JP2020053697A - 発光装置、及び発光装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の悪化が抑制された、簡便に製造することが可能な発光装置の提供。【解決手段】基板2と、基板上に実装された固体発光素子3と、固体発光素子を取り囲むように基板上に配置された円筒材4と、固体発光素子を内包し、円筒材の内表面に接する円柱状部分5a、及び、円柱状部分の上部に位置するドーム形状部分5bを有する透明樹脂部5とを備え、円筒材は、撥水性の内表面を有し、ドーム形状部分は、固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体6を含有することを特徴とする、発光装置。【選択図】図1

Description

本発明は、発光装置、及び発光装置の製造方法に関する。
これまで、発光ダイオード(LED)をはじめとする固体発光素子を用いた発光装置が実用化されている。ここで、固体発光素子を用いた発光装置は、一般に、固体発光素子を透明樹脂で封止して保護するとともに、この透明樹脂に、波長変換のための蛍光体を適宜分散させてなる構造を有している。
そして、近年、このような発光装置に対しては、高出力化、多様な色調、広い色域などが望まれており、また、白色LEDの技術の成熟とともに、多様な蛍光体が適用できることが要求されている。
固体発光素子を用いた発光装置の従来技術として、例えば特許文献1は、バスタブ型のLEDパッケージを開示している。具体的にいうと、特許文献1に開示のLEDパッケージは、図5に示すように、蛍光体106を含む封止樹脂105が充填されるバスタブ部110の内面に傾斜が設けられ、これにより、LED103の発光経路が確保されている。
また、固体発光素子を用いた発光装置の従来技術として、例えば特許文献2は、シリコーンレンズを有するバスタブ型のLEDパッケージを開示している。具体的にいうと、特許文献2に開示のLEDパッケージは、図6に示すように、シリコーンレンズ208が封止樹脂205の表面に接着されており、これにより、LEDパッケージの上方への光の取り出し量が高められている。
特開2005−235847号公報 特開2012−138422号公報
しかしながら、特許文献1に開示のLEDパッケージは、封止樹脂の外表面がフラットに形成されており、光の一部が封止樹脂のフラットな内面で反射し、パッケージ内に閉じ込められるため、結果として光の取り出し効率が十分でないという問題があった。
また、特許文献2に開示のLEDパッケージは、封止樹脂に、注型成形などにより別途成形したシリコーンレンズを接着させて得られるものであるため、一体的に製造することができず、製造の簡便性の観点で問題があった。
更に、特許文献1,2のLEDパッケージは、いずれも、ほとんどの蛍光体が、発光中に高温となるLEDの近傍に不可避的に配置されるため、これらの蛍光体が劣化して、発光特性が経時的に悪化するという問題があった。そのため、このような従来のLEDパッケージにおいては、ある程度長寿命化するためには、使用する蛍光体を耐光性や耐熱性が比較的良好なものに限定する必要があり、近年の要求を満たすことができなかった。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の劣化が抑制された、簡便に製造することが可能な発光装置を提供することを目的とする。また、本発明は、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の劣化が抑制された発光装置を簡便に製造することが可能な、発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、発光装置の一部材として撥水性の内表面を有する円筒材を少なくとも用いることにより、光の取り出し効率が高く、且つ発光特性の経時劣化が十分に抑制された発光装置が簡便に得られることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 基板と、
前記基板上に実装された固体発光素子と、
前記固体発光素子を取り囲むように前記基板上に配置された円筒材と、
前記固体発光素子を内包し、前記円筒材の内表面に接する円柱状部分、及び、前記円柱状部分の上部に位置するドーム形状部分を有する透明樹脂部と
を備え、
前記円筒材は、撥水性の内表面を有し、
前記ドーム形状部分は、前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有することを特徴とする、発光装置である。
該<1>に記載の発光装置において、透明樹脂部が円柱状部分の上部にドーム形状部分を有することにより、凸状のレンズ機構を構成して光の取り出し効率を優れたものとすることができる。また、該<1>に記載の発光装置において、少なくとも一定量の蛍光体がドーム形状部分に含有されることにより、当該蛍光体が劣化し難くなっているため、経時的な発光特性の悪化を抑制することができる。更に、該<1>に記載の発光装置は、撥水性の内表面を有する円筒材が用いられることにより、簡便に製造することができる。
<2> 前記透明樹脂部における前記蛍光体のうち、前記基板に最も近接している蛍光体が、前記固体発光素子の上端から500μm高い位置又は該位置よりも高い位置にある、前記<1>に記載の発光装置である。
<3> 前記透明樹脂部における前記蛍光体のうち、前記基板に最も近接している蛍光体が、前記円筒材の上端から100μm低い位置又は該位置よりも高い位置にある、前記<1>又は<2>に記載の発光装置である。
<4> 前記固体発光素子は、発光ダイオードである、前記<1>〜<3>のいずれかに記載の発光装置である。
<5> 前記発光ダイオードは青色発光ダイオードであり、前記青色発光ダイオードの発光及び前記蛍光体の発光の組み合わせにより擬似的に白色光が得られる、前記<4>に記載の発光装置である。
<6> 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングし、円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部を形成する工程と、
前記未硬化の透明樹脂部を硬化する工程と
を含む、発光装置の製造方法である。
<7> 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
第1の硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングし、円柱状である未硬化の第1の透明樹脂部を形成する工程と、
前記未硬化の第1の透明樹脂部を硬化する工程と、
前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する第2の硬化性透明樹脂組成物を、硬化した前記第1の透明樹脂部の上にポッティングし、ドーム形状部分を有する未硬化の第2の透明樹脂部を形成する工程と、
前記未硬化の第2の透明樹脂部を硬化する工程と
を含む、発光装置の製造方法である。
<8> 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
第1の硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングする工程と、
前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する第2の硬化性透明樹脂組成物を、ポッティングした前記第1の硬化性透明樹脂組成物の上にポッティングし、円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部を形成する工程と、
前記未硬化の透明樹脂部を硬化する工程と
を含む、発光装置の製造方法である。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の劣化が抑制された、簡便に製造することが可能な発光装置を提供することができる。また、本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の劣化が抑制された発光装置を簡便に製造することが可能な、発光装置の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る発光装置の模式図である。 本発明の別の実施形態に係る発光装置の模式図である。 本発明の更に別の実施形態に係る発光装置の模式図である。 実施例及び比較例に係る発光装置の、環境試験前後における色度(v’)の差(Δv’)を表す図である。 固体発光素子を用いた従来の発光装置(その1)の概略図である。 固体発光素子を用いた従来の発光装置(その2)の概略図である。
(発光装置)
以下、図1などを用いて、本発明の一実施形態の発光装置1を説明する。
本発明の一実施形態の発光装置(以下、単に「本発明の発光装置」と称する場合がある。)1は、少なくとも、基板2と、固体発光素子3と、円筒材4と、透明樹脂部5とを備え、透明樹脂部5は、上述の固体発光素子3の発光波長の光で励起される蛍光体6を含有する。また、本発明の発光装置1は、必要に応じ、その他の任意の部材を備えていてもよい。
<基板>
基板2としては、平板状である限り、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、発光装置の分野において既知のもの、例えば、セラミック基板、樹脂基板、金属基板、ガラエポ基板などを用いることができる。
<固体発光素子>
固体発光素子3は、基板上に実装されている。なお、図1では、固体発光素子3が基板2上にチップオンボード(COB)の形式で直接実装されているが、実装形式はこれに制限されない。そして、固体発光素子3は、電極を備え、この電極は、いわゆるワイヤー・ボンディング法により、金のワイヤー7によって基板2上の導体に接続されている。但し、ワイヤーの材質、及び固体発光素子3と基板2との接続形式は、これに制限されない。
固体発光素子3としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、発光ダイオードなどが挙げられる。また、固体発光素子3として発光ダイオードを用いる場合、この発光ダイオードは、特に制限されず、青色発光ダイオードとすることができる。ここで、青色発光ダイオードは、窒化ガリウム(GaN)を主な材料とした、青色系の光を発する発光ダイオードである。そして、固体発光素子3として青色発光ダイオードを用いるとともに、透明樹脂部5に含有させる蛍光体6の種類を適切に選択すれば、青色発光ダイオードの発光及び当該蛍光体の発光の組み合わせにより、擬似的に白色光を得ることができる。このような組み合わせに係る発光装置は、RGBの発光ダイオードを用いて白色光が得られる蛍光体フリーの発光装置に比べて、製造コスト及び寿命の点で有利である。
<円筒材>
円筒材4は、固体発光素子3を取り囲むように、基板2上に配置されている。ここで、発光装置1の発光特性を均一なものとする観点から、円筒材4は、その円の中心に固体発光素子3が位置するように基板2上に配置されていることが好ましい。なお、円筒材4は、特に制限されることなく、任意の接着剤を用いて基板2上に貼付されていてもよい。
円筒材4の筒長(図1中のh1)は、通常は1.0mm以上である。また、円筒材4の筒長は、後述する透明樹脂部5に存在するできるだけ多くの蛍光体6を固体発光素子3から離し、蛍光体6の劣化、ひいては経時的な発光特性の悪化をより十分に抑制する観点から、1.5mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、また、透明樹脂部内での光反射による発光の減衰を十分に抑える観点から、5.0mm以下が好ましく、3.0mm以下がより好ましい。
円筒材4の内径(図1中のd1)としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、固体発光素子がワイヤー・ボンディング等の製造上の弊害とならないようにする観点から、3.0mm以上が好ましく、5.0mm以上がより好ましく、また、固体発光素子からの光と蛍光体からの光とによる色混ざりを十分に取り、発光の色度ずれを防ぐ観点から、10.0mm以下が好ましく、5.0mm以下がより好ましい。
また、円筒材4は、撥水性の内表面を有することを要する。円筒材4が撥水性の内表面を有することにより、後述のドーム形状部分5bを簡便に形成することができるからである。ここで、円筒材4は、内表面のみが撥水性であってもよく、全体が撥水性であってもよい。具体的に言えば、円筒材4は、非撥水性の材料を用いて円筒部材を作製し、その内表面を撥水性の材料で被覆したものであってもよく、撥水性の材料を用いて作製したものであってもよい。
撥水性の材料としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。ここで、本明細書において、フッ素系樹脂とは、分子中にフッ素を含有する樹脂を指し、シリコーン樹脂とは、シロキサン結合を主骨格として有する樹脂を指す。なお、フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)などが挙げられる。
<透明樹脂部>
透明樹脂部5は、主として透明樹脂からなる。また、透明樹脂部5は、円柱状部分5a及びドーム形状部分5bを有する。ここで、図1に示すように、透明樹脂部5において、円柱状部分5aは、基板の高さから円筒材4の上端の高さまでの部分に相当し、即ち円筒材4の内表面に接する部分である。また、ドーム形状部分5bは、円柱状部分5aの上部に位置する、ドーム形状を有する部分に相当し、即ち円筒材4の内表面に接しない部分である。なお、発光装置1における円柱状部分5a及びドーム形状部分5bは、説明の便宜上区別するものであり、一体的に形成されていてもよい。そして、透明樹脂部5においては、円柱状部分5aが固体発光素子3を内包している。このように、本発明の発光装置1は、固体発光素子3を内包するとともに、ドーム形状部分5bを有する透明樹脂部を備えるため、ドーム形状部分5bが凸状のレンズ機構を構成し、固体発光素子3に由来する光の取り出し効率が十分に高いものとなっている。
透明樹脂部5を構成する透明樹脂としては、透明な樹脂である限り、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硬化性透明樹脂などが挙げられる。また、硬化性透明樹脂としては、フェニル系シリコーン樹脂、メチル系シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等の熱硬化性透明樹脂、などが挙げられる。この硬化性透明樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<蛍光体>
また、図1に示すように、透明樹脂部5の円柱状部分5a及びドーム形状部分5bは、蛍光体6を含有している。但し、本発明においては、少なくともドーム形状部分5bが、蛍光体6を含有していればよい。ドーム形状部分5bに含有される蛍光体6は、固体発光装置3から、少なくとも円筒材4の筒長程度だけ離間しているため、劣化し難い。即ち、本発明の発光装置1は、少なくとも一定量の蛍光体が劣化し難くなっているため、経時的な発光特性の悪化が抑制されている。
ここで、図1の発光装置1は、上述した通り、透明樹脂部5の円柱状部分5a及びドーム形状部分5bの両方に蛍光体6が略均一に分散されているが、固体発光素子3からある程度の高さ以下の円柱状部分5aには、蛍光体6が含有されない構成とすることが好ましい。より具体的には、図2に示すように、透明樹脂部5における蛍光体6のうち、基板2に最も近接している蛍光体が、固体発光素子3の上端から500μm(図2のh2に相当)だけ高い位置又は該位置よりも高い位置にあることが好ましい。更には、図3に示すように、透明樹脂部5における蛍光体6のうち、基板2に最も近接している蛍光体が、円筒材4の上端から100μm(図3のh3に相当)だけ低い位置又は該位置よりも高い位置にあることがより好ましい。このような構成とすることにより、固体発光素子3に近接した蛍光体の量を低減して、蛍光体の劣化に起因した経時的な発光特性の悪化をより十分に抑制することができる。
ここで、蛍光体6は、固体発光素子3の発光波長の光で励起されることを要する。この蛍光体6としては、特に制限はされず、使用する固体発光素子の種類などに応じて適宜選択することができ、例えば、青色系の光により励起されて黄色系の蛍光を発する蛍光体(黄色系蛍光体)、緑色系の蛍光を発する蛍光体(緑色系蛍光体)、赤色系の蛍光を発する蛍光体(赤色系蛍光体)、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、青色発光ダイオードの発光と組み合わせて擬似的に白色光を得る観点から、黄色系蛍光体が好ましい。ここで、黄色系蛍光体としては、例えば、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系の蛍光体、M2SiO4(Mは、Sr、Ca、Baなどの第2族元素である)等のシリケート系蛍光体、α−SiAlON(サイアロン)等の窒化物蛍光体、などが挙げられる。
(発光装置の製造方法)
次に、上述した本発明の発光装置を製造することが可能な、本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法を、3つの実施形態ごとに説明する。なお、本発明の一実施形態に係る発光装置の製造方法における、各部材などの具体的な構成は、本発明の発光装置の説明で既述したものと同様である。
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る発光装置の製造方法(以下、単に「第1の実施形態に係る製造方法」と称する場合がある。)は、円筒材配置工程、ポッティング工程、及び硬化工程を含み、更に必要に応じて、樹脂組成物調製工程を含む。
<<円筒材配置工程>>
円筒材配置工程は、固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、この円筒材が固体発光素子を取り囲むように配置する工程である。
基材上への円筒材の配置は、特に制限されず、人手で行うことができる。このとき、円筒材の円の中心に固体発光素子が位置するように、基板上に円筒材を配置することが好ましい。また、基板上への円筒材の配置に際しては、任意の接着剤を用い、円筒材を基板上に貼付してもよい。
<<樹脂組成物調製工程>>
樹脂組成物調製工程は、ポッティング工程で使用する硬化性透明樹脂組成物を調製する工程である。
この硬化性透明樹脂組成物は、上記基板に実装された固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有するものであり、少なくとも硬化性透明樹脂と、上記の蛍光体とを用いるほか、更に必要に応じて、例えば、可塑剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、光拡散材、沈降防止材、フィラー等の各種添加剤を用い、これらを混合することにより調製することができる。また、混合方法としては、均一に混合できる方法であれば特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、真空撹拌による混合、真空デシケータ内でのプロペラ撹拌、自転・公転による遠心力を利用した回転撹拌などが挙げられる。更に、硬化性透明樹脂組成物における蛍光体の濃度としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の発光特性を得る観点から、0.5〜10質量%とすることが好ましい。
<<ポッティング工程>>
ポッティング工程は、円筒材配置工程の後に、蛍光体を含有する硬化性透明樹脂組成物を、基板上の円筒材内にポッティングする工程である。なお、硬化性透明樹脂組成物に含有される蛍光体は、基板に実装された固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体である。
ポッティング工程では、ポッティングした硬化性透明樹脂組成物が、固体発光素子を内包するとともに、円筒材の内表面に接触する。ここで、円筒材は撥水性の内表面を有しているため、円筒材の内部空間の容積以上の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが可能である。そして、円筒材の上端よりも高い位置にある硬化性透明樹脂組成物は、自然とドーム形状となり、こうして、円柱状部分及びドーム形状部分を有する(未硬化の)透明樹脂部が形成される。なお、このようにドーム形状部分が得られるのは、円筒材の撥水性の内表面が有する特有の表面張力に起因しているものと考えられる。
なお、ポッティング工程では、ポッティングする硬化性透明樹脂組成物の量を電子天秤などで管理しつつ、硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが好ましい。また、ポッティング工程では、円筒材の内部空間の容積以上の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが好ましい。更に、ポッティング工程では、ポッティングする硬化性透明樹脂組成物の量を調整することにより、ドーム形状部分の曲率半径(曲がり具合)を調節することができる。ただし、過剰な量の硬化性透明樹脂組成物を円筒材内にポッティングした場合には、円筒材から硬化性透明樹脂組成物が溢れ出すおそれがあるので、この点には注意が必要である。
<<硬化工程>>
硬化工程は、ポッティング工程で形成された未硬化の透明樹脂部を硬化する工程である。
硬化の方法としては、硬化性透明樹脂組成物を硬化できれば、特に制限されず、使用する樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。ここで、硬化性透明樹脂組成物が熱硬化性透明樹脂を含む場合、加熱温度としては、十分に硬化する観点から120〜160℃が好ましく、また、加熱時間としては、十分に硬化する観点から1〜6時間が好ましい。
そして、硬化工程を経て、発光装置を簡便に得ることができる。以上の説明を踏まえ、第1の実施形態に係る製造方法によれば、特に制限されることなく、図1に示すような、円柱状部分及びドーム形状部分を有し、その両方に蛍光体が分散された発光装置を製造することができる。また、第1の実施形態に係る製造方法は、1回のポッティング工程及び硬化工程で、より簡便に発光装置が得られるという利点を有する。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る発光装置の製造方法(以下、単に「第2の実施形態に係る製造方法」と称する場合がある。)は、円筒材配置工程、第1ポッティング工程、第1硬化工程、第2ポッティング工程、及び第2硬化工程を含み、更に必要に応じて、樹脂組成物調製工程を含む。
<<円筒材配置工程>>
円筒材配置工程は、固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、この円筒材が固体発光素子を取り囲むように配置する工程である。円筒材配置工程の具体的な操作は、第1の実施形態に係る製造方法の円筒材配置工程と同様である。
<<樹脂組成物調製工程>>
樹脂組成物調製工程は、第1ポッティング工程で使用する第1の硬化性透明樹脂組成物、及び/又は、第2ポッティング工程で使用する第2の硬化性透明樹脂組成物を調製する工程である。
第1の硬化性透明樹脂組成物は、少なくとも硬化性透明樹脂を用いるほか、更に必要に応じて、例えば、蛍光体、可塑剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、光拡散材、沈降防止材、フィラー等の各種添加剤などを用い、これらを混合することにより調製することができる。但し、経時的な発光特性の悪化がより抑制された発光装置を得る観点から、第1の硬化性透明樹脂組成物は、蛍光体を含有しないことが好ましい。更に、第1の硬化性透明樹脂組成物は、硬化性透明樹脂のみからなるものであってもよい。
また、第2の硬化性透明樹脂組成物は、第1の実施形態に係る製造方法の硬化性透明樹脂組成物と同様である。
<<第1ポッティング工程>>
第1ポッティング工程は、円筒材配置工程の後に、第1の硬化性透明樹脂組成物を、基板上の円筒材内にポッティングする工程である。
第1ポッティング工程では、ポッティングした第1の硬化性透明樹脂組成物が固体発光素子を内包するとともに、円柱状である(未硬化の)第1の透明樹脂部が形成される。なお、第1ポッティング工程では、少なくとも円筒材の上端から100μm低い位置には到達しないように、第1の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが好ましい。これは、後述する第2ポッティング工程において良好なドーム形状部分を得るためである。
なお、第1ポッティング工程では、ポッティングする第1の硬化性透明樹脂組成物の量を電子天秤などで管理することが好ましい。
<<第1硬化工程>>
第1硬化工程は、第1ポッティング工程で形成された未硬化の第1の透明樹脂部を硬化する工程である。
硬化の方法としては、硬化性透明樹脂組成物を硬化できれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。なお、第1硬化工程では、第1の透明樹脂部の流動性がある程度低減されるように硬化すればよい。ここで、第1の硬化性透明樹脂組成物が熱硬化性透明樹脂を含む場合、加熱温度としては、十分に流動性を低減する観点から80〜150℃が好ましく、また、加熱時間としては、短時間で十分に流動性を低減する観点から0.25〜1時間が好ましい。
<<第2ポッティング工程>>
第2ポッティング工程は、第2の硬化性透明樹脂組成物を、第1硬化工程で硬化した第1の透明樹脂部の上にポッティングする工程である。なお、第2の硬化性透明樹脂組成物は、基板に実装された固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する。
第2ポッティング工程では、ポッティングした第2の硬化性透明樹脂組成物が、円筒材の内表面に接触する。ここで、円筒材は撥水性の内表面を有しているため、円筒材の内部空間の容積以上の第2の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが可能である。そして、第1の実施形態と同様に、円筒材の上端よりも高い位置にある第2の硬化性透明樹脂組成物は、自然とドーム形状となり、こうして、ドーム形状部分を有する(未硬化の)第2の透明樹脂部が形成される。
なお、第2ポッティング工程では、ポッティングする第2の硬化性透明樹脂組成物の量を電子天秤などで管理しつつ、第2の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが好ましい。また、第2ポッティング工程では、円筒材の内部空間の容積以上の第2の硬化性透明樹脂組成物をポッティングすることが好ましい。更に、第2ポッティング工程では、ポッティングする第2の硬化性透明樹脂組成物の量を調整することにより、ドーム形状部分の曲率半径(曲がり具合)を調節することができる。ただし、過剰な量の第2の硬化性透明樹脂組成物を円筒材内にポッティングした場合には、円筒材から第2の硬化性透明樹脂組成物が溢れ出すおそれがあるので、この点には注意が必要である。
<<第2硬化工程>>
第2硬化工程は、第2ポッティング工程で形成された未硬化の第2の透明樹脂部を硬化する工程である。第2硬化工程の具体的な操作は、第1の実施形態に係る製造方法の硬化工程と同様である。
そして、第2硬化工程を経て、発光装置を簡便に得ることができる。以上の説明を踏まえ、第2の実施形態に係る製造方法によれば、特に制限されることなく、図2に示すような、円柱状部分及びドーム形状部分を有し、蛍光体を固体発光素子からある程度離間させた発光装置を製造することができる。また、第2の実施形態に係る製造方法は、発光装置の透明樹脂部における蛍光体を、所望通りに固体発光素子から離間させることができるという利点を有する。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態に係る発光装置の製造方法(以下、単に「第3の実施形態に係る製造方法」と称する場合がある。)は、円筒材配置工程、第1ポッティング工程、第2ポッティング工程、及び硬化工程を含み、更に必要に応じて、樹脂組成物調製工程を含む。
<<円筒材配置工程>>
円筒材配置工程は、固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、この円筒材が固体発光素子を取り囲むように配置する工程である。円筒材配置工程の具体的な操作は、第2の実施形態に係る製造方法の円筒材配置工程と同様である。
<<樹脂組成物調製工程>>
樹脂組成物調製工程は、第1ポッティング工程で使用する第1の硬化性透明樹脂組成物、及び/又は、第2ポッティング工程で使用する第2の硬化性透明樹脂組成物を調製する工程である。樹脂組成物調整工程の具体的な操作は、第2の実施形態に係る製造方法の樹脂組成物調製工程と同様である。
<<第1ポッティング工程>>
第1ポッティング工程は、第1の硬化性透明樹脂組成物を、基板上の円筒材内にポッティングする工程である。第1ポッティング工程の具体的な操作は、第2の実施形態に係る製造方法の第1ポッティング工程と同様である。
<<第2ポッティング工程>>
第2ポッティング工程は、第2の硬化性透明樹脂組成物を、ポッティングした第1の透明樹脂組成物の上に更にポッティングする工程である。なお、第2の硬化性透明樹脂組成物は、基板に実装された固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する。
ここで、第2ポッティング工程の具体的な操作は、第2の実施形態に係る製造方法の第2ポッティング工程と同様である。そして、第1ポッティング工程及び第2ポッティング工程により、円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部が形成される。
なお、第3の実施形態に係る製造方法における第2ポッティング工程は、第1硬化工程を行うことなく第1ポッティング工程の後に行う点で、第2の実施形態に係る製造方法における第2ポッティング工程と異なる。
<<硬化工程>>
硬化工程は、第1ポッティング工程及び第2ポッティング工程で形成された未硬化の透明樹脂部を硬化する工程である。硬化工程の具体的な操作は、第1の実施形態に係る製造方法の硬化工程と同様である。
そして、硬化工程を経て、発光装置を簡便に得ることができる。以上の説明を踏まえ、第3の実施形態に係る製造方法によれば、特に制限されることなく、図2に示すような、円柱状部分及びドーム形状部分を有し、蛍光体を固体発光素子からある程度離間させた発光装置を製造することができる。また、第3の実施形態に係る製造方法は、1回の硬化工程でより簡便に発光装置が得られるという利点を有する。
次に、実施例、比較例及び参考例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
なお、後述する参考例は、本発明の発光装置と、本発明ではない発光装置とにおける光の取り出し効率を明確に比較するため、あえて蛍光体を使用せずに発光装置を製造した例である。
(実施例1)
<基材への円筒材の配置>
まず、チップオンボード(COB)の形式で青色発光ダイオードが直接実装され、この青色発光ダイオードとワイヤー・ボンディング法により電気的に接続された基板を用意した。次に、フッ素系樹脂(淀川ヒューテック株式会社製、PTFE)を準備し、これを内径3mm、外径3.6mm、筒長1.5mmのリング状に加工して、円筒材を作製した。そして、シリコーン系接着剤(株式会社朝日ラバー製「SWR−SA−901」)を用い、この円筒材を上記の基板上に、青色発光ダイオードを中心にして取り囲むように貼付した。このようにして、円筒材付き青色発光ダイオード実装基板を得た。
<硬化性透明樹脂組成物の調製>
12ml容量の軟膏容器(馬野化学容器株式会社製、「UG−3−52」)に、透明なフェニル系シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製「OE−6550A/B」)9.95gを秤量して投入し、更に、上述の青色発光ダイオードの発光波長の光で励起されるという性質を有する硫化物蛍光体(SrGa24)0.05gを秤量して投入した。そして、この容器に対し、真空撹拌混合機(株式会社シンキー製「ARV−250LED」)を用い、1500rpm、3分間の条件で真空撹拌した。これにより、蛍光体の濃度が0.5質量%である硬化性透明樹脂組成物10gを調製した。
<硬化性透明樹脂組成物のポッティング>
上述の円筒材付き青色発光ダイオード実装基板を、精密電子天秤(株式会社A&D製、「GR−202」)に設置した。そして、上述の硬化性透明樹脂組成物をスパチュラで転写し、青色発光ダイオードを内包するように、円筒材内に16mgの硬化性透明樹脂組成物を充填(ポッティング)した。このとき、撥水性である円筒材の内表面の表面張力によって、自然にドーム形状部分が得られ、基板上に円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部が形成された。
<透明樹脂部の硬化>
上述のようにして未硬化の透明樹脂部が形成された基板を、150℃の大気オーブンにて1時間保持し、未硬化の透明樹脂部を硬化した。このようにして、図1に示すような、円柱状部分及びドーム形状部分を有し、その両方に蛍光体が分散された発光装置Aを製造した。
(実施例2)
<基材への円筒材の配置>
実施例1と同様にして、円筒材付き青色発光ダイオード実装基板を得た。
<第1及び第2の硬化性透明樹脂組成物の調製>
透明なフェニル系シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製「OE−6550A/B」)3gを秤量し、これを第1の硬化性透明樹脂組成物とした。
次に、12ml容量の軟膏容器(馬野化学容器株式会社製、「UG−3−52」)に、透明なフェニル系シリコーン樹脂(東レ・ダウコーニング株式会社製「OE−6550A/B」)9.85gを秤量して投入し、更に、上述の青色発光ダイオードの発光波長の光で励起されるという性質を有する硫化物蛍光体(SrGa24)0.15gを秤量して投入した。そして、この容器に対し、真空撹拌混合機(株式会社シンキー製「ARV−250LED」)を用い、1500rpm、3分間の条件で真空撹拌した。これにより、蛍光体の濃度が1.5質量%である第2の硬化性透明樹脂組成物10gを調製した。
<第1の硬化性透明樹脂組成物のポッティング>
上述の円筒材付き青色発光ダイオード実装基板を、精密電子天秤(株式会社A&D製、「GR−202」)に設置した。そして、上述の第1の硬化性透明樹脂組成物をスパチュラで転写し、青色発光ダイオードを内包するように、円筒材内に9mgの第1の硬化性透明樹脂組成物を充填(ポッティング)した。なお、このときの第1の硬化性透明樹脂組成物の充填量は、充填後の嵩が少なくとも円筒材の上端に達しないような量とした。これにより、円柱状である未硬化の第1の透明樹脂部が形成された。
<第1の透明樹脂部の硬化>
上述のようにして未硬化の第1の透明樹脂部が形成された基板を、150℃の大気オーブンにて30分間保持し、未硬化の第1の透明樹脂部を半硬化した(即ち、第1の透明樹脂部の流動性がある程度低減される程度に硬化した)。
<第2の硬化性透明樹脂組成物のポッティング>
次に、第1の透明樹脂部を半硬化した基板を、再度精密電子天秤に設置した。そして、上述の第2の硬化性透明樹脂組成物をスパチュラで転写し、円筒材内における半硬化した第1の透明樹脂部の上に、7mgの第2の硬化性透明樹脂組成物を充填(ポッティング)した。このとき、撥水性である円筒材の内表面の表面張力によって、自然にドーム形状部分が形成され、ドーム形状部分を有する未硬化の第2の透明樹脂部が形成された。
<第2の透明樹脂部の硬化>
上述のようにして未硬化の第2の透明樹脂部が形成された基板を、150℃の大気オーブンにて1時間保持し、未硬化の第2の透明樹脂部を硬化した。このようにして、図2に示すような、円柱状部分及びドーム形状部分を有し、蛍光体を青色発光ダイオードからある程度離間させた発光装置Bを製造した。
(比較例1)
実施例1において用意した青色発光ダイオードが直接実装された基板と同等のものを用意し、実施例1において調製した硬化性透明樹脂組成物と同等のものを調製し、既知の方法により、基板上に直接ドーム形状部分が形成された発光装置Cを製造した。
(発光装置の発光特性の評価)
実施例1,2及び比較例1の発光装置の発光色について、光測定装置(ラブスフェア社製、システム型名:「CSLMS−LED−1061」、型式:10インチ(Φ25)/LMS−100)を用い、u’v’色度図における色度点を求めた。次に、これらの発光装置を高温多湿環境下(温度70℃、相対湿度85%)に置き、140mAでの通電を168時間継続する環境試験を行った。次いで、環境試験後の発光装置の発光色について、上記と同様の方法でu’v’色度座標における色度点を求めた。そして、環境試験前後で、v’軸の値がどれだけ変化したか(Δv’)を評価した。結果を表1及び図4に示す。この値の絶対値が小さい発光装置ほど、苛酷な環境下でも劣化し難く、経時的な発光特性の悪化が抑制されていることを示す。
Figure 2020053697
(参考例1)
比較例1において、硬化性透明樹脂組成物を調製する際に硫化物蛍光体(SrGa24)を投入しなかったこと以外は、比較例1と同様にして、基板上に直接ドーム形状部分が形成された発光装置Dを製造した。
(参考例2)
実施例1において、硬化性透明樹脂組成物を調製する際に硫化物蛍光体(SrGa24)を投入しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、円柱状部分及びドーム形状部分を有する発光装置Eを製造した。
(参考例3)
参考例2において、円筒材内にポッティングする硬化性透明樹脂組成物の量を増やしたこと以外は、参考例2と同様にして、ドーム形状部分の曲率半径が参考例2のそれよりも小さい(曲がり具合が参考例2のそれよりも大きい)発光装置Fを製造した。
(参考例4)
参考例2において、円筒材内にポッティングする硬化性透明樹脂組成物の量を減らしたこと以外は、参考例2と同様にして、円柱状部分を有するがドーム形状部分を有しない発光装置Gを製造した。
(参考例5)
参考例2において、フッ素系樹脂を用いて作製した円筒材に代えて、ステンレス鋼を用いて作製した同形状の円筒材を用いたこと以外は、参考例2と同様にして、発光装置Hを製造した。この例において、円筒材の内面は、ポッティングした硬化性透明樹脂組成物を弾くことなく濡れた。そのため、得られた発光装置Hの透明樹脂部における中心部分は、窪んだ(凹型の)形状となっていた。
なお、上記の例において、更に硬化性透明樹脂組成物をポッティングしたとしても、ドーム形状が形成することなく硬化性透明樹脂組成物が円筒材から溢れ出てしまうことも分かった。
(参考例6〜9)
参考例1〜4において、硬化性透明樹脂組成物の調製に用いたフェニル系シリコーン樹脂を、メチル系シリコーン樹脂(信越化学工業株式会社製、「KER−2500」)に代えたこと以外は、参考例1〜4と同様にして、参考例1〜4の発光装置と同様の構成をとる発光装置I、J、K及びLをそれぞれ製造した。
(参考例10)
参考例7において、フッ素系樹脂を用いて作製した円筒材に代えて、ステンレス鋼を用いて作製した同形状の円筒材を用いたこと以外は、参考例7と同様にして、発光装置Mを製造した。この例において、円筒材の内面は、ポッティングした硬化性透明樹脂組成物を弾くことなく濡れた。そのため、得られた発光装置Mの透明樹脂部における中心部分は、窪んだ(凹型の)形状となっていた。
なお、上記の例において、更に硬化性透明樹脂組成物をポッティングしたとしても、ドーム形状が形成することなく硬化性透明樹脂組成物が円筒材から溢れ出てしまうことも分かった。
(発光装置の光の取り出し効率の評価)
参考例1〜10の発光装置について、光測定装置(ラブスフェア社製、システム型名:「CSLMS−LED−1061」、型式:10インチ(Φ25)/LMS−100)を用い、積分球により分光放射束(強度:W/nm)のスペクトルを測定し、各波長における強度を積算した値である全放射束(単位:W)を求めた。そして、参考例2〜5における全放射束を、参考例1における全放射束を100として指数表示し、参考例7〜10における全放射束を、参考例6における全放射束を100として指数表示した。結果を表2、3に示す。この指数値が大きい発光装置ほど、光の取り出し効率に優れることを示す。
Figure 2020053697
Figure 2020053697
表1及び図4の結果から、実施例1,2の発光装置及び比較例1の発光装置は、いずれも、環境試験前の色度(v’)の値が同等であったにもかかわらず、実施例1,2の発光装置は、比較例1の発光装置に比べ、環境試験前後の色度(v’)の差(Δv’)の絶対値が小さいことを確認することができる。このことから、本発明の発光装置は、少なくとも所定の円筒状部分を有することにより、経時的な発光特性の悪化が良好に抑制されていることが分かる。
また、表2,3の結果から、発光装置が所定のドーム形状部分を有することにより、光の取り出し効率を高くなっていることを確認することができる。このことから、少なくとも所定のドーム形状部分を有する本発明の発光装置は、光の取り出し効率に優れることが分かる。
そして、上述の実施例、比較例及び参考例から、少なくとも撥水性の内表面を有する円筒材を用いることにより、所定の円柱状部分及びドーム形状部分を有する発光装置を簡便に製造することができることが分かる。
本発明によれば、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の悪化が抑制された、簡便に製造することが可能な発光装置を提供することができる。また、本発明によれば、光の取り出し効率に優れる上、経時的な発光特性の悪化が抑制された発光装置を簡便に製造することが可能な、発光装置の製造方法を提供することができる。
1 発光装置
2 基板
3 固体発光素子
4 円筒材
5 透明樹脂部
5a 円柱状部分
5b ドーム形状部分
6 蛍光体
7 ワイヤー
103、203 発光ダイオード(LED)
105、205 封止樹脂
106、206 蛍光体
110、210 バスタブ部
208 シリコーンレンズ

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に実装された固体発光素子と、
    前記固体発光素子を取り囲むように前記基板上に配置された円筒材と、
    前記固体発光素子を内包し、前記円筒材の内表面に接する円柱状部分、及び、前記円柱状部分の上部に位置するドーム形状部分を有する透明樹脂部と
    を備え、
    前記円筒材は、撥水性の内表面を有し、
    前記ドーム形状部分は、前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有することを特徴とする、発光装置。
  2. 前記透明樹脂部における前記蛍光体のうち、前記基板に最も近接している蛍光体が、前記固体発光素子の上端から500μm高い位置又は該位置よりも高い位置にある、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記透明樹脂部における前記蛍光体のうち、前記基板に最も近接している蛍光体が、前記円筒材の上端から100μm低い位置又は該位置よりも高い位置にある、請求項2に記載の発光装置。
  4. 前記固体発光素子は、発光ダイオードである、請求項1〜3のいずれかに記載の発光装置。
  5. 前記発光ダイオードは青色発光ダイオードであり、前記青色発光ダイオードの発光及び前記蛍光体の発光の組み合わせにより擬似的に白色光が得られる、請求項4に記載の発光装置。
  6. 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
    前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングし、円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部を形成する工程と、
    前記未硬化の透明樹脂部を硬化する工程と
    を含む、発光装置の製造方法。
  7. 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
    第1の硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングし、円柱状である未硬化の第1の透明樹脂部を形成する工程と、
    前記未硬化の第1の透明樹脂部を硬化する工程と、
    前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する第2の硬化性透明樹脂組成物を、硬化した前記第1の透明樹脂部の上にポッティングし、ドーム形状部分を有する未硬化の第2の透明樹脂部を形成する工程と、
    前記未硬化の第2の透明樹脂部を硬化する工程と
    を含む、発光装置の製造方法。
  8. 固体発光素子が実装された基板上に、撥水性の内表面を有する円筒材を、前記円筒材が前記固体発光素子を取り囲むように配置する工程と、
    第1の硬化性透明樹脂組成物を、前記基板上の円筒材内にポッティングする工程と、
    前記固体発光素子の発光波長の光で励起される蛍光体を含有する第2の硬化性透明樹脂組成物を、ポッティングした前記第1の硬化性透明樹脂組成物の上にポッティングし、円柱状部分及びドーム形状部分を有する未硬化の透明樹脂部を形成する工程と、
    前記未硬化の透明樹脂部を硬化する工程と
    を含む、発光装置の製造方法。
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