JP2020059774A - ゴム組成物、トレッド、タイヤおよび製造方法 - Google Patents

ゴム組成物、トレッド、タイヤおよび製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れたグリップ性能および耐摩耗性(耐アブレージョン性)を示すゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを具備するタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供すること。【解決手段】スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物であって、ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、所定のゴム組成物、これを用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法に関する。
トレッドに用いられるゴム組成物は、優れた耐摩耗性が求められる。耐摩耗性は、ゴム組成物のガラス転移温度、硬度、フィラー分配性等により影響される。例えば、特許文献1には、ガラス転移温度の低い成分を用いることにより、耐摩耗性等の向上を試みたタイヤトレッド用ゴム組成物が開示されている。
特開2004−137463号公報
しかし、特許文献1に記載のゴム組成物を用いて得られるタイヤは、耐摩耗性に関して改善の余地がある。
本発明は、優れたグリップ性能および耐摩耗性(耐アブレージョン性)を示すゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物を混練する際に、ゴム実温度140℃以上での混練時間を所定の範囲内とすることで、優れたグリップ性能および耐摩耗性(耐アブレージョン性)を示すゴム組成物が得られることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]スチレン含量が25〜50質量%、好ましくは30〜45質量%、より好ましくは35〜43質量%、さらに好ましくは37〜43質量%、ビニル含量が35〜50%、好ましくは37〜45%、より好ましくは37〜43%、および重量平均分子量が100万〜140万、好ましくは105〜135万、より好ましくは110〜130万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物であって、ベース練りの際のゴム実温度140℃以上、好ましくは145℃以上、より好ましくは150℃以上での混練時間が5〜30分であるゴム組成物、
[2]前記直鎖状スチレンブタジエンゴムの5質量%トルエン溶液粘度が350mPa・s以上、好ましくは370〜800mPa・s、より好ましくは390〜800mPa・sである、上記[1]記載のゴム組成物、
[3]液状スチレンブタジエンゴム21〜100質量部、好ましくは25〜90質量部、より好ましくは30〜80質量部をさらに含む上記[1]または[2]記載のゴム組成物、
[4]充填剤10〜180質量部、好ましくは30〜150質量部、より好ましくは50〜120質量部、さらに好ましくは70〜120質量部、さらに好ましくは90〜120質量部をさらに含む上記[1]〜[3]のいずれかに記載のゴム組成物、
[5]ゴム成分が、前記直鎖状スチレンブタジエンゴム100質量%からなるものである、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のゴム組成物、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製されたトレッド、
[7]上記[6]記載のトレッドを備えたタイヤ、
[8]スチレン含量が25〜50質量%、好ましくは30〜45質量%、より好ましくは35〜43質量%、さらに好ましくは37〜43質量%、ビニル含量が35〜50%、好ましくは37〜45%、より好ましくは37〜43%および重量平均分子量が100万〜140万、好ましくは105〜135万、より好ましくは110〜130万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物の製造方法であって、
ゴム実温度140℃以上、好ましくは145℃以上、より好ましくは150℃以上での混練時間が5〜30分であるベース練り工程を含んでなる、ゴム組成物の製造方法、
[9]タイヤの製造方法であって、
上記[8]記載のゴム組成物の製造方法により、未加硫のゴム組成物を得る工程
該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工して、トレッド部材を得る工程
該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して、未加硫タイヤを得る工程、および、
該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤを得る工程
を含んでなる、タイヤの製造方法、
に関する。
本発明によれば、優れたグリップ性能および耐摩耗性(耐アブレージョン性)を示すゴム組成物、該ゴム組成物を用いて作製されたトレッド、および該トレッドを備えたタイヤ、並びに、これらの製造方法を提供することができる。
一の実施形態は、スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物であって、ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるゴム組成物である。
他の実施形態は、上記タイヤ用ゴム組成物を用いて作製されたトレッドである。
他の実施形態は、上記トレッドを備えたタイヤである。
他の実施形態は、スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物の製造方法であって、ゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるベース練り工程を含んでなる、ゴム組成物の製造方法である。
他の実施形態は、上記実施形態のゴム組成物の製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工してトレッド部材を得る工程、該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧してタイヤを得る工程を含んでなる、タイヤの製造方法である。
理論に拘束されることは意図しないが、上記効果が発揮されるメカニズムとしては以下が考えられる。すなわち、直鎖状SBR(ポリマー)は、その分子形状が直鎖状であることにより、分岐状のものに比べて、分子形状に起因する分子鎖中の応力集中や分子鎖同士の絡み合いに起因する応力集中が緩和されるため、混練によるポリマーの分子量の低下を抑制することができる。また、混練のベース練りにおいて、一定温度以上の練り時間を確保することにより、充填剤の分散を確保し、充填剤とポリマーとの結合を促進することができる。このような「ポリマー分子量の低下の抑制」と「充填剤の分散の確保および充填剤とポリマーとの結合の促進」が協働することで、結果として、耐摩耗性等のゴム物性が相乗的に向上しているものと考える。
<ゴム成分>
ゴム成分は、所定の直鎖状SBRを含む。
(直鎖状SBR)
直鎖状SBRは、スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%であり、重量平均分子量(Mw)が100万〜140万であることを特徴とする。
直鎖状SBRにおいて、スチレン含量は、25質量%以上であればよく、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、37質量%以上であることがさらに好ましい。また、スチレン含量は、50質量%以下であればよく、45質量%以下であることが好ましく、43質量%以下であることがより好ましい。スチレン含量が25質量%未満である場合、グリップ性能が低下する傾向がある。一方、スチレン含量が50質量%を超える場合、初期グリップ性能が低下する傾向がある。なお、SBRのスチレン含量は、1H−NMR測定により算出される。
直鎖状SBRにおいて、ビニル含量は、35%以上であればよく、37%以上であることが好ましい。また、ビニル含量は、50%以下であればよく、45%以下であることが好ましく、43%以下であることがより好ましい。ビニル含量が35%未満である場合、グリップ性能が低下する傾向がある。一方、ビニル含量が50%を超える場合、初期グリップ性能が低下する傾向がある。なお、SBRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される。
直鎖状SBRのMwは、100万以上であればよく、105万以上であることが好ましく、110万以上であることがより好ましい。また、直鎖状SBRのMwは、140万以下であればよく、135万以下であることが好ましく、130万以下であることがより好ましい。Mwが100万未満である場合、耐摩耗性能が低下する傾向がある。また、Mwが140万を超える場合、剛性が高くなり過ぎるため、グリップ性能が低下する傾向がある。なお、Mwは、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算値として算出される値である。
SBRは、直鎖状SBRである限り、特に限定されない。一例を挙げると、SBRは、溶液重合SBR(S−SBR)、乳化重合SBR(E−SBR)、これらの変性SBR(変性S−SBR、変性E−SBR)等である。変性SBRは特に限定されない。一例を挙げると、変性SBRは、末端または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)、水素添加されたSBR(水添S−SBR、水添E−SBR)等である。これらの中でも、SBRは、S−SBRが好ましい。また、SBRは、油展されていてもよい。
直鎖状SBRは、5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)が350mPa・s以上であることが好ましい。ここに、「5質量%トルエン溶液粘度(Tcp)」は直鎖状の指標である。Tcpは、耐摩耗性の観点から、370mPa・s以上であることがより好ましく、390mPa・s以上であることがさらに好ましい。一方、Tcpの上限は、特に限定されない。いずれも、本実施形態の直鎖状SBRに該当するからである。但し、通常、Tcpは、800mPa・s以下である。高すぎるとポリマー製造過程で不具合が生じる傾向がある。なお、Tcpは、ゴム成分2.28gをトルエン50mLに溶解させた後、標準液として粘度計校正用標準液(JIS Z8809)を用い、キャノンフェンスケ粘度計No.400を使用して、25℃で測定した値として定義される。
直鎖状SBRは1種または2種以上を使用することができる。
直鎖状SBRの含有量は、ゴム成分100質量%中、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。なお、SBRの含有量の上限は特に限定されない。SBRの含有量は、ゴム成分中、100質量%であってもよい。SBRが上記含有量で含まれる場合、得られるタイヤは、高グリップタイヤとして適する。
(他のゴム成分)
ゴム組成物中のゴム成分は、上記直鎖状SBR以外のゴム成分(他のゴム成分)を含んでいてもよい。このような他のゴム成分は特に限定されない。一例を挙げると、他のゴム成分は、天然ゴム(NR)およびポリイソプレンゴム(IR)を含むイソプレン系ゴム、上記直鎖状SBR以外のSBR、ブタジエンゴム(BR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のSBR以外のジエン系ゴムやブチル系ゴムである。これらのゴム成分は、1種または2種以上を使用することができる。本実施形態のゴム組成物は、他のゴム成分として、NRおよびBRが用いられることが好ましい。これにより、得られるタイヤは、低燃費性や耐摩耗性、耐久性、ウェットグリップ性能等がバランスよく維持され、向上され得る。
<その他の成分>
ゴム組成物に好適に配合される任意成分について説明する。本実施形態のゴム組成物は、上記した成分に加え、ゴム組成物の製造に一般に使用される他の成分を配合することができる。一例を挙げると、このような任意成分は、液状SBR、充填剤、シランカップリング剤、軟化剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤等である。
(液状SBR)
液状SBRは、スチレン含量が40〜60質量%、Mwが4000〜20000であることが好ましい。また、その含有量は、ゴム成分100質量部に対して、21〜100質量部含まれることが好ましい。液状SBRが配合されることにより、グリップ性能および耐久性がバランスよく両立されやすい。
液状SBRのスチレン含量は、40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましい。また、液状SBRのスチレン含量は、60質量%以下であることが好ましく、55質量%以下であることがより好ましい。液状SBRのスチレン含量が40質量%以上であることで、グリップ性能が向上する傾向がある。一方、液状SBRのスチレン含量が60質量%以下であることで、初期グリップ性能が向上する傾向がある。なお、液状SBRは、スチレンおよびブタジエン以外の第3のモノマーから構成された三元共重合体であってもよい。
液状SBRのMwは、4000以上であることが好ましく、4500以上であることがより好ましい。また、液状SBRのMwは、20000以下であることが好ましく、15000以下であることがより好ましい。液状SBRのMwが4000以上であることで、耐摩耗性が向上する傾向がある。一方、液状SBRのMwが20000以下であることで、グリップ性能が向上する傾向がある。Mwが上記範囲内であることにより、得られるタイヤは、耐摩耗性およびグリップ性能がバランスよく両立されやすい。
液状SBRは、水素添加された水添ポリマーであることが好ましい。これにより、得られるタイヤは、耐摩耗性およびグリップ性能がバランスよく両立されやすい。水添ポリマーの水添率は特に限定されない。一例を挙げると、水添ポリマーの水添率は、40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
液状SBRは、1種または2種以上を使用することができる。
液状SBRの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、21質量部以上であることが好ましく、25質量部以上であることがより好ましく、30質量部以上であることがさらに好ましい。また、液状SBRの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることがさらに好ましい。液状SBRの含有量が21質量部以上であることで、グリップ性能が向上する傾向がある。一方、液状SBRの含有量が100質量部以下であることで、耐摩耗性が向上する傾向がある。
(充填剤)
充填剤は特に限定されない。充填剤は、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている各種充填剤から任意に選択して用いられ得る。一例を挙げると、充填剤は、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイト、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、クレー、タルク、酸化マグネシウム等である。充填剤は、併用されてもよい。これらの中でも、充填剤は、得られるタイヤにおいて、優れたグリップ性能および耐摩耗性が得られる点から、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1以上の無機充填剤を含むことが好ましく、カーボンブラックまたはシリカを含むこと、あるいは、カーボンブラックおよびシリカを含むことがより好ましい。さらに、充填剤は、カーボンブラックのみからなるものであってもよく、シリカのみからなるものであってもよい。
充填剤としてカーボンブラックが用いられる場合、カーボンブラックは特に限定されない。一例を挙げると、カーボンブラックは、汎用のカーボンブラックであってもよく、オイルファーネス法により製造されたカーボンブラックであってもよい。また、カーボンブラックは、コロイダル特性の異なるものが併用されてもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に限定されない。一例を挙げると、カーボンブラックのN2SAは、100m2/g以上であることが好ましく、105m2/g以上であることがより好ましく、110m2/g以上であることがさらに好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、290m2/g以下であることが好ましく、270m2/g以下であることがより好ましく、250m2/g以下であることがさらに好ましい。カーボンブラックのN2SAが100m2/g以上であることにより、得られるタイヤにおいて、十分なグリップ性能が示されやすい。一方、カーボンブラックのN2SAが600m2/g以下であることにより、カーボンブラックは、ゴム組成物中で分散されやすく、得られるタイヤの耐摩耗性が十分に示されやすい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックのオイル吸収量(OAN)は特に限定されない。一例を挙げると、OANは、50mL/100g以上であることが好ましく、100mL/100g以上であることがより好ましい。また、OANは、250mL/100g以下であることが好ましく、200mL/100g以下であることがより好ましく、135mL/100g以下であることがさらに好ましい。OANが50mL/100g以上であることにより、得られるタイヤにおいて、十分な耐摩耗性が示されやすい。一方、OANが250mL/100g以下であることにより、得られるタイヤにおいて、十分なグリップ性能が示されやすい。なお、OANは、例えばJIS K 6217−4 2008に準拠して測定される。
充填剤としてシリカが用いられる場合、シリカは特に限定されない。一例を挙げると、シリカは、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等である。これらの中でも、シリカは、湿式シリカであることが好ましい。シリカは、併用されてもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は特に限定されない。一例を挙げると、シリカのN2SAは、80m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、110m2/g以上であることがさらに好ましい。また、シリカのN2SAは、250m2/g以下であることが好ましく、235m2/g以下であることがより好ましく、220m2/g以下であることがさらに好ましい。シリカのN2SAが80m2/g以上であることにより、得られるタイヤにおいて、十分な耐久性が得られやすい。また、シリカのN2SAが250m2/g以下であることにより、シリカは、ゴム組成物中で分散されやすく、ゴム組成物は加工されやすい。なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される。
充填剤は1種または2種以上を使用することができる。また、充填剤がカーボンラックまたはシリカを含む場合、あるいは、カーボンブラックまたはシリカのみからなる場合にも、これらカーボンブラックまたはシリカは、それぞれ、1種または2種以上を使用するこができる。
充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、10質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることがより好ましく、50質量部以上であることがさらに好ましく、70質量部以上であることがさらに好ましく、90質量部以上であることがさらに好ましい。また、充填剤は、ゴム成分100質量部に対し、180質量部以下であることが好ましく、150質量部以下であることがより好ましく、120質量部以下であることがさらに好ましい。充填剤が上記配合割合となるよう含有されることにより、得られるタイヤは、優れたグリップ性能と耐摩耗性とを両立したものとしやすい。
(シランカップリング剤)
充填剤としてシリカが用いられる場合、シリカと、シランカップリング剤とが併用されることが好ましい。シランカップリング剤は特に限定されない。シランカップリング剤は、ゴム工業において、従来シリカと併用される任意のシランカップリング剤であってもよい。一例を挙げると、シランカップリング剤は、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、モメンティブ社から製造販売されているメルカプト系シランカップリング剤(メルカプト基を有するシランカップリング剤)、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤等である。シランカップリング剤は、併用されてもよい。
シランカップリング剤が併用される場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、4質量部以上であることが好ましく、6質量部以上であることがより好ましい。また、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、12質量部以下であることがさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量が4質量部以上であることにより、ゴム組成物における充填剤の分散性が良好となり得る。また、シランカップリング剤の含有量が20質量部以下であることにより、ゴム組成物中に充填剤が良好に分散され、得られるタイヤの補強性が向上しやすい。
(軟化剤)
軟化剤は特に限定されない。軟化剤は、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている各種軟化剤から任意に選択して用いられ得る。一例を挙げると、軟化剤は、オイル、粘着樹脂、上記した液状SBR以外の液状ポリマー等である。
オイルは特に限定されない。一例を挙げると、オイルは、ナフテンオイル、アロマオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油等である。オイルは、併用されてもよい。
オイルが含有される場合、オイルの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、45質量部以下であることがより好ましい。オイルの含有量が上記範囲内であることにより、得られるタイヤは、耐摩耗性が優れる。なお、オイルの含有量は油展で使用されたオイルの量も含むものである。
粘着樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、粘着樹脂は、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている芳香族石油樹脂等である。芳香族石油樹脂の種類は特に限定されない。一例を挙げると、芳香族石油樹脂は、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ロジン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)等である。芳香族石油樹脂は、併用されてもよい。
フェノール系樹脂は、BASF社、田岡化学工業(株)等によって製造販売されるものが例示される。クマロンインデン樹脂は、日塗化学(株)、新日鉄化学(株)、新日本石油化学(株)等によって製造販売されるものが例示される。スチレン樹脂は、アリゾナケミカル社等によって製造販売されるものが例示される。テルペン樹脂は、アリゾナケミカル社、ヤスハラケミカル(株)等によって製造販売されるものが例示される。これらの中でも、芳香族石油樹脂は、得られるタイヤにおいて、走行中のグリップ性能がより優れる点から、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、アクリル樹脂が含まれることが好ましい。
芳香族石油樹脂のMwは、1500以上であることが好ましく、2000以上であることがより好ましい。また、芳香族石油樹脂のMwは、5000以下であることが好ましく、4500以下であることがより好ましい。芳香族石油樹脂のMwが1500以上であることにより、得られるタイヤは、グリップ性能が高くなりやすい。一方、芳香族石油樹脂のMwが5000以下であることにより、得られるタイヤは、グリップ性能が高くなりやすい。
芳香族石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。また、芳香族石油樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、45質量部以下であることがより好ましい。芳香族石油樹脂の含有量が5質量部以上であることにより、得られるタイヤは、走行中のグリップ性能が向上しやすい。一方、芳香族石油樹脂の含有量が100質量部以下であることにより、得られるタイヤは、十分な耐摩耗性が示されやすい。
芳香族石油樹脂の軟化点は特に限定されない。一例を挙げると、軟化点は、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましい。また、軟化点は、170℃以下であることが好ましく、160℃以下であることがより好ましい。軟化点が60℃以上であることにより、得られるタイヤは、走行中における優れたグリップ性能が示されやすい。また、軟化点が170℃以下であることにより、得られるタイヤは、優れた初期グリップ性能が示されやすい。なお、軟化点は、JIS K 6220−1:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度として定義され得る。
上記した液状SBR以外の液状ポリマー(その他の液状ポリマー)は特に限定されない。一例を挙げると、その他の液状ポリマーは、液状スチレンイソプレンポリマー等である。その他の液状ポリマーは、併用されてもよい。
その他の液状ポリマーが含有される場合、その他の液状ポリマーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、その他の液状ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましい。また、液状ポリマーの含有量は、ゴム成分100質量部に対し、50質量部以下であることが好ましく、45質量部以下であることがより好ましい。その他の液状ポリマーの含有量が上記範囲内であることにより、得られるタイヤは、耐摩耗性が優れる。
(老化防止剤)
老化防止剤は特に限定されない。老化防止剤は、従来、タイヤ用ゴム組成物において汎用されている各種老化防止剤から任意に選択して用いられ得る。一例を挙げると、老化防止剤は、キノリン系老化防止剤、キノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤等である。老化防止剤は、併用されてもよい。
老化防止剤が含有される場合、老化防止剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、0.8質量部以上であることがより好ましい。また、老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。老化防止剤の含有量が上記範囲内である場合、充填剤は、良好に分散されやすい。また、得られるゴム組成物は、混練されやすい。
(加硫剤)
加硫剤は、ゴム工業において通常使用される加硫剤であれば特に限定されない。一例をあげると、硫黄や、カプロラクタムジスルフィド等の硫黄供与体である。加硫剤としての硫黄は、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、オイル処理硫黄等である。加硫剤は、併用されてもよい。
加硫剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、0.6質量部以上であることがより好ましい。また、加硫剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、5質量部以下であることが好ましく、4質量部以下であることがより好ましく、3質量部以下であることがさらに好ましい。加硫剤の含有量が0.5質量部以上であることにより、ゴム組成物は、良好な加硫反応が進行されやすい。また、加硫剤の含有量が5質量部以下であることにより、得られるタイヤは、グリップ性能および耐摩耗性がバランスよく両立されやすい。
(加硫促進剤)
加硫促進剤は特に限定されない。一例を挙げると、加硫促進剤は、グアニジン系加硫促進剤、アルデヒド−アミン系加硫促進剤、アルデヒド−アンモニア系加硫促進剤、チアゾリル系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、チオ尿素系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバメート系加硫促進剤、ザンデート系加硫促進剤等である。これらの中でも、チアゾリル系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤が好ましい。加硫促進剤は、併用されてもよい。
チアゾリル系加硫促進剤としては、特に、ベンゾチアゾリルスルフィド基を有する加硫促進剤が好ましい。ベンゾチアゾリルスルフィド基を有する加硫促進剤は特に限定されず、一例を挙げると、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BEHZ)、N,N−ジ(2−メチルヘキシル)−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BMHZ)、N−エチル−N−t−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド(ETZ)等のスルフェンアミド系加硫促進剤、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンイミド(TBSI)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)等である。なかでも、DMが好ましい。チアゾリル系加硫促進剤は、併用されてもよい。
チウラム系加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT−N)などが挙げられ、なかでも、TOT−Nが好ましい。チウラム系加硫促進剤は、併用されてもよい。
加硫促進剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。また、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し、10質量部以下であることが好ましく、9質量部以下であることがより好ましい。加硫促進剤の含有量が0.5質量部以上であることにより、ゴム組成物は、加硫時に十分な加硫速度が得られやすい。また、加硫促進剤の含有量が10質量部以下であることにより、得られるタイヤは、ブルーミングが生じにくい。
(ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間)
ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間は5〜30分である。該混練時間が5分未満であると十分な耐摩耗性を得ることができない。また、該混練時間が30分超であると、十分なグリップ性能を得ることができず、耐摩耗性も低下する傾向にある。
ここで、「ベース練り」とは、ゴム組成物の調製に際して各成分を混練するときに、まず、加硫剤および加硫促進剤以外の成分を混練する段階をいう。これに対し、ベース練りの混練物に、さらに加硫剤および加硫促進剤を加えて混練する段階を、「仕上練り」という。また、「ベース練りの際のゴム実温度」とは、ベース練りに付されている、ゴム成分を含む混合物の表面温度をいう。「ベース練りの際のゴム実温度」は、非接触式の温度センサなどでゴム組成物の表面温度を測定することにより測定される。
所定の混練時間が確保されるベース練りにおける温度条件(ベース練りの際のゴム実温度)は、145℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
<製造方法>
ゴム組成物、タイヤ部材(例えば、トレッド)およびタイヤの製造方法について説明する。
(ゴム組成物の製造方法)
スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物の製造方法は、ゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるベース練り工程を含んでなる製造方法である。
より詳しくは、該ゴム組成物の製造方法は、
(1)上記した各成分のうち、加硫剤および加硫促進剤以外の成分を混練りするベース練り工程(但し、ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間は5〜30分である)、
(2)ベース練り工程で得られた混練物に、加硫剤および加硫促進剤を加えて、さらに混練りする仕上練り工程
を含んでなるものである。
混練は、いずれも、バンバリーミキサー、ニーダー、オープンロール等の、ゴム工業において一般的な公知の混練機を使用して実施することができる。ベース練り工程における混練の排出温度はゴム工業における常法のとおりであり、例えば、150℃〜170℃であることが好ましい。ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間は5〜30分である。
(タイヤ部材(例えば、トレッド)およびタイヤの製造方法)
上記製造方法により得られたゴム組成物を用いて作製されるタイヤ部材(例えば、トレッド)および該タイヤ部材を備えたタイヤは、ゴム工業における常法により製造することができる。
より詳しくは、該タイヤ部材の製造方法は、
(3)上記(1)および(2)を含んでなるゴム組成物の製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、
(4)こうして得た未加硫のゴム組成物をタイヤ部材(例えば、トレッド)の形状に押出し加工して、タイヤ部材(例えば、トレッド)を得る工程、
を含んでなるものである。
また、該タイヤの製造方法は、上記(1)〜(4)の工程に加えて、
(5)上記(4)で得たタイヤ部材(例えば、トレッド)を、タイヤ成型機上で、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、
(6)こうして得た未加硫タイヤを、加硫機中で、加熱加圧してタイヤを得る工程
を含んでなるものである。
本実施形態のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わないが、空気入りタイヤであることが好ましい。また、空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤなどの高性能タイヤ、ランフラットタイヤなど各種タイヤに用いることができるが、低温域と高温域の双方でグリップ性能に優れることから、特に高性能タイヤとして好適に用いることができる。
<その他>
本願請求項1は、ゴム組成物に関する物の発明であるが、「ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分である」という製法的限定を伴うものである。このような本願請求項1に係わる発明は、後記実施例の欄を参照すれば明らかなとおり、当該混練時間が「5〜30分」の所定の範囲にある場合(実施例1や同2)には優れた耐摩耗性およびグリップ性能を示す一方で、該混練時間が「3分」や「45分」といった上記所定の範囲の範囲外となった場合(比較例3や同4)には劣る結果となっている。このことは、当該混練時間がゴム組成物の物性に影響を与え、当該混練時間の違いにより、耐摩耗性およびグリップ性能の異なるゴム組成物が製造されていることを示している。
しかし、このようなゴム組成物間の差異を、その構造または特性により直接特定しようとしても、どのような指標・パラメータを用いれば必要かつ十分な特定となるのか明らかでない。したがって、そのような特定を強いるのは、先願主義を採用する我が国において、少なくともおよそ実際的ではない。よって、本願請求項1は、製法的限定を伴うものの、不明確な発明には当たらない。
実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。本発明は、これら実施例に限定されない。
<実施例および比較例で使用した各種薬品>
SBR1:後述のSBR1の製造方法により調製した直鎖状SBR(油展(ゴム固形分100質量部に対してオイル分が37.5質量部含まれる)、スチレン含量:40質量%、ビニル含量:40%、Mw:120万、5質量%トルエン溶液粘度:390mPa・s)
SBR2:後述のSBR2の製造方法により調製した分岐状SBR(油展(ゴム固形分100質量部に対してオイル分が37.5質量部含まれる)、スチレン含量:40質量%、ビニル含量:40%、Mw:120万、5質量%トルエン溶液粘度:340mPa・s)
充填剤:シースト9H(N2SA:142m2/g、東海カーボン(株)から入手可能)
液状SBR:RICON100(液状SBR、スチレン量:25質量%、Mw:4500、Cray valley社から入手可能)
樹脂:クマロンV120(クマロンインデン樹脂、軟化点:120℃、日塗化学(株)から入手可能)
老化防止剤:ノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)から入手可能)
ワックス:オゾエース0355(日本精蝋(株)から入手可能)
ステアリン酸:桐(日油(株)から入手可能)
酸化亜鉛:酸化亜鉛2種(三井金属鉱業(株)から入手可能)
硫黄:粉末硫黄((株)軽井沢製錬所から入手可能)
加硫促進剤1(DM):ノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2(TOT):ノクセラーTOT−N(テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興化学工業(株)から入手可能)
硫黄供与体:CLD80(80質量%のカプロラクタムジスルフィドを含む。Rhein Chemi Corp.から入手可能)
SBR1およびSBR2の製造方法において用いた各種薬品を以下に示す。
ヘキサン:関東化学(株)製
1.6Mのn−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製
イソプロパノール:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、関東化学(株)製
テトラクロロシラン
<SBR1の製造方法>
十分に窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器に、ヘキサン1000g、ブタジエン60g、スチレン40g、およびTMEDA20mmolを投入した。次に、重合開始剤の失活に作用する不純物をあらかじめ無毒化するために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を重合容器に投入した。さらに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量として0.083mmol)を加え、50℃で3時間重合反応を行った。その後、1Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を1500mL滴下し、反応を終了させた。次に、重合液を24時間室温で蒸発させ、さらに80℃で24時間減圧乾燥し、SBR1を得た。
<SBR2の製造方法>
十分に窒素置換した3Lの耐圧ステンレス容器に、ヘキサン1000g、ブタジエン60g、スチレン40g、およびTMEDA20mmolを投入した。次に、重合開始剤の失活に作用する不純物をあらかじめ無毒化するために、スカベンジャーとして少量のn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液を重合容器に投入した。さらに、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(n−ブチルリチウムの含有量として0.332mmol)を加え、50℃で3時間重合反応を行った。テトラクロロシランを0.083mmol加えた。その後、1Mイソプロパノール/ヘキサン溶液を1500mL滴下し、反応を終了させた。次に、重合液を24時間室温で蒸発させ、さらに80℃で24時間減圧乾燥し、SBR2を得た。
実施例1〜2および比較例1〜4
<未加硫ゴム組成物>
(ベース練り)
以下の表1に示される配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、加硫剤(硫黄および硫黄供与体)並びに加硫促進剤以外の薬品を排出温度160℃になるまで混練りし、混練物を得た。この際、各実施例・比較例において、ゴム実温度が140℃以上の練り時間を、表1に記載のとおり変化させた。
(仕上練り)
ベース練りで得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
<試験用タイヤ>
上記で得た未加硫ゴム組成物を所定の形状の口金を備えた押し出し機でタイヤトレッドの形状に押し出し成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(サイズ:195/65R15)を製造した。
<評価>
得られた試験用タイヤについて、以下の評価方法にしたがって、耐摩耗性(耐アブレージョン性)およびグリップ性能を評価した。結果を表1に示す。
(耐摩耗性)
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車の全輪に装着し、走行距離8000km後のタイヤトレッド部の溝深さを測定し、タイヤ溝深さが1mm減るときの走行距離を求めた。結果は基準比較例のタイヤ溝が1mm減るときの走行距離を100とする指数で示した。指数が大きいほど耐摩耗性が良好であることを示す。
(グリップ性能)
各試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車の全輪に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて10周の実車走行を行った。その際のコントロールの安定性をテストドライバーが評価し、基準比較例を100として指数表示をした。指数が大きいほどグリップ性能が高いことを示す。
Figure 2020059774
表1に示されるように、実施例のタイヤは比較例のものと比べて(実施例1と比較例1との比較、および、実施例2と比較例2との比較)、優れたグリップ性能および耐摩耗性を示している。また、ベース練りにおける140℃以上の混練時間が所定の範囲内である場合に、優れたグリップ性能および耐摩耗性を示している。

Claims (9)

  1. スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物であって、ベース練りの際のゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるゴム組成物。
  2. 前記直鎖状スチレンブタジエンゴムの5質量%トルエン溶液粘度が350mPa・s以上である、請求項1記載のゴム組成物。
  3. 液状スチレンブタジエンゴム21〜100質量部をさらに含む請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. 充填剤10〜180質量部をさらに含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  5. ゴム成分が、前記直鎖状スチレンブタジエンゴム100質量%からなるものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物を用いて作製されたトレッド。
  7. 請求項6記載のトレッドを備えたタイヤ。
  8. スチレン含量が25〜50質量%、ビニル含量が35〜50%および重量平均分子量が100万〜140万である直鎖状スチレンブタジエンゴムを含むゴム成分を含むゴム組成物の製造方法であって、
    ゴム実温度140℃以上での混練時間が5〜30分であるベース練り工程を含んでなる、ゴム組成物の製造方法。
  9. タイヤの製造方法であって、
    請求項8記載のゴム組成物の製造方法により、未加硫のゴム組成物を得る工程
    該未加硫のゴム組成物をトレッドの形状に押出し加工して、トレッド部材を得る工程
    該トレッド部材をタイヤ成型機上で他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して、未加硫タイヤを得る工程、および、
    該未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤを得る工程
    を含んでなる、タイヤの製造方法。
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