JP2020055520A - タイヤおよびタイヤの製造方法 - Google Patents
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例えば特許文献1には、異なる2つの物体の境界面に電子部品を配置したタイヤが示されている。この電子部品が配置されている2つの物体の境界面は、カーカスプライの自由縁から延長する面となっている。
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るタイヤ1のタイヤ幅方向の半断面を示す図である。タイヤの基本的な構造は、タイヤ幅方向の断面において左右対称となっているため、ここでは、右半分の断面図を示す。図中、符号S1は、タイヤ赤道面である。タイヤ赤道面S1は、タイヤ回転軸に直交する面で、かつタイヤ幅方向中心に位置する面である。
ここで、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸に平行な方向であり、図1の断面図における紙面左右方向である。図1においては、タイヤ幅方向Xとして図示されている。
そして、タイヤ幅方向内側とは、タイヤ赤道面S1に近づく方向であり、図1においては、紙面左側である。タイヤ幅方向外側とは、タイヤ赤道面S1から離れる方向であり、図1においては、紙面右側である。
また、タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に垂直な方向であり、図1における紙面上下方向である。図1においては、タイヤ径方向Yとして図示されている。
そして、タイヤ径方向外側とは、タイヤ回転軸から離れる方向であり、図1においては、紙面上側である。タイヤ径方向内側とは、タイヤ回転軸に近づく方向であり、図1においては、紙面下側である。
図2、5についても同様である。
ビードコア21は、空気が充填されたタイヤを、図示しないホイールのリムに固定する役目を果たす部材である。ビードフィラー22は、ビード周辺部の剛性を高め、高い操縦性および安定性を確保するために設けられている部材である。
図1に示されるように、カーカスプライ23は、一方のビードコアから他方のビードコアに延び、トレッド12とビード11との間を延在するプライ本体24と、ビードコア21の周りで折り返されているプライ折り返し部25とを備える。ここで、プライ折り返し部25の折り返し端25Aは、ビードフィラー22のタイヤ径方向外側端22Aよりもタイヤ径方向内側に位置している。
カーカスプライ23は、タイヤ幅方向に延びる複数のプライコードにより構成されている。また、複数のプライコードは、タイヤ周方向に並んで配列されている。
このプライコードは、金属製のスチールコード、あるいはポリエステルやポリアミド等の絶縁性の有機繊維コード等により構成されており、ゴムにより被覆されている。
ショルダーパッド38はクッション性を有するゴム部材からなり、カーカスプライ23とスチールベルト26との間において、クッション機能を発揮する。また、ショルダーパッド38は低発熱性の特性を有するゴムからなるため、サイドウォール13まで延出させることにより、効果的に発熱を抑制することができる。
このスチールチェーハー31は、金属製のスチールコードにより構成された金属補強層であり、ゴムにより被覆されている。
換言すると、第2のパッド36は、第1のパッド35等と、タイヤの外表面を構成する部材であるリムストリップゴム32およびサイドウォールゴム30との間に設けられている。
より詳細には、第2のパッド36は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムにより構成されており、第1のパッド35は、第2のパッド36よりもさらに高いモジュラスのゴムにより構成されている。第1のパッド35、第2のパッド36は、カーカスプライ23の折り返し端25Aおよびスチールチェーハー31の端部31Aにおける局所的な剛性の変化点に起因する急激な歪みを緩和する機能を有する。
RFIDタグ40は、RFIDチップと、外部機器と通信を行うためのアンテナとを備えた、パッシブ型のトランスポンダであり、外部機器としての図示しないリーダとの間で無線通信を行う。アンテナとしては、コイル状のスプリングアンテナ、板状のアンテナ、棒状の各種のアンテナが用いられる。例えば、フレキシブル基板に対して所定のパターンをプリントすることによって形成したアンテナであってもよい。アンテナは、使用する周波数帯域等に応じて、最適化されたアンテナ長さに設定されている。RFIDチップ内の記憶部には、製造番号、部品番号等の識別情報が格納されている。
図1、2に示されるように、RFIDタグ40は、第1のパッド35と第2のパッド36との間に埋設されている。
なお、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
ここで、カーカスプライ23の折り返し端25Aの近傍部35Bは、図2に示すように、タイヤ幅方向断面視において、カーカスプライ23のプライ折り返し端25Aから、プライ折り返し部25の延出方向と直交する方向に引いた線(図2においては、点線で示されている)と、第1のパッド35のタイヤ幅方向外側表面を示す線との交点によって規定されている。
このグラフから明らかなように、プライ折り返し部25の折り返し端25Aの近傍部35Bよりも5mm以上離れることにより、歪エネルギー指数は大幅に減少する。さらに、10mm以上離れることにより、歪エネルギー指数は、低い値で安定する。
すなわち、実質的には、プライ折り返し部25の折り返し端25Aよりも5mm以上離れた位置であれば、歪エネルギー指数は大幅に減少し、さらに、10mm以上離れた位置であれば、歪エネルギー指数は、低い値で安定することが分かる。
このように、第1のパッド35のタイヤ径方向外側端の稜線(第1のパッド35の外周部)を基準とすることにより、特別な目印を付与することもなく、RFIDタグ40を上述の方向に簡単に配置することができる。また、この方法によれば、歪エネルギーが低く、金属製の部品からも遠い位置である第1のパッド35のタイヤ径方向外側端に、RFIDタグ40を簡単に配置することができる。
これにより、RFIDタグ40は、過度な歪の影響を受けることもなく、その機能を保つことができる。
これにより、カーカスプライ23が金属製のスチールコードにより形成されている場合でも、RFIDタグ40の通信品質を保つことができる。
これにより、RFIDタグ40は、第2ビードフィラー222よりも高いモジュラスのゴムからなる第1のパッド35および第2のパッド36により挟まれて配置されるため、非常に強固に保護される。よって、タイヤが歪んだ場合においても、RFIDタグ40はほとんどダメージを受けることがない。
次に、第2実施形態に係るタイヤについて、図4A〜4Cを参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、図4A〜4Cに示されるように、RFIDタグ40は保護部材43により被覆されている。
ここで、モジュラスは、JIS K6251:2010の「3.7 所定伸び引張り応力(stress at a given elongation),S」に準拠して測定された、23℃の雰囲気下における100%伸長モジュラス(M100)を指す。
なお、RFIDタグ40の保護の強化を重視すれば、保護部材43に用いられるゴムとして、第2のパッド36よりも高いモジュラスのゴムを採用してもよい。
また、保護部材43として、加硫後の状態のゴムシートを用いてもよい。加硫後の状態のゴムシートは、生ゴムのように塑性変形しないため、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
例えば、加硫前の第1のパッド35、第2のパッド36といった部材の所望の位置に、ゴムシートによって被覆されたRFIDタグ40を、生ゴムの粘着性を利用して適切に貼り付けることができる。また、ゴムシートも加硫前の生ゴムとすることにより、ゴムシート自身の粘着性も用いて、より簡便に貼り付けることができる。
また、例えば、RFIDタグ40の全周に亘って1枚のゴムシートを巻き付ける構成や、RFIDタグ40の全周に亘って、粘度の高いポッティング剤の態様の保護部材を付着させた構成であってもよい。このような構成であっても、RFIDタグ40を適切に保護することができる。
このような態様とすることで、タイヤが変形したときにおいても、RFIDタグ40に応力がかかりにくい。また、製造工程において、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を取り付ける作業が簡便となる。
この方法により、特別な目印を付与することもなく、保護部材43に被覆されたRFIDタグ40を上述の方向に簡単に配置することができる。また、この方法によれば、図5に示されるような、歪エネルギーが小さく、金属製の部品からも遠い位置である第1のパッド35のタイヤ径方向外側端35A近傍に、保護部材43により被覆されたRFIDタグ40を簡単に配置することができる。
これにより、RFIDタグ40はゴムシート431、432により保護された状態で、歪エネルギーが小さく、金属製の部品からも遠い位置に配置することができる。
これにより、RFIDタグ40を、歪エネルギーが小さく、金属製の部品からも遠い位置である第1のパッド35のタイヤ径方向外側端35A近傍にも、簡単に配置することができる。
よって、タイヤ内のゴムのモジュラスが段階的に変化するため、タイヤが変形した場合において、RFIDタグ40埋設部においてゴム構造体内に過度な応力が発生することを防ぐことができる。
次に、第3実施形態に係るタイヤについて、図6〜12を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、第2実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。
本実施形態は、RFIDタグ40のアンテナが、コイル状のスプリングアンテナである場合に特に好適な実施形態である。
ゴム46は、スプリングアンテナ421の外周面と略同じ外径となるように埋め込まれる。そして、スプリングアンテナ421の外周面からゴム46がはみ出ている場合には、その部分を拭き取って除去することが好ましい。すなわち、ゴム46の外周面は、スプリングアンテナ421の外周面と略同一面となるように成形されることが好ましい。
なお、スプリングアンテナ421内にゴム46を充填すると共に、スプリングアンテナ421の外周をゴム46で薄く包み込んでもよい。一方、スプリングアンテナ421をゴム46によって厚く包み込んでしまうと、スプリングアンテナ421の柔軟性が損なわれる上に、RFIDタグ40を挟み込んだ後のゴムシート431、432により形成される幅方向の寸法が大きくなってしまうため、好ましくない。
なお、スプリングアンテナ421の内周面と略同じ外径となるように、ゴム46を埋め込んでもよい。ゴム46の外周部は、スプリングアンテナ421の内周面〜外周面の範囲内に位置していることが望ましい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46としては、好ましくは未加硫のゴムを用いる。ゴム46、ゴムシート431、432を未加硫のゴムとし、同時に加硫することにより、ゴム46、ゴムシート431、432、スプリングアンテナ421の一体性が高まる。また、ゴム46、ゴムシート431、432は、同種のゴムとすることがより好ましい。
なお、スプリングアンテナ421の柔軟性を重視して、ゴム46として、ゴムシート431、432よりも低いモジュラスのゴムを用いてもよい。また、略同一のモジュラスのゴムや、同じ材質のゴムを用いてもよい。
なお、スプリングアンテナ421内に配置するゴム46として、加硫後のゴムを用いてもよい。また、ゴム系接着剤、ゴム系充填剤などを用いることも可能である。柔軟性を確保しつつ、スプリングアンテナ421内に空気をなるべく残らないようにすることを考慮して、各種のゴム系材料を採用することができる。
ゴム46の配置作業としては、各種の方法が採用可能であるが、例えば、注射器を用いてスプリングアンテナ421内にゴムを注入することも可能である。この場合、注射器を用いて、設定された適切な量のゴム46を充填してもよい。また、ゴム46を多めに充填後、スプリングアンテナ421の外周からはみ出た部分を拭き取ってもよい。
また、スプリングアンテナ421内にゴム46が配置されていることにより、スプリングアンテナ421、ゴム46、ゴムシート431、432の一体性が高まり、タイヤが変形したときに、ゴムの動きにスプリングアンテナ421が追従する。よって、スプリングアンテナ421を有するRFIDタグ40の耐久性も向上する。
本実施形態においてゴムシート431、432で挟み込まれたRFIDタグ40は、生タイヤ内に配設され、その後生タイヤは加硫される。
これにより、スプリングアンテナ421内に空気45が残ってしまうことがない。また、空気溜まりを気にしなくてもよいため、ゴムシート431、432でRFIDタグ40を挟み込む作業も簡便となる。
また、スプリングアンテナ421の外周部と、ゴムシート431、432の外表面との距離Lが安定するため、RFIDタグ40は、ゴムシート431、432によって十分保護される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲で変形、改良などを行っても、本発明の範囲に含まれる。
11…ビード
12…トレッド
13…サイドウォール
21…ビードコア
22…ビードフィラー
22A…ビードフィラーのタイヤ径方向外側端
23…カーカスプライ
24…プライ本体
25…プライ折り返し部
26…スチールベルト
27…キャッププライ
28…トレッドゴム
29…インナーライナー
30…サイドウォールゴム
31…スチールチェーハー
31A…スチールチェーハーの端部
32…リムストリップゴム
35…第1のパッド
36…第2のパッド
37…ゴムシート
40…RFIDタグ
41…RFIDチップ
42…アンテナ
421…スプリングアンテナ
43…保護部材
431、432…ゴムシート
46…ゴム
Claims (6)
- ビードコアと、前記ビードコアのタイヤ径方向外側に延出するビードフィラーと、前記ビードコアから他方のビードコアに延び、前記ビードコアの周りで折り返されたカーカスプライと、を備えるタイヤであって、
前記ビードコア周りで前記カーカスプライを覆うように配設された補強プライと、
前記補強プライの端部のタイヤ径方向外側において、前記折り返されたカーカスプライの折り返し端のタイヤ幅方向外側を覆う第1のパッドと、
前記第1のパッドのタイヤ幅方向外側を覆う第2のパッドと、を備え、
前記第1のパッドと前記第2のパッドとの間に電子部品が設けられている、タイヤ。 - 前記電子部品は、前記カーカスプライの折り返し端から5mm以上離れた位置に設けられている、請求項1に記載のタイヤ。
- 前記電子部品は、ゴムシートに被覆されており、前記電子部品を被覆したゴムシートが、前記第1のパッドのタイヤ径方向外側端に配置されている、請求項1または2に記載のタイヤ。
- 前記第1のパッドと前記第2のパッドのモジュラスは、前記ビードフィラーのモジュラスよりも高い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
- 請求項1に記載のタイヤを製造する製造方法であって、
前記電子部品は、ゴムシートに被覆されており、
生タイヤを加硫する加硫工程の前に、前記第1のパッドの外周部を基準として、前記電子部品を被覆した前記ゴムシートの長手方向を、前記第1のパッドの外周部の接線の方向にあわせて、前記ゴムシートを前記第1のパッドに貼り付ける貼り付け工程を備える、タイヤの製造方法。 - さらに、前記貼り付け工程において貼り付けられる前記電子部品を前記ゴムシートで被覆する被覆工程を備え、
前記被覆工程は、前記電子部品のスプリングアンテナ内にゴムを配置する工程と、
前記ゴムが配置された前記スプリングアンテナを有する前記電子部品を、前記ゴムシートで挟み込む工程と、を有する、請求項5に記載のタイヤの製造方法。
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