JP2020051543A - スプライン嵌合構造および車両駆動装置 - Google Patents

スプライン嵌合構造および車両駆動装置 Download PDF

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小野 浩二
Koji Ono
浩二 小野
岡田 学
Manabu Okada
学 岡田
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Abstract

【課題】大径合わせのスプライン嵌合構造を形成するために必要となる雄スプラインと雌スプラインの位相合わせを容易化する。【解決手段】一体回転可能に連結すべき第1部材61および第2部材62のうち、第1部材61の外周面に形成された雄スプライン63の最外径部64aを、第2部材62の内周面に形成された雌スプライン65の内底面66aに圧入することで形成されるスプライン嵌合構造60である。雄スプライン63の凸部64の圧入方向前方側の端部、および雌スプライン65の凸部67のうち雄スプライン63の圧入が開始される側の端部に、圧入方向Xに直交する面Pに対して傾斜した第1面取り68および第2面取り69をそれぞれ設け、第1面取り68の傾斜角θ1を、第2面取り69の傾斜角θ2よりも大きくした。【選択図】図6

Description

本発明は、スプライン嵌合構造、およびこの嵌合構造を有する部材を備えた車両駆動装置に関する。
トルク伝達(一体回転)可能に連結すべき二部材のうち、一方の部材の外周面に設けた雄スプラインと、他方の部材の内周面に設けた雌スプラインとを嵌合することで形成されるスプライン嵌合構造には、雄スプラインの歯先(凸部の最外径部)を雌スプラインの歯元(凹部の内底面)に圧入することで形成される「大径合わせ」と、雄スプラインと雌スプラインの歯面同士を接触させる「歯面合わせ」とがある。これらのうち、大径合わせは、上記二部材間での芯出しを精度良く行うことができ、スプライン嵌合部におけるガタの発生等を効果的に防止し得ることから、例えば車両駆動装置のように、駆動に伴う振動や異音の発生を極力防止することが望まれるアプリケーションで使用される部材に採用されている。
スプライン嵌合構造を形成する際には、まず、雄スプラインと雌スプラインの位相合わせを行う必要があるが、大径合わせのスプライン嵌合構造は、雄スプラインの最外径部を雌スプラインの内底面に圧入することで形成されるものである関係上、両スプラインの位相合わせを適切に行うのは容易ではない。そこで、例えば下記の特許文献1では、雄スプラインと雌スプラインの位相合わせを容易化するための技術手段が提案されている。簡単に説明すると、特許文献1に開示された技術手段は、圧入側部材(軸部材)の外周面に、雄スプラインと雄スプラインの圧入をガイドするガイド部とを軸方向に連ねて設け、かつガイド部を雄スプラインよりも圧入方向前方側に配置する、というものである。
特開2015−36266号公報
特許文献1に開示されたガイド部は、雄スプラインの圧入をガイドする機能を有するものに過ぎず、それ自体にトルクを受け止める機能はない。そのため、雌スプラインに対する雄スプラインの圧入長さを減少(スプライン嵌合部におけるトルク伝達性能を低下)させることなく、雄スプラインの圧入を容易化しようとすると、少なくともガイド部の軸方向寸法分、圧入側部材および被圧入側部材を軸方向に長寸化する必要がある。従って、特許文献1に開示された技術手段は、特に軸方向寸法に制約のある製品(軸方向のコンパクト化を要求される製品)に適用することが難しい。
また、特許文献1に開示されたガイド部は、雄スプラインとは分離独立したかたちで圧入側部材の外周面に形成されるので、圧入側部材の加工コストが増加するという問題もある。
そこで、本発明の主な目的は、雄スプラインと雌スプラインの圧入長さを減少させることなく、また、加工コストや部材長さを増加させることなく、圧入開始時における両スプラインの位相合わせを容易に行うことのできるスプライン嵌合構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために創案された本発明は、一体回転可能に連結すべき第1部材および第2部材のうち、第1部材の外周面に形成された雄スプラインの最外径部を、第2部材の内周面に形成された雌スプラインの内底面に圧入することで形成されるスプライン嵌合構造において、雄スプラインを構成する凸部の圧入方向前方側の端部、および雌スプラインを構成する凸部のうち雄スプラインの圧入が開始される側の端部に、それぞれ、圧入方向に直交する面に対して傾斜した第1面取りおよび第2面取りを設け、第1面取りの傾斜角を、第2面取りの傾斜角よりも大きくしたことを特徴とする。なお、ここでいう「傾斜角」とは、圧入方向に直交する面に対する傾斜角である。
上記の構成によれば、雌スプライン(第2部材)に対する雄スプライン(第1部材)の圧入を開始すると、雄スプラインを構成する凸部の先端部を、雌スプラインを構成する凸部に設けた第2面取りの基端部を超えた位置に位置させること、すなわち雌スプラインの凹部に嵌合することができるので、雄スプラインと雌スプラインの位相合わせを容易に行うことができる。そして、このような作用効果は、雄スプラインを構成する凸部および雌スプラインを構成する凸部の軸方向端部に通常設けられる面取りの面取り量を調整するだけで得られるので、特許文献1に記載の技術手段を採用した場合に起こり得る加工コストの増加や部材の長寸化問題を生じさせることなく、必要とされるスプラインの圧入長さ(連結強度)を確保することができる。
本発明に係るスプライン嵌合構造は、第1部材と第2部材を連結することで形成されるアセンブリのうち、例えば、第1部材が軸部および第1の外歯歯車を一体に有するもので構成されると共に、第2部材が第1の外歯歯車と軸方向で近接配置された第2の外歯歯車で構成され、雄スプラインが軸部の外周面に形成され、雌スプラインが第2の外歯歯車の内周面に形成されたもの(歯車軸)に好ましく適用することができる。これは、第1および第2の外歯歯車が軸方向で近接配置された歯車軸の場合、両外歯歯車を軸部に一体的に設けることが加工上難しいためである。
第1および第2の外歯歯車が何れもはすば歯車で構成されている場合、第1部材と第2部材を連結することで得られるアセンブリ(歯車軸)には、はすば歯車からなる第1および第2の外歯歯車とこれらと噛み合ったはすば歯車とが相対回転するのに伴って、ラジアル荷重およびスラスト荷重が作用する。そのため、第1部材と第2部材をスプライン嵌合構造を介して連結する場合、スプライン嵌合部には、第1部材と第2部材にスラスト荷重が作用した場合でも両者が分離しないような連結強度(スプラインの圧入長さ)を確保しておく必要がある。この点、本発明に係るスプライン嵌合構造では、上記のとおり、雄スプラインの圧入開始時における雄スプラインと雌スプラインの位相合わせを容易化でき、かつスプラインの圧入長さは減少しない。そのため、本発明は、例えば、第1および第2の外歯歯車を有し、かつ両外歯歯車がはすば歯車で構成された歯車軸にスプライン嵌合部を形成する場合に好適に採用し得る。
本発明に係るスプライン嵌合構造は、一体回転可能に連結すべき第1部材および第2部材を軸方向に長寸化せずとも必要とされる連結強度を確保し得る。そのため、本発明は、コンパクト化が求められる(軸方向の長寸化に制約がある)車両駆動装置のうち、例えば、互いに平行に配置された入力歯車軸、中間歯車軸および出力歯車軸を有し、入力歯車軸に入力された電動モータの回転を減速して出力する減速機を備えた車両駆動装置において、減速機を構成する中間歯車軸に好ましく適用することができる。
以上から、本発明によれば、雄スプラインと雌スプラインの圧入長さを減少させることなく、また、加工コストや部材長さを増加させることなく、圧入開始時における両スプラインの位相合わせを容易に行うことのできるスプライン嵌合構造を提供することができる。従って、このスプライン嵌合構造を介して連結された第1部材と第2部材とからなるアセンブリは、低コストに作製可能でかつ軸方向にコンパクトでありながら、第1部材と第2部材の連結強度が高くて信頼性に富む、という特長を有する。
本発明の一実施形態に係る車両駆動装置(インホイールモータ駆動装置)の断面図である。 図1に示す減速機の要部を模式的に示す図である。 (a)図は、中間歯車軸の断面図、(b)図は、(a)図のZ−Z線矢視断面図である。 第1部材のうち雄スプラインを設けた部分の横断面図である。 第2部材の部分横断面図である。 中間歯車軸の作製工程の初期段階を示す断面図である。 中間歯車軸の作製工程の途中段階を示す断面図である。 (a)図は、本発明に係るスプライン嵌合構造とは異なるスプライン嵌合構造を採用して中間歯車軸を作製する場合に生じる問題を説明するための拡大断面図、(b)図は、本発明に係るスプライン嵌合構造とは異なるスプライン嵌合構造を採用した中間歯車軸の縦断面図である。 インホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車の概略平面図である。 図9に示す電気自動車の後方断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では、車両駆動装置の一種であるインホイールモータ駆動装置の具体例について説明してから、本発明に係るスプライン嵌合構造について説明する。
まず、図9および図10に基づき、車両駆動装置の一種であるインホイールモータ駆動装置を搭載した電気自動車11の概要を説明する。図9に示すように、電気自動車11は、シャシー12と、操舵輪として機能する一対の前輪13と、駆動輪として機能する一対の後輪14と、左右の後輪14のそれぞれを駆動するインホイールモータ駆動装置21とを備える。図10に示すように、後輪14は、シャシー12のホイールハウジング15の内部に収容され、懸架装置16を介してシャシー12の下部に固定されている。
この電気自動車11では、左右のホイールハウジング15の内部に、左右の後輪14それぞれを回転駆動させるインホイールモータ駆動装置21が組み込まれるので、シャシー12上にモータ、ドライブシャフトおよびデファレンシャルギヤ機構等を設ける必要がなくなる。そのため、この電気自動車11は、客室スペースを広く確保でき、しかも、左右の後輪14の回転をそれぞれ制御することができるという利点を有する。
なお、インホイールモータ駆動装置21は、上記のように、後輪14を駆動輪とした後輪駆動タイプの電気自動車11のみならず、前輪13を駆動輪とした前輪駆動タイプの電気自動車や、前輪13および後輪14の双方を駆動輪とした四輪駆動タイプの電気自動車に適用することもできる。
電気自動車11の走行安定性およびNVH特性を向上するためには、ばね下重量を抑える必要がある。また、電気自動車11の客室スペースを拡大するためには、インホイールモータ駆動装置21をできるだけコンパクト化する必要がある。そこで、以下に説明するようなインホイールモータ駆動装置21を採用する。
図1に、本発明に係るスプライン嵌合構造を有する部材(詳細には、後述する中間歯車軸36)を備えたインホイールモータ駆動装置21の断面図を示す。このインホイールモータ駆動装置21は、駆動力を発生させる電動モータ部Aと、電動モータ部Aの回転を減速して出力する減速機部Bと、減速機部Bの出力を駆動輪に伝達する車輪用軸受部Cとを備える。電動モータ部Aおよび減速機部Bはケーシング22に収容され、車輪用軸受部Cはケーシング22に取り付けられている。なお、以下の説明では、インホイールモータ駆動装置21をホイールハウジング15(図10参照)内に取り付けた状態で車幅方向外側および車幅方向内側となる側を、それぞれ、アウトボード側およびインボード側ともいう。図1においては、紙面左側がアウトボード側であり、紙面右側がインボード側である。
電動モータ部Aは、ケーシング22に固定された筒状のステータ23と、径方向隙間を介してステータ23の内周に配置されたロータ24と、外周にロータ24を装着したモータ回転軸25とを有するラジアルギャップ型の電動モータ26を備える。モータ回転軸25は、軸方向の二箇所に離間して配置された転がり軸受40,41によってケーシング22に対して回転自在に支持されており、毎分1万数千回程度の回転速度で回転可能である。なお、電動モータ部Aには、ラジアルギャップ型に替えてアキシャルギャップ型の電動モータを採用しても良い。
図1に示すように、減速機部Bは、外歯歯車からなる入力歯車31を有する入力歯車軸35と、外歯歯車からなる第1中間歯車32および第2中間歯車33を有する中間歯車軸36と、外歯歯車からなる出力歯車34を有する出力歯車軸37とを備え、各歯車軸35〜37の中心軸線が互いに平行に配置された、いわゆる平行軸歯車減速機30を備える。
ここで、インホイールモータ駆動装置21を軸方向にコンパクト化するには、減速機部Bを軸方向にコンパクト化することが考えられ、これを実現するための技術手段として、各歯車31〜34の軸方向寸法を小さくする(各歯車31〜34を薄板化する)ことが考えられる。しかしながら、単に各歯車31〜34を薄板化するだけでは、歯車同士のかみ合い率が低下し、減速機30のトルク伝達性能や音振性能に悪影響が及ぶ。
そこで、本実施形態では、図2に模式的に示すように、各歯車31〜34を、歯31a〜34aの歯筋がつるまき線状に形成された(歯筋が軸線に対して傾斜した)はすば歯車で構成している。はすば歯車は、同時に噛合う歯数が多く、歯当たりが分散されるため、噛合い時の音が静かでトルク変動が少ない。従って、各歯車31〜34をはすば歯車で構成すれば、軸方向にコンパクトでありながら、静粛かつトルク伝達効率に優れた減速機30を実現することができる。また、本実施形態では、中間歯車軸36に設けられる第1中間歯車32と第2中間歯車33とを軸方向で近接配置することにより、中間歯車軸36、ひいては平行軸歯車軸減速機30の軸方向のコンパクト化を図っている。
詳細な図示は省略しているが、歯車軸35〜37は、それぞれの回転中心O1〜O3を結ぶ直線で形成される軌跡が三角形状をなすように配置される。係る構成は、例えば、入力歯車軸35の回転中心O1と出力歯車軸37の回転中心O3とを結ぶ直線が三角形状の軌跡の底辺を構成すると共に、中間歯車軸36の回転中心O2が三角形状の軌跡の頂点を構成するように、各歯車軸35〜37を配置することで実現できる。上記態様で歯車軸35〜37を配置することにより、減速機部B、ひいてはインホイールモータ駆動装置21を径方向にコンパクト化することができる。
図1および図2に示すように、平行軸歯車減速機30では、入力歯車31と第1中間歯車32とが噛み合い、第2中間歯車33と出力歯車34とが噛み合っている。第1中間歯車32は、入力歯車31および第2中間歯車33よりも大径で歯数が多く、出力歯車34は、第2中間歯車33よりも大径で歯数が多い。係る構成から、本実施形態の平行軸歯車減速機30は、モータ回転軸25の回転を二段階で減速して出力する。
図1に示すように、入力歯車軸35は、モータ回転軸25と同軸に配置され、スプライン嵌合によってモータ回転軸25と一体回転可能に連結されている。従って、モータ回転軸25の回転中心は、入力歯車軸35の回転中心O1と一致している。入力歯車軸35は、その両端に配置された転がり軸受42,43によってケーシング22に対して回転自在に支持されている。中間歯車軸36はその両端に配置された転がり軸受44,45により、また、出力歯車軸37はその両端に配置された転がり軸受46,47により、それぞれ、ケーシング22に対して回転自在に支持されている。
以上で説明した歯車軸35〜37を支持する転がり軸受42〜47としては、何れも、ラジアル荷重およびスラスト荷重の双方を受けることができる軸受、例えば深溝玉軸受が使用される。これは、各歯車31〜34にはすば歯車を使用している関係上、歯車同士の噛み合い部を介して各歯車軸35〜37にラジアル荷重およびスラスト荷重が作用するためである。
図1に示すように、車輪用軸受部Cは、いわゆる内輪回転タイプの車輪用軸受50で構成される。車輪用軸受50は、ハブ輪51および内輪52からなる内方部材53と、外輪54と、ボール57と、図示外の保持器とを備えた複列アンギュラ玉軸受からなる。図示は省略しているが、車輪用軸受50の内部空間には、潤滑剤としてのグリースが充填されている。軸受内部空間への異物侵入および軸受外部へのグリース漏洩を防止するため、車輪用軸受50の軸方向両端部にはシール部材が設けられている。
ハブ輪51は、スプライン嵌合によって平行軸歯車減速機30を構成する出力歯車軸37と一体回転可能に連結されている。ハブ輪51のアウトボード側の端部にはフランジ部51aが設けられ、このフランジ部51aに対して駆動輪がボルト59により取り付けられる。また、ハブ輪51のインボード側の端部には、内輪52を加締め固定してなる加締め部51bが形成されている。この加締め部51bは、車輪用軸受50に予圧を付与する機能を有する。
ハブ輪51の外周にアウトボード側の内側軌道面55が形成され、内輪52の外周にインボード側の内側軌道面55が形成されている。外輪54の内周には、両内側軌道面55,55に対応する複列の外側軌道面56が形成されており、対をなす内側軌道面55と外側軌道面56とで形成されるボールトラックに複数のボール57が組み込まれている。外輪54は、そのアウトボード側の端部から径方向外向きに延びるフランジ部を有し、このフランジ部がケーシング22に対してボルト止めされている。
以上の構成を有するインホイールモータ駆動装置21の全体的な作動態様を簡単に説明する。まず、電動モータ部Aにおいて、ステータ23に交流電流が供給されると、これに伴って生じる電磁力によりロータ24およびモータ回転軸25が一体回転する。モータ回転軸25の回転は、減速機部Bにおいて平行軸歯車減速機30によって減速された上で車輪用軸受50に伝達されるので、低トルクで高回転型の電動モータ(小型の電動モータ)26を採用した場合でも、駆動輪に必要なトルクを伝達することができる。
図示は省略しているが、インホイールモータ駆動装置21は、電動モータ26および平行軸歯車減速機30の各部に潤滑油を供給するための潤滑機構を有する。インホイールモータ駆動装置21の駆動中には、上記潤滑機構から供給される潤滑油により、電動モータ26の各部が冷却されると共に平行軸歯車減速機30の各部が潤滑および冷却される。
以上で説明したとおり、本実施形態のインホイールモータ駆動装置21では、これを軸方向にコンパクト化するために、平行軸歯車減速機30を構成する各歯車31〜34にはすば歯車を使用すると共に、中間歯車軸36に設けた第1中間歯車32と第2中間歯車33とを軸方向で近接配置している。このように、はすば歯車からなる第1中間歯車32と第2中間歯車33とを近接配置した中間歯車軸36は、これを切削等の機械加工で作製するにしても、一部材で構成するのは相当に困難である。そこで、本実施形態では、個別に作製した二部材を連結(結合一体化)してなる中間歯車軸36を採用しており、上記二部材は、本発明に係るスプライン嵌合構造を介して連結されている。以下、図1および図3〜図7を参照しながら、本実施形態の中間歯車軸36について詳細に説明する。
図1および図3(a)に示すように、中間歯車軸36は、軸部36aおよび第1中間歯車32を一体に有する第1部材61と、中空状の第2中間歯車33からなる第2部材62とをスプライン嵌合構造60を介して連結することで形成される。スプライン嵌合構造60を形成するため、第1部材61の軸部36aの外周面には、図3(b)および図4に示すように、軸方向に延びた歯(凸部)64と凹部とを周方向で交互に設けてなる雄スプライン63が形成され、また、第2部材62の内周面には、図3(b)および図5に示すように、軸方向に延びた凹部66と凸部67とを周方向で交互に設けてなる雌スプライン65が形成されている。雄スプライン63および雌スプライン65の形成方法は特に問わず、転造等の塑性加工や切削等の機械加工で形成することができる。
図3(b)に示すように、第1部材61と第2部材62の芯出しを精度良く行うため、第1部材61と第2部材62とは、雄スプライン63の最外径部(凸部64の頂部64a)を雌スプライン65の内底面(凹部66の内底面66a)に圧入することで形成される、いわゆる大径合わせのスプライン嵌合構造60により結合一体化されている。そのため、雄スプライン63の最大外径寸法(凸部64の頂部64aを通る外接円の直径寸法)D1(図4参照)は、雌スプライン65の最大内径寸法(凹部66の内底面66aを通る内接円の直径寸法)D2(図5参照)よりも大きく形成される。雌スプライン65に対する雄スプライン63の圧入代[=(D1−D2)/2]は実際のところは最大でも数十μm程度であるが、図3(b)では、理解の容易化のため、同図中に点線で示す上記圧入代を誇張して描いている。
上記のとおり、スプライン嵌合構造60は、いわゆる大径合わせにより形成されることから、図3(b)に示す、スプライン嵌合構造60が形成された状態において、雄スプライン63の凸部64の側面(歯面)と雌スプライン65の凸部67の側面(歯面)との間には周方向隙間が存在し、また、雄スプライン63の最小径部(内底面)と雌スプライン65の最小径部(凸部67の頂部)との間には径方向隙間が存在する。
図6中の拡大図に示すように、雄スプライン63を構成する凸部64のうち、雄スプライン63(第1部材61)の圧入方向前方側の端部(アウトボード側の端部)には、圧入方向Xに直交する面Pに対して傾斜した第1面取り68が設けられている。本実施形態では、凸部64のインボード側の端部にも同様の第1面取り68を設けている。また、雌スプライン65を構成する凸部67のうち、雄スプライン63の圧入が開始される側の端部(インボード側の端部)には、圧入方向Xに直交する面Pに対して傾斜した第2面取り69が設けられている。本実施形態では、凸部67のアウトボード側の端部にも同様の第2面取り69を設けている。第1面取り68の傾斜角(直交面Pに対する角度。以下「傾斜角」という場合も同様。)θ1は、第2面取り69の傾斜角θ2よりも大きく設定されている。図示例では、傾斜角θ1を60°程度、傾斜角θ2を30°程度としている。
第1部材61と第2部材62を連結(結合一体化)する際には、図6に示すように両部材61,62を同軸配置してから、図7に示すように、両部材61,62を相対的に接近移動させ、雌スプライン65の内底面66aに対して雄スプライン63の最外径部を圧入する。この圧入作業を実施するときには、まず、雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせを行う必要があるが、本実施形態では、図6を参照して説明したように、雄スプライン63を構成する凸部64の圧入方向前方側の端部に第1面取り68を設けると共に、雌スプライン65を構成する凸部67のうち雄スプライン63の圧入が開始される側の端部に第2面取り69を設け、かつ第1面取り68の傾斜角θ1を第2面取り69の傾斜角θ2よりも大きくしたので、圧入開始直後に、雄スプライン63の凸部64の先端部64bを、雌スプライン65の凸部67に設けた第2面取り69の基端部69aを超えた位置に位置させることが、すなわち雄スプライン63の凸部64を雌スプライン65の凹部66に嵌合することができる(図7中の拡大図参照)。そのため、雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせを容易に行うことができる。
雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせが行われた後、第1部材61と第2部材62が軸方向で当接するまで両部材61,62を相対的に接近移動させる。これにより、第1部材61と第2部材62との間に図3(b)に示すスプライン嵌合構造60が形成され、このスプライン嵌合構造60を介して第1部材61と第2部材62が連結された中間歯車軸36が得られる。
上述したように、本発明では、いわゆる大径合わせのスプライン嵌合構造60を形成するために必要となる雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせを容易化するため、雄スプライン63の凸部64の圧入開始側の端部に設ける第1面取り68の傾斜角θ1を、雌スプライン65の凸部67のうち雄スプライン63の圧入が開始される側の端部に設けられる第2面取り69の傾斜角θ2よりも大きくするという技術手段を採用した。係る技術手段は、雄スプライン63の凸部64および雌スプライン65の凸部67の軸方向端部に通常設けられる面取りの面取り量を調整するだけのものであることから、特許文献1に記載された技術手段(ガイド部)を採用した場合に起こり得る加工コストの増加問題や部材の長寸化問題を生じさせることなく、必要とされるスプラインの圧入長さを確保して、両部材61,62間で適切にトルクを伝達することができる。
因みに、以上で説明した実施形態とは逆に、第1面取り68の傾斜角θ1を第2面取り69の傾斜角θ2よりも小さくした場合[図8(a)参照]には、雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせを行おうとしても、雄スプライン63の凸部64の先端部64bが雌スプライン65の凹部66に嵌合するよりも先に、第1部材61に設けた雄スプライン63の最外径部と第2部材62とが軸方向で当接してしまうため、雄スプライン63と雌スプライン65の位相合わせを適切に行うことができない。
また、中間歯車軸36としては、図8(b)に示すように、第1部材61と第2部材62とが、いわゆる歯面合わせのスプライン嵌合構造60’を介して結合一体化されたものを用いることも可能である。しかしながら、歯面合わせのスプライン嵌合構造60’では、第1部材61と第2部材62の芯出しを精度良く行うことができないことから、別途の芯出し構造(図示例ではインロー嵌合構造70)をスプライン嵌合構造60’の軸方向外側に設ける必要がある。この場合、中間歯車軸36の全長寸法を変えないとすれば、スプライン嵌合構造60’の軸方向寸法は、図3(a)に示す大径合わせのスプライン嵌合構造60に比べて短くなるため、第1部材61と第2部材62の間でのトルク伝達性能が低下するおそれがある。また、インロー嵌合構造70を形成するために、第1部材61と第2部材62のそれぞれに凸部および凹部を別途設ける必要が生じるため、加工コストが増加する。
従って、以上で説明した本発明に係るスプライン嵌合構造(大径合わせのスプライン嵌合構造)60を適用すれば、低コストに作製可能で軸方向にコンパクトなものでありながら、第1部材61と第2部材62の連結強度(両部材61,62間でのトルク伝達性能)が高くて信頼性に富む中間歯車軸36を得ることができる。
以上、本発明の実施形態に係るスプライン嵌合構造60、およびこのスプライン嵌合構造60を有する歯車軸(中間歯車軸36)を備えたインホイールモータ駆動装置21について説明したが、本発明の実施の形態はこれに限られない。
例えば、以上で説明した実施形態では、入力歯車軸35と出力歯車軸37との間に一軸の中間歯車軸36を配置してなり、モータ回転軸25の回転を二段階で減速して車輪用軸受部Cに伝達する平行軸歯車減速機30(三軸タイプの平行軸歯車減速機30)を採用したが、減速機部Bには、入力歯車軸35と出力歯車軸37との間に二軸以上の中間歯車軸36を配置してなる四軸以上の平行軸歯車減速機30を採用することも可能である(図示省略)。この場合、二つの中間歯車軸36に、本発明に係るスプライン嵌合構造60を適用することができる。
また、以上では、ケーシング22に収容された電動モータ部Aおよび減速機部Bと、ケーシング22に取り付けられた車輪用軸受部Cとを備えたインホイールモータ駆動装置21(を構成する中間歯車軸36)に本発明に係るスプライン嵌合構造60を適用したが、本発明は、インホイールモータ駆動装置21以外の車両駆動装置、例えば、電動モータ部Aおよび減速機部Bを収容したケーシングが車体に取り付けられ、減速機部Bの出力がドライブシャフトを介して駆動輪(車輪用軸受)に伝達される、いわゆるオンボードタイプの車両駆動装置(を構成する中間歯車軸)にも適用することができる。
また、本発明に係るスプライン嵌合構造60は、以上で説明したような歯車軸(中間歯車軸36)のみならず、一体回転可能に連結すべき二部材間で高い同軸度や連結強度が必要とされるその他の部材にも好ましく適用できることは言うまでもない。
本発明は前述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得る。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
21 インホイールモータ駆動装置(車両駆動装置)
26 電動モータ
30 減速機(平行軸歯車減速機)
32 第1中間歯車
33 第2中間歯車
36 中間歯車軸
50 車輪用軸受
60 スプライン嵌合構造
61 第1部材
62 第2部材
63 雄スプライン
64 凸部
65 雌スプライン
66 凹部
67 凸部
68 第1面取り
69 第2面取り
A 電動モータ部
B 減速機部
C 車輪用軸受部
P 圧入方向に直交する面
X 圧入方向
θ1 第1面取りの傾斜角
θ2 第2面取りの傾斜角

Claims (4)

  1. 一体回転可能に連結すべき第1部材および第2部材のうち、前記第1部材の外周面に形成された雄スプラインの最外径部を、前記第2部材の内周面に形成された雌スプラインの内底面に圧入することで形成されるスプライン嵌合構造において、
    前記雄スプラインを構成する凸部の圧入方向前方側の端部、および前記雌スプラインを構成する凸部のうち前記雄スプラインの圧入が開始される側の端部に、それぞれ、圧入方向に直交する面に対して傾斜した第1面取りおよび第2面取りを設け、前記第1面取りの傾斜角を、前記第2面取りの傾斜角よりも大きくしたことを特徴とするスプライン嵌合構造。
  2. 前記第1部材が、軸部および第1の外歯歯車を有する部材で構成されると共に、前記第2部材が、前記第1の外歯歯車と軸方向で近接配置される第2の外歯歯車で構成され、
    前記雄スプラインが前記軸部の外周面に形成され、前記雌スプラインが前記第2の外歯歯車の内周面に形成されている請求項1に記載のスプライン嵌合構造。
  3. 前記第1の外歯歯車および前記第2の外歯歯車が、はすば歯車で構成されている請求項2に記載のスプライン嵌合構造。
  4. 互いに平行に配置された入力歯車軸、中間歯車軸および出力歯車軸を有し、前記入力歯車軸に入力された電動モータの回転を減速して出力する減速機を備えた車両駆動装置であって、前記中間歯車軸に、請求項2又は3に記載のスプライン嵌合構造を適用してなる車両駆動装置。
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