以下、図面を参照しながら、本実施形態に係るX線CTシステムを説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行うこととする。
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線CTシステムで用いられるX線CT装置1の全体構成を説明する図である。この図1に示すX線CT装置1は、本実施形態における医用画像診断装置の一例であり、例えば、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備えて構成されている。
より具体的には、架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、コリメータ17と、DAS18とを、備えて構成されている。
X線管11は、例えば、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。例えば、X線管11には回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。例えば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のダーゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ17は、X線絞りと呼ばれる場合もある。
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。
グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。また、X線検出器12は、X線検出部の一例である。
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム。図1での図示は省略している。)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、回転フレーム13は、回転部の一例である。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX 線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、後述する回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。また、X線高電圧装置14は、X線高電圧部の一例である。
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた、後述する入力インターフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。また、制御装置15は、制御部の一例である。
DAS18(Data Acquisition System)は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。また、DAS18はデータ収集部の一例である。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。また、図1では説明の都合上、架台装置10と天板33は2カ所に描画されているが、実際の構成においては、架台装置10も天板33も1つである。
また、コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44と、受信部45と、送信部46とを、備えて構成されている。なお、コンソール装置40は架台装置10とは別体として説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の各構成要素の一部が含まれてもよい。
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。また、メモリ41は、記憶部の一例である。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。また、ディスプレイ42は、表示部の一例である。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース43は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を操作者から受け付ける。例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、及び、画像処理機能444を実行する。また、処理回路44は、処理部の一例である。
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各種機能を制御する。また、システム制御機能441は、制御部の一例である。
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。また、前処理機能442は、前処理部の一例である。
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。また、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
画像処理機能444は、入力インターフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に基づいて、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像に変換する。なお、3次元画像データの生成は再構成処理機能443が直接行っても構わない。また、画像処理機能444は、画像処理部の一例である。
さらに、本実施形態においては、処理回路44は、スキャン機能445と、解析機能446と、センシング機能447と、調整機能448とを実行する。また、任意ではあるが、処理回路44は、穿刺計画機能449と、判定機能450と、伝達機能451とを実行する。
詳しくは後述するが、概略的には、スキャン機能445は、X線管11から被検体PにX線を照射して、被検体Pの撮像を行うための処理を実行する。解析機能446は、スキャン機能の結果に基づいて生成された画像を解析することで、後述するマーカ60とセンシング部521とのそれぞれについて画像ベースの位置情報を特定する処理を実行する。センシング機能447は、センシング部521を用いて、後述するマーカ60とセンシング部521のそれぞれについて、センサベースの位置情報を取得する処理を実行する。調整機能448は、画像ベースの位置情報に基づいて、センサベースの位置情報を調整する処理を実行する。
穿刺計画機能449は、スキャンの結果に基づいて生成された画像に基づいて、操作者が穿刺作業を計画立案し、その穿刺計画に則った穿刺計画情報を生成する処理を実行する。判定機能450は、センシング部521の測定結果であるセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、それぞれ、穿刺計画情報の穿刺位置情報と穿刺角度情報と合致するか否かを判断する処理を実行する。伝達機能451は、判定機能450の判定の結果を操作者に伝達する処理を実行する。
なお、X線CT装置1には、X線管11とX線検出器12とが一体として被検体Pの周囲を回転するRotate/Rotate−Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管11のみが被検体Pの周囲を回転するStationary/Rotate−Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。
図2は、本実施形態に係る穿刺具50の全体構成を示す図であり、図3は、本実施形態に係るマーカ60の平面図であり、図4は、図3に示すマーカ60の側面図である。これら穿刺具50とマーカ60とにより、本実施形態に係る穿刺作業ユニットが構成されている。また、これら穿刺具50とマーカ60とX線CT装置1とにより、本実施形態に係るX線CTシステムが構成されている。
まず、図2に示すように、本実施形態に係る穿刺具50は、穿刺針51と、センサ52と、保持部53とを備えて構成されている。
穿刺針51は、被検体Pに挿入される針である。本実施形態においては、穿刺針51の内部には空洞が形成されており、被検体P内の治療対象部位に薬剤を注入したり、治療対象部位の組織を採取したりできるように構成されている。この穿刺針51の空洞は、その穿刺作業の目的によっては、必ずしも必要なものではない。
また、穿刺針51は、被検体Pへの穿刺作業ごとに、新しいものと交換される。つまり、穿刺針51は使い捨ての部材であり、センサ52に着脱可能に取り付けられている。本実施形態においては、穿刺針51の長さは既知である。換言すれば、センサ52の位置情報を特定することにより、穿刺針51の位置情報や、穿刺針51の先端の位置情報を特定することが可能である。なお、本実施形態においては、穿刺針51を保持部53に着脱可能に取り付けているが、センサ52の形状や構造によっては、穿刺針51をセンサ52に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
センサ52は、マーカ60とセンサ52のぞれぞれの位置情報と、センサ52の角度情報を測定するセンサであり、図5のブロック図に示すような内部構成をしている。すなわち、本実施形態においては、センサ52は、その内部に、センシング部521と、送信部522と、受信部523と、伝達部524とを備えている。
センシング部521は、測長が行える計測器であり、このセンシング部521を用いて、被検体Pの取り付けられたマーカ60をセンシングする。具体的には、センサ52のセンシング部521は、このセンシング部521から、被検体Pに貼り付けられたマーカ60までの距離を測定して、測定された距離に関する情報を、送信部522を介してコンソール装置40に送信する。すなわち、本実施形態においては、測定されたマーカ60とセンサ52との間の距離が、マーカ60とセンサ52のそれぞれのセンサベースの位置情報となる。送信部522から送信された、センサベースの位置情報は、コンソール装置40の受信部45で受信されて、コンソール装置40に取り込まれる。
さらに、本実施形態においては、センシング部521は、センシング部521の角度、つまり、穿刺針51の角度も測定する。穿刺針51の長さが既知であるので、センシング部521の位置に加えて、穿刺針51の角度が特定されることにより、穿刺針51の状態を特定することが可能となる。このセンシング部521で測定された角度に関する情報は、穿刺針51のセンサベースの角度情報として、送信部522を介してコンソール装置40に送信される。
詳しくは後述するが、受信部523は、コンソール装置40の送信部46から送信された種々の情報を受信し、伝達部524は、操作者に種々の情報を伝達する。図5の例では、これら送信部522と受信部523と伝達部524は、センサ52に設けられているが、これらは必ずしもセンサ52に設けられていなくてもよい。例えば、これら送信部522と受信部523と伝達部524は、保持部53の表面や内部に設けられていてもよい。或いは、送信部522と受信部523と伝達部524は、穿刺具50とは別体に設けられていてもよい。
図6は、センサ52を保持部53から取り外した状態の拡大正面図であり、図7は、図6に示すセンサ52の側面図である。これら図6及び図7から分かるように、センサ52は、保持部53と同一の径である円形の形状をなしており、その中央部分に開口52aが形成されている。この開口52aは、穿刺針51を貫通させるための穴である。換言すれば、センサ52はドーナッツ形状をなしているとも言える。開口52aを貫通した穿刺針51の後端は、保持部53に挿入されて取り付けられる。
また、センサ52には、2つの平面である第1平面52bと第2平面52cを備えている。例えば、第1平面52bが保持部53の一端部に取り付けられ、第2平面52cが被検体P側に露出する。操作者は、この第2平面52c側から、開口52aに穿刺針51を挿入し、保持部53に取り付ける。
再び図2に示すように、保持部53は、操作者が穿刺具50を手で保持して、穿刺具50の操作を行う部分である。本実施形態においては、保持部53の一端部にセンサ52が着脱可能に取り付けられている。但し、センサ52は、着脱不可能に固定的に保持部53に取り付けられていてもよい。
また、保持部53には、操作者の指が挿入される挿入部531が2つ設けられている。挿入部531を設ける位置は任意であるが、本実施形態においては、保持部53の他端部の近傍に、対向して設けられている。また、挿入部531は、操作者の指が挿入可能な大きさの円形の環状部材で構成されている。例えば、穿刺作業において、一方の挿入部531に操作者の親指が挿入され、他方の挿入部531に操作者の中指が挿入される。但し、この挿入部531は必ずしも2つである必要はなく、例えば、1つ、3つなどであってもよい。また、一方の挿入部531を他方の挿入部531よりも大きな環状部材で構成し、大きな一方の挿入部531には、操作者の人差し指と中指の双方が挿入可能なように構成してもよい。ここで、挿入部531の形状は、必ずしも円形である必要はなく、操作者の指が挿入され得る形状であれば足りる。また、挿入部531は、必ずしも環状ではなくてもよく、例えば、環状部材の一部を切り欠いたような非環状の形状であってもよい。さらには、この挿入部531は、保持部53に存在しなくてもよい。つまり、挿入部531は、省くことも可能である。
図3及び図4に示すように、本実施形態に係るマーカ60は、弾力性のある円形のシート状をなしており、その中央部分に開口61が形成されている。穿刺作業においては、このマーカ60は、被検体Pの治療対象部位の近傍に取り付けられる。つまり、マーカ60は、被検体Pに貼り付けられて、被検体Pの治療対象部位とマーカ60との間の相対的な位置を特定するとともに、センサ52におけるセンシング部521からマーカ60までの距離をセンシング部521が測定できるようにするための部材である。操作者は、マーカ60の開口61から、被検体Pの治療対象部位を目がけて、穿刺針51を挿入する。
また、本実施形態に係るマーカ60には、複数のサブマーカ62が配置されている。例えば、本実施形態においては、3つのサブマーカ62がマーカ60に配置されている。具体的には、円形のマーカ60の外周部に、均等に3つのサブマーカ62が設けられている。すなわち、円形のマーカ60における中心と、3つのサブマーカ62との間でそれぞれ構成される中心角が、互いに等しくなるように、3つのサブマーカ62が配置されている。
これらサブマーカ62は、センサ52のセンシング部521が、センシング可能な部材で構成されている。例えば、センシング部521が超音波センサである場合には、センシング部521から射出される超音波を反射する部材で、サブマーカ62は構成される。また、センシング部521がレーザセンサである場合には、センシング部521から出射されるレーザを反射するレーザ用マーカとなる部材で、サブマーカ62は構成される。
なお、マーカ60におけるサブマーカ62の数は任意であり、被検体Pの治療対象部位とマーカ60との間の相対的な位置関係が特定でき、且つ、センサ52におけるセンシング部521からマーカ60までの距離をセンシング部521が測定できる数にすればよい。例えば、サブマーカ62は、2つ、4つなどであってもよい。本実施形態においては、複数のサブマーカ62に基づいて測定される複数の距離の平均を算出することにより、センサ52からマーカ60までの距離としている。
次に、本実施形態に係るX線CT装置1と穿刺具50とマーカ60を用いた穿刺作業とその際のX線CT装置1と穿刺具50の動作について説明する。図8は、本実施形態に係るX線CT装置1を用いて、被検体Pに穿刺作業をする様子を説明する図である。この図8に示すように、被検体Pは、架台装置10における回転フレーム13の中に挿入され、穿刺作業を行う部位について、X線を用いたスキャンを行えるように配置される。
さらに、本実施形態においては、操作者は、マーカ60を被検体Pに取り付ける。具体的には、マーカ60の開口61を、被検体Pの治療対象部位に目がけて穿刺針51を穿刺する位置に合わせて、マーカ60を被検体Pの体表に貼り付ける。また、操作者は、センサ52をマーカ60の近傍に置く。例えば、操作者は、センサ52を保持部53から取り外した状態で、或いは、穿刺針51は取り付ける前であるがセンサ52は保持部53に取り付けた状態で、或いは、穿刺針51とセンサ52とを保持部53に取り付けた状態で、センサ52をマーカ60の近傍に載置する。
この状態で、操作者は、X線CT装置1を用いて、被検体Pのスキャンを実行する。すなわち、架台装置10のX線管11からX線を照射して、コンソール装置40における処理回路44のスキャン機能445はX線画像を取得する。具体的には、スキャン機能445は、システム制御機能441と前処理機能442と再構成処理機能443と画像処理機能444とを動作させて、被検体Pに取り付けられたマーカ60と、この被検体Pに挿入される穿刺針51に設けられるセンサ52を含む3次元領域について、X線を用いたスキャンを実行する。
このスキャンの結果に基づいて生成された画像には、マーカ60とセンサ52の双方が撮像されている。このため、処理回路44における解析機能446は、スキャンの結果に基づいて生成された画像を解析することで、マーカ60とセンサ52それぞれについて、画像ベースの位置情報を特定することができる。具体的には、本実施形態においては、解析機能446は、スキャンの結果に基づいて生成された画像に基づいて、マーカ60からセンサ52までの距離を算出する。本実施形態においては、センサ52とマーカ60との間の距離の測定手法と整合性を担保するために、この解析機能446も、画像解析により、複数のサブマーカ62からセンサ52までの距離をそれぞれ算出して、平均を求めることにより、センサ52からマーカ60までの距離としている。
その一方で、センサ52は、センシング部521を用いて、マーカ60からセンサ52までの距離を測定する。この測定した距離に関する情報は、マーカ60とセンサ52のそれぞれのセンサベースの位置情報として、送信部522を介して、コンソール装置40に送信される。コンソール装置40では、受信部45を介して、処理回路44におけるセンシング機能447が、このセンサベースの位置情報を取得する。上述したように、センサ52は、複数のサブマーカ62からセンサ52までの距離をそれぞれ測定して、平均を算出することにより、センサ52からマーカ60までの距離としている。
続いて、コンソール装置40における処理回路44の調整機能448は、解析機能446が生成した画像ベースの位置情報に基づいて、センサベースの位置情報のゼロ調整を行う。具体的には、調整機能448は、解析機能446で算出された画像ベースの位置情報であるマーカ60からセンサ52までの距離と、センシング部521を用いて測定されたマーカ60からセンサ52におけるセンシング部521までの距離とを比較して、両者に差異がある場合には、画像ベースの位置情報である距離に基づいて、センサベースの位置情報である距離を調整する。
ゼロ調整の手法には種々のものが存在するが、例えば、画像ベースの位置情報である距離が100mmであり、センサベースの位置情報である距離が102mmであった場合には、以後、調整機能448は、センサベースの位置情報の距離に100/102を乗算することにより算出される距離を、調整後の適正な距離として採用する。
一般的に、スキャンの結果に基づいて生成される画像は、定期的に補正を行っていることから、精度が定常的に保証されている。一方、センシング部521は使い続けるうちに精度がずれてくる恐れがある。このため、本実施形態においては、精度が保証された画像ベースの位置情報に基づいて、センシング部521を用いたセンサベースの位置情報のゼロ調整を行うこととしている。調整機能448は、一旦、ゼロ調整を行った以降は、そのゼロ調整の結果を利用して、センシング部521で測定されたセンサベースの位置情報を、画像ベースの位置情報に基づいて、調整し続ける。
また、本実施形態においては、スキャン機能445がスキャンをすることにより取得したX線の画像は、コンソール装置40におけるディスプレイ42に表示される。穿刺作業を行う操作者は、ディスプレイ42に表示されたX線の画像に基づいて、穿刺作業の計画を立案する。
すなわち、操作者は、ディスプレイ42に表示された画像を見ながら、穿刺具50の穿刺針51の穿刺位置と穿刺角度を決定して、入力インターフェース43を介してコンソール装置40に入力する。この入力された穿刺位置と穿刺角度とに基づいて、穿刺計画機能449は、穿刺位置情報と穿刺角度情報とを少なくとも含む穿刺計画情報を生成する。また、操作者は、ディスプレイ42に表示された画像を見ながら、薬剤を注入したり組織を採取したりする、穿刺針51の最終位置を決定して、入力インターフェース43を介してコンソール装置40に入力する。この入力された最終位置に基づいて、穿刺計画機能449は、さらに、穿刺針51の最終位置に関する情報を少なくとも含む穿刺計画情報を生成する。なお、穿刺計画機能449が生成する穿刺計画情報は、穿刺位置情報と穿刺角度情報と最終位置に関する情報以外の情報をさらに含むようにすることもできる。また、最終位置に関する情報は、その入力を省略することも可能である。
次に、操作者は、センサ52が保持部53に取り付けられていない場合には、このセンサ52を保持部53に取り付ける。また、操作者は、穿刺針51が保持部53に取り付けられていない場合には、この穿刺針51を保持部53に取り付ける。
次に、操作者は、被検体Pのマーカ60を取り付けた部分に近づき、マーカ60の開口61に穿刺針を位置合わせする。この際、穿刺具50における穿刺針51の位置と角度はセンサ52のセンシング部521にてリアルタイムに測定されている。このため、測定された穿刺針51の位置情報と角度情報は、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報として、送信部522からコンソール装置40に送信される。
コンソール装置40では、送信されたセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報を受信部45で受信し、処理回路44におけるセンシング機能447が取得する。つまり、センシング機能447は、センシング部521を用いた、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とを随時取得する。
続いて、処理回路44における判定機能450は、センシング機能447が随時取得するセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、穿刺計画機能449により生成された穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致しているか否かを判定する。そして、判定機能450は、この判定の結果を、送信部46を介して、穿刺具50に送信する。
穿刺具50の受信部523は、送信された判定の結果を受信し、伝達部524は、この判定の結果を操作者に伝達する。この判定の結果を操作者に伝達する手法は種々のものが考えられる。例えば、伝達部524を警告音発生装置で構成し、穿刺しようとしている穿刺針51の穿刺位置と穿刺角度が穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致していない場合に、何らかの警告音を警告音発生装置が発生するようにしてもよい。これにより、操作者は、穿刺しようとしている穿刺針51の位置や角度が、穿刺計画と相違していることを認識することができる。
また、伝達部524を、図9に示すような表示部により構成することもできる。伝達部524を表示部で構成した場合、例えば、表示部は、位置情報に関する赤色の第1ランプR1と緑色の第2ランプG1と、角度情報に関する赤色の第3ランプR2と緑色の第4ランプG2により構成することができる。そして、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの位置情報と、穿刺計画情報における穿刺位置情報とが合致していないことを示している場合には、位置情報に関する赤色の第1ランプR1を点灯させる。一方、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの位置情報と、穿刺計画情報における穿刺位置情報とが合致していることを示している場合には、位置情報に関する緑色の第2ランプG1を点灯させる。このため、操作者は、位置情報に関する赤色の第1ランプR1と緑色の第2ランプG1のうちのどちらが点灯するかを確認することによって、穿刺針51の位置が穿刺計画に合っているかどうかを知ることができる。
また、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの角度情報と、穿刺計画情報における穿刺角度情報とが合致していないことを示している場合には、角度情報に関する赤色の第3ランプR2を点灯させる。一方、穿刺針51のセンサベースの角度情報と、穿刺計画情報における穿刺角度情報とが合致していることを示している場合には、角度情報に関する緑色の第4ランプG2を点灯させる。このため、操作者は、角度情報に関する赤色の第3ランプR2と緑色の第4ランプG2のうちのどちらが点灯するかを確認することによって、穿刺針51の位置が穿刺計画に合っているかどうかを知ることができる。
さらに、伝達部524は、必ずしも、穿刺具50に設ける必要はない。例えば、伝達部524は、処理回路44における伝達機能451として、コンソール装置40に設けることもできる。図10は、伝達部524がディスプレイ42に表示する穿刺状況表示画面の一例を示している。この図10に示すように、ディスプレイ42に表示される穿刺状況表示画面には、穿刺針51の位置情報に関する状況を表示する第1領域421と、角度情報に関する状況を表示する第2領域422とが形成される。
この穿刺状況表示画面をディスプレイ42に表示した上で、伝達機能451は、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの位置情報と、穿刺計画情報における穿刺位置情報とが合致していないことを示している場合には、位置情報に関する第1領域421を赤色で表示する。一方、伝達機能451は、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの位置情報と、穿刺計画情報における穿刺位置情報とが合致していることを示している場合には、位置情報に関する第1領域421を青色で表示する。このため、操作者は、位置情報に関する第1領域421が青色であるのかそれとも赤色であるのかを確認することによって、穿刺針51の位置が穿刺計画に合っているかどうかを知ることができる。
また、伝達機能451は、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの角度情報と、穿刺計画情報における穿刺角度情報とが合致していないことを示している場合には、角度情報に関する第2領域422を赤色で表示する。一方、伝達機能451は、判定機能450の判定の結果が、穿刺針51のセンサベースの角度情報と、穿刺計画情報における穿刺角度情報とが合致していることを示している場合には、角度情報に関する第2領域422を青色で表示する。このため、操作者は、角度情報に関する第2領域422が青色であるのかそれとも赤色であるのかを確認することによって、穿刺針51の角度が穿刺計画に合っているかどうかを知ることができる。但し、処理回路44の伝達機能451を用いて、判定機能450の判定の結果を操作者に伝達する場合には、その判定の結果を、送信部46を介して穿刺具50に送信する必要はなくなる。
なお、いずれの態様で判定機能450の判定の結果を伝達部524から操作者に伝達する場合でも、操作者が、穿刺計画に基づいて、穿刺針51の位置を合わせてから角度を合わせるのか、角度を合わせてから位置を合わせるのかは、任意である。また、両者は同時並行に行われてもよい。
操作者は、上述したいずれかの態様により穿刺具50の穿刺針51の位置と角度を確定した後、穿刺針51を被検体Pに穿刺する作業を始める。操作者は、穿刺針51の位置や角度を維持しながら、被検体Pへの穿刺を継続する。この間、上述した判定機能450は、継続して、センシング機能447が随時取得するセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、穿刺計画機能449により生成された穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致しているか否かを判定する。また、伝達部524又は伝達機能451は、継続して、判定機能450による判定の結果を操作者に伝達する。
マーカ60は被検体Pの体表に取り付けられているため、マーカ60は、被検体Pの体位や呼吸に常に追従する。このため、穿刺具50におけるセンサ52は、被検体Pの動きに常に追従したセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とを生成することができる。
さらに、本実施形態においては、付加的機能として、処理回路44における判定機能450は、穿刺針51が最終位置に到達したか否かを判定する機能も備えている。すなわち、判定機能450は、センサベースの位置情報に基づいて、穿刺針51の位置が、穿刺計画情報における穿刺針51の最終位置と合致したかどうかを判定する。そして、判定機能450は、判定の結果を、送信部46を介して、穿刺具50に送信する。
この判定の結果は、穿刺具50の受信部523で受信され、伝達部524は、その判定の結果を操作者に伝達する。例えば、伝達部524を警告音発生装置で構成している場合には、伝達部524は、穿刺針51が最終位置に到達した際にメロディーを流し、操作者に穿刺針51が最終位置に到達したことを伝達する。
また、伝達部524を、図9に示すような表示部で構成したような場合には、伝達部524は、穿刺針51が最終位置に到達した際に、位置情報に関する赤色の第1ランプR1と緑色の第2ランプG1と、角度情報に関する赤色の第3ランプR2と緑色の第4ランプG2とを、短い周期で点滅させて、操作者に穿刺針51が最終位置に到達したことを伝達する。或いは、伝達部524は、穿刺針51が最終位置に到達した際に、位置情報に関する赤色の第1ランプR1と緑色の第2ランプG1と、角度情報に関する赤色の第3ランプR2と緑色の第4ランプG2とを、すべて点灯させて、操作者に穿刺針51が最終位置に到達したことを伝達してもよい。
また、伝達機能451が図10に示す穿刺状況表示画面をディスプレイ42に表示する場合には、伝達機能451は、穿刺針51が最終位置に到達した際に、第1領域421と第2領域422とをともに白色で表示して、操作者に穿刺針51が最終位置に到達したことを伝達する。或いは、伝達機能451は、穿刺針51が最終位置に到達した際には、ディスプレイ42に文字情報として「最終位置に到達しました」と表示して、操作者に穿刺針51が最終位置に到達したことを伝達してもよい。
また、本実施形態においては、付加的機能として、処理回路44におけるスキャン機能445は、穿刺作業を開始した後に、操作者からの指示により、穿刺針51を被検体Pに穿刺した状態で、追加の撮像を行うことが可能である。具体的には、スキャン機能445は、システム制御機能441と前処理機能442と再構成処理機能443と画像処理機能444を動作させて、被検体Pと、被検体Pに取り付けられたマーカ60と、この被検体Pに挿入された穿刺針51とを少なくとも含む3次元領域について、X線を用いた追加のスキャンを実行する。スキャン機能445が取得した追加の画像は、ディスプレイ42に表示される。
操作者は、ディスプレイ42に表示された追加の画像に基づいて、その時点の穿刺具50における穿刺針51の状態を把握することができる。すなわち、伝達部524又は伝達機能451から伝達される情報だけでは不十分であると操作者が判断した場合には、操作者は、入力インターフェース43からコンソール装置40に追加のスキャンを実行するように指示をする。そして、この追加のスキャンの結果、ディスプレイ42に表示された画像に基づいて、穿刺作業が適正に進捗しているかどうかを直接把握することが可能となる。
また、操作者は、穿刺針51が穿刺計画における終端位置に到達したかどうか判断に悩む場合には、追加のスキャンを実行し、ディスプレイ42に表示された追加の画像に基づいて、本当に穿刺針51が終端位置に到達したかどうかを確認することができる。
以上のように、本実施形態に係るX線CTシステムによれば、スキャン機能445を用いて、被検体Pに取り付けられたマーカ60と、センシング部521を有するセンサ52とをX線を用いて撮像し、この撮像で得られた画像を解析して算出された画像ベースの位置情報に基づいて、センサ52のセンシング部521を用いて測定されたセンサベースの位置情報を調整することとした。このため、センサ52を用いた穿刺針51の穿刺位置情報と穿刺角度情報とを精度よく測定することができる。また、製造メーカによるセンサ52のセンシング部521の更正を頻繁に行う必要がなくなり、ユーザである操作者の使い勝手を向上させることができる。
また、穿刺作業にあたり、センサ52のセンシング部521により、穿刺針51の位置情報と角度情報とを随時特定することができるので、操作者は、判定機能450による穿刺計画に合致しているか否かの判定の結果を随時知ることができる。このため、穿刺作業に熟練していない操作者であっても、高い精度で穿刺針51の穿刺を行うことができる。
また、被検体Pに対するX線を用いた撮像も、センシング部521によるセンサベースの位置情報の調整をするための1回に、或いは、極限られた回数に制限することができる。このため、被検体Pへの曝射回数を可能な限り削減し、被検体Pの被爆を抑えることができる。
さらに、本実施形態に係るX線CTシステムによれば、穿刺計画を変更して、穿刺針51による穿刺開始位置を変更したいような場合でも、マーカ60を被検体Pから剥がして、被検体Pの体表の別な位置に貼り付けた上で、マーカ60とセンサ52とを含む3次元領域についてX線を用いたスキャンをやり直すだけなので、比較的容易に穿刺計画の変更をすることができる。このため、従来のロボット式の穿刺作業と比較して、穿刺計画の変更に柔軟に対応することができる。
なお、本実施形態においては、スキャン機能445がスキャン部を構成しており、解析機能446が解析部を構成しており、センシング機能447がセンシング部を構成しており、調整機能448が調整部を構成している。また、本実施形態においては、マーカ60が第1マーカを構成しており、センサ52が第2マーカを構成している。さらに、本実施形態においては、穿刺計画機能449が穿刺計画部を構成しており、判定機能450が判定部を構成しており、伝達部524及び伝達機能451が伝達部を構成している。
〔第2実施形態〕
第2実施形態に係るX線CTシステムは、上述した第1実施形態を変形して、センシング機能447を用いて取得した画像に、センサ52により測定したセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報から導き出せる穿刺針51の状態を合成し、この合成した画像をディスプレイ42に随時表示することにより、操作者が仮想的に穿刺針51の状態をリアルタイムで把握することができるようにしたものである。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
図11は、第2実施形態に係るX線CT装置1の内部構成を説明するブロック図である。この図11に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、第1実施形態に係るX線CT装置1に対して、処理回路44の合成画像生成機能452を追加することにより構成されている。
合成画像生成機能452は、スキャン機能445によるスキャンの結果に基づいて生成された画像に、穿刺針51の位置や姿勢をリアルタイムで合成して仮想的に嵌め込む。すなわち、センシング機能447は、受信部45を介して、センサ52のセンシング部521が測定したセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とを、穿刺具50から随時取得する処理を実行する。合成画像生成機能452は、スキャン機能445によるスキャンの結果に基づいて生成された画像に、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報から導き出される穿刺針51の状態を合成した合成画像を生成する処理を実行する。そして、ディスプレイ42は、この合成画像生成機能452で生成された合成画像を表示する。
図12は、ディスプレイ42に表示された合成画像の一例を示す図である。この図12に示すように、ディスプレイ42に表示された合成画像には、穿刺計画機能449が生成した穿刺計画情報に則った穿刺針51の動線が、例えば点線で表示されている。このため、操作者は、穿刺針51を操って、この穿刺計画を表す動線に沿うように穿刺針51の穿刺を行えばよい。
この図12に例示する合成画像においては、穿刺針51の最終位置は点Eで表されている。つまり、操作者は、穿刺針51の先端が点Eの位置に到達すれば、そこが穿刺針51の最終位置であることを合成画像で把握することができる。本実施形態においては、穿刺計画機能449が生成した穿刺計画情報に基づいて、合成画像生成機能452が、穿刺計画情報に則った動線を表す点線や最終位置を表す点Eを、スキャンの結果により得られる画像に合成し、ディスプレイ42が、この合成画像を表示する。
このため、図13に示すように、穿刺具50の操作者は、穿刺作業の途中過程においても、ディスプレイ42に表示された合成画像に基づいて、その時点の穿刺針51の位置や姿勢を仮想的に把握することができる。例えば、穿刺作業をしながら操作者は、ディスプレイ42に仮想的に表示された穿刺針51を含む合成画像を見ながら、穿刺針51の角度や、穿刺針51の先端から最終位置の点Eまでの距離を視覚的に把握することができる。なお、合成画像生成機能452が生成する合成画像は、図12や図13に示したような2次元のスライス画像ではなく、3次元画像であってもよい。
さらに、本実施形態においては、処理回路44の判定機能450は、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致しているか否かを判定する。そして、その判定の結果、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報の少なくとも一方が穿刺計画情報と合致していない場合には、伝達機能451は、その判定の結果を操作者に伝達する。例えば、伝達機能451は、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致している場合の穿刺針51の表示色と、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが、穿刺計画情報における穿刺位置情報と穿刺角度情報にそれぞれ合致していない場合の穿刺針51の表示色を異なるようにする。
すなわち、センシング部521により測定された穿刺針51の穿刺位置や穿刺角度は、合成画像に表示される穿刺針51の描画位置や描画角度にそのまま反映される。このため、操作者は、合成画像に描画された穿刺針51の位置や角度に基づいて、穿刺具50の位置や角度を調整することができる。さらに、判定機能450と合成画像生成機能452と伝達機能451は、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報の少なくとも一方が、穿刺計画情報に合致していない場合には、合成画像に表示される穿刺針51の色を変更して、操作者に注意を喚起することができる。例えば、この場合、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とが穿刺計画情報と合致している場合には、青色で穿刺針51を表示し、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報の少なくとも一方が穿刺計画情報と合致していない場合は赤色で穿刺針51を表示する。但し、このような伝達機能451による操作者への判定の結果の伝達がなくとも、操作者がディスプレイ42に表示された穿刺針51の合成画像に基づいて、視覚的に判断するようにしてもよい。
また、操作者は、コンソール装置40から指示を入力して、処理回路44のスキャン機能445に、再び、被検体Pのスキャンを実行させることができる。この場合、スキャン機能445は、被検体Pと、被検体Pに取り付けられたマーカ60と、センサ52とについて、X線を用いたスキャンを実行する。そして、合成画像生成機能452は、新たに取得した画像に、センサベースの位置情報とセンサベースの角度情報により算出される状態の穿刺針51の画像を合成する。そして、ディスプレイ42は、新たに合成された画像を表示する。操作者は、この表示結果を見て、穿刺針51で傷つけてはならない重要部位の位置を再確認したり、現在の穿刺針51の位置から最終位置に到達するまでの距離を再確認したりすることができる。
さらに、本実施形態においては、判定機能450は、センサベースの位置情報に基づいて、穿刺針51が最終位置に到達したか否かを判定する。判定機能450が、最終位置に穿刺針51が到達したと判定した場合には、伝達機能451と合成画像生成機能452は、ディスプレイ42に、さらに異なる色で穿刺針51を描画して合成画像を表示する。例えば、この場合、穿刺針51が最終位置に到達するまでは青色で穿刺針51を表示するが、最終位置に穿刺針51が到達した場合には、黄色で穿刺針51を表示する。これにより、伝達機能451は、判定機能450の判定の結果を伝達することができる。
これらのことから分かるように、本実施形態においては、コンソール装置40は判定機能450の判定の結果を、穿刺具50に送信する必要はないため、コンソール装置40の送信部46と、穿刺具50の受信部523は省くことが可能となる。また、穿刺具50において、操作者に判定の結果を伝達するための伝達部524も省くことが可能となる。但し、本実施形態においても、これら送信部46と受信部523と伝達部524を設けるようにすることもできる。さらには、穿刺具50に設けられた伝達部524からも、操作者に、上述した第1実施形態と同様の手法で、判定の結果を伝達するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態に係るX線CTシステムによれば、上述した第1実施形態に係るX線CTシステムよりも、さらにX線による撮像回数を減らすことができる。すなわち、ゼロ調整を行う際にスキャンした画像にセンサベースの位置情報とセンサベースの角度情報とにより算出される仮想的な穿刺針51を合成して、生成された合成画像をディスプレイ42に表示させるので、操作者はより容易に、被検体Pの体内における穿刺針51の状態を把握することができる。このため、穿刺作業に対する確実性を向上させ、穿刺作業の途中過程におけるX線を用いたスキャンの回数を減らすことができる。
また、治療対象部位の近傍に大きな血管等の重要部位がある場合には、操作者は、ディスプレイ42に表示された合成画像を見ながら、穿刺針51で傷つけてはならない重要部位を、避けることができる。或いは、穿刺針51で傷つけてはならない重要部位に穿刺針51の先端が近づいた時点で、再度、スキャン機能445を用いて、X線を用いた被検体Pのスキャンを行い、その時点の正確な画像を再度取得し、確認をすることができる。なお、傷つけてはならない重要部位に、穿刺針51が接近した場合、そのことを操作者に通知する通知機能を設けることも可能である。この通知機能は、例えば、伝達部524がブザー音を鳴らすなどして、操作者に通知するようにすることができる。
なお、本実施形態においても、上述した第1実施形態と同様に、スキャン機能445がスキャン部を構成しており、解析機能446が解析部を構成しており、センシング機能447がセンシング部を構成しており、調整機能448が調整部を構成している。また、本実施形態においても、マーカ60が第1マーカを構成しており、センサ52が第2マーカを構成している。さらに、本実施形態においても、穿刺計画機能449が穿刺計画部を構成しており、判定機能450が判定部を構成しており、伝達機能451が伝達部を構成している。
〔第1実施形態及び第2実施形態の変形例〕
上述した第1実施形態及び第2実施形態においては、マーカ60とセンサ52を備える穿刺具50との間の距離や、センサ52を備える穿刺具50の角度を、センサ52のセンシング部521で測定して、コンソール装置40に送信することとしたが、マーカ60と穿刺具50と間の距離や穿刺具50の角度の測定の手法には、種々のものが考えられる。例えば、センサ52の代わりに、或いは、センサ52に加えて、X線CT装置1の周辺にカメラセンサを設置して、このカメラセンサを用いて、マーカ60と穿刺具50との間の距離や、穿刺具50の角度を測定するようにすることもできる。
以下においては、第1実施形態におけるセンサ52の代わりに、或いは、センサ52に加えて、カメラセンサ70を設けて、このカメラセンサ70により、穿刺具50の距離や穿刺具50の角度を測定する例を説明する。なお、第2実施形態においても、本変形例を同様に適応することができることは明らかである。
図14は、第1実施形態の変形例に係るX線CT装置1の構成を説明するブロック図であり、上述した図1に対応する図である。この図14に示すように、本変形例では、X線CT装置1の周辺に、カメラセンサ70が設けられている。カメラセンサ70の設置場所は任意であるが、例えば、X線CT装置1が設置された部屋の天井であってもよいし、或いは、架台装置10における回転フレーム13の近傍であってもよい。換言すれば、カメラセンサ70は、被検体Pに取り付けたマーカ60と穿刺具50との双方が、カメラセンサ70を用いた撮像で撮影されるような位置に設定されればよい。なお、本変形例においては、X線CT装置1と、穿刺具50と、マーカ60と、カメラセンサ70とにより、X線CTシステムが構成される。また、穿刺具50とマーカ60とにより、本実施形態に係る穿刺作業ユニットが構成される。
カメラセンサ70は、撮像した画像に基づいて、距離や角度を算出することができるセンサである。本実施形態においては、特に、被検体Pの治療対象部位の近傍と、被検体Pに取り付けられたマーカ60と、穿刺具50とを撮像し、撮像した画像をコンソール装置40に送信する。カメラセンサ70とコンソール装置40との間は、有線のケーブルで接続してもよいし、或いは、無線で接続してもよい。
コンソール装置40の受信部45は、カメラセンサ70からの画像を受信し、センシング機能447は、この画像を取得する。そして、センシング機能447は、画像の解析を行い、マーカ60と穿刺具50の位置をそれぞれ特定する。これにより、センシング機能447は、マーカ60と穿刺具50のそれぞれのセンサベースの位置情報を取得する。すなわち、本変形例においては、穿刺具50と、マーカ60の複数のサブマーカ62との間の距離を、それぞれ、画像の解析により特定し、特定された距離の平均を算出することにより、穿刺具50とマーカ60との間の距離を算出する。また、センシング機能447は、取得した画像の解析を行い、穿刺具50の角度、つまり穿刺針51の角度を特定する。これにより、センシング機能447は、穿刺具50のセンサベースの角度情報を取得する。
以降の処理回路44における処理は、上述した第1実施形態と同様である。すなわち、調整機能448は、解析機能446により特定されたマーカ60と穿刺具50のそれぞれの画像ベースの位置情報に基づいて、マーカ60と穿刺具50のセンサベースのそれぞれの位置情報を調整する。つまり、解析機能446が特定したマーカ60と穿刺具50のそれぞれの画像ベースの位置情報に基づいて、カメラセンサ70のゼロ調整を行う。
なお、本変形例においては、穿刺具50にセンサ52が必ずしも設けられている必要がないことから、穿刺具50全体の位置情報を用いて、ゼロ調整をする。なお、穿刺具50全体ではなく、例えば、穿刺具50の一部を用いて、ゼロ調整することを可能である。例えば、画像の解析により、穿刺針51の先端を特定して、穿刺針51の先端の画像ベースの位置情報に基づいて、穿刺針51の先端のセンサベースの位置情報を調整するようにしてもよい。
また、本変形例においても、上述した第1実施形態と同様に、センシング機能447が、カメラセンサ70から取得した画像を用いて、マーカ60と穿刺具50との間の距離を算出して、この距離を、マーカ60と穿刺具50のそれぞれのセンサベースの位置情報としてもよい。この場合、解析機能446が、スキャン機能445のスキャンの結果に基づいて生成された画像を解析して、マーカ60と穿刺具50との間の距離を算出して、この距離を、マーカ60と穿刺具50のそれぞれの画像ベースの位置情報とすればよい。
なお、上述した変形例では、カメラセンサ70を用いて、マーカ60と穿刺具50のそれぞれのセンサベースの位置情報と、穿刺具50のセンサベースの角度情報とを測定する場合を例に説明をしたが、カメラセンサ70は、マーカ60と穿刺具50のそれぞれのセンサベースの位置情報は測定するが、穿刺具50のセンサベースの角度情報は測定しないようにすることもできる。この場合、穿刺具50におけるセンサ52は穿刺具50の角度を測定するために必要なものとなる。
以上のように、本変形例に係るX線CTシステムによれば、上述した第1実施形態や第2実施形態と同様に、スキャン機能445が実行したスキャンの結果に基づいて生成された画像を用いて、カメラセンサ70のゼロ調整を行うことができる。このため、カメラセンサ70の更正を頻繁に行う必要がなくなり、ユーザである操作者の使い勝手を向上させることができる。
なお、本変形例においても、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、スキャン機能445がスキャン部を構成しており、解析機能446が解析部を構成しており、センシング機能447がセンシング部を構成しており、調整機能448が調整部を構成している。但し、本変形例においては、マーカ60が第1マーカを構成しており、穿刺具50が第2マーカを構成している。さらに、本変形例においても、上述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、穿刺計画機能449が穿刺計画部を構成しており、判定機能450が判定部を構成しており、伝達機能451が伝達部を構成している。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。