JP2020037538A - アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドの医薬用途 - Google Patents
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Abstract
Description
アンジオテンシンIは、主に肺循環中において、アンジオテンシン変換酵素やキマーゼによりアンジオテンシンIIに変換される。生じたアンジオテンシンIIは、AT1受容体に作用し、血管収縮、細胞増殖、肥大などを引き起こす。また、アンジオテンシンIIは、AT2受容体にも作用し、血管拡張、増殖抑制などを引き起こす。
一方、アンジオテンシン変換酵素2は、アンジオテンシンIまたはアンジオテンシンIIに作用して、それぞれアンジオテンシン(1−9)またはアンジオテンシン(1−7)を遊離する。また、アンジオテンシン(1−9)はアンジオテンシン変換酵素(ACE)の働きでアンジオテンシン(1−7)に変換される。
以上の結果から、B38−CAPが動物の生体内においてACE2と同様のカルボキシペプチダーゼとしてアンジオテンシンIIを分解することが分かり、ヒトや動物の循環器疾患ならびにARDSに対して実際に治療薬となることを見出し、本発明を完成した。
<原核微生物由来ポリペプチドを含有する医薬組成物>
[1]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体を有効成分として含有する、医薬組成物。
[2]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびに
Nam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp 、
のうち、少なくとも1つのペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、[1]記載の医薬組成物。
[3]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号7記載のアミノ酸配列を有するペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、[1]または[2]記載の医薬組成物。
原核微生物由来ポリペプチドが、Leishmania属、Escherichia属、Gimesia属、Thermus属、Chloroflexus属、Deinococcus属、Parachlamydia属、Fusobacterium属、Leptotrichia属、Bacillus属、Chlamydia属、Paenibacillus属、Clostridium属、Leptospira属、Enterococcus属、Geobacillus属、Haloferax属、Halorubrum属、Roseobacter属、Thermococcus属、Pyrococcus属、Leuconostoc属、Haloarcula属、およびRhodobacter属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、[1]から[3]までのいずれか記載の医薬組成物。
[5]
原核微生物由来ポリペプチドが、Bacillus属およびPaenibacillus属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、[4]記載の医薬組成物。
[6]
原核微生物由来ポリペプチドが、Leishmania major、Escherichia coli、Gimesia maris、Thermus aquaticus、Chloroflexus aurantiacus、Deinococcus radiodurans、Parachlamydia acanthamoebae、Fusobacterium nucleatum、Leptotrichia goodfellowii、Bacillus cereus、Chlamydia trachomatis、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Paenibacillus sp. B38、Clostridium saccharolyticum、Leptospira interrogans、Thermus thermophilus、およびPyrococcus furiosusの中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生される、[4]記載の医薬組成物。
[7]
原核微生物由来ポリペプチドが、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、およびPaenibacillus sp. B38の中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生されるポリペプチドである、[6]記載の医薬組成物。
原核微生物由来ポリペプチドが、糖鎖を有していない、[1]から[7]のいずれか記載の医薬組成物。
[9]
原核微生物由来ポリペプチドが、以下の中から選ばれる少なくとも1つである、[1]から[8]のいずれか記載の医薬組成物:
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体
5)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAP、および
6)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体。
[10]
高血圧、心不全、心組織線維化症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺傷害、例えば酸吸引もしくは敗血症により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害が原因となるものを処置または予防するための、[1]から[9]のいずれか記載の医薬組成物。
[11]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体。
ただし、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPおよび、配列番号1記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体を除く。
[12]
配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびにNam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp 、
のうち、少なくとも1つのペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、[11]記載のポリペプチド。
[13]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号7記載のアミノ酸配列を有するペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、[11]または[12]記載のポリペプチド。
Leishmania属、Escherichia属、Gimesia属、Thermus属、Chloroflexus属、Deinococcus属、Parachlamydia属、Fusobacterium属、Leptotrichia属、Bacillus属、Chlamydia属、Paenibacillus属、Clostridium属、Leptospira属、Enterococcus属、Geobacillus属、Haloferax属、Halorubrum属、Roseobacter属、Thermococcus属、Pyrococcus属、Leuconostoc属、Haloarcula属、およびRhodobacter属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、[11]から[13]のいずれか記載のポリペプチド。
[15]
Bacillus属およびPaenibacillus属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生され、[14]記載のポリペプチド。
[16]
Leishmania major、Escherichia coli、Gimesia maris、Thermus aquaticus、Chloroflexus aurantiacus、Deinococcus radiodurans、Parachlamydia acanthamoebae、Fusobacterium nucleatum、Leptotrichia goodfellowii、Bacillus cereus、Chlamydia trachomatis、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Paenibacillus sp. B38、Clostridium saccharolyticum、Leptospira interrogans、Thermus thermophilus、およびPyrococcus furiosusの中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生される、[11]から[14]のいずれか記載のポリペプチド。
[17]
Bacillus subtilisから産生されるポリペプチドである、[16]記載のポリペプチド。
糖鎖を有していない、[11]から[17]のいずれか記載のポリペプチド。
[19]
可溶性である、[11]から[18]のいずれか記載のポリペプチド。
[20]
以下の中から選ばれる少なくとも1つである、[11]から[19]のいずれか記載のポリペプチド:
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体。
[21]
[11]から[20]のいずれか記載のポリペプチドをコードする核酸。
[22]
以下の(a)〜(f)のいずれかに記載の核酸:
(a)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸、
(b)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸、
(c)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸と相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸
(d)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸、
(e)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸、および
(f)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加および/または逆位されたアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸。
[23]
[21]または[22]記載の核酸を含有する組換えベクター。
[24]
[23]記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
[25]
原核微生物である、[24]記載の形質転換体。
[26]
大腸菌である、[25]記載の形質転換体。
[27]
[24]から[26]のいずれか記載の形質転換体を培地に培養し、培養物からアンジオテンシン変換酵素2活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、[11]から[20]のいずれか記載のポリペプチドを製造する方法。
[28]
[21]または[22]記載の核酸を含有する、医薬組成物。
[29]
[23]記載の組換えベクターを含有する、医薬組成物。
[30]
高血圧、心不全、心組織線維化症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺傷害、例えば酸吸引もしくは敗血症により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害が原因となるものを処置または予防するための、[28]または[29]記載の医薬組成物。
[31]
アンジオテンシン変換酵素2活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を調節し得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階a)で測定された活性が段階b)で測定された活性と異なることにより、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を調節することが示唆される段階、
を含む方法。
[32]
アンジオテンシン変換酵素2活性を向上させる物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を向上させ得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階b)で測定された活性が段階a)で測定された活性よりも亢進している場合に、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を向上させることが示唆される段階、
を含む方法。
[33]
アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、[11]から[20]記載のポリペプチド、または、[9]におけるB38−CAPもしくはB38−CAP変異体である、[31]または[32]記載の方法。
基質が、配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびにNam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp 、
のうちの少なくとも1つである、[31]から[33]のいずれか記載の方法。
[35]
アンジオテンシン変換酵素2活性を向上させ得る候補物質が、各種微生物、動物組織、動物細胞、植物組織、植物細胞、およびそれらの培養物および培養液、ならびに発酵食品、加工食品から得られる、[31]から[34]のいずれか記載の方法。
本発明は一つの態様として、アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体を有効成分として含有する、医薬組成物に関する。
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)。アミノ酸配列1)は、金属結合残基の2つのヒスチジンと触媒残基のグルタミン酸が含まれている配列であり、アミノ酸配列2)は、金属結合残基のグルタミン酸が含まれている配列である。
・リーシュマニア (Leishmania major) 由来のLmaCP1 カルボキシペプチダーゼ(MER0015184) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・大腸菌 (Escherichia coli) 由来ペプチダーゼ (MER0858205) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・プランクトミケス (Gimesia maris) 由来のカルボキシペプチダーゼ Taq (MER0107615)、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・テルムス・アクウァーティクス (Thermus aquaticus) 由来のカルボキシペプチダーゼ Taq (MER0001186) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・緑色非硫黄細菌 (Chloroflexus aurantiacus) 由来のカルボキシペプチダーゼ Taq (MER0023467) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・デイノコッカス・ラディオデュランス (Deinococcus radiodurans) カルボキシペプチダーゼ Taq (MER0011644) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・クラミジア (Parachlamydia acanthamoebae) 由来のカルボキシペプチダーゼ Taq (MER0231159) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・フソバクテリウム (Fusobacterium nucleatum) 由来のypwA ペプチダーゼ (MER0332046)、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・グラム陰性紡錘状桿菌 (Leptotrichia goodfellowii) 由来のypwA プチダーゼ (MER0295175) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・セレウス菌(Bacillus cereus) 由来ペプチダーゼ (MER0858095) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、
・クラミジア・トラコマチス (Chlamydia trachomatis) 由来ペプチダーゼ (MER0858199)、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、ならびに
・枯草菌(Bacillus subtilis) 由来ペプチダーゼ (MER0857975) 、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体。
・Bacillus subtilis NBRC 13719株由来のBS−CAP、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体
・Bacillus amyloliquefaciens NBRC 3022株由来のBA−CAP、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、ならびに
・Paenibacillus sp. B38株由来のB38−CAP、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体。
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体
5)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAP、および
6)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体、である。
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)。アミノ酸配列1)は、金属結合残基の2つのヒスチジンと触媒残基のグルタミン酸が含まれている配列であり、アミノ酸配列2)は、金属結合残基のグルタミン酸が含まれている配列である。
高血圧
心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力が高い病態を意味する。血圧の高さは、心臓が血液を押し出す力と血管の拡張で決まり、血管の弾力性も関係している。また、血圧は、腎臓や神経系、内分泌系、血管内皮からの物質など、多くの因子によって調整されている。ACE2は、血管収縮等を引き起こすアンジオテンシンIIを分解するため、血圧降下作用が期待される。
心筋障害により心筋のポンプ機能が低下し、末梢主要臓器の酸素需要に見合うだけの血液量を絶対的にまたは相対的に拍出できない状態にあり、肺または体静脈系にうっ血を来たし、生活機能に障害を生じた病態である。その病態は、長期間にわたる血行動態負荷、過剰な交感神経系・レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系などの神経体液性因子の活性化等をともなう臨床症候群としてとらえられる。ACE2は、血管収縮等を引き起こすアンジオテンシンIIを分解するため、心不全改善が期待される。
心組織に存在する少量の線維組織は生理学的に重要な役割を果たしているが、心臓が様々な侵襲を受けるとその反応として、心組織の線維化が亢進し種々の障害が起きる。特に左室心筋組織の過剰な線維化は左室拡張機能障害を悪化させ、心不全の発症進展に関与する。ACE2は、線維化を亢進させるアンジオテンシンIIを分解するため、心組織線維化症の改善が期待される。
本明細書における以下の実施例にて証明されたように、本発明ポリペプチドは、動物における高血圧、心不全、心組織線維化症、ならびに敗血症により誘発される急性肺傷害を実際に改善した。ACE2がこれらの疾患を改善することに加え、酸吸引により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害などの他が原因となる急性肺傷害を改善することがこれまでに報告されているため、本発明ポリペプチドは酸吸引により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害などの他が原因となるものについても改善作用が期待できる。
ヒトACE2のアミノ酸配列は、他の哺乳類のACE2のアミノ酸配列と非常に類似しており、例えばゴリラ(Gorilla gorilla gorilla)とは99%の類似性があり(以下、カッコ内の数字は類似の割合を示す)、チンパンジー(Pan troglodytes、99%)、オラウータン(Pongo abelii、98%)、ヤギ(Capra hircus、82%)、ブタ(Sus scrofa、81%)、イヌ(Canis lupus familiaris、84%)、ヒツジ(Ovis aries、82%)、アライグマ(Procyon lotor、84%)、ヤク(Bos mutus、81%)、シャチ(Orcinus orca、81%)、ハンドウイルカ(Tursiops truncatus、81%)、ゴールデンハムスター(Mesocricetus auratus、84%)、ウシ(Bos taurus、81%)、ウサギ(Oryctolagus cuniculus、85%)、ウマ(Equus caballus、87%)、アルパカ(Vicugna pacos、83%)、ネコ(Felis catus、85%)、マウス(Mus musculus、82%)、ラット(Rattus norvegicus、82%)と80%以上の高い類似性を示している。従って、本発明のポリペプチドは、ヒト以外の哺乳動物においても、同様に、動物医薬として利用できると考えられる。
本発明は別の態様として、アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体(ただし、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPおよび、配列番号1記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体を除く)に関する。
原核微生物由来ポリペプチドは、糖鎖を有していない、膜貫通領域を有していない、およびシグナルペプチドを有していないことが挙げられるが、これらに限定されない。
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、
などの基質からC末端の一残基を開裂する活性を示し 、適切には、アンジオテンシンIから一残基を開裂してアンジオテンシン1−9を生じ、アンジオテンシンIIから一残基を開裂してアンジオテンシン1−7を生じる活性を示す。
・Bacillus subtilis NBRC 13719株由来のBS−CAP、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体、ならびに
・Bacillus amyloliquefaciens NBRC 3022株由来のBA−CAP、およびそのポリペプチドのアミノ酸配列において1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有する、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するその変異体。
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、ならびに
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体、である。
核酸
本発明はさらなる別の態様として、本発明のポリペプチドをコードする核酸等に関する。ポリペプチドを構成する各アミノ酸をコードするコドンは周知であるので、当業者であれば、ポリペプチドのアミノ酸配列が分かれば、それをコードする核酸の塩基配列も知れる。
本発明はまた、さらなる態様として、本発明は、以下の(a)〜(f)のいずれか記載の核酸等に関する:
(a)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸、
(b)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸、
(c)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸と相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸
(d)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸
(e)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸
(f)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加および/または逆位されたアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸。
一致した塩基数/対象塩基配列の総塩基数×100 (I)
一致したアミノ酸数/対象アミノ酸配列の総アミノ酸数×100 (II)
本発明は1つの実施形態において、上述した核酸を含有する組換えベクターに関する。
本実施形態の組換えベクターは、発現ベクターであってもよい。本実施形態の組換えベクターを宿主中で発現させることにより、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質を製造することができる。本実施形態の組換えベクターにおいて、上述した核酸の5’末端又は3’末端に、ヒスチジンタグ、FLAGタグ等のタグ配列をコードするDNAが付加されていてもよい。発現用プラスミドは、特に限定されるものではなく、形質転換する宿主を原核微生物とし、原核微生物の発現用プラスミドとして用いられるものであれば良い。宿主を大腸菌とする場合には、例えば、大腸菌発現プラスミドpET−32aを使用することができる。
1つの実施形態において、本発明は、上述した組換えベクターを含有する形質転換体に関する。本発明のポリペプチドは、本発明の発現プラスミドで原核微生物を形質転換し、得られた形質転換体を培地中で培養することにより製造することができる。例えば、発現用プラスミドおよび宿主は、原核微生物の形質転換に適したものであれば良く、または、酵母、麹菌、昆虫細胞、動物細胞、植物細胞などの異種タンパク質発現系を用いても生産することもできる。
組換えベクターの宿主への導入(形質転換)は従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、カルシウム処理された菌体を用いるコンピテント細胞法や、エレクトロポレーション法等が挙げられる。また、プラスミドベクター以外にも、ファージベクター、ウイルスベクター等を宿主に感染させて形質転換する方法を利用してもよい。
大腸菌とpET−32aとの上記組合せ以外に、例えば以下のものを用いることができる。
宿主として大腸菌を用いる場合:発現プラスミドとしてpETシリーズ、pUCシリーズ、M13mpシリーズ、pCAMBIAシリーズ、pKK223、pACYC184、pBR322、pMALシリーズ、pGEXシリーズ、pColdシリーズなど。
宿主として枯草菌(Bacillus subtilis)を用いる場合:発現プラスミドとしてpHTシリーズ、pALシリーズ、pBE-Sなど。
宿主としてブレビバチルス菌(Brevibacillus)を用いる場合:発現プラスミドとしてpBICシリーズ、pNCシリーズ、pNIシリーズ、pNY326、pNCMO2など。
本発明は、さらなる別の態様として、本発明の核酸または組換えベクターを含有する医薬組成物に関する。
本発明において、ACE2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドをポリペプチドとして用いる代わりに、本発明の医薬組成物は、ACE2に加え、またはその代わりにACE2をコードする核酸、特にDNA分子を含むことができる。この形態において、ACE2を核酸シャトル(ベクター中にACE2のコーディング領域およびACE2発現の制御配列を含む)により送達することができる。
たはリポソームは、ACE2をコードする核酸分子のインビボ投与に用いることができる。所望により、適用は、物理的方法、例えばエレクトロポーレーションと組み合わせてよい。原則的には、あらゆる遺伝子療法を用いてよく、呼吸器疾患に有用な遺伝子療法システムがKlink et al.、J Cyst Fibros. 2004 Aug;3 Suppl 2:203-12に記載されている。このように、本発明は、肺損傷または肺疾患を治療するための医薬を製造するためのACE2の使用も含む。
本発明はさらなる別の態様として、アンジオテンシン変換酵素2活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を調節し得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階a)で測定された活性が段階b)で測定された活性と異なることにより、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を調節することが示唆される段階、
を含む方法に関する。
すなわち、本発明はさらに、アンジオテンシン変換酵素2活性を向上させる物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を向上させ得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階b)で測定された活性が段階a)で測定された活性よりも亢進している場合に、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を向上させることが示唆される段階、
を含む方法に関する。
基質としてはさらに、以下が挙げられる:
・Nam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp。
上記基質およびその他の基質は、Lee et al., Biosci. Biotech. Biochem. 58, 1490-1495, 1994およびLee et al., Proteins 77, 647-657, 2009に記載されており、これらも本明細書の記載とみなすことができる。
ACE2活性を向上させる物質は、ヒトまたは動物における内在性ACE2のACE2活性を向上させると期待され、ヒトまたは動物における高血圧、心不全、心組織線維化症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺傷害、例えば酸吸引もしくは敗血症により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害が原因となるものを処置または予防する医薬として、あるいはそのような効果を期待できる健康食品、健康機能性食品素材として利用することができる。
本発明のポリペプチド、ならびにB38−CAPおよびB38−CAP変異体の中から選ばれるポリペプチドは、ヒトACE2と比較し、可溶性酵素の大量生産が容易である。従って、これらポリペプチドを用いれば、本発明のスクリーニング方法を安価に実施でき、それゆえに大量の被験体に応用できるというメリットがある。
アラニン:Ala:A
アルギニン:Arg:R
アスパラギン:Asn:N
アスパラギン酸:Asp:D
システイン:Cys:C
グルタミン:Gln:Q
グルタミン酸:Glu:E
グリシン:Gly:G
ヒスチジン:His:H
イソロイシン:Ile:I
ロイシン:Leu:L
リジン:Lys:K
メチオニン:Met:M
フェニルアラニン:Phe:F
プロリン:Pro:P
セリン:Ser:S
スレオニン:Thr:T
トリプトファン:Trp:W
チロシン:Tyr:Y
バリン:Val:V
Paenibacillus sp. B38株(独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターにARIF-B38(FERM P-20321)として寄託されている)からゲノムDNAを単離した。つぎに、得られたゲノムDNAの塩基配列をシークエンサーにより解析した。ACE2はカルボキシペプチダーゼ活性を有していることから、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST、https://blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi)を用いて、解析したゲノムDNA塩基配列の中からカルボキシペプチダーゼをコードすると推定される領域(推定領域)を検索した。推定領域の塩基配列から設計したプライマー(塩基配列3および4)を用いて、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法により推定領域のDNAを増幅した。増幅したDNAの塩基配列を配列番号5に示す。
増幅したDNAを大腸菌用発現プラスミドpET−32a(Novagen, Madison, WI, USA)のマルチクローニングサイトに挿入し、推定領域の発現プラスミドを構築した。得られた発現プラスミドにより大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、これをLB培地(Novagen, Madison, WI, USA)中で培養することにより、推定領域にコードされたタンパク質を発現させた。
ACE2活性の測定は非特許文献4に従って行った。すなわち、消光性蛍光基質2−メチルアミノベンゾイル(Nma)−ヒスチジン(His)−プロリン(Pro)−[Nε−(2,4−ジニトロフェニル)−リシル][Lys(Dnp)]を用いて、これを分解する活性について、推定領域にコードされたタンパク質をスクリーニングした。その結果、配列番号1のアミノ酸配列を有するタンパク質を発見した。また、このタンパク質をコードする塩基を配列番号2に示す。
大腸菌用発現プラスミドpET−32aのマルチクローニングサイトに配列番号2に示す原核微生物由来ACE2をコードするDNA全長を組み込み、発現プラスミドを構築した。得られた発現プラスミドにより大腸菌BL21(DE3)株を形質転換し、これをLB培地中で培養することにより、原核微生物由来ACE2を発現させた。超音波破砕機により大腸菌を破砕し、遠心分離により菌体破砕液上清を取得した。陰イオン交換クロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーにより、単一酵素を取得した(図1)。図1中、符号1は分子量マーカー、符号2は精製タンパク質を電気泳動したレーンである。
精製タンパク質の分子量は約57kDaであり、アミノ酸配列から計算した分子量57,597と一致した。培養液1L(リットル)あたり約100mgの原核微生物由来ACE2が得られた。以下、これを「B38−CAP」と称する。
参考例2により得られた精製B38−CAPについて、基質Nma-His-Pro-Lys(Dnp) (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)に対する動力学定数を非特許文献4に基づき測定した。表1にその結果を示す。動力学定数は、実験を3回繰り返して行って得られた平均値である。本参考例で使用したヒトACE2はコスモ・バイオ株式会社から購入した。ヒトACE2の動力学定数値は、非特許文献4から引用した値である。
まず、B38−CAPおよびヒトACE2によるアンジオテンシンIIの加水分解実験を行った。結果を図2に示す。
図2において、(A)は、アンジオテンシンIIのみ、(B)は、アンジオテンシン(1−7)のみ、(C)は、フェニルアラニンのみ、(D)は、アンジオテンシンIIにヒトACE2を添加し、37℃で3時間インキュベートしたもの、(E)はアンジオテンシンIIに原核微生物由来ACE2(B38-CAP)を添加し、37℃で3時間インキュベートしたものである。
HPLCの測定条件は、溶媒AからBへのリニアグラジエント(溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B:アセトニトリル)、分析時間10分、検出波長:210nm、カラム:TSKgel Super-ODS(10cm)とした。
図2は、B38−CAPがヒトACE2と同様、アンジオテンシンIIからアンジオテンシン(1−7)を生成することを示している。
ヒトACE2阻害剤として知られているニコチアナミンを用い、B38−CAPが阻害されるか調べた。結果、IC50は、ヒトACE2が84nMであるところ、B38−CAPは74nMであり、同程度であった。B38−CAPがニコチアナミンによって阻害を受けることは、ヒトACE2とB38−CAPの活性部位の構造が類似していることを示唆している。
実施例1
B38−CAPの血中動態
B38−CAP(2 mg/kg)をマウス(C57BL/6N系統、雄、12週齢)に腹腔内1回投与した後、経時的に血液を採取し、反応溶液(0.1 M HEPES、pH 7.5, 0.3 M NaCl、0.01% Triton X-100、0.02% NaN3、20μM Nam-Leu-Pro-Lys(Dnp)-OH)に血漿を加え、コントロールと比較し、血漿中のACE2活性を測定した。これにより、マウス血中のB38−CAP濃度を経時的に求めた。得られた結果を図4に示す。血中B38−CAP濃度は、投与後1時間以内に最高濃度に達し、8時間後には低値になったが、12時間後でも血中B38−CAPによるACE2活性は検出できた。
マウスにおけるアンジオテンシンIIによる高血圧に対するB38−CAPの降圧作用
実施例2−1:マウスにおけるB38−CAのアンジオテンシンII中和作用
マウス(C57BL/6N系統、雄、12週齢)にアンジオテンシンII(1 mg/kg/day)を浸透圧ポンプを用いて2週間持続投与し、血中のアンジオテンシンII(Ang II)は上昇した。これに対し、同時にB38−CAを充填した別の浸透圧ポンプをマウスに移植し、B38−CAを持続投与(2 mg/kg/day)すると、血中のAng II濃度は有意に低下した。
得られた結果を図5に示す。
マウスにアンジオテンシンII (Ang II 1 mg/kg/day)を浸透圧ポンプを用いて2週間持続投与すると血圧が上昇した。これに対し、同時に別の浸透圧ポンプでB38−CA (2 mg/kg/day)を持続投与すると血圧が有意に低下した。
得られた結果を図6に示す。
同様に、B38−CA (2 mg/kg)を1日1回腹腔投与すると血圧が有意に低下した。血圧測定は、B38−CAを投与後6時間後に行った。
得られた結果を図7に示す。
図6および7は、B38−CAが動物の生体内においてアンジオテンシンIIの血圧上昇作用を確かに抑制することを示している。
アンジオテンシンIIによる心肥大に対するB38−CAPの抑制作用
マウスにアンジオテンシンII (Ang II 1 mg/kg/day)を浸透圧ポンプを用いて2週間持続投与すると心臓が肥大し、心臓の重量(心重量/体重比)が増加した。これに対し、同時に別の浸透圧ポンプでB38−CA (2 mg/kg/day) を持続投与すると、心重量増加の抑制、心臓壁肥厚の抑制といった心肥大抑制が認められた。
得られた結果を図8に示す。
得られた結果を図9に示す。
アンジオテンシンIIによる心線維化に対するB38−CAP1回投与の抑制作用
マウスにアンジオテンシンII(Ang II 1 mg/kg/day)を浸透圧ポンプを用いて2週間持続投与すると、心臓組織の線維化(Masson-Trichrome染色の中央にある灰色領域)が増加し、線維化遺伝子(Col8a-1ならびにTgfb2)の発現が上昇した。これに対し、B38−CA (2 mg/kg)を1日1回腹腔投与すると、線維化領域の縮小、線維化遺伝子の発現低下といった線維化の抑制が認められた。線維化遺伝子の測定は、qRT-PCRによる組織中mRNAの定量測定で行った。
得られた結果を図10−1および図10−2に示す。
TAC圧負荷ストレスによる心肥大に対するB38−CAP持続投与の抑制作用
マウスに横行大動脈縮窄手術(Transverse aortic constriction; TAC)により心臓に圧負荷ストレスをかけると、2週間後に心臓が肥大し、心臓の重量(心重量/体重比)が増加し、心不全遺伝子(BNPならびにMyh7)の発現が上昇した。これに対し、同時に別の浸透圧ポンプでB38−CAP (2 mg/kg/day)を持続投与すると、心重量増加の抑制、心不全遺伝子の発現低下といった心肥大抑制が認められた。心不全遺伝子の測定は、qRT-PCRによる組織中mRNAの定量測定で行った。
得られた結果を図11−1および図11−2に示す。Shamは偽手術の正常コントロール実験群。写真のスケールバーは2 mm。
TAC圧負荷ストレスによる心機能低下に対するB38−CAP持続投与の抑制作用
マウスにTAC手術により心臓に圧負荷ストレスをかけると、2週間後、心エコーにて左室収縮末期内径(LVDs)ならびに左室拡張末期内径(LVDd)が増加し、心臓の駆出率(%FS)が減少するなど心機能が低下した。これに対し、浸透圧ポンプでB38−CAP (2 mg/kg/day)を持続投与すると、明らかな心機能改善が認められた。
得られた結果を図12−1および12−2に示す。Shamは偽手術の正常コントロール実験群。
TAC圧負荷ストレスによる心線維化に対するB38−CAP持続投与の抑制作用
マウスにTAC手術により心臓に圧負荷ストレスをかけると、2週間後に心臓組織の線維化(Masson-Trichrome染色の中央にある灰色領域)が増加し、線維化遺伝子(Col8a-1)の発現が上昇する。これに対し、浸透圧ポンプでB38−CAP (2 mg/kg/day)を持続投与すると、線維化領域の縮小、線維化遺伝子の発現低下といった線維化の抑制が認められた。 Shamは偽手術の正常コントロール実験群。線維化遺伝子の測定は、qRT-PCRによる組織中mRNAの定量測定で行った。
得られた結果を図13−1および13−2に示す。写真のスケールバーは100 mm。
マウス腹膜炎・敗血症モデルにおけるB38−CAPの急性炎症改善作用
盲腸結紮穿孔による腹膜炎・敗血症モデル(cecal ligation and puncture: CLP)において、B38−CAP (2 mg/kg)の腹腔内1回投与(CLPと同時)により、CLP後24時間後の生存率、腹腔洗浄液(Peritoneal Lavage Fluid: PLF)中の炎症細胞数が改善傾向を示した。気管支肺胞洗浄液(Bronchoalveolar Lavage Fluid: BALF)中の炎症細胞数は、B38−CAP投与により有意に低下し、肺の急性炎症が抑制された。
得られた結果を図14に示す。
B38−CAP持続投与の肝機能、腎機能に対する影響
TAC手術あるいはSham手術(正常コントロール実験群)のマウスに、浸透圧ポンプでB38−CAP (2 mg/kg/day)を2週間持続投与した後、血液を採取し、血清中の肝機能マーカー(AST、ALT)ならびに腎機能マーカー(BUN、Cr)を測定した。いずれも正常範囲内で肝機能、腎機能に異常は認められなかった。
得られた結果を図15に示す。
Bacillus subtilis由来カルボキシペプチダーゼの単離
Bacillus subtilis由来カルボキシペプチダーゼは、Lee MM, et al., Proteins 77(3), 647-657, 2009に記載されているypwA遺伝子(GenBankアクセッションナンバー: L47838)にコードされているポリペプチド(UniProtKBアクセッションナンバー: P50848、PDB ID: 3HQ2)である。
反応溶液の組成:KOD−Plus−(東洋紡株式会社製)のプロトコール
PCR反応:94℃、2分を1回、94℃、15秒、50℃、30秒、68℃、1分を30回、68℃、10分を1回。
プライマーの配列(BS−CAP用):
(1) GATATACCATGGAGATACATACATATGAAAAAG(配列番号18)
(2) GTGGTGCTCGAGTTATAACAGATAGAGATTTGAATATTTG(配列番号19)
これを参考例2と同様に調製、精製し、単一酵素を取得した。このタンパク質をBS−CAPと称する。
BS−CAPのアミノ酸配列および塩基配列をそれぞれ、配列番号20および21に示す。
Bacillus amyloliquefaciens由来カルボキシペプチダーゼの単離
Dunlap,C.A., et al., Int. J. Syst. Evol. Microbiol., 65, 2104-2109, 2015には、DNA配列が記載されている(GenBankアクセッションナンバー: AFZ91113)。また、データベースにその推定アミノ酸配列が記載され、カルボキシペプチダーゼであることが示唆されている。しかし、BA−CAPが実際にタンパク質として単離され、活性測定されたことは記載されていない。
プライマーの配列(BA−CAP用)
(1) GATATACCATGGATTTACATACATATGAAAAAG(配列番号22)
(2) GTGGTGCTCGAGTTATAAATATAAATTTGAATATTTGCCG(配列番号23)
これを参考例2と同様に調製、精製し、単一酵素を取得した。このタンパク質をBA−CAPと称する。
BA−CAPのアミノ酸配列および塩基配列をそれぞれ、配列番号24および25に示す。
BS−CAPおよびBA−CAPの酵素活性
実施例1にて調製したBS−CAPおよび実施例2にて調製したBA−CAPによるアンジオテンシンIIの加水分解実験を行ったところ、アンジオテンシンII(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)からC末端アミノ酸残基のPheを分離し、アンジオテンシン(1−7)(Asp-Arg-Val-Tyr-Ile-His-Pro)を生成した。
得られた結果を図16に示す。
これらの結果は、参考例2にて調製したB38−CAPによるアンジオテンシンIIの加水分解実験と同様の結果であることから、BS−CAPおよびBA−CAPも、ヒトおよび動物に対してB38−CAPと同様な効果が期待できる。
HPLCの測定条件は、溶媒AからBへのリニアグラジエント(溶媒A:0.1%トリフルオロ酢酸、溶媒B:アセトニトリル)、分析時間10分、検出波長:210nm、カラム:TSKgel Super-ODS(10cm)とした。
ヒト組換えACE2タンパク質は糖鎖構造を持つため、その調製には哺乳類細胞のタンパク質生産系が必要であり、莫大なコストと時間がかかる。これに対し、本発明におけるACE2活性を有するポリペプチドは元来、糖鎖構造を有していないため、大腸菌のタンパク質生産系で調製することができ、大幅なコストと時間の節約が可能であり、タンパク質製剤として活用の実現性が高い。また、B38−CAPとACE2は収斂進化の産物であることから、収斂進化の分子探索を活用した機能的酵素の「ジェネリック」タンパク質製剤の開発が有効である可能性を示すことができた。
Claims (35)
- アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体を有効成分として含有する、医薬組成物。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびに、
Nam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、
のうち、少なくとも1つのペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、請求項1記載の医薬組成物。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号7記載のアミノ酸配列を有するペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、請求項1または2記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、Leishmania属、Escherichia属、Gimesia属、Thermus属、Chloroflexus属、Deinococcus属、Parachlamydia属、Fusobacterium属、Leptotrichia属、Bacillus属、Chlamydia属、Paenibacillus属、Clostridium属、Leptospira属、Enterococcus属、Geobacillus属、Haloferax属、Halorubrum属、Roseobacter属、Thermococcus属、Pyrococcus属、Leuconostoc属、Haloarcula属、およびRhodobacter属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、請求項1から3までのいずれか記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、Bacillus属およびPaenibacillus属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、請求項4記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、Leishmania major、Escherichia coli、Gimesia maris、Thermus aquaticus、Chloroflexus aurantiacus、Deinococcus radiodurans、Parachlamydia acanthamoebae、Fusobacterium nucleatum、Leptotrichia goodfellowii、Bacillus cereus、Chlamydia trachomatis、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Paenibacillus sp. B38、Clostridium saccharolyticum、Leptospira interrogans、Thermus thermophilus、およびPyrococcus furiosusの中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生される、請求項4記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、およびPaenibacillus sp. B38の中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生されるポリペプチドである、請求項6記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、糖鎖を有していない、請求項1から7のいずれか記載の医薬組成物。
- 原核微生物由来ポリペプチドが、以下の中から選ばれる少なくとも1つである、請求項1から8のいずれか記載の医薬組成物:
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体
5)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAP、および
6)配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体。 - 高血圧、心不全、心組織線維化症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺傷害、例えば酸吸引もしくは敗血症により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害が原因となるものを処置または予防するための、請求項1から9のいずれか記載の医薬組成物。
- アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドであって、下記のアミノ酸配列をその活性部位に含むポリペプチド:
1)His-Glu-Xaa-Xaa-His(配列番号26)のアミノ酸配列(ここに、Xaaは任意のアミノ酸残基である)、および
2)His-Glu-(Ser/Gly)のアミノ酸配列(ここに、Ser/GlyはSerまたはGlyを意味する)、またはその誘導体。
ただし、配列番号1記載のアミノ酸配列を有するB38−CAPおよび、配列番号1記載のアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するB38−CAP変異体を除く。 - 配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびにNam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、
のうち、少なくとも1つのペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、請求項11記載のポリペプチド。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、配列番号7記載のアミノ酸配列を有するペプチドのC末端アミノ酸残基を1残基切断する活性を有している、請求項11または12記載のポリペプチド。
- Leishmania属、Escherichia属、Gimesia属、Thermus属、Chloroflexus属、Deinococcus属、Parachlamydia属、Fusobacterium属、Leptotrichia属、Bacillus属、Chlamydia属、Paenibacillus属、Clostridium属、Leptospira属、Enterococcus属、Geobacillus属、Haloferax属、Halorubrum属、Roseobacter属、Thermococcus属、Pyrococcus属、Leuconostoc属、Haloarcula属、およびRhodobacter属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生される、請求項11から13のいずれか記載のポリペプチド。
- Bacillus属およびPaenibacillus属の中から選ばれる少なくとも1つの属から産生され、請求項14記載のポリペプチド。
- Leishmania major、Escherichia coli、Gimesia maris、Thermus aquaticus、Chloroflexus aurantiacus、Deinococcus radiodurans、Parachlamydia acanthamoebae、Fusobacterium nucleatum、Leptotrichia goodfellowii、Bacillus cereus、Chlamydia trachomatis、Bacillus subtilis、Bacillus amyloliquefaciens、Paenibacillus sp. B38、Clostridium saccharolyticum、Leptospira interrogans、Thermus thermophilus、およびPyrococcus furiosusの中から選ばれる少なくとも1つの菌株から産生される、請求項11から14のいずれか記載のポリペプチド。
- Bacillus subtilisから産生されるポリペプチドである、請求項16記載のポリペプチド。
- 糖鎖を有していない、請求項11から17のいずれか記載のポリペプチド。
- 可溶性である、請求項11から18のいずれか記載のポリペプチド。
- 以下の中から選ばれる少なくとも1つである、請求項11から19のいずれか記載のポリペプチド:
1)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAP、
2)配列番号20記載のアミノ酸配列を有するBS−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBS−CAP変異体、
3)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAP、
4)配列番号24記載のアミノ酸配列を有するBA−CAPにおいて、1または数個のアミノ酸残基の置換、欠失、挿入、付加および/または逆位を有するアミノ酸配列であって、アンジオテンシン変換酵素2活性を有するBA−CAP変異体。 - 請求項11から20のいずれか記載のポリペプチドをコードする核酸。
- 以下の(a)〜(f)のいずれかに記載の核酸:
(a)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸、
(b)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列と同一性が80%以上である塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸、
(c)配列番号2、21および25のいずれか記載の塩基配列からなる核酸と相補的な塩基配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸
(d)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードする核酸、
(e)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列と同一性が80%以上であるアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸、および
(f)配列番号1、20および24のいずれか記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加および/または逆位されたアミノ酸配列からなり、かつアンジオテンシン変換酵素2活性を有するタンパク質をコードする核酸。 - 請求項21または22記載の核酸を含有する組換えベクター。
- 請求項23記載の組換えベクターを含有する形質転換体。
- 原核微生物である、請求項24記載の形質転換体。
- 大腸菌である、請求項25記載の形質転換体。
- 請求項24から26のいずれか記載の形質転換体を培地に培養し、培養物からアンジオテンシン変換酵素2活性を有するポリペプチドを採取することを特徴とする、請求項11から20のいずれか記載のポリペプチドを製造する方法。
- 請求項21または22記載の核酸を含有する、医薬組成物。
- 請求項23記載の組換えベクターを含有する、医薬組成物。
- 高血圧、心不全、心組織線維化症、急性呼吸窮迫症候群または急性肺傷害、例えば酸吸引もしくは敗血症により誘発される重症急性肺損傷、肺水腫、または重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルス感染もしくはインフルエンザウイルス感染関連肺損傷および障害が原因となるものを処置または予防するための、請求項28または29記載の医薬組成物。
- アンジオテンシン変換酵素2活性を調節する物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を調節し得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階a)で測定された活性が段階b)で測定された活性と異なることにより、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を調節することが示唆される段階、
を含む方法。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を向上させる物質をスクリーニングする方法であって、
a)本発明ACE2ポリペプチドを本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、
b)本発明ACE2ポリペプチドを、ACE2活性を向上させ得る候補物質の存在下、本発明ACE2ポリペプチドの基質と接触させ、および基質の分解を検出し、それにより本発明ACE2ポリペプチドの活性を評価する段階、ならびに
c)段階a)およびb)で評価された本発明ACE2ポリペプチドの活性を比較し、その結果、段階b)で測定された活性が段階a)で測定された活性よりも亢進している場合に、候補物質が本発明ACE2ポリペプチドの活性を向上させることが示唆される段階、
を含む方法。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を有する原核微生物由来ポリペプチドが、請求項11から請求項20記載のポリペプチド、または、請求項9におけるB38−CAPもしくはB38−CAP変異体である、請求項31または32記載の方法。
- 基質が、配列番号6から8および10から17記載のアミノ酸配列を有するペプチドおよびその変異体、ならびにNam-Xaa-Pro-Lys(Dnp)-OH (ここに、Namは2−メチルアミノベンゾイル、XaaはLeu、Met、Ile、Phe、Val、Trp、Arg、Tyr、Thr、Lys、His、Ala、Asn、Gln、Ser、Proのうち任意のアミノ酸残基、Dnpは2,4−ジニトロフェニルを示す)、
・Nma-Phe-His-Lys(Dnp)-OH (ここに、NamおよびDnpは前記と同様)、
・Cbz(カルボベンゾキシ)-Phe-Tyr、Z(ベンジルオキシカルボニル)-Ala-Xaa (ここに、XaaはArg、His、Trp、Tyr、Phe、Ile、Ala、Val、Ser、Met、Asn、Glu、Glyのうち任意のアミノ酸残基)、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa(N3-(2,4-ジニトロフェニル)-L-2,3-ジアミノプロピオニル)-Ala-Ala-Trp、
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、および
・Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Ala-Ser-Gly-Lys-Dpa-Ala-Ala-Trp、
のうちの少なくとも1つである、請求項31から33のいずれか記載の方法。 - アンジオテンシン変換酵素2活性を向上させ得る候補物質が、各種微生物、動物組織、動物細胞、植物組織、植物細胞、およびそれらの培養物および培養液、ならびに発酵食品、加工食品から得られる、請求項31から34のいずれか記載の方法。
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| A521 | Request for written amendment filed |
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| A02 | Decision of refusal |
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