JP2020037721A - 六角板状銀ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[2]前記第1の水溶液における前記クエン酸銀と前記アンモニアの配合比は、モル比で、1:8〜1:20である[1]に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
[3]前記銀ナノ粒子は、クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第2の水溶液に単色可視光を照射して得られたものである[1]または[2]に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
[4]前記第1の水溶液に照射する前記単色可視光の波長により、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長を制御する[1]〜[3]のいずれかに記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
[5]クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第3の水溶液に単色可視光を照射して銀ナノ粒子を形成する工程と、前記第3の水溶液を遠心分離して、前記第3の水溶液中に前記銀ナノ粒子を沈殿させ、沈殿した前記銀ナノ粒子と上澄み液とを分離する工程と、前記上澄み液を超純水に置換して、第4の水溶液を調製する工程と、前記第4の水溶液に単色可視光を照射する工程と、を含む六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
[6]前記第4の水溶液に照射する前記単色可視光の波長により、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長を制御する[5]に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[六角板状銀ナノ粒子の製造方法]
本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法は、クエン酸銀の濃度が0.001mmol/L〜0.350mmol/Lかつアンモニアの濃度が0.008mmol/L〜26.000mmol/Lである第1の水溶液に銀ナノ粒子を分散させて、銀ナノ粒子を含む第1の水溶液に単色可視光を照射する。本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法は、粒子径が揃った(単分散化した)六角板状銀ナノ粒子を製造する方法である。
第1の水溶液に用いられる水は、特に限定されないが、不純物がほとんど含まれないため、より粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られ易いことから、超純水であることが好ましい。
第1の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記下限値未満では、第1の水溶液に単色可視光を照射しても、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られない。一方、第1の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記上限値を超えると、第1の水溶液に対する単色可視光の照射で粒子径が小さい銀ナノ粒子が新たに形成され始め、その銀ナノ粒子が六角板状銀ナノ粒子の単分散化を阻害する。
第1の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記下限値未満では、第1の水溶液に単色可視光を照射しても、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られない。一方、第1の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記上限値を超えると、銀イオンに対する単色可視光の照射による還元が起こらなくなるため、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られない。
第1の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:20未満の低アンモニア濃度状態ではクエン酸銀が溶解されず、第1の水溶液に単色可視光を照射しても、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られない。一方、第1の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:8を超えると、銀イオンに対する単色可視光の照射による還元が起こらなくなるため、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られない。
第1の水溶液における銀ナノ粒子密度が上記の範囲内であれば、第1の水溶液に単色可視光を照射することにより、粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られ、また、第1の水溶液に対する単色可視光の照射で粒子径が小さい銀ナノ粒子が新たに形成されることがない。
水溶液の紫外可視吸光度測定において、LSPRによる吸光ピーク強度は銀ナノ粒子密度に比例する。銀ナノ粒子密度が公知の水溶液に対する光吸収スペクトルからLSPRによる吸収ピーク強度に対して銀ナノ粒子密度の検量を行い、その値に基づいて第1の水溶液における銀ナノ粒子密度を評価する。
第2の粒子の製造方法を説明する。
水に、クエン酸銀とアンモニアを溶解して、クエン酸銀クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第2の水溶液を調製し、この第2の水溶液に単色可視光を照射する。これにより、水溶液中に第2の粒子が形成される。
第2の水溶液に用いられる水は、特に限定されないが、不純物がほとんど含まれないため、六角板状銀ナノ粒子が形成され易いことから、超純水であることが好ましい。
第2の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記下限値未満では、第2の水溶液に単色可視光を照射しても、第2の粒子が得られない。一方、第2の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記上限値を超えると、クエン酸銀が完全に溶解しない。
第2の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記下限値未満では、第2の水溶液に単色可視光を照射しても、第2の粒子が得られない。一方、第2の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記上限値を超えると、単位光照射量当たりの銀ナノ粒子の形成量が減少し、第2の粒子が得られ難くなる。
第2の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:20未満の低アンモニア濃度状態ではクエン酸銀が溶解されず、第2の水溶液に単色可視光を照射しても、第2の粒子が得られない。一方、第2の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:8を超えると、銀イオンに対する単色可視光の照射による還元が起こらなくなるため、六角板状銀ナノ粒子が得られない。
本実施形態では、形成される六角板状銀ナノ粒子の平均辺長(六角形の一辺の長さの平均)を勘案して、単色可視光を選択し、第2の水溶液に照射する。
第2の水溶液に照射する単色可視光の光子エネルギーが上記下限値未満では、第2の粒子が得られない。一方、第2の水溶液に照射する単色可視光の光子エネルギーが2.77eVを超えると、六角板状銀ナノ粒子に加えて球形の銀ナノ粒子が形成され始め、3.40eVを超えると、球形の銀ナノ粒子のみが形成される。
第2の水溶液に単色可視光を照射する強度および時間が上記の範囲内であれば、第2の粒子を充分に形成することができる。
これらの中でも、本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法で用いられるのは、第2の粒子である。そこで、単色可視光の照射が終了した第2の水溶液を遠心分離して、第2の水溶液中に第2の粒子を沈殿させ、沈殿した第2の粒子と上澄み液とを分離して、第2の粒子を回収する。分離した上澄み液には、銀イオンと銀ナノ粒子の種が含まれる。
遠心分離の強度は、第2の粒子と、銀イオンおよび銀ナノ粒子の種を含む上澄み液とを分離できれば、特に限定されないが、例えば、相対遠心加速度(Rerative Centrifugal Force:RCF)を9400Gとする。また、遠心分離の時間を30分とする。
電子顕微鏡観察用グリッドに含ナノ粒子水溶液を滴下した後、乾燥し、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)により第2の粒子(六角板状銀ナノ粒子)を観察する。100個以上の六角板状銀ナノ粒子について底面積を求め、第2の粒子を正六角形とみなして、正六角形の辺長を評価し、それらの値の平均値を平均辺長とする。
電子顕微鏡観察用グリッドに含ナノ粒子水溶液を滴下した後、乾燥し、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)により第2の粒子(六角板状銀ナノ粒子)を観察する。このとき、ほぼ直立状態の10個程度の六角板状銀ナノ粒子について、直立状態からの傾き角の影響を幾何学的に勘案しつつ厚さを評価し、それらの値の平均値を平均厚さとする。
100個以上の第2の粒子について底面積を求め、第2の粒子を正六角形とみなして、正六角形の辺長を評価し、それらの値の平均値を平均厚さとする。
三角板状の銀ナノ粒子を用いる場合、三角形の一辺の長さの平均(平均辺長)が20nm〜60nmであることが好ましく、厚さが5nm〜9nmであることが好ましい。
分散装置としては、例えば、撹拌機等が挙げられる。
本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法では、照射光で励起されるLSPRにより光エッチング効果が働くことで辺長方向への粒子成長が抑制され、辺長が揃う機構を有効活用することを勘案して、第1の粒子のLSPRが励起される波長と同じか、より長い波長の単色可視光を選択し、銀ナノ粒子を含む第1の水溶液に、単色可視光を照射する。すなわち、本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法では、第1の水溶液に照射する単色可視光の波長により、最終的に得られる六角板状銀ナノ粒子(第1の粒子)の平均辺長を制御する。
第1の水溶液に単色可視光を照射する強度および時間が上記の範囲内であれば、第2の粒子を充分に単分散化することができる。
第1の粒子の厚さは、第2の粒子と同様にして測定される。
[六角板状銀ナノ粒子の製造方法]
本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法は、クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第3の水溶液に単色可視光を照射して銀ナノ粒子を形成する工程(工程A)と、第3の水溶液を遠心分離して、第3の水溶液中に銀ナノ粒子を沈殿させ、沈殿した銀ナノ粒子と上澄み液とを分離する工程(工程B)と、上澄み液を超純水に置換して、第4の水溶液を調製する工程(工程C)と、第4の水溶液に単色可視光を照射する工程(工程D)と、を含む。
第3の水溶液に用いられる水は、特に限定されないが、不純物がほとんど含まれないため、より粒子径が揃った六角板状銀ナノ粒子が得られ易いことから、超純水であることが好ましい。
第3の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記下限値未満では、第3の水溶液に単色可視光を照射しても、銀ナノ粒子が得られない。一方、第3の水溶液におけるクエン酸銀の濃度が上記上限値を超えると、クエン酸銀が完全に溶解しない。
第3の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記下限値未満では、第3の水溶液に単色可視光を照射しても、銀ナノ粒子が得られない。一方、第3の水溶液におけるアンモニアの濃度が上記上限値を超えると、単位光照射量当たりの銀ナノ粒子の形成量が減少し、銀ナノ粒子が得られ難くなる。
第3の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:20未満の低アンモニア濃度状態ではクエン酸銀が溶解されず、第3の水溶液に単色可視光を照射しても、銀ナノ粒子が得られない。一方、第3の水溶液におけるクエン酸銀とアンモニアの配合比が、モル比で、1:8を超えると、銀イオンに対する単色可視光の照射による還元が起こらなくなるため、銀ナノ粒子が得られない。
本実施形態では、形成される銀ナノ粒子の大きさを勘案して、単色可視光を選択し、第3の水溶液に照射する。
第3の水溶液に照射する単色可視光の光子エネルギーが上記下限値未満では、銀ナノ粒子が得られない。一方、第3の水溶液に照射する単色可視光の光子エネルギーが2.77eVを超えると、六角板状銀ナノ粒子に加えて球形の銀ナノ粒子が形成され始め、3.40eVを超えると、球形の銀ナノ粒子のみが形成される。
第3の水溶液に単色可視光を照射する強度および時間が上記の範囲内であれば、第3の粒子を充分に形成することができる。
六角板状銀ナノ粒子は、六角形の一辺の長さ(辺長)の平均(平均辺長)が20nm〜60nmであることが好ましく、厚さの平均(平均厚さ)が5nm〜10nmの粒子であることが好ましい。
三角板状の銀ナノ粒子を用いる場合、三角形の一辺の長さの平均(平均辺長)が20nm〜60nmであることが好ましく、厚さが5nm〜9nmであることが好ましい。
すなわち、工程Cでは、工程Bで分離した銀ナノ粒子を、超純水に分散させて、銀ナノ粒子に含まれる微量の第3の水溶液を希釈して、クエン酸銀の濃度が0.001mmol/L〜0.350mmol/Lかつアンモニアの濃度が0.8mmol/L〜5.5mmol/Lであり、銀ナノ粒子を含む第4の溶液を調製する。ここで、銀ナノ粒子に含まれる微量の第3の水溶液を希釈する倍率は、上記の濃度範囲とすることができれば、特に限定されないが、20倍〜1000倍であることが好ましい。
本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法では、照射光で励起されるLSPRにより光エッチング効果が働くことで辺長方向への粒子成長が抑制され、辺長が揃う機構を有効活用することを勘案して、六角板状銀ナノ粒子のLSPRが励起される波長と同じか、より長い波長の単色可視光を選択し、銀ナノ粒子を含む第4の水溶液に、単色可視光を照射する。すなわち、本実施形態の六角板状銀ナノ粒子の製造方法では、第4の水溶液に照射する単色可視光の波長により、最終的に得られる六角板状銀ナノ粒子の平均辺長を制御する。
第4の水溶液に単色可視光を照射する強度および時間が上記の範囲内であれば、六角板状銀ナノ粒子を充分に単分散化することができる。
36℃の恒温槽で半日以上保管した超純水に、室温のクエン酸銀とアンモニアを添加しながら撹拌して、超純水に、クエン酸銀とアンモニアを溶解して、クエン酸銀の濃度が6.6mmol/L、アンモニアの濃度が106mmol/Lのクエン酸銀水溶液を調製した。このとき、室温暗中にて、ホットステアラーを用いて水溶液の温度が36℃になるように調整し、撹拌した。
また、調整後のクエン酸銀水溶液は、単色可視光を照射するまで、36℃の恒温槽で保管した。
このクエン酸銀水溶液に、LED素子から単色可視光(波長:504nm、光子エネルギー:2.46eV)を2.4mW/cm2の強度で5時間照射した。
単色可視光の照射量を、4.2J/cm2、8.5J/cm2、13J/cm2、17J/cm2、25J/cm2、34J/cm2、42J/cm2として、それぞれの照射強度におけるクエン酸銀水溶液の吸光度を測定した。
クエン酸銀水溶液の吸光度は、光路長1cmの石英セルにクエン酸銀水溶液を入れ、紫外可視赤外分光光度計(商品名:V−650 iRM、日本分光株式会社製)を用いて測定した。
結果を図1に示す。
図1に示す結果から、単色可視光の照射量が多くなるに従って、クエン酸銀水溶液の吸光度が高くなることが分かった。
実験例1で調製したクエン酸銀水溶液に、LED素子から単色可視光を2.4mW/cm2の強度で照射し、クエン酸銀水溶液中に、六角板状銀ナノ粒子を形成した。
本実験例2では、クエン酸銀水溶液に照射する単色可視光の色と照射強度を以下の通りに変化させた。
(i)赤色(red)光(波長:627nm、光子エネルギー:1.97eV)、照射量:190J/cm2
(ii)琥珀色(amber)光(波長:590nm、光子エネルギー:2.10eV)、照射量:18J/cm2
(iii)緑色(green)光(波長:530nm、光子エネルギー:2.34eV)、照射量:59J/cm2
(iv)シアン色(cyan)光(波長:504nm、光子エネルギー:2.46eV)、照射量:38J/cm2
それぞれの単色可視光の照射によって形成された六角板状銀ナノ粒子の平均辺長(Dhex、単位:nm)と厚さ(thex、単位:nm)を測定した。
六角板状銀ナノ粒子の平均辺長と厚さの測定は、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)を用いて、六角板状銀ナノ粒子の形態を直接観察することから求めた。電子顕微鏡観察用グリッドに六角板状銀ナノ粒子を含む水溶液を滴下後、乾燥し、電子顕微鏡観察用グリッドに付着したナノ粒子の形態を観察した。100個以上の六角板状銀ナノ粒子について底面積を求め、六角板状銀ナノ粒子を正六角形とみなして、正六角形の辺長を評価し、それらの値の平均値を平均辺長とした。
六角板状銀ナノ粒子の平均辺長と単色可視光の色および光子エネルギーとの関係を図2に、六角板状銀ナノ粒子の厚さと単色可視光の色および光子エネルギーとの関係を図3に示す。
図2に示す結果から、波長が長い方から低い方に向かって、かつ、光子エネルギーが低い方から高い方に向かって、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長が短くなることが分かった。なお、図2に示す直線は、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長(Dhex)と単色可視光の色および光子エネルギー(Ehex)の関係を示す直線であり、Dhex=140−48.1Ehexで表される。
また、図3に示す結果から、波長および光子エネルギーの異なる単色可視光を照射しても、六角板状銀ナノ粒子の厚さがほとんど変化しないことが分かった。
実験例1で調製したクエン酸銀水溶液に、LED素子から単色可視光(シアン色(cyan)光(波長:504nm、光子エネルギー:2.46eV)を強度2.4mW/cm2で5時間照射し、クエン酸銀水溶液中に、六角板状銀ナノ粒子を形成した。
この六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液を遠心分離して、クエン酸銀水溶液中に六角板状銀ナノ粒子を沈殿させ、沈殿した六角板状銀ナノ粒子と上澄み液とを分離した。
遠心分離前のクエン酸銀水溶液、遠心分離後の六角板状銀ナノ粒子および遠心分離後の上澄み液の吸光度を測定した。
遠心分離前のクエン酸銀水溶液、遠心分離後の六角板状銀ナノ粒子および遠心分離後の上澄み液の吸光度の測定は、そのまま、遠心分離で生じた沈殿部分約1mLに、超純水を加えて遠心分離前の水溶液量(22mL)とした水再分散液、沈殿部分を取り除いた上澄みそのまま、に対して行った。光路長1cmの石英セルにクエン酸銀水溶液を入れ、紫外可視赤外分光光度計(商品名:V−650 iRM、日本分光株式会社製)を用いて吸光度を測定した。
結果を図4に示す。
図4に示す結果から、遠心分離前のクエン酸銀水溶液および遠心分離後の上澄み液のスペクトルには、約3.1eVに球形の銀ナノ粒子に由来するピークが観察されたが、遠心分離後の六角板状銀ナノ粒子のスペクトルには、球形の銀ナノ粒子に由来するピークが観察されなかった。すなわち、遠心分離により、六角板状銀ナノ粒子と上澄み液を充分に分離できることが分かった。
実験例1で調製したクエン酸銀水溶液に、LED素子から単色可視光(シアン色(cyan)光(波長:504nm、光子エネルギー:2.46eV)を強度2.4mW/cm2で5時間照射し、クエン酸銀水溶液中に、六角板状銀ナノ粒子を形成した。
この六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液を遠心分離して、クエン酸銀水溶液中に六角板状銀ナノ粒子を沈殿させ、沈殿した六角板状銀ナノ粒子と上澄み液とを分離した。
36℃の恒温槽で半日以上保管した超純水に、室温のクエン酸銀とアンモニアを添加しながら撹拌して、超純水に、クエン酸銀とアンモニアを溶解して、クエン酸銀の濃度が0.33mmol/L、アンモニアの濃度が5.3mmol/Lのクエン酸銀水溶液を調製した。このとき、室温暗中にて、ホットステアラーを用いて水溶液の温度が36℃になるように調整し、撹拌した。
また、調整後のクエン酸銀水溶液は、単色可視光を照射するまで、36℃の恒温槽で保管した。
六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液に、LED素子から単色可視光を照射し、クエン酸銀水溶液中に、六角板状銀ナノ粒子を成長させた。単色可視光の照射量を、0J/cm2、10J/cm2、18J/cm2、35J/cm2、50J/cm2、68J/cm2とした。
本実験例4では、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液に照射する単色可視光の色を以下の通りに変化させた。
(v)緑色(green)光(波長:530nm、光子エネルギー:2.34eV)
(vi)シアン色(cyan)光(波長:504nm、光子エネルギー:2.46eV)
六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液の単色可視光の吸収ピークの位置と単色可視光の照射量との関係を調べた。また、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液の単色可視光の吸収ピークの位置と単色可視光の光子エネルギーとの関係を調べた。
六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液の光の吸収ピークの位置は、紫外可視赤外分光光度計(商品名:V−650 iRM、日本分光株式会社製)を用いて測定した紫外可視吸光度スペクトルにおいて、最大吸収度となる光エネルギーとした。
結果を図5、図6および図7に示す。
図5に示す結果から、単色可視光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液における緑色(green)光の吸収ピークの位置は、2.2eVであり、単色可視光の照射量が多くなるに従って、2.08eVで一定になることが分かった。また、単色可視光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液におけるシアン色(cyan)光の吸収ピークの位置は、2.34eVであり、単色可視光の照射量が多くなるに従って、2.3eVで一定になることが分かった。
また、図6に示す結果から、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液に緑色(green)光を照射すると、緑色(green)光を照射する前よりも光の吸収ピークの位置が照射強度の小さい位置になることが分かった。さらに、図7に示す結果から、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液にシアン色(cyan)光を照射すると、シアン色(cyan)光を照射する前よりも光の吸収ピークの位置が照射強度の小さい位置になることが分かった。
実験例4において、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液に緑色(green)光を照射する前と照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を測定した。
六角板状銀ナノ粒子の粒度分布の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)を用いて、六角板状銀ナノ粒子の形態を直接観察することから求めた。電子顕微鏡観察用グリッドに六角板状銀ナノ粒子を含む水溶液を滴下後、乾燥し、電子顕微鏡観察用グリッドに付着したナノ粒子の形態を観察した。100個以上の六角板状銀ナノ粒子について底面積を求め、六角板状銀ナノ粒子を正六角形とみなして、正六角形の辺長を評価し、それらの値の平均値を平均辺長とした。
緑色(green)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を図8に、緑色(green)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を図9に示す。
また、実験例4において、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液に緑色(green)光を照射する前と照射した後の六角板状銀ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)で観察した。
緑色(green)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡像を図10に、緑色(green)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡像を図11に示す。
図8および図9に示す結果から、緑色(green)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布は、緑色(green)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布よりもばらつきが小さくなっていることが分かった。
図10および図11に示す結果から、緑色(green)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子は、緑色(green)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子よりも、形状や大きさが揃っていることが分かった。
実験例4において、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液にシアン色(cyan)光を照射する前と照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を測定した。
六角板状銀ナノ粒子の粒度分布の測定は、実験例5と同様とした。
シアン色(cyan)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を図12に、シアン色(cyan)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布を図13に示す。
また、実験例4において、六角板状銀ナノ粒子を含むクエン酸銀水溶液にシアン色(cyan)光を照射する前と照射した後の六角板状銀ナノ粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM、商品名:JEM−2010F(200keV)、日本電子株式会社製)で観察した。
シアン色(cyan)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡像を図14に、シアン色(cyan)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の透過型電子顕微鏡像を図15に示す。
図12および図13に示す結果から、シアン色(cyan)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布は、シアン色(cyan)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子の粒度分布よりもばらつきが小さくなっていることが分かった。
図14および図15に示す結果から、シアン色(cyan)光を照射した後の六角板状銀ナノ粒子は、シアン色(cyan)光を照射する前の六角板状銀ナノ粒子よりも、形状や大きさが揃っていることが分かった。
Claims (6)
- クエン酸銀の濃度が0.001mmol/L〜0.350mmol/Lかつアンモニアの濃度が0.008mmol/L〜26.000mmol/Lである第1の水溶液に銀ナノ粒子を分散させて、前記銀ナノ粒子を含む第1の水溶液に単色可視光を照射することを特徴とする六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
- 前記第1の水溶液における前記クエン酸銀と前記アンモニアの配合比は、モル比で、1:8〜1:20であることを特徴とする請求項1に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
- 前記銀ナノ粒子は、クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第2の水溶液に単色可視光を照射して得られたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
- 前記第1の水溶液に照射する前記単色可視光の波長により、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
- クエン酸銀の濃度が1.650mmol/L〜7.000mmol/Lかつアンモニアの濃度が13mmol/L〜140mmol/Lである第3の水溶液に単色可視光を照射して銀ナノ粒子を形成する工程と、
前記第3の水溶液を遠心分離して、前記第3の水溶液中に前記銀ナノ粒子を沈殿させ、沈殿した前記銀ナノ粒子と上澄み液とを分離する工程と、
前記上澄み液を超純水に置換して、第4の水溶液を調製する工程と、
前記第4の水溶液に単色可視光を照射する工程と、を含むことを特徴とする六角板状銀ナノ粒子の製造方法。 - 前記第4の水溶液に照射する前記単色可視光の波長により、六角板状銀ナノ粒子の平均辺長を制御することを特徴とする請求項5に記載の六角板状銀ナノ粒子の製造方法。
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