JP2020048951A - 眼科システム、屈折特性測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】制御部による測定パターン像の解析を補助することのできる眼科システムを提供する。【解決手段】眼科システム10は、眼底Efに測定光束を投影して測定パターン像Miを取得する測定部12と、測定パターン像Miを解析して被検眼Eの屈折特性を求める制御部11と、測定パターン像Miを表示する表示部15と、を備える。測定部12は、合焦状態を変更可能とされ、制御部11は、2つ以上の異なる合焦状態で取得した測定パターン像Miを解析しかつそれが写る測定画像Imを記憶させ、いずれの測定パターン像Miも解析できない場合、記憶させた全ての測定画像Imを表示部15に表示させ、その中から選択された測定画像Imに写る測定パターン像Miに対して指定された座標に基づいて近似パターンApを決定し、近似パターンApに基づいて被検眼Eの屈折特性を求める補助工程を行う。【選択図】 図5B
Description
本開示は、眼科システム、屈折特性測定方法に関する。
眼科システムは、被検眼の眼底に測定光束を投影し、眼底で反射された測定光束(反射光束)を測定パターン像として取得する測定部を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
このような眼科システムは、制御部が、測定部からの測定パターン像(その画像データ)を解析し、その解析し結果に基づいて被検眼の屈折特性を求める。
ここで、上記した眼科システムは、例えば、測定パターン像の一部が欠けていたり測定パターン像が大きくぼけたりしていると、制御部が測定パターン像を解析できず、被検眼の屈折特性を求めることができなくなる。
本開示は、上記の事情に鑑みて為されたもので、制御部による測定パターン像の解析を補助することのできる眼科システムを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本開示の眼科システムは、被検眼の眼底に測定光束を投影し、前記眼底で反射された測定光束を測定パターン像として取得する測定部と、前記測定パターン像を解析し、その解析結果に基づいて前記被検眼の屈折特性を求める制御部と、前記制御部の制御下で前記測定パターン像を表示する表示部と、を備え、前記測定部は、前記被検眼に応じて合焦状態を変更可能とされ、前記制御部は、2つ以上の異なる合焦状態で取得した前記測定パターン像を解析するとともに解析した前記測定パターン像が写る測定画像を記憶させ、いずれの前記測定パターン像も解析できない場合、記憶させた全ての前記測定画像を前記表示部に表示させ、その中から選択された前記測定画像に写る前記測定パターン像に対して指定された座標に基づいて近似パターンを求め、前記近似パターンに基づいて前記被検眼の屈折特性を求める補助工程を行うことを特徴とする。
本開示の眼科システムによれば、制御部による測定パターン像の解析を補助することができる。
以下に、本開示に係る眼科システムの一実施形態としての眼科システム10の実施例1について図1から図5を参照しつつ説明する。なお、図2は、各光学系(符号21から25)の被検眼Eに対する光が進行する関係性の理解を容易とするために被検眼Eに対して複数の矢印を並列させて記載しているが、実際には全ての光が測定部12の光軸上を進行するものである。また、測定処理(測定方法)を示すフローチャートを図5Aと図5Bとに分けて示しており、図5Aから図5Bに移行する際に両図に記載した丸で囲む符号AからCのうちの同じ記号の位置に進むものとしている。そして、以下では、図5Aと図5Bとに示すフローチャートを、単に図5に示すフローチャートと記載する。
眼科システム10は、被検眼Eの眼屈折力を測定するものであり、図1に示すように、制御部11に、測定部12と駆動部13と顎受部14と表示部15と操作部16と記憶部17とが接続されて構成される。
制御部11は、接続された記憶部17または内蔵する内部メモリ11aに記憶したプログラムを例えばRAM(Random Access Memory)上に展開することにより、適宜操作部16に対する操作等に応じて、眼科システム10(測定部12、駆動部13、顎受部14、表示部15)の動作を統括的に制御する。実施例1では、内部メモリ11aは、RAM等で構成され、記憶部17は、ROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等で構成される。眼科システム10では、上記した構成の他に、測定完了信号や測定者からの指示に応じて測定結果を印字するプリンタや、測定結果を外部メモリやサーバーに出力する出力部が適宜設けられる。
測定部12は、被検眼Eの眼底Ef(図2参照)に測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を測定パターン像Mi(図3等参照)として取得する。その測定パターン像Miは、測定部12により解析されることで、被検眼Eの眼屈折力を測定できる。この測定部12の構成については、後に説明する。
駆動部13は、測定部12を上下、左右、前後方向に移動させる。顎受部14は、被検者の顎を載せる箇所であり、被検者に応じて測定部12に対する位置の調整が可能とされている。表示部15は、液晶モニタ等で形成され、測定部12で取得した前眼部像や測定パターン像Mi(図3等参照)や眼底画像等が適宜表示される。表示部15は、測定部12に固定されて設けられていてもよく、測定部12とは別に設けられていてもよい。操作部16は、検者や被検者が眼科システム10を操作するものである。操作部16は、表示部15に重畳して配置されたタッチパネル式とされていてもよく、例えばキーボード、マウス、ジョイスティック等の入力装置で構成されていてもよい。
次に、測定部12の光学系の一例としての構成を、図2を用いて説明する。測定部12の光学系は、図2に示すように、観察系21と固視投影系22と眼屈折力測定系23とアライメント光学系24とを有し、それぞれの光軸が測定部12の光軸と一致されている。このため、測定部12は、自らの光軸が被検眼Eの基準箇所(角膜頂点や瞳孔中心等)に一致するように駆動部13により前後左右上下の各方向に移動されることで、各光学系(符号21から24)の光軸が被検眼Eに対してアライメントされる。
観察系21は、被検眼Eの前眼部の観察を可能とする。観察系21は、被検眼Eの前眼部で反射された光束を、撮像素子(その受光面)上に結像することで、被検眼Eの前眼部の画像(前眼部像)を取得する。制御部11は、観察系21から出力される画像信号に基づく前眼部像等を表示部15に適宜表示させる。
固視投影系22は、被検眼Eの視線を固定し、かつ調節を誘導するための視標としての固視標を、被検眼Eに呈示する。固視標は、例えば、遠方の風景などを描画した視標で構成する。固視投影系22は、被検眼Eの屈折力に応じて合焦位置を変更可能とされ、被検眼Eの眼底Efと共役となる位置に固視標を呈示できる。この合焦位置の変更は、固視投影系22における一部の光学部材等を光軸に沿って移動させることで行うことができる。また、固視投影系22は、合焦位置すなわち呈示した固視標を眼底Efと共役となる位置から大きく移動して、雲霧状態とすることが可能とされている。測定部12は、雲霧状態すなわち被検眼Eを調節休止状態(水晶体の調整除去状態)として、眼屈折力の測定を行う。
眼屈折力測定系23は、眼屈折力(屈折特性)の測定を行うもので、測定光源25aから出射した測定光束を被検眼Eの眼底Efに投影する測定投影系25と、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を測定パターン像Miとして受光センサ26aに導く測定受光系26と、を有する。この受光センサ26aは、観察系21と共用していてもよく、観察系21の撮像素子とは別に設けられていてもよい。測定パターン像Miは、任意の形状とすることができ、実施例1ではリング状としている(図3等参照)。このリング状の測定パターン像Miは、例えば、測定投影系25が測定光源25aから出射した測定光束をリングパターン形成板等によりリング状として眼底Efに投影することで、形成することができる。また、リング状の測定パターン像Miは、例えば、測定投影系25が測定光束として点状のスポット光を眼底Efに投影し、眼底Efで反射された測定光束を測定受光系26においてリング状のスリットやレンズを通すことでリング状の光束として受光センサ26aに導くことで、形成することができる。
測定投影系25は、眼底Efに投影する測定光束の合焦位置を変更することが可能とされており、被検眼Eに応じて測定光源25a(上記したリングパターン形成板)と眼底Efとを共役とすることができる。測定受光系26は、受光センサ26a上での測定パターン像Miの合焦位置を変更することが可能とされており、被検眼Eに応じて受光センサ26aと眼底Efとを共役とすることができる。これらの合焦位置の変更は、測定投影系25および測定受光系26における一部の光学部材等を光軸に沿って移動させることで行うことができる。以下では、測定部12において、合焦位置の変更のために移動される固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26における一部の光学部材等を、合焦状態を変更するための合焦部ともいう。
眼屈折力測定系23は、制御部11の制御下で、次のように動作されて被検眼Eの眼屈折力を測定する。先ず、測定投影系25において測定光源25aが点灯されて測定光束を眼底Efに投影し、測定受光系26において受光センサ26aで測定パターン像Miを取得する。この制御部11は、測定パターン像Miを表示部15に適宜表示させるとともに、その測定パターン像Miが写った測定画像Im(図4等参照)と、その測定画像Imを取得したときの測定部12の合焦状態と、を記憶部17に適宜記憶させる。
制御部11は、測定パターン像Miを解析し、その解析結果としての測定パターン像Miの形状および大きさと、測定部12の合焦状態と、に基づいて被検眼Eの眼屈折力を求める。その一例としての解析では、先ず、制御部11は、測定パターン像Miが撮影された受光センサ26aからの画像信号において、各画素のうち、輝度値が所定の閾値以上となる明るい領域を検出することで、測定パターン像Miが形成された領域を特定する。この領域の特定は、コントラストの検出により行うこともできる。次に、制御部11は、基本的にリング状となる輝度値が閾値を越える領域において、半径方向で見た中間位置や、半径方向で見て最も高い輝度となる位置や、半径方向で見た輝度分布の重心位置等を、複数の角度における半径方向について求め、最小二乗法等を用いて楕円で近似することで、測定パターン像Miの形状および大きさを特定する。
ここで、受光センサ26a上の測定パターン像Miは、眼屈折力測定系23の測定受光系26が合焦した状態(眼底Efと受光センサ26aが共役)では、ボケがなくコントラストが高く所定の大きさとなる。また、合焦していない状態(眼底Efと受光センサ26aが共役ではない)では、受光センサ26a上の測定パターン像Miは、ボケてコントラストが低下するとともに大きさが変化する。そして、眼屈折力測定系23(測定部12)は、合焦状態の変化と測定パターン像Miの大きさの変化との関係が略線形となるよう構成されているため、リング像の大きさを検出することで合焦状態とするための光学部材等(合焦部)の移動量(合焦のズレ量)を求めることができる。そして、制御部11は、特定した測定パターン像Miの形状および大きさ(近似した楕円)と、測定部12の合焦状態と、に基づいて、被検眼Eの眼屈折力としての球面度数S、円柱度数C(乱視度数)、軸角度Ax(乱視軸角度)を周知の手法により算出する。制御部11は、算出した眼屈折力を適宜表示部15に表示させる。但し、眼底Efに合焦していな状態の測定パターン像Miは、上記したようにボケてコントラストが低いため、大きさおよび形状を適切に検出することが困難であるので、合焦した状態(それに近い状態)の測定パターン像Miを用いることが望ましい。
アライメント光学系24は、被検眼Eに対する測定部12の光学系の位置合わせ(アライメント)を可能とする。アライメント光学系24は、アライメントのための視標を被検眼Eに投影し、その視標を用いることで被検眼Eに対する測定部12の位置の調整のためのアライメント情報を生成する。そのアライメント情報は、例えば、被検眼Eの基準箇所に対して測定部12の光軸を一致させる情報と、被検眼Eから測定部12までの間隔を適切なものとする情報と、を有する。制御部11は、アライメント光学系24からのアライメント情報に基づいて駆動部13を駆動して測定部12を移動させることで、測定部12のオートアライメント(自動での位置調整)を行うことができる。
測定部12は、眼屈折力測定系23を用いて被検眼Eの眼屈折力を測定する際、上記したように制御部11が測定パターン像Miを解析し、その解析結果としての測定パターン像Miの形状および大きさに基づいて被検眼Eの眼屈折力を求めている。ところが、制御部11は、受光センサ26aからの画像信号に対して測定パターン像Miの抽出および解析を行っても、それに近似する円や楕円を特定できない場合がある。このような場合としては、被検眼Eに白内障などの混濁や睫や瞼によるケラレ等により、測定パターン像Miは、一部(複数を含む)が欠けていたり、全体にボケていたり、画面が部分的にもしく全体的に所定の値を超えて明るくなっているまたは暗くなっていたりすることがある。制御部11は、測定パターン像Miが大きく欠けていると、測定パターン像Miの特定ができず円や楕円で近似することができなくなることがある。また、制御部11は、測定パターン像Miがボケていたり、画面が所定の値を超えて明るくまたは暗くなっていたりすると、測定パターン像Miの特定ができず円や楕円で近似することができなくなることがある。以下では、このことを、単に測定パターン像Miを解析できないともいう。
ここで、測定パターン像Miが欠けていたり、測定パターン像Miがボケていたり、画面が所定の値を超えて明るくまたは暗くなっていたりしても、検者すなわち人間の目では測定パターン像Mi(その形状や大きさ)の認識が可能である場合が少なくない。このため、本開示の眼科システム10は、制御部11が測定パターン像Miを解析できない場合、補助工程の手動での補助動作を行うことで、測定のための測定パターン像Miの形状および大きさの特定を可能としている。
この補助工程は、制御部11が解析できなかった測定パターン像Miが写った測定画像Imにおいて、測定パターン像Miの解析を補助するための2つ以上の任意の位置の座標を検者に指定させるものである。制御部11は、測定パターン像Miを解析する際、その測定パターン像Miが写った測定画像Imを記憶部17に記憶させ(記憶工程)、解析できない場合に記憶部17に記憶させた測定画像Imを用いて補助工程を行う。制御部11は、測定画像Im上で2つ以上の任意の座標(位置)が指定されると、その座標情報から最小二乗法等を用いて円または楕円に近似する。この近似した円または楕円を、近似パターンAp(図3参照)とし、この動作を近似パターンApの決定とする。制御部11は、実施例1では後述するように楕円の近似パターンApを決定し、その楕円の長径、短径および長軸の角度に基づいて、被検眼Eの眼屈折力としての球面度数S、円柱度数C(乱視度数)、軸角度Ax(乱視軸角度)を周知の手法により算出する。
制御部11は、実施例1の補助工程では、観察系21の光軸を中心として検者により指定された2つ以上の任意の座標(点)を通るように円または楕円に近似して近似パターンApを決定する。そして、制御部11は、指定された座標が2つである場合は、円に近似することで、近似パターンApを決定することができる。また、制御部11は、指定された座標が3つ以上である場合は、これらの座標から楕円に近似し、近似パターンApを決定することができる。近似パターンApの楕円からは、強弱各主経線方向の眼屈折力と併せて乱視軸の方向が演算できる。実施例1の補助工程では、3つ以上の任意の座標を楕円に近似して近似パターンApを決定するものとしている。
なお、補助工程では、測定画像Imにおいて形成された測定パターン像Miの解析を補助するものであればよいので、2つ以上の任意の座標を指定することに替えて、測定パターン像Miをなぞるように円(その部分的な曲線を含む)を描くものとしてもよい。この場合であっても、制御部11は、円弧上の座標を最小二乗法等を用いて円または楕円に近似して近似パターンApを決定できる。
制御部11は、補助工程のために、図3に示すように、制御部11が解析できなかった測定パターン像Miが写った測定画像Imを表示部15に表示させるとともに、その表示部15上で任意の位置の指定を可能とする指定画面Sdを表示させる。実施例1の指定画面Sdは、表示部15がタッチパネル式とされることで、指やタッチペン18で表示部15の任意の位置を触れることにより、任意の位置の指定を可能としている。なお、この任意の位置の指定は、操作部16への指示操作により表示部15上に表示させた「指示」アイコンを移動させて行うものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。
制御部11は、指定画面Sdで任意の位置が指定されると、その指定された位置(座標)に指示点19を測定パターン像Miに重ねて表示するとともに、その指示点19の位置(測定画像Imにおける座標位置)を記憶する。そして、制御部11は、任意の位置が2つ以上指定されると、それらの座標(位置)を用いて、上記したように近似パターンApを決定して被検眼Eの眼屈折力を算出する。
実施例1では、指定画面Sdは、右下方に指示点19の指定が終了した旨を入力する「決定」アイコンidを表示させている。制御部11は、「決定」アイコンidがタッチ(操作)されると、指定画面Sdにおいて指示点19の指定が終了したものと判断して、指定された各指示点19の座標を用いて近似パターンApを決定する。なお、制御部11は、「決定」アイコンidが操作された時点で記憶した指示点19の位置が所定数(少なくとも2つであって、実施例1では3つ)に満たない場合には、その旨を伝える文章等を指定画面Sdに表示させたり音声で伝えたりする。
なお、図3の指定画面Sdでは、決定した近似パターンApを指定画面Sd上に表示しているが、この近似パターンApは表示しなくてもよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、近似パターンApを表示すると、検者は、一緒に表示された測定パターン像Miと近似パターンApの表示とを比較することで、近似パターンApが適切に決定されたか否かを確認することができる。そして、その確認に基づいて、指示点19の指定の遣り直しを可能とするものとしてもよい。これにより、本開示の眼科システム10は、制御部11が測定パターン像Miを解析できない場合であっても、その解析できなかった測定パターン像Miが写った測定画像Imを用いて被検眼Eの眼屈折力を測定することができる。
実施例1では、眼屈折力測定系23により眼屈折力を測定する際、先ず粗測定を実行する。粗測定は、固視投影系22や測定投影系25(測定光源25a)や測定受光系26(受光センサ26a)の合焦位置への移動量を決定するために、予備的に被検眼Eの概略の眼屈折力から合焦位置を求めることをいう。実施例1の粗測定では、測定部12において、最初に固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を基準位置となる0D(ディオプタ)位置とした合焦状態とする。そして、固視投影系22で固視標を固視させつつ眼屈折力測定系23の測定投影系25により被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、測定受光系26により測定パターン像Miを取得し、その測定パターン像Miの解析を行う。また、粗測定では、0D位置で測定パターン像Miの解析が出来ない場合には、測定部12において、合焦部(上記の各光学系)を移動して合焦位置を−側の所定値のD(ディオプタ)位置(以下では単に−D位置ともいう)とした合焦状態(強度の近視眼であると想定)として、同様に解析および算出を行う。そして、粗測定では、そこでも測定パターン像Miの解析が出来ない場合には、測定部12において、合焦部を移動して合焦位置を+側の所定値のD(ディオプタ)位置(以下では単に+D位置ともいう)とした合焦状態(強度の遠視眼であると想定)として、同様に解析および算出を行う。
そして、いずれかの粗測定で解析および算出が出来た場合には、測定部12の合焦状態を、粗測定で算出した合焦位置に基づいて固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26を移動させたものとし、その合焦状態で取得した測定パターン像Miの解析および眼屈折力の算出を行う本測定を実行する。この本測定は、上記の移動後に雲霧を行ってから実行してもよい。そして、制御部11は、本測定での測定パターン像Miの解析結果と、測定部12の合焦状態(本測定を実行した位置への移動量)と、から被検眼Eの眼屈折力を算出する。
このように、粗測定を3つの異なる位置で行うのは、次のことによる。被検眼Eが強度の屈折異常眼である場合、0D位置では被検眼Eの合焦位置と大きく異なるので、測定パターン像Miが大きくボケて解析が出来なくなることがある。このため、0D位置で解析が出来ない場合には、−D位置および+D位置とすることで、被検眼Eの眼屈折力に近い合焦位置で測定パターン像Miを取得できる可能性が高くなり、測定パターン像Miの解析が可能となる可能性を高めることができる。このため、−D位置および+D位置(その所定値)は、0D位置から大きく離れたものとすることで、強度屈折異常眼であってもいずれかの位置で測定パターン像Miの解析が可能となる。この所定値は、実施例1では一例として±10D位置とする。
そして、実施例1では、3つの粗測定のいずれの位置においても測定パターン像Miの解析が出来ない場合、または本測定で測定パターン像Miの解析が出来ない場合、上記した補助工程を行うものとする。従来であれば、このように最終的に測定パターン像Miの解析が出来ない場合には測定エラーと判定し、被検眼Eの眼屈折力が求めることなく終了することとなる。ところが、眼科システム10は、従来であれば測定エラーと判定して測定を終了するような場面で補助工程を行うので、被検眼Eの眼屈折力を測定できない場面を大幅に減らすことができる。また、眼科システム10は、解析できなかった測定パターン像Miが写った測定画像Imを用いて補助工程を行うので被検眼Eを改めて測定することはなく、すなわち、被検者の顔(被検眼E)を固定した状態を維持することなく補助工程を行うことができるので、被検者への負担を低減できる。
補助工程は、上記したように解析が出来ない測定パターン像Miを用いているので、測定パターン像Miが解析できた場合と比較して、求めた眼屈折力の信頼性が低いことが考えられる。このため、実施例1の制御部11は、補助工程により被検眼Eの屈折特性を求めると、その屈折特性を示すデータに補助工程で求めたものであることを示すデータを関連付ける。そして、実施例1の制御部11は、補助工程で求めた屈折特性を表示部15に表示させたり印刷したりデータベースに保存したりする際、補助工程で求めたことを示す記号を併せて表示したり色を変化させたり測定値に括弧を付けたりすることで、補助工程で求めた屈折特性であることの認識、すなわち通常の工程で求めた屈折特性との識別を可能とする。
ここで、実施例1では、上記したように3つの粗測定および本測定を行うものであるため、粗測定で測定パターン像Miが解析できない場合には3つの測定画像Imが、本測定で測定パターン像Miが解析できない場合には少なくても2つの測定画像Im、最大で4つの測定画像Imが記憶部17に記憶されている。その複数の測定画像Imは、上記したように測定部12(固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26)の合焦状態がそれぞれ異なるので、そこに写る測定パターン像Miのボケ具合や欠けの程度等が互いに異なっている。このため、実施例1では補助工程の際、複数の測定画像Imの中で測定パターン像Mi(その形状や大きさ)を最も認識し易いものを検者に選択させる選択画面Scを表示部15に表示させる(図4参照)。選択画面Scは、図4に示すように、眼屈折力の測定を開始した後に記憶部17に記憶された複数の測定画像Imの全てを表示するもので、図4の例では最大となる4つの測定画像Imを表示させている(表示工程)。なお、選択画面Sc(表示工程)は、複数の測定画像Imから最も認識し易い測定パターン像Miが写っているものの選択を可能とするものであれば、切り替えを可能としつついずれか1つの測定画像Imを表示するものでもよく、他の構成でもよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、選択画面Scは、いずれか1つの測定画像Imを表示する場合には、表示する測定画像Imを切り替えるための「切替」アイコンを合わせて表示させてもよい。
また、実施例1の選択画面Scは、下方に眼屈折力の測定を終了する旨を入力する「終了」アイコンieを表示させている。この「終了」アイコンieは、選択画面Scに表示された複数の測定画像Imのいずれの測定パターン像Miも検者すなわち人間の目でも認識できない場合にタッチ(操作)される。制御部11は、「終了」アイコンieがタッチされると、測定エラーと判定して、その旨を表示部15に表示させたり音声で伝えたりする。
次に、眼科システム10を用いて、被検眼Eの眼屈折力を測定する一例としての屈折特性測定処理(屈折特性測定方法)について、図5を用いて説明する。この屈折特性測定処理は、記憶部17または内蔵する内部メモリ11aに記憶されたプログラムに基づいて、制御部11が実行する。以下では、この図5のフローチャートの各ステップ(各工程)について説明する。この図5のフローチャートは、眼科システム10が起動されて表示部15が表示され、操作部16で眼屈折力の測定が開始されることにより開始される。このとき、被検者は椅子等に座っており、図示を略す額当部と顎受部14とにより顔が固定されている。
ステップS1では、オートアライメントを実行して、ステップS2へ進む。ステップS1では、上述したように、アライメント光学系24およびアライメント光学系24を用いて、測定部12のオートアライメントを行う。
ステップS2では、オートアライメントが完了したか否かを判断し、YESの場合はステップS3へ進み、NOの場合はステップS1に戻る。ステップS2では、オートアライメントが適切に行われて所定の位置関係となったか否かを判断する。
ステップS3では、合焦位置を0D位置として粗測定を実行して、ステップS4へ進む。ステップS3では、合焦部の移動により固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を0D(ディオプタ)位置とした合焦状態の測定部12(眼屈折力測定系23)で測定パターン像Miを取得し、その測定パターン像Miの解析を行う。このとき、解析した測定パターン像Miが写った測定画像Imと、測定部12の合焦状態(0D位置)と、を記憶部17に記憶させる。
ステップS4では、測定パターン像Miを解析できたか否かを判断し、YESの場合はステップS9へ進み、NOの場合はステップS5へ進む。ステップS4では、ステップS3の粗測定で測定パターン像Miを解析できたか否かを判断する。
ステップS5では、合焦位置を−D位置として粗測定を実行して、ステップS6へ進む。ステップS5では、合焦部の移動により固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を−D位置(−側の所定値のD位置)に移動させた合焦状態の測定部12(眼屈折力測定系23)で測定パターン像Miを取得し、その測定パターン像Miの解析を行う。このとき、解析した測定パターン像Miが写った測定画像Imと、測定部12の合焦状態(−D位置)と、を記憶部17に記憶させる。
ステップS6では、測定パターン像Miを解析できたか否かを判断し、YESの場合はステップS9へ進み、NOの場合はステップS7へ進む。ステップS6では、ステップS5の粗測定で測定パターン像Miを解析できたか否かを判断する。
ステップS7では、合焦位置を+D位置として粗測定を実行して、ステップS8へ進む。ステップS7では、合焦部の移動により固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を+D位置(+側の所定値のD位置)に移動させた合焦状態の測定部12(眼屈折力測定系23)で測定パターン像Miを取得し、その測定パターン像Miの解析を行う。このとき、解析した測定パターン像Miが写った測定画像Imと、測定部12の合焦状態(+D位置)と、を記憶部17に記憶させる。
ステップS8では、測定パターン像Miを解析できたか否かを判断し、YESの場合はステップS9へ進み、NOの場合はステップS13へ進む。ステップS8では、ステップS7の粗測定で測定パターン像Miを解析できたか否かを判断する。
ステップS9では、粗測定での合焦位置として、ステップS10へ進む。ステップS9では、ステップS3、S5、S7のいずれかの粗測定での解析結果に基づいて被検眼Eの合焦位置を求め、合焦部の移動により固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を被検眼Eの合焦位置として、固視投影系22で固視標を固視させる。
ステップS10では、固視投影系22を用いて雲霧を行い、ステップS11へ進む。ステップS10では、被検眼Eに対する合焦位置から少なくとも固視投影系22の合焦部をさらに移動して雲霧状態とする。
ステップS11では、眼屈折力測定系23を用いて本測定を実行して、ステップS12へ進む。ステップS11では、ステップS10の合焦状態の測定投影系25および測定受光系26により取得した画像(測定画像Im)に対して測定パターン像Miの解析を行う。このとき、解析した測定パターン像Miが写った測定画像Imと、測定部12の合焦状態(ステップS10の合焦位置)と、を記憶部17に記憶させる。
ステップS12では、測定パターン像Miを解析できたか否かを判断し、YESの場合はステップS18へ進み、NOの場合はステップS13へ進む。ステップS12では、ステップS11の本測定で測定パターン像Miを解析できたか否かを判断する。
ステップS13では、選択画面Scを表示部15に表示させて、ステップS14へ進む。ステップS13では、ステップS3、S5、S7のいずれの合焦位置での粗測定でも解析ができなかった場合、またはステップS11の合焦位置での本測定で解析ができなかった場合であり、記憶部17に記憶された全ての測定画像Imを表示させた選択画面Scを、表示部15に表示させる。ステップS13では、S3→S4→S9→S10→S11→S12→S13と進んだ場合は、2つの測定画像Imを選択画面Scに表示させる。また、ステップS13では、S3→S4→S5→S6→S7→S8→S13と進んだ場合および、S3→S4→S5→S6→S9→S10→S11→S12→S13と進んだ場合は、3つの測定画像Imを選択画面Scに表示させる。さらに、ステップS13では、S3→S4→S5→S6→S7→S8→S9→S10→S11→S12→S13と進んだ場合は、4つの測定画像Imを選択画面Scに表示させる。
ステップS14では、いずれか1つの測定画像Imが選択されたか否かを判断し、YESの場合はステップS15へ進み、NOの場合はステップS20へ進む。ステップS14では、ステップS13で選択画面Scに表示させた複数の測定画像Imのうちのいずれか1つが選択されるとYESと判断し、「終了」アイコンieが操作されるとNOと判断する。
ステップS15では、指定画面Sdを表示させて、ステップS16へ進む。ステップS15では、ステップS14でいずれか1つの測定画像Imが選択されたので、選択された測定画像Imを表示させた指定画面Sdを表示部15に表示させて、その測定画像Imにおける任意の座標(位置)の指定を可能とする。なお、ステップS15では、文言での表示や音声により、指定画面Sdにおいて表示部15で任意の座標を指定するように促すこととしてもよい。
ステップS16では、座標の指定が終了したか否かを判断し、YESの場合はステップS17へ進み、NOの場合はステップS16を繰り返す。ステップS16では、指定画面Sdにおいて、任意の座標が指定される毎にその位置に指示点19を表示させ、「決定」アイコンidが操作されるとステップS17へ進み、「決定」アイコンidが操作されるまでステップS16を繰り返す。なお、ステップS16は、指示点19(指定された座標)が所定数(実施例1では3つ)となるまで繰り返すものとし、所定数となるとステップS17へ進むものとしてもよい。
ステップS17では、近似パターンApを決定して、ステップS18へ進む。ステップS17では、ステップS16で指定された少なくとも3つの任意の座標(指示点19)を最小二乗法等を用いて楕円に近似して近似パターンApを決定する。
ステップS18では、眼屈折力を算出して、ステップS19へ進む。ステップS18では、ステップS11の本測定で取得した測定パターン像Miの解析の結果またはステップS15で決定した近似パターンApに基づき、それぞれの測定部12の合焦状態を勘案して、眼屈折力としての球面度数、円柱度数、軸角度を周知の手法により算出する。このため、ステップS13からステップS18に至るまでが、補助工程により眼屈折力を求めるものとなる。
ステップS19では、測定値を表示させて、この測定処理を終了する。このステップS19では、ステップS18で測定した両被検眼Eの眼屈折力(球面度数、円柱度数、軸角度)を、表示部15に表示させる。
ステップS20では、測定エラーを報知させて、この測定処理を終了する。このステップS20では、測定エラーすなわち眼屈折力が測定できなかった旨を、表示部15での表示や音声等で報知する。
これにより、眼科システム10は、被検眼Eの眼屈折力を測定することができる。このとき、眼科システム10は、自動で測定パターン像Miを解析できた場合には、そのまま自動で被検眼Eの眼屈折力を測定できるのは、従来の眼科システムと同様である。それに加えて、眼科システム10は、場面に拘わらず自動で測定パターン像Miを解析できない場合には、補助工程の手動での補助動作を行って人間の目で認識した測定パターン像Miに基づいて、測定パターン像Miの形状および大きさの特定を可能としている。このため、眼科システム10は、制御部11が測定パターン像Miを認識できなくても人間の目で測定パターン像Miを認識できれば測定できるので、被検眼Eの眼屈折力を測定できない場面を大幅に減らすことができる。また、眼科システム10は、制御部11が解析できなかった測定パターン像Miが写る測定画像Imを用いて補助工程を行うので、被検者を測定部12の前で束縛する時間を延長することなく被検眼Eの眼屈折力を測定できることとなり、被検者の負担を低減できる。
本開示に係る眼科システムの実施例1の眼科システム10は、以下の各作用効果を得ることができる。
眼科システム10は、制御部11が、2つ以上の異なる合焦状態で取得した測定パターン像Miを解析するとともに解析した測定パターン像Miが写る測定画像Imを記憶させる。そして、眼科システム10は、制御部11が、いずれの測定パターン像Miも解析できない場合、記憶させた全ての測定画像Imを表示部15に表示させ、その中から選択された測定画像Imに写る測定パターン像Miに対して指定された座標に基づいて近似パターンApを決定し、近似パターンApに基づいて被検眼Eの屈折特性を求める補助工程を行う。このため、眼科システム10は、制御部11が、測定パターン像Miを解析できない場合、それに替わり指定された座標を認識して屈折特性を求めるので、制御部11に屈折特性を求めさせることができる。このように、眼科システム10は、制御部11が認識できない測定パターン像Miであっても、人間の目では認識が可能である場合があることを利用することで、屈折特性を求めることのできる場面を増やすことができる。また、眼科システム10は、測定パターン像Miを解析したときに記憶させた測定画像Imを用いて補助工程を行うため、解析できなかった後に改めて被検眼Eを測定することはないので、被検者への負担を低減できる。
眼科システム10は、制御部11が、測定画像Imとともにその測定画像Imを取得したときの測定部12の合焦状態を記憶させ、測定パターン像Miの解析結果と、解析した前記測定パターン像が写る測定画像Imを取得したときの測定部12の合焦状態と、に基づいて被検眼Eの屈折特性を求める。このため、眼科システム10は、補助工程において、適切に被検眼Eの屈折特性を求めることができる。
眼科システム10は、制御部11が、測定パターン像Miを解析して被検眼Eの合焦位置を求める粗測定と、粗測定で求めた合焦位置に基づいて測定部12の合焦状態を設定して得た測定パターン像Miを解析して被検眼Eの屈折特性を求める本測定と、を行い、粗測定および本測定で測定画像Imを記憶させる。このため、眼科システム10は、より適切に被検眼Eの屈折特性を求めることを可能としつつ、粗測定や本測定で測定パターン像Miを解析できない場合でも補助工程により屈折特性を求めることのできる場面を増やすことができる。
眼科システム10は、粗測定が、測定部12において基準位置を合焦位置とする合焦状態で得た測定パターン像Miを解析し、そこで解析できない場合に測定部12において基準位置とは異なる位置を合焦位置とする合焦状態で得た測定パターン像Miを解析して被検眼Eの合焦位置を求めるものとしている。そして、眼科システム10は、制御部11が、それぞれの測定で測定画像Imを記憶させる。このため、眼科システム10は、粗測定において複数の合焦状態で得た測定パターン像Miを解析するので、様々な眼屈折力の被検眼Eに対して粗測定により合焦位置を求めることを可能としつつ、それぞれの測定で測定パターン像Miを解析できない場合でも補助工程により屈折特性を求めることのできる場面を増やすことができる。
眼科システム10は、基準位置を0ディオプタ位置とし、基準位置とは異なる合焦位置を−側と+側との所定値のディオプタ位置としている。このため、眼科システム10は、正常な被検眼Eや少しの近視や遠視の被検眼Eの場合には基準位置で対応でき、強度の近視の被検眼Eの場合には−側の所定値のディオプタ位置で対応でき、強度の遠視の被検眼Eの場合には+側の所定値のディオプタ位置で対応でき、粗測定により合焦位置を求めることのできる場面を増やすことができる。そして、眼科システム10は、その他の理由等により測定パターン像Miを解析できない場合でも、補助工程により屈折特性を求めることのできる場面を増やすことができる。
眼科システム10は、制御部11が、補助工程により被検眼Eの屈折特性を求めると、その屈折特性が補助工程で求めたものであることの認識を可能とする。このため、眼科システム10は、通常の工程で求めた屈折特性と補助工程で求めた屈折特性との識別を容易とするので、測定パターン像Miが解析できた場合と比較して、解析が出来ない測定パターン像Miを用いることにより補助工程で求めた眼屈折力の信頼性が低い場合であっても、信頼性の差が問題となることを防止できる。
眼科システム10は、測定パターン像Miをリング状とし、補助工程では少なくとも2つの座標が指定されるものとしている。このため、眼科システム10は、制御部11が、測定パターン像Miを解析できない場合、それに替わり指定された少なくとも2つの座標を認識して屈折特性を求めるので、簡易な作業としつつ測定パターン像Miの解析を適切なものにできる。
眼科システム10は、測定部12が、眼底Efに測定光束を投影する測定投影系25と、眼底Efで反射された測定光束を測定パターン像Miとして取得する測定受光系26と、を有し、測定部12の合焦状態を変化させる際に少なくとも測定受光系26の光学素子を光軸上で移動せる。このため、眼科システム10は、測定光束が投影された眼底Efに合焦位置を合わせて測定パターン像Miを取得できるので、解析をし易いものとして測定パターン像Miを取得できる。実施例1の眼科システム10は、測定投影系25の合焦位置も一緒に変化させているので、より解析をし易いものとして測定パターン像Miを取得できる。
したがって、本開示に係る眼科システムの一実施例としての眼科システム10では、制御部11による測定パターン像Miの解析を補助することができる。
以上、本開示の眼科システムを実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、上記した構成の測定部12を用いている。しかしながら、本開示の測定部は、被検眼Eの眼底Efに測定光束を投影し、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)を測定パターン像Miとして取得することで、被検眼Eの眼屈折力の測定を可能とするものであれば適用することができ、実施例1の構成に限定されない。加えて、測定部12は、上記したように被検眼Eの眼屈折力を測定できるものであれば、他の眼情報を取得する機能を併せ持つものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
また、実施例1では、測定部12が片眼視の状態で被検眼Eの眼屈折力を測定するものとされている。しかしながら、本開示の眼科システムは、測定部12が対を為して設けられて、両眼視の状態で被検眼Eの眼屈折力の測定を行うことができるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
さらに、実施例1では、取得する測定パターン像Miをリング状としている。しかしながら、眼底Efで反射された測定光束(その反射光束)が測定パターン像Miとして取得するものであって、その測定パターン像Miを解析することで被検眼Eの眼屈折力を求めることができるものであれば、測定パターン像Miの形状は矩形状や他の形状でもよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、3つの粗測定および本測定において固視投影系22、測定投影系25および測定受光系26の合焦位置を変化させている。しかしながら、各粗測定および本測定において、少なくとも測定受光系26の合焦位置を変化させて測定光束が投影された眼底Efに合焦させて測定パターン像Miを取得するものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、補助工程において指定画面Sdを用いているが、測定パターン像Miが表示された表示部15上で少なくとも2つの座標を指定させるものであればよく、実施例1の構成に限定されない。
実施例1では、一体的に設けた制御部11で補助工程を行うものとしている。しかしながら、補助工程は、制御部11が解析できなかった測定パターン像Miが写る測定画像Imを用いて行うため、測定部12等を制御する制御部11とは別に設けた制御部で行うものとしてもよい。この別の制御部としては、例えば、制御部11に接続された外部のパソコンやタブレットを用いることができる。この場合、別の制御部は、制御部11や測定部12等とともに、眼科システム10を構成することとなる。換言すると、眼科システム10は、制御部11や測定部12が別々に構成されていてもよく、上記したように制御部11が測定部12等を統括的に制御するものと補助工程を行うものとの2つで構成されていてもよく、実施例1の構成に限定されない。ここで、上記したように測定部12等を制御する制御部11とは別の制御部で補助工程を行うものとすると、外部の別の制御部が、従来の検眼装置から補助工程に必要な各測定画像Imおよび対応する測定部12の合焦状態(そのデータ)を抽出するものとすれば、本開示の眼科システム10を構成することができる。このため、従来の検眼装置を用いて本開示の眼科システム10を構成することができるので、従来の検眼装置を有効利用しつつ、補助工程を行うことができる。
実施例1では、測定パターン像Miが表示された表示部15上での少なくとも2つの座標の指定(指定画面Sdの操作)や、複数の測定画像Imの中で測定パターン像Mi(その形状や大きさ)を最も認識し易いものの選択(選択画面Scの操作)を、検者が行っている。しかしながら、被検眼Eの関屈折力を測定する測定者であれば、被検者自身が行ってもよく、他の者が行ってもよく、実施例1の構成に限定されない。
10 眼科システム 11 制御部 12 測定部 15 表示部 25 測定投影系 26 測定受光系 E 被検眼 Ef 眼底 Ap 近似パターン Mi 測定パターン像 Im 測定画像
Claims (9)
- 被検眼の眼底に測定光束を投影し、前記眼底で反射された測定光束を測定パターン像として取得する測定部と、
前記測定パターン像を解析し、その解析結果に基づいて前記被検眼の屈折特性を求める制御部と、
前記制御部の制御下で前記測定パターン像を表示する表示部と、を備え、
前記測定部は、前記被検眼に応じて合焦状態を変更可能とされ、
前記制御部は、2つ以上の異なる合焦状態で取得した前記測定パターン像を解析するとともに解析した前記測定パターン像が写る測定画像を記憶させ、
いずれの前記測定パターン像も解析できない場合、記憶させた全ての前記測定画像を前記表示部に表示させ、その中から選択された前記測定画像に写る前記測定パターン像に対して指定された座標に基づいて近似パターンを決定し、前記近似パターンに基づいて前記被検眼の屈折特性を求める補助工程を行うことを特徴とする眼科システム。 - 前記制御部は、前記測定画像とともにその前記測定画像を取得したときの前記測定部の合焦状態を記憶させ、
前記測定パターン像の解析結果と、解析した前記測定パターン像が写る前記測定画像を取得したときの前記測定部の合焦状態と、に基づいて前記被検眼の屈折特性を求めることを特徴とする請求項1に記載の眼科システム。 - 前記制御部は、前記測定パターン像を解析して前記被検眼の合焦位置を求める粗測定と、前記粗測定で求めた合焦位置に基づいて前記測定部の合焦状態を設定して得た前記測定パターン像を解析して前記被検眼の屈折特性を求める本測定と、を行い、前記粗測定および前記本測定で前記測定画像を記憶させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼科システム。
- 前記粗測定は、前記測定部において基準位置を合焦位置とする合焦状態で得た前記測定パターン像を解析し、そこで解析できない場合に前記測定部において前記基準位置とは異なる位置を合焦位置とする合焦状態で得た前記測定パターン像を解析して、前記被検眼の合焦位置を求め、
前記制御部は、それぞれの測定で前記測定画像を記憶させることを特徴とする請求項3に記載の眼科システム。 - 前記基準位置は、0ディオプタ位置とし、
前記基準位置とは異なる合焦位置は、−側と+側との所定値のディオプタ位置とすることを特徴とする請求項4に記載の眼科システム。 - 前記制御部は、前記補助工程により前記被検眼の屈折特性を求めると、その屈折特性が前記補助工程で求めたものであることの認識を可能とすることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の眼科システム。
- 前記測定パターン像は、リング状とし、
前記補助工程では、少なくとも2つの座標が指定されることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の眼科システム。 - 前記測定部は、前記眼底に測定光束を投影する測定投影系と、前記眼底で反射された測定光束を前記測定パターン像として取得する測定受光系と、を有し、前記測定部の合焦状態を変化させる際に少なくとも前記測定受光系の光学素子を光軸上で移動させることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の眼科システム。
- 被検眼の眼底に測定光束を投影し、前記眼底で反射された測定光束を測定パターン像として取得する測定部と、
前記測定パターン像を表示する表示部と、を用いるとともに、前記測定パターン像の解析結果に基づいて前記被検眼の屈折特性を求める屈折特性測定方法であって、
前記測定部が、前記被検眼に応じて合焦状態を変更可能とされ、
2つ以上の異なる合焦状態で取得した前記測定パターン像を解析するとともに解析した前記測定パターン像が写る測定画像を記憶する記憶工程と、
いずれの前記測定パターン像も解析できない場合、記憶した全ての前記測定画像を前記表示部に表示させる表示工程と、
前記表示工程で表示させた中から測定者により選択された前記測定画像に写る前記測定パターン像に対して、前記測定者により指定された座標に基づいて近似パターンを決定し、前記近似パターンに基づいて前記被検眼の屈折特性を求める補助工程と、を行うことを特徴とする屈折特性測定方法。
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JP2018182250A JP2020048951A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 眼科システム、屈折特性測定方法 |
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