JP2020059687A - シアノ基を有する芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

シアノ基を有する芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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耕一 光藤
大樹 萬代
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大樹 萬代
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Abstract

【課題】毒性が少なく、反応後の処理が容易であり、更に位置選択性が高い、芳香族ニトリル化合物の製造方法を提供する。【解決手段】下式で例示される、非置換又は電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物1aと、シアン化剤である第4級アンモニウム・シアニドと、遷移金属フリーな触媒であるフェナントロリン化合物と、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性有機溶媒とを含む混合物を、反応温度110〜180℃の範囲に加熱してシアノ化反応を行う、芳香族ニトリル化合物2aの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、シアノ基を有する芳香族化合物の製造方法に関する。
現在、芳香族上にシアノ基を有する芳香族化合物は、製薬、農薬、顔料、染料など様々な分野で用いられる化合物である(下記化学式で表される各種のシアノ基を有する芳香族化合物参照)。そのため、芳香族上にシアノ基を効率的に導入する方法は学術的にも工業的にも強く求められている。
また、シアノ基を有する芳香族化合物は、加水分解や水和反応、還元、環化付加、求核付加等により、様々な置換基に変換ができる(下記に示すシアノ基からの置換基変換参照)。そのためシアノ基を有する芳香族化合物は、有機合成において非常に有用な合成中間体になる。その例として、下記に示すシアノ基からの置換基変換に示すように天然物のフルボキサミン(Fluvoxamine)は、シアノ基を有する芳香族化合物から誘導することで合成することが可能である。
シアノ基を有する芳香族化合物の合成法(芳香族化合物のシアノ化反応)としては、遷移金属を用いた下記の手法が知られている。
1.ザンドマイヤー(Sandmeyer)反応
アリールアミンに亜硝酸ナトリウムとハロゲン化水素やシアン化水素または亜硝酸tert−ブチル(t−BuONO)等の亜硝酸アルキルを作用させることでジアゾニウム塩が生成することは広く知られている。ザンドマイヤーは発生させたジアゾニウム塩に対してシアン化銅を作用させることでアリールニトリルが得られることを見出した(下記スキーム1参照)。芳香族化合物にシアノ基を導入する最も古典的な反応である。本法はアリールアミンからワンポットでの反応が可能であり、比較的に温和な条件で反応が可能である。そのためアリールニトリルの工業的な合成法として用いられている。
2.ローゼンムント・フォンブラウン(Rosenmund−von Braun)反応
ローゼンムントらは反応温度200℃、アルコール溶媒中でシアン化カリウムとシアン化銅を作用させることで芳香族上にカルボン酸を導入できることを見出した(下記スキーム2.(a)参照)。本反応は合成の過程で中間体としてアリールニトリルが生成していると考えられた。その後、ポングラッツ(Pongratz)とフォンブラウン(von Braun)らが反応条件を検討することでアリールハライドからアリールニトリルを得る反応を見出した(下記スキーム2.(b)参照)。本反応は高い温度を要するものの一価のシアン化銅から比較的容易な操作で目的とするアリールニトリルを得ることができるため広く用いられている。また、近年では本反応を改良した反応が報告されている。例えば、バックワルド(Buchwald)らは銅を触媒量に抑えて目的とするアリールニトリルを得る手法を報告している(下記スキーム2.(c)参照)。
3.その他の遷移金属を用いた芳香族化合物のシアノ化反応
近年では遷移金属を触媒量に抑えた芳香族化合物のシアノ化反応が多数報告されている(下記スキーム3参照)。シェン(Shen)らの報告では触媒量のパラジウムを用いることでアリールハライドから目的のアリールニトリルを得ることが可能である(下記スキーム3.(a)参照)。ウォング(Wang)らは鉄触媒によるC−H活性を伴う芳香族化合物のシアノ化反応を報告している(下記スキーム3.(b)参照)。山口らは触媒量のニッケルを用いることでアリールカルバメートから目的のアリールニトリルの合成を達成している(下記スキーム3.(c)参照)。
上記したように、遷移金属は非常に優れた反応特性を持つことから多くの有機反応に用いられている。しかしながら、クロムやスズ等の遷移金属は非常に強い毒性を示し、人体や自然環境に悪影響を及ぼすことが知られている。また、遷移金属を用いた反応では反応終了時に発生する金属塩等の処理が煩雑である等の問題点があった。
そこで、遷移金属を用いない、シアノ基を有する芳香族化合物の合成法(遷移金属フリーな芳香族化合物のシアノ化反応)としては、下記の手法のみが報告されているのが現状である。
ニセヴィッツ(Nicewicz)らは、光有機触媒を用いた芳香族化合物のシアノ化反応を報告している(下記スキーム4参照;非特許文献1参照)。本反応は光励起した触媒が基質を酸化することでラジカルカチオンが発生する。その後、ラジカルカチオンに対してシアン化物イオンが求核剤として作用することで目的とするアリールニトリルが得られる。本反応は5mol%と少ない量の有機フォトレッドクス触媒で反応を進行させることができる。
McManus,J.;Nicewicz,D.J.Am.Chem.Soc.2017,139,2880.
しかしながら、非特許文献1に記載の合成法では、高価な触媒を必要とし、反応に長時間を要するとともに、ラジカルカチオンに対してシアン化物イオンが作用する際の位置選択性が低いほか、LEDランプ等の特殊な装置を用いる必要があるため、製薬合成や大量合成へ応用し難いところがあり、更に位置異性体の副生により目的物の精製に手間を要す等の問題点があった。
そこで本発明は、毒性が少なく、反応後の処理が容易であり、さらに位置選択性が高い、シアノ基を有する芳香族化合物の合成法を提供することを目的とする。
本発明のシアノ基を有する芳香族化合物の合成法は、遷移金属フリーな芳香族化合物のシアノ化反応により、発生したアリールラジカルに対してシアン化物イオンを作用させる点に特徴を有する。
本発明によれば、発生したアリールラジカルに対してシアン化物イオンを作用させることで、遷移金属触媒を用いない反応と同様に毒性が少なく、反応後の処理が容易であり、更にシアノ化する部位はハロゲンの位置に依存するため、非特許文献1に記載の合成法に比べて位置選択的なシアノ化が可能であり、製薬合成や大量合成へ応用しやすいという利点がある。
実施例の実験1により、1−ヨードナフタレン:1aと1−ナフトニトリル:2aのサイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)を行って得られた結果を示す図面である。 実施例の実験12により、反応時間と、目的物((1−ナフトニトリル)2aの収率との関係を表したグラフ(図面)である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本発明のシアノ基を有する芳香族化合物の製造方法は、基質である非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物(アリールハライド)と、シアン化剤である第4級アンモニウム・シアニドと、遷移金属フリーな触媒であるフェナントロリン化合物と、非プロトン性有機溶媒と、を含む混合物を、反応温度110〜180℃の範囲でシアノ化反応を行うことを特徴とするものである。かかる構成を有することにより、上記した発明の効果を有効に発現することができるものである。以下、本発明の製造方法の構成要件ごとに説明する。
A:混合物
(1)非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物(基質)
本発明の製造方法に用いられる前記混合物には、基質として非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物を必須に含むものである。
前記芳香族ハロゲン化合物に置換し得る電子供与性基としては、特に制限されるものではないが、反応性の観点から、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種であるのが好ましい。前記アルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。前記アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、フェノキシ基などが挙げられる。
前記芳香族ハロゲン化合物としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼンハライド、ナフタレンハライド、ビフェニルハライド、アントラセンハライド、フェナントレンハライド、フルオレンハライド、9,10−ジヒドロフェナントレンハライドなどが挙げられる。反応性の観点から、ベンゼンハライド、ナフタレンハライドおよびビフェニルハライドの少なくとも1種であるのが好ましい。
非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物のうち、非置換または電子供与性基で置換された芳香族部分(モイエティ:moiety)としては、特に制限されるものではなく、例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9,10−ジヒドロフェナントレンなどが挙げられる。反応性の観点から、非置換のナフタレン、非置換のビフェニルの少なくとも1種であるのが好ましく、非置換のナフタレンがさらに好ましい。またハロゲン部分としては、特に制限されるものではなく、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。反応性の観点から、臭素、ヨウ素の少なくとも1種であるのが好ましく、ヨウ素であるのがさらに好ましい。以上のことから、非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物としては、非置換のヨードナフタレンが好ましいものである。
(2)シアン化剤
本発明の製造方法に用いられる前記混合物には、シアン化剤として第4級アンモニウム・シアニドを必須に含むものである。
前記シアン化剤である第4級アンモニウム・シアニドとしては、特に制限されるものではなく、例えば、テトラメチルアンモニウム・シアニド、テトラエチルアンモニウム・シアニド、テトラブチルアンモニウム・シアニド、トリエチルメチルアンモニウム・シアニドなどが挙げられる。目的物の高収率化、反応性の観点から、テトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)およびテトラブチルアンモニウム・シアニド(BuNCN)の少なくとも1種であるのが好ましく、目的物の高収率化の観点からは、テトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)であるのがより好ましい。
前記シアン化剤の添加量は、目的物の高収率化の観点から、前記芳香族ハロゲン化合物に対して1〜10当量の範囲であるのが好ましく、2〜6当量の範囲であるのがより好ましい。
(3)遷移金属フリーな触媒
本発明の製造方法に用いられる前記混合物には、遷移金属フリーな触媒としてフェナントロリン化合物を必須に含むものである。
前記遷移金属フリーな触媒であるフェナントロリン化合物としては、特に制限されるものではなく、例えば、1,10−フェナントロリン(phen)、4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(dcphen)、4,7−ジブロモ−1,10−フェナントロリン(dbphen)、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン(tmphen)などが挙げられる。目的物の高収率化、反応性の観点から、1,10−フェナントロリン(phen)および4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(dcphen)の少なくとも1種であるのが好ましく、目的物の高収率化の観点からは、1,10−フェナントロリン(phen)であるのがより好ましい。
前記触媒の添加量は、目的物の高収率化の観点から、前記芳香族ハロゲン化合物に対して1〜80mol%の範囲であるのが好ましく、1〜50mol%の範囲であるのがより好ましく、5〜50mol%の範囲であるのがさらに好ましい。
(4)非プロトン性有機溶媒
本発明の製造方法に用いられる前記混合物には、溶媒として非プロトン性有機溶媒を必須に含むものである。
前記非プロトン性有機溶媒としては、特に制限されるものではなく、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒;塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類:例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−およびポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル(CHCN)などが挙げられる。比較的高極性(中極性〜高極性)な溶媒であり、目的物の高収率化、反応性の観点から、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)およびアセトニトリル(CHCN)の少なくとも1種であるのが好ましく、より高極性な溶媒であり、目的物の高収率化の観点からは、ジメチルスルホキシド(DMSO)であるのがより好ましい。
前記非プロトン性有機溶媒の濃度は、生産性の観点から、0.2〜1.5M(モル/l)の範囲であるのが好ましく、0.3〜1.2Mの範囲であるのがより好ましく、0.3〜1Mの範囲であるのがさらに好ましい。
(5)塩基
本発明の製造方法に用いられる前記混合物には、さらに塩基を任意に含むものである。
前記塩基としては、特に制限されるものではなく、例えば、ナトリウムtert−ブトキシド(NaO(t−Bu))、カリウムtert−ブトキシド(KO(t−Bu))、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジドなどが挙げられる。反応性の観点から、ナトリウムtert−ブトキシド(NaO(t−Bu))およびカリウムtert−ブトキシド(KO(t−Bu))の少なくとも1種であるのが好ましい。
本発明の製造方法では、前記塩基を含まなくても目的の反応が進行する。さらに基質、シアノ化剤、触媒などの組み合わせや反応条件などによっては、目的物以外の副生成物の発生・収率が抑えられる場合があり、こうした場合には、塩基を含まないのがより好ましい。
前記塩基を含む形態においては、前記塩基の添加量は、反応性の観点から、前記芳香族ハロゲン化合物に対して0.1〜3当量の範囲であるのが好ましく、0.3〜2当量の範囲であるのがより好ましく、0.5〜1.5当量の範囲であるのがより好ましい。
B:混合物を用いた反応条件
(1)反応温度
前記混合物の反応温度は、反応性の観点から、110〜180℃の範囲である。熱効率の観点から、110〜150℃の範囲であるのが好ましい。
(2)反応時間
前記混合物の反応時間は、反応性の観点から、30分〜6時間の範囲である。生産性の観点から、45分〜3時間の範囲であるのが好ましい。
尚、本発明の製造方法におけるシアノ化反応の反応機構としては、下記に示す機構が推定される。ただし、本発明は、当該反応機構に何ら制限されるものではない。
本発明の製造方法では、下記実施例のCV測定、コントロール実験などの結果から、上記に示す反応機構で進行していると考えられる。まず、フェナントロリン(遷移金属フリーな触媒のフェナントロリン化合物例)によりアリールヨージド(Ar−I:原料(基質)の芳香族ハロゲン化合物例)が一電子還元(single−electron transfer)されることにより、ラジカルアニオン種[Ar−I]・−:aが生成する。その後、ヨウ素(I)が脱離することでアリールラジカルAr:bが生成する。次にシアン化物イオン(CN)が作用することでラジカルアニオン種[Ar−CN]・−:cが生成する。最後にラジカルアニオン種[Ar−CN]・−:cがアリールヨージド(Ar−I)を一電子還元することで目的物(Ar−CN)と同時にラジカルアニオン種[Ar−I]・−:aが再び生成することで反応が進行する。しかしながら、最初の一電子移動についての詳細なメカニズムは明確ではないため、更なる検証が求められる。
本発明につき、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明するが、以下の実施例および比較例のみに限定されるわけではない。なお、以下において、特記しない限り、各操作は、標準環境下(25℃50%RH)で行った。
実験1:サイクリックボルタンメトリー測定(CV測定)
1−ヨードナフタレン:1aから1−ナフトニトリル:2aへのシアノ化反応を下記に示すモデル反応とした(下記スキーム5参照)。
本反応が前述した反応機構で進行するには、系中で発生する1−ナフトニトリル:2aのラジカルアニオン種が、1−ヨードナフタレン:1aを還元して反応サイクルを形成する必要がある。また、系中で生成する1−ナフトニトリル:2aよりも優先的に1−ヨードナフタレン:1aが還元されなければならない。
そこで、これらの分子の電気化学的挙動を調べるために、1−ヨードナフタレン:1aと1−ナフトニトリル:2aのCV測定を行った。得られた結果を図1に示す。その結果、1−ナフトニトリル:2aに比べ、1−ヨードナフタレン:1aの還元波は、より貴な電位で観測された。よって、1−ヨードナフタレン:1aの方が、1−ナフトニトリル:2aより還元されやすい化合物であることが明らかになった。以上の結果より、反応系中で2aから発生するラジカルアニオンにより原料(基質;1−ヨードナフタレン)1aが一電子還元されれば、(上記反応機構の)反応サイクルが進行し得ることが示唆された。
上記CV測定条件は、以下の通りである。
0.1Mヘキサフルオロリン酸テトラブチルアンモニウムのアセトニトリル溶液中、温度24℃、基質濃度0.01Mで行った。参照電極にはAg/Ag+(CHCN)、対極にはPtコイル、作用電極にはグラシックカーボンを用い、フェロセンの酸化還元電位Fc/Fc+を基準電位として、走査速度100mV/sで測定を行った。
実験2:シアノ化剤の検討
1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、NaO(t−Bu)(2当量)、1,10−フェナントロリン(10mol%)存在下、ジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にて下記表1に示す各種シアノ化剤(5当量)を用いて6時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表1に示す。表1の結果から、使用した各種シアノ化剤の検討を行った。
上記表1に基づく検討の結果、シアノ化剤として、トリメチルシリルシアニド(TMSCN)やテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)、テトラブチルアンモニウム・シアニド(BuNCN)を用いたところ目的物(1−ナフトニトリル)2aが低収率ながら得られた(表1のエントリー1〜3参照)。
しかしながら、いずれの条件下においても副生成物の脱ハロゲン化体(ナフタレン)3が主として得られていた。
また、シアノ化剤として、シアン化カリウム(KCN)とシアン化ナトリウム(NaCN)を用いた場合は、反応系中が複雑化し、目的物(1−ナフトニトリル)2aはほとんど得られず、原料(基質:1−ヨードナフタレン)1aも回収されなかった(表1のエントリー4及び5参照)。
これらの検討の結果から、目的物2aが最も得られたテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)をシアノ化剤として用いて以後の検討を行うことにした。また、本反応の効率的進行には脱離反応によるナフタレン3の生成を抑えることが重要であることが分かった。
実験3:溶媒の検討
次に溶媒の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、NaO(t−Bu)(2当量)、1,10−フェナントロリン(10mol%)存在下、下記表2に示す各種溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて6時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表2に示す。表2の結果から、使用した各種溶媒の検討を行った。
上記表2に基づく検討の結果、溶媒にジメチルスルホキシド(DMSO)を用いたところ、目的物2aが、上記したガスクロマトグラフィー(GC)分析により収率29%で得られている(表2のエントリー1参照)。しかしながら、同時にナフタレン3も主として得られた。
次に溶媒をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に変えて反応を行ったが目的物2aは、ほとんど得られず、主としてナフタレン3が得られた(表2のエントリー2参照)。
続いて溶媒をアセトニトリルに変えて反応を行ったところ、反応は6時間では終結しておらず、原料(基質)1aが中程度回収されると共にナフタレン3が主として得られた(表2のエントリー3参照)。
溶媒にN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を用いたところ、目的物2aは得られず、ナフタレン3が定量的に得られた(表2のエントリー4参照)。
プロトン性溶媒であるヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)を用いた場合には、目的物2a、ナフタレン3共に得られず、原料1aが回収された(表2のエントリー5及び6参照)。
これらの検討の結果から、目的物2aが最も得られた非プロトン性有機溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)を溶媒として用いて以後の検討を行うことにした。
実験4:塩基の検討
次に塩基の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、下記表3に示す各種塩基(X当量)、1,10−フェナントロリン(10mol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて6時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表3に示す。表3の結果から、使用した各種塩基の検討を行った。
上記表3に基づく検討の結果、塩基としてナトリウムtert−ブトキシド(NaO(t−Bu))を2.0当量用いて反応を行い、GC測定により収率を求めたところ、目的物2aが収率29%、ナフタレン3が収率66%でそれぞれ得られた(表3のエントリー1参照)。
続いてNaO(t−Bu)を1.0当量に減らして反応を行った(表3のエントリー2参照)。結果として目的物2aの収率がやや向上し、ナフタレン3の生成が抑えられた。
次に塩基をカリウムtert−ブトキシド(KO(t−Bu))に替えて反応を行ったところ、NaO(t−Bu)同様に、1.0当量の場合の方が目的物の収率が向上し、ナフタレン3の生成が抑えられた(表3のエントリー3及び4参照)。
最後に塩基を加えずに反応を行った(表3のエントリー5参照)。その結果、塩基を加えた場合に比べてナフタレン3の生成が抑えられた。
これらの結果から、塩基を加えた場合にナフタレン3の生成が促進され、塩基を加えなくても目的の反応が進行することが分かった。そのため、塩基を加えずに今後の検討を行うことにした。
実験5:フェナントロリンの有無についての確認
次にフェナントロリンの有無についての確認を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、下記表4に示す各種塩基(2当量)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて6時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表4に示す。表4の結果から、フェナントロリンの有無についての確認を行った。
遷移金属フリーな触媒である1,10−フェナントロリンが反応に関与しているのか確認を行うため、1,10−フェナントロリンを加えないブランク実験を行った(表4参照)。その結果、塩基の有無にかかわらず反応はほとんど進行せず、原料(基質)1aが主として回収された(表4のエントリー1〜3参照)。この結果から、本反応の進行には遷移金属フリーな触媒であるフェナントロリンが必須であることが分かった。
実験6:フェナントロリンの触媒量の検討
1,10−フェナントロリンの触媒量の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、1,10−フェナントロリン(Xmol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて6時間(又は3時間)、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表5に示す。表5の結果から、フェナントロリンの触媒量の検討を行った。
上記表5に基づく検討の結果、1,10−フェナントロリンの触媒量の増加と共に目的物2aの収率が向上し、80mol%用いた時に目的物2aは収率47%で得られた(表5のエントリー1〜4参照)。
次に反応時間を6時間から3時間に短縮して、1,10−フェナントロリンの触媒量30mol%から80mol%の条件で反応を行った(表5のエントリー5〜7参照)。その結果、3時間で原料(基質)1aは消失し、物質収支も6時間の場合と同程度であった。
以上の結果から、目的物が最も収率良く得られた表5のエントリー6の条件(触媒量50mol%、反応時間3時間)を以後、用いることとした。
実験7:触媒の検討
触媒の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、下記表6及び下記式に示す各種触媒(50mol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて3時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表6に示す。表6の結果から、フェナントロリンの触媒の検討を行った。
上記表6に基づく検討の結果、触媒に、1,10−フェナントロリン(phen)を用いたところ、目的物2aがGC分析により収率48%で得られた。また、同時にナフタレン収率47%で得られた(表6のエントリー1参照)。
次に、触媒を4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(dcphen)に替えて反応を行ったところ、原料(基質)1aは消失していたが、1,10−フェナントロリンを用いた場合より目的物2a及びナフタレン3の収率は低下した(表6のエントリー2参照)。
触媒に、3,4,7,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン(tmphen)と4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Ph−phen)を用いた場合では、反応はほとんど進行せず、原料(基質)1aが主として回収された(表6のエントリー3及び4参照)。
また、ビピリジン誘導体やN,N’−ジメチルエチレンジアミド(DMEDA)を用いた場合も反応はほとんど進行せず、原料(基質)1aが主として回収された(表6のエントリー5〜8参照)。
これらの結果から、目的物2aが最も得られた1,10−フェナントロリンを遷移金属フリーな触媒として引き続き用いることとした。
実験8:脱ハロゲン化が起こる原因の調査
PenenoryらはDMSO溶媒中でアセトフェノンに対してアリールラジカルを作用させたα位のアリール化を行った際にアリールラジカルがDMSOに還元されることでアリールハライドが脱ハロゲン化し、
水素化された化合物が得られたことを報告している(スキーム6参照)。
本系でも同様に、1−ヨードナフタレン1aから発生したアリールラジカルがDMSOで還元されることで、ナフタレン3が生成しているのではないかと考えた。そこで、溶媒に重DMSOを用いて重水素化されたナフタレン3が得られるか確かめることにした。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、1,10−フェナントロリン(50mol%)存在下、重DMSO溶媒(濃度:0.1M)中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて3時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体の重水素化されたナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。測定の結果、重水素化率58%で重水素化されたナフタレン3が得られた(スキーム7参照)。
以上の結果から、ナフタレン3の生成には溶媒のDMSOが関与していることが示唆された。
実験9:溶媒濃度の検討
上記実験8で述べたようにアリールラジカルがDMSOに還元されることで副生成物としてナフタレン3が生成してしまう。これまで用いてきた溶媒濃度0.1Mの条件では、目的物2aとナフタレン3がほぼ同じ割合で生成している。そのため、DMSOの濃度を減らすことでナフタレン3の生成を抑制できるのではないかと考え、DMSO溶媒濃度の検討を行うこととした。
まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、1,10−フェナントロリン(50mol%)存在下、以下に示す各種濃度のDMSO溶媒(濃度:Xmol/l(M))中、150℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて3時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表7に示す。表7の結果から、溶媒濃度の検討を行った。
上記表7に基づく検討の結果、上記したようにDMSO溶媒の濃度0.1Mの条件では、目的物2aとナフタレン3がほぼ同じ割合で生成している(表7のエントリー1参照)。
DMSO溶媒の濃度を0.3、0.5Mにしたところ、0.1Mにした場合に比べて、目的物2aの収率が向上し、ナフタレン3の生成が抑えられた(表7のエントリー2及び3参照)。
DMSO溶媒の濃度を0.5Mより濃くした場合や無溶媒にした場合では、0.5Mにした場合に比べて、ナフタレン3の生成は抑えられたが、目的物2aの収率の向上は見られず、物質収支も低下した(表7のエントリー4及び5参照)。この原因として何かしらの副生成物が生成してしまい、物質収支が低下してしまったのではないかと考えている。
これらの検討の結果から、0.5Mを最適の溶媒濃度として次の検討に進むことにした。
実験10:反応温度の検討
続いて、150℃より低い温度で反応が進行するか確認をするために反応温度の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、1,10−フェナントロリン(50mol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.5M)中、以下に示す反応温度にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて3時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表8に示す。表8の結果から、反応温度の検討を行った。
上記表8に基づく検討の結果、反応温度が130℃の場合には、反応温度150℃の場合より目的物2aの収率が向上した(表8のエントリー2参照)。
反応温度を110℃に変更して反応を行ったところ、反応温度130℃の場合より目的物2aの収率はやや低下した(表8のエントリー3参照)。
さらに、反応温度を100℃、80℃に下げたところ、反応は進行せず、原料(基質)1aのみが回収された(表8のエントリー4及び5参照)。
これらの結果から、目的物2aが最も得られた反応温度130℃を最適温度とした。
実験11:1,10−フェナントロリンの触媒量の検討2
ここまでの実験の検討結果を踏まえて、再度、1,10−フェナントロリンの触媒量の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、以下に示す各種触媒量の1,10−フェナントロリン(Xmol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.5M)中、130℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて3時間、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aや副生成物(脱ハロゲン化体のナフタレン)3の収率等をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表9に示す。表9の結果から、反応温度の検討を行った。
上記表9に基づく検討の結果、1,10−フェナントロリンの触媒量を50mol%から30mol%に減らしたところ、目的物2aの収率がやや向上した(表9のエントリー2参照)。
1,10−フェナントロリンの触媒量を20mol%に減らした場合でも同程度の収率で目的物2aが得られた(表9のエントリー3参照)。
1,10−フェナントロリンの触媒量を20mol%より減らした場合では目的物2aの収率はやや低下した(表9のエントリー4及び5参照)。
この検討の結果から、最も収率が良く、より触媒量が少ない20mol%の条件を最適条件として次の検討に進むこととした。
実験12:反応時間の検討
最後に反応時間が3時間以内で終結しているか確認をするために反応時間の検討を行った。まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、以下に示す各種触媒量の1,10−フェナントロリン(Xmol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.5M)中、130℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて、反応時間を5〜180分の間で変えて、下記に示す反応を行って目的物(1−ナフトニトリル)2aの収率をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。各反応時間の目的物2aの収率をグラフ化したものを図2に示す。図2の結果から、反応時間の検討を行った。
図2に基づく検討の結果として、反応時間15分、30分では反応は進行し、中程度で目的物2aが得られた。しかし再現性に乏しく目的物2aの収率に大きなばらつきが見られた。
一方、反応時間が1時間(60分)の場合は、原料(基質)1aが消失し、GC分析により収率85%と高収率かつ再現性良く目的物2aが得られた。
一方で、反応時間が1時間(60分)を超えると、目的物2aの収率が低下した。これは1時間(60分)を過ぎると、目的物2aが何かしらの化合物に変換されてしまうことが原因だと考えられる。これらの結果から1時間を最適の時間にすることとした。
実験13:原料(基質)の一般性の調査
上記した各実験により得られた最適条件下で様々な原料(基質)である非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物(アリールハライド)を用いてシアノ化反応を行って、原料(基質)の一般性の調査を行った。
まず、下記に示す各種原料(基質)のアリールハライド:1(0.5mmol)、1,10−フェナントロリン(phen)(20mol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.5M)中、130℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて1時間、下記に示す反応を行って目的物(下記に示す各種原料(基質)のアリールハライド)1の収率をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記表10に示す。表10の結果から、原料(基質)の一般性の調査の検討を行った。
上記表10に基づく検討の結果、原料(基質)のアリールハライド1として、1−ヨードナフタレン1a(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=フェニル基で、かつベンゼン環に縮合したもの;これにより縮合環式化合物のナフタレンを形成)を用いて反応を試みたところ、目的物2aが単離収率78%で得られ(表10の化学式2a及びその下段のX=I,78%参照)、GC分析による収率の結果と同等の結果が得られた。
アリールハライド1のナフタレン(R=フェニル基で、かつベンゼン環に縮合したもの)の置換基X=BrやClとした1−ブロモナフタレンや1−クロロナフタレン原料1aは、反応性が低く、原料(基質)1aが主として回収された(表10の化学式2a及びその下段のX=Br,19%、及びX=Cl、N.D.(検出されず)参照)。
次に、原料(基質)のアリールハライド1として、ヨードベンゼン1b(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=水素原子)を用いて反応を行った。その結果、目的物2bが単離収率48%で得られた(表10の化学式2b及びその下段のX=I,48%参照)。
原料(基質)のアリールハライド1として、4−ヨードアニソール1c(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=メトキシ基)を用いて反応を行ったところ、目的物2cが単離収率45%で得られた(表10の化学式2c及びその下段のX=I,45%参照)。
また、原料(基質)のアリールハライド1として、4−ヨードトルエン1d(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=メチル基)を用いて反応を行ったところ、目的物2dが単離収率42%で得られた(表10の化学式2d及びその下段のX=I,42%参照)。
上記した目的物2b、2c、2dの収率が低い原因として水素化が進行していることや沸点が非常に低いため、真空乾燥の際に目的物が留去していることが考えられた。
原料(基質)のアリールハライド1として、4−ヨードビフェニル1e(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=フェニル基)を用いた場合ではビフェニルが副成していたものの、目的物2eが単離収率62%で得られた(表10の化学式2e及びその下段のX=I,62%参照)。
次に、原料(基質)のアリールハライド1として、二つの反応点を持つ4,4’−ジヨードビフェニル1f(上記反応式のアリールハライド1の式中、ベンゼン環に代えてビフェニル環(各ベンゼン環が置換基Xを有する)を用い、各X=I:ヨウ素原子、各R=水素原子)を用いたところ、目的物2fが中程度の収率で得られた(表10の化学式2f及びその下段のX=I,48%参照)。この時、副生成物として前記化学式2eとビフェニルの生成が確認された。
次に原料(基質)のアリールハライド1として、電子求引性基を持つ基質1g(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=ニトロ基)、1h(上記反応式のアリールハライド1の式中、X=I:ヨウ素原子、R=カルボキシル基)のシアノ化を行った。しかしながら、いずれの基質1g、1hにおいても、目的物2g、2hは、痕跡量(trace)あるいは全く得られなかった(表10の化学式2g、2h及びそれらの下段のX=I,trace、X=I,N.D.参照)。
実験14:ラジカル捕捉剤TEMPOを用いたコントロール実験
本発明の製造方法における反応が、ラジカル中間体を経由して反応が進行していることを確認するためのコントロール実験として最適条件に対して、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)をラジカル捕捉剤として加えて反応を行った(下記スキーム8参照)。
まず、1−ヨードナフタレン:1a(0.1mmol)、1,10−フェナントロリン(phen)(20mol%)及び2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(20mol%)存在下、DMSO溶媒(濃度:0.5M)中、130℃にてテトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)(5当量)を用いて1時間、下記に示す反応を行って目的物2a等の収率をガスクロマトグラフィー(GC)分析により測定した。得られた結果を下記スキーム8に示す。結果として反応は進行せず、原料1aのみが回収された。この結果から本発明の反応がラジカル中間体を経る反応であることが示唆された。
結論
上記した各実験の結果から、遷移金属フリーな触媒による芳香族ハロゲン化合物のシアノ化反応を見出した(スキーム9参照)。また、ラジカル捕捉剤にTEMPOを用いてコントロール実験を行うことで、本発明の反応が、ラジカルを経由する反応であることを明らかにした。本発明の反応は、基質として非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物が有用であり、電子求引性基を有する基質では、目的物が得られず、基質の一般性は乏しいことがわかった。また、上記した反応機構における最初の一電子移動におけるメカニズムは明らかではないが、上記した遷移金属フリーな触媒による芳香族ハロゲン化合物のシアノ化及びその機構を見出したことにより、多様な反応系への展開が可能となった。
上記した各実験のGC分析は、以下の「一般的な備考」に記載の方法により行ったものである。また、実験13で得られた目的物2a〜2fは、以下の「材料」に記載の方法で作製し、得られた目的物の同定や物性等は、以下の「一般的な備考」に記載の方法により行ったものである。
〔一般的な備考〕
(1)GC分析
GC分析は、フューズドシリカキャピラリーを用いた水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフ(SHIMADZU GC−14B)で行った。
(2)核磁気共鳴(NMR)スペクトル
核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL ECS−400(H 400MHz、13C 100MHz)で記録した。H NMRの化学シフトは、CDCl中の残留CHCl(δ7.26ppm)に対する百万分率(ppm)で記載した。データは以下のように記載する:化学シフト、多重度(s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、quin=五重線、m=多重線)、カップリング定数、および積分値。13C NMRの化学シフトは、完全なプロトンデカップリングを伴うCDCl(δ77.00ppm)に対する百万分率(ppm)で記載した。
(3)赤外線(IR)スペクトル
赤外線(IR)スペクトルは、JASCO FT/IR−4100フーリエ変換赤外分光光度計およびVarian 7000e FT−IR分光光度計(Vmax、単位:cm−1)で記録した。
(4)元素分析
元素分析は、Perkin−Elmer PE 2400シリーズII CHNS/O分析装置を用いて得られた。H型分割セルは、Techno−Shigmaから購入した。
(5)高分解能質量分析
高分解能質量分析は、JEOL JMS−700 MStation(FAB−MSおよびEI−MS)、Agilent 6520 Accurate Mass Q−TOF LC/MS(ESI−MS)で行った。
(6)旋光度
旋光度は、JASCO DIP−1000で測定した。
(7)融点
融点は、SANSYO SMP−300で記録した。
(8)分析薄層クロマトグラフィー(TLC)
分析薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Merck社のプレコートプレートシリカゲル60F254(厚さ0.25mm)で行った。関東化学株式会社から購入したシリカゲル60N(球状、中性、40〜50μm)またはChromatorex NH−DM1020(100〜200メッシュ)を用いてカラムクロマトグラフィーを行った。
すべての実験(分析等)は、特に明記しない限り、アルゴン雰囲気下で行った。
〔材料〕
すべての試薬は、商業的に入手し、特に明記しない限り、受け取ったまま使用した。DMSOは、CaH上で蒸留したものを使用した。
(1)1−ナフトニトリル(2a);化学式を以下に示す。
1−ナフトニトリル(2a)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(1mL)中の1−ヨードナフタレン(127mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(391mg、2.50mmol)および1,10−フェナントロリン(18.2mg、0.1mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 30:1)により精製し、1−ナフトニトリル(2a)を黄色油状物として得た(59.5mg、0.39mmol、収率78%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.53(t,J=7.8Hz,1H),7.63(t,J=7.6Hz,1H),7.70(t,J=7.9Hz,1H),7.87−7.96(m,2H) 8.08(d,J=7.9Hz,1H),8.24(d,J=7.9Hz,1H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ 110.0,117.7,124.8,125.0,127.4,128.5,128.6,132.2,132.5,132.8,133.2;IR(KBr) 3061,2222,1591,1512,1375cm−1
(2)ベンゾニトリル(2b);化学式を以下に示す。
ベンゾニトリル(2b)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(1mL)中の1−ヨードベンゼン(101mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(390mg、2.49mmol)および1,10−フェナントロリン(18.3mg、0.10mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 30:1)で精製し、ベンゾニトリル(2b)を無色油状物として得た(24.7mg、0.24mmol、収率48%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.49(t,J=7.5Hz,2H),7.61(d,J=7.5Hz,1H),7.67(d,J=7.5Hz,2H),13C NMR(100MHz,CDCl)δ 112.4,118.8,129.1,132.1,132.8;IR(KBr) 3063,2228,1557,1477,758cm−1
(3)4−メトキシベンゾニトリル(2c);化学式を以下に示す。
4−メトキシベンゾニトリル(2c)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(1mL)中の4−ヨードアニソール(117mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(390mg、2.50mmol)および1,10−フェナントロリン(17.9mg、0.10mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 30:1)で精製し、4−メトキシベンゾニトリル(2c)を無色固体として得た(29.7mg、0.22mmol、収率45%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 3.86(s,3H),6.95(d,J=8.9Hz,2H),7.59(d,J=8.9Hz,1H),13C NMR(100MHz,CDCl3)δ 55.0,103.9,114.7,119.2,134.0,162.8;IR(KBr) 2218,1607,1458,1364,1258cm−1
(4)4−メチルベンゾニトリル(2d);化学式を以下に示す。
4−メチルベンゾニトリル(2d)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(0.5mL)中の4−ヨードトルエン(109mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(391mg、2.50mmol)および1,10−フェナントロリン(18.0mg、0.1mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 30:1)で精製し、4−メチルベンゾニトリル(2d)を無色固体として得た(23.6mg、0.20mmol、収率42%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 3.86(s,3H),7.27(d,J=8.0Hz,2H),7.55(d,J=8.0Hz,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ 21.6,109.0,119.0,129.6,131.7,143.5;IR(KBr) 2924,2361,2228,1607,1508cm−1
(5)(1,1’−ビフェニル)−4−カルボニトリル(2e);化学式を以下に示す。
(1,1’−ビフェニル)−4−カルボニトリル(2e)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(1mL)中の4−ヨード−1,1’−ビフェニル(141mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(391mg、2.50mmol)および1,10−フェナントロリン(18.2mg、0.10mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 10:1)で精製し、(1,1’−ビフェニル)−4−カルボニトリル(2e)を無色固体として得た(55.9mg、0.31mmol、収率62%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.43(t,J=7.6Hz,2H),7.49(t,J=7.6Hz,2H),7.59(d,J=7.6Hz,2H),7.69(d,J=8.5Hz,2H),7.74(d,J=8.5Hz,2H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ 111.0,119.1,127.3,127.8,128.8,129.2,132.7,139.2,145.7;IR(KBr) 2226,1605,1396,849,696cm−1
(6)(1,1’−ジフェニル)−4,4’−ジカルボニトリル(2f);化学式を以下に示す。
(1,1’−ジフェニル)−4,4’−ジカルボニトリル(2f)は、以下により作製して単離した。またNMR及びIRスペクトルにより同定(構造決定)した。
まず、DMSO(1mL)中の4,4’−ジヨード−1,1’−ビフェニル(203mg、0.50mmol)の溶液に、EtNCN(783mg、5.01mmol)および1,10−フェナントロリン(18.0mg、0.1mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt 30:1)で精製し、(1,1’−ジフェニル)−4,4’−ジカルボニトリル(2f)を無色固体として得た(49.0mg、0.24mmol、収率48%)。
H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.71(d,J=8.7Hz,4H),7.81(d,J=8.7Hz,4H);13C NMR(100MHz,CDCl)δ 112.4,118.4,127.9,132.9,143.5;IR(KBr) 2359,2228,1605,1491,1396cm−1
(7)実験14のラジカル捕捉実験手順
DMSO(0.2mL)中の1−ヨードナフタレン(24.5mg、0.10mmol)の溶液に、EtNCN(78.1mg、0.49mmol)、1,10−フェナントロリン(3.50mg、0.02mmol)およびTEMPO(3.10mg、0.02mmol)を加えて混合物を得た。この混合物を130℃で1時間撹拌した。得られた反応混合物にHO(15mL)を加え、反応混合物をAcOEt(3×5mL)で抽出した。合わせた有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、GC分析を行った。所望の生成物(目的物2a)は観察されなかった。
本発明のシアノ基を有する芳香族化合物の製造方法は、製薬、農薬、顔料、染料など様々な分野で用いられる化合物の製薬合成や大量合成に幅広く利用することができる。

Claims (14)

  1. 非置換または電子供与性基で置換された芳香族ハロゲン化合物と、
    シアン化剤である第4級アンモニウム・シアニドと、
    遷移金属フリーな触媒であるフェナントロリン化合物と、
    非プロトン性有機溶媒と、を含む混合物を、
    反応温度110〜180℃の範囲でシアノ化反応を行うことを特徴とする、シアノ基を有する芳香族化合物の製造方法。
  2. 前記電子供与性基が、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記芳香族ハロゲン化合物が、ベンゼンハライド、ナフタレンハライドおよびビフェニルハライドの少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記芳香族ハロゲン化合物が、ヨードナフタレンである、請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法。
  5. 前記シアン化剤である第4級アンモニウム・シアニドが、テトラエチルアンモニウム・シアニド(EtNCN)およびテトラブチルアンモニウム・シアニド(BuNCN)の少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記シアン化剤の添加量が、前記芳香族ハロゲン化合物に対して1〜10当量の範囲である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記触媒であるフェナントロリン化合物が、1,10−フェナントロリン(phen)および4,7−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(dcphen)の少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 前記触媒の添加量が、前記芳香族ハロゲン化合物に対して1〜80mol%の範囲である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記非プロトン性有機溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)およびアセトニトリル(CHCN)の少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記非プロトン性有機溶媒の濃度が、0.2〜1.5M(モル/l)の範囲である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 前記混合物が、さらに塩基を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
  12. 前記塩基が、ナトリウムtert−ブトキシド(NaO(t−Bu))およびカリウムtert−ブトキシド(KO(t−Bu))の少なくとも1種である、請求項11に記載の製造方法。
  13. 前記反応温度が、110〜150℃である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
  14. 前記シアノ化反応の反応時間が、30分〜6時間の範囲である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
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