JP2020059699A - 難治性癌の食事療法およびそれに適した治療食 - Google Patents

難治性癌の食事療法およびそれに適した治療食 Download PDF

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圭祐 萩原
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Noriyuki Ikeda
宣之 池田
欣也 芦田
Kinya Ashida
欣也 芦田
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中村  健太郎
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Abstract

【課題】本発明は、難治性癌の腫瘍成長抑制のための、難治性癌の治療のための、あるいは他の癌治療の効果を強化するための食事療法の提供を目的とする。【解決手段】本発明によれば、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化に用いるための、糖質制限高脂肪組成物が提供される。本発明の組成物は、組成物に含まれる固形分全体に対して約55質量%以上の脂肪を含むものとすることができる。本発明の組成物はまた、組成物に含まれる固形分全体に対して約0質量%〜約15質量%の糖質を含むものとすることができる。本発明の組成物はまた、脂肪として中鎖脂肪酸油を含むものとすることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、難治性癌の食事療法およびそれに適した治療食に関する。
近年、食生活の欧米化に伴い、胃癌に代わり大腸癌、乳癌、肺癌および前立腺癌等の欧米に多くみられる癌が増加している。早期発見により切除可能な胃癌や大腸癌等の癌腫では患者の生命予後は改善されつつあるが、難治性の癌である膵臓癌や骨肉腫等の多くは早期発見が困難であり臨床的な対応は大きな課題として存在する。既存の癌治療は、主として、外科的切除、化学療法および放射線治療であり、肺癌や膵臓癌では化学療法による治療効果は十分といえない。よって、癌患者における有効な療法の開発が更に求められており、とりわけ難治性の癌患者への新たな療法が強く求められている。
ケトン体は、アセト酢酸、β−ヒドロキシ酪酸、アセトンの総称であり、生体内では脂肪酸のβ酸化によって肝臓で合成される。ヒトは絶食状態や長時間の運動によりグルコースの供給が不足した際には、脂肪を分解して脂肪酸からケトン体を産生し、それをエネルギー源とする(非特許文献1)。体内でケトン体が多く産生されるように考案された食事として、高脂質低糖質食であるケトン食が古くから知られ、ケトン食の摂取によって血中のケトン体濃度が上昇する。ケトン食を用いた食事療法は、難治性てんかんやGLUT1欠損症の治療、難治性てんかんにおける発作抑制に有用であることが知られている(非特許文献2)。
Vidali S, et al., Int J Biochem Cell Biol. 63, 55-59 (2015) 藤井達哉、「ケトン食の基礎から実践まで」、診断と治療社(2011)
本発明は、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療または難治性癌の他の治療の効果の強化のための食事療法と、該食事療法に適した組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは今般、膵臓癌、乳癌、多発骨転移、咽頭間隙悪性腫瘍、乳腺悪性腫瘍、軟骨肉腫、星芽腫、上咽頭癌および腹壁脂肪肉腫の末期癌患者に糖質を制限した高脂肪食療法を実施して、腫瘍成長を検証したところ、腫瘍が縮小されるか、腫瘍成長が抑制され安定状態となることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化に用いるための、糖質制限高脂肪組成物。
[2]組成物に含まれる固形分全体に対して約55質量%以上の脂肪を含む、上記[1]に記載の組成物。
[3]脂肪として中鎖脂肪酸油を含む、上記[1]または[2]に記載の組成物。
[4]脂肪のうち約30質量%以上が中鎖脂肪酸油である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]組成物に含まれる固形分全体に対して約0質量%〜約15質量%の糖質を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]糖質として乳糖を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]組成物に含まれる固形分全体に対して約5質量%〜約40質量%のタンパク質を含む、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]組成物に含まれる固形分全体に対して、約25質量%〜約40質量%の長鎖脂肪酸油、約30質量%〜約50質量%の中鎖脂肪酸油、約0質量%〜約15質量%の糖質および約10質量%〜約30質量%のタンパク質を含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]脂肪摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり120g以上、または1日の総摂取エネルギーの70%以上とする、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]糖質摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり30g以下とする、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]前記組成物による1日あたりの摂取カロリーが、実質体重50kgを基準とした場合に1000kcal以上となるように摂取させる、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]前記組成物が修正アトキンス食の一部または全部を構成し、該修正アトキンス食が、
(1)最初の一週間は、実質体重を50kgを基準とした場合、1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質約60g:糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10gの比率で対象に提供され、
(2)2週目〜3か月目では、糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:糖質約20gの比率で対象に提供され、
(3)3か月目以降は、糖質の1回摂取量は、約10g/回として、1日摂取量は約30g以下とし、その他は、前記(2)に準じて対象に提供されることを特徴とする、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]難治性癌が、膵臓癌、乳癌、多発骨転移、咽頭間隙悪性腫瘍、乳腺悪性腫瘍、軟骨肉腫、星芽腫、上咽頭癌および腹壁脂肪肉腫からなる群から選択される1種または2種以上である、上記[1]〜[12]のいずれかに記載の組成物。
[14]他の癌治療と組み合わせて使用するための、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の組成物。
[15]他の癌治療が、手術療法、化学療法および放射線療法並びにこれらの一部または全部の組み合わせからなる群から選択される、上記[14]に記載の組成物。
[16]ステージ4の難治性癌患者に摂取させる、上記[1]〜[15]のいずれかに記載の組成物。
[17]パフォーマンスステータス2以下の難治性癌患者に摂取させる、上記[1]〜[16]のいずれかに記載の組成物。
[18]経口摂取用または経口投与用組成物である、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の組成物。
[19]冷凍食品、乳製品、チルド食品、栄養食品、流動食、介護食および飲料からなる群から選択されるいずれかの形態で提供される、上記[1]〜[18]のいずれかに記載の組成物。
[20]難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化に用いるための、糖質制限高脂肪食。
[21]脂肪摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり120g以上、または1日の総摂取エネルギーの70%以上とする、上記[20]に記載の糖質制限高脂肪食。
[22]糖質摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり30g以下とする、上記[20]または[21]に記載の糖質制限高脂肪食。
[23]1日あたりの摂取カロリーを、実質体重50kgを基準とした場合に1000kcal以上とする、上記[20]〜[22]のいずれかに記載の糖質制限高脂肪食。
[24]前記高脂肪食が、修正アトキンス食であり、該修正アトキンス食が、(1)最初の一週間は、実質体重を50kgを基準とした場合、1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質約60g:糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10gの比率で対象に提供され、
(2)2週目〜3か月目では、糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:糖質約20gの比率で対象に提供され、
(3)3か月目以降は、糖質の1回摂取量は、約10g/回として、1日摂取量は約30g以下とし、その他は、前記(2)に準じて対象に提供される
ことを特徴とする、上記[20]〜[23]のいずれかに記載の糖質制限高脂肪食。
[25]前記高脂肪食の一部または全部が、上記[1]〜[19]のいずれかに記載された糖質制限高脂肪組成物により構成された、上記[20]〜[24]のいずれかに記載の糖質制限高脂肪食。
[26]前記高脂肪食が、上記[1]〜[19]のいずれかに記載された糖質制限高脂肪組成物と、中鎖脂肪酸油とから構成された、上記[20]〜[25]のいずれかに記載の糖質制限高脂肪食。
[27]難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤の製造のための、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤としての、あるいは、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化のための、糖質制限高脂肪組成物の使用。
[28]前記糖質制限高脂肪組成物または前記用剤が、上記[2]〜[19]のいずれかに記載されたものである、上記[27]に記載の使用。
[29]難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤の製造のための、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤としての、あるいは、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化のための、糖質制限高脂肪食の使用。
[30]前記糖質制限高脂肪食または前記用剤が、上記[21]〜[26]のいずれかに記載されたものである、上記[29]に記載の使用。
本発明の糖質制限高脂肪食によれば、有効な治療法がないとされる難治性癌の腫瘍成長を抑制できることから、本発明は難治性癌の新たな治療法を提供するものである。本発明はまた、手術療法、化学療法および放射線療等の癌の通常の治療法と併用することで通常の癌の治療法の回数や程度を減ずることができることから、患者QOLの改善のみならず、医療費削減に寄与する点で有利である。
発明の具体的説明
<<糖質制限高脂肪食>>
本発明により提供される「糖質制限高脂肪食」とは、糖質制限された高脂肪食を意味する。ここで、「高脂肪食」は、総摂取エネルギー量に対して約30%以上のエネルギーに相当する脂肪を摂取させるものをいう。この数値は、平成17年および18年国民健康・栄養調査2,3)によれば、通常、総摂取エネルギー量の30%以上を脂質から摂取するとされていることに基づく。「高脂肪食」により摂取される脂肪量の下限値は、総摂取エネルギー量に対して約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%または約90%とすることができ、上限値は、総摂取エネルギー量に対して約95%、約90%、約85%または約80%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、「高脂肪食」は、例えば、総摂取エネルギー量に対して約50%〜約95%、約60%〜約90%、約65%〜約85%または約70%〜約80%のエネルギーに相当する脂肪を摂取させるものとすることができる。なお、本発明においてエネルギー比率は、脂肪1gあたり9kcalで計算する。「高脂肪食」はまた、実質体重50kgを基準とした場合に、1日あたり約80g以上の脂肪を摂取させるものをいう。「高脂肪食」により摂取される脂肪量の下限値は、約90g、約100g、約110g、約115g、約120g、約125g、約130g、約135g、約140g、約145gまたは約150gとすることができ、上限値は、約180g、約170g、約160g、約150、約140gとすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、「高脂肪食」は、実質体重50kgを基準とした場合に、1日あたり約80g〜約180g、1日あたり約90g〜約170g、1日あたり約100g〜約160g、1日あたり約110g〜約150gまたは1日あたり約120g〜約140gの脂肪を摂取させるものとすることができる。
また、「糖質制限」は、実質体重50kgを基準とした場合に、1日あたり約100g以下の糖質を摂取させることをいう。この数値は、2010年の厚生労働省の栄養の報告書において、「仮に基礎代謝量を1,500kcal/日とすれば、脳のエネルギー消費量は300kcal/日になり、ぶどう糖75g/日に相当する。上記のように脳以外の組織もぶどう糖をエネルギー源として利用することから、ぶどう糖の必要量は少なくとも100g/日と推定され、すなわち、消化性炭水化物の最低必要量はおよそ100g/日と推定される」と記述されていることから算出されるものであり、変動し得ることが理解される。糖質制限食により摂取される糖質量の上限値は、約90g、約80g、約70g、約60g、約50g、約40g、約35g、約30g、約25g、約20g、約15gまたは約10gとすることができ、下限値は、約5g、約10g、約15g、約20g、約25g、約30g、約60gとすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、糖質制限食は、実質体重50kgを基準とした場合に、1日あたり約60〜70g、1日あたり約5g〜約15g、1日あたり約15g〜約25gまたは1日あたり約25g〜約35gの糖質を摂取させるものとすることができる。
本発明により提供される「糖質制限高脂肪食」の好ましい態様においては、導入期の糖質制限をさらに制限してもよく、例えば、約20g/日以下あるいは約10g/日以下に制限してもよい。導入期の糖質制限をさらに限定することにより血中ケトン体(アセト酢酸、βヒドロキシ酪酸)を急速に誘導することが可能となり、その結果が癌患者の予後を改善する。但し、導入初期の食事内容は、従来の食習慣と異なることから、継続が困難であり、徐々に糖質摂取量の制限を軽減していくことで、糖質制限高脂肪食の継続が可能となり、治療効果も認められる。従って、糖質の制限量(炭水化物の摂取量)は、初期量において厳格な制限(例えば、約10g/日以下)から徐々に緩やかにするという特徴を有する限り、約10g/日→約20g/日→約30g/日等に限定されるものではない。従って、初期導入量では例えば、場合により約5〜約15g/日あるいはその前後(±約5g/日)で開始することができ、第2段階では約15〜約25g/日あるいはその前後(±約5g/日)で維持することができ、最後の維持段階では、約25〜約35g/日あるいはその前後(±約10g/日)で継続することができる。
本発明の糖質制限高脂肪食は、糖質制限(例えば、上記の1日糖質摂取量)のもとで、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース等の単糖類、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)等の二糖類、またはデンプン(アミロース、アミロペクチン)、グリコーゲン、デキストリン等の多糖類、あるいはこれらの任意の組合せを含んでもよい。本発明の糖質制限高脂肪食はまた、グルコースまたはグルコースを基本構成要素とする多糖類を含まないものとしてもよい。本発明の糖質制限高脂肪食は、腫瘍の減縮効果や予後の改善の観点から、糖質制限(例えば、上記の1日糖質摂取量)のもとで、ラクトース(乳糖)を含むものが好ましく、グルコースを含まずラクトース(乳糖)を糖質として含むものがより好ましく、実質的にラクトース(乳糖)のみを糖質として含むものが特に好ましい。
本発明の糖質制限高脂肪食は、1日摂取カロリーが約20kcal/kg体重以上(標準体重50kgで約1000kcal以上)となるように摂取させることができる。以下の理論に拘束されるものではないが、低カロリー(例えば、標準体重50kgで約600kcal/日)を回避することで、予後の改善が期待できるからである。従って、20kcal/kg体重/日以下の摂取カロリーでも、例えば、約14kcal/kg体重/日以上、約16kcal/kg体重/日以上、約18kcal/kg体重/日以上等の摂取カロリーでも、場合によっては利用することができる。あるいは本発明においては、好ましくは、約22kcal/kg体重/日以上の摂取カロリーであってもよく、約24kcal/kg体重/日以上、約26kcal/kg体重/日以上、約28kcal/kg体重/日以上等の摂取カロリーであってもよく、代表例では、約30kcal/kg体重/日の摂取カロリーが利用され得る。
本発明により提供される「糖質制限高脂肪食」の好ましい態様においては、糖質制限高脂肪か否かは、ケトン比(脂質/(タンパク質+糖質))(質量比)に基づいて判断することができ、ケトン比が約1と等しいか、あるいはそれよりも高い(脂質が多い)場合が糖質制限高脂肪食として好ましい。ケトン比が約1以上である場合はどのような比率でもよいが、例えば、約1〜約2に設定してもよく、導入時は約2であることが好ましい。タンパク質および糖質の量はケトン比がこの定義を充足する限り任意の量とすることができるが、好ましくは、1日約30g以下であり、より好ましくは1日約20g以下であり、さらに好ましくは1日約10g以下であり、あるいは時期によってこれらを組み合わせてもよい。1回の摂取量は、1日の摂取量の範囲であればどのような範囲でもよいが、好ましくは、1回約10g以下とすることができる。
本発明により提供される「糖質制限高脂肪食」のより好ましい態様においては、小児に使用される場合はアトキンス食を使用してもよく、成人には修正アトキンス食を使用してもよい。修正アトキンス食は以下のとおりである。
(1)最初の1週間は、カロリーは、実質体重をもとに約30kcal/kg体重とし脂質制限なし、タンパク質制限なし、糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10g以下を目標とする。具体的には、導入初期には、実質体重を50kgとして、1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質約60g:糖質約10gの比率とする。ケトン比(脂質/(タンパク質+糖質))は2を目標とする。その他の栄養素は制限なく摂取可能とする。必要な微量元素やビタミンはサプリメント等の使用で適宜摂取する。期間は、適宜伸縮することができ数日から数週間にしてもよい。
(2)2週目〜3か月目では、血中ケトン体の値を参考に、糖質量並びにケトンフォーミュラおよびMCTオイルによる中鎖脂肪酸の摂取量を調整する。例えば、アセト酢酸500μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸1000μmol/L以下にならないように指導し、可能であれば、アセト酢酸1000μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸2000μmol/L以上を目標にする。糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:糖質約20gの比率とし、ケトン比は約1〜約2を目標とする。カロリー補給に際しては、好ましくは、MCTオイルおよびケトンフォーミュラを使用することができる。期間は、適宜伸縮することができ2週間を少し前後してもよく、3カ月目も多少前後ずれてもよい(1、2週間または数週間のずれ程度は許容される)。
(3)3か月目以降は、炭水化物(食物繊維以外の炭水化物であり糖質に相当)の1回摂取量は、10g/回として、1日摂取量は約30g以下とし、その他は上記(2)に準じる。(2)以降であるため3カ月目がずれた場合は自ずからずれることになる。
本発明の糖質制限高脂肪食は、種々のモジュールの組合せで提供することができ、1種の栄養組成物で提供することのみならず、種々の成分(個別の食物や栄養組成物)のキットまたは組み合わせで提供されることが理解される。
<<糖質制限高脂肪組成物>>
本発明によれば、本発明の糖質制限高脂肪食に適した栄養組成物が提供される。すなわち、本発明によれば、脂肪を高含有量で含み、かつ、糖質を低含有量で含む糖質制限高脂肪組成物が提供される。このような糖質制限高脂肪組成物は、本発明の糖質制限高脂肪食で求められる摂取形態(例えば、脂肪摂取量、糖質摂取量および1日あたりの摂取カロリー)を満たすように使用することができる。
すなわち、本発明の糖質制限高脂肪組成物は脂肪を高含有量で含むものとすることができる。本発明の糖質制限高脂肪組成物における脂肪の含有比率の下限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約55質量%(好ましくは約60質量%、約70質量%、約80質量%)とすることができ、脂肪の含有比率の上限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約95質量%または約90質量%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、組成物に含まれる固形分全体に対する脂肪の含有比率の範囲は、例えば、約55質量%〜約95質量%または約55質量%〜約90質量%とすることができる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物における脂肪の含有比率は該組成物の全エネルギー量(kcal)に対する脂肪エネルギー量(kcal)の比率(%エネルギー、本明細書中、単に「%」と表記することがある)で表すことができる。該比率の下限値は約70%(好ましくは約80%、約85%、約90%)とすることができ、該比率の上限値は約95%または約90%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、本発明の糖質制限高脂肪組成物における脂肪の含有比率(組成物の全エネルギー量に対する脂肪エネルギー量の比率)の範囲は、例えば、約70%〜約95%または約80%〜約90%とすることができる。
本発明において脂肪は、低鎖脂肪酸油、中鎖脂肪酸油および長鎖脂肪酸油並びにこれらの任意の組合せであり得る。本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食に含まれる脂肪は、中鎖脂肪酸油の含有比率が高いものが好ましく、例えば、中鎖脂肪酸油の脂肪全体に対する比率の下限値は、約10質量%、約20質量%、約30質量%、約40質量%、約50質量%、約60質量%、約70質量%または約80質量%とすることができ、上限値は約90質量%、約80質量%、約70質量%または約60質量%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食における中鎖脂肪酸油の脂肪全体に対する比率の範囲は、例えば、約10質量%〜約90質量%、約20質量%〜約80質量%、約30質量%〜約80質量%または約40質量%〜約70質量%であり、好ましくは、約50質量%〜約60質量%とすることができる。
本発明において「中鎖脂肪酸油」とは、油脂中を構成する脂肪酸の長さが中鎖であるものをいい、MCT(Medium Chain Triglyceride)または中鎖脂肪酸トリグリセリドとも称され、代表的には炭素数が6〜12、好ましくは炭素数8〜12の脂肪酸で構成されるもの、炭素数8〜11の脂肪酸で構成されるもの、あるいは炭素数8〜10の脂肪酸で構成されるものを指す。一般的な油より消化吸収がよく、エネルギーになりやすい。中鎖脂肪酸としては、例えば、ヘキサン酸(カプロン酸;C6)、オクタン酸(カプリル酸;C8)、ノナン酸(ペラルゴン酸;C9)、デカン酸(カプリン酸;C10)、ドデカン酸(ラウリン酸;C12)が挙げられる。
中鎖脂肪酸油はココナッツ、パームフルーツ等のヤシ科植物等の植物体や、牛乳等の乳製品に含まれる油脂中に存在するため、これらの油脂(好ましくはパーム核油等の植物油脂)から抽出(粗抽出を含む)あるいは精製(粗精製を含む)した中鎖脂肪酸油をそのまままたは原料として使用することができる。あるいは、化学合成法による産物や市販品を中鎖脂肪酸油として使用してもよい。中鎖脂肪酸油は、例えば、日清MCTオイル、日清MCTパウダー、エキストラバージンココナッツオイル(いずれも日清オイリオグループ株式会社製)を利用することができる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物はまた、糖質の含有量が制限されたものとすることができる。本発明の糖質制限高脂肪組成物における糖質の含有比率の下限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約0質量%または約5質量%とすることができ、糖質の含有比率の上限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約15質量%または約10質量%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、組成物に含まれる固形分全体に対する糖質の含有比率の範囲は、例えば、約0質量%〜約15質量%または約5質量%〜約10質量%とすることができる。
本発明において「糖質」とは、食物繊維ではない炭水化物をいい、単糖類、二糖類、および多糖類が含まれる。単糖類としては、グルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトース等が挙げられる。二糖類としては、マルトース(麦芽糖)、スクロース(ショ糖)、ラクトース(乳糖)等が挙げられる。多糖類としては、デンプン(アミロース、アミロペクチン)、グリコーゲン、デキストリン等が挙げられる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食においては、糖質としてラクトースを含むものが好ましく、グルコースを含まずラクトースを糖質として含むものがより好ましく、実質的にラクトースのみを糖質として含むものが特に好ましい。本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食がラクトースを含む場合、例えば、全糖質のうち約10質量%以上、約20質量%以上、約30質量%以上、約40質量%以上、約50質量%以上、約60質量%以上、約70質量%以上、約80質量%以上、約90質量%以上をラクトースとすることができ、好ましくは、すべての糖質(糖質の100質量%)をラクトースとすることができる。
本発明において「炭水化物」とは、単糖を構成成分とする有機化合物をいう。本発明の糖質制限高脂肪組成物および高脂肪食の文脈において使用される「炭水化物」は、食物繊維以外の炭水化物、すなわち糖質を指し、「炭水化物」と「糖質」は互換可能に使用される。
本発明の糖質制限高脂肪組成物はまた、タンパク質を含んでいてもよい。本発明の糖質制限高脂肪組成物におけるタンパク質の含有比率の下限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約5質量%または約10質量%とすることができ、タンパク質の含有比率の上限値は、組成物に含まれる固形分全体に対して約40質量%または約20質量%とすることができる。これらの下限値および上限値はそれぞれ任意に組み合わせることができ、組成物に含まれる固形分全体に対するタンパク質の含有比率の範囲は、例えば、約5質量%〜約40質量%または約10質量%〜約20質量%とすることができる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物の好ましい態様としては、組成物に含まれる固形分全体に対して、約25質量%〜約40質量%の長鎖脂肪酸油、約30質量%〜約50質量%の中鎖脂肪酸油、約0質量%〜約15質量%の糖質および約10質量%〜約30質量%のタンパク質を含む組成物が挙げられる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物の好ましい態様としてはまた、ケトン比(脂質/(タンパク質+糖質))(質量比)が約1以上(好ましくは約2以上、より好ましくは約2.5以上)である組成物が挙げられ、ケトン比の上限値は例えば約4または約3.5とすることができる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物のより好ましい態様としては、ケトンフォーミュラ(817−B;株式会社明治製)およびこれと同等の組成を有する組成物並びにその改変物(例えば、ケトンフォーミュラ(817−B)において糖質および/またはタンパク質をさらに低減したもの(例えば、ケトンフォーミュラ(817−B)において各成分について独立して±約5%、±約10%、±約15%、±約20%または±約25%変更したもの))が挙げられる。ケトンフォーミュラ(817−B)の組成は、後記表1および表2に示される通りである。
本発明の糖質制限高脂肪組成物は、本発明の糖質制限高脂肪食(好ましくは修正アトキンス食)として用いることができる。本発明の好ましい態様においては、本発明の糖質制限高脂肪組成物を、修正アトキンス食の一部または全部を構成するものとすることができ、より好ましくは、本発明の糖質制限高脂肪組成物を中鎖脂肪酸油と組合せて修正アトキンス食の一部または全部を構成するものとすることができる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物は、後述のように経口摂取させるか、あるいは経口投与するものであることから、食品組成物として提供することができる。本明細書において、「食品」とは、栄養素を1種以上含む天然物およびその加工品をいい、あらゆる飲食物を含み、例えば弁当の形態やレストランや給食として提供される一式の食事形態を含む。「食品」は、ヒト以外の哺乳動物を対象として使用される場合には、飼料を含む意味で用いることができる。食品としては、例えば、冷凍食品、乳製品、チルド食品、栄養食品、流動食、介護食、飲料等が挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本発明の糖質制限高脂肪組成物は、胃瘻(いろう)により提供される場合がある。末期癌患者が、食物を経口摂取することが不可能または困難な場合があるからである。本発明の糖質制限高脂肪組成物は、中鎖脂肪酸油および/またはケトンフォーミュラを添加することにより調製されてもよい。本発明の糖質制限高脂肪組成物はあらかじめ栄養素の組成が調整された組成物であることから、本発明の糖質制限高脂肪食を実施する点で有利である。
<<用途>>
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食は、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および他の癌治療の効果の強化のいずれかまたはすべてに用いることができる。従って、本発明の糖質制限高脂肪組成物は医薬品(例えば医薬組成物)として用いることができ、本発明の糖質制限高脂肪食は治療食(medical diet)として用いることができる。
難治性癌は、ステージ4(ステージIV)の末期癌、切除困難な癌、早期発見が困難な癌、転移性の癌等の、従来治療が難しいとされていた種類やステージの癌が挙げられ、例えば、膵臓癌(転移性のものを含む)、乳癌(転移性のものを含む)、多発骨転移、咽頭間隙悪性腫瘍、乳腺悪性腫瘍(転移性のものを含む)、軟骨肉腫、星芽腫、上咽頭癌、腹壁脂肪肉腫が挙げられる。
本発明において「転移」(metastasis)とは、癌が体の原発部位から他の領域に広がるか、移って新しい場所に類似した癌性の病巣が発達する過程を指す。「転移性」または「転移する」細胞は、隣接細胞との接着性接触を失い、血流またはリンパを通して疾患の原発部位から移動して、近隣の体構造に侵入する細胞である。
本発明において「腫瘍成長抑制」とは、腫瘍の大きさを減少させることのみならず、腫瘍の成長を見かけ上停止させる(すなわち、腫瘍の大きさが維持される)ことを含む意味で用いられるものとする。また、本発明において「治療」は、症状の緩和および寛解並びに疾患進行速度の低下を含む意味で用いられるものとする。
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食は、他の癌治療と組み合わせて使用することが好ましい。他の癌治療としては、癌の治療として使用されているものであれば、どのようなものも利用することができ、例えば、手術療法(例えば、切除・摘出術)、化学療法および放射線療法等が挙げられる。本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食を他の癌治療と組み合わせて使用することにより、癌治療の効果を強化することができる。すなわち、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食は既存の癌治療を補助するために使用することができ、既に治療を受けている難治性癌患者に対して追加で実施することができる。
手術療法とは、癌の病巣を切除し、その臓器の周辺組織やリンパ節に転移があれば、一緒に切り取るあるいは臓器自体を摘出することをいう。早期の癌や、ある程度進行している癌でも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われる。切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術等も開発されており、これらも手術療法に含まれる。
化学療法とは、主に、抗癌剤によって癌細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法である。抗癌剤の投与方法は、点滴や注射、内服等がある。血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果がある。ホルモン療法(内分泌療法)もこの化学療法に含まれることがある。
放射線療法とは、癌の病巣部に放射線を照射して、癌細胞を死滅させる局所療法である。治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、癌の大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能である。体の外側から放射線を照射する「外部照射」だけでなく、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」がある。放射線療法に使われる放射線としてX線がよく使用されるが、粒子線を使う陽子線治療や重粒子線(炭素イオン線)治療も利用され得る。
本発明において対象となる患者はどのような状態でも対象とすることができるが、食事療法を支障なく実施する観点から、患者はパフォーマンスステータス(PS)2以下であることが好ましい。また、糖尿病患者は別途糖質の制限をする必要があるため、本発明において対象となる患者は、糖尿病を合併していないものとすることができる。但し、糖質を糖尿病にも対応するよう適宜制限することで、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食による癌治療等を併用することができる。後記実施例に記載のオープントライアル試験において糖尿病患者を除外したのは、倫理委員会に提出した際に、安全性を優先したからであり、糖質制限を行っても、筋肉や肝臓からの糖質の供給で、低血糖が起こらないことが確認できているので、糖尿病患者でも本発明は実施可能である。
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食を摂取させうる対象としては、任意の哺乳動物を挙げることができ、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット等のげっ歯類;ウサギ等のウサギ目;ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジ等の有蹄目;イヌ、ネコ等のネコ目;ヒト、サル、アカゲザル、カニクイザル、マーモセット、オランウータン、チンパンジー等の霊長類が挙げられる。哺乳動物は、好ましくはげっ歯類(マウス等)または霊長類(ヒト等)であり、より好ましくは霊長類、さらに好ましくはヒトである。
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食は、経口摂取させるか、あるいは経口投与することができるが、場合によっては、点滴、胃瘻等により摂取させるか、あるいは投与してもよい。従って、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食は、輸液の形態で提供されうる。
本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食の摂取頻度は、通常1日に3回に分けて摂取されるが、1日2回、または1回でもよく、逆に4回でも5回でもよいことが理解される。上述のように、導入期(通常最初の一週間)、遷移期(通常2週間から3カ月)、および維持期(通常3カ月経過後)に別々の処方がされることから、摂取方法あるいは投与方法を適宜変更してもよく、あるいは同一であってもよい。
<<食事療法>>
本発明の食事療法は、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化のための方法であり、本発明の糖質制限高脂肪食を対象に提供することにより実施することができる。すなわち、本発明によれば、本発明の糖質制限高脂肪食を、それを必要とする対象に提供することを含んでなる、難治性癌の腫瘍成長抑制方法、難治性癌の治療方法および癌治療の効果の強化方法と、本発明の糖質制限高脂肪組成物を、それを必要とする対象に摂取させることを含んでなる、難治性癌の腫瘍成長抑制方法、難治性癌の治療方法および癌治療の効果の強化方法が提供され、これらは本発明の食事療法に包含される。
本発明の食事療法(すなわち、本発明の難治性癌の腫瘍成長抑制方法、難治性癌の治療方法および癌治療の効果の強化方法)は、下記工程を含むものとすることができる:
(1)実質体重をもとに約30±10kcal/kg体重のカロリーで、脂質制限なし、タンパク質制限なし、糖質(食物繊維以外の炭水化物)約40g以下、望ましくは10g以下で最初の約1週間(期間は、適宜伸縮することができ数日から数週間にしてもよい)対象に食事を提供する工程(好ましくは、実質体重を50kgとして1日カロリー約1500±500kcal、脂質約110〜170g:タンパク質約35〜85g:糖質約10〜40gの比率(ケトン比(脂質/(タンパク質+糖質))は約2±1)で対象に食事を提供し、その他の栄養素は制限なく摂取可能とし、必要な微量元素やビタミンはサプリメント等の使用で適宜摂取させる工程);
(2)約2週目〜約3か月目(期間は、適宜伸縮することができ約2週間を少し前後してもよく、3カ月目も多少前後ずれてもよい(1、2週間または数週間のずれ程度は許容される))において、糖質の1日摂取量は約40g以下とし、1日カロリー約1200〜約2000kcal、脂質約90〜170g:タンパク質約45〜95g:炭水化物約10〜40gの比率とし、ケトン比は約1〜約2を目標として対象に食事を提供する工程であって、場合によっては、血中ケトン体の値を参考に、アセト酢酸約500±100μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸約1000±200μmol/L以下にならないように指導し、可能であれば、アセト酢酸約1000±200μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸約2000±400μmol/L以上を目標にする工程(好ましくは、上記工程において中鎖脂肪酸油および本発明の糖質制限高脂肪組成物を用いて食事を提供する工程、より好ましくは、上記工程において中鎖脂肪酸油およびケトンフォーミュラ(817−B)またはその改変物を用いて対象に食事を提供する工程);および
(3)3か月目以降(上記(2)の終期がずれた場合は自ずからずれることになる)において、糖質の1回摂取量を約30g以下/回として、1日摂取量を約75g以下、望ましくは30g以下とし、その他は、上記(2)に準じて対象に食事を提供する工程。
本発明の食事療法(すなわち、本発明の難治性癌の腫瘍成長抑制方法、難治性癌の治療方法および癌治療の効果の強化方法)は、前記修正アトキンス法に従って実施することができ、下記工程を含むものとすることができる:
(1)実質体重をもとに約30kcal/kg体重のカロリーで、脂質制限なし、タンパク質制限なし、糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10g以下で最初の約1週間(期間は、適宜伸縮することができ数日から数週間にしてもよい)対象に食事を提供する工程(好ましくは、実質体重を50kgとして1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質的約60g:糖質約10gの比率(ケトン比(脂質/(タンパク質+炭水化物))は約2)で対象に食事を提供し、その他の栄養素は制限なく摂取可能とし、必要な微量元素やビタミンはサプリメント等の使用で適宜摂取させる工程);
(2)約2週目〜約3か月目(期間は、適宜伸縮することができ約2週間を少し前後してもよく、3カ月目も多少前後ずれてもよい(1、2週間または数週間のずれ程度は許容される))において、糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:炭水化物約20gの比率とし、ケトン比は約1〜約2を目標として対象に食事を提供する工程であって、場合によっては、血中ケトン体の値を参考に、アセト酢酸約500μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸約1000μmol/L以下にならないように指導し、可能であれば、アセト酢酸約1000μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸約2000μmol/L以上を目標にする工程(好ましくは、上記工程において中鎖脂肪酸油および本発明の糖質制限高脂肪組成物を用いて食事を提供する工程、より好ましくは、上記工程において中鎖脂肪酸油およびケトンフォーミュラ(817−B)またはその改変物を用いて対象に食事を提供する工程);および
(3)3か月目以降(上記(2)の終期がずれた場合は自ずからずれることになる)において、糖質の1回摂取量を約10g/回として、1日摂取量を約30g以下とし、その他は、上記(2)に準じて対象に食事を提供する工程。
本発明の別の面によれば、中鎖脂肪酸油を含む、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または難治性癌の他の治療の効果の強化に用いるための、組成物が提供される。この組成物の好ましい形態によれば、組成物に含まれる固形分全体に対して約30質量%以上、約40質量%以上、約50%質量以上、約60質量%以上、約70質量%以上、約80質量%以上の中鎖脂肪酸油を含む組成物が提供され、より好ましくは組成物に含まれる固形分全体に対して約90質量%以上の中鎖脂肪酸を含む組成物が提供される。
本明細書の記載は、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食を非治療目的および治療目的のいずれで使用する場合にも適用があり、治療目的の場合には摂取は投与に読み替えることができる。
本明細書において「質量」は特に断らない限り、固形分換算値である。また本明細書において「固形分」とは、水分を除いた成分を意味する。
本明細書において記載される脂肪、糖質またはタンパク質の1日摂取量のグラム数は、実質体重50kgを基準としている。本明細書において使用される「実質体重」とは、現実の体重をいう。当業者であれば、実質体重が異なれば、1日摂取量のグラム数も変動し得ることを理解する。例えば、実質体重が80kgの場合、実質体重50kgを基準とした摂取量の1.6倍の摂取量となることが理解される。
本発明の別の側面によれば、糖質制限高脂肪組成物を含んでなる、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤が提供される。
本発明の別の側面によればまた、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤の製造のための、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤としての、あるいは、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化のための、糖質制限高脂肪組成物の使用が提供される。
本発明の別の側面によればまた、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤の製造のための、難治性癌の腫瘍成長抑制剤、難治性癌の治療剤および/または癌治療の効果の強化剤としての、あるいは、難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化のための、糖質制限高脂肪食の使用が提供される。
本発明の用剤および使用は、本発明の糖質制限高脂肪組成物および本発明の糖質制限高脂肪食に関する記載に従って実施することができる。
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、「約」が付された数値は特に断らない限り、その有効数字を示す。また、「下限値」として示された数値は、その数値「以上」の場合と、その数値を「超える」場合のいずれをも含むものとする。また、「上限値」として示された数値は、その数値「以下」の場合と、その数値「未満」の場合のいずれをも含むものとする。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。臨床試験はヘルシンキ宣言に従うとともに、大阪大学内の基準に従って行った。
例1:ケトン食による難治性癌の抑制効果
本実施例では、13人の癌患者について単施設オープントライアル試験を行った。
(1)被験者の選抜
ア 適応基準
切除標本や生検による病理により診断された癌患者で、ステージ4、PS2以下の患者を対象とする。患者本人ならびに家族が食事療法を継続することを了承している患者を対象とする。
イ 除外基準
経口摂取不可能な癌患者またはPS3以上の癌患者は対象外とする。また、糖尿病を合併している患者も対象外とする。
ウ 評価項目
選抜した患者について、ケトン食導入前後でのPET−CTによる画像を評価した。具体的には、ケトン食開始前の画像と、ケトン食開始から3か月後の画像を評価した。
(2)試験方法
様々な癌の患者に対して通常の治療(手術療法、化学療法、放射線療法、)に加えて、ケトン食療法を実施した。具体的には、ケトン食として修正アトキンス食を指導した。ケトン食導入の際には、一時的な低血糖、嘔気、倦怠感等が出現することを説明し、実際の栄養学的な指導は、てんかん患者を対象にケトン食の指導を長年実施した栄養士の指導のもとで行った。調理対象者は、栄養指導に同席して行った。ケトン食療法の詳細は以下の通りであった。
ア 最初の1週間は、カロリーは、実質体重をもとに30kcal/kgとし、脂質制限なし、タンパク質制限なし、炭水化物(食物繊維以外の炭水化物であり糖質に相当、以下同様。)の1日摂取量は10g以下を目標とした。具体的には、体重を50kgとして、1日当たり摂取カロリー1500kcalとし、脂質140g:タンパク質60g:炭水化物10gの比率とした。ケトン比[脂質(g):(タンパク質(g)+炭水化物(g))]は2を目標とした。その他の栄養素は制限なく摂取可能とした。必要な微量元素やビタミンはサプリメント等を使用して適宜摂取させた。ケトン食導入に際しては、栄養士が作成したメニューに従った食事を摂取させた。
イ 2週目〜3か月目では、血中ケトン体の値を参考に、糖質量並びにケトンフォーミュラおよびMCTオイルによる中鎖脂肪酸の摂取量を調整した。血中ケトン体の値は、アセト酢酸500μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸1000μmol/L以下にならないように指導し、可能であれば、アセト酢酸1000μmol/L以上、βヒドロキシ酪酸2000μmol/L以上を目標にした。炭水化物の1日摂取量は20g以下として、1日当たり摂取カロリー1400〜1600kcalとし、脂質120〜140g:タンパク質70g:炭水化物20gの比率とした。また、カロリー補給に際しては、中鎖脂肪酸油(MCTオイル、日清オイリオグループ株式会社製)およびケトンフォーミュラ(817−B、明治社製)を使用した。ケトンフォーミュラ(817−B)の組成は表1に示される通りであった。
Figure 2020059699
ケトンフォーミュラ(817−B)は、上記主成分の他、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、リン、塩素、鉄、銅および亜鉛を含んでおり、その組成は以下の通りである。
Figure 2020059699
ウ 3か月目以降は、炭水化物の1回摂取量を10gとして、1日摂取量は30g以下とし、その他はイに準じた。
ケトン食(Ketogenic Dietともいう。脂質75〜80%)は小児てんかん患者に対して長期投与が行われており、その安全性も確かめられているため、2010年版COCHRANE LIBRARYに記載されており、実際の方針については同文献も参考として援用した。導入初期に、嘔気、倦怠感、低血糖等が一時的にみられることがあるが、十分対処可能であることが確認されている。脂質の多い食事になるため、嗜好の問題により、ケトン食を継続できない患者が一定の割合で出る可能性がある。これらの問題に対して、栄養士と共同して対処していくことができる。
(3)評価方法
癌に対する治療効果は、ケトン食導入前後でのPET−CTによる画像をRECISTガイドライン(Therasse P, et al., J Natl Cancer Inst, 2000, Vol 92, No. 3, 205-216)に則って判定した。
(4)結果
結果は、表3に示す通りであった。なお、腫瘍が30%以上小さくなった「部分奏功(partial response)」をPR、腫瘍のサイズが変わらない「安定(stable disease)」をSDと表記した。
Figure 2020059699
表3の結果から、ケトン食療法は、膵臓癌について1例で部分奏功および2例で安定が認められ、乳癌について3例で安定が認められた。また、多発骨転移について1例で部分奏功が認められ、咽頭間隙悪性腫瘍、乳腺悪性腫瘍、軟骨肉腫、星芽腫、上咽頭癌および腹壁脂肪肉腫について各1例で安定が認められた。以上の結果から、本発明の食事療法は難治性の癌種に対して腫瘍成長を抑制し、治療効果を有することが確認された。

Claims (26)

  1. 難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化に用いるための、糖質制限高脂肪組成物。
  2. 組成物に含まれる固形分全体に対して約55質量%以上の脂肪を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 脂肪として中鎖脂肪酸油を含む、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 脂肪のうち約30質量%以上が中鎖脂肪酸油である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 組成物に含まれる固形分全体に対して約0質量%〜約15質量%の糖質を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 糖質として乳糖を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 組成物に含まれる固形分全体に対して約5質量%〜約40質量%のタンパク質を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 組成物に含まれる固形分全体に対して、約25質量%〜約40質量%の長鎖脂肪酸油、約30質量%〜約50質量%の中鎖脂肪酸油、約0質量%〜約15質量%の糖質および約10質量%〜約30質量%のタンパク質を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 脂肪摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり120g以上、または1日の総摂取エネルギーの70%以上とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 糖質摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり30g以下とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 前記組成物による1日あたりの摂取カロリーが、実質体重50kgを基準とした場合に1000kcal以上となるように摂取させる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 前記組成物が修正アトキンス食の一部または全部を構成し、該修正アトキンス食が、
    (1)最初の一週間は、実質体重を50kgを基準とした場合、1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質約60g:糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10gの比率で対象に提供され、
    (2)2週目〜3か月目では、糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:糖質約20gの比率で対象に提供され、
    (3)3か月目以降は、糖質の1回摂取量は、約10g/回として、1日摂取量は約30g以下とし、その他は、前記(2)に準じて対象に提供される
    ことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 難治性癌が、膵臓癌、乳癌、多発骨転移、咽頭間隙悪性腫瘍、乳腺悪性腫瘍、軟骨肉腫、星芽腫、上咽頭癌および腹壁脂肪肉腫からなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 他の癌治療と組み合わせて使用するための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 他の癌治療が、手術療法、化学療法および放射線療法並びにこれらの一部または全部の組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
  16. ステージ4の難治性癌患者に摂取させる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
  17. パフォーマンスステータス2以下の難治性癌患者に摂取させる、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
  18. 経口摂取用または経口投与用組成物である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
  19. 冷凍食品、乳製品、チルド食品、栄養食品、流動食、介護食および飲料からなる群から選択されるいずれかの形態で提供される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
  20. 難治性癌の腫瘍成長抑制、難治性癌の治療および/または癌治療の効果の強化に用いるための、糖質制限高脂肪食。
  21. 脂肪摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり120g以上、または1日の総摂取エネルギーの70%以上とする、請求項20に記載の糖質制限高脂肪食。
  22. 糖質摂取量を、実質体重50kgを基準とした場合に1日あたり30g以下とする、請求項20または21に記載の糖質制限高脂肪食。
  23. 1日あたりの摂取カロリーを、実質体重50kgを基準とした場合に1000kcal以上とする、請求項20〜22のいずれか一項に記載の糖質制限高脂肪食。
  24. 前記高脂肪食が、修正アトキンス食であり、該修正アトキンス食が、
    (1)最初の一週間は、実質体重を50kgを基準とした場合、1日カロリー約1500kcal、脂質約140g:タンパク質約60g:糖質(食物繊維以外の炭水化物)約10gの比率で対象に提供され、
    (2)2週目〜3か月目では、糖質の1日摂取量は約20g以下とし、1日カロリー約1400〜約1600kcal、脂質約120〜約140g:タンパク質約70g:糖質約20gの比率で対象に提供され、
    (3)3か月目以降は、糖質の1回摂取量は、約10g/回として、1日摂取量は約30g以下とし、その他は、前記(2)に準じて対象に提供される
    ことを特徴とする、請求項20〜23のいずれか一項に記載の糖質制限高脂肪食。
  25. 前記高脂肪食の一部または全部が、請求項1〜19のいずれか一項に記載された糖質制限高脂肪組成物により構成された、請求項20〜24のいずれか一項に記載の糖質制限高脂肪食。
  26. 前記高脂肪食が、請求項1〜19のいずれか一項に記載された糖質制限高脂肪組成物と、中鎖脂肪酸油とから構成された、請求項20〜25のいずれか一項に記載の糖質制限高脂肪食。

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