JP2020056129A - 板紙、加工板紙、及び加工板紙の製造方法 - Google Patents

板紙、加工板紙、及び加工板紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】艶が抑えられており、かつ箔押適性に優れる板紙、このような板紙を用いた加工板紙、及び加工板紙の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、表層、裏層、及び上記表層と上記裏層との間に配置される1又は複数の中間層を有する板紙であって、上記表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6以上10以下である板紙である。【選択図】なし

Description

本発明は、板紙、加工板紙、及び加工板紙の製造方法に関する。
板紙は、複数の紙層を有する比較的厚手の紙であり、紙器、包装材、建材等に使用される。板紙においては、強度等の性能を改善するために、様々な開発が行われている。例えば、特開2006−241628号公報においては、座屈、変形が発生せず、輸送途中での座屈の発生を防止して、シートの脱落などを防止できる積層シート用紙箱向けの原紙として、各紙層の密度等を所定範囲に限定した板紙が提案されている。また、特開2008−127703号公報においては、優れた断熱性、保温性を有し、また段ボールシート、段ボール包装容器、内装包装容器などへの加工・貼合・製函適性に優れ、さらに印刷適性にも優れる多層抄き板紙として、基紙の少なくとも片面に、少なくとも中空無機粒子と熱発泡性粒子とバインダとを含有した塗工液を塗布して塗工層を設けた板紙が提案されている。
特開2006−241628号公報 特開2008−127703号公報
板紙には、美粧性、ファッション性、販促性などの点から、表面に各種加工が施されることがある。例えば高級な菓子、食品、靴、アクセサリー等を包装する箱には、箱の蓋に文字や図形などを金属箔で箔押して高級感を出すようにしたものがある。この箔押作業は蓋を組立てる前の板紙に、箔押プレス機で箔押することなどが一般的である。箔押は、フィルムに設けた金属層を板紙表面に熱転写することによって行われる。しかし、近年の高級感を醸しだす手段として採用されている艶消し状の表面性を有する従来の板紙に対して箔押をした場合、箔の均一且つ十分な密着が生じないなど、良好な箔押ができない場合がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、艶(光沢)が抑えられており、かつ箔押適性に優れる板紙、このような板紙を用いた加工板紙、及び加工板紙の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた発明は、表層、裏層、及び上記表層と上記裏層との間に配置される1又は複数の中間層を有する板紙であって、上記表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6以上10以下である板紙である。
当該板紙は、表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6μm以上10μm以下であることにより、艶が抑えられており、かつ箔押適性に優れる。すなわち、当該板紙に対して箔押加工をした場合、ムラが少なく高級感を醸し出しながら美粧性に優れる箔押加工を施すことができる。この理由は定かではないが、以下が推測される。当該板紙においては、表層側の面(表面)を十点平均粗さ(Rz)が14μm以上、PPS平滑度が6μm以上と、比較的粗い面としている。このように表面に適度な凹凸がある場合、板紙表層の断熱性・保熱性が高まり、箔押プレス機で熱圧着した際、板紙において、熱圧着された部分から熱が逃げにくく、熱圧着された部分のみが十分に加熱されやすくなる。このため、熱圧着した部分の箔が、板紙表面に均一性高く転写されることとなる。なお、逆に、板紙表面の凹凸が少なく、表層の断熱性・保熱性が低い(表層の伝熱性が高い)場合、箔押プレス機で熱圧着した際、板紙において、熱圧着された部分から熱が逃げやすくなる。この場合、熱圧着した部分の箔が十分に転写されなかったり、逆に、熱圧着していない部分の箔までも転写されたりすることで、版どおりの良好な箔押がされ難くなる。また、当該板紙においては、表面が比較的粗い面であるため、艶消し性にも優れ、高級感が醸し出される。一方、表面の十点平均粗さ(Rz)が20μmを超える場合、又はPPS平滑度が10μmを超える場合、表面の凹凸が大きすぎ、熱圧着したときに加圧力及び温度に差が生じやすくなることなどにより、転写された箔にムラが生じやすくなる。
上記表層の灰分が9質量%以上であり、機械パルプ含有割合が50質量%以上であることが好ましい。表層の灰分が9質量%以上であることにより、表層の平坦性が適度に向上しながら、艶が抑えられた表面性が得られやすく、ムラの少ない箔表面が形成されやすくなる。更に機械パルプの含有割合が50質量%以上であることによって、同心円状のへたり(ひしゃげ)の無い原料パルプ繊維の割合が多くなり、断熱性に優れ、クッション性も有するため、箔押し時のホットスタンプに対する適性に優る。
表層の灰分を9質量%以上、機械パルプ含有割合を50質量%以上とするに好ましい古紙として、表層が中白古紙を含むことが好ましい。中白古紙は、機械パルプを主成分としており、クラフトパルプと異なり繊維の劣化やへたり(ひしゃげ)が少ない。また、中白古紙は、比較的高灰分である。従って、表層に機械パルプ含有割合が多く比較的高灰分な中白古紙を用いることで、柔軟で嵩高な紙層を形成することができるため、断熱性・保熱性が高く、箔押適性をより高めることができる。また、高灰分でもあるため、箔押し時に箔押し部位の平坦性が高まり箔押し適性の向上に繋がるとともに、艶消し性が高まるという利点もある。また、灰分に含まれる無機物の割合として炭酸カルシウムを50質量%以上含む中白古紙は、炭酸カルシウム由来の白色度が高く、着色料との相性が良く、見栄えの向上に繋がる効果も有する。
このように、当該板紙は艶が抑えられており、かつ箔押適性に優れるため、箔押加工用の板紙として好適に用いることができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、上記板紙、及び上記板紙の上記表層側の面の一部に圧着された箔を備える加工板紙である。当該加工板紙は、本発明の板紙の表面に箔押加工がなされたものであるため、ムラが少ない良好な箔押がなされており、かつ箔押がなされていない部分の艶が抑えられているため美粧性等に優れる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該板紙の上記表層側の面に箔押する工程を備える加工板紙の製造方法である。当該製造方法によれば、ムラが少ない箔押がなされ、かつ箔押がなされていない部分の艶が抑えられた、美粧性に優れる加工板紙を得ることができる。
本発明によれば、艶が抑えられており、かつ箔押適性に優れる板紙、このような板紙を用いた加工板紙、及び加工板紙の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る板紙、加工板紙、及び加工板紙の製造方法について詳説する。
<板紙>
本発明の一実施形態に係る板紙は、表層、裏層、及び上記表層と上記裏層との間に配置される1又は複数の中間層を有する。各層は、パルプ繊維を主成分とする紙層である。
(表層)
表層は、最表面に位置する1層の紙層である。表層の主成分となるパルプ繊維としては、特に限定されず、例えば、古紙パルプ(DIP)、化学パルプ(例えば広葉樹クラフトパルプ:LBKP、針葉樹クラフトパルプ:NBKPなど)、機械パルプ(例えばサーモメカニカルパルプ:TMP、プレッシャライズドクラフトパルプ:PGW、リファイナーグランドパルプ:RGP、グランドパルプ等)やケナフ、バガス、麻、コットンなどの非木材パルプなどから得られるパルプ繊維を挙げることができる。これらの中でも、古紙パルプが好ましく、機械パルプを多く含み、灰分が9質量%以上含まれる古紙パルプがより好ましい。
古紙パルプの原料には、例えば上白古紙、罫白古紙、カード古紙、特白古紙、中白古紙、切付中更反古古紙、模造古紙、ケント古紙、白アート古紙、新聞古紙、雑誌古紙、地券古紙等があげられる。これらの古紙を2種以上用いてもよい。これらの中でも、表層においては、中白古紙を用いることが好ましい。中白古紙とは、財団法人古紙再生促進センター発行の古紙ハンドブックの古紙の統計分類に記載の中白に準拠するものであり、製本・印刷工場、新聞社等により発生する印刷のない更質紙を言う。従って、中白古紙は、元来脱墨・漂白処理を必要とする印刷部位が少なく、高い白色度を有し、また疲弊が少ない機械パルプが高配合されている古紙である。疲労が少ない機械パルプが高配合されていることで、表面が粗くなりやすく、表面の十点平均粗さ(Rz)及びPPS平滑度が所定範囲であって、断熱性・保熱性の高い、嵩高の表層が形成されやすくなる。また、中白古紙は、灰分が高く、特に、酸化カルシウムの含有割合が高い。このようなことから、中白古紙を表層に用いることで、断熱性・保熱性が高まり、箔押適性、艶消し性等の効果をより高めることができる。
表層のパルプ繊維に占める中白古紙の含有割合の下限としては、50質量%が好ましく、70質量%が好ましく、90質量%がさらに好ましく、99質量%がよりさらに好ましい。このように、表層を実質的に中白古紙から形成することで、箔押適性、艶消し性等の効果をより高めることができる。この中白古紙の含有割合の上限としては、100質量%が好ましい。
表層の機械パルプ含有割合の下限としては、箔押適正等をより高める観点から、50質量%が好ましい。一方、この機械パルプ含有割合の上限としては、90質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。この表層に含まれる機械パルプは、中白古紙等、古紙パルプに含まれる機械パルプであることが好ましい。
表層の、JIS−P−8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定される灰分の下限は、9質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。表層の灰分を上記下限以上とすることで、艶消し性等をより高めることができる。一方、この配分の上限としては、20質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、12質量%がさらに好ましい。無機成分の存在は、断熱性を低下させる要因となる。従って、表層の灰分を上記上限以下とすることで、断熱性・保熱性を高め、箔押適性をより良好にすることができる。
表層の灰分中の酸化カルシウムの含有割合としては、50質量%以上75質量%以下が好ましく、酸化アルミニウムの含有割合としては、5質量%以上12質量%以下が好ましく、酸化ケイ素の含有割合としては、10質量%以上18質量%以下が好ましい。このように、酸化カルシウムの含有割合の高い灰分組成とすることで、箔押適性、艶消し性等をより高めることができる。ここでいう灰分中の含有割合は、X線マイクロアナライザーによる灰分粒子の元素分析において、それぞれの元素の比率を酸化物換算で検出した割合である。
表層には、パルプ繊維以外に、顔料、染料、硫酸バンド、内添サイズ剤、内添紙力剤等の従来公知の添加剤が含有されていてもよい。
(裏層)
裏層は、最裏面に位置する1層の紙層である。裏層の主成分となるパルプ繊維としては、表層で例示したものと同じものを挙げることができる。これらの中でも、古紙パルプを用いることが好ましく、地券古紙を用いることがより好ましい。裏層には、表層と同様の各種添加剤が含有されていてもよい。地券古紙は、各種古紙パルプの中で中白古紙と同様に灰分含有量が比較的多い古紙原料であり、熱保持性が他の古紙よりも比較的高いため、箔押し時の熱の拡散が少なく、箔押し適性に適した古紙原料である。
(中間層)
中間層は、表層と裏層との間に配置される紙層である。中間層の層数としては特に限定されず、例えば1層以上5層以下とすることができ、3層が好ましい。裏層の主成分となるパルプ繊維としては、表層で例示したものと同じものを挙げることができる。これらの中でも、古紙パルプを用いることが好ましく、裏層と同様に地券古紙を用いることがより好ましい。中間層には、表層と同様の各種添加剤が含有されていてもよい。
(表面処理)
当該板紙は、表面処理が施されていてもよい。例えば、表面サイズ剤、防滑剤、撥水剤等を含む塗工液を上記表層表面に塗工することにより表面処理を施すことができる。但し、当該板紙は、表層側の面に表面サイズ剤を含む塗工液による表面処理がされていないことが好ましい。また、当該板紙は、カレンダー処理等の平坦化処理が施されていない、又はカレンダー処理を自重で行うことが好ましい。このように、表面サイズ剤を塗工せず、平坦化処理も行わないことで、表面の十点平均粗さ(Rz)及びPPS平滑度を所定範囲内に収めやすくなる。
(製造方法)
当該板紙の製造方法は特に限定されないが、例えば以下の工程により、公知の多層抄き抄紙機を用いて製造することができる。
(1)パルプ繊維を水に分散させて得たスラリーに、各紙層に対応した添加剤を必要に応じ添加して混合し、各紙層の紙料を調製する。
(2)それぞれの紙料をワイヤー上で抄紙し、抄き合わせる。
(3)加圧ロールによりプレスし、水分を除去する。
(4)ドライヤーシリンダーにて乾燥し、必要により塗工液を塗工する。
(5)リールに巻き取り、着色板紙を得る。
なお、当該板紙の製造方法においては、カレンダー処理等の平坦化処理を施すこともできるが、上述のように平坦化処理を施さないことが好ましい。これにより、表層側の面(表面)の十点平均粗さ(Rz)及びPPS平滑度を比較的大きい値に調整することができる。また、カレンダー処理を施し、このとき線圧等を調整することなどにより、表層側の面の十点平均粗さ(Rz)及びPPS平滑度を調整することができる。
(品質等)
当該板紙の表層側の面の十点平均粗さ(Rz)の下限としては、14μmであり、15μmが好ましい。表面の十点平均粗さ(Rz)を上記下限以上とすることで、断熱性・保熱性を高め、箔押適性が良好になる。また、表面を粗くすることで、艶消し性も高まる。一方、この十点平均粗さ(Rz)の上限としては、20μmである。表面の十点平均粗さ(Rz)を上記上限以下とすることで、表面の凹凸が大きくなりすぎるのを防ぎ、転写ムラの少ない箔押を行うことができる。なお、十点平均粗さ(Rz)は、JIS−B−0601:1994「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」に準拠して測定される値である。
当該板紙の表層側の面のPPS平滑度の下限としては、6μmであり、6.2μmが好ましく、7.4μmがより好ましい。表面のPPS平滑度を上記下限以上とすることで、断熱性・保熱性を高め、箔押適性が良好になる。また、表面を粗くすることで、艶消し性も高まる。PPS平滑度は、空気の流通量から平滑性の程度を表す指標であり、測定ヘッドに圧力をかけて測定することにより、箔押している状態を再現し箔押時の平滑度を測定することができるため、本件発明の箔押適性に関連する指標として好適である。当該板紙の表層側の面のPPS平滑度の上限としては、10μmである。表面のPPS平滑度を上記上限以下とすることで、表面の凹凸が大きくなりすぎるのを防ぎ、転写ムラの少ない箔押を行うことができる。なお、PPS平滑度は、JIS−P−8151−2004の付属書Aに準じ、ローレンツェンアンドベットレー株式会社製、機種名:SE−115にて、バッキングディスクとしてソフトラバー製のものを用い、クランプ圧力1MPaで表層について測定されるプリント・サーフ表面粗さ(μm)である。
当該板紙の表層側の面のベック平滑度の上限としては、20秒であることが好ましい。表面のベック平滑度を上記上限以下とすることで、断熱性・保熱性を高め、箔押適性が良好になる。一方、このベック平滑度の下限としては、例えば5秒であってよく、8秒が好ましい。なお、ベック平滑度は、JIS−P−8119−1998に準じて測定される値である。
当該板紙の坪量の下限としては、例えば150g/mが好ましく、165g/mがより好ましい。坪量を上記下限以上とすることで、箔押適性がより高まる傾向にある。一方、この坪量の上限としては、200g/mが好ましく、180g/mがより好ましい。坪量を上記上限以下とすることで、軽量化を図ることができ、加工性等も良好になる。
当該板紙(全体)の灰分の下限としては、10質量%が好ましく、15質量%がより好ましい。灰分を上記下限以上とすることで、艶消し性を高めることができる。一方、この灰分の上限としては、25質量%が好ましく、20質量%がより好ましい。灰分を上記上限以下とすることで、箔押適性をより良好にすることなどができる。
当該板紙の表層側の面の表面電気抵抗は、4.0×1012Ω以上であることが好ましい。表面電気抵抗が4.0×1012Ω以上であることで、設けられた箔の腐食等が生じ難くなる。一方、この表面電気抵抗の上限は、例えば1.0×1014Ωであり、1.0×1013Ωであってもよい。表面電気抵抗は、灰分等によって調整することができる。なお、表面電気抵抗は、JIS−K−6911に準拠し、温度20℃、湿度65%RHの環境下で測定された値である。
当該板紙の圧縮強度(縦方向)としては、300N以上460N以下が好ましい。また、当該板紙の圧縮強度(横方向)としては、230N以上350N以下が好ましい。圧縮強度が上記範囲内である場合、折り曲げ加工性や強度等をバランスよく高めることができる。なお、圧縮強度は、JIS−P−8126−2005に記載の「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定される値である。
当該板紙のZ軸強度としては、130mJ以上160mJ以下が好ましい。Z軸強度が上記範囲内であることで、箔押適性、折り曲げ加工性、強度等をバランスよく高めることができる。Z軸強度は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−1:2000に準拠して測定される値である。
当該板紙は、箔押加工用の板紙として好適に用いることができる。
<加工板紙>
本発明の一実施形態に係る加工板紙は、本発明の一実施形態に係る板紙、及び上記板紙の上記表層側の面の一部に圧着された箔を備える。すなわち、当該加工板紙は、表面に箔押加工がなされた板紙である。当該加工板紙は、ムラの少ない箔押がなされており、美粧性に優れる。箔は、例えば、文字、図形等の形状で、板紙表面に積層されている。上記箔は、通常、アルミニウム箔等の金属箔である。当該加工板紙において、通常、表層側の面全面に箔が積層されるものでは無く、部分的に箔が積層され、他の部分は板紙の表層が露出することとなる。当該加工板紙において、表層の露出部分は、艶が抑えられており、この点からも美粧性に優れる。当該加工板紙は、後述する製造方法により好適に製造することができる。
当該加工板紙は、紙箱、容器、本の表紙、名刺等に用いることができ、特に、紙箱の材料として好適に用いることができる。当該加工板紙は、段ボール紙のライナーとして用いることもできる。
<加工板紙の製造方法>
本発明の一実施形態に係る加工板紙の製造方法は、本発明の一実施形態に係る板紙の上記表層側の面に箔押する工程を備える。当該製造方法によれば、箔のムラが少なく、美粧性に優れる箔押が施された加工板紙を得ることができる。
当該製造方法は、箔押する対象の紙として本発明の一実施形態に係る板紙を用いること以外は、従来公知のホットスタンプ法等の箔押方法と同じである。すなわち、例えば、治具に板紙を固定し、板紙と版との間に箔を挟んだ状態で、加熱された版により、箔を板紙にプレスする。箔押に供する箔は、フィルムの一方の面に積層されており、箔のフィルムと反対側の面(板紙表面に対向する側の面)には、接着剤が塗布されている。版からの加熱及び加圧によりフィルムから箔が剥離し、板紙に転写される。版からの加熱により、箔に塗布された接着剤は溶融し、板紙と箔とは、この接着剤により接着される。このように、版からの熱と圧力で、箔が板紙に熱圧着される。このとき、本発明の一実施形態の板紙を用いると、表層の断熱性・保熱性が高いため、熱が、版により加圧された表層部分から周囲(表層における、版により加圧されていない部分)に流れ難く、版の形状に沿った加熱が効果的に生じる。従って、版の形状に沿った、ムラの少ない箔の転写が起こり、美粧性の高い加工板紙を得ることができる。
本発明の板紙を以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
各種測定及び評価は、以下の方法により行った。
・機械パルプの含有割合
表層の機械パルプの含有割合は、JIS−P−8220−1998に準拠して表層を離解し、得られる離解パルプについて、機械パルプの呈色を示すパルプの質量割合をJIS−P−8120−1998に記載の「紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法」に準拠して測定した。
・灰分
表層及び板紙全体の灰分は、JIS−P−8251に記載の「紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法」に準拠して測定した。
・灰分の成分
表層の灰分の成分は、エネルギー分散X線分析法により測定した。
・坪量
板紙の坪量は、JIS−P−8124に記載の「坪量測定方法」に準拠して測定した。
・十点平均粗さ(Rz)
表層側の面の十点平均粗さ(Rz)は、JIS−B−0601:1994「製品の幾何特性仕様(GPS)−表面性状:輪郭曲線方式−用語、定義及び表面性状パラメータ」に準拠して、表面粗さ測定器(ミツトヨ社製、製品名SJ−201P)を用いて10の試料を測定し、それらの平均値を値とした。
・PPS平滑度
表層側の面のPPS平滑度は、JIS−P−8151−2004の付属書Aに準じ、ローレンツェンアンドベットレー株式会社製、機種名:SE−115にて、バッキングディスクとしてソフトラバー製のものを用い、クランプ圧力1MPaに設定して測定した。
・ベック平滑度
表層側の面のベック平滑度は、JIS−P−8119−1998に準じて測定した。
・表面電気抵抗
表層側の面の表面電気抵抗は、JIS−K−6911に準拠し、温度20℃、湿度65%RHの環境下で測定した。
・圧縮強度
板紙の圧縮強度(縦方向及び横方向)は、JIS−P−8126−2005に記載の「紙及び板紙−圧縮強さ試験方法−リングクラッシュ法」に準拠して測定した。
・Z軸強度
板紙のZ軸強度は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.18−1:2000に準拠して測定した。
・箔押適性
卓上箔押機(ホットスタンプ)、及びクルツ社製の透明ホログラム箔「レーザーセレクト」を用い、転写温度は130℃で、転写時間は1秒による箔押を行った。以下の基準で箔押適性を評価した。
◎:箔表面の光沢ムラ、剥がれが無く良好な箔押しが得られた。
○:若干、箔表面に光沢ムラが見られたが、美粧性に問題なし。
△:箔表面に光沢ムラが見られた。
×:箔表面に光沢ムラ、端部に一部剥がれが見られた。
・艶消し性(白紙光沢度)
表面(表層側の面)の光沢度をJIS−P−8142−2005に記載の「紙及び板紙−75度鏡面光沢度の測定方法」に準拠して測定した。光沢度が低いほど、十分な艶消しがなされ、艶が抑えられていると判断できる。
[実施例1]
表層(1層)の原料パルプの主成分として中白古紙、中間層(2〜4層)の原料パルプとして地券古紙、及び裏層(5層)の原料パルプとして地券古紙を用い、多層抄き抄紙機により5層の紙層からなる、坪量170g/mの実施例1の板紙を得た。なお、表面処理として表面サイズ剤の塗工、及び平坦化処理は行わなかった。
[実施例2〜11、比較例1〜5]
各層の原料パルプ種、表面処理の有無、坪量及び灰分を表1の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2〜11及び比較例1〜5の各板紙を得た。灰分の調整は、表層中に含まれる中白古紙の含有割合を適宜調整すること又は入手元の異なる原料パルプを用いることで調整した。すなわち、実施例1〜11の表層の原料パルプには、主成分として中白古紙を用い、適宜他の古紙を配合した。
なお、比較例1、2、5については、表面処理として、表面に表面サイズ剤(ハリマ化成社のハーサイズKN−275P)を0.08g/m塗工した。
[評価]
上記した方法にて、得られた各板紙の表層における機械パルプ含有割合、坪量、表層側の面(表面)の十点平均粗さ(Rz)、PPS平滑度、ベック平滑度、表面電気抵抗、表層及び板紙全体の灰分、表層の灰分の成分、圧縮強度(縦方向及び横方向)、並びにZ軸強度を測定した。また、上記した方法にて、得られた各板紙について、箔押適性及び艶消し性について評価した。測定結果及び評価結果を表1又は表2に示す。
Figure 2020056129
Figure 2020056129
表1、2に示されるように、表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6μm以上10μm以下である実施例1〜11の各板紙は、箔押適性に優れており、かつ艶消し性も良好である。
一方、比較例を見ると、カレンダー処理を行っており、表面の平滑性が非常に高い比較例2、6は、箔押適性は有するものの、艶消しが不十分である。他の比較例1、3〜5は、表面の粗さが不十分又は粗すぎ、箔押適性が悪い。表面を十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6μm以上10μm以下といった適度に粗い面とすることで、箔押適性と艶消し性とを両立できることがわかる。
本発明の板紙は、紙箱等に用いられる箔押加工用の板紙として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 表層、裏層、及び上記表層と上記裏層との間に配置される1又は複数の中間層を有する板紙であって、
    上記表層側の面の十点平均粗さ(Rz)が14μm以上20μm以下、PPS平滑度が6μm以上10μm以下である板紙。
  2. 上記表層の灰分が9質量%以上であり、機械パルプ含有割合が50質量%以上である請求項1に記載の板紙。
  3. 箔押加工用である請求項1又は請求項2に記載の板紙。
  4. 請求項3に記載の板紙、及び
    上記板紙の上記表層側の面の一部に圧着された箔
    を備える加工板紙。
  5. 請求項3に記載の板紙の上記表層側の面に箔押する工程を備える加工板紙の製造方法。
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