JP2020046194A - 地図データ更新システム、地図データ更新方法、及び地図データ更新プログラム - Google Patents

地図データ更新システム、地図データ更新方法、及び地図データ更新プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】地図データの更新に要する手間及びコストを少なく抑えながら、地図データの更新に関連する現実の情報の変化を迅速に反映した地図データの更新を行う。【解決手段】車載端末1は、実情報37を取得する実情報取得部11と、実情報37に基づいて差異情報38を生成して配信する差異情報生成部12と、コンピュータネットワークを介して差異情報38を取得する差異情報取得部13と、差異情報38に基づいて更新情報62を生成する更新情報生成部14と、要約値を取得する要約値取得部15と、更新情報62と要約値とを用いて更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成部16と、更新ブロックデータを繋いで地図更新データ61を更新し、更新後の地図更新データ61を配信する地図更新データ配信部17と、地図更新データ61を用いて基本地図データ32を更新する基本地図データ更新部18と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新システム、地図データ更新方法、及び地図データ更新プログラムに関する。
以下、背景技術について説明する。以下の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。かかる地図データ更新システムの従来例が、特開2010−203981号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1の地図データ更新システムでは、車載端末(1)における記憶媒体(17)に地図データが格納されており、車載端末は、他車両に搭載されている車載端末との間で車車間通信が可能な車車間通信部(22)を備えている。そして、地図データにおける地図上の所定のエリアが主要エリアとして設定されている。自車両の車載端末の制御装置(27)は、自車両が保有している主要エリアと他車両が保有している主要エリアとを比較し、自車両の主要エリアに含まれないエリアが他車両の主要エリアに存在していると判断した場合は、車車間通信を行って自車両の主要エリアの地図データを更新する。
特開2010−203981号公報
従来の地図データ更新システムでは、各車載端末は、サーバにより構成されているセンターから最新の地図データを取得している。そのため、センターを設置する必要があることや、センターから配信する最新の地図データをセンター側で常に整備し更新し続ける必要があること等により、手間及びコストが多くかかるものとなっていた。また、センターにおいて地図の更新に関連する実際の道路状況等の現実の情報を収集し、更新した地図データを作成して配信可能とするためにある程度の時間を要するのが一般的である。そのため、従来の地図データ更新システムでは、配信されている最新の地図データであっても、現実の状況に対してある程度の遅れが生じることは避けられなかった。
そこで、地図データの更新に要する手間及びコストを少なく抑えながら、地図データの更新に関連する現実の情報の変化を迅速に反映した地図データの更新を行うことができる技術の実現が望まれる。
上記に鑑みた、地図データ更新システムの特徴構成は、複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新システムであって、複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、前記車載端末は、基本地図データを格納した基本地図データベースと、自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得部と、前記実情報に基づいて前記基本地図データと現実との差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成部と、前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得部と、自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成部と、前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得部と、少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成部と、前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信部と、前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新部と、を備える点にある。
また、上記に鑑みた、地図データ更新システムの技術的特徴は、地図データ更新方法や地図データ更新プログラムにも適用可能であり、そのような方法やプログラム、更には、そのようなプログラムが記憶された記憶媒体(例えば、光ディスク、フラッシュメモリ等)も、本明細書によって開示される。
その場合における、地図データ更新方法の特徴構成は、複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新方法であって、複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、前記車載端末に、自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得ステップと、前記実情報に基づいて基本地図データベースに格納された基本地図データと現実との差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成ステップと、前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得ステップと、自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成ステップと、前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得ステップと、少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成ステップと、前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信ステップと、前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新ステップと、を実行させる点にある。
また、その場合における、地図データ更新プログラムの特徴構成は、複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新プログラムであって、複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、前記車載端末に、自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得機能と、前記実情報に基づいて、現実と基本地図データベースに格納された基本地図データとの差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成機能と、前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得機能と、自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成機能と、前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得機能と、少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成機能と、前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信機能と、前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新機能と、を実現させる点にある。
これらの特徴構成によれば、例えば新たな道路が建設される等によって地図データに対応する現実の状況が変化した場合に、当該変化した場所の周辺を車両が走行することで、車載端末は、当該変化した場所において自車の周辺における現実の情報(新たな道路の情報等)を、自車の位置情報と共に取得することができる。そして、車載端末は、取得した情報に基づいて、基本地図データと現実との差異を示す差異情報を生成することができる。同様の機能を備えた車載端末が複数存在することで、各車載端末は、自らが生成した差異情報に加えて、他の車載端末が生成した差異情報を取得でき、これらの差異情報に基づいて、更新情報を生成することができる。
そして、車載端末は、更新情報を生成した場合に、ブロックチェーンデータである地図更新データの最終ブロックのデータを用いて要約値を作成し、要約値と更新情報とに基づいて更新ブロックデータを生成し、この更新ブロックデータを地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで地図更新データを更新する。このように更新された地図更新データはコンピュータネットワークに配信される。これにより、コンピュータネットワークに接続された全ての車載端末が、更新された最新の地図更新データを共有することができる。
このように、本構成によれば、コンピュータネットワークに接続された全ての車載端末が、地図データの更新に関する情報を収集し、更新情報を生成し、その更新情報を地図更新データに随時追加して共有することができる。従って、地図データの更新に関連する現実の情報の変化を適切に収集して地図更新データに迅速に反映することができる。また、このように共有される地図更新データが、改ざんが困難なブロックチェーンデータとされているため、サーバ等を設けて管理者が一元管理しなくてもデータの安全性を確保できる。従って、地図データの更新に要する手間及びコストを少なく抑えることができる。
地図データ更新システム、地図データ更新方法、及び地図データ更新プログラムのさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の実施形態の説明によってより明確となる。
車載端末の機能的な構成を模式的に示したブロック図 コンピュータネットワークの模式図 コンピュータネットワークが行政区画単位で分割されていることを示す模式図 道路ネットワークデータを含む基本地図データの構成の例を示す図 基本地図データに含まれる道路と含まれない道路とを示す図 更新する前の基本地図データの構成の例を示す図 更新した後の基本地図データの構成の例を示す図 ブロックチェーンデータにより構成される地図更新データの模式図 自動更新処理の処理手順を示すフローチャート
1.実施形態
地図データ更新システムの実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本実施形態に係る地図データ更新システムを、複数の車両2の夫々が備える車載端末1が備える地図データを地図更新データ61により更新するシステムとしている。複数の車載端末1は、コンピュータネットワークWにより互いに通信接続されていると共に、地図更新データ61を、コンピュータネットワークW上のブロックチェーンデータとして共有するように構成されている。そして、複数の車載端末1は、基本地図データ32を格納した基本地図データベース31を備えている。尚、本実施形態では、車載端末1は、当該車載端末1が搭載された車両2である自車2Aの運転者に対する経路案内等を行うナビゲーション装置として構成されている。なお、車載端末1は、地図データを用いる端末装置であればよく、ナビゲーション装置以外にも、例えば車両2の自動運転システムの制御装置等であっても良い。
1−1.車載端末の構成
まず、車載端末1の構成について説明する。図1に示す車載端末1の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、車載端末1は、送受信部6と、自車位置情報取得部7と、画像情報取得部8と、画像認識部9と、ナビゲーション用演算部10と、を機能部として備えている。更に、車載端末1は、地図更新のための機能部として、実情報取得部11と、差異情報生成部12と、差異情報取得部13と、更新情報生成部14と、要約値取得部15と、更新ブロック生成部16と、地図更新データ配信部17と、基本地図データ更新部18と、交通情報生成部19と、交通情報取得部20と、配信用交通情報生成部21と、端末決定部22と、ポイント付与部23と、最新情報取得部24と、移動後情報取得部25と、地図更新データ取得部26と、を機能部として備えている。
これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、車載端末1に備えられている基本地図データベース31等の記憶部は、例えばハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−RAMを備えたDVDドライブ等の情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係る車載端末1の各部の構成について詳細に説明する。
1−2.基本地図データベース
基本地図データベース31は、基本地図データ32が格納されたデータベースである。基本地図データ32は、例えば図4に示すように、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードNと、交差点間を接続する道路に対応する複数のリンクKとの接続関係により道路を表す道路ネットワークデータ33を含んでいる。各ノードNは、図4に示すように、緯度及び経度で表現された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクKは、ノードNを介して接続されている。また、各リンクKは、その属性情報として、道路種別、地域種別、リンク長、道路幅、形状補間点、当該リンクK上における交通規制等の情報を有している。また、基本地図データ32には、この他にも、道路上や道路周辺に設けられた各種の地物の情報、すなわち地物データ34が含まれる。この地物データ34には、例えば道路の路面に設けられた道路標示(ペイント標示)、横断歩道、停止線、最高速度等を表す速度標示、ゼブラゾーン、道路に沿って車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の各種区画線を含む。)、各車線の進行方向を指定する進行方向別通行区分標示(矢印標示、例えば、直進矢印、右折矢印等を含む)等が含まれる。
1−3.地図更新データ
地図更新データ61は、車載端末1に備えられたメモリ36に記憶されている。メモリ36は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。図8に示すように、地図更新データ61は、更新情報62及び要約値65を含むブロック66を時系列順に複数繋げたブロックチェーンデータである。本実施形態では、地図更新データ61の各ブロック66には、これらに加えて、配信用交通情報63及びポイント情報64も含まれている。この地図更新データ61を構成するブロックチェーンデータにおける、時系列的に最も遅いブロック66を最終ブロック66Aとしている。そして、この地図更新データ61は、コンピュータネットワークW上のブロックチェーンデータとして、当該コンピュータネットワークWに接続された全ての車載端末1と共有される。ここで、ブロックチェーンの方式としては、公知の各種方式の中から選択して用いることができる。なお、図1に示すように、メモリ36には、地図更新データ61に加えて、地図更新データ61に含まれる前の更新情報62、及び配信用交通情報63、並びに、後述する実情報37、差異情報38、及び交通情報39が記憶されている。
1−4.送受信部
図1及び図2に示すように、送受信部6は、無線基地局AP等を介して他の車両2(以下、他車2Bと称する)の車載端末1との間でコンピュータネットワークWによりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このようなコンピュータネットワークWとしては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。また、このようなコンピュータネットワークWは、各車載端末1がデータを格納し、他の車載端末1に対して対等にデータの配信および要求を行うP2P(Peer To Peer)通信を用いることができる。また、本実施形態では、送受信部6は、無線基地局AP等を介することなく、他車2Bの車両端末1との間で直接にデータの送受信を行うことが可能となっている。そのため、本実施形態においては、自車2Aの車載端末1が更新した地図更新データ61は自車2Aの車載端末1に格納されると共に、コンピュータネットワークWを介して、又は、コンピュータネットワークWを介さずに直接に、他車2Bにも配信される。従って、各車載端末1は、他車2Bの車載端末1において地図更新データ61が更新された場合には、当該更新後の地図更新データ61を、コンピュータネットワークWを介して、又は、コンピュータネットワークWを介さずに直接に、他車2Bから取得する。以下では、送受信部6が、無線基地局APを介して他車2Bの車載端末1との間でコンピュータネットワークWによりデータの送受信を行う場合を例に説明する。
図3に示すように、コンピュータネットワークWは、複数の区画単位で分割されている。本実施形態では、コンピュータネットワークWは、行政区画単位で分割されている。つまり、本実施形態では、1つの区画単位が、現実の行政区画(例えば、国、州、県、郡、市等)に対応するように設定されている。図3においては、第1行政区画A1、第2行政区画A2、第3行政区画A3の3つの行政区画Aのそれぞれに、コンピュータネットワークWが構築されている例を模式的に図示している。各行政区画では、当該行政区画内に存在する複数の車載端末1が互いに通信接続されてコンピュータネットワークWを構成する。基本的には、行政区画内に存在する、電源が入っている全ての車載端末1により、1つのコンピュータネットワークWが構成される。
1−5.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部7は、自車2Aの現在位置を示す自車位置情報を取得する機能部である。ここでは、自車位置情報取得部7は、GPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43に接続されている。ここで、GPS受信機41は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部7へ出力される。自車位置情報取得部7では、GPS受信機41で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、現在の自車位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ42は、自車2Aの進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ42は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ42は、その検出結果を自車位置情報取得部7へ出力する。距離センサ43は、自車2Aの車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ43は、例えば、車両2のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車2Aの加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ43は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部7へ出力する。
自車位置情報取得部7は、これらのGPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部7は、地図データに基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を地図データに示される道路上に合わせる補正も行う。本実施形態では、自車位置情報取得部7は、後述する更新地図データ72を用いてマップマッチング処理を行う。このようなマップマッチング処理による自車位置情報の補正結果は自車位置情報に反映される。このようにして、自車位置情報取得部7は、座標(緯度及び経度)で表された現在の自車位置及びその進行方位の情報を含む自車位置情報を取得する。
1−6.画像情報取得部
画像情報取得部8は、撮像装置51により撮像した車両2の周辺の画像情報Gを取得する機能部である。ここで、撮像装置51は、撮像素子を備えた車載カメラ等であって、少なくとも車両2の周辺の道路の路面を撮像可能な位置に設けられている。本実施形態では、更に、撮像装置51は、自車2Aの周辺の建築物、道路標識、道路構造(縁石、分離帯、側道、立体交差等)等の各種地物や、車両2の周辺の他車両等も撮像可能に構成されている。このような撮像装置51としては、例えば、車両2の前方を撮像するカメラを用いると好適である。画像情報取得部8は、撮像装置51により撮像した撮像情報を、フレームメモリ(不図示)などを介して所定の時間間隔で取り込む。ここで取得された画像情報Gは、画像認識部9へ出力される。
1−7.画像認識部
画像認識部9は、画像情報取得部8で取得された画像情報Gに含まれる認識対象物の画像認識処理を行う機能部である。ここで、認識対象物には、道路形状(道路の幅方向両側の外縁形状)、道路の路面に設けられた各種の道路標示(横断歩道、停止線、速度標示等)、道路周辺の建築物、道路標識、他車両等が含まれる。画像認識部9は、認識対象物の画像認識に際しては、画像情報Gに対して二値化処理やエッジ検出処理等を行い、当該画像情報Gに含まれている各種認識対象物の輪郭情報を抽出する。その後、画像認識部9は、抽出された認識対象物の輪郭情報と、認識対象物の形態の特徴量とのパターンマッチング等を用いて、画像情報Gに含まれる認識対象物を画像認識する。
1−8.その他の周辺情報取得部
周辺検知センサ44は、自車2Aの周辺の状況を検知するためのセンサである。ここでは、周辺検知センサ44は、自車2Aの周辺に存在する他車両、縁石、ガードレール等の各種障害物の相対位置を検知する。この周辺検知センサ44としては、例えば、ミリ波レーダーや超音波センサ等が用いられる。
交通情報受信部47は、光ビーコンや電波等を用いて、地上設備から発信されている各種の交通情報を受信する受信部である。例えば、道路交通情報通信システム(Vehicle Information and Communication System:VICS(登録商標))の受信機を含んで構成される。また、これに限らず、各種の渋滞情報、通行規制情報、事故情報等の受信装置を含む。
1−9.実情報取得部
実情報取得部11は、自車位置情報及び自車2Aの周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報37を取得する機能部である。本実施形態では、自車2Aの周辺における現実の情報である周辺情報として、画像認識部9により認識された認識対象物の情報、周辺検知センサ44により検知された周辺の障害物の情報を取得する。また、自車位置情報は、自車位置情報取得部7が取得している。実情報取得部11は、これらの情報を実情報37として取得する。つまり、本実施形態では、自車位置情報取得部7及び画像認識部9が、実情報取得部11として機能する。また、実情報取得部11により実行される処理が「実情報取得ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「実情報取得機能」に相当する。
1−10.差異情報生成部
差異情報生成部12は、実情報37に基づいて基本地図データ32と現実との差異を示す差異情報38を生成してコンピュータネットワークWに配信する機能部である。そのため、差異情報生成部12は、実情報37から基本地図データ32に含まれている内容に対応する内容の情報を抽出する。具体的には、差異情報生成部12は、自車位置情報取得部7が取得した自車位置情報、画像認識部9が認識した道路形状、周辺検知センサ44が検知した縁石やガードレール等の情報などを用いて、自車2Aが走行した道路の位置及び形状の情報(以下「抽出道路情報」という)を抽出する。また、差異情報生成部12は、必要に応じて、画像認識部9が認識した道路標示、建築物、道路標識等の各種の地物の情報(以下「抽出地物情報」という)を抽出する。そして、差異情報生成部12は、これらの抽出道路情報及び抽出地物情報と、基本地図データベース31に記憶された基本地図データ32と、を比較し、現実の道路や地物の状態と基本地図データ32に示される道路や地物の情報との差異を抽出し、その差異を示す情報を差異情報38として生成する。
例えば、自車2Aが、基本地図データ32に含まれていない新設道路を走行した場合、自車位置は基本地図データ32に含まれる道路上以外の場所を移動することになるが、画像認識部9等の認識結果からは道路上を走行していることを示す情報が得られることになる。このような場合、差異情報生成部12は、抽出道路情報と基本地図データ32とを比較することで、新設道路の位置及び形状等の情報を差異情報38として生成することができる。また、その際に抽出した抽出地物情報に基づいて、新設道路の道路上及び周囲の各種地物の情報も差異情報38として生成することができる。或いは、自車2Aが、基本地図データ32に含まれている既設道路を走行した場合であっても、当該既設道路の道路上又は周囲の地物が基本地図データ32の内容から変化している場合には、抽出地物情報と基本地図データ32とを比較することで、変化した地物の位置及び形状等の情報を差異情報38として生成することができる。差異情報生成部12は、このように生成した差異情報38をコンピュータネットワークWに配信する。
差異情報生成部12による処理の一例について説明する。図5には、現実の道路の概略図の一例を示している。図5において、実線で示している第1道路W1及び第2道路W2は、基本地図データ32に含まれている既設道路であり、仮想線で示している第3道路W3は、基本地図データ32に含まれていない新設道路である。図5に示す矢印C1からC3は、車両2の走行軌跡を示している。例えば複数の車両2が矢印C1からC3に示すように走行した場合、各車両2の車載端末1が、第3道路W3を走行した際の実情報37を取得することになる。よって、各車両2の車載端末1の差異情報生成部12は、当該実情報37に基づいて、第3道路W3が存在しない基本地図データ32と第3道路W3が存在する現実との差異を抽出することができ、この差異を示す情報を差異情報38として生成し、配信する。本実施形態では、差異情報生成部12により実行される処理が「差異情報生成ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「差異情報生成機能」に相当する。
1−11.差異情報取得部
差異情報取得部13は、コンピュータネットワークWを介して他の車載端末1から差異情報38を取得する機能部である。差異情報取得部13は、自車2Aと同じ行政区画Aにある他の車載端末1から配信される差異情報38を受信して取得する。つまり、差異情報取得部13は、車載端末1の電源が入っている状態の間、同じコンピュータネットワークWに接続された他の全ての車載端末1から配信される差異情報38を取得する。更に、本実施形態では、差異情報取得部13は、車載端末1の電源が入れられた場合には、電源が入っていなかった期間にコンピュータネットワークWに配信された差異情報38を他の車載端末1から取得する処理を行う。また、自車位置情報に示される自車2Aの位置が異なる行政区画Aに移動したためにこれまでと異なる新たなコンピュータネットワークWに接続された場合には、当該新たなコンピュータネットワークWに接続されている他の車載端末1から、当該車載端末1が保有している差異情報38を取得する処理を行う。この差異情報取得部13の処理により、同じコンピュータネットワークWに接続された電源が入っている全ての車載端末1が、同じ差異情報38を保有している状態が実現される。本実施形態では、差異情報取得部13により実行される処理が「差異情報取得ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「差異情報取得機能」に相当する。
1−12.更新情報生成部
更新情報生成部14は、自ら及び他の車載端末1から取得した差異情報38に基づいて、基本地図データ32の更新内容を示す更新情報62を生成する機能部である。ここで、更新情報生成部14は、規定の更新条件を満たす場合に、取得した差異情報38に基づいて更新情報62を生成する。本実施形態では、更新情報生成部14は、同じ内容を示す複数の差異情報38がある場合に、当該差異情報38が示す差異を更新内容として更新情報62を生成する。複数の差異情報38が、自車2A又は他の車両2の車載端末1により生成された場合には、その差異情報38が示す内容は正しいものと推定できるからである。そこで、更新情報生成部14は、同内容と判定される差異情報38を設定数(例えば3つ)取得した場合に、当該差異情報38が示す差異を更新内容として更新情報62を生成する。ここで、複数の差異情報38が互いに同内容か否かは、差異情報38の内容の一致度に基づいて判定する。すなわち、一致度が規定のしきい値以上である場合には、同内容の差異情報38であると判定する。例えば、図5に示すように、現実に新設道路である第3道路W3が存在し、この第3道路W3を複数の車両2が走行した場合、同じ位置及び形状の道路を示す複数の差異情報38がコンピュータネットワークWに配信されることになる。これにより、当該コンピュータネットワークWに接続された各車載端末1が、第3道路W3を示す同内容の複数の差異情報38を取得する。従って、各車載端末1の更新情報生成部14は、当該差異情報38が示す差異を更新内容として更新情報62を生成する。これに対して、同じ内容と判定される差異情報38がある場合であっても、設定数より少ない場合には更新情報62を生成しない。本実施形態では、更新情報生成部14により実行される処理が「更新情報生成ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「更新情報生成機能」に相当する。
1−13.交通情報生成部
交通情報生成部19は、実情報37に基づいて現実の交通状況を示す交通情報39を生成してコンピュータネットワークWに配信する機能部である。ここで、交通情報39としては、車両2の走行に影響を与える各種の情報が含まれ、例えば、通行規制(通行止め、車線規制、道路の陥没や崩落等を含む)、渋滞、事故、停止車両等の情報が含まれる。そこで、本実施形態では、交通情報生成部19は、実情報37としての、交通情報受信部47が受信した各種の渋滞情報、通行規制情報、事故情報等や、画像認識部9や周辺検知センサ44が認識した他車両は道路状態(例えば、路面の状態、道路の陥没や崩落等)の情報等を用いて、交通情報39を生成する。
1−14.交通情報取得部
交通情報取得部20は、コンピュータネットワークWを介して他の車載端末1から交通情報39を取得する機能部である。交通情報取得部20は、自車2Aと同じ行政区画Aにある他の車載端末1から配信される交通情報39を受信して取得する。つまり、交通情報取得部20は、車載端末1の電源が入っている状態の間、同じコンピュータネットワークWに接続された他の全ての車載端末1から配信される交通情報39を取得する。更に、本実施形態では、交通情報取得部20は、車載端末1の電源が入れられた場合には、電源が入っていなかった期間にコンピュータネットワークWに配信された交通情報39を他の車載端末1から取得する処理を行う。また、自車位置情報に示される自車2Aの位置が異なる行政区画Aに移動したためにこれまでと異なる新たなコンピュータネットワークWに接続された場合には、当該新たなコンピュータネットワークWに接続されている他の車載端末1から、当該車載端末1が保有している交通情報39を取得する処理を行う。この交通情報取得部20の処理により、同じコンピュータネットワークWに接続された電源が入っている全ての車載端末1が、同じ交通情報39を保有している状態が実現される。
1−15.配信用交通情報生成部
配信用交通情報生成部21は、自ら及び他の車載端末1から取得した交通情報39に基づいて、配信用交通情報63を生成する機能部である。本実施形態では、配信用交通情報生成部21は、同じ内容を示す複数の交通情報39がある場合に、当該交通情報39が示す差異を更新内容として配信用交通情報63を生成する。複数の交通情報39が、自車2A又は他の車両2の車載端末1により生成された場合には、その交通情報39が示す内容は正しいものと推定できるからである。そこで、配信用交通情報生成部21は、同内容と判定される交通情報39を設定数(例えば3つ)取得した場合に、当該交通情報39が示す差異を更新内容として配信用交通情報63を生成する。ここで、複数の交通情報39が互いに同内容か否かは、交通情報39の内容の一致度に基づいて判定する。すなわち、一致度が規定のしきい値以上である場合には、同内容の交通情報39であると判定する。例えば、複数の車両2が同じ道路の同じ地点でUターンした場合には、その地点に通行止めや道路の陥没等の車両2が通行できない状況が生じていると考えられる。このような場合には、複数の車載端末1から、当該地点を通行できないことを示す交通情報39がコンピュータネットワークWに配信されることになる。これにより、当該コンピュータネットワークWに接続された各車載端末1が、同内容の複数の交通情報39を取得する。従って、各車載端末1の配信用交通情報生成部21は、当該交通情報39が示す差異を更新内容として配信用交通情報63を生成する。
また、本実施形態では、配信用交通情報63には、地図更新データ61に既に組み込まれた配信用交通情報63が示す内容を無効にする情報も含まれる。つまり、ある地点についての通行規制、渋滞、事故、停止車両等の交通状況を示す交通情報39が配信用交通情報63として、後述するように、既に地図更新データ61に組み込まれている場合において、その地点において生じていた交通状況が解消或いは変化した場合には、配信用交通情報生成部21は、当該交通状況に係る配信用交通情報63が示す内容を無効にする情報を、配信用交通情報63として生成する。これにより、地図更新データ61に既に組み込まれた配信用交通情報63を無効にする情報がブロックチェーンデータである地図更新データ61に組み込まれる。従って、ある交通状況が解消或いは変化した場合に、当該解消或いは変化を地図更新データ61に反映させることができる。後述するように、地図更新データ61はブロックチェーンデータとされているため、一旦組み込まれた情報を変更することはできない。しかし、この構成によれば、既に組み込まれた配信用交通情報63を実質的に無効にすることができる。
1−16.端末決定部
端末決定部22は、更新ブロックデータ67を生成する前に、当該更新ブロックデータ67に含まれることになる1つ以上の更新情報62の生成に寄与した複数の車載端末1の中から、規定の条件に従って1つの車載端末1を選択車載端末1Aとして決定する機能部である。なお、更新ブロックデータ67の生成については後述する。本実施形態では、更新ブロックデータ67の生成に対する寄与度が最も高い車載端末1が選択車載端末1Aとして選択されるように規定条件を設定している。ここでは、更新ブロックデータ67に含まれることになる更新情報62の元となる複数の同内容の差異情報38の内、最も早く配信された差異情報38を取得した車載端末1を、選択車載端末1Aとする。例えば、図5に示すように、第1軌跡C1を走行する車両2、第2軌跡C2を走行する車両2、第3軌跡C3を走行する車両2の順で第3道路W3を走行した場合、端末決定部22は、最も早く第3道路W3を走行し、その差異情報38を最初に配信した第1軌跡C1の車両2の車載端末1を、選択車載端末1Aとする。このように選択車載端末1Aとして選択された車載端末1では、更新ブロックデータ67を生成し、地図更新データ61を更新して配信するための処理が実行される。具体的には、選択車載端末1Aでは、後述するように、要約値取得部15、更新ブロック生成部16、及び地図更新データ配信部17による処理が実行される。
1−17.ポイント付与部
ポイント付与部23は、選択車載端末1Aにポイントを付与する機能部である。ポイント付与部23は、更新ブロックデータ67を生成した場合に、その更新ブロックデータ67に対して選択された選択車載端末1Aに対してポイントを付与する。例えば、ポイント付与部23は、更新ブロックデータ67を1回生成する毎に、規定数のポイントを、当該更新ブロックデータ67を生成した車載端末1のポイントとして付与する。このポイントは、例えば、駐車場の駐車料金に充当したり、物品の購入やサービスの利用に用いたりできるようなポイントシステムと連携したものにすると好適である。
1−18.要約値取得部
要約値取得部15は、地図更新データ61の最終ブロック66Aのデータを用いて生成される要約値65を取得する機能部である。上記のとおり、要約値取得部15の処理は、選択車載端末1Aにおいて実行される。要約値取得部15は、コンピュータネットワークWに配信されている最新の地図更新データ61を用い、当該地図更新データ61の最終ブロック66Aを用いて要約値65を取得する。本実施形態では、要約値取得部15は、ハッシュ関数を用いて、地図更新データ61の最終ブロック66Aのデータのハッシュ値を演算し、当該ハッシュ値を要約値65として取得する。つまり、本例では、図8に示すように、要約値取得部15は、最終ブロック66Aに含まれる更新情報62、配信用交通情報63、ポイント情報64、及び要約値65に基づいて演算したハッシュ値を新たな要約値65として取得する。本実施形態では、要約値取得部15により実行される処理が「要約値取得ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「要約値取得機能」に相当する。
1−19.更新ブロック生成部
更新ブロック生成部16は、少なくとも1つの更新情報62と要約値65とを用いて新たなブロックデータである更新ブロックデータ67を生成する機能部である。上記のとおり、更新ブロック生成部16の処理は、選択車載端末1Aにおいて実行される。本実施形態では、更新ブロック生成部16は、少なくとも1つの更新情報62と要約値65とに加えて、配信用交通情報63及びポイント情報64も用いて更新ブロックデータ67を生成する。ここで、更新ブロックデータ67は、地図更新データ61を構成するブロックチェーンデータに合わせた形式のデータとして生成される。本実施形態では、更新ブロック生成部16により実行される処理が「更新ブロック生成ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「更新ブロック生成機能」に相当する。
1−20.地図更新データ配信部
地図更新データ配信部17は、更新ブロック生成部16により生成した更新ブロックデータ67を地図更新データ61の新たな最終ブロック66Aとして繋いで地図更新データ61を更新し、更新後の地図更新データ61をコンピュータネットワークWに配信する機能部である。すなわち、地図更新データ配信部17は、コンピュータネットワークWに配信されている最新の地図更新データ61を取得し、上記のように生成した更新ブロックデータ67を当該地図更新データ61の現在の最終ブロック66Aの後に、新たな最終ブロック66Aとして繋ぐことで、地図更新データ61を更新する。その後、地図更新データ配信部17は、更新後の地図更新データ61をコンピュータネットワークWを介して、当該コンピュータネットワークWに接続された全ての車載端末1に配信する。上記のとおり、地図更新データ配信部17の処理は、選択車載端末1Aにおいて実行される。本実施形態では、地図更新データ配信部17により実行される処理が「地図更新データ配信ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「地図更新データ配信機能」に相当する。
1−21.地図更新データ取得部
地図更新データ取得部26は、コンピュータネットワークWを介して選択車載端末1Aから配信される更新後の地図更新データ61を取得する機能部である。すなわち、選択車載端末1A以外の車載端末1は、選択車載端末1Aから配信された更新後の地図更新データ61を受信して取得する。言い換えると、各車載端末1は、当該車載端末1の電源が入っている状態の間、同じコンピュータネットワークWに接続された選択車載端末1Aから配信される更新後の地図更新データ61を取得する。更に、本実施形態では、各車載端末1は、当該車載端末1の電源が入れられた場合には、その時点での最新の地図更新データ61をコンピュータネットワークW上の他の車載端末1から取得する処理を行う。また、自車位置情報に示される自車2Aの位置が異なる行政区画Aに移動したためにこれまでと異なる新たなコンピュータネットワークWに接続された場合には、当該新たなコンピュータネットワークWに接続されている他の車載端末1から、当該車載端末1が保有している最新の地図更新データ61を取得する処理を行う。これにより、同じコンピュータネットワークWに接続された電源が入っている全ての車載端末1が、同じ最新の地図更新データ61を保有している状態が実現される。
1−22.最新情報取得部、移動後情報取得部
最新情報取得部24は、車載端末1の電源が入れられた後、コンピュータネットワークWから最新の地図更新データ61及び差異情報38を取得する機能部である。本実施形態では、最新情報取得部24は、更に、車載端末1の電源が入れられた後、コンピュータネットワークWから最新の交通情報39も取得する。また、移動後情報取得部25は、位置情報に示される自車2Aの位置が異なる行政区画Aに移動した場合に、移動後の行政区画Aに対応するコンピュータネットワークWに接続し、当該コンピュータネットワークWから最新の地図更新データ61及び差異情報38を取得する機能部である。本実施形態では、移動後情報取得部25は、更に、自車2Aの位置が異なる行政区画Aに移動した場合、移動後のコンピュータネットワークWから最新の交通情報39も取得する。上記のとおり、本実施形態では、差異情報取得部13、交通情報取得部20、及び、地図更新データ取得部26が、最新情報取得部24及び移動後情報取得部25としても機能している。
1−23.基本地図データ更新部
基本地図データ更新部18は、地図更新データ61を用いて基本地図データ32を更新する機能部である。基本地図データ更新部18は、更新された最新の地図更新データ61を取得した場合に、基本地図データ32に当該地図更新データ61を適用し、更新地図データ72を生成する。上記のとおり、地図更新データ61は、基本地図データ32と現実との差異を示す差異情報38に基づいて生成された、基本地図データ32の更新内容を示す更新情報62を含んでいる。すなわち、地図更新データ61は基本地図データ32に対する差分情報となっているため、この地図更新データ61を基本地図データ32に合成することにより、地図データを最新の状態に更新した更新地図データ72を生成することができる。このようにして基本地図データ更新部18が生成した更新地図データ72は、更新地図データベース71に格納される。なお、更新地図データベース71は、ハードウェア構成としては基本地図データベース31と同じ記録媒体に設けられていても良い。本実施形態では、基本地図データ更新部18により実行される処理が「地図更新データ更新ステップ」に相当し、その処理を実現する機能が「地図更新データ更新機能」に相当する。
基本地図データ更新部18の処理の一例について、図5〜図7を用いて説明する。図6は、図5に対応する基本地図データ32の道路ネットワークデータ33を示しており、図7は、図5に対応する基本地図データ32に地図更新データ61を適用して生成された更新地図データ72の道路ネットワークデータ33を示している。図5に示す例では、更新前の基本地図データ32の道路ネットワークデータ33は、図6に示すように、第1道路W1に対応するリンクKである第1リンクK1と、第2道路W2に対応するリンクKである第2リンクK2とを有している。また、地図更新データ61には、第3道路W3が新設されたことを示す更新情報62が含まれている。この更新情報62は、第3道路W3に対応するリンクKである第3リンクの情報を含んでいる。そして、基本地図データ32に地図更新データ61が適用されて生成された更新地図データ72では、道路ネットワークデータ33には、第3道路W3に対応するリンクKである第3リンク、第1道路W1と第3道路W3とが交わる交差点に対応するノードNである第1ノード、及び、第2道路W2と第3道路W3とが交わる交差点に対応するノードNである第2ノードの情報が付加されたものとなっている。
1−24.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部10は、車載端末1をナビゲーション装置として機能させるための機能部である。従って、ナビゲーション用演算部10は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行する。例えば、ナビゲーション用演算部10は、更新地図データベース71から自車2A周辺の更新地図データ72を取得して表示入力装置45に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報に基づいて自位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部10は、公知の方法により演算されて設定された出発地から目的地までの経路と自車位置情報とに基づいて、表示入力装置45及び音声出力装置46の一方又は双方を用いて進路案内を行う。本実施形態の構成によれば、ナビゲーション用演算部10は、基本地図データ32を地図更新データ61により更新した更新地図データ72に基づいて動作するので、地図データに関連する現実の情報の変化に迅速に対応して、経路案内等を適切に行なうことが可能となっている。また、ナビゲーション用演算部10は、地図更新データ61に含まれる配信用交通情報63に基づいて、経路探索や経路案内等を行い、或いは、交通情報の表示等の案内を行う。
1−25.動作処理の手順
以下、本実施形態に係る車載端末1において実行される地図データ更新処理の手順について説明する。尚、以下に述べる各ステップは、車載端末1が備える演算処理装置(コンピュータ)によって規定のプログラムに従って実行される。この処理は、自車2AのACC電源(アクセサリ電源)がオンされる等により、車載端末1が電源オン状態となっている間、継続的に実行される。
図9に示すように、車載端末1は、当該車載端末1が電源オン状態になると(ステップ♯01:Yes)、自車2Aの現在位置が存在する行政区画AのコンピュータネットワークWに接続する接続処理を実行する(ステップ♯02)。また、車載端末1は、自車2Aの現在位置が異なる行政区画Aに移動した場合には(ステップ♯03:Yes)、移動後の行政区画Aに対応するコンピュータネットワークWに接続する接続処理を実行する(ステップ♯04)。自車2Aの現在位置が同じ行政区画A内に留まっている場合には(ステップ♯03:No)、そのまま同じコンピュータネットワークWに接続した状態を継続する。
次に、車載端末1は、接続したコンピュータネットワークWから最新の地図更新データ61及び差異情報38を取得する最新情報取得処理を実行する(ステップ♯05)。本実施形態では、車載端末1は、更に、最新の交通情報39も取得する。その後、車載端末1は、取得した最新の地図更新データ61を用いて基本地図データ32を更新する(ステップ♯06)。これにより、更新地図データ72を生成し、更新地図データベース71に格納する。この更新地図データ72を用いて、ナビゲーション用演算部10による経路案内等が行われる。
次に、車載端末1は、自車位置情報及び自車2Aの周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報37を取得する(ステップ♯07)。そして、車載端末1は、取得した実情報37から基本地図データ32に含まれている内容に対応する内容の情報を抽出し、それと基本地図データ32とを比較し、現実の状態と基本地図データ32に示された情報との差異を抽出する。そして、このような差異がある場合には(ステップ♯08:Yes)、当該差異の内容を示す差異情報38を生成してコンピュータネットワークWに配信する(ステップ♯09)。一方、差異がない場合には(ステップ♯08:No)、処理はステップ♯03へ戻る。
次に、車載端末1は、規定の更新条件を満たすか否かを判定する(ステップ♯10)。上記のとおり、本実施形態では、自ら及び他の車載端末1から取得した差異情報38に基づいて、同じ内容を示す複数の差異情報38がある場合に、更新条件を満たすと判定する。更新条件を満たす場合には(ステップ♯10:Yes)、車載端末1は、当該差異情報38が示す差異を更新内容として更新情報62を生成する(ステップ♯11)。一方、更新条件を満たさない場合には(ステップ♯10:No)、処理はステップ♯03へ戻る。なお、図9では省略しているが、車載端末1は、ステップ♯07から♯11と並行して、交通情報39の生成及び配信、並びに配信用交通情報63の生成も行う。
車載端末1は、更新情報62を生成した場合には、自らが選択車載端末1Aに該当するか否かを判定する(ステップ♯12)。ここでは、車載端末1は、更新ブロックデータ67を生成にあたり、当該更新ブロックデータ67に含まれることになる1つ以上の更新情報62の生成に寄与した複数の車載端末1の中から、寄与度が最も高い車載端末1を選択車載端末1Aとして決定する。自らが選択車載端末1Aに該当しない場合には(ステップ♯12:No)、処理はステップ♯03へ戻る。自らが選択車載端末1Aに該当する場合には(ステップ♯12:Yes)、車載端末1は、自らにポイントを付与する(ステップ♯13)。そして、車載端末1は、少なくとも1つの更新情報62と要約値65とを用いて新たなブロックデータである更新ブロックデータ67を生成する(ステップ♯14)。次に、車載端末1は、生成した更新ブロックデータ67を地図更新データ61の新たな最終ブロック66Aとして繋いで地図更新データ61を更新し、更新後の地図更新データ61をコンピュータネットワークWに配信する(ステップ♯15)。その後、車載端末1が電源オフ状態にならない限り(ステップ♯16:No)、処理をステップ♯03へ戻し、上記の処理を繰り返し実行する。そして、車載端末1が電源オフ状態になった場合に(ステップ♯16:Yes)、処理を終了する。
2.その他の実施形態
次に、地図データ更新システムのその他の実施形態について説明する。
(1)上記実施形態では、コンピュータネットワークWを、行政区画単位で分割する例について説明したが、これには限定されない。例えば、コンピュータネットワークWを、緯度及び経度或いは一定の距離を基準として分割したメッシュ単位で分割してもよく、或いは、複数の車載端末1を通信接続する通信装置を基準とした単位で分割してもよい。
(2)上記実施形態では、更新ブロック生成部16が、少なくとも1つの更新情報62と要約値65とに加えて、配信用交通情報63及びポイント情報64も含めるように更新ブロックデータ67を生成する構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、更新ブロック生成部16が、配信用交通情報63及びポイント情報64の一方又は双方を用いずに更新ブロックデータ67を生成する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、端末決定部22が、更新ブロックデータ67に含まれることになる更新情報62の元となる複数の同内容の差異情報38の内、最も早く配信された差異情報38を取得した車載端末1を、更新ブロックデータ67の生成に対する寄与度が最も高い車載端末1として、選択車載端末1Aとする例について説明した。しかし、これには限定されず、選択車載端末1Aを決定する規定条件を、これ以外の条件としてもよい。例えば、更新ブロックデータ67に含まれることになる1つ以上の更新情報62の元となる差異情報38を最も多く配信した車載端末1を、更新ブロックデータ67の生成に対する寄与度が最も高い車載端末1として、選択車載端末1Aとする構成としても好適である。或いは、更新ブロックデータ67の生成に対する寄与度には関係のない別の条件に従って選択車載端末1Aを決定するようにしてもよい。例えば、更新ブロックデータ67に含まれることになる更新情報62の元となる差異情報38を配信した車載端末1の中で抽選を行い、ランダムに選択車載端末1Aを決定するようにしてもよい。
(4)上記実施形態では、更新情報生成部14は、同じ内容を示す複数の差異情報38がある場合に、当該差異情報38が示す差異を更新内容として更新情報62を生成する例について説明したが、更新情報生成部14が更新情報62を生成する条件はこれには限定されない。例えば、同じ内容を示す差異情報38が1つだけである場合に、更新情報生成部14が当該差異情報38に基づいて更新情報62を生成する構成としてもよい。この場合、他の情報に基づいて正しいと判定できた差異情報38のみに基づいて更新情報62を生成する構成とすると好適である。
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した地図データ更新システムの概要について説明する。
地図データ更新システムは、複数の車両(2)の夫々が備える車載端末(1)の地図データを地図更新データ(61)により更新する地図データ更新システムであって、複数の前記車載端末(1)は、コンピュータネットワーク(W)により互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データ(61)を、前記コンピュータネットワーク(W)上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、前記車載端末(1)は、基本地図データ(32)を格納した基本地図データベース(31)と、自らが搭載された車両(2)である自車(2A)の位置情報及び前記自車(2A)の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報(37)を取得する実情報取得部(11)と、前記実情報(37)に基づいて前記基本地図データ(32)と現実との差異を示す差異情報(38)を生成して前記コンピュータネットワーク(W)に配信する差異情報生成部(12)と、前記コンピュータネットワーク(W)を介して他の前記車載端末(1)から前記差異情報(38)を取得する差異情報取得部(13)と、自ら及び他の前記車載端末(1)から取得した前記差異情報(38)に基づいて、前記基本地図データ(32)の更新内容を示す更新情報(62)を生成する更新情報生成部(14)と、前記地図更新データ(61)の最終ブロック(66A)のデータを用いて生成される要約値(65)を取得する要約値取得部(15)と、少なくとも1つの前記更新情報(62)と前記要約値(65)とを用いて新たなブロック(66)のデータである更新ブロックデータ(67)を生成する更新ブロック生成部(16)と、前記更新ブロックデータ(67)を前記地図更新データ(61)の新たな最終ブロック(66A)として繋いで前記地図更新データ(61)を更新し、更新後の前記地図更新データ(61)を前記コンピュータネットワーク(W)に配信する地図更新データ配信部(17)と、前記地図更新データ(61)を用いて前記基本地図データ(31)を更新する基本地図データ更新部(18)と、を備える。
この構成によれば、例えば新たな道路が建設される等によって地図データに対応する現実の状況が変化した場合に、当該変化した場所の周辺を車両(2)が走行することで、車載端末(1)は、当該変化した場所において自車(2A)の周辺における現実の情報(新たな道路の情報等)を、自車(2A)の位置情報と共に取得することができる。そして、車載端末(1)は、取得した情報に基づいて、基本地図データ(32)と現実との差異を示す差異情報(38)を生成することができる。同様の機能を備えた車載端末(1)が複数存在することで、各車載端末(1)は、自らが生成した差異情報(38)に加えて、他の車載端末(1)が生成した差異情報(38)を取得でき、これらの差異情報(38)に基づいて、更新情報(62)を生成することができる。
そして、車載端末(1)は、更新情報(62)を生成した場合に、ブロックチェーンデータである地図更新データ(61)の最終ブロック(66A)のデータを用いて要約値(65)を作成し、要約値(65)と更新情報(62)とに基づいて更新ブロックデータ(67)を生成し、この更新ブロックデータ(67)を地図更新データ(61)の新たな最終ブロック(66A)として繋いで地図更新データ(61)を更新する。このように更新された地図更新データ(61)はコンピュータネットワーク(W)に配信される。これにより、コンピュータネットワーク(W)に接続された全ての車載端末(1)が、更新された最新の地図更新データ(61)を共有することができる。
このように、本構成によれば、コンピュータネットワーク(W)に接続された全ての車載端末(1)が、地図データの更新に関する情報を収集し、更新情報(62)を生成し、その更新情報(62)を地図更新データ(61)に随時追加して共有することができる。従って、地図データの更新に関連する現実の情報の変化を適切に収集して地図更新データ(61)に迅速に反映することができる。また、このように共有される地図更新データ(61)が、改ざんが困難なブロックチェーンデータとされているため、サーバ等を設けて管理者が一元管理しなくてもデータの安全性を確保できる。従って、地図データの更新に要する手間及びコストを少なく抑えることができる。
ここで、前記更新情報生成部(14)は、同じ内容を示す複数の前記差異情報(38)がある場合に、当該差異情報(38)が示す差異を更新内容として前記更新情報(62)を生成すると好適である。
この構成によれば、例えば新たな道路が建設される等によって地図データに対応する現実の状況が変化した場合に、当該変化した場所の周辺を同一又は別の車両(2)が複数回走行することで、同じ内容を示す複数の差異情報(38)を取得できる。取得された差異情報(38)が1つのみである場合は、その差異情報(38)が必ずしも正しいものとは言えないが、同じ内容を示す複数の差異情報(38)が取得された場合には、その差異情報(38)は正しいものである可能性が高い。従って、本構成によれば、正確性が高い更新情報(62)を生成することができる。
また、前記車載端末(1)は、前記実情報(37)に基づいて現実の交通状況を示す交通情報(39)を生成して前記コンピュータネットワーク(W)に配信する交通情報生成部(19)と、前記コンピュータネットワーク(W)を介して他の前記車載端末(1)から前記交通情報(39)を取得する交通情報取得部(20)と、自ら及び他の前記車載端末(1)から取得した前記交通情報(39)に基づいて、配信用交通情報(63)を生成する配信用交通情報生成部(21)と、を更に備え、前記更新ブロック生成部(16)は、前記更新情報(62)と前記要約値(65)とに加えて、前記配信用交通情報(63)も用いて前記更新ブロックデータ(67)を生成すると好適である。
この構成によれば、実情報(37)に基づいて現実の交通状況を示す交通情報(39)を生成することができる。同様の機能を備えた車載端末(1)が複数存在することで、各車載端末(1)は、自らが生成した交通情報(39)に加えて、他の車載端末(1)が生成した交通情報(39)を取得でき、これらに基づいて配信用交通情報(63)を生成することができる。そして、車載端末(1)は、この配信用交通情報(63)も用いて更新ブロックデータ(67)を生成するため、地図更新データ(61)に配信用交通情報(63)の内容を含めることができる。これにより、コンピュータネットワーク(W)に接続された全ての車載端末(1)が、地図更新データ(61)に含まれる地図の更新情報(62)だけでなく、最新の交通情報(39)も共有することができる。なお、ここでの交通情報(39)には、車両(2)の走行に影響を与える各種の情報が含まれ、例えば、通行規制(通行止め、車線規制、道路の陥没や崩落等を含む)、渋滞、事故、停止車両等の情報が含まれる。
また、前記配信用交通情報(63)には、前記地図更新データ(61)に既に組み込まれた前記配信用交通情報(63)が示す内容を無効にする情報も含まれると好適である。
地図更新データ(61)はブロックチェーンデータとされているため、一旦組み込まれた情報を変更することはできない。従って、地図更新データ(61)に既に組み込まれた配信用交通情報(63)が示す内容が解消した場合や変更された場合であっても、その配信用交通情報(63)自体を消去することはできない。しかし、この構成によれば、地図更新データ(61)に既に組み込まれた配信用交通情報(63)が示す内容を無効にする情報を配信用交通情報(63)として更新ブロックデータ(67)を生成することにより、既に組み込まれた配信用交通情報(63)を実質的に無効にすることができる。従って、既に組み込まれた配信用交通情報(63)が示す内容が解消した場合や変更された場合にも、その内容を適切に地図更新データ(61)に反映させることができる。
また、前記車載端末(1)は、前記更新ブロックデータ(67)を生成する前に、当該更新ブロックデータ(67)に含まれることになる1つ以上の前記更新情報(62)の生成に寄与した複数の前記車載端末(1)の中から、規定の条件に従って1つの前記車載端末(1)を選択端末(1A)として決定する端末決定部(22)を更に備え、前記選択端末(1A)の前記更新ブロック生成部(16)が、前記更新ブロックデータ(67)を生成し、前記選択端末(1A)の前記地図更新データ配信部(17)が、前記地図更新データ(61)を更新し、更新後の前記地図更新データ(61)を配信すると好適である。
この構成によれば、規定の条件に従って複数の車載端末(1)の中の1つが、更新ブロックデータ(67)を生成すると共に、地図更新データ(61)を更新して配信する。そのため、複数の車載端末(1)が同時並行的に更新ブロックデータ(67)を生成して地図更新データ(61)を更新する事態が生じることを規制できる。従って、システム全体での処理負荷を軽減できると共に、複数の矛盾する更新ブロックデータ(67)によって地図更新データ(61)の整合性が損なわれることを防止できる。
また、前記車載端末(1)は、前記選択端末(1A)にポイントを付与するポイント付与部(23)を更に備え、前記更新ブロック生成部(16)は、前記更新情報(62)と前記要約値(65)とに加えて、前記選択端末(1A)に付与するポイントを示すポイント情報(64)も用いて前記更新ブロックデータ(67)を生成すると好適である。
この構成によれば、更新ブロックデータ(67)の更新を行った選択端末(1A)にポイントが付与され、当該ポイントを示すポイント情報(64)が地図更新データ(61)に組み込まれてコンピュータネットワークに配信される。ここで、例えば、ポイントに何らかの価値を付与することにより、地図更新に協力した車載端末(1)のユーザに何かしらの対価を与えることが可能となる。また、端末決定部(22)における選択端末(1A)の決定条件を適切に設定することにより、各車載端末(1)のユーザに対して、実情報(37)の提供に積極的に協力させる動機付けとすることができる。
また、前記車載端末(1A)は、電源が入れられた後、前記コンピュータネットワーク(W)から最新の前記地図更新データ(61)及び前記差異情報(38)を取得する最新情報取得部(24)を更に備えると好適である。
この構成によれば、電源が入れられてコンピュータネットワーク(W)に接続された全ての車載端末(1)が、同じように最新の地図更新データ(61)及び差異情報(38)を保有する状態を実現することができる。従って、この地図データ更新システムを適切に動作せることができる。
また、前記コンピュータネットワーク(W)は、行政区画単位で分割されており、前記車載端末(1)は、前記位置情報に示される自車(2A)の位置が異なる行政区画(A)に移動した場合には、移動後の行政区画(A)に対応する前記コンピュータネットワーク(W)に接続し、当該コンピュータネットワーク(W)から最新の前記地図更新データ(61)及び前記差異情報(38)を取得する移動後情報取得部(25)を更に備えると好適である。
この構成によれば、コンピュータネットワーク(W)が行政区画単位で分割されているので、各コンピュータネットワーク(W)において取り扱われる地図データのデータ量を小さく抑えることができると共に、当該コンピュータネットワーク(W)に接続される車載端末(1)の数も少なく抑えることができる。またこれにより、各車載端末(1)におけるデータ量、通信量、及び処理負荷の軽減を図ることができる。そして、この構成によれば、自車(2A)が異なる行政区画(A)に移動した場合には、当該移動後の行政区画(A)に対応するコンピュータネットワーク(W)から最新の情報を取得する。従って、移動後の行政区画(A)においても最新の地図更新データ(61)を利用することができると共に、更新情報(62)の生成等も適切に行うことができる。
本開示に係る地図データ更新システムは、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができれば良い。
上述した地図データ更新システムの種々の技術的特徴は、地図データ更新方法や地図データ更新プログラムにも適用可能である。例えば、地図データ更新方法は、上述した地図データ更新システムの特徴を備えたステップを有することができる。また、地図データ更新プログラムは、上述した地図データ更新システムの特徴を備えた機能を車載端末に実現させることが可能である。当然ながらこれらの地図データ更新方法及び視図データ更新プログラムも、上述した地図データ更新システムの作用効果を奏することができる。さらに、地図データ更新システムの好適な態様として例示した種々の付加的特徴を、これら地図データ更新方法や地図データ更新プログラムに組み込むことも可能であり、当該方法及び当該プログラムはそれぞれの付加的特徴に対応する作用効果も奏することができる。
1:車載端末
1A:選択端末
2:車両
2A:自車
11:実情報取得部
12:差異情報生成部
13:差異情報取得部
14:更新情報生成部
15:要約値取得部
16:更新ブロック生成部
17:地図更新データ配信部
18:基本地図データ更新部
19:交通情報生成部
20:交通情報取得部
21:配信用交通情報生成部
22:端末決定部
23:ポイント付与部
24:最新情報取得部
25:移動後情報取得部
31:基本地図データベース
32:基本地図データ
37:実情報
38:差異情報
39:交通情報
61:地図更新データ
62:更新情報
63:配信用交通情報
64:ポイント情報
65:要約値
66:ブロック
66A:最終ブロック
67:更新ブロックデータ
A:行政区画
W:コンピュータネットワーク

Claims (10)

  1. 複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新システムであって、
    複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、
    前記車載端末は、
    基本地図データを格納した基本地図データベースと、
    自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得部と、
    前記実情報に基づいて前記基本地図データと現実との差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成部と、
    前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得部と、
    自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成部と、
    前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得部と、
    少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成部と、
    前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信部と、
    前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新部と、
    を備える、地図データ更新システム。
  2. 前記更新情報生成部は、同じ内容を示す複数の前記差異情報がある場合に、当該差異情報が示す差異を更新内容として前記更新情報を生成する、請求項1に記載の地図データ更新システム。
  3. 前記車載端末は、
    前記実情報に基づいて現実の交通状況を示す交通情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する交通情報生成部と、
    前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記交通情報を取得する交通情報取得部と、
    自ら及び他の前記車載端末から取得した前記交通情報に基づいて、配信用交通情報を生成する配信用交通情報生成部と、を更に備え、
    前記更新ブロック生成部は、前記更新情報と前記要約値とに加えて、前記配信用交通情報も用いて前記更新ブロックデータを生成する、請求項1又は2に記載の地図データ更新システム。
  4. 前記配信用交通情報には、前記地図更新データに既に組み込まれた前記配信用交通情報が示す内容を無効にする情報も含まれる、請求項3に記載の地図データ更新システム。
  5. 前記車載端末は、
    前記更新ブロックデータを生成する前に、当該更新ブロックデータに含まれることになる1つ以上の前記更新情報の生成に寄与した複数の前記車載端末の中から、規定の条件に従って1つの前記車載端末を選択端末として決定する端末決定部を更に備え、
    前記選択端末の前記更新ブロック生成部が、前記更新ブロックデータを生成し、
    前記選択端末の前記地図更新データ配信部が、前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを配信する、請求項1から4のいずれか一項に記載の地図データ更新システム。
  6. 前記車載端末は、
    前記選択端末にポイントを付与するポイント付与部を更に備え、
    前記更新ブロック生成部は、前記更新情報と前記要約値とに加えて、前記選択端末に付与するポイントを示すポイント情報も用いて前記更新ブロックデータを生成する、請求項5に記載の地図データ更新システム。
  7. 前記車載端末は、電源が入れられた後、前記コンピュータネットワークから最新の前記地図更新データ及び前記差異情報を取得する最新情報取得部を更に備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の地図データ更新システム。
  8. 前記コンピュータネットワークは、行政区画単位で分割されており、
    前記車載端末は、前記位置情報に示される自車の位置が異なる行政区画に移動した場合には、移動後の行政区画に対応する前記コンピュータネットワークに接続し、当該コンピュータネットワークから最新の前記地図更新データ及び前記差異情報を取得する移動後情報取得部を更に備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の地図データ更新システム。
  9. 複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新方法であって、
    複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、
    前記車載端末に、
    自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得ステップと、
    前記実情報に基づいて基本地図データベースに格納された基本地図データと現実との差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成ステップと、
    前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得ステップと、
    自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成ステップと、
    前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得ステップと、
    少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成ステップと、
    前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信ステップと、
    前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新ステップと、
    を実行させる、地図データ更新方法。
  10. 複数の車両の夫々が備える車載端末の地図データを地図更新データにより更新する地図データ更新プログラムであって、
    複数の前記車載端末は、コンピュータネットワークにより互いに通信接続されていると共に、前記地図更新データを、前記コンピュータネットワーク上のブロックチェーンデータとして共有するように構成され、
    前記車載端末に、
    自らが搭載された車両である自車の位置情報及び前記自車の周辺における現実の情報である周辺情報を含む実情報を取得する実情報取得機能と、
    前記実情報に基づいて、現実と基本地図データベースに格納された基本地図データとの差異を示す差異情報を生成して前記コンピュータネットワークに配信する差異情報生成機能と、
    前記コンピュータネットワークを介して他の前記車載端末から前記差異情報を取得する差異情報取得機能と、
    自ら及び他の前記車載端末から取得した前記差異情報に基づいて、前記基本地図データの更新内容を示す更新情報を生成する更新情報生成機能と、
    前記地図更新データの最終ブロックのデータを用いて生成される要約値を取得する要約値取得機能と、
    少なくとも1つの前記更新情報と前記要約値とを用いて新たなブロックのデータである更新ブロックデータを生成する更新ブロック生成機能と、
    前記更新ブロックデータを前記地図更新データの新たな最終ブロックとして繋いで前記地図更新データを更新し、更新後の前記地図更新データを前記コンピュータネットワークに配信する地図更新データ配信機能と、
    前記地図更新データを用いて前記基本地図データを更新する基本地図データ更新機能と、
    を実現させる、地図データ更新プログラム。
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WO2023047636A1 (ja) * 2021-09-22 2023-03-30 日立Astemo株式会社 地図情報補正装置及び地図情報補正システム

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