部24に出力することができるように構成されている。
通信部21bは、一例として、インターネットN2に接続された移動体データ通信網N1に対して接続可能な通信モジュールを備えている。これにより、本例の測定システム100では、携帯情報端末2Aの通信部21bと携帯情報端末2Bの通信部21bとの間の相互通信が可能となっている(「第1のデータ処理装置と第2のデータ処理との間に無線通信路が介在する」との構成の一例)。なお、移動体データ通信網N1に接続可能な通信モジュールに代えて(または、そのような通信モジュールに加えて)、無線LANアクセスポイントに接続可能な通信モジュールを備えて通信部21bを構成することもできる。そのような構成を採用した場合には、接続した無線LANアクセスポイントを経由してインターネットN2に接続し、インターネットN2を介して携帯情報端末2Aの通信部21bと携帯情報端末2Bの通信部21bとの間の相互通信を行うことが可能となる。
操作部22は、一例として、表示部23の前面側に配設されたタッチパネルや、携帯情報端末2を「タブレット端末」としての機能させるための各種の操作スイッチを備え、操作に応じた操作信号を処理部24に出力する。表示部23は、「表示部」に相当し、一例として液晶表示パネルを備えると共に、処理部24の制御に従い、データ処理用プログラムDpの動作条件設定画面や、測定装置1からの測定値データD1の送信状態を特定可能な表示画面等の各種の表示画面(図示せず)を表示する。
処理部24は、携帯情報端末2を総括的に制御する。具体的には、処理部24は、インストールされたデータ処理用プログラムDpに従い、測定装置1(通信部11)から送信されて通信部21aによって受信された測定値データD1が通信部21aから出力されたとき(「第1の測定値データの取得」および「第2の測定値データの取得」の一例)に、その測定値データD1を記憶部25に記憶させる。
また、携帯情報端末2Aの処理部24は、データ処理用プログラムDpaに従い、測定装置1Aから取得した測定値データD1aを通信部21bから移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介して携帯情報端末2Bに出力(送信)する。なお、本例では、携帯情報端末2Aの処理部24による測定値データD1aの取得から、取得した測定値データD1aの携帯情報端末2Bへの出力までの一連の処理が「第3の処理」に相当し、携帯情報端末2Aにおいてデータ処理用プログラムDpaが起動されて処理開始を指示されてから、予め規定された終了条件が満たされるまで、この「第3の処理」が携帯情報端末2Aにおいて繰り返し実行される。
また、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、携帯情報端末2Aから出力されて通信部21bによって受信された測定値データD1aが通信部21bから出力されたとき(「第1の測定装置からの第1の測定値データの取得」の一例)に、その測定値データD1aを記憶部25に記憶させる。
さらに、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aに基づいて特定される電流値、すなわち、測定装置1Aによって測定された基幹電路Laを流れる電流の電流値(「上流側電路についての被測定量」の一例)を表示部23に表示させる。なお、本例では、携帯情報端末2Bの処理部24による携帯情報端末2Aからの測定値データD1aの取得から、取得した測定値データD1aに基づいて特定される電流値を表示部23に表示させる処理までの一連の処理が「第4の処理」に相当し、携帯情報端末2Bにおいてデータ処理用プログラムDpbが起動されて処理開始を指示されてから、予め規定された終了条件が満たされるまで、この「第4の処理」が携帯情報端末2Bにおいて繰り返し実行される。
また、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、測定装置1Bから送信されて通信部21aによって受信された測定値データD1bに基づいて特定される電流値、すなわち、測定装置1Bによって測定された分岐電路Lb,Lbを流れる電流の電流値(「下流側電路についての被測定量」の一例)を、上記の「第4の処理」によって表示部23に表示させた基幹電路Laについての電流値と並べて表示部23に表示させる。なお、携帯情報端末2Bの表示部23に対して基幹電路Laについての電流値と分岐電路Lb,Lcについての電流値とを並べて表示させる構成・処理手順に代えて、基幹電路Laについての電流値の表示画面と、分岐電路Lb,Lcについての電流値と携帯情報端末2Bの表示部23に切り替え表示させる構成・処理手順を採用することもできる。
この場合、本例では、携帯情報端末2Bの処理部24による測定装置1Bからの測定値データD1bの取得から、取得した測定値データD1bに基づいて特定される電流値を表示部23に表示させる処理までの一連の処理が「第5の処理」に相当し、携帯情報端末2Bにおいてデータ処理用プログラムDpbが起動されて処理開始を指示されてから、予め規定された終了条件が満たされるまで、この「第5の処理」が携帯情報端末2Bにおいて繰り返し実行される。
さらに、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値が、予め設定された漏電発生時電流値以上の値であると判別したとき(「予め規定された第1の報知基準を満たす値のとき」の一例)に、一例として、測定値データD1aに基づいて特定して表示部23に表示させている電流値(基幹電路Laについての電流値)を点滅表示させ、かつ、その電流値に対応させて「漏電検出中」とのメッセージ(測定対象Xを構成するいずれかの電路Lにおいて漏電が発生していることを特定可能なメッセージの一例)を表示部23に表示させると共に、図示しないスピーカから報知音を出力する。なお、本例では、電流値の点滅表示、メッセージの表示、および報知音の出力の処理が「上流側電路についての被測定量が第1の報知基準を満たす値であることを特定可能に報知する第6の処理」に相当する。
また、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、測定装置1Bから送信された測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lb,Lcについての電流値が、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値に対して、予め設定された誤差範囲内で一致するとき(「予め規定された第2の報知基準を満たす値のとき」との状態の一例)に、一例として、測定値データD1bに基づいて特定して表示部23に表示させている電流値(分岐電路Lb,Lcについての電流値)を点滅表示させ、かつ、「検出電流値が一致しました」とのメッセージ(基幹電路Laについての電流値と、測定装置1Bによって測定された分岐電路Lb,Lcについての電流値とが一致していることを特定可能なメッセージの一例)を表示部23に表示させると共に、図示しないスピーカから、上記の報知音とは異なる報知音を出力する。なお、本例では、電流値の点滅表示、メッセージの表示、および報知音の出力の処理が「下流側電路についての被測定量が第2の報知基準を満していることを特定可能に報知する第7の処理」に相当する。
さらに、携帯情報端末2Bの処理部24は、データ処理用プログラムDpbに従い、測定装置1Bから送信された測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lb,Lcについての電流値が、漏電発生時電流値以上であっても、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値に対して、予め設定された誤差範囲を外れて小さな値であるときには、一例として、「検出電流値が一致しません」とのメッセージ(測定装置1Bによって測定された分岐電路Lb,Lcについての電流値が基幹電路Laについての電流値よりも小さいことを特定可能なメッセージの一例)を表示部23に表示させる。
記憶部25は、携帯情報端末2の内蔵メモリであって、処理部24の基本動作プログラムやデータ処理用プログラムDp、および測定値データD1などを記憶する。なお、データ処理用プログラムDpの一部や測定値データD1については、記憶部25に代えて、携帯情報端末2A,2Bに装着されるリムーバブルメモリに記憶させることもできる。なお、本例の測定システム100では、携帯情報端末2Bにインストールされているデータ処理用プログラムDpbが「データ処理用プログラム」に相当する。
この場合、前述したように同じ型式の携帯情報端末で構成されている携帯情報端末2を携帯情報端末2A,2Bのいずれとして動作させるかについては、データ処理用プログラムDpaをインストールした携帯情報端末2が携帯情報端末2Aとして動作し、かつデータ処理用プログラムDpbをインストールした携帯情報端末2が携帯情報端末2Bとして動作するため、データ処理用プログラムDpa,Dpbのいずれをインストールするかによって任意に選択することが可能となっている。
また、本例のデータ処理用プログラムDpa,Dpbとは異なり、「第1のデータ処理装置(本例における携帯情報端末2A)」によって実行すべき処理の手順、および「第2のデータ処理装置(本例における携帯情報端末2B)」によって実行すべき処理の手順の双方が記録された「データ処理用プログラム」を両「データ処理装置」にインストールし、その「データ処理用プログラム」における動作条件設定画面で、「第1のデータ処理装置」として各種処理を実行するか、「第2のデータ処理装置」として各種処理を実行するかを選択させることもできる。
次に、測定システム100を用いた測定対象Xについての漏電検査について、添付図面を参照して説明する。
なお、測定装置1Aおよび携帯情報端末2Aの間のブルートゥースのペアリング作業、測定装置1Bおよび携帯情報端末2Bの間のブルートゥースのペアリング作業、携帯情報端末2Aへのデータ処理用プログラムDpaのインストール、携帯情報端末2Bへのデータ処理用プログラムDpbのインストール、並びに携帯情報端末2A,2Bの移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介しての相互接続を許容する準備作業等については既に完了しているものとし、それらの作業に関する説明を省略する。また、漏電の有無を検査する測定対象Xについては、各分岐電路Lb,Lcに接続された負荷への電源供給(負荷の動作)が停止状態に移行させられているものとする。
まず、測定装置1Aとして動作させるように設定した測定装置1を起動させると共に、携帯情報端末2A,2Bを起動させて携帯情報端末2Aにおいてデータ処理用プログラムDpaを動作させ、かつ携帯情報端末2Bにおいてデータ処理用プログラムDpbを動作させる。これにより、測定装置1Aおよび携帯情報端末2A間の通信が可能な状態となり、かつ携帯情報端末2Aおよび携帯情報端末2B間の移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介しての通信が可能な状態となる。
次いで、図1に示すように、測定装置1Aのクランプセンサ10aによって基幹電路Laをクランプすることで基幹電路Laに測定装置1Aを装着すると共に、測定装置1A(通信部11)との通信が可能な範囲内に携帯情報端末2A(通信部21a)を設置する。
この際には、測定装置1Aにおいて基幹電路Laを流れる電流の電流値が予め設定された測定周期で測定されて、測定された電流値を示す測定値データD1aが測定装置1Aの記憶部15に順次記憶されると共に、新たな測定値データD1aが生成される都度、その測定値データD1aが通信部11から携帯情報端末2Aに順次送信される(「第1の処理」の一例)。また、携帯情報端末2Aでは、測定装置1Aからの測定値データD1aが通信部21aによって受信される都度、処理部24がデータ処理用プログラムDpaに従い、その測定値データD1aを記憶部25に記憶させると共に、通信部21bから移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介して携帯情報端末2Bに出力する(「第3の処理」の一例)。
さらに、携帯情報端末2Bでは、携帯情報端末2Aからの測定値データD1aが通信部21bによって受信される都度、処理部24がデータ処理用プログラムDpbに従い、その測定値データD1aを記憶部25に記憶させると共に、その測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値を表示部23に表示させる(「第4の処理」の一例)。また、携帯情報端末2Bでは、処理部24が、測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値が漏電発生時電流値以上であるか否かを判別する。
この際に、測定対象Xにおける各電路Lのいずれにおいても漏電が発生していないときには、基幹電路Laを電流が流れないため、測定装置1Aによって生成される測定値データD1aの値(基幹電路Laについての電流値)がほぼ「0」となる。したがって、測定装置1Aからの測定値データD1aを取得した携帯情報端末2Bにおいて、処理部24が、特定される電流値が漏電発生時電流値を下回っていると判別し、次の測定値データD1aの取得、および対応する電流値の表示を繰り返す。
一方、例えば、測定対象Xにおける分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1において漏電が発生しているときには、この分岐電路Lc1を流れる電流と同程度の電流が分岐電路Lb1および基幹電路Laを流れる。このため、基幹電路Laに装着されている測定装置1Aによって生成される測定値データD1aの値(基幹電路Laについての電流値)が各電路Lにおいて漏電が発生していないときよりも大きな値となる。この際には、測定装置1Aからの測定値データD1aを取得した携帯情報端末2Bにおいて、処理部24が、特定される電流値が漏電発生時電流値以上であると判別し、測定値データD1aに基づいて表示部23に表示している電流値を点滅表示させ、かつ「漏電検出中」とのメッセージを表示部23に表示させると共に、スピーカから報知音を出力する(「第6の処理」の一例)。
これにより、携帯情報端末2Bの表示部23における電流値の点滅および/またはメッセージを見たり、スピーカからの報知音を聞いたりした作業者は、測定対象Xを構成する電路Lのいずれかにおいて漏電が発生していると認識する。この際には、携帯情報端末2Bおよび測定装置1Bを携行して、各分岐電路Lb,Lcを対象とする漏れ電流の測定作業を順次実行する。
具体的には、分岐電路Lb1から測定作業を開始する際には、測定装置1Aによる基幹電路Laについての測定、測定装置1Aから携帯情報端末2Aへの測定値データD1aの送信および携帯情報端末2Aから携帯情報端末2Bへの測定値データD1aの出力を継続させたまま、測定装置1Bおよび携帯情報端末2Bを携行して分岐電路Lb1の設置場所に移動する。
この際に、本例の測定システム100では、前述したように、携帯情報端末2A,2Bが移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介して通信可能に構成されている。したがって、測定装置1Aおよび携帯情報端末2Aを設置した基幹電路Laと、測定作業を行う分岐電路Lb1とが遠く離れていても、測定装置1Aによって測定された基幹電路Laの電流値を特定可能な測定値データD1aを携帯情報端末2Aから携帯情報端末2Bに送信させて、携帯情報端末2Bにおいて基幹電路Laの電流値を表示させ続けることができる。
次いで、測定装置1Bのクランプセンサ10aによって分岐電路Lb1をクランプすることで分岐電路Lb1を流れている電流の電流値を測定させる。この際に、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1において漏電が発生している本例では、分岐電路Lc1において発生している漏電の規模に応じた電流が分岐電路Lb1を流れている。したがって、測定部10によって、分岐電路Lc1において発生している漏電の規模に応じた電流が測定され、測定された電流値を示す測定値データD1bが測定装置1Bの記憶部15に順次記憶されると共に、通信部11から携帯情報端末2Bに順次送信される(「第2の処理」の一例)。
また、携帯情報端末2Bでは、測定装置1Bからの測定値データD1bが通信部21aによって受信される都度、処理部24がデータ処理用プログラムDpbに従い、その測定値データD1bを記憶部25に記憶させると共に、その測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lb1についての電流値を表示部23に表示させる(「第5の処理」の一例)。また、携帯情報端末2Bでは、処理部24が、測定装置1Bから送信された測定値データD1bの電流値が、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aの電流値に対する誤差範囲内の値であるか否かを判別する。
この際に、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1だけで漏電が発生し、基幹電路La、分岐電路Lb1〜Lbn、および分岐電路Lc2〜Lcnにおいて漏電が発生していないときには、分岐電路Lc1において発生している漏電に起因して分岐電路Lb1を流れる電流の電流値と同程度の電流が基幹電路Laを流れることとなる。このため、分岐電路Lc1だけで漏電が発生している本例では、この分岐電路Lc1の上流側の測定値データD1bにおいて測定される電流値が、測定値データD1aの電流値に対する誤差範囲内の値となる。
したがって、携帯情報端末2Bの処理部24は、誤差範囲内の値であると判別し、測定値データD1aに基づいて表示部23に表示させている電流値の点滅表示を継続し、測定値データD1bに基づいて表示部23に表示している電流値を点滅表示させ、かつ「検出電流値が一致しました」とのメッセージを表示部23に表示させると共に、測定値データD1aに基づいて漏電が発生していると特定した際に出力した報知音とは異なる報知音をスピーカから出力する(「第7の処理」の一例)。
これにより、携帯情報端末2Bの表示部23における両電流値の点滅および/またはメッセージを見たり、スピーカからの報知音を聞いたりした作業者は、分岐電路Lb1、または、その下流の各分岐電路Lcにおいて漏電が発生しているとの事項を認識すると共に、分岐電路Lb1において測定される漏れ電流の電流値が基幹電路Laを流れている電流の電流値と一致するとの事項、すなわち、基幹電路Laや、分岐電路Lb1以外の分岐電路Lbでは漏電が発生していないとの事項を認識する。したがって、作業者は、分岐電路Lb1自体において漏電が発生しているのか、分岐電路Lb1から分岐した各分岐電路Lcにおいて漏電が発生しているのかを特定する作業を実施する。
具体的には、分岐電路Lc1から測定作業を開始する際には、測定装置1Bのクランプセンサ10aによって分岐電路Lc1をクランプすることで分岐電路Lc1を流れている電流の電流値を測定させる。この際に、この分岐電路Lc1において漏電が発生している本例では、測定部10によって、発生している漏電の規模に応じた漏れ電流が測定され、測定された電流値を示す測定値データD1bが測定装置1Bの記憶部15に順次記憶されると共に、通信部11から携帯情報端末2Bに順次送信される(「第2の処理」の他の一例)。
また、携帯情報端末2Bでは、測定装置1Bからの測定値データD1bが通信部21aによって受信される都度、処理部24がデータ処理用プログラムDpbに従い、その測定値データD1bを記憶部25に記憶させると共に、分岐電路Lb1に基づいて表示させた電流値に代えて、記憶部25に記憶させた測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lc1についての電流値を表示部23に表示させる(「第5の処理」の他の一例)。また、携帯情報端末2Bでは、処理部24が、測定装置1Bから送信された測定値データD1bの電流値が、携帯情報端末2Aから出力された測定値データD1aの電流値に対する誤差範囲内の値であるか否かを判別する。
この際に、分岐電路Lc1だけで漏電が発生し、分岐電路Lc1以外の分岐電路Lcにおいて漏電が発生していないときには、分岐電路Lc1を流れる電流の電流値と同程度の電流が分岐電路Lb1および基幹電路Laを流れた状態となる。このため、分岐電路Lc1だけで漏電が発生している本例では、この分岐電路Lc1において測定される電流値が、測定値データD1aの電流値に対する誤差範囲内の値となる。
したがって、携帯情報端末2Bの処理部24は、誤差範囲内の値であると判別し、測定値データD1aに基づいて表示部23に表示させている電流値の点滅表示を継続し、分岐電路Lc1についての測定値データD1bに基づいて表示部23に表示している電流値を点滅表示させ、かつ「検出電流値が一致しました」とのメッセージを表示部23に表示させると共に、分岐電路Lb1についての測定値データD1bに基づく電流値が測定値データD1aに基づく電流値の誤差範囲内であると特定したときに出力した報知音と同じ報知音をスピーカから出力する(「第7の処理」の他の一例)。
これにより、携帯情報端末2Bの表示部23における両電流値の点滅および/またはメッセージを見たり、スピーカからの報知音を聞いたりした作業者は、分岐電路Lc1において漏電が発生しているとの事項を認識すると共に、分岐電路Lc1において測定される漏れ電流の電流値が基幹電路Laや分岐電路Lb1を流れている電流の電流値を一致するとの事項、すなわち、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1以外の各電路Lでは漏電が発生していないとの事項を認識する。したがって、この例では、分岐電路Lb1、および分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1以外の電路Lについての測定作業を行うことなく、測定対象Xを構成する電路Lのいずれにおいて漏電が発生しているかが特定される。
一方、上記の例とは異なり、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1,Lc2の2箇所において漏電が発生していた場合には、分岐電路Lc1を流れる漏れ電流の電流値が、分岐電路Lc2を流れる漏れ電流の分だけ、基幹電路Laを流れる電流に対する誤差範囲を下回る。このため、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1,Lc2の2箇所において漏電が発生しているときには、分岐電路Lc1についての測定値データD1bの電流値が、測定値データD1aの電流値に対する誤差範囲を下回る値となる。したがって、携帯情報端末2Bの処理部24は、分岐電路Lc1についての測定値データD1bの電流値が漏電発生時電流値以上であるものの、誤差範囲内の値ではないと判別し、「検出電流値が一致しません」とのメッセージを表示部23に表示させる。
これにより、携帯情報端末2Bの表示部23に表示されている分岐電路Lc1についての電流値、および上記のメッセージを見た作業者は、分岐電路Lc1において漏電が発生しているとの事項を認識すると共に、分岐電路Lc1において測定される漏れ電流の電流値が基幹電路Laを流れている電流の電流値よりも小さいとの事項、すなわち、分岐電路Lc1以外の電路L(分岐電路Lb1自体、および/または、分岐電路Lb1から分岐した分岐電路Lc1以外の分岐電路Lcのいずれか)においても漏電が発生しているとの事項を認識する。これにより、作業者によって分岐電路Lc1以外の分岐電路Lcについての測定作業が行われたときに、分岐電路Lc2について測定された電流値に基づき、分岐電路Lc1,Lc2の2箇所において漏電が発生していることが特定される。
この場合、この種の「測定システム」を使用して漏電検査を行う測定対象Xにおいては、継続的な漏電だけでなく、一時的な漏電(いずれかの電路Lにおいて短時間だけ漏れ電流が流れるような漏電)が発生することがある。したがって、測定システム100を使用した上記の漏電検査の手順に代えて、例えば、基幹電路Laにおいて、いずかかの電路Lにおいて漏電が発生したと特定される電流値が測定されたときに、その電流値を書き出した紙片等を携行して、書き出した電流値と同程度の電流値が測定される分岐電路Lb,lcを特定しようとしたときには、基幹電路Laの設置場所から分岐電路Lb,Lcの設置場所への移動中や、各分岐電路Lb,Lcについての測定作業中に漏電が発生していない状態に移行してしまい、書き出した電流値と同程度の漏れ電流がいずれの電路Lにおいても測定されない状態となることがある。
これに対して、本例の測定システム100では、測定装置1Aによって測定される電流値の変化を、携帯情報端末2Bの表示部23に表示された電流値の変化に基づいてリアルタイムに認識することができる。このため、例えば、いずれかの電路Lにおいて漏電が発生して基幹電路Laにおいて漏電発生時電流以上の電流が検出され、各分岐電路Lb,Lcについての電流値の測定作業(漏電発生箇所の特定)を行おうとして基幹電路Laの設置場所から各分岐電路Lb,Lcの設置場所へ移動している最中に漏電が発生していない状態に変化してしまっても、携帯情報端末2Bの表示部23に表示された電流値の変化に基づき、漏電が発生しない状態に変化したことを認識することができる。これにより、漏電が発生していない状態に変化した後の各分岐電路Lb,Lcについての不要な測定作業を行う必要がなくなる。
また、測定対象X内において常時漏電が発生している場合であっても、その漏電の規模(漏れ電流の大きさ)が逐次変化することもある。このため、前述したように基幹電路Laにおいて測定された電流値を書き出した紙片等を携行して各分岐電路Lb,Lcについての電流値の測定作業(漏電発生箇所の特定)を行っても、紙片に書き出した時点の基幹電路Laの電流値と、分岐電路Lb,Lcについての測定作業を実施した際の電流値とが相違することがある。一方、本例の測定システム100では、測定装置1Aによって逐次測定される電流値の測定値データD1aが携帯情報端末2Aから携帯情報端末2Bに繰り返し出力されて、携帯情報端末2Bにおいて基幹電路Laの電流値がリアルタイムに更新されるため、分岐電路Lb,Lcについて測定される最新の電流値と、基幹電路Laにおいて測定された電流値とを正しく対比することが可能となっている。
また、この測定システム100では、例えば、分岐電路Lb1、および分岐電路Lb1から分岐した各分岐電路Lcだけを対象として使用することもできる。この際には、分岐電路Lb1を「上流側電路」として測定装置1Aを分岐電路Lb1に装着すると共に、この測定装置1Aからの測定値データD1aが漏電発生時電流値以上であると携帯情報端末2Bにおいて判別されたときに、分岐電路Lb1から分岐している各分岐電路Lcを「下流側電路」として測定装置1Bによって電流値の測定作業を順次実行すればよい。
この場合、本例の測定システム100の構成に代えて、測定システム100における測定装置1Aに対応する「第1の測定装置」に、測定システム100における携帯情報端末2Aの機能(「第1の測定値データ」を「第2のデータ処理装置」に対して直接送信する機能)を付加して基幹電路Laの電流値を「第2のデータ処理装置(携帯情報端末2B)」に表示させることで、上記の測定システム100を用いた漏電検査時と同様に携帯情報端末2Bおよび測定装置1Bを携行して、基幹電路Laの電流値を「第2のデータ処理装置」に表示させた状態で分岐電路Lb,Lcについての測定作業を行うことができる。
また、本例の測定システム100の構成に代えて、測定システム100における測定装置1Bに対応する「第2の測定装置」に、測定システム100における携帯情報端末2Bの機能(「第1の測定値データ」を取得して、その電流値を「第1の測定値データ」の電流値と共に表示する機能)を付加して基幹電路Laの電流値を「第2の測定装置(測定装置1B)」に表示させることで、基幹電路Laの電流値を「第2の測定装置」に表示させた状態で分岐電路Lb,Lcについての測定作業を行うことができる。
しかしながら、「測定装置」において測定システム100における携帯情報端末2A,2Bによる上記の処理を実行可能とするには、それらの処理と並行して測定装置本来の処理を実行可能な高い処理能力を有する高価なCPUを「処理部」として採用する必要が生じると共に、測定値データD1を送受信可能な通信モジュールを搭載する必要が生じる。この結果、そのような構成の「測定装置」では、製造コストが高騰すると共に、小形化が困難となる。したがって、測定システム100による漏電検査のような使用形態での使用が不要な利用者(例えば、「測定装置」を単独で使用して任意の測定対象についての電流値を測定することを使用目的とする利用者)に対して、使用予定がない機能の付加による導入コストの高騰、および携帯性の低下との負担を強いることとなり、測定装置1の製品価値が低下するおそれがある。
これに対して、本例の測定システム100では、測定値データD1の生成および外部装置への出力が可能な一般的な測定装置1を利用して、携帯情報端末2A,2Bを加えることで上記の構成を実現している。このため、前述の各例のような使用形態での使用を希望する者は、2つの測定装置1と携帯情報端末2A,2Bとを併用し、そのような使用形態での使用が不要な者は、測定装置1を通常の「測定装置」として単独で使用することができる。これにより、使用予定がない機能の付加による導入コストの高騰、および携帯性の低下を招くことがない測定装置1を各種の利用者に対して提供することができる。
このように、この測定システム100では、基幹電路Laについての電流値を測定して測定値データD1aを生成し、生成した測定値データD1aを携帯情報端末2Aに出力する「第1の処理」を繰り返し実行可能に構成された測定装置1Aと、分岐電路Lb,Lcについての電流値を測定して測定値データD1bを生成し、生成した測定値データD1bを携帯情報端末2Bに出力する「第2の処理」を実行可能に構成された測定装置1Bと、測定装置1Aから測定値データD1aを取得して携帯情報端末2Bに出力する「第3の処理」を繰り返し実行可能に構成された携帯情報端末2Aと、携帯情報端末2Aから取得した測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値を表示部23に表示させる「第4の処理」を繰り返し実行可能に構成されると共に、測定装置1Bから取得した測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lb,Lcについての電流値を表示部23に表示させる「第5の処理」を実行可能に構成された携帯情報端末2Bとを備えている。また、このデータ処理用プログラムDpbでは、上記のような測定システム100における携帯情報端末2Bに対して、「第4の処理」を繰り返し実行させると共に「第5の処理」を実行させる。
したがって、この測定システム100およびデータ処理用プログラムDpbによれば、測定装置1Aによって測定される基幹電路Laについての最新の電流値が、測定装置1Bによって測定される分岐電路Lb,Lcについての電流値と共に携帯情報端末2Bに表示されるため、この携帯情報端末2Bを測定装置1Bと共に携行して分岐電路Lb,Lcの設置場所に移動することで、分岐電路Lb,Lcの設置場所において、携帯情報端末2Bに表示される基幹電路Laについての最新の電流値および分岐電路Lb,Lcについての電流値を容易に比較することができる。これにより、漏電が発生している電路L(基幹電路Laにおいて測定される被測定量に関連する被測定量が測定さる電路)を確実かつ容易に特定することができ、不要な測定作業を行わなくて済む分だけ、一連の測定作業に要する時間を充分に短縮することができる。また、基幹電路Laについての電流値および分岐電路Lb,Lcについての電流値の双方を把握する際に、携帯情報端末2Bの表示部23および測定装置1Bの表示部13を交互に見ることなく、携帯情報端末2Bの表示部23を見るだけで両電流値を容易に把握することができるため、作業者の負担を充分に軽減することができる。
また、この測定システム100では、携帯情報端末2Bが、測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値が「予め規定された第1の報知基準を満たす値(本例では、漏電発生時電流値以上の値)」のときに、基幹電路Laについての電流値が「第1の報知基準」を満たす値であることを特定可能に報知する「第6の処理」を実行する。したがって、この測定システム100およびデータ処理用プログラムDpbによれば、携帯情報端末2Bに表示される基幹電路Laについての電流値を読み取ってどの程度の大きさの値であるかを判断する行為を行うことなく、基幹電路Laについての電流値が「予め規定された第1の報知基準を満たす値」であるか否かを端的に把握することができるため、作業者の負担を一層軽減することができる。
さらに、この測定システム100では、携帯情報端末2Bが、測定値データD1bに基づいて特定される分岐電路Lb,Lcについての電流値が、測定値データD1aに基づいて特定される基幹電路Laについての電流値に対する「予め規定された第2の報知基準を満たす値(本例では、予め規定された誤差範囲内で一致する値)」のときに、分岐電路Lb,Lcについての電流値が「第2の報知基準」を満していることを特定可能に報知する「第7の処理」を実行する。したがって、この測定システム100およびデータ処理用プログラムDpbによれば、携帯情報端末2Bに表示される基幹電路Laについての電流値および分岐電路Lb,Lcについての電流値をそれぞれ読み取って両値を比較する行為を行うことなく、分岐電路Lb,Lcについての電流値が基幹電路Laについての電流値に対する「予め規定された第2の報知基準を満たす値」であるか否かを端的に把握することができるため、作業者の負担を一層軽減することができる。
また、この測定システム100によれば、携帯情報端末2A,2Bの間に無線通信路が介在するように構成したことにより、有線通信路だけで「測定システム」を構成した場合と比較して、無線通信路を介在させた分だけ、携帯情報端末2A,2Bを大きく離間させて使用することができる。これにより、携帯情報端末2Aに対して測定値データD1aを出力する測定装置1Aと、携帯情報端末2Bに対して測定値データD1bを出力する測定装置1Bとを大きく離間させることができるため、測定装置1Aを装着する基幹電路Laに対して大きく離間した位置に配設されている電路Lについて測定装置1Bによって電流値を測定することができるため、各種の測定対象Xを対象とする測定を行うことができる。また、有線通信路(信号ケーブル等)で「第1のデータ処理装置」および「第2のデータ処理装置」を接続した構成と比較して、無線通信路を介在させたことで携帯情報端末2Bの移動可能範囲が拡がるため、作業者の負担を一層軽減することができる。
なお、「測定システム」の構成、および「データ処理用プログラム」による処理手順については、上記の測定システム100の構成、並びにデータ処理用プログラムDpbによる処理手順の例に限定されない。
例えば、「第1の処理装置」に相当する携帯情報端末2Aと「第2の処理装置」に相当する携帯情報端末2Bとが移動体データ通信網N1およびインターネットN2を介して測定値データD1aを直接送受信する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、例えば、インターネットN2に常時接続されたデータサーバを用意し、携帯情報端末2A,2Bがデータサーバを介して測定値データD1aを送受信する構成を採用することもできる。具体的には、携帯情報端末2Aがデータサーバに対して測定値データD1aを送信したときに、データサーバがその測定値データD1aを携帯情報端末2Bに対して転送するように構成することで、上記の測定システム100の運用時と同様に使用することができる。
また、「上流側電路」についての被測定量を測定する「第1の測定装置」から「第1の測定値データ」を取得する「第1のデータ処理装置」については、「上流側電路」についての被測定量を継続的に測定する「第1の測定装置」の近傍に配置されていればよい。このため、この「第1のデータ処理装置」については、上記の測定システム100における携帯情報端末2Aのような「携帯情報端末」に代えて、設置型のパーソナルコンピュータを採用することもできる。
さらに、携帯情報端末2A,2B間だけでなく、測定装置1Aと携帯情報端末2Aとの間、および測定装置1Bと携帯情報端末2Bとの間にも無線通信路が介在する構成の測定システム100を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、「第1の測定装置」と「第1のデータ処理装置」とを有線接続したり(「第1の測定装置」と「第1のデータ処理装置」との間に無線通信路が介在しない構成)、「第2の測定装置」と「第2のデータ処理装置」とを有線接続したり(「第2の測定装置」と「第2のデータ処理装置」との間に無線通信路が介在しない構成)することもできる。
また、測定装置1Aによって測定された基幹電路Laについての測定値が漏電発生時電流値以上のときに「漏電検出中」とのメッセージ等を表示させる「第6の処理」を実行する構成・処理方法を例に挙げて説明したが、このような構成・処理方法に代えて、測定装置1Aによって測定された基幹電路Laについての測定値が漏電発生時電流値を下回っているときにその旨を特定可能なメッセージを表示させたり報知音を出力したりする構成・処理方法を採用することもできる。
さらに、各電路Lを流れる電流(漏電発生時の漏れ電流)の電流値を測定する構成を例に挙げて説明したが、「被測定量」はこの例に限定されず、各電路Lに接続された負荷に対する電力供給時に各電路Lを流れる電流の電流値を「被測定量」として測定したり、各電路Lに接続された負荷によって消費される「電力(瞬時値)」を「被測定量」として測定したりする「測定システム」においても、上記の各種例示のような構成を採用することができる。