JP2020040054A - 金属シアノ錯体を含む吸着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、取り扱い性を維持しながら、アンモニアまたは放射性物質などの吸着対象を吸着するのに十分な吸着容量を有する、金属シアノ錯体を用いた吸着材を提供することにある。【解決手段】本発明は、アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材であって、金属シアノ錯体を含む吸着基材および該吸着基材間を結着するバインダを含み、少なくとも一部の吸着基材間はバインダが糸状に結着されてなる、前記吸着材、ならびにアンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の製造方法に関する。【選択図】図4

Description

本発明は、金属シアノ錯体を含む吸着材に関する。とくに、吸着対象を高吸着量で吸着可能な吸着材に関する。
アンモニアの吸着は、悪臭除去のみならず、燃料電池やバイオマス発電への応用、あるいは半導体製造のためのクリーンな環境作りなどへの応用が期待できる。近年、金属シアノ錯体がアンモニアの吸着に有効な物質であることが見出されており(例えば、特許文献1)、金属シアノ錯体の中で、プルシアンブルー型錯体であるフェロシアン化物が、アンモニア吸着容量が最も高いことが報告されている(非特許文献1)。
また、フェロシアン化物は、セシウム(Cs)などの放射性物質の吸着においても用いることができることが知られており(特許文献2〜4)、その利用範囲はアンモニア吸着に止まるものではない。
一方で、粉末状の形態で吸着容量の評価が高くても、実用化に際しては取り扱い性のよい粒径や形状に造粒する必要があり(特許文献3)、実用上は、造粒した吸着材の吸着容量が問題となる。本発明者らは、金属シアノ錯体の取り扱い性を改善するため、金属シアノ錯体であるプルシアンブルーの粉末を造粒して、放射性物質をはじめとする陽イオンに対する吸着容量を評価したが(特許文献2)、取り扱い性が改善された一方で、吸着容量は造粒前の粉末より少なくなっていた。
国際公開第2015/186819号 特開2014−077720号公報 特開2012−250211号公報 特開2012−250904号公報
Takahashi, A. et al. "Historical Pigment Exhibiting Ammonia Gas Capture beyond Standard Adsorbents with Adsorption Sites of Two Kinds", J. Am. Chem. Soc. (2016), Vol.138(20), pp.6376-6379
すなわち、本発明の課題は、取り扱い性を維持しながら、アンモニアまたは放射性物質などの吸着対象を吸着するのに十分な吸着容量を有する、金属シアノ錯体を用いた吸着材を提供することにある。
本発明者らは、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねる中で、金属シアノ錯体を含む吸着基材を、該吸着基材間のバインダの少なくとも一部が糸状になるように結着して造粒することで、取り扱い性を維持しながら、吸着対象に対して十分な吸着容量を有する吸着材を提供できることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1] アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材であって、
金属シアノ錯体を含む吸着基材および該吸着基材間を結着するバインダを含み、
少なくとも一部の吸着基材間はバインダが糸状に結着されてなる、前記吸着材。
[2] 吸着材が、球状またはペレット状である、前記[1]に記載の吸着材。
[3] 吸着基材とバインダとの重量比が、99:1〜80:20である、前記[1]または[2]に記載の吸着材。
[4] バインダが、ポリビニルアルコール、ベントナイト、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレートからなる群から選択される、前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の吸着材。
[5] バインダが、ポリビニルアルコールである、前記[4]に記載の吸着材。
[6] ポリビニルアルコールが、けん化度97%以上および重合度1700以上である、前記[5]に記載の吸着材。
[7] 再利用可能である、前記[6]に記載の吸着材。
[8] アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の製造方法であって、
金属シアノ錯体を含む吸着基材とバインダとを混合し、少なくとも一部の吸着基材間はバインダが糸状に結着されてなる成形体を作成する工程を含み、
吸着基材とバインダとの重量比が、99:1〜80:20である、前記製造方法。
[9] 吸着基材とバインダとの混合が溶媒中で行われる、前記[8]に記載の製造方法。
[10] 溶媒が、水、クロロホルムおよびTHFからなる群から選択される、前記[9]に記載の製造方法。
[11] 前記[6]に記載の吸着材の再生方法であって、
溶媒で洗浄することにより吸着材に吸着したアンモニアまたは放射性物質を脱離する工程を含む、前記再生方法。
本発明によれば、粉末状吸着材よりも取り扱い性に優れた金属シアノ錯体を用いた吸着材を提供することができる。また本発明の吸着材は、バインダを用いることにより保形性を有し、取り扱いの容易な任意の形状に加工することができる。
また本発明の吸着材は、同量の吸着基材を用いた従来の粒状吸着材よりも優れ、粉末状吸着材と同等以上の優れた吸着容量を有する。したがって、本発明によれば、従来の粉末状または粒状吸着材よりも少ない吸着基材を用いて、目的量の吸着対象を吸着することが可能であり、実用上において省資源およびコスト削減を達成することができる。
さらに本発明の吸着材は、金属シアノ錯体を用いており、アンモニアや放射性物質を吸着することができ、かかる吸着性能を失うことなく取り扱い性が向上されている。
本発明の吸着材は、一態様において、再生して再利用することが可能である。本発明の吸着材の再生は、水洗などの簡便な方法で行うことができ、再生後の吸着容量は、再生前と比べ殆ど遜色がなく略同等にまで回復することができる。
図1は、本発明による粉末状吸着材および粒状吸着材の一例を示す画像である。 図2は、本発明による粒状吸着基材間において、バインダが糸状に結着されている状態の一例を示す画像である。 図3は、本発明の吸着材のアンモニアまたは放射性物質の吸着容量の評価に用いる装置の図である。 図4は、フェロシアン化銅、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))およびプルシアンブルーの粉末状および粒状吸着材のアンモニア吸着量を示すグラフである。 図5は、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))を担持した活性炭のアンモニア吸着量を示すグラフである。 図6は、1mmのフェロシアン化銅粒状吸着材のアンモニア吸着量を示すグラフである。 図7は、5mmのフェロシアン化銅粒状吸着材のアンモニア吸着量を示すグラフである。 図8は、再生後のフェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))粒状吸着材のアンモニア吸着量を示すグラフである。 図9は、超純水および硫酸を用いて再生したフェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))粒状吸着材のアンモニア吸着量を示すグラフである。
本発明は、アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材に関する。本発明のアンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材は、金属シアノ錯体を含む吸着基材および該吸着基材間を結着するバインダを含む。ここで、金属シアノ錯体は、一般式
M[M’(CN)・zHO (1)
で表される化合物であり、
式中、
Aは、水素、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)からなる群より選択される1種または2種以上の陽イオンを表し、
Mは、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、ランタン(La)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)からなる群から選択される1種または2種以上の金属原子を表し、
M’は、バナジウム(V)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)からなる群より選択される1種または2種以上の金属原子を表し、
xは、0〜3であり、
yは、0.1〜1.5であり、
zは、0〜30を表す。
金属シアノ錯体は、アンモニアおよび/または放射性物質を吸着するものであれば、と
くに限定されないが、好ましくは、フェロシアン化物、すなわち前記一般式(1)において、M’が鉄である金属シアノ錯体である。さらなる金属シアノ錯体としては、フェロシアン化銅(Cu[Fe(CN)])、プルシアンブルー(Fe[Fe(CN))、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN)、KCu11[Fe(CN))などが挙げられる。pH耐久性およびコストの観点から、フェロシアン化銅(Cu[Fe(CN)])であることが好ましい。
本発明に用いるバインダは、前記吸着基材を結着するためのものであれば、とくに限定されない。例えば、親水性ポリマー、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイト、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)やこれらの共重合体などが挙げられる。親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたは、これらの共重合体などが挙げられる。本発明の吸着材においては、好ましくは、ポリビニルアルコール、ベントナイト、ポリメチルメタクリレートおよびポリ塩化ビニルである。耐水性の観点からは、とくにポリビニルアルコールが好ましい。
ポリビニルアルコールをバインダとして用いる場合、そのけん化度および重合度は、とくに限定されないが、例えば、けん化度は、90%以上、好ましくは、95%以上、さらに好ましくは、97%以上である。また重合度は、500以上、好ましくは、1000以上、さらに好ましくは、1700以上である。耐水性の観点からは、とくにけん化度97%以上および重合度1700以上であることが好ましい。
本発明の金属シアノ錯体を含む吸着基材は、少なくとも一部の該吸着基材間がバインダによって糸状に結着される。本明細書において「糸状」とは、吸着基材間を結着しているバインダが細長い形状をなしていることを示し、吸着基材間を糸状に結着しているバインダの断面は、吸着基材の表面積より十分に小さい断面積を有している。吸着基材を球状としたときの直径をR、吸着基材間を糸状に結着しているバインダの断面の直径をrとしたとき、とくに限定されないが、例えばR:r=50:1である。また、吸着基材間を結着しているバインダの長さをrとしたとき、とくに限定されないが、例えばR:r=10:1〜5:1である。rおよび/またはrを適宜調整することにより、吸着材の比表面積を大きくすることができ、一方で吸着材の成形性を維持することができる。吸着材の比表面積を大きくする観点から、糸状に結着される割合が高い方が好ましい。糸状に結着される割合を高め、比表面積を大きくするためには、例えば、吸着基材とバインダとの重量比を所定の範囲内とするとともに、バインダとしてとくにポリビニルアルコールを選択し、重合度を500以上に調整し、溶媒として水、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルフォルムアミド(DMF)ジメチルアセトアミドまたはN−メチル−2−ピロリジドン(NMP)などを選択し、造粒時の温度を室温とすることによって可能である。
吸着基材とバインダとの重量比は、吸着基材間をバインダによって糸状に結着することを可能とするとの観点から、好ましくは、99:1〜80:20であり、とくに好ましくは、99:1〜94:6である。
本発明の吸着材は、任意の形状およびサイズに成型することが可能である。
吸着材の形状は、例えば、球状、ペレット状などに成型することができるが、球状およびペレット状が好ましく、とくに好ましくは、球状である。
また吸着材のサイズは、例えば、球状の場合、取り扱い性の観点から、直径が、少なくとも1mm以上であり、1mm〜10mmが好ましく、とくに好ましくは、1mm〜5mmである。また、球状でない場合、吸着材の任意の幅のうち、最も小さい幅が、少なくとも1mm以上であり、1mm〜10mmが好ましく、とくに好ましくは、1mm〜5mmである。
本発明はまた、アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の製造方法に関する。本発明のアンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の製造方法は、金属シアノ錯体を含む吸着基材とバインダとを混合し、成形体を作成する工程を含み、吸着基材とバインダとの重量比が99:1〜80:20である。
成形体を作成する方法は、とくに限定されないが、好ましくは押出造粒である。
吸着基材とバインダとの混合は、溶媒の不存在下で行われても、溶媒の存在下で行われてもよいが、好ましくは、溶媒の存在下で行われる。
吸着基材とバインダとの混合が溶媒の存在下で行われる場合、溶媒は、とくに限定されないが、水、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルフォルムアミド(DMF)ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリジドン(NMP)などが挙げられ、好ましくは、水、クロロホルムおよびTHFである。
本発明の吸着材は、再利用可能である。
本発明はさらに、アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の再生方法に関する。本発明のアンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の再生方法は、溶媒で洗浄することにより吸着材に吸着したアンモニアまたは放射性物質を脱離する工程を含む。
吸着材に吸着したアンモニアまたは放射性物質を脱離するのに用いる溶媒は、アンモニアまたは放射性物質を脱離させられる溶媒であればとくに限定されないが、硫酸、硝酸、塩酸、りん酸、硫酸水素ナトリウム水溶液、りん酸水素カリウム水溶液、クエン酸水溶液、炭酸水、酢酸、超純水などが挙げられ、脱離量の観点から、好ましくは、硫酸および超純水であり、とくに好ましくは、硫酸である。
[試験例1]
粉末状および粒状吸着材の製造(フェロシアン化銅)
フェロシアン化ナトリウム十水和物107.1gを水418gで溶解した液と硫酸銅五水和物110.5gを水339.5gで溶解した液を混合し、フェロシアン化銅ナノ粒子のスラリを調製した。スラリを噴霧乾燥することでフェロシアン化銅の粉末(直径10〜60μm)を得た。さらに、粉末3gと5%のポリビニルアルコール水溶液2gを混錬し、直径1mmのパンチングメタルに押し込む(押出造粒)ことでフェロシアン化銅の粒状吸着材(造粒体)を得た(図1参照)。フェロシアン化銅の粒状吸着基材間は、図2に示すように、バインダが糸状に結着されていた。また、粒状吸着基材の直径(R)、粒状吸着基材間を糸状に結着しているバインダの断面の直径(r)、粒状吸着基材間を結着しているバインダの長さ(r)を、図1のSEM画像をもとに測定した。その結果、概ねR:r=50:1およびR:r=5:1であった。
粉末状および粒状吸着材の製造(フェロシアン化銅カリウム(K Cu [Fe(CN) ))
フェロシアン化カリウム三水和物14.6gを水85.4gで溶解した液と硫酸銅五水和物12.9gを水87.1gで溶解した液を混合し、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))ナノ粒子のスラリを調製した。スラリを噴霧乾燥することでフェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))の粉末(直径10〜60μm)を得た。さらに、粉末3gと5%のポリビニルアルコール水溶液2gを混錬し、直径1mmのパンチングメタルに押し込む(押出造粒)ことでフェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))の粒状吸着材(造粒体)を得た。フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))の粒状吸着基材間は、上記のフェロシアン化銅の粒状吸着基材と同様に、バインダが糸状に結着されている。
粉末状および粒状吸着材の製造(プルシアンブルー)
フェロシアン化ナトリウム十水和物51.4gを水391gで溶解した液と硝酸鉄九水和物110.5gを水164gで溶解した液を混合し、プルシアンブルーナノ粒子のスラリを調製した。スラリを噴霧乾燥することでプルシアンブルーの粉末(直径10〜60μm)を得た。さらに、粉末3gと5%のポリビニルアルコール水溶液2gを混錬し、直径1mmのパンチングメタルに押し込む(押出造粒)ことでプルシアンブルーの粒状吸着材(造粒体)を得た。プルシアンブルーの粒状吸着基材間は、上記のフェロシアン化銅の粒状吸着基材と同様に、バインダが糸状に結着されている。
粉末状および粒状吸着材のアンモニア吸着容量の評価
カラムに脱脂綿、上記で製造したフェロシアン化銅、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))またはプルシアンブルーの粉末状または粒状吸着材50mg、脱脂綿60mgを順に充填した(図3参照)。このカラムと100ppmのアンモニアを充填したガスバッグ、エアポンプ(ガステック社製)、5g/Lほう酸水溶液を充填したインピンジャー(サビレックス社製)をシリコンチューブ(アズワン社製)で接続した。エアポンプにより100ppmのアンモニアをカラムに送り込み、通気したガスをインピンジャーでトラップした。所定量通気したインピンジャー内の溶液のアンモニウムイオン濃度をイオンクロマトグラフで定量した。通気前と通気後の濃度が同等になるまで通気を継続し、アンモニウムイオン濃度より、吸着材のアンモニア吸着容量を算出した。結果を表1および図4に示す。
表1および図4に示すとおり、各フェロシアン化銅、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))およびプルシアンブルーの粒状吸着材は、それと対応する粉末状吸着材と同等のアンモニア吸着容量を示した。
[試験例2]
活性炭担持の粒状吸着材の製造
ヤシ殻活性炭(破砕状:1.2〜1.4mm)10gに試験例1で製造したフェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))ナノ粒子のスラリ6mlを加え、60℃で乾燥し、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))を2%担持した活性炭を得た。
活性炭担持の粒状吸着材のアンモニア吸着容量の評価
吸着材として、上記で製造した活性炭担持の粒状吸着材および活性炭を用い、表2に示した吸着材の量を用いた以外は、試験例1と同様のアンモニア吸着容量の評価方法を用いた。結果を表2および図5に示す。
表2および図5に示すとおり、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))を担持させた活性炭のアンモニア吸着容量は、活性炭のみの吸着容量より高いが、フェロシアン化銅カリウム(KCu[Fe(CN))の粉末状および粒状吸着材の吸着容量より低いことを示した。
[試験例3]
異なる粒径の粒状吸着材の製造
パンチングメタルに直径5mmのものを使用した以外は、試験例1の1mmのフェロシアン化銅粒状吸着材の製造方法と同様の製造方法を用いた。
異なる粒径の粒状吸着材のアンモニア吸着容量の評価
吸着材として、試験例1の1mmのフェロシアン化銅粒状吸着材および上記で製造した5mmのフェロシアン化銅粒状吸着材を用い、表3に示した粒状吸着材の量およびアンモニア通気濃度を用いた以外は、試験例1と同様のアンモニア吸着容量の評価方法を用いた。結果を表3、図6および7に示す。
表3、図6および7に示すとおり、粒状吸着材の粒径を5mmに変更しても、1mmの粒状吸着材と同等の高い吸着容量を示した。
[試験例4]
異なるバインダの粒状吸着材の製造
表4に示したバインダおよび溶媒を用いた以外は、試験例1のフェロシアン化銅粒状吸着材の製造方法と同様の製造方法を用いた。
粒状吸着材の再生に適したバインダの検討
表4に示したバインダおよび溶媒を用いた以外は試験例1の粒状吸着材と同様の製造方法で製造したそれぞれのフェロシアン化銅粒状吸着材50mgを水10gに浸し、室温で2時間加熱して、形状の変化を観察した。結果を表4に示す。
表4に示すとおり、バインダとしてPMMA、PVCおよびPVAを用いた粒状吸着材は形状が維持され、耐水性を示した。
さらに、形状を維持した例13、例14、例15に関してはさらに、80℃で2h加熱したが同様に形状を維持した。
[試験例5]
粒状吸着材の再生に適したPVAの重合度およびけん化度の検討
例15において耐水性が示されたPVAをバインダとして用いた粒状吸着材について、重合度およびけん化度を表5のとおり変更して、試験例4と同様の方法で耐水性を評価した。結果を表5に示す。
表5に示すとおり、PVAをバインダとして用いる場合、重合度1700以上およびけん化度97%以上で耐水性を示すことが判明した。また、該物性は、重合度1700以上およびけん化度97%以上のいずれか一方ではなく、共に満足する必要が示された。
[試験例6]
粉末状および粒状吸着材の製造(フェロシアン化銅カリウム(K Cu 11 [Fe(CN)
フェロシアン化カリウム三水和物123.71gを水600gで溶解した液と硫酸銅五水和物134.16gを水350gで溶解した液を混合し、フェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))ナノ粒子のスラリを調製した。スラリを噴霧乾燥することでフェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))の粉末(直径10〜60μm)を得た。さらに、粉末3gと5%のポリビニルアルコール水溶液2gを混錬し、直径1mmのパンチングメタルに押し込む(押出造粒)ことでフェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))の粒状吸着材(造粒体)を得た。フェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))の粒状吸着基材間は、[試験例1]のフェロシアン化銅の粒状吸着基材と同様に、バインダが糸状に結着されている。
粒状吸着材の再生(アンモニアの脱離)
200ppmのアンモニアを通気したフェロシアン化銅カリウム(KCu11[Fe(CN))粒状吸着材を、0.1M硫酸に浸漬・振とうして、アンモニアを脱離させた。
再生した粒状吸着材のアンモニア吸着容量の評価
アンモニアを脱離させた上記の粒状吸着材を用いて、再度試験例1と同様の方法で100ppmのアンモニアを通気して、アンモニア吸着容量を評価した。結果を表6および図8に示す。
表6および図8に示すとおり、再生(アンモニア脱離)後の粒状吸着材でも、再生前と同等のアンモニア吸着容量を示した。
[試験例7]
粒状吸着材の再生方法の検討
表7に示した脱離液および脱離方法で、試験例6の方法と同様に表7に示した粒状吸着材からアンモニアを脱離させた。結果を表7および図9に示す。
表7および図9に示したとおり、アンモニア脱離液は超純水より硫酸の脱離率が高いことが示された。また、アンモニア脱離方法は、アンモニア脱離液の通液より浸漬・振とうの脱離率が高いことが示された。


Claims (11)

  1. アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材であって、
    金属シアノ錯体を含む吸着基材および該吸着基材間を結着するバインダを含み、
    少なくとも一部の吸着基材間はバインダが糸状に結着されてなる、前記吸着材。
  2. 吸着材が、球状またはペレット状である、請求項1に記載の吸着材。
  3. 吸着基材とバインダとの重量比が、99:1〜80:20である、請求項1または2に記載の吸着材。
  4. バインダが、ポリビニルアルコール、ベントナイト、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレートからなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸着材。
  5. バインダが、ポリビニルアルコールである、請求項4に記載の吸着材。
  6. ポリビニルアルコールが、けん化度97%以上および重合度1700以上である、請求項5に記載の吸着材。
  7. 再利用可能である、請求項6に記載の吸着材。
  8. アンモニアまたは放射性物質を吸着するための吸着材の製造方法であって、
    金属シアノ錯体を含む吸着基材とバインダとを混合し、少なくとも一部の吸着基材間はバインダが糸状に結着されてなる成形体を作成する工程を含み、
    吸着基材とバインダとの重量比が、99:1〜80:20である、前記製造方法。
  9. 吸着基材とバインダとの混合が溶媒中で行われる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 溶媒が、水、クロロホルムおよびTHFからなる群から選択される、請求項9に記載の製造方法。
  11. 請求項6に記載の吸着材の再生方法であって、
    溶媒で洗浄することにより吸着材に吸着したアンモニアまたは放射性物質を脱離する工程を含む、前記再生方法。


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