JP2020051304A - ピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法 - Google Patents

ピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ピストンの温度を適切に制御すること。【解決手段】内燃機関3のピストン温度を推定する推定部20と、推定されたピストン温度を、ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正する補正部40と、補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御する制御部50と、を備える、ピストン温度制御装置1。【選択図】図2

Description

本開示は、ピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法に関する。
従来、内燃機関のピストンの背面側に冷却用オイルを噴射して、ピストンを冷却する装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、ピストンの温度を推定し、推定されたピストンの温度に基づいて、ピストンの背面側への冷却用オイルの噴射を制御することが開示されている。
特開2012−145021号公報
本開示の目的は、ピストンの温度を適切に制御することができるピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法を提供することである。
本開示の一態様に係るピストン温度制御装置は、内燃機関のピストン温度を推定する推定部と、前記推定されたピストン温度を、前記ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正する補正部と、前記補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御する制御部と、を備える、ピストン温度制御装置である。
また、本開示の一態様に係るピストン温度制御方法は、内燃機関のピストン温度を推定するステップと、前記推定されたピストン温度を、前記ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正するステップと、前記補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御するステップと、を備える、ピストン温度制御方法である。
本開示に係るピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法によれば、ピストンの温度を適切に制御することができる。
図1は、実施形態に係るピストン温度制御装置の構成の一例を示す図である。 図2は、ピストン温度制御装置の動作の一例を示すフローチャートである。 図3Aは、ピストン温度の推移の一例を示すタイムチャートである。 図3Bは、ピストン温度の推移の一例を示すタイムチャートである。 図3Cは、ピストン温度の推移の一例を示すタイムチャートである。
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本開示はこの実施形態により限定されるものではない。
まず、図1を参照して、ピストン温度制御装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係るピストン温度制御装置1の構成の一例を示す図である。ピストン温度制御装置1は、車両2に搭載される内燃機関であるエンジン3が備えるピストンの温度を制御するコンピュータである。
車両2は、例えばバス、トラック等の大型の車両である。ピストン温度制御装置1は、車両2に搭載されており、車両2に設けられている各種センサからエンジン3の状態を示すエンジン状態情報を取得する。
エンジン3は、ディーゼルエンジンである。また、車両2は、EGR(Exhaust Gas Recirculation)システムおよびターボチャージャを実装している。また、エンジン3は、可変バルブ機構を実装している。なお、エンジン3は、EGRシステム、ターボチャージャおよび可変バルブ機構を有しないものでもよい。
図1に示すように、ピストン温度制御装置1は、取得部10と、推定部20と、選択部30と、補正部40と、制御部50と、記憶部60とを機能的要素として備える。ピストン温度制御装置1は、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有する。以下において説明するピストン温度制御装置1の各機能は、CPUがROMから読み出したコンピュータプログラムをRAM上で実行することにより実現される。
取得部10は、各種センサからエンジン状態情報を取得する。
推定部20は、取得部10で取得されたエンジン状態情報に基づいて、ピストンの温度を推定する。
選択部30は、記憶部60に記憶されている複数の時定数から、所定の時定数を選択する。
補正部40は、推定部20で推定されたピストンの温度を、選択部30で選択された時定数を用いて補正する。
制御部50は、補正部40で補正されたピストンの温度に基づいて、ピストンの背面側への冷却用オイルの噴射を制御する。
記憶部60は、推定部20におけるピストンの温度の推定に用いられる各種推定マップを記憶している。また、記憶部60は、上述のとおり、選択部30における時定数の選択に用いられる複数の時定数を記憶している。
(取得部10)
取得部10は、エンジン状態情報として、エンジン3のクランクシャフトの回転数を取得する。また、取得部10は、エンジン状態情報として、エンジン3の燃焼室への燃料噴射量を取得する。さらに、取得部10は、エンジン状態情報として、冷却用オイルの油圧、冷却用オイルの油温、吸気温度、吸入空気量、および、燃料噴射タイミングを取得する。さらにまた、取得部10は、エンジン状態情報として、冷却水の水温、燃料噴射圧力、排気ブレーキの動作信号、吸入空気温度、排気温度、吸気圧力等を取得する。
(推定部20)
推定部20は、クランクシャフトの回転数および燃料噴射量に基づいて、ピストンの温度を推定する。また、推定部20は、クランクシャフトの回転数および燃料噴射量に基づいて、冷却用オイルの油圧、冷却用オイルの油温、吸気温度、吸入空気量、および、燃料噴射タイミングを推定する。
記憶部60には、クランクシャフトの回転数および燃料噴射量をパラメータとするピストン温度推定マップ、油圧推定マップ、油温推定マップ、吸気温度推定マップ、吸入空気量推定マップ、および、燃料噴射タイミング推定マップが記憶されている。
推定部20は、ピストン温度推定マップに基づいて、ピストンの温度を特定する。
推定部20は、油圧推定マップ、油温推定マップ、吸気温度推定マップ、吸入空気量推定マップ、および、燃料噴射タイミング推定マップに基づいて、冷却用オイルの油圧、冷却用オイルの油温、吸気温度、吸入空気量、および、燃料噴射タイミングを推定する。
推定部20は、推定された冷却用オイルの油圧と、取得部10で取得された冷却用オイルの油圧との差分に基づいて、第1補正値を算出する。また、推定部20は、推定された冷却用オイルの油温と、取得部10で取得された冷却用オイルの油温との差分に基づいて、第2補正値を算出する。また、推定部20は、推定された吸気温度と、取得部10で取得された吸気温度との差分に基づいて、第3補正値を算出する。また、推定部20は、推定された吸入空気量と、取得部10で取得された吸入空気量との差分に基づいて、第4補正値を算出する。また、推定部20は、推定された燃料噴射タイミングと、取得部10で取得された燃料噴射タイミングとの差分に基づいて、第5補正値を算出する。
推定部20は、ピストン温度推定マップに基づいて特定されたピストンの温度と、第1〜第5補正値とを用いて、ピストンの温度を推定する。以下、推定部20において推定されたピストンの温度を、「推定ピストン温度」と呼ぶ。
(補正部40)
推定部20から出力される推定ピストン温度と、実際のピストン温度とは、エンジン3の状態によって異なる場合がある。特に、エンジン3の状態が過渡的に変化する状況では、推定ピストン温度と実際のピストン温度との違いが顕著である。そして、エンジン3の状態によって、推定ピストン温度の変化の速さの度合いを示す時定数が変化する。
そこで、本実施形態では、補正部40において、エンジン3の状態に対応する時定数を用いて、推定ピストン温度をさらに補正する。以下、補正部40において補正されたピストンの温度を、「補正ピストン温度」と呼ぶ。
記憶部60には、複数の時定数が記憶されている。選択部30は、記憶部60に記憶されている複数の時定数の中から、推定ピストン温度の変化状況、エンジン3の運転状態、および、ピストンへの冷却用オイルの噴射状態に基づいて、所定の時定数を選択する。補正部40は、選択部30で選択された所定の時定数に基づいて、推定ピストン温度を補正する。
具体的には、補正部40は、推定部20で新たに推定された推定ピストン温度と、1周期前に推定された推定ピストン温度との差分値を所定の時定数で除算した値を、1周期前の推定ピストン温度に加算することにより、推定ピストン温度を補正する。これにより、推定ピストン温度を、実際のピストン温度の変化の速さに対応するものに補正することができる。
推定ピストン温度の変化の速度が速い場合には、選択部30は、相対的に小さい時定数を選択する。これにより、補正ピストン温度は、新たに推定された推定ピストン温度の影響が大きくなる。
また、推定ピストン温度の変化の速度が遅い場合には、選択部30は、相対的に大きい時定数を選択する。これにより、補正ピストン温度は、過去に推定された推定ピストン温度の影響が大きくなる。
記憶部60には、第1時定数、第2時定数、第3時定数、第4時定数、第5時定数、第6時定数、第7時定数および第8時定数が記憶されている。ここで、記憶部60に記憶されている第1〜第8時定数について説明する。
第1〜第4時定数は、ピストンに冷却用オイルが噴射されていない状態に選択される。
第1時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが停止している場合に選択される。第2時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが運転している場合に選択される。
推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが運転している場合には、冷却オイルおよび冷却水がエンジン3内を循環するので、ピストン温度の低下の速度は速くなる。
一方、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが停止している場合には、冷却オイルおよび冷却水の循環が停止する。このため、ピストン温度の低下の速度は遅くなる。したがって、第1時定数の値は、第2時定数の値よりも大きい。
第3時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われている場合に選択される。燃料噴射が行われている場合には、エンジン3は燃料を燃焼させているので、燃料噴射量の変化に対してピストン温度の変化が大きく、推定ピストン温度の低下の速度は燃料噴射が行われていない場合と同等あるいは早くなる。したがって、第3時定数の値は、第1時定数の値よりも小さく、第2時定数と同等あるいは小さい。
第4時定数は、推定ピストン温度が上昇している場合に選択される。第4時定数の値は、第3時定数の値よりも大きい。
第5〜第8時定数は、ピストンに冷却用オイルが噴射されている状態に選択される。
第5時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが停止している場合に選択される。ピストンに冷却用オイルが噴射されている場合には、ピストンに冷却用オイルが噴射されてない場合に比べて、ピストン温度の低下速度は速くなる。したがって、第5時定数の値は、第1時定数の値よりも小さい。
第6時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われておらず、かつ、エンジンが運転している場合に選択される。ピストンに冷却用オイルが噴射されている場合には、ピストンに冷却用オイルが噴射されてない場合に比べて、ピストン温度の低下速度は速くなる。したがって、第6時定数の値は、第2時定数の値よりも小さい。
第7時定数は、推定ピストン温度が低下し、燃料噴射が行われている場合に選択される。ピストンに冷却用オイルが噴射されている場合には、ピストンに冷却用オイルが噴射されてない場合に比べて、ピストン温度の低下速度は速くなる。したがって、第7時定数の値は、第3時定数の値よりも小さい。
第8時定数は、推定ピストン温度が上昇している場合に選択される。ピストンに冷却用オイルが噴射されている場合には、ピストンに冷却用オイルが噴射されてない場合に比べて、ピストン温度の上昇速度は速くなる。したがって、第8時定数の値は、第4時定数の値よりも小さい。
補正部40は、例えば以下の式(1)を用いて補正ピストン温度Tpscを算出する。なお、補正ピストン温度の算出式は式(1)に限定されない。式(1)中、Tpsは新たに推定された推定ピストン温度であり、Tpsoは1周期前に推定された推定ピストン温度であり、Xは所定値であり、τは時定数である。
Figure 2020051304
制御部50は、補正部40で補正されたピストンの温度に基づいて、ピストンの背面側への冷却用オイルの噴射を行うか否かを判断する。制御部50は、ピストンの背面側への冷却用オイルの噴射を行うと判断された場合、冷却用オイルの噴射を制御する。
本実施形態では、オイルポンプは、可変容量ポンプである。また、オイルポンプとオイルジェットとの間の油路には、オイルジェットからの冷却用オイルの噴射を制御する供給バルブが設けられている。
供給バルブが「閉」のとき、オイルポンプからオイルジェットへの油路は遮断され、オイルジェットから冷却用オイルは噴射されない。供給バルブが「開」のとき、オイルジェットから冷却用オイルが噴射される。
制御部50は、オイルジェットの供給バルブおよびオイルポンプの少なくとも一方を制御する。なお、ピストンの背面側へ冷却用オイルを噴射する装置の構成については、公知であるため、詳細な説明を省略する。
次に、図2を参照して、ピストン温度制御装置1の動作について説明する。図2は、ピストン温度制御装置1の動作の一例を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、所定の周期で繰り返し実行される。
ステップS1で、ピストン温度制御装置1(具体的には、取得部10)は、エンジン3のクランクシャフトの回転数およびエンジン3の燃焼室への燃料噴射量を含むエンジン状態情報を取得する。
ステップS1に続くステップS2で、ピストン温度制御装置1(具体的には、制御部50)は、冷却用オイルの噴射を停止可能であるか否かを判定する。なお、この判定は、ピストンの温度以外の条件に基づいて行われる。
例えば、ピストン温度制御装置1(具体的には、制御部50)は、冷却用オイルの噴射を停止することで、クランクシャフトのベアリング、エンジン3の可変バルブ機構のアクチュエータ等、他の機器に悪影響が生じない場合に、冷却用オイルの噴射を停止可能であると判断する。
ステップS2において、冷却用オイルの噴射を停止可能でないと判断された場合(ステップS2:NO)、処理はステップS3に進む。
ステップS3で、ピストン温度制御装置1(具体的には、制御部50)は、オイルジェットからピストンの背面側に冷却用オイルを噴射させる。具体的には、ピストン温度制御装置1は、オイルポンプが所望のオイルを吐出するように、オイルポンプを制御するとともに、オイルジェットから冷却用オイルが噴射されるように、供給バルブを制御する。
ステップS3の処理の後、処理は終了する。
一方、ステップS2において、冷却用オイルの噴射を停止可能であると判断された場合(ステップS2:YES)、処理はステップS4に進む。
ステップS4で、ピストン温度制御装置1(具体的には、推定部20および補正部40)は、補正ピストン温度を算出する。
ステップS4に続くステップS5で、ピストン温度制御装置1(具体的には、制御部50)は、補正ピストン温度が予め定められた所定の第1閾値以下であるか否かを判定する。なお、第1閾値は、ピストンの寿命等を考慮して、ピストンの材質等に応じて可変設定される。
ステップS5において、ピストンの温度が第1閾値以下でないと判断された場合(ステップS5:NO)、処理はステップS3に進む。
一方、ステップS5において、ピストンの温度が第1閾値以下であると判断された場合(ステップS5:YES)、処理はステップS6に進む。
ステップS6で、ピストン温度制御装置1(具体的には、制御部50)は、冷却用オイルの噴射を停止させる。これにより、ピストンの温度を高温に維持することが可能となる。
例えば、ピストン温度制御装置1は、供給バルブを「開」としたまま、オイルポンプからのオイルの吐出を停止または低減させる。このようにすれば、オイルポンプの負荷を低減することができる。そのため、エンジン3の負荷を低減し、燃費を向上させることが可能となる。
また、例えば、ピストン温度制御装置1は、オイルポンプの吐出量を維持した状態で、供給バルブを「閉」とする。このようにすれば、オイルポンプから吐出されたオイルを、高圧の状態で上述の他の機器へ供給することが可能となる。
また、例えば、ピストン温度制御装置1は、オイルポンプからのオイルの吐出を停止または低減させ、かつ、供給バルブを「閉」とする。このようにすれば、オイルを必要とする他の機器に最低限必要なオイル供給を行いながら、可変容量オイルポンプによって吐出圧力を制御することによりオイルポンプの負荷を低減することができる。そのため、エンジン3の負荷を低減し、燃費を向上させることが可能となる。
ステップS6の処理の後、処理は終了する。
次に、図3A、図3Bおよび図3Cを参照して、本実施形態の作用効果について説明する。図3Aは、第一の比較例におけるピストンの温度の推移を示すタイムチャートである。図3Bは、第二の比較例におけるピストンの温度の推移を示すタイムチャートである。図3Cは、本実施形態におけるピストンの温度の推移を示すタイムチャートである。図3Aないし図3Cにおいて、横軸は時間を示しており、縦軸はピストン温度を示している。
まず、第一の比較例について説明する。図3Aにおける破線は、実際のピストン温度を示している。
図3Aには、参考として、第二の比較例および本実施形態において冷却用オイルの噴射が開始される第1閾値T1が示されている。また、図3Aには、参考として、第二の比較例における時刻t1〜t5が示されている。
第一の比較例では、ピストン温度の推移と関係なく、オイルジェットから冷却用のオイルが噴射され続けている。すなわち、オイルポンプは常に一定量以上の仕事を行っている。そのため、オイルポンプを駆動するために、エンジンに常に一定量以上の負荷が掛かっていることになる。
第一の比較例では、ピストンに常に冷却用のオイルが噴射されることで、ピストン温度は高温にはなり難い。図3Aに示すように、エンジン3の高負荷時(時刻t1〜t3)においても、ピストン温度は第1閾値T1まで達していない。さらに、エンジン3の低負荷時(時刻t3〜t4)において、ピストン温度は大きく低下する。そのため、燃焼室内からピストンおよびライナーへの放熱量が大きくなる。また、排気温度も高温にはなり難く、排気管下流に設けた後処理排ガス装置の活性が得られにくい。さらに、ピストンの温度が大きく変化するため、ピストンに対する熱ストレスも比較的大きい。
次に、第二の比較例について説明する。図3Bにおける一点鎖線は、推定ピストン温度を示している。図3Bにおける破線は、実際のピストン温度を示している。第二の比較例では、推定ピストン温度が第1閾値T1を超えるまでは、冷却用オイルの噴射が行われない。そのため、第一の比較例に比べて、ピストン温度を高温状態で維持することができる。
時刻t1で、推定ピストン温度が第1閾値T1を超えると、冷却用オイルの噴射が開始される。なお、この時点で、実際のピストン温度は第1閾値T1未満である。また、時刻t1で冷却用オイルの噴射が開始されることで、時刻t1以降、実際のピストン温度の上昇速度は遅くなる。
その後、時刻t2で、実際のピストン温度はT1に達する。
さらにその後、時刻t3で、推定ピストン温度の低下によって冷却用オイルの噴射は停止される。冷却用オイルの噴射が停止されることで、実際のピストン温度の低下速度は、第一の比較例よりも遅くなる。そのため、ピストンに対する熱ストレスは、第一の比較例よりも緩和される。
時刻t4で、推定ピストン温度が再び第1閾値T1を超えると、冷却用オイルの噴射が再び開始される。なお、この時点で、実際のピストン温度は第1閾値T1未満である。また、時刻t4で冷却用オイルが噴射されることで、時刻t4以降、実際のピストン温度の上昇速度は遅くなる。
そのため、実際のピストン温度がT1に達しないまま、時刻t5で、推定ピストン温度の低下によって冷却用オイルの噴射は停止される。
次に、本実施形態について説明する。図3Cにおける実線は、補正ピストン温度を示している。図3Cにおける破線は、実際のピストン温度を示している。また、図CBには、参考として、図3Bにおける時刻t1〜t5も示されている。
図3Cで明らかなように、時定数を用いて補正された補正ピストン温度は、実際のピストン温度とほぼ一致している。
時刻t1で、推定ピストン温度が第1閾値T1を超えても、補正ピストン温度は第1閾値T1未満であるため、冷却用オイルの噴射は開始されない。本実施形態では、時刻t11で補正ピストン温度が第1閾値T1を超えたときに、初めて冷却用オイルの噴射が開始される。そのため、第二の比較例に比べて、冷却用オイルを噴射する期間を短くすることができる。
また、冷却用オイルが噴射されていない間、実際のピストン温度の上昇速度は速い。そのため、実際のピストン温度は、時刻t2よりも前の時刻t11でT1に達する。すなわち、第二の比較例に比べて、実際のピストン温度をT1まで速やかに上昇させることができる。
その後、時刻t3よりも僅かに後の時刻t13で、補正ピストン温度の低下によって冷却用オイルの噴射は停止される。冷却用オイルの噴射が停止されることで、実際のピストン温度の低下速度は、第一の比較例よりも遅くなる。そのため、ピストンに対する熱ストレスは、第一の比較例よりも緩和される。なお、時刻t13が時刻t3よりも僅かに後なのは、時定数として、小さな値が選択されるからである。
時刻t4で、推定ピストン温度が再び第1閾値T1を超えても、補正ピストン温度は第1閾値T1未満であるため、冷却用オイルの噴射は開始されない。本実施形態では、時刻t14で補正ピストン温度が第1閾値を超え、冷却用オイルの噴射が開始される。
そのため、第二の比較例に比べて、冷却用オイルを噴射する期間を短くすることができ、かつ、ピストンの温度を、速やかに、T1まで上昇させることができる。
その後、時刻t5よりも僅かに後の時刻t15で、ピストン温度の低下によって冷却用オイルの噴射は停止される。なお、時刻t15が時刻t5よりも僅かに後なのは、時定数として、小さな値が選択されるからである。
以上説明したように、本実施形態によれば、ピストン温度制御装置1は、エンジン3のピストン温度を推定する推定部20と、推定されたピストン温度を、ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正する補正部40と、補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御する制御部50と、を備える。
そのため、ピストンの温度を適切に制御することができる。
また、本実施形態によれば、ピストン温度の変化状況、クランクシャフトの回転数、燃料噴射量、および冷却用オイルの噴射状態に基づいて、複数の時定数の中から選択された所定の時定数を用いてピストン温度を補正する。
本実施形態では、冷却用オイルの噴射状態を考慮することで、実際のピストン温度を精度良く推定することができ、ピストンの温度を適切に制御することができる。
また、本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
冷却オイルを噴射する期間を短くすることができる。これにより、冷却オイルの消費量を抑制することができ、オイルポンプの仕事量を低減することができる。
例えば、オイルポンプとして、エンジンで駆動される可変容量型のオイルポンプを用いる場合、ピストンの冷却以外で要求される分だけオイルを吐出すれば良くなり、エンジンの負荷を低減することができる。これにより、燃料消費量を低減させることができる。
また、例えば、固定容量型のオイルポンプをクラッチ等の断接機構を介してエンジンと接続する場合、当該断接機構を「断」とすることで、エンジンの負荷を低減することができる。
また、例えば、オイルポンプとして、モータで駆動される電動オイルポンプを用いる場合、オイルポンプを停止させることで、電力消費量を低減させることができる。
ピストンの温度を、速やかに上昇させることができる。これにより、ピストンの温度を、ピストンの寿命に悪影響を及ぼさない範囲で、高温状態に維持することができる。ピストンの温度を高温状態に維持することで、例えば、次のような効果を得ることができる。
ピストンと接するライナーの温度を上昇させることができる。これにより、燃焼室内からピストンおよびライナーへの放熱量を低減することができる。そのため、エンジンの仕事量を増大させることができる。
また、排気温度を上昇させることができる。これにより、排気管に設けられたターボチャージャの仕事量を低減させることができる。また、排気温度を上昇させることで、排気浄化装置における触媒を活性化させることができる。そのため、車両の排ガス性能を向上させることができる。
また、ピストンの温度が変化するのを抑制することができる。これにより、ピストンに対する熱ストレスを抑制することができ、ピストンを高寿命化することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
例えば、上述の実施形態では、第1〜第8時定数を使い分ける構成としたが、これに限定されない。例えば、ピストン温度の変化状況、エンジン運転状態および冷却用オイルの噴射状態に基づいて、時定数をさらに細分化してもよい。時定数の細分化にあたり、その他のパラメータを考慮してもよい。
また、上述の実施形態では、供給バルブが「開」および「閉」の2位置を取るバルブであるものを例に説明を行ったが、これに限定されない。供給バルブを、流量を連続的に調整可能なバルブとして、供給バルブにより冷却用オイルの流量および油圧を制御するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、オイルポンプから吐出されたオイルを、オイルジェットに加え、オイルを必要とする他の機器に供給するものを例に説明を行ったが、これに限定されない。オイルを必要とする他の機器にオイルを供給するオイルポンプとは別に、オイルジェットにオイルを供給する専用のオイルポンプを設けるようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、冷却用オイルの噴射を制御することでピストン温度を制御するものを例に説明を行ったが、これに限定されない。例えば、冷却用オイルを冷却するオイルクーラをバイパスする油路を設け、補正ピストン温度に応じてオイルクーラをバイパスさせるか否かを切り替えるようにすることで、冷却用オイルの温度を調整し、ピストン温度を制御するようにしてもよい。
本開示のピストン温度制御装置およびピストン温度制御方法によれば、ピストンの温度を適切に制御することができ、産業上の利用可能性は多大である。
1 ピストン温度制御装置
2 車両
3 エンジン
10 取得部
20 推定部
30 選択部
40 補正部
50 制御部
60 記憶部

Claims (7)

  1. 内燃機関のピストン温度を推定する推定部と、
    前記推定されたピストン温度を、前記ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正する補正部と、
    前記補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御する制御部と、を備える
    ピストン温度制御装置。
  2. 複数の前記時定数を記憶する記憶部と、
    前記複数の時定数の中から、所定の時定数を選択する選択部と、をさらに備え、
    前記選択部は、前記推定されたピストン温度の変化状況に基づいて、前記所定の時定数を選択し、
    前記補正部は、前記選択された所定の時定数に基づいて、前記ピストン温度を補正する、
    請求項1に記載のピストン温度制御装置。
  3. 前記内燃機関の運転状態を示す状態情報を取得する取得部をさらに備え、
    前記選択部は、前記ピストン温度の変化状況と前記状態情報とに基づいて、前記所定の時定数を選択する、
    請求項2に記載のピストン温度制御装置。
  4. 前記選択部は、前記ピストン温度の変化状況、前記状態情報、および、前記ピストンへのオイルの供給状態に基づいて、前記所定の時定数を選択する、
    請求項3に記載のピストン温度制御装置。
  5. 前記取得部は、前記状態情報として前記内燃機関のクランクシャフトの回転数と前記内燃機関の燃焼室への燃料噴射量とを取得する、
    請求項3または4に記載のピストン温度制御装置。
  6. 前記推定部は、前記回転数と前記燃料噴射量とに基づいて前記ピストン温度を推定する、
    請求項5に記載のピストン温度制御装置。
  7. 内燃機関のピストン温度を推定するステップと、
    前記推定されたピストン温度を、前記ピストン温度の変化速度の度合いを示す時定数に基づいて補正するステップと、
    前記補正されたピストン温度に基づいて、ピストンへのオイルの供給を制御するステップと、を備える
    ピストン温度制御方法。
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