JP2020037627A - 2液型の親水性被膜形成用組成物 - Google Patents

2液型の親水性被膜形成用組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】剥がれにくく、優れた親水性及び防汚性を付与することができる被膜形成用組成物及び被膜の付与方法を提供する。【解決手段】コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含有するコーティング液1と、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー及び溶媒を含有するコーティング液2とからなる2液型の被膜形成用組成物。コーティング液1を基材の上に塗布し、第一の被膜を形成させた後に、コーティング液2を第一の被膜の上に塗布し、第二の被膜を形成させ、2層の被膜とする。【選択図】なし

Description

本発明は、2液型の被膜形成用組成物に関する。より詳細には、コロイダルシリカを主成分とするコーティング液1と、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマーを主成分とするコーティング液2とからなる2液型の親水性被膜形成用組成物に関する。また、この被膜形成用組成物を用いることによる基材表面に親水性被膜を付与する方法に関する。
従来より、シリカ化合物を含む親水性被膜形成用組成物は、防曇性、防汚性、透明性が必要とされる用途で使用されている。たとえば、特許文献1には、オルガノシリカゾルを有機溶媒(イソプロパノールとジアセトンアルコール)で希釈してなるシリカ濃度0.2wt%の液状物を疎水処理された自動車車体に塗布することが記載されている。特許文献2には、イソプロパノール分散オルガノシリカゾルと、水と、イソプロパノールと、テトラエトキシシランと、エチレングリコールとを含むコーティング材が、親水性、防曇性、防汚性、耐候性、耐久性、透明性、塗膜強度向上に効果があることが記載されている。特許文献3には、イソプロパノール分散オルガノシリカゾルと、水と、イソプロパノールと、テトラエトキシシランと、メタノール95%以上と、を含む塗料組成物をガラス基板にスプレーコーティングすること、メタノールはスプレー缶に充填して使用するために必要であることが記載されている。特許文献4には、合成樹脂表面に、有機溶媒を分散媒とするコロイダルシリカとフルオロアルキル基を有する界面活性剤とからなる無機質粒子分散液を塗布し、乾燥して無機質粒子層を形成すること、合成樹脂成型物の流滴性、防曇性、防霧性を向上させることが記載されている。
しかし、シリカ化合物を含む親水性被膜形成用組成物は、その被膜の表面エネルギーが高いため、環境中に浮遊している疎水性ガスや粒子、蒸気がその表面に物理的、静電気的または化学的に吸着しやすく、使用される環境によっては、その性能の長期安定性が充分でないこともある。また、皮脂や油性描画組成物等が付着した際、流水等で除去しきれないこともある。
また、従来の被膜形成用組成物は、有機基材へのコーティングには適しておらず、有機基材に被膜形成用組成物を塗布する前にプライマーを塗布してプライマー層を形成させ、その上に被膜形成用組成物を塗布する方法が採用されている。しかし、この場合、被膜形成用組成物が有機基材を直接被覆していないため、有機基材と親水性被膜との密着強度が低く、耐久性に劣るという問題があった。
特開平11−10077号公報 特開2002−161239号公報 特開2001−123118号公報 特開平5−59203号公報
本発明は、有機基材及び無機基材に適用することができ、過酷な環境下でも剥がれにくく、優れた親水性及び防汚性を示す被膜を形成することができる、被膜形成用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的に対して鋭意検討を行った結果、被膜形成用組成物を2液型とし、基材に最初に塗布するコーティング液1として、コロイダルシリカを主成分とするコーティング液を用い、この上に親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマーを主成分とするコーティング液2を塗布して2層の被膜とすることにより、有機基材及び無機基材に適用することができ、過酷な環境下でも剥がれにくく、優れた親水性及び防汚性を与える被膜が得られることを見出した。
本発明としては、以下に限定されないが、次のものが挙げられる。
(1)コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含有するコーティング液1と、
親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー、及び溶媒を含有するコーティング液2と
からなる2液型の被膜形成用組成物。
(2)コーティング液1が、テトラヒドロフランをさらに含有する、(1)に記載の被膜形成用組成物。
(3)コーティング液1が、ホウ酸を含有する、(1)または(2)に記載の被膜形成用組成物。
(4)コーティング液1が、水ガラスをさらに含有する(1)〜(3)のいずれか1つに記載の被膜形成用組成物。
(5)コーティング液1が、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、またはウレタン樹脂から選択される1種以上の樹脂をさらに含有する(1)〜(4)のいずれか1つに記載の被膜形成用組成物。
(6)コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含有するコーティング液1を基材に塗布し、第一の被膜を形成する工程と、
親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー、及び溶媒を含有するコーティング液2を第一の被膜の上に塗布し、第一の被膜の上に第二の被膜を形成する工程と
を含む、基材に被膜を付与する方法。
本発明の被膜形成用組成物は、有機基材および無機基材に対し親水性の被膜を形成させることができ、セルフクリーニングによる防汚効果を発揮する。また、親水性の性質から防曇効果も発揮する。本発明の2液型の被膜形成用組成物は、基材との密着強度が高いコーティング液1からなる第一の被膜を基材に形成し、この第一の被膜の上に、コーティング液2からなる第二の被膜を形成する。コーティング液2中のアクリル系ポリマーに含有されるアルコキシシリル基またはシラノール基が、第一の被膜におけるシリカ成分に結合し、第一の被膜と第二の被膜との間の高い密着強度が得られる。これにより、全体として基材との密着強度が高い2層型の親水性被膜が得られる。本発明の被膜は、第一の被膜と第二の被膜の双方が親水性を示し、たとえ過酷な環境下において第二の被膜が剥落したとしてもその下の第一の被膜が一定の親水性を示すので、長期使用にわたり優れた親水性及び防汚性の効果を発揮する。
本発明は、コロイダルシリカを主成分とするコーティング液1と、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマーを主成分とするコーティング液2とからなる2液型の親水性被膜形成用組成物、およびこの組成物を用いることによる基材表面に親水性を付与する方法に関する。本発明では、まず、親水性を付与したい基材の表面に対し、コーティング液1を塗布し、乾燥させ、第一の被膜を形成し、次いで、第一の被膜の上にコーティング液2を塗布し、乾燥させ、第二の被膜を形成する。
<コーティング液1>
コーティング液1は、少なくとも、コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含む。
<コロイダルシリカ>
コーティング液1は、コロイダルシリカを含む。コロイダルシリカとは、1nm〜200nm程度の粒子径を有する球状のシリカ粒子と分散媒とからなるコロイド分散体である。一実施態様において、コロイダルシリカにおける分散媒は、水や、親水性の有機溶媒である。親水性の有機溶媒の例としては、これらに限定されないが、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類が挙げられる。コロイダルシリカには、球状のシリカ粒子が分散しているもの(「球状コロイダルシリカ」と呼ぶ。)、複数個の球状のシリカ粒子がパールネックレス状に環状に連なっているもの(「パールネックレス状コロイダルシリカ」と呼ぶ。)、複数個の球状のシリカ粒子が鎖状に連なっているもの(「鎖状コロイダルシリカ」と呼ぶ。)があるが、これらのいずれも用いることができる。中でも、鎖状コロイダルシリカは、親水性の付与効果が高いため、好ましい。また、鎖状コロイダルシリカと球状コロイダルシリカとを併用することにより、親水性付与の効果と共に被膜の強度を向上させる効果も得ることができるため、好ましい。コロイダルシリカは、市販のものを用いることができる。例えば、有機溶媒で分散させたものではオルガノシリカゾル(日産化学株式会社製)、水を分散媒としナトリウムやアンモニウム等の1価の陽イオンで安定化したものでは、スノーテックス(登録商標)(日産化学株式会社製)が市販されており、その他、ルドックス(デュポン社製)、カタロイド(日揮触媒化成製)等を用いることができる。
コロイダルシリカは、被膜に親水性を付与する作用を有する。また、コーティング液1に有機基材を膨潤させる化合物が含まれている場合、コロイダルシリカは膨潤した有機基材に侵入して被膜化することにより、有機基材と被膜との密着性を向上させる作用も発揮する。
コーティング液1におけるコロイダルシリカの含有量は、シリカ固形分として、好ましくは0.20〜10.00wt%であり、さらに好ましくは0.50〜5.00wt%である。含有量が上記範囲よりも少量である場合には親水性付与効果が低くなる傾向があり、上記範囲よりも多量である場合には被膜にクラックや白濁が発生するおそれがある。
<アルキルシリケート>
コーティング液1は、アルキルシリケートを含む。本明細書において、アルキルシリケートとは、一般式:Si(OR)(Rはアルキル基)で表されるアルキルシリケートモノマーと、アルキルシリケートモノマーが2〜10個、好ましくは3〜5個程度縮合重合して形成されるアルキルシリケートオリゴマーとをいう。アルキル基(R)としては、炭素数1〜4のものが好ましく、1〜3のものがさらに好ましい。
アルキルシリケートの具体的な例としては、テトラメトキシシラン、メチルポリシリケート、テトラエトキシシラン、エチルポリシリケートが挙げられるがこれらに限定されない。これらの中では、テトラエトキシシラン、エチルポリシリケートが反応性、安定性、安全性の観点から、好ましい。
アルキルシリケートは、親水性を付与すると共に、被膜形成助剤として機能する。コーティング液1におけるアルキルシリケートの含有量は、0.50〜5.00wt%が好ましく、1.00〜5.00wt%がさらに好ましい。アルキルシリケートの含有量がこの範囲であると、コロイダルシリカの定着性を高め、被膜化することができる。含有量が0.50wt%より少ない場合、被膜化が十分されず、脆くなる可能性があり、一方、5.00wt%より多いと、親水性が低下する傾向がある。
<溶媒>
コーティング液1の溶媒としては、これらに限定されないが、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類等の親水性の溶媒を、単独で、または2種以上組み合せて用いればよい。
コーティング液1における溶媒の含有量は、60.00〜99.00wt%が好ましく、65.00〜95.00wt%がさらに好ましく、65.00〜90.00wt%がさらに好ましい。このうち、水の含有量は、1.00〜35.00wt%が好ましく、2.00〜30.00wt%がさらに好ましく、3.00〜25.00wt%がさらに好ましい。アルコール類の含有量は、5.00〜90.00wt%が好ましく、20.00〜85.00wt%がさらに好ましく、30.00〜80.00wt%がさらに好ましい。また、グリコール類及びグリコールエーテル類の含有量は、20.00〜60.00wt%が好ましく、40.00〜60.00wt%がさらに好ましい。
メタノール及びエタノールは、有機基材表面を膨潤若しくは一部溶解させて、コーティング液1による第一の被膜の有機基材への密着強度を高めると共に、コロイダルシリカの分散溶剤として機能する。イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、グリコール類、及びグリコールエーテル類は、有機基材表面を膨潤若しくは一部溶解させて、コーティング液1による第一の被膜の有機基材への密着強度を高めると共に、コロイダルシリカの分散溶剤として作用し、さらに塗布後の常温乾燥時の乾燥速度を調整する。これらの含有量が少なすぎる場合には乾燥速度が速くなりすぎて塗膜が不均一になるおそれがある。
<酸>
コーティング液1は、酸を含有する。酸は、アルキルシリケートの縮合重合反応を触媒し、アルキルシリケートの被膜化を促進する作用を有する。酸の種類は特に限定されず、有機酸であってもよいし、無機酸であってもよい。例えば、これらに限定されないが、蟻酸、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。中でも、硝酸は、反応性、低腐食性の観点から好ましい。コーティング液1における酸の含有量は、0.01〜0.10wt%が好ましい。
<コーティング液1に添加してもよいその他の成分>
コーティング液1は、上記の成分の他に、基材の種類等に応じて、テトラヒドロフラン、ホウ酸、水ガラス(3号ケイ酸ソーダ)、有機樹脂(アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂等)、およびシランカップリング剤を単独でまたは組み合せて含んでいてもよい。
テトラヒドロフランは、有機基材表面を膨潤若しくは一部溶解させて、コーティング液1による第一の被膜の有機基材への密着強度を高める作用をする。特に、低級アルコール類やグリコール類のみでは膨潤しにくいポリカーボネート樹脂及びポリエステル樹脂の表面の膨潤を助長する作用をする。テトラヒドロフランの含有量は、好ましくは0.10〜3.00wt%、さらに好ましくは0.10〜1.00wt%である。
ホウ酸は、コーティング液1による第一の被膜の有機基材への密着強度を高める作用をする。ホウ酸の含有量は、好ましくは0.02〜0.40wt%であり、さらに好ましくは0.03〜0.10wt%である。含有量が多すぎると第一の被膜の親水性が低下し、また、被膜が白化するおそれがある。
水ガラス(3号ケイ酸ソーダ)は、被膜形成助剤として機能する。水ガラス(3号ケイ酸ソーダ)の含有量は、好ましくは0.01〜0.20wt%であり、さらに好ましくは0.01〜0.10wt%である。水ガラスの含有量が多すぎるとコーティング液1がゲル化してしまい、基材に塗布することが困難となり、塗膜が不均一になるおそれがある。
有機樹脂は、第一の被膜の基材への密着性向上剤として機能する。有機樹脂の種類は、これらに限定されないが、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂などを用いることができる。具体的には、水分を含む極性溶媒中でも溶解または分散する樹脂が好ましい。有機樹脂の含有量は、好ましくは0.01〜1.00wt%である。
シランカップリング剤は、第一の被膜の基材への密着性向上剤として機能する。シランカップリング剤の含有量は、0.10〜1.00wt%が好ましい。
コーティング液1は、上記の他、塗料に通常用いられる各種の添加剤、例えば、レベリング剤、粘度調整剤、消泡剤などを含んでいてもよい。
<コーティング液2>
コーティング液2は、少なくとも、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー、及び溶媒を含む。コーティング液2は、コーティング液1により形成される第一の被膜の上に塗布するための液である。コーティング液2におけるアクリル系ポリマーのシラノール基またはアルコキシシリル基が加水分解することにより得られたシラノール基は第一の被膜のシリカ成分に結合して第一の被膜とコーティング液2による第二の被膜との間の密着強度を高める作用をし、また、アクリル系ポリマーの親水性基により第二の被膜の親水性が発現される。コーティング液2を第一の被膜の上に塗布し、乾燥させ、第二の被膜とすることにより、第一の被膜及び第二の被膜からなる被膜全体の親水性付与の効果が長期間持続するようになる。
<親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー>
コーティング液2は、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマーを含む。具体的には、以下の式(I):
Figure 2020037627
(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は親水性基である)で表される繰り返し単位を有し、少なくとも片末端に、式(II):
Figure 2020037627
(式中、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基、R6は炭素数1〜12のアルキレン基を示す)
で表わされるアルコキシシリル基、またはシラノール基(前記アルコキシシリル基が加水分解して生成されたものを含む)を有するアクリル系ポリマー(本明細書では、「アクリル系ポリマー」というときは、「メタクリル系ポリマー」も含むものとする)である。
式(I)で表わされる繰り返し単位の数は、1〜1000が好ましく、10〜500がさらに好ましい。
式(II)で表わされるアルコキシシリル基において、R3、R4およびR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアルコキシ基であって、R3、R4およびR5のうちの少なくとも1つの基は炭素数1〜4のアルコキシ基であるが、第一の被膜との密着強度を高める観点からは、R3、R4およびR5のうちの少なくとも2つの基が炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、R3、R4およびR5のいずれもが炭素数1〜4のアルコキシ基であることがさらに好ましい。炭素数1〜4のアルキル基のなかでは、メチル基およびエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。炭素数1〜4のアルコキシ基のなかでは、メトキシ基およびエトキシ基が好ましい。
式(II)で表わされるアルコキシシリル基において、R6は、炭素数1〜12のアルキレン基であるが、R6のなかでは、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基がより好ましく、炭素数2〜6のアルキレン基がさらに好ましい。
式(II)で表わされるアルコキシシリル基は、アクリル系ポリマーの少なくとも片末端に存在するが、親水性を十分に発現させる観点から、アクリル系ポリマーの片末端にのみ存在することが好ましい。式(II)で表わされるアルコキシシリル基がアクリル系ポリマーの片末端にのみ存在する場合、その他方の末端には、親水性を十分に発現させる観点から、例えば、水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基、重合開始剤の残基などの基が存在することが好ましい。
式(I)におけるRは、被膜とした際に親水性を発現することができる基であればよく、特に限定されないが、例えば、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数2〜20のアルキル基、水酸基またはフッ素原子を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいエチレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリエチレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基、片末端に水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を有し水酸基またはフッ素原子を有していてもよいプロピレンオキサイド基の付加モル数が2〜20であるポリプロピレンオキサイド基、式(III):
Figure 2020037627
(式中、R7およびR8は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキレン基、R9およびR10は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされる基(カルボベタイン)、式(IV):
Figure 2020037627
(式中、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、R14は有機基、Xは陰イオンを示す)
で表わされる基、を挙げることができる。これらの基のなかでは、被膜の機械的強度を高める観点から、式(III)で表わされる基および式(IV)で表される基が好ましい。
式(III)において、R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキレン基であるが、R7は、好ましくはメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基またはイソプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基またはエチレン基である。R8は、好ましくはメチレン基またはエチレン基である。R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
式(IV)において、R11は、炭素数1〜4のアルキレン基であるが、R11は、好ましくはメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基またはイソプロピレン基であり、より好ましくはメチレン基またはエチレン基である。R12およびR13は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。R14は、有機基であり、有機基の具体例としては、炭素数1〜22のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜6のカルボキシアルキル基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。Xは、陰イオンである。Xの好適な例としては、ハロゲンイオン、酢酸イオン、ホウ酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、硫酸水素イオン、重亜硫酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、スルホン酸イオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。Xのなかでは、スルホン酸が好ましく、式(IV)としてはスルホベタインが好ましい。
式(I)で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基を有するアクリル系ポリマーは、例えば、溶液重合法などを用いて調製してもよいし、市販のものを用いてもよい。
式(I)で表わされる繰り返し単位を有し、少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基を有するアクリル系ポリマーの粘度平均分子量は、好ましくは100以上、より好ましくは500以上であり、同ポリマーの溶解性を高める観点から、好ましくは100000以下である。粘度平均分子量は、ポリマー溶液の粘度をウベローデ型粘度計((株)相互理化学硝子製作所製、品番:U−0327−26)を用いて25℃で測定することによって求めることができるほか、ゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって求めることができる。
<溶媒、その他>
溶媒としては、これらに限定されないが、水、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサンなどの脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチルなどの酢酸エステルなどを、単独で、または2種以上を組み合せて用いればよい。
溶媒の量は、特に限定されないが、通常、親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを有するアクリル系ポリマーを溶媒に溶解させることによって得られる溶液における上記アクリル系ポリマーの濃度が0.05〜5.00wt%程度となるように調整することが好ましく、1.00〜3.00wt%程度がさらに好ましく、1.00〜2.00wt%程度がさらに好ましい。
また、コーティング液2は、酸またはアルカリを含有していてもよい。特に末端にアルコキシシリル基を有するアクリル系ポリマーを用いる場合には、酸またはアルカリを添加することが好ましい。酸またはアルカリを添加することにより、アルコキシシリル基の加水分解を促進してシラノール基へと変換することができるようになる。酸の種類は特に限定されず、有機酸でも、無機酸でもよく、例えば、これらに限定されないが、蟻酸、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸などを用いることができる。中でも、硝酸は、反応性、低腐食性の観点から好ましい。アルカリの種類も特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどを用いることができる。
また、コーティング液2は、上記の他、塗料に通常用いられる各種の添加剤を含んでいてもよい。例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウムなどの塩を、0.01〜0.05wt%程度の量で含んでいてもよい。これらの塩は、アクリル系ポリマーの溶解安定性向上の役割を果たす。
<被膜付与方法>
本発明により、基材に被膜を付与する方法も提供される。本発明では、まず、基材の上にコーティング液1を塗布し、乾燥させ、第一の被膜を形成し、次いで、第一の被膜の上にコーティング液2を塗布し、乾燥させ、第二の被膜を形成する。まず、基材との密着強度の高い第一の被膜を基材上に形成し、次いで、第二の被膜を形成する。第二の被膜のアクリル系ポリマーにおける末端のアルコキシシリル基またはシラノール基が第一の被膜のシリカ成分と結合することにより、第一の被膜と第二の被膜は強固に結合する。これにより、全体として基材から剥落しにくい第一の被膜と第二の被膜の2層からなる被膜を得ることができる。第一の被膜と第二の被膜は共に親水性を示すので、本発明により得られる2層型の被膜は、たとえ最上層の第二の被膜が剥落または不活化したとしても、その下の第一の被膜により一定の親水性が得られるので、長期にわたり親水性付与の効果を得ることができる。
コーティング液1を塗布する基材は、特に限定されず、ガラスや金属板のような無機基材でもよいし、また、各種樹脂などの有機基材でもよい。コーティング液1は、有機基材の表面を膨潤させ、膨潤した有機基材中にコロイダルシリカを侵入させて基材に強固に密着した第一の被膜を形成させることができるため、従来有機溶剤に耐性がなく基材表面に塗布するために予めプライマーを設けることが必要であった有機基材にも、直接適用することができる。そのような有機基材としては、特に、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びポリエステル樹脂を挙げることができるが、これらに限定されない。
コーティング液1及び2の塗布の方法は特に限定されず、通常の塗布方法を用いればよい。例えば、基材の形状に応じて、ディップコート、スピンコート、スプレーコート、バーコート、刷毛塗り、スポンジ塗り、各種印刷などの方法を適宜選択して用いればよい。ディップコートを行う場合には、有機基材とコーティング液1との接触時間は、10分以内が好ましい。10秒〜60秒程度の接触時間で基材表面の膨潤を生じさせることができる。一方、接触時間が10分を超えると、基材深部の溶解が進行し、乾燥後に干渉縞が生じるおそれがある。なお、基材に付着したコーティング液1は通常10分以内に溶媒が揮発するため、バーコートや刷毛塗りなどにかかる塗布時間は10分以上であってもよい。
乾燥の方法も特に限定されず、通常の乾燥方法を用いればよい。通常、コーティング液1、2ともに、常温で10分以内に溶媒が揮発する(乾燥する)ため、塗布後、常温で放置することにより乾燥させることができるが、加熱乾燥を行ってもよい。特に、コーティング液2は、加熱乾燥を行うことが好ましい。コーティング液2を加熱乾燥することにより、コーティング液1による第一の被膜とコーティング液2による第二の被膜との間の密着性が向上する。コーティング液2を加熱乾燥する際の乾燥温度及び時間は、特に限定されないが、80〜120℃の温度で、2〜15分間乾燥させることは好ましい。加熱乾燥させる際に用いる装置は特に限定されず、公知の熱風送風乾燥機などを用いればよい。
コーティング液1、2の塗布量は、特に限定されず、それぞれ、基材に応じて、被膜が十分に形成できる程度の量で塗布すればよい。
<被膜形成用組成物の用途>
本発明により得られる2層型の無機基材を主体とする被膜は、高い親水性を呈し、紫外線による劣化や黄変が少なく、長期にわたりセルフクリーニングによる防汚効果を維持できる。本発明により得られる被膜は、水接触角20度以下の親水性を示し、防曇効果を発揮する。また、基材が有機基材である場合にも、コーティング液1が有機基材を一部溶解・膨潤させ、コロイダルシリカ等の無機成分が基材中に一部侵入し、一部埋め込まれるような形で被膜化するので、高い密着強度と、長期にわたる防汚防曇効果を維持できる。さらに、コーティング液1による第一の被膜の上に形成されるコーティング液2による第二の被膜は、アクリル系ポリマー中のシラノール基(アルコキシシリル基が加水分解して生成したシラノール基を含む)が第一の被膜のシリカ成分と強固に結合するため、第一の被膜への密着強度に優れ、したがって、被膜全体(第一の被膜及び第二の被膜を含む)の基材への密着強度は高いものとなる。また、第一の被膜と第二の被膜の両方が親水性を示すので、たとえ最上層の第二の被膜が過酷な環境下など何らかの理由で剥落したとしても、第一の被膜により一定の親水性効果が維持され、長期にわたり防汚防曇効果を維持できる。本発明により得られる被膜は、セルフクリーニング効果による防汚効果を長期にわたり発揮できるため、雨水や散水などを利用できる箇所、特に高所や狭所などの清掃しにくい箇所に使用するのに適している。
本発明では、コーティング液1、2の乾燥後、無色透明な無機硬化被膜が得られるため、透明性が望まれる用途、例えば、鏡面への適用にも適している。
以上の通り、本発明の被膜形成用組成物は、無機基材、有機基材を問わず、長期にわたり高い親水性を発揮でき、防曇効果や、セルフクリーニングによる防汚効果を得ることができ、また、熱処理が不要であり、透明な被膜を形成することができるため、様々な対象に適用可能である。例えば、これらに限定されないが、建物の外壁、カーブミラー、太陽光発電用パネル、屋外に設置される監視カメラ、窓、エアコンのアルミフィン、便器などに適用すると、セルフクリーニングによる防汚効果を長期にわたり得ることができるので好ましい。また、メガネ、車のフロントガラス、浴槽の鏡、ゴーグル、ショーケースなどに適用すると防曇効果を長期にわたり得ることができるので好ましい。
以下、本発明を実施例及び比較例をあげてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<コーティング液1の製造>
<配合例1>
水4.78重量部にホウ酸(和光純薬製)0.10重量部を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌しているホウ酸水溶液にケイ酸ナトリウム(3号ケイ酸ソーダ:富士化学製)0.01重量部を添加した。その後、メタノール(和光純薬製)5.00重量部、イソプロピルアルコール(和光純薬製)5.00重量部、ノルマルプロピルアルコール(和光純薬製)25.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製)25.00重量部、テトラヒドロフラン(和光純薬製)0.10重量部、メタノール分散球状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:メタノールシリカゾル、固形分30%)2.00重量部、メタノール分散鎖状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:MA−ST−UP、固形分20%)2.00重量部を添加し、スターラーで撹拌した。その後、エタノール(和光純薬製)30.00重量部、テトラエトキシシラン(和光純薬製)1.00重量部、硝酸(和光純薬製)0.01重量部の混合液を少量ずつ滴下し、スターラーで撹拌し配合液1を得た。
<配合例2>
水9.49重量部にノルマルプロピルアルコール(和光純薬製)25.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製)20.00重量部、球状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:スノーテックス(登録商標)OXS、固形分10%)10.00重量部、鎖状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:スノーテックス(登録商標)OUP、固形分15%)10.00重量部を添加し、スターラーで撹拌した。その後、エタノール(和光純薬製)20.00重量部、テトラエトキシシラン(和光純薬製)5.00重量部、硝酸(和光純薬製)0.01重量部の混合液を少量ずつ滴下し、ウレタン変性アクリルポリマー(大成ファインケミカル製、商品名:8UA−146)0.50重量部を添加し、スターラーで撹拌し配合液2を得た。
<配合例3>
水17.78重量部にホウ酸(和光純薬製)0.10重量部を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌しているホウ酸水溶液にケイ酸ナトリウム(3号ケイ酸ソーダ:富士化学製)0.01重量部を添加した。その後、メタノール(和光純薬製)32.00重量部、イソプロピルアルコール(和光純薬製)35.00重量部、テトラヒドロフラン(和光純薬製)0.10重量部、メタノール分散球状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:メタノールシリカゾル、固形分30%)4.00重量部、メタノール分散鎖状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:MA−ST−UP、固形分20%)4.00重量部を添加し、スターラーで撹拌した。その後、エタノール(和光純薬製)5.00重量部、テトラエトキシシラン(和光純薬製)2.00重量部、硝酸(和光純薬製)0.01重量部の混合液を少量ずつ滴下し、スターラーで撹拌し配合液3を得た。
<配合例4>
水8.28重量部にホウ酸(和光純薬製)0.10重量部を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌しているホウ酸水溶液にケイ酸ナトリウム(3号ケイ酸ソーダ:富士化学製)0.01重量部を添加した。その後、メタノール(和光純薬製)5.00重量部、イソプロピルアルコール(和光純薬製)1.00重量部、ノルマルプロピルアルコール(和光純薬製)20.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製)20.00重量部、テトラヒドロフラン(和光純薬製)0.10重量部、球状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:スノーテックス(登録商標)OXS、固形分10%)10.00重量部、鎖状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:スノーテックス(登録商標)OUP、固形分15%)10.00重量部を添加し、スターラーで撹拌した。その後、エタノール(和光純薬製)20.00重量部、テトラエトキシシラン(和光純薬製)5.00重量部、硝酸(和光純薬製)0.01重量部の混合液を少量ずつ滴下し、ウレタン変性アクリルポリマー(大成ファインケミカル製、商品名:8UA−146)0.50重量部を添加し、スターラーで撹拌し配合液4を得た。
<配合例5>
水12.94重量部にイソプロピルアルコール(和光純薬製)5.00重量部、ノルマルプロピルアルコール(和光純薬製)30.00重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(和光純薬製)30.00重量部、メタノール分散球状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:メタノールシリカゾル、固形分30%)2.00重量部、メタノール分散鎖状コロイダルシリカ(日産化学製、商品名:MA−ST−UP、固形分20%)2.00重量部を添加し、スターラーで撹拌した。その後、エタノール(和光純薬製)20.00重量部、テトラエトキシシラン(和光純薬製)0.05重量部、硝酸(和光純薬製)0.01重量部の混合液を少量ずつ滴下し、スターラーで撹拌し配合液5を得た。
Figure 2020037627
<コーティング液2の製造>
<配合例6>
水98.89重量部にエタノール(和光純薬製)0.10重量部、硫酸ナトリウム(和光純薬製)0.01重量部を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌している水溶液に親水性基としてスルホベタインを有し、片末端にトリシラノール基を有するアクリルポリマー(粘度平均分子量10000〜100000の範囲)1.00重量部を少量ずつ滴下し、スターラーで撹拌し配合液6を得た。
<配合例7>
水96.89重量部にエタノール(和光純薬製)0.10重量部、硫酸ナトリウム(和光純薬製)0.01重量部を添加し、完全に溶解するまで撹拌した。撹拌している水溶液に親水性基としてスルホベタインを有し、片末端にトリシラノール基を有するアクリルポリマー(粘度平均分子量10000〜100000の範囲)3.00重量部を少量ずつ滴下し、スターラーで撹拌し配合液7を得た。
Figure 2020037627
<実施例1>
コーティング液1として配合液1をアルコールで脱脂処理したアクリル板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。被膜を常温で十分に自然乾燥させた後、コーティング液2として配合液6をスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。コーティング液2の乾燥は、80℃で15分間実施した。
<実施例2>
コーティング液1として配合液2をアルコールで脱脂処理したポリカーボネート板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。被膜を常温で十分に自然乾燥させた後、コーティング液2として配合液7をスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。コーティング液2の乾燥は、120℃で5分間実施した。
<実施例3>
コーティング液1として配合液3をアルコールで脱脂処理したガラス板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。被膜を常温で十分に自然乾燥させた後、コーティング液2として配合液6をスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。コーティング液2の乾燥は、120℃で5分間実施した。
<実施例4>
コーティング液1として配合液4をアルコールで脱脂処理したポリエチレンテレフタレート板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した被膜を常温で十分に自然乾燥させた後、コーティング液2として配合液7をスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。コーティング液2の乾燥は、80℃で15分間実施した。
<実施例5>
コーティング液1として配合液5をアルコールで脱脂処理したアルミニウム板にディップコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。被膜を常温で十分に自然乾燥させた後、コーティング液2として配合液1をディップコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布した。コーティング液2の乾燥は、120℃で5分間実施した。
<比較例1>
配合液1をアルコールで脱脂処理したアクリル板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布し、被膜を常温で十分に自然乾燥した。
<比較例2>
配合液2をアルコールで脱脂処理したポリカーボネート板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布し、被膜を常温で十分に自然乾燥した。
<比較例3>
配合液3をアルコールで脱脂処理したガラス板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布し、被膜を常温で十分に自然乾燥した。
<比較例4>
配合液6をアルコールで脱脂処理したアルミニウム板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布し、120℃で5分間乾燥した。
<比較例5>
配合液7をアルコールで脱脂処理したポリエチレンテレフタレート板にスピンコートにて15〜20ml/mの範囲で塗布し、80℃で15分間乾燥した。
<試験方法>
以下の手順に従い、実施例、比較例について、各種試験を行った。結果を表3及び表4に示す。
<被膜外観観察>
試験片上の被膜の状態を目視で確認した。
<接触角測定>
ぬれ性評価装置(株式会社ニック製)を用いて、純水1μLを試験片に滴下し、液滴の広がりが終了した時点での接触角を測定した。
<耐テープ剥離性試験>
1cm四方の範囲を覆う程度のセロハンテープを塗膜に貼り、しっかり指でこすり、塗膜に付着させた。付着して5分後に60°に近い角度で、0.5〜1.0秒で確実に引き剥がした。それ以外の条件は、JISK5600−5−6(クロスカット法)に準拠した。評価基準は以下の通りである。
◎:塗膜剥離なし(テープの粘着質が試験片上前面に残っているものを含む)
○:8割程度塗膜残存(テープの粘着質が試験片上に8割程度残っているものを含む)
△:5割程度塗膜残存(テープの粘着質が試験片上に5割程度残っているものを含む)
×:塗膜完全剥離.。
<指紋除去性試験>
指紋を付着させ、50℃で3分間乾燥させた後、流水洗浄で洗浄可能かどうか確認した。評価基準は以下の通りである。
◎:流水のみで除去可能
○:流水中で擦ると除去可能
×:流水での除去は不可能。
<油性ペン除去性試験>
試験片に油性描画材にて描画し、50℃で3分間乾燥させた後、流水洗浄で洗浄可能かどうか確認した。評価基準は以下の通りである。
◎:流水のみで除去可能
○:流水中で擦ると除去可能
×:流水での除去は不可能。
<耐薬品性試験>
揮発したヘキサンまたはメタノールで満たされた空間内に3日間室温で放置した後、上記の方法で接触角を測定した。
<耐高温高湿性試験>
恒温恒湿槽(エスペック社製)を用い、50℃、90%RHまたは85℃、85%RHの各々の環境下で3日間保管した後、上記の方法で接触角を測定した。
Figure 2020037627
Figure 2020037627
表3及び表4の結果から明らかなように、コーティング液1及び2をこの順序で塗布した実施例1〜5では、高い親水性(低い接触角)が得られ、膜の基材への密着強度が高く、指紋や油性ペンといった汚れを流水で除去でき(セルフクリーニング効果)、薬品雰囲気下や高温高湿といった過酷な環境下でも高い親水性が維持されることがわかる。
一方、コーティング液1のみを使用した比較例1〜3では、実施例1〜5に比べて防汚性に劣り、特に高温高湿下で親水性が低下することがわかる。コーティング液2のみを用いた比較例4、5では、基材へ密着しておらず、テープにより簡単に剥がれた。比較例4で指紋除去性と油性ペン除去性が「○」の評価となっているのは、汚れが膜ごと剥がれたためである。比較例5については、基材に対しての濡れ性が足りず、コーティング液2が基材上ではじかれてしまい、均一な被膜化ができなかった。

Claims (6)

  1. コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含有するコーティング液1と、
    親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー、及び溶媒を含有するコーティング液2と
    からなる2液型の被膜形成用組成物。
  2. コーティング液1が、テトラヒドロフランをさらに含有する、請求項1に記載の被膜形成用組成物。
  3. コーティング液1が、ホウ酸を含有する、請求項1または2に記載の被膜形成用組成物。
  4. コーティング液1が、水ガラスをさらに含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物。
  5. コーティング液1が、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、またはウレタン樹脂から選択される1種以上の樹脂をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の被膜形成用組成物。
  6. コロイダルシリカ、アルキルシリケート、溶媒、及び酸を含有するコーティング液1を基材に塗布し、第一の被膜を形成する工程と、
    親水性基と少なくとも片末端にアルコキシシリル基またはシラノール基とを含有するアクリル系ポリマー、及び溶媒を含有するコーティング液2を第一の被膜の上に塗布し、第一の被膜の上に第二の被膜を形成する工程と
    を含む、基材に被膜を付与する方法。

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