JP2020038129A - 平均光子数の推定方法及び平均光子数の推定装置 - Google Patents

平均光子数の推定方法及び平均光子数の推定装置 Download PDF

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慎二 大須賀
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Abstract

【課題】平均光子数を精度よく推定することが可能な推定方法、及び平均光子数の推定装置を提供する。【解決手段】電子増倍型CCD11を用いて撮像された画像データから、画素毎に平均光子数を推定する方法であって、電子増倍型CCD11の特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程S1と、準備工程S1で算出された確率分布を用いて、画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定工程S4と、を含み、推定工程S1は、ピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qが、それぞれ、l個、k個、m個の光子を検出した場合におけるピーク画素Pの画素値の確率分布を算出する。【選択図】図2

Description

本発明は、平均光子数の推定方法に関する。
従来、測定対象からの光を検出装置によって検出し、検出装置の出力値に基づいて測定対象から放出された光子の数を推定する定量方法が知られている。例えば、特許文献1には、光電子増倍管から出力される電流信号に基づいて、統計的な推定手法である最尤推定法を用いて光子数を推定することが記載されている。
極微弱光を検出するための検出装置としては、例えば非特許文献1に記載の電子増倍型CCD(EMCCD:Electron Multiplying Charge Coupled Devices)を搭載した撮像装置が知られている。
特開平9−196752号公報
A. G. Basden et al.,"Photon counting strategies with low-light-level CCDs" Mon. Not. R. Astron. Soc., 345, 985-991 (2003)
ところで、本発明者らは、極微弱光下でのイメージングのために、上記の電子増倍型CCDを用いて撮像された画像の画素値から平均光子数を推定することを検討している。しかしながら、電子増倍型CCDを用いて撮像された画像の画素値に対して、特許文献1に記載の最尤推定法を適用しても、平均光子数を精度よく推定することは困難であった。
本発明の一側面は、平均光子数を精度よく推定することが可能な推定方法、及び平均光子数の推定装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから、画素毎に平均光子数を推定する方法であって、電子増倍型CCDの特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程と、準備工程で算出された確率分布を用いて、画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定工程と、を含み、準備工程は、電子増倍型CCDの1画素で1光子が検出された準備用画像データを取得する第1工程と、第1工程で取得した準備用画像データから、1光子が検出されたピーク画素と、電子増倍型CCDにおける電荷の転送方向においてピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、転送方向においてピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値をそれぞれ取得する第2工程と、第2工程で取得したピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値に基づいてピーク画素で検出される光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、当該ピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素に発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する第3工程と、第3工程で算出したピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素、ピーク画素、及び第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素の画素値の確率分布を算出する第4工程と、を有し、推定工程は、画像データを取得する第5工程と、第4工程で算出したピーク画素の画素値の確率分布を用いて、画像データの各画素に対する平均光子数の尤度を算出する第6工程と、平均光子数の尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する第7工程と、を有する。
この平均光子数の推定方法は、電子増倍型CCDの特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程と、準備工程で算出された確率分布を用いて、画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定工程とを含んでいる。準備工程では、1光子が検出されたピーク画素と、電荷の転送方向においてピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、転送方向においてピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素、ピーク画素、及び第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素の画素値の確率分布を算出する。これにより、準備工程で算出されたピーク画素の画素値の確率分布に、電子増倍型CCDにおける電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映される。推定工程では、電子増倍型CCDの特性による影響が反映された確率分布を用いて平均光子数の尤度を算出し、この尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する。このように、この平均光子数の推定方法では、電子増倍型CCDの特性の1つである電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映された統計モデルが用いられるので、平均光子数を精度よく推定することが可能である。
推定工程は、画像データの隣接する画素間の平均光子数の差分の二乗和を算出する工程を更に有し、第7工程において、平均光子数の差分の二乗和を目的関数に反映させてもよい。この場合、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
第6工程において、平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して尤度を算出してもよい。この場合においても、平均光子数を精度よく推定することができる。
第3工程において、準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって電子増倍型CCDの読み出しノイズの確率分布を更に算出し、第4工程において、第3工程で算出したピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値の確率分布と、読み出しノイズの確率分布とに基づいて、ピーク画素の画素値の確率分布を算出してもよい。この場合、準備工程で算出されたピーク画素の画素値の確率分布に、電子増倍型CCDにおける電荷の転送に伴う損失による画素値への影響に加え、電子増倍型CCDの読み出しノイズによる画素値への影響も反映される。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
準備工程において、ピーク画素と、第1隣接画素と、第2隣接画素とを含む4つ以上の連続する画素の画素値に基づいてピーク画素の画素値の確率分布を算出してもよい。この場合、準備工程で算出されるピーク画素の画素値の確率分布の精度向上を図ることができる。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
本発明の一側面に係る平均光子数の推定装置は、電子増倍型CCDと、電子増倍型CCDに接続されると共に、当該電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定演算部と、を備え、推定演算部は、電子増倍型CCDの1画素で1光子が検出された準備用画像データ、及び画像データを取得する画像データ取得手段と、準備用画像データから、1光子が検出されたピーク画素と、電子増倍型CCDにおける電荷の転送方向においてピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、転送方向においてピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値をそれぞれ取得する画素値取得手段と、画素値取得手段によって取得されたピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値に基づいて、ピーク画素で検出される光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、当該ピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素に発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する第1確率分布算出手段と、第1確率分布算出手段によって算出されたピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素、ピーク画素、及び第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素の画素値の確率分布を算出する第2確率分布算出手段と、第2確率分布算出手段によって算出されたピーク画素の画素値の確率分布を用いて、画像データの各画素に対する平均光子数の尤度を算出する尤度算出手段と、尤度算出手段によって算出された尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する推定手段と、を有する。
この平均光子数の推定装置の推定演算部は、1光子が検出されたピーク画素と、電荷の転送方向においてピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、転送方向においてピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値の確率分布をそれぞれ算出する第1確率分布算出手段と、第1確率分布算出手段によって算出されたピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素、ピーク画素、及び第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素の画素値の確率分布を算出する第2確率分布算出手段とを有する。これにより、第2確率分布算出手段によって算出されたピーク画素の画素値の確率分布に、電子増倍型CCDにおける電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映される。推定演算部の尤度算出手段は、電子増倍型CCDの特性による影響が反映された確率分布を用いて平均光子数の尤度を算出し、推定演算部の推定手段は、尤度算出手段によって算出された尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する。このように、この平均光子数の推定装置では、電子増倍型CCDの特性の1つである電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映された統計モデルが用いられているので、平均光子数を精度よく推定することが可能である。
推定演算部は、画像データの隣接する画素間の平均光子数の差分の二乗和を算出する差分算出手段を更に備え、推定手段は、平均光子数の差分の二乗和を目的関数に反映させてもよい。この場合、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
尤度算出手段は、平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して尤度を算出してもよい。この場合においても、平均光子数を精度よく推定することができる。
推定演算部は、準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって電子増倍型CCDの読み出しノイズの確率分布を算出する読み出しノイズ算出手段を更に備え、第2確率分布算出手段は、第1確率分布算出手段によって算出されたピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素の画素値の確率分布と、読み出しノイズ算出手段によって算出された読み出しノイズの確率分布とに基づいて、ピーク画素の画素値の確率分布を算出してもよい。この場合、第2確率分布算出手段で算出されたピーク画素の画素値の確率分布に、電子増倍型CCDにおける電荷の転送に伴う損失による画素値への影響に加え、電子増倍型CCDの読み出しノイズによる画素値への影響も反映される。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
画素値取得手段は、ピーク画素と、第1隣接画素と、第2隣接画素とを含む4つ以上の連続する画素の画素値を取得し、第1確率分布算出手段及び第2確率分布算出手段は、4つ以上の連続する画素の画素値に基づいて確率分布を算出してもよい。この場合、第2確率分布算出手段によって算出されるピーク画素の画素値の確率分布の精度向上を図ることができる。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
本発明によれば、平均光子数を精度よく推定することが可能な推定方法、及び平均光子数の推定装置が提供される。
一実施形態に係る平均光子数の推定装置の概略構成図である。 一実施形態に係る平均光子数の推定方法を示すフローチャートである。 図2の準備工程における処理を示すフローチャートである。 図2の推定工程における処理を示すフローチャートである。 準備用画像データにおけるピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素を示す図である。 ピーク画素の画素値と、第1隣接画素の画素値との関係をプロットしたグラフである。 ピーク画素の画素値と、第2隣接画素の画素値との関係をプロットしたグラフである。 ピーク画素で検出された光子の数がk個である場合の第1隣接画素、ピーク画素、第2隣接画素の画素値の確率分布を示すグラフである。 本実施形態に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するための図である。 本実施形態に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するためのグラフである。 本実施形態に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するためのグラフである。 比較例に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するためのグラフである。
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係る平均光子数の推定装置の概略構成図である。図1に示される平均光子数の推定装置1は、例えば、細胞等の測定対象から発せられる極微弱光のイメージングにおいて、電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから平均光子数を推定するための装置である。図1に示されるように、平均光子数の推定装置1は、電子増倍型CCD(EMCCD:Electron Multiplying Charge Coupled Devices)11が搭載された撮像部10と、撮像部10に接続された推定演算部20とを備えている。
撮像部10は、平均光子数の推定に用いられる画像データを取得する部分である。撮像部10は推定演算部20とデータ通信可能に接続されており、電子増倍型CCD11を用いて撮像された画像のデータを推定演算部20に送信する。電子増倍型CCD11は、極微弱光を高いS/N比で検出するために用いられる検出装置である。電子増倍型CCD11は、一般的なCCDが有する水平シフトレジスタ(不図示)に加え、入射光から変換された電子を増幅させる機能を有する電子増倍レジスタ(不図示)を有している。これにより、電子増倍型CCD11は、電子増倍レジスタに通常よりも高い電圧を印加して電子の転送を行うことにより、電子を所定の増倍率で増倍することが可能である。
推定演算部20は、撮像部10からのデータを受け取り、電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから画素毎に平均光子数を推定する部分である。推定演算部20は、物理的には、プロセッサであるCPU(Central Processing Unit)と、記録媒体であるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)と、通信モジュールと、ディスプレイ、マウス、キーボード等の入出力デバイスとを含んだコンピュータ等の装置である。また、推定演算部20は、機能的な構成として、画像データ取得手段21と、画素値取得手段22と、読み出しノイズ算出手段23と、第1確率分布算出手段24と、第2確率分布算出手段25と、尤度算出手段26と、差分算出手段27と、推定手段28と、を有している。
以下、図1〜4を参照して、推定演算部20による処理を含めた平均光子数の推定装置1の動作を説明すると共に、本実施形態に係る平均光子数の推定方法について説明する。図2は、本実施形態に係る平均光子数の推定方法を示すフローチャートである。図3は、図2の平均光子数の推定方法の準備工程を示すフローチャートである。図4は、図2の平均光子数の推定方法の推定工程を示すフローチャートである。また、図5は、準備用画像データにおけるピーク画素、第1隣接画素、及び第2隣接画素を示す図である。図6は、ピーク画素の画素値と、第1隣接画素の画素値との関係をプロットしたグラフである。図7は、ピーク画素の画素値と、第2隣接画素の画素値との関係をプロットしたグラフである。図8は、ピーク画素で検出された光子の数がk個である場合の第1隣接画素、ピーク画素、第2隣接画素の画素値の確率分布を示すグラフである。
図2に示されるように、本実施形態に係る平均光子数の推定方法では、まず、電子増倍型CCD11の特性に基づいた画素値の確率分布を予め算出し(準備工程S1)、その結果をハードディスク等の記憶装置に保存する(工程S2)。その後、実際に平均光子数の推定を行う際に、保存された準備工程S1の結果をRAM等のメモリに読み出し(工程S3)、準備工程S1で算出された確率分布を用いて、画像データから画素毎に平均光子数を推定する(推定工程S4)。その後、次の画像データが存在するか否かを判断する(S5)。工程S5の判断の結果、次の画像データが存在した場合(S5−YES)には、再度推定工程S4を行い、画素毎に平均光子数を推定する。工程S5の判断の結果、次の画像データが存在しなかった場合(S5−NO)には、平均光子数の推定を終了する。
次に、図3を参照して、電子増倍型CCD11の特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程S1について詳細に説明する。準備工程S1では、まず、推定演算部20の画像データ取得手段21が、準備用画像データを取得する(第1工程S11)。ここで、準備用画像データとは、電子増倍型CCD11の1画素で1光子が検出された箇所を含む画像のデータである。このような準備用画像データは、例えば、光源の輝度を低下させて、1画素で検出される光子数が高々1となるように入射光強度を調整した後、この入射光強度で電子増倍型CCD11を一様に照射して撮像することによって取得することができる。入射光強度は、例えば、全画素数(ここでは512×512画素)に対して、光子を検出した箇所の割合が1%程度となるように調整され得る。第1工程S11では、準備用画像データを複数取得する。本実施形態では、1画素で1光子が検出された箇所が2900個程度含まれている画像2048枚を1セットとし、このようなセットを10セット取得する。この場合、1画素で1光子が検出された箇所の総数は、約6000万となる。
次に、図5に示されるように、推定演算部20の画素値取得手段22(図1参照)が、第1工程S11で取得した準備用画像データから、1光子が検出されたピーク画素Pと、第1隣接画素Oと、第2隣接画素Qと、を含む3つの連続する画素の画素値v,u,wをそれぞれ取得する(第2工程S12)。第1隣接画素Oは、電子増倍型CCD11における電荷の転送方向Aにおいてピーク画素Pの上流側に隣接する画素である。第2隣接画素Qは、転送方向Aにおいてピーク画素Pの下流側に隣接する画素である。図5に示される例では、準備用画像データの一部において、3組のピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値が取得されている。第1隣接画素Oの画素値u、ピーク画素Pの画素値v、第2隣接画素Qの画素値wの組合わせ(u,v,w)は、例えば、(63,221,14)、(31,344,5)、(47,348,46)である。
なお、1光子が検出されたピーク画素Pの判別は、例えば画素値に基づいてなされ得る。1光子が検出された画素における画素値は、例えば、150より大きくなるので、このような画素値を有する画素をピーク画素Pと判断することができる。本実施形態では、画素値が150より大きい点に加え、転送方向Aにおいて隣接する画素の画素値より大きい点、及び、転送方向Aにおいて、他のピーク画素Pから10画素以上離れている点を判別条件としている。上記の3つの条件を全て満たす画素をピーク画素Pと判別する。
次に、推定演算部20の読み出しノイズ算出手段23が、電子増倍型CCD11の読み出しノイズの確率分布を算出する(工程S13)。具体的には、準備用画像データからオフセット値を差し引いた後、準備用画像データの画素のうち、光子を検出していない画素の画素値の分布に式(1)のガウス分布をフィッティングすることにより、読み出しノイズzの確率分布の算出に必要となるσの値が求められる。式(1)のおけるσは標準偏差である。σの値としては、例えば、σ=16.5が得られる。
次に、第2工程S12で取得したピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値v,u,wに基づいて、ピーク画素Pで検出される光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、ピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qに発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する(第3工程S14)。第3工程S14は、推定演算部20の第1確率分布算出手段24によって行われる。
第3工程S14における確率分布の算出方法について具体的に説明する。図6は、ピーク画素Pの画素値vと、第1隣接画素Oの画素値uとの関係を示す二次元ヒストグラムである。図7は、ピーク画素Pの画素値vと、第2隣接画素Qの画素値wとの関係を示す2次元ヒストグラムである。図6及び図7の二次元ヒストグラムは、第2工程S12で取得した第1隣接画素Oの画素値u、ピーク画素Pの画素値v、第2隣接画素Qの画素値wの複数の組合わせ(u,v,w)に基づいて作成され得る。図6及び図7においては、グレースケールの色が濃い座標ほど発生頻度が高く、色が薄い座標ほど発生頻度が低いことを示している。画素値u,v,wのそれぞれに読み出しノイズzが付加される前の画素値を、それぞれ、画素値r,s,tとすると、画素値u,v,wは以下の式(2)のように表される。

ここで、x=r+s+tとすると、画素値r,s,tについて、それぞれ以下の式(3)〜(5)に示される関係式が導かれる。



式(3)〜(5)におけるα、β、γ、εは、図6及び図7のヒストグラムのデータに式(3)〜(5)を当てはめて求まる定数である。本実施形態における図6及び図7のヒストグラムのデータを用いた場合、α=19.1、β=216.0、γ=0.0467、ε=0.0378が得られる。
ここで、xの確率分布は、以下の式(6)に示される指数分布で表され得る。式(6)におけるμは、電子増倍型CCD11における電子の増倍率である。

電子増倍型CCD11における電子の増倍率μは、第2工程S12で取得した連続する3つの画素(第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Q)の画素値u,v,wの和のヒストグラムに対し、式(6)をフィッティングすることによって求めることができる。本実施形態の場合、増倍率μの値として、μ=212.0が得られる。
次に、以上の式(1)〜(6)に示される第2工程S12で取得したデータの解析結果に基づいて、読み出しノイズzが付加される前における第1隣接画素Oの画素値rの確率分布f(r)、ピーク画素Pの画素値sの確率分布g(s)、及び第2隣接画素Qの画素値tの確率分布h(t)を算出する。まず、xの累積確率をΩ(x)とすると、Ω(x)は下記の式(7)で示される。

準備用画像データのある画素において1光子が検出された場合(すなわちピーク画素Pとなる画素)の、この画素に対して転送方向Aの上流側の画素(すなわち第1隣接画素Oとなる画素)の、読み出しノイズzが付加される前の画素値rの確率分布f(r)は、任意の非負整数値rに対して、下記の式(8)によって表される。なお、R-1(r)は、R(x)の逆関数である。同様に、読み出しノイズzが付加される前のピーク画素Pの画素値sの確率分布g(s)は式(9)によって表され、読み出しノイズzが付加される前の第2隣接画素Qの画素値tの確率分布h(t)は式(10)によって表される。


次に、式(8)〜(10)に示される第1隣接画素Oの画素値rの確率分布f(r)、ピーク画素Pの画素値sの確率分布g(s)、及び第2隣接画素Qの画素値tの確率分布h(t)に基づいて、ピーク画素Pで検出された光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qに発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する。ピーク画素Pで検出された光子の数がk個(kは2以上且つ所定数以下の整数)である場合の第1隣接画素O、ピーク画素P、第2隣接画素Qの画素値の確率分布は、それぞれ、畳み込み積分を使った以下の漸化式(11)〜(13)によって算出することができる。本実施形態では、k=20までの各確率分布f(r)、g(s)、h(t)を算出しており、その結果は図8(a)〜(c)にそれぞれ示されている。なお、kの値の上限は20に限定されず、測定環境に応じて適宜設定され得る。


なお、ピーク画素Pにおいて光子が検出されていない場合、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qの画素値は何れも0となる。この場合の第1隣接画素Oの画素値r、ピーク画素Pの画素値s、第2隣接画素Qの画素値tの確率分布は、それぞれ、f(r)=δ(r)、g(s)=δ(s)、h(t)=δ(t)となる。ここで、δ(・)はディラックのデルタ関数である。
次に、第3工程で算出した第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qの画素値の確率分布f(r)、g(s)、h(t)に基づいて、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qが、それぞれ、l個、k個、m個の光子を検出した場合におけるピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)を算出する(第4工程S15)。ここで、l、k、mはそれぞれ1以上の整数である。第4工程S15は、推定演算部20の第2確率分布算出手段25によって行われる。ここで、l個の光子を検出した画素(すなわち第1隣接画素O)を基準とした場合、k個の光子を検出した画素(ピーク画素P)は、l個の光子を検出した画素の第2隣接画素に相当する。また、m個の光子を検出した画素(すなわち第2隣接画素Q)を基準とした場合、k個の光子を検出した画素(ピーク画素P)は、m個の光子を検出した画素の第1隣接画素に相当する。したがって、ピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)は、式(1)に示される読み出しノイズzを与えるガウス分布n(z)、及び、第3工程S14で算出した式(11)〜(13)に示される各確率分布f(r)、g(s)、h(t)を用いて、以下の式(14)に示す畳み込み積分によって算出される。本実施形態では、例えば、0から20までのk、l、mの各組合わせについて、確率分布φk,l,m(y)を算出する。以上の工程により、電子増倍型CCD11の特性に基づいた画素値の確率分布φk,l,m(y)が算出され、準備工程が完了する。
続いて、推定工程S4について詳細に説明する。推定工程S4では、まず、電子増倍型CCD11を用いて、平均光子数の推定に用いられる画像データを取得する(第5工程S41)。平均光子数の推定に用いられる画像データの取得は、画像データ取得手段21によって行われ、画像データの画素値の取得は、画素値取得手段22によって行われる。以下の説明では、第5工程S41で取得した画像データを{yi,j}と標記し、画像データ{yi,j}に含まれる1の画素を(i,j)、画素(i,j)における画素値をyi,jとして説明する場合がある。なお、iは電子増倍型CCD11における電子の転送方向Aにおける画素の位置を示し、jは転送方向Aに交差する方向における画素の位置を示している。
次に、準備工程S1で算出した画素値の確率分布φk,l,m(y)を用いて、画像データ{yi,j}の各画素(i,j)に対する平均光子数の尤度を算出する(第6工程S42)。第6工程S42は、推定演算部20の尤度算出手段26によって行われる。第6工程S42では、まず、画素(i,j)において検出される光子数の平均がλi,jであるときに、画素(i,j)で光子が検出されたことによる画素値yi,jへの寄与分をsとし、寄与分sの確率分布G(s)を計算する。画素(i,j)で検出される光子数がポアソン分布に従うと仮定すると、確率分布G(s)は下記の式(15)によって算出される。ここで、式(15)におけるNは、準備工程S1において確率分布φk,l,m(y)を算出する際に用いたl、k、mの上限値である。本実施形態においては、Nの値は例えば20である。
次に、画素(i−1,j)において検出される光子数の平均がλi−1,jであるときに、画素(i−1,j)で光子が検出されたことによる画素値yi,jへの寄与分をtとし、寄与分tの確率分布H(t)を計算する。画素(i−1,j)で検出される光子数がポアソン分布に従うと仮定すると、確率分布H(t)は下記の式(16)によって算出される。
更に、画素(i+1,j)において検出される光子数の平均がλi+1,jであるときに、画素(i+1,j)で光子が検出されたことによる画素値yi,jへの寄与分をrとし、寄与分rの確率分布F(r)を計算する。画素(i+1,j)で検出される光子数がポアソン分布に従うと仮定すると、確率分布F(r)は下記の式(17)によって算出される。
以上の式(15)〜(17)により、連続する3つの画素(i−1,j)、(i,j)、(i+1,j)において検出される光子数の平均が、それぞれ、λi−1,j、λi,j、λi+1,jである場合、画素(i,j)の画素値yi,jの確率分布はyi,j=s+t+r+zであることから、下記の式(18)で表される。ここで、zはガウス分布n(z)に従う読み出しノイズである。

そして、画像データ{yi,j}が得られる確率は下記の式(19)で表され、画像データ{yi,j}に対する対数尤度は、下記の式(20)で表される。

次に、画像データ{yi,j}の隣接する画素間の平均光子数λi,jの差分の二乗和を算出する(工程S43)。本実施形態では、転送方向Aにおいて隣り合う画素間、及び転送方向Aに直交する方向において隣り合う画素間の平均光子数λi,jの差分の二乗和をそれぞれ算出する。この工程S43は、差分算出手段27によって行われる。隣り合う画素間の平均光子数λi,jの差分の二乗和は、下記の式(21)によって算出することができる。
次に、第6工程S42で算出した式(20)によって表される平均光子数の尤度、及び、工程S43で算出した式(21)によって表される平均光子数λi,jの差分の二乗和に基づいて、目的関数を求める。本実施形態では、隣接する画素間では、検出される光子数は大きくは異ならないと仮定して、差分の二乗和ψをペナルティとして対数尤度に反映させたものを目的関数とし、この目的関数を最大化することによって平均光子数画像{λi,j}を推定する(第7工程S44)。目的関数は、下記の式(22)によって表される。なお、本実施形態における実際の計算としては、式(22)に−1を乗算して目的関数とし、共役勾配法により最小化して計算を行う。この計算式は、下記の式(23)によって示される。以上の工程により、画像データ{yi,j}から平均光子数画像{λi,j}が推定され、推定工程S4が完了する。

続いて、図9〜11を参照して、本実施形態に係る平均光子数の推定装置1及び推定方法による平均光子数画像の推定結果について説明する。図9〜11は、本実施形態に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するためのグラフである。図9(a)は、測定対象となるグレースケールパターンを示している。図9(b)は、電子増倍型CCD11により得られた画像データを示している。図9(c)は、図9(b)の画像データから推定された平均光子数画像を示している。図9(b)に示される画像データは、パルス点灯するLEDからの極微弱光によって照明された図9(a)に示されるパターンを、電子増倍型CCD11を用いて撮像したものである。なお、本実施形態で用いられた電子増倍型CCD11の画素数は512×512画素であるが、図9(b)では、中央部の256×256画素の画像を示している。
図10は、図9(c)のラインL1上の推定値のプロファイルを示している。ラインL1は、j=78の一列の画素上に位置している。ここでは、LEDの点灯パルス幅を200μ秒、400μ秒、800μ秒として、それぞれ100枚の平均光子数画像の推定を行い、j=78の一列の画素の推定値がプロットされている。分散したそれぞれの点が各100枚の平均光子数画像からの推定値を示しており、一点鎖線、点線、実線は、それぞれ、パルス幅が200μ秒、400μ秒、800μ秒の場合の平均値を示している。LEDの点灯パルスとしては矩形パルスが用いられているので、電子増倍型CCD11によって検出される光強度は、LEDのパルス幅に比例する。図10に示される結果から、照明用LEDの点灯時間(すなわち光強度)に比例した平均光子数画像が推定されていることが確認できる。
図11は、図10のラインL2上の推定値の平均値とLEDのパルス幅との関係を示している。ラインL2は、i=78の一列の画素上に位置している。すなわち、図11は、画素(78,78)における推定値の平均値とLEDのパルス幅との関係を示している。図11に示されるように、画素(78,78)における推定値の平均値とパルス幅とは、良好な直線関係にある。これにより、本実施形態に係る平均光子数の推定装置1及び推定方法によって、平均光子数を定量的に精度よく推定できていることが確認できる。
次に、図12を参照して、比較例に係る平均光子数の推定方法による推定結果について説明する。図12は、比較例に係る平均光子数の推定方法による推定結果を説明するための図である。比較例に係る平均光子数の推定方法では、電子増倍型CCD11の1画素の画素値の分布のみに基づいて、その画素における平均光子数を推定している点で、本発明に係る平均光子数の推定方法と相違している。
図12は、図11と同様に、LEDの点灯パルス幅を200μ秒、400μ秒、800μ秒として、それぞれ8175枚の画像を取得し、画素(78,78)における画素値の分布から比較例に係る平均光子数の推定方法により推定された平均光子数とLEDのパルス幅との関係を示したものである。図12に示されるように、比較例に係る平均光子数の推定方法では、画素(78,78)における平均光子数の推定値とパルス幅とは直線関係になく、平均光子数を正確に推定できていないことが確認できる。図12に示される結果と図11に示される結果とを比較すると、本実施形態に係る平均光子数の推定方法では、比較例に係る平均光子数の推定方法より正確に平均光子数を推定できていることが確認できる。
以上説明したように、本実施形態に係る平均光子数の推定方法は、電子増倍型CCD11の特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程S1と、準備工程S1で算出された確率分布φk,l,m(y)を用いて、画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定工程S4とを含んでいる。準備工程S1では、1光子が検出されたピーク画素Pと、電荷の転送方向Aにおいてピーク画素Pの上流側に隣接する第1隣接画素Oと、転送方向Aにおいてピーク画素Pの下流側に隣接する第2隣接画素Qとを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qが、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素Pの画素値の確率分布を算出する。これにより、準備工程S1で算出されたピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)に、電子増倍型CCD11における電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映される。推定工程S4では、電子増倍型CCD11の特性による影響が反映された確率分布φk,l,m(y)を用いて平均光子数の尤度を算出し、この尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する。このように、この平均光子数の推定方法では、電子増倍型CCD11の特性の1つである電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映された統計モデルが用いられるので、平均光子数を精度よく推定することが可能である。
また、推定工程S4は、画像データの隣接する画素間の平均光子数の差分の二乗和ψを算出する工程S43を更に有し、第7工程S44において、平均光子数の差分の二乗和ψを目的関数に反映させる。これにより、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
また、本実施形態に係る平均光子数の推定方法では、第6工程S42において、平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して尤度を算出する。この場合においても、平均光子数を精度よく推定することができる。
また、本実施形態に係る平均光子数の推定方法では、準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって電子増倍型CCD11の読み出しノイズの確率分布を更に算出し(工程S13)、第4工程S15において、第3工程S14で算出したピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値の確率分布と、読み出しノイズの確率分布とに基づいて、ピーク画素の画素値の確率分布φk,l,m(y)を算出する。これにより、準備工程S1で算出されたピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)に、電子増倍型CCD11における電荷の転送に伴う損失による画素値への影響に加え、電子増倍型CCD11の読み出しノイズによる画素値への影響も反映される。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
本実施形態に係る平均光子数の推定装置1の推定演算部20は、1光子が検出されたピーク画素Pと、電荷の転送方向Aにおいてピーク画素Pの上流側に隣接する第1隣接画素Oと、転送方向Aにおいてピーク画素Pの下流側に隣接する第2隣接画素Qとを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値の確率分布をそれぞれ算出する第1確率分布算出手段24と、第1確率分布算出手段24によって算出されたピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値の確率分布に基づいて、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qが、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合におけるピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)を算出する第2確率分布算出手段25とを有する。これにより、第2確率分布算出手段25によって算出されたピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)に、電子増倍型CCD11における電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映される。推定演算部20の尤度算出手段26は、電子増倍型CCD11の特性による影響が反映された確率分布を用いて平均光子数の尤度を算出し、推定演算部20の推定手段28は、尤度算出手段26によって算出された尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、平均光子数を推定する。このように、この平均光子数の推定装置1では、電子増倍型CCD11の特性の1つである電荷の転送に伴う損失(Charge Transfer Inefficiency)による画素値への影響が反映された統計モデルが用いられているので、平均光子数を精度よく推定することが可能である。
また、推定演算部20は、画像データの隣接する画素間の平均光子数の差分の二乗和ψを算出する差分算出手段27を更に備え、推定手段28は、平均光子数の差分の二乗和ψを目的関数に反映させる。これにより、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
また、尤度算出手段26は、平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して尤度を算出する。この場合においても、平均光子数を精度よく推定することができる。
また、推定演算部20は、準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって電子増倍型CCD11の読み出しノイズの確率分布を算出する読み出しノイズ算出手段23を更に備え、第2確率分布算出手段25は、第1確率分布算出手段24によって算出されたピーク画素P、第1隣接画素O、及び第2隣接画素Qの画素値の確率分布と、読み出しノイズ算出手段23によって算出された読み出しノイズの確率分布とに基づいて、ピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)を算出する。これにより、第2確率分布算出手段25で算出されたピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)に、電子増倍型CCD11における電荷の転送に伴う損失による画素値への影響に加え、電子増倍型CCD11の読み出しノイズによる画素値への影響も反映される。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。例えば、上記の実施形態では、第1隣接画素O、ピーク画素P、及び第2隣接画素Qの連続する3つの画素に基づいて確率分布φk,l,m(y)を算出する例について説明したが、準備工程S1において、第1隣接画素Oと、ピーク画素Pと、第2隣接画素Qとを含む4つ以上の連続する画素の画素値に基づいてピーク画素の画素値の確率分布を算出してもよい。一例として、転送方向Aにおいて第1隣接画素Oの上流側に隣接する第3隣接画素Rを更に含む4つの画素に基づいて確率分布を算出する場合、第3工程S14において、第1確率分布算出手段24によって第3隣接画素Rの画素値の確率分布ε(q)を求める。そして、第4工程S15において、第2確率分布算出手段25によって、転送方向Aに沿った4つの4つの連続した画素が、それぞれ、l個、k個、m個、o個の光子を検出した場合におけるk個の光子を検出した画素の画素値の確率分布φk,l,m,o(y)を下記の式(24)により算出する。なお、l個の光子を検出した画素を基準とした場合、k個の光子を検出した画素は、l個の光子を検出した画素の第2隣接画素に相当する。また、m個の光子を検出した画素を基準とした場合、k個の光子を検出した画素は、m個の光子を検出した画素の第1隣接画素に相当する。さらに、o個の光子を検出した画素を基準とした場合、k個の光子を検出した画素は、o個の光子を検出した画素の第3隣接画素に相当する。したがって、ピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m,o(y)は下記の式(24)によって表される。その後、第6工程S42において、尤度算出手段26によって対数尤度を算出する。この場合の対数尤度は、下記の式(25)及び式(26)によって算出され得る。この場合、準備工程S1において第2確率分布算出手段25によって算出されるピーク画素Pの画素値の確率分布の精度向上を図ることができる。したがって、平均光子数を更に精度よく推定することができる。


また、上記の実施形態では、推定工程S4が画像データの隣接する画素間の平均光子数の差分の二乗和を算出する工程S43を更に有し、第7工程S44において、平均光子数の差分の二乗和ψをペナルティとして目的関数に反映させる例について説明したが、目的関数に反映させる関数は差分の二乗和に限定されない。例えば、下記の式(27)によって表される関数をペナルティとして目的関数に反映させてもよい。なお、式(27)におけるξは、ペナルティの増加傾向の変曲点の位置を調整するパラメータである。上記の式(21)で求められる差分の二乗和ψをペナルティとする場合、差分が大きくなるほどペナルティも大きくなる。これに対し、下記の式(27)で表される関数をペナルティとする場合、ξに比べて差分が十分に小さいときには差分の二乗に比例したペナルティとなり、差分がξよりも大きくなると、ペナルティの増加は式(21)に比べて緩やかになる。このため、式(27)で表される関数は、画像データが平均光子数が急峻に変化するエッジを有する場合に、好適に適用され得る。
また、上記の実施形態では、準備工程S1によって確率分布φk,l,m(y)を算出した後に推定工程S4を行う例について説明したが、同一の電子増倍型CCD11を用いて撮像した複数の画像データから平均光子数を推定する場合には、確率分布φk,l,m(y)を1度だけ算出し、その後推定工程S4のみを行ってもよい。
また、上記の実施形態では、第6工程S42において、尤度算出手段26によって平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して尤度を算出する例について説明したが、平均光子数が他の確率分布に従うと仮定してもよい。
また、上記の実施形態では、ガウス分布をフィッティングすることによって電子増倍型CCD11の読み出しノイズの確率分布を算出する例について説明したが、読み出しノイズは、他の確率分布をフィッティングすることによって算出されてもよい。
また、第4工程S15において、第3工程S14で算出した画素値の確率分布と、読み出しノイズの確率分布とに基づいて、ピーク画素Pの画素値の確率分布φk,l,m(y)を算出する例について説明したが、第4工程S15では、第3工程S14で算出した画素値の確率分布のみに基づいて確率分布φk,l,m(y)を算出してもよい。
1…推定装置、10…撮像部、11…電子増倍型CCD、20…推定演算部、21…画像データ取得手段、22…画素値取得手段、23…読み出しノイズ算出手段、24…第1確率分布算出手段、25…第2確率分布算出手段、26…尤度算出手段、27…差分算出手段、28…推定手段、A…転送方向、O…第1隣接画素、P…ピーク画素、Q…第2隣接画素、S1…準備工程、S4…推定工程、S11…第1工程、S12…第2工程、S14…第3工程、S15…第4工程、S41…第5工程、S42…第6工程、S44…第7工程。

Claims (10)

  1. 電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから、画素毎に平均光子数を推定する方法であって、
    前記電子増倍型CCDの特性に基づいた画素値の確率分布を算出する準備工程と、
    前記準備工程で算出された前記確率分布を用いて、前記画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定工程と、を含み、
    前記準備工程は、
    前記電子増倍型CCDの1画素で1光子が検出された準備用画像データを取得する第1工程と、
    前記第1工程で取得した準備用画像データから、1光子が検出されたピーク画素と、前記電子増倍型CCDにおける電荷の転送方向において前記ピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、前記転送方向において前記ピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値をそれぞれ取得する第2工程と、
    前記第2工程で取得した前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値に基づいて前記ピーク画素で検出される光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、当該ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素に発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する第3工程と、
    前記第3工程で算出した前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値の確率分布に基づいて、前記第1隣接画素、前記ピーク画素、及び前記第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合における前記ピーク画素の画素値の確率分布を算出する第4工程と、を有し、
    前記推定工程は、
    前記画像データを取得する第5工程と、
    前記第4工程で算出した前記ピーク画素の画素値の確率分布を用いて、前記画像データの各画素に対する前記平均光子数の尤度を算出する第6工程と、
    前記平均光子数の前記尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、前記平均光子数を推定する第7工程と、を有する、平均光子数の推定方法。
  2. 前記推定工程は、前記画像データの隣接する画素間の前記平均光子数の差分の二乗和を算出する工程を更に有し、
    前記第7工程において、前記平均光子数の差分の二乗和を前記目的関数に反映させる、請求項1に記載の平均光子数の推定方法。
  3. 前記第6工程において、前記平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して前記尤度を算出する、請求項1又は2に記載の平均光子数の推定方法。
  4. 前記第3工程において、前記準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって前記電子増倍型CCDの読み出しノイズの確率分布を更に算出し、
    前記第4工程において、前記第3工程で算出した前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値の確率分布と、前記読み出しノイズの確率分布とに基づいて、前記ピーク画素の画素値の確率分布を算出する、請求項1〜3の何れか一項に記載の平均光子数の推定方法。
  5. 前記準備工程において、前記ピーク画素と、前記第1隣接画素と、前記第2隣接画素とを含む4つ以上の連続する画素の画素値に基づいて前記ピーク画素の画素値の確率分布を算出する、請求項1〜4の何れか一項に記載の平均光子数の推定方法。
  6. 電子増倍型CCDが搭載された撮像部と、
    前記撮像部に接続されると共に、前記電子増倍型CCDを用いて撮像された画像データから画素毎に平均光子数を推定する推定演算部と、を備え、
    前記推定演算部は、
    前記電子増倍型CCDの1画素で1光子が検出された準備用画像データ、及び前記画像データを取得する画像データ取得手段と、
    前記準備用画像データから、1光子が検出されたピーク画素と、前記電子増倍型CCDにおける電荷の転送方向において前記ピーク画素の上流側に隣接する第1隣接画素と、前記転送方向において前記ピーク画素の下流側に隣接する第2隣接画素とを含む少なくとも3つの連続する画素の画素値をそれぞれ取得する画素値取得手段と、
    前記画素値取得手段によって取得された前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値に基づいて、前記ピーク画素で検出される光子の数が2以上且つ所定数以下であるそれぞれの場合について、当該ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素に発生する画素値の確率分布をそれぞれ算出する第1確率分布算出手段と、
    前記第1確率分布算出手段によって算出された前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値の確率分布に基づいて、前記第1隣接画素、前記ピーク画素、及び前記第2隣接画素が、それぞれ、l個、k個、m個(l、k、mは1以上の整数)の光子を検出した場合における前記ピーク画素の画素値の確率分布を算出する第2確率分布算出手段と、
    前記第2確率分布算出手段によって算出された前記ピーク画素の画素値の確率分布を用いて、前記画像データの各画素に対する前記平均光子数の尤度を算出する尤度算出手段と、
    前記尤度算出手段によって算出された前記尤度に基づいた目的関数を最大化することにより、前記平均光子数を推定する推定手段と、を有する、平均光子数の推定装置。
  7. 前記推定演算部は、前記画像データの隣接する画素間の前記平均光子数の差分の二乗和を算出する差分算出手段を更に備え、
    前記推定手段は、前記平均光子数の差分の二乗和を前記目的関数に反映させる、請求項6に記載の平均光子数の推定装置。
  8. 前記尤度算出手段は、前記平均光子数がポアソン分布に従うと仮定して前記尤度を算出する、請求項6又は7に記載の平均光子数の推定装置。
  9. 前記推定演算部は、前記準備用画像データのうち、光子が検出されていない画素の画素値の分布にガウス分布をフィッティングすることによって前記電子増倍型CCDの読み出しノイズの確率分布を算出する読み出しノイズ算出手段を更に備え、
    前記第2確率分布算出手段は、前記第1確率分布算出手段によって算出された前記ピーク画素、前記第1隣接画素、及び前記第2隣接画素の画素値の確率分布と、前記読み出しノイズ算出手段によって算出された前記読み出しノイズの確率分布とに基づいて、前記ピーク画素の画素値の確率分布を算出する、請求項6〜8の何れか一項に記載の平均光子数の推定装置。
  10. 前記画素値取得手段は、前記ピーク画素と、前記第1隣接画素と、前記第2隣接画素とを含む4つ以上の連続する画素の画素値を取得し、
    前記第1確率分布算出手段及び前記第2確率分布算出手段は、前記4つ以上の連続する画素の画素値に基づいて確率分布を算出する、請求項6〜9の何れか一項に記載の平均光子数の推定装置。
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