[第1実施例]
図1は、本発明の第1実施例としてのパチンコ機1の正面図であり、図2は、パチンコ機1が有する遊技盤20の概略構成図であり、図3は、パチンコ機1の電気的な構成を示すブロック図である。本実施例では、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、当該特別図柄が所定の大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技を開始する、いわゆるセブン機タイプ(第1種タイプ)の遊技機に本発明を適用した例について説明する。
[パチンコ機1の外観構成]
本実施例のパチンコ機1は、図1に示すように、前面枠(ガラス枠)3に嵌め込まれたガラス板(透明板)4を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤20と、遊技球を貯留する上受け皿11および下受け皿12と、上受け皿11に貯留されている遊技球を遊技盤20へ発射するための発射ハンドル13と、を備える。本実施例のパチンコ機1は、プリペイドカードに対応したCR機であり、当該パチンコ機1の左側には、プリペイドカードの読み書きを行なうためのCRユニット50が設けられている。
前面枠3は、内枠5に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として内枠5に対して開閉可能となっている。また、内枠5は、外枠2に嵌め込まれており、左側の上下に設けられたヒンジを支点として外枠2に対して開閉可能となっている。前面枠3と内枠5は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。一方、外枠2は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、遊技ホールの島設備の島枠に固定される。
前面枠3の上部左右には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に対して注意喚起するための警告音を鳴らしたりするスピーカ14が設けられている。また、前面枠3には、遊技状態に応じて発光する枠側装飾ランプ(ランプ)15が複数設けられている。
上受け皿11には賞球や貸球が払い出されるようになっている。上受け皿11の上面右部には、CRユニット50に挿入されたプリペイドカードの残高等を表示する精算表示装置52が配設され、当該精算表示装置52には、遊技球の貸し出しを指示する球貸ボタン53と、CRユニット50に挿入されているプリペイドカードの精算(返却)を指示する精算ボタン54と、が設けられている。また、上受け皿11の上面中央部には、遊技者の操作に応じて各種演出を行なうための演出ボタン16が配設されている。下受け皿12は上受け皿11から溢れた球を受けることができるようになっている。
発射ハンドル13は、下受け皿12の右方に設けられており、遊技者により時計回りに回動操作されると、図示しない発射装置が有する発射モータ83(図3参照)が作動し、発射ハンドル13の回動操作量に応じた発射威力で遊技球を1球ずつ遊技盤20へ向けて打ち出す。
[遊技盤20の構成]
遊技盤20は、図2に示すように、外レール21aと内レール21bとによって囲まれる遊技領域21が形成されている。この遊技盤20は、遊技領域21の略中央部に設けられた演出図柄表示装置37と、演出図柄表示装置37の周囲に配置されたワープ入口やワープ樋,ステージ等を含むセンター役物38と、センター役物38の右方に配置された普通図柄作動ゲート22と、センター役物38の下方に配置された常時開放の第1始動口23と、普通図柄作動ゲート22の下方に配置された開閉式の第2始動口24と、遊技領域21の右下部に配置された大入賞口25と、遊技領域21の左下部に配置された常時開放の普通入賞口26と、何れの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口29と、を備える。また、遊技盤20には、遊技領域21を流下する遊技球をガイドしたり弾いたりする多数の釘21cが植設されている。
第2始動口24は、普通電動役物として構成される可変式の入球口であり、左右一対の開閉羽根(開閉部材)24bと、開閉羽根24bを作動させる第2始動口ソレノイド24c(図3参照)と、を備える。この第2始動口24は、通常は、開閉羽根24bが直立して遊技球の入球が困難な通常状態とされており、普通図柄が当り図柄で停止表示されて当り遊技(普通図柄当り遊技)が実行されるときに、第2始動口ソレノイド24cによって開閉羽根24bが左右に開くことにより、遊技球の入球が容易な開放状態とされる。第2始動口24には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための第2始動口スイッチ24aが取り付けられている。第2始動口24は、第2始動口スイッチ24aが遊技球の入球を規定数カウントするか、規定数カウントする前に予め定められた最大開放時間が経過すると閉鎖される。
大入賞口25は、特別電動役物として構成される可変式の入球口であり、開閉板(開閉部材)25bと、開閉板25bを作動させる大入賞口ソレノイド25c(図3参照)と、を備える。この大入賞口25は、通常は、開閉板25bによって塞がれて遊技球の入球が不能な閉鎖状態とされており、特別図柄が大当り図柄で停止表示されて大当り遊技が実行されるときに、大入賞口ソレノイド25cによって開閉板25bが手前に開くことにより、遊技球の入球が可能な開放状態とされる。大入賞口25には、遊技球の入球を検知してその入球数をカウントするための大入賞口スイッチ25aが取り付けられている。大入賞口25は、大入賞口スイッチ25aが遊技球の入球を9個カウントするか、9個カウントする前に所定の開放時間(例えば、28.0秒)が経過すると閉鎖される(大当りラウンド)。大当り遊技は、上記大当りラウンドを予め定められた所定回数(例えば15回)繰り返すことにより行なう。
第1始動口23は、遊技者が遊技球を遊技領域21の左側領域(第1遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる左打ち)することにより遊技球を入球させることができる。一方、第2始動口24,大入賞口25は、左打ちによって遊技球を入球させることは不可能であり、遊技球を遊技領域21の右側領域(第2遊技領域)に流下させるように発射ハンドル13を回動操作(いわゆる右打ち)することにより遊技球を入球させることができる。もっとも、第2始動口24および大入賞口25は、可変式の入賞口であり、それぞれ、普通図柄が当選した場合,特別図柄が大当りで当選した場合に開放されてはじめて遊技球が入球可能となる。
遊技盤20の右下部には、第1特別図柄表示装置(第1特図表示装置)31と、第2特別図柄表示装置(第2特図表示装置)32と、第1特別図柄保留数表示装置(第1特図保留数表示装置)33と、第2特別図柄保留数表示装置(第2特図保留数表示装置)34と、普通図柄表示装置(普図表示装置)35と、普通図柄保留数表示装置(普図保留数表示装置)36と、が配置されている。
第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、本実施例では、7セグメント表示装置として構成されており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数種類の表示態様を表現する。第1特図表示装置31および第2特図表示装置32は、始動口への遊技球の入球に基づいて表示態様を順次切り替えることにより特別図柄の変動表示を開始し、所定の変動時間が経過したときに予め定められた複数の停止表示態様の何れかで停止表示することにより特別図柄を停止表示する。そして、特別図柄が所定の停止表示態様(大当り図柄)で停止表示されると、大当り遊技が実行される。第1特図表示装置31は、第1始動口23への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第1始動口入球用の表示装置であり、第2特図表示装置32は、第2始動口24への遊技球の入球に基づいて特別図柄を変動表示する第2始動口入球用の表示装置である。なお、第1特図表示装置31により表示される特別図柄を第1特別図柄(第1特図)とも呼び、第2特図表示装置32により表示される特別図柄を第2特別図柄(第2特図)とも呼ぶ。
なお、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第1始動口23に遊技球が入球した場合、第1特別図柄の変動表示を所定数(実施例では4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第1特別図柄の変動表示を順次開始する。第1特別図柄の保留数は、第1特図保留数表示装置33に表示される。また、特別図柄の変動表示中や大当り遊技中に第2始動口24に遊技球が入球した場合も、第2特別図柄の変動表示を所定数(例えば、4回)まで保留し、現在の変動表示が終了した後に、保留している第2特別図柄の変動表示を順次開始する。第2特別図柄の保留数は、第2特図保留数表示装置34に表示される。
普図表示装置35は、本実施例では、当りの場合に点灯し外れの場合に消灯する第1表示部と、当りの場合に消灯し外れの場合に点灯する第2表示部と、を有するLED表示装置として構成されている。普図表示装置35は、普通図柄作動ゲート22に設けられたゲートスイッチ22aが遊技球を検知したことに基づいて、第1表示部の点灯と第2表示部の点灯とを交互に繰り返すことにより普通図柄を変動表示し、所定の変動時間が経過すると、第1表示部および第2表示部の何れか一方を点灯し他方を消灯することにより普通図柄を停止表示する。普通図柄が当り図柄で停止表示されると、第2始動口24が開放される。
なお、本実施例では、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート22を通過したときには、普通図柄の変動表示を所定数(例えば、4個)まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留している普通図柄の変動表示を順次開始する。普通図柄の保留数は、普図保留数表示装置36に表示される。
演出図柄表示装置37は、液晶ディスプレイ等により構成される画像表示装置であり、表示画面上で特別図柄に対応する演出図柄(疑似図柄)371L,371C,371Rの表示(図柄変動演出)の他、リーチ演出やボタン演出(予告演出や当落報知演出、確変昇格演出)等の様々な演出表示を行なう。図4は、演出図柄表示装置37の演出表示の一例を示す説明図である。図示するように、演出図柄表示装置37の表示画面の中央部には、数字や英字、文字、記号、キャラクタ等(図の例では、数字)からなる左,中,右の3つの演出図柄371L,371C,371Rが表示される。3つの演出図柄371L,371C,371Rは、始動口(第1始動口23または第2始動口24)に遊技球が入球すると、上から下へスクロールするように変動表示され、所定の変動時間が経過すると、左,右,中の順に停止表示される。右の演出図柄371Rが停止表示されたときに当該右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致しなかったときには、外れ(通常外れ)となる。一方、右の演出図柄371Rが左の演出図柄371Lと一致したときには、リーチとなり、リーチ演出に移行する。そして、当該リーチ演出を経て中の演出図柄371Cが停止表示されたときに当該中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致しなかったときには、外れとなり(リーチ外れ)、中の演出図柄371Cが左右の演出図柄371L,371Rと一致したときには、大当りとなる。なお、演出図柄表示装置37の表示画面には、演出内容に応じて表示態様(表情)が変化するキャラクタ図柄373が表示される。
また、演出図柄表示装置37の表示画面の隅部(下部)には、図4に示すように、第1および第2保留図柄372a,372bも表示される。第1保留図柄372aは、第1特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第1保留図柄372aは、特別図柄の変動表示中等に第1始動口23に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第1特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。また、第2保留図柄372bは、第2特別図柄の保留記憶に対応する図柄である。第2保留図柄372bは、特別図柄の変動表示中等に第2始動口24に遊技球が入球する毎に右側から順に1つずつ追加表示され、第2特別図柄の変動表示が開始される毎に始動入球時とは逆側から1つずつ消去される。
[制御回路の構成]
また、パチンコ機1は、図3に示すように、その制御回路として、主制御装置60と、払出制御装置70と、発射制御装置80と、サブ統合制御装置90と、演出図柄制御装置91と、図示しない電源装置と、を備える。主制御装置60は、CPU60aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU60aの他に、処理プログラムやテーブルを記憶するROM60b,処理プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM60c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。なお、図示しないが、払出制御装置70や発射制御装置80も同様に、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他に、ROM,RAM,入出力ポート,通信ポートなどを備える。また、パチンコ機1には外部接続端子板65が設けられており、外部接続端子板65により遊技状態や遊技結果を示す信号がホールコンピュータ100(図3参照)へ送信される。
主制御装置60は、遊技の基本的な進行の制御を行なうものである。図3に示すように、主制御装置60には、前面枠3の開放を検知する前面枠開放スイッチ3aや、内枠5の開放を検知する内枠開放スイッチ5a等からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力される。また、主制御装置60には、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過を検知するゲートスイッチ22a、第1始動口23への遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ23aや、第2始動口24への遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ24a、大入賞口25への遊技球の入球を検知する大入賞口スイッチ25a、普通入賞口26への遊技球の入球を検知する普通入賞口スイッチ26a等からの検知信号が遊技盤中継端子板61を介して入力される。一方、主制御装置60からは、第2始動口ソレノイド24cや大入賞口ソレノイド25c等への駆動信号が遊技盤中継端子板61を介して出力される。また、主制御装置60からは、第1特図表示装置31や第2特図表示装置32、第1特図保留数表示装置33、第2特図保留数表示装置34、普図表示装置35、普図保留数表示装置36等への表示信号が図柄表示装置中継端子板62を介して出力される。更に、主制御装置60からは、ホールコンピュータ100への信号が裏配線中継端子板64および外部接続端子板65を介して出力される。
払出制御装置70は、賞球や貸球の払い出しに関する制御を司るものである。この払出制御装置70には、上受け皿11に払い出す遊技球を貯留するための図示しない球タンクの球切れを検知する球切れスイッチ76からの検知信号が裏配線中継端子板64を介して入力され、上受け皿11に払い出される遊技球を検知する払出スイッチ74からの検知信号が払出中継端子板71および裏配線中継端子板64を介して入力され、下受け皿12の満杯を検知する満杯スイッチ75からの検知信号が直接に入力される。一方、払出制御装置70からは、払出モータ73への駆動信号が裏配線中継端子板64および払出中継端子板71を介して出力される。払出制御装置70は、主制御装置60と双方向通信が可能に構成されており、主制御装置60から送信されるコマンドに従って払出モータ73を駆動して賞球の払い出しを行なう。払出制御装置70は、球切れスイッチ76および満杯スイッチ75の何れかから検知信号を入力すると、その検知の状況が解消して検知信号を入力しなくなるまで、払出モータ73を駆動停止し、賞球の払出動作を中断する。
また、払出制御装置70は、CRユニット端子板51を介してCRユニット50と通信可能に構成されている。CRユニット端子板51は精算表示装置52と双方向通信が可能に構成されており、払出制御装置70には、精算表示装置52に設けられた球貸スイッチ53aや精算スイッチ54aからの検知信号がCRユニット端子板51を介して入力される。なお、球貸スイッチ53aは、球貸ボタン53の操作を検知して検知信号を出力するものであり、精算スイッチ54aは、精算ボタン54の操作を検知して検知信号を出力するものである。払出制御装置70は、球貸コマンドを入力すると、払出モータ73を駆動して貸球の払い出しを行なう。また、払出制御装置70は、発射制御装置80とも双方向通信が可能に構成され、満杯スイッチ75から検知信号を入力する等の所定の発射停止条件が成立したときに、発射制御装置80に対して発射停止コマンドを送信する。
発射制御装置80は、遊技領域21への遊技球の発射に関する制御を司るものである。この発射制御装置80には、発射ハンドル13の回動操作に応じて出力される回動量信号や、発射停止ボタンの操作を検知する発射停止スイッチ81からの発射停止信号、遊技者が発射ハンドル13に触れていることを検知するタッチスイッチ82からのタッチ信号等が入力される。一方、発射制御装置80からは、発射モータ83への駆動信号が出力される。発射制御装置80は、回動量信号に基づく発射強度で遊技球が遊技領域21へ発射されるよう発射モータ83を制御する。なお、発射制御装置80は、タッチ信号を入力していないときや発射停止コマンドを入力しているときには、発射ハンドル13の操作に拘わらず発射モータ83の駆動を停止し、遊技球を発射させない。
サブ統合制御装置90は、遊技の演出に関する制御を司るものである。サブ統合制御装置90は、CPU90aを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPU90aの他に、ROM90b,RAM90c,入出力ポート,通信ポートなどを備える。このサブ統合制御装置90は、演出中継端子板63を介して主制御装置60から一方向通信により各種コマンドを受信可能となっており、受信したコマンドに応じた演出制御を行なう。サブ統合制御装置90には、演出ボタン16の操作(押下)を検知する演出ボタンスイッチ16aからの検知信号が入力される。一方、サブ統合制御装置90からは、スピーカ14への音声信号や各種LEDやランプ15への点灯信号が出力される。また、サブ統合制御装置90からは、演出図柄制御装置91への演出表示制御用のコマンドが一方向通信により出力される。演出図柄制御装置91は、サブ統合制御装置90からの演出表示制御用のコマンドを受信し、そのコマンドに応じた演出画像が演出図柄表示装置37に表示されるよう当該演出図柄表示装置37の表示制御を行なう。
[パチンコ機1の遊技の概要]
次に、こうして構成されたパチンコ機1における遊技の概要について説明する。図5は、パチンコ機1の仕様を説明する説明図である。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄の大当り確率は、通常状態では、第1特別図柄,第2特別図柄ともに1/319.7であり、確変状態では、第1特別図柄,第2特別図柄ともに1/75.3である。また、普通図柄の当り確率は、通常状態では、1/10であるが、確変状態では、約1/1(100%)である。普通図柄が当選したときの第2始動口24(普通電動役物)の開放パターンは、通常状態では、最大0.2秒間、1回開放されるが、確変状態(時短状態,開放延長状態)では、最大3.0秒間、1回に延長される。
こうした仕様のパチンコ機1において、左打ち(第1遊技領域への遊技球の発射)により第1始動口23に遊技球が入球すると、第1特別図柄の変動表示が開始される。そして、第1特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、大当りとなり、大入賞口25が開放される大当り遊技が実行される。大入賞口25は、左打ちでは遊技球の入球が不能であり、右打ち(第2遊技領域への遊技球の発射)することにより遊技球の入球が可能となる。したがって、大当り遊技が実行されると、遊技者は右打ちすることにより大当り遊技が消化されることになる。なお、特別図柄の当り図柄に、大入賞口25の開放時間が大当り遊技よりも短い小当り遊技が実行される小当り図柄を含めてもよい。
大当り図柄には、通常大当り図柄と確変大当り図柄とがあり、特別図柄が通常大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技の終了後の遊技状態は通常状態となり、特別図柄が確変大当り図柄で停止表示されると、大当り遊技の終了後の遊技状態は確変状態となる。確変状態では、実質的に次に大当りを引くまで、特別図柄の当選確率(大当り確率)が通常状態よりも高くなると共に、普通図柄の変動時間が通常状態よりも短縮され(時短状態)、普通図柄の当選確率が通常状態よりも高くなり、且つ、普通図柄が当選したときの第2始動口24の開放時間が通常状態よりも延長される(開放延長状態)。したがって、確変状態では、遊技者は、右打ちすることにより、大当りを有利に発生させることができ、短時間で多くの出玉を獲得できるチャンスとなる。なお、確変状態は、本実施例では、実質的に次の大当りを引くまで継続するが、特別図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)実行されると終了してもよい。
[主制御処理]
次に、パチンコ機1の動作、特に主制御装置60の動作について更に詳細に説明する。図6は、主制御装置60のCPU60aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機1の電源スイッチが操作されたときに実行される。主制御処理は、パチンコ機1の電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、乱数更新処理(S110)と、入賞確認処理(S120)と、始動入賞処理(S130)と、普通図柄遊技処理(S140)と、普通図柄当り遊技処理(S150)と、特別図柄遊技処理(S160)と、大当り遊技処理(S170)と、を繰り返し実行することにより行なわれる。なお、本実施例では、S110〜S170の処理に要する時間は約2msecであり、これらの処理は、約2msecの間隔で繰り返し実行される。主制御装置60は、主制御処理の実行により、各種コマンドを担当する制御装置に送信してコマンドに応じた処理を実行させることで、パチンコ機1の全体の遊技を進行させている。
[乱数更新処理]
S110の乱数更新処理は、各種判定用乱数を更新する処理である。判定用乱数としては、例えば、始動口(第1始動口23または第2始動口24)への遊技球の入球に基づいて行なわれる大当り判定(当否判定)に用いる大当り判定用乱数(特別図柄当否判定用乱数)や、大当り判定の結果が大当りであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる大当り図柄の決定に用いる大当り図柄決定用乱数,大当り判定の結果が外れであった場合に特図表示装置(第1特図表示装置31または第2特図表示装置32)に停止表示させる外れ図柄の決定に用いる外れ図柄決定用乱数、普通図柄作動ゲート22への遊技球の通過に基づいて行なわれる当否判定に用いる普通図柄当否判定用乱数などを挙げることができる。乱数更新処理を終了すると、主制御処理に戻って次の入賞確認処理(S120)に進む。
[入賞確認処理]
S120の入賞確認処理は、各種センサ(第1始動口スイッチ23aや第2始動口スイッチ24a、ゲートスイッチ22a、大入賞口スイッチ25a、普通入賞口スイッチ26aなど)の状態を検出してRAM60cの所定の状態記憶領域に保存する。また、賞球に関わるスイッチ(ゲートスイッチ22aを除く上記入賞口スイッチ)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM60cの所定の賞球情報記憶領域に保存する。そして、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御装置70に送信して入賞確認処理を終了する。払出制御装置70は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ73を駆動して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出スイッチ74により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御装置60から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。入賞確認処理を終了すると、主制御処理に戻って次の始動入賞処理(S130)に進む。
[始動入賞処理]
図7は、始動入賞処理の一例を示すフローチャートである。S130の始動入賞処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、第1始動口スイッチ23aからの検知信号を入力して第1始動口23に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口23に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数(第1特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新し(S204)、第1特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S206)。ここで、S206で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数など第1特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第1特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S208)、S210の処理に進む。第1特別図柄保留数指示コマンドには、演出図柄表示装置37に第1保留図柄372aを表示させるための第1特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S200で第1始動口23に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S204〜S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
次に、第2始動口スイッチ24aからの検知信号を入力して第2始動口24に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口24に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数(第2特図保留数)がその上限数(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新し(S214)、第2特別図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S216)。ここで、S216で取得される判定用乱数としては、上述した大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数、外れ図柄決定用乱数など第2特別図柄の変動遊技の進行に関する情報を挙げることができる。そして、第2特別図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S218)、S220の処理に進む。第2特別図柄保留数指示コマンドには、演出図柄表示装置37に第2保留図柄372bを表示させるための第2特別図柄の保留数に関する情報が含まれる。なお、S210で第2始動口24に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限数に達していると判定したりすると、S214〜S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
次に、ゲートスイッチ22aからの検知信号を入力して普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したか否かを判定する(S220)。普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過したと判定すると、現在の普通図柄の保留数がその上限数(例えば、値4)よりも少ないか否かを判定する(S222)。普通図柄の保留数が上限数よりも少ないと判定したときには、普通図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に普図保留数表示装置36の表示を更新する(S224)。次に、普通図柄の判定用乱数を取得してRAM60cの所定の判定用乱数記憶領域に格納する(S226)。なお、普通図柄の判定用乱数としては、上述した普通図柄当否判定用乱数などの普通図柄の変動遊技の進行に関する情報を例示することができる。そして、普通図柄保留数指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S228)、始動入賞処理を終了する。S220で普通図柄作動ゲート22に遊技球が通過していないと判定したり、S222で普通図柄の保留数が上限値に達していると判定したりすると、S224〜S228の処理をスキップして、始動入賞処理を終了する。始動入賞処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄遊技処理(S140)に進む。
[普通図柄遊技処理]
S140の普通図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、普通図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する。保留数が値0であると判定すると、普通図柄遊技処理を終了する。一方、保留数が値0よりも多いと判定したときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行なうと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(停止図柄)を決定する。普通図柄の当否判定は、普通図柄作動ゲート22を遊技球が通過することに基づいて取得される普通図柄当否判定用乱数と普通図柄当り判定テーブルに含まれる当り値とを比較することにより行ない、普通図柄当否判定用乱数がいずれかの当り値と一致したときには当りと判定し、普通図柄当否判定用乱数がいずれの当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。本実施例では、通常状態のときには当り値の少ない、即ち当り確率の低い(例えば、1/10.0)低確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられ、確変状態にあるときには当り値の多い、即ち当り確率の高い(例えば、1/1)高確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられる。当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄を停止図柄に決定する。そして、普通図柄の変動時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動時間が経過していないと判定すると、普通図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間の設定は、通常状態のときには長時間(例えば、20秒)に設定され、確変状態のときには短時間(例えば、2秒)に短縮される。変動時間が経過すると、決定した停止図柄で普通図柄を停止表示する。停止表示した普通図柄が外れ図柄のときには、外れとして、普通図柄遊技処理を終了する。一方、停止表示した普通図柄が当り図柄のときには、当りとして、第2始動口24の開放時間を設定し、第2始動口24の開放作動を開始して普通図柄遊技処理を終了する。第2始動口24の開放時間は、通常状態のときには短時間(例えば、0.2秒×1回)に設定され、確変状態のときには長時間(例えば、3.0秒×1回)に延長される。また、第2始動口24の開放作動は、上述したように、第2始動口ソレノイド24cを駆動制御することによって、開閉羽根24bを左右に開くことにより行なう。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の普通図柄当り遊技処理(S150)に進む。
[普通図柄当り遊技処理]
S150の普通図柄当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、第2始動口24が開放作動中であるか否かを判定する。第2始動口24が開放作動中でないと判定すると、普通図柄当り遊技処理を終了する。一方、第2始動口24が開放作動中であると判定すると、開放作動を開始してからの経過時間(開放時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、4個)の遊技球が第2始動口24に入球しているか否かを判定する。開放時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口24に入球してもいないと判定すると、第2始動口24の開放作動を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放時間が設定時間に達していると判定したり、開放時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口24に入球していると判定したりすると、第2始動口24の開放作動を終了(第2始動口ソレノイド24cの駆動を終了)して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の特別図柄遊技処理(S160)に進む。
[特別図柄遊技処理]
図8および図9は、特別図柄遊技処理の一例を示すフローチャートである。S160の特別図柄遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1であるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(S300)。大当りフラグが値1であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。なお、特別遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次の大当り遊技処理(S170)に進む。一方、大当りフラグが値1でないと判定すると、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが、変動表示中であるか否か(S302)、確定図柄表示中であるか否か(S304)、をそれぞれ判定する。第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中ではなく確定図柄表示中でもないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S306)。第2特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第2特別図柄の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S308)、第2特別図柄の変動表示を行なうための変動表示関連処理を実行して(S310)、特別図柄遊技処理を終了する。
一方、第2特別図柄の保留数が値0であると判定すると、第1特別図柄の保留数が値0よりも多いか否かを判定する(S312)。第1特別図柄の保留数が値0よりも多いと判定すると、判定用乱数記憶領域に記憶されている第1特別図柄の複数の判定用乱数のうち最も古いものを読み出し(S314)、第1特別図柄の変動表示を行なうための変動表示関連処理を実行して(S316)、特別図柄遊技処理を終了する。S312で第1特別図柄の保留数が値0であると判定すると、特別図柄遊技処理を終了する。S306〜S316では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0よりも多いときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特図2優先変動)。勿論、これに限定されるものではなく、第1特別図柄の変動表示(保留の消化)を優先して行なうものとしてもよいし(特図1優先変動)、特別図柄の変動表示を始動口(第1始動口23,第2始動口24)への遊技球の入球順に行なうものとしてもよいし(入球順変動)、第1特別図柄の変動表示と第2特別図柄の変動表示とを並行して行なうものとしてもよい(同時変動)。以下、S310の第1特別図柄の変動表示関連処理およびS316の第2特別図柄の変動表示関連処理の詳細について説明する。図10は、変動表示関連処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下、重複を避けるため、第1特別図柄の変動表示関連処理と第2特別図柄の変動表示関連処理とを共通の図10のフローチャートを用いて説明する。
変動表示関連処理では、まず、確変フラグが値1であるか否か、即ち確変状態中であるか否かを判定する(S400)。確変フラグが値1でなく値0(通常状態)であると判定すると、大当り確率が低確率(1/319.7)である低確率用の大当り判定処理を行ない(S402)、確変フラグが値1(確変状態)であると判定すると、大当り確率が高確率(1/75.3)である高確率用の大当り判定処理を行なう(S404)。大当り判定処理は、第1始動口23または第2始動口24への遊技球の入球に基づいて取得される大当り判定用乱数と大当り判定テーブルに含まれる大当り値とを比較することにより行ない、大当り判定用乱数がいずれかの大当り値と一致したときには大当りと判定し、大当り判定用乱数がいずれの大当り値とも一致しなかったときには外れと判定する。通常状態のときには大当り値の少ない、即ち大当り確率の低い低確率用の大当り判定テーブルが用いられ、確変状態のときには大当り値の多い、即ち大当り確率の高い高確率用の大当り判定テーブルが用いられる。大当り判定処理を実行すると、大当り判定の結果が大当りであるか否かを判定する(S406)。
大当り判定の結果が大当りであると判定すると、S308またはS314で取得した大当り図柄決定用乱数に基づいて大当り図柄を決定する(S408)。この処理は、当り図柄決定用乱数を用いて大当り遊技の内容(ラウンド数)や大当り遊技終了後の遊技状態(通常状態,確変状態)が異なる複数の大当り図柄(例えば、「5R通常大当り図柄」や「10R通常大当り図柄」、「15R確変大当り図柄」など)の中から一の図柄を選択することにより行なう。なお、決定した大当り図柄は、大当り遊技終了時まで保存される。これは、大当り遊技中は、遊技状態を設定する確変フラグの値をクリアする必要があることによる措置である。そして、特別図柄の変動表示を開始してから決定した大当り図柄で停止表示するまでの特別図柄の変動時間(大当り変動パターン)を決定する(S410)。
S406で大当り判定の結果が外れであると判定すると、S308またはS314で取得した外れ図柄決定用乱数に基づいて外れ図柄を決定する(S412)。そして、特別図柄の変動表示を開始してから決定した外れ図柄で停止表示するまでの特別図柄の変動時間(外れ変動パターン)を決定する(S414)。特別図柄の変動パターンは、例えば、通常状態のときには、平均変動時間が10秒の第1変動テーブルを用いて決定され、確変状態のときには、平均変動時間が3秒の第2変動テーブルを用いて決定される。
こうして変動パターンを決定すると、特別図柄の変動表示を開始し(S416)、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に特図保留数表示装置の表示を更新する(S418)。この処理は、第1特別図柄の変動表示を開始する際には、第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第1特図保留数表示装置33の表示を更新する処理となり、第2特別図柄の変動表示を開始する際には、第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントすると共に第2特図保留数表示装置34の表示を更新する処理となる。また、特別図柄の保留数の更新に伴って今回消化する保留に係る判定用乱数をクリアする。そして、変動指示コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S420)、変動表示関連処理を終了する。変動指示コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出図柄表示装置37で図柄変動演出が開始されるように演出図柄制御装置91に制御コマンドを送信する。変動指示コマンドには、大当り判定の結果や特別図柄の変動パターン(変動時間)、確定図柄(通常大当り図柄、確変大当り図柄または外れ図柄)などが含まれる。
図8および図9の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S302で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御装置60のCPU60aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S318)。変動時間はS410またはS414で決定した特別図柄の変動パターンに応じて設定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行なうことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、図柄停止コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S320)、変動表示中の特別図柄の確定図柄を表示する(S322)。図柄停止コマンドを受信したサブ統合制御装置90は、演出図柄表示装置37で図柄変動演出を終了するように演出図柄制御装置91に制御コマンドを送信する。そして、確定図柄表示時間が経過したか否かを判定する(S324)。ここで、確定図柄表示時間は、本実施例では0.5秒に設定される。確定図柄表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S304で確定図柄表示中と判定するため、再びS324で確定図柄表示時間が経過したか否かを判定し、確定図柄表示時間が経過していると判定すると、確定図柄の表示を終了し(S326)、確定図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S328)。
S328で大当り図柄と判定すると、大当りを発生させるために、条件装置の作動を開始すると共に(S330)、役物連続作動装置の作動を開始し(S332)、大当りフラグに値1を設定する(S334)。大当り遊技中には確変機能や時短機能、開放延長機能を停止させるために、確変フラグが値1のときには確変フラグを値0とし(S336,S338)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S340)、特別図柄遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、大当りフラグの値や確変フラグの値が含まれる。特別図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS170の大当り遊技処理に進む。
一方、S328で大当り図柄でないと判定すると、確変フラグが値1(確変状態)であるか否かを判定し(S342)、確変フラグが値1でなく値0(通常状態)であると判定すると、S340の処理に進む。確変フラグが値1であると判定すると、確変カウンタを値1だけデクリメントして(S344)、確変カウンタが値0であるか否かを判定する(S346)。ここで、確変カウンタは、確変状態が終了するまでの特別図柄の残り変動回数を示すものであり、確変カウンタには、大当り遊技の終了に際して予め定められた値が設定される。本実施例では、確変大当り図柄での大当り(確変大当り)を契機に、当該大当りの終了後に値10,000が設定される。したがって、確変大当りを引くと、実質的に次に大当りを引くまで確変状態が維持される。確変カウンタが値0でないと判定すると、確変状態を維持したままS340の処理に進み、確変カウンタが値0であると判定すると、確変状態を終了させるために、確変フラグを値0とする(S348)。そして、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S340)、特別図柄遊技処理を終了する。
[大当り遊技処理]
図11および図12は、大当り遊技処理の一例を示すフローチャートである。S170の大当り遊技処理では、主制御装置60のCPU60aは、まず、大当りフラグが値1(大当り遊技中)であるか否かを判定する(S500)。大当りフラグが値1でなく値0であると判定すると、大当り遊技処理を終了する。一方、大当りフラグが値1であると判定すると、大入賞口25が開放中であるか否か(S502)、大当り遊技開始演出中であるか否か(S504)、大当り遊技終了演出中であるか否か(S506)、開放間インターバル中であるか否か(S508)、をそれぞれ判定する。S502〜S508のいずれも否定的な判定がなされると、大当り遊技開始演出を開始して(S510)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技開始演出は、大当り遊技開始コマンドをサブ統合制御装置90に送信することにより行なう。大当り遊技開始処理を終了すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S504で大当り遊技開始演出中であると判定されるため、大当り遊技開始演出時間が経過したか否を判定する(S512)。大当り遊技開始演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技開始演出時間が経過したと判定すると、大入賞口ソレノイド25cの駆動により大入賞口25を開放して(S514)、大当り遊技処理を終了する。
大入賞口25を開放すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S502で大入賞口25が開放中であると判定されるため、大入賞口スイッチ25aからの検知信号に基づいて大入賞口25への遊技球の入球数が規定数(実施例では10個)に達したか否か(S516)、大入賞口25を開放してからの経過時間(開放時間)が最大開放時間(実施例では28秒)に達したか否か(S518)、をそれぞれ判定する。大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達しておらず、大入賞口25の開放時間が最大開放時間にも達していないと判定すると、大入賞口25の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、大入賞口25への遊技球の入球数が規定数に達したと判定したり、当該入球数が規定数に達していなくても大入賞口25の開放時間が最大開放時間に達したと判定したりすると、大入賞口25を閉鎖し(S520)、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かを判定する(S522)。大当り遊技のラウンド数は、大当り図柄(「2R通常大当り図柄」や「5R通常大当り図柄」、「15R確変大当り図柄」)によって設定されるため、今回のラウンド遊技が最終ラウンドであるか否かの判定は、ラウンド遊技の繰り返し回数が大当り図柄に応じて定まる回数に達しているか否かを判定することにより行なわれる。今回のラウンド遊技が最終ラウンドでないと判定すると、開放間インターバルを発生させて(S524)、大当り遊技処理を終了する。開放間インターバルが発生すると、次に大当り遊技処理が実行されたときに、S508で開放間インターバル中であると判定されるため、開放間インターバル時間が経過したか否かを判定する(S526)。開放間インターバル時間が経過していないと判定すると、大入賞口25を閉鎖したまま大当り遊技処理を一旦終了し、開放間インターバル時間が経過したと判定すると、再度、大入賞口25を開放して(S514)、大当り遊技処理を終了する。
こうして開放間インターバルを挟んで大入賞口25を開閉するラウンド遊技を繰り返した後、S522で今回のラウンド遊技が最終ラウンドであると判定すると、大当り遊技終了演出を開始して(S528)、大当り遊技処理を終了する。大当り遊技終了演出は、大当り遊技終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信することにより行なう。大当り遊技終了演出を開始すると、次に大当り遊技処理が開始されたときに、S506で大当り遊技終了演出中であると判定されるため、大当り遊技終了演出時間が経過したか否かを判定する(S530)。大当り遊技終了演出時間が経過していないと判定すると、大当り遊技処理を一旦終了し、大当り遊技終了演出時間が経過したと判定すると、役物連続作動装置の作動を停止すると共に(S532)、条件装置の作動を停止する(S534)。続いて、確変フラグ設定処理(S536)と確変カウンタ設定処理(S538)とを行なう。確変フラグ設定処理は、大当り図柄が通常大当り図柄のときには確変フラグに値0を設定し、大当り図柄が確変大当り図柄のときには確変フラグに値1を設定することにより行なう。確変カウンタ設定処理は、本実施例では、値10,000を設定することにより行なう。そして、大当り遊技終了コマンドをサブ統合制御装置90に送信すると共に(S540)、大当りフラグに値0を設定し(S542)、遊技状態指定コマンドをサブ統合制御装置90に送信して(S544)、大当り遊技処理を終了する。なお、遊技状態指定コマンドには、確変フラグの値や大当りフラグの値が含まれる。
次に、主制御装置60から各種コマンドを受信したサブ統合制御装置90の処理、特に、図柄変動演出処理とボタン演出処理について説明する。サブ統合制御装置90が主制御装置60から受信するコマンドとしては、上述したように、変動指示コマンド、図柄停止コマンド、遊技状態指定コマンド、大当り遊技開始演出コマンド、大当り遊技終了演出コマンドなどがある。図13は、サブ統合制御装置90により実行される図柄変動演出処理の一例を示すフローチャートであり、図14は、サブ統合制御装置90により実行されるボタン演出処理の一例を示すフローチャートである。これらの処理は、所定時間毎(例えば、数msec毎)に繰り返し実行される。
[図柄変動演出処理]
図柄変動演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、図10の変動表示関連処理のS420で主制御装置60により送信される変動指示コマンドを受信したか否かを判定する(S600)。変動指示コマンドを受信したと判定すると、受信したコマンドに基づいて演出図柄(疑似図柄)の停止図柄と演出パターンとを決定する(S602,S604)。前述したように、変動指示コマンドには、大当り判定の結果や特別図柄の変動パターン(変動時間)、確定図柄(通常大当り図柄、確変大当り図柄または外れ図柄)などが含まれる。このため、演出図柄の停止図柄の選択は、ROM90bに予め記憶されている演出図柄設定テーブルの中から特別図柄の確定図柄に対応する演出図柄の停止図柄を決定することにより行なうことができる。演出図柄(疑似図柄)の停止図柄には、確変大当りの発生を示唆する疑似確変大当り図柄(例えば、「111」,「333」,「555」,「777」)と、通常大当りの発生を示唆する疑似通常大当り図柄(例えば、「222」,「444」,「666」,「888」)とが含まれる。本実施例では、特別図柄の確定図柄が確変大当り図柄の場合であっても、疑似通常大当り図柄が決定される場合があり、疑似通常大当り図柄で図柄変動演出が終了すると、大当り遊技中に確変大当りで当選したか否かを報知する確変当落報知演出が実行される。また、演出パターンの決定は、ROM90bに予め記憶されている演出パターンテーブルの中から特別図柄の変動パターンに対応する演出パターンを決定することにより行なうことができる。ここで、演出パターンには、「通常変動」と、通常変動から発展する「リーチ変動」とが含まれる。「リーチ変動」には、「ノーマルリーチ」や、ノーマルリーチから発展する「スーパーリーチ」、ノーマルリーチから発展する「ストーリーリーチ」等が含まれる。本実施例では、「ストーリーリーチ」は「スーパーリーチ」よりも大当り期待度が高く、「ノーマルリーチ」や「通常変動」では大当りしない仕様となっている。こうして演出図柄の停止図柄と演出パターンとを決定すると、図柄変動演出を開始する(S606)。
S600で変動指示コマンドを受信していないと判定するか、S606で図柄変動演出を開始した後には、図8の特別図柄遊技処理のS320で主制御装置60により送信される図柄停止コマンドを受信したか否かを判定する(S608)。図柄停止時コマンドを受信していないと判定すると、図柄変動演出処理を終了する。一方、図柄停止コマンドを受信したと判定すると、演出図柄をS602で決定した停止図柄で表示して図柄変動演出を終了し(S610)、図柄変動演出処理を終了する。
[ボタン演出処理]
ボタン演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、まず、演出ボタン16の操作が有効となる有効期間中であるか否かを判定する(S700)。有効期間中であると判定すると、S710に進む。一方、有効期間中でないと判定すると、有効期間の開始時期が到来したか否かを判定する(S702)。有効期間の開始時期が到来していないと判定すると、ボタン演出処理を終了する。一方、有効期間の開始時期が到来したと判定すると、有効期間を開始する(S704)。そして、遊技者に対して演出ボタン16の操作を促すための操作示唆図柄を決定し(S706)、決定した操作示唆図柄を演出図柄表示装置37に表示する操作示唆図柄表示処理を行なう(S708)。ここで、操作示唆図柄の決定は、ROM90bに予め記憶された複数種類の操作示唆図柄の中から実行予定のボタン演出の種類に対応する操作示唆図柄を選択することにより行なう。なお、操作示唆図柄は、有効期間の開始時に決定されるものに限られず、図柄変動演出の開始時に決定されてもよい。
ボタン演出は、有効期間中に演出ボタン16が操作されたときに行なわれる演出であり、実行時期がそれぞれ異なる複数種類のボタン演出を有する。本実施例では、複数種類のボタン演出には、予告用のボタン演出(大当り期待度示唆演出)と、当落用のボタン演出(当落報知演出)と、確変当落用のボタン演出(確変当落報知演出)とが含まれる。予告用のボタン演出は、大当り期待度を示唆する演出であり、例えば、通常変動中の所定時期やリーチ演出中の所定時期に有効期間が発生し、当該有効期間中に演出ボタン16が操作されると実行される。予告用のボタン演出の一例を図15に示す。図示するように、予告用のボタン演出は、所定のキャラクタ図柄(「熊」のキャラクタ)を表示するキャラクタ演出であり、キャラクタの表情(「通常顔」,「微笑み顔」,「笑顔+メガネ」)によって大当り期待度を示唆するように構成される。なお、大当り期待度示唆演出には、大当りが確定する演出が含まれてもよい。当落用のボタン演出は、大当り判定の結果(当落)を直接的に報知する演出であり、例えば、リーチ演出の終了直前の所定時期に有効期間が発生し、当該有効期間中に演出ボタン16が操作されると実行される。さらに、確変当落用のボタン演出は、大当りが発生したときに当該大当りの終了後の遊技状態が確変状態となるか否かを報知する演出であり、例えば、演出図柄が疑似通常大当り図柄で停止表示されて図柄変動演出が終了したときに大当り遊技演出中の所定時期(所定ラウンド目)に有効期間が発生し、当該有効期間中に演出ボタン16が操作されると実行される。
操作示唆図柄は、本実施例では、演出ボタン16の形状を模した疑似図柄であり、実行予定のボタン演出が予告用のボタン演出である場合と当落用のボタン演出である場合と確変当落用のボタン演出である場合とでそれぞれ異なる操作示唆図柄が選択される。また、予告用の操作示唆図柄と当落用の操作示唆図柄と確変当落用の操作示唆図柄は、本実施例では、それぞれ複数種類ずつ設けられており、複数種類のうちいずれの図柄が出現するかによって期待度(予告用および当落用は大当り期待度、確変当落用は確変期待度)が異なるように構成されている。予告用の操作示唆図柄と当落用の操作示唆図柄の一例を図16に示し、確変当落用の操作示唆図柄と共用の操作示唆図柄の一例を図17に示す。本実施例では、予告用の操作示唆図柄は、図16(a)に示すように、図形の中に「PUSH」の文字を含んで構成される。当落用の操作示唆図柄は、図16(b)に示すように、図形の中に「押せ!」の文字を含んで構成される。確変当落用の操作示唆図柄は、図17(a)に示すように、図形の外に「押せ!」の文字を含んで構成される。なお、予告用の操作示唆図柄と当落用の操作示唆図柄と確変当落用の操作示唆図柄は、それぞれで識別できるように構成されていればよく、図形の形状が異なるものや、図形と共に表示される文字が異なるもの、図形や文字の色が異なるもの、図形や文字の表示位置が異なるもの等であってもよい。また、図17(b)に示すように、予告用と当落用と確変当落用のいずれにも用いられる共用の操作示唆図柄も有していてもよい。共用の操作示唆図柄は、プレミアム(激熱)用の図柄として用いることができる。例えば、共用の操作示唆図柄を予告用として用いる場合、大当り期待度が最も高い操作示唆図柄や大当りが確定する操作示唆図柄とすることができる。また、共用の操作示唆図柄を当落用として用いる場合、大当りが確定する操作示唆図柄とすることができる。さらに、共用の操作示唆図柄を確変当落用として用いる場合、確変大当りが確定する操作示唆図柄とすることができる。
次に、演出ボタンスイッチ16aからの検知信号に基づいて演出ボタン16が操作(押下)されたか否か(S710)、規定時間(例えば3秒)が経過したか否か(S712)、をそれぞれ判定する。なお、規定時間が経過したか否かは、有効期間が開始されてからの経過時間が規定時間に達したか否かを判定することにより行なわれる。演出ボタン16が操作されておらず、且つ、規定時間も経過していないと判定すると、有効期間を維持したままボタン演出処理を一旦終了する。規定時間が経過する前に演出ボタン16が操作されたと判定すると、ボタン演出を実行すると共に(S714)、演出ボタン16の有効期間を終了(操作を無効化)して(S716)、ボタン演出処理を終了する。一方、演出ボタン16が操作されないまま規定時間が経過したと判定すると、ボタン演出を実行することなく、演出ボタン16の有効期間を終了して(S716)、ボタン演出処理を終了する。なお、本実施例では、演出ボタン16が操作されないまま規定時間が経過すると、ボタン演出を実行しないようにしたが、ボタン演出を実行する場合があってもよい。演出ボタン16が操作されなくてもボタン演出を実行する場合としては、大当り期待度が高い予告用のボタン演出を実行する場合や、当落用のボタン演出を実行する場合、確変当落用のボタン演出を実行する場合が好適である。
図18は、予告用のボタン演出が実行される様子を示す説明図である。図示するように、演出図柄371L,371C,371Rが変動する通常変動中に(図18(a)参照)、有効期間が開始され、演出ボタン16の形状を模した図形の中に「PUSH」の文字を含む予告用の操作示唆図柄374aが表示される(図18(b)参照)。本実施例では、予告用の操作示唆図柄374aは、複数種類設けられており、複数種類の中からいずれが表示されるかによって大当り期待度が示唆される。そして、有効期間が終了する前に演出ボタン16が操作(押下)されると、キャラクタ図柄373(「熊」のキャラクタ)が出現する予告用のボタン演出が実行される(図18(c)参照)。予告用のボタン演出は、キャラクタ図柄373の表情によって大当り期待度が示唆される。一方、演出ボタン16が操作されることなく有効期間が終了すると、キャラクタ図柄373は表示されない。なお、予告用のボタン演出は、通常変動からリーチ変動に発展するときやリーチ変動中の所定時期に有効期間が開始され、当該有効期間中に演出ボタン16が操作されると実行されてもよい。
図19は、当落用のボタン演出が実行される様子を示す説明図である。図示するように、演出図柄371L,371C,371Rが変動する通常変動(図19(a)参照)から左の演出図柄371Lと右の演出図柄371Rとが同じ図柄で停止してリーチ変動に発展し、リーチ変動において、中の演出図柄371Cが同じ図柄で揃うか否かの最終煽りの際に有効期間が開始され、演出ボタン16の形状を模した図形の中に「押せ!」の文字を含む当落用の操作示唆図柄374bが表示される(図19(b)参照)。本実施例では、当落用の操作示唆図柄374bは、複数種類設けられており、複数種類の中からいずれが表示されるかによって大当り期待度が示唆される。そして、有効期間が終了する前に演出ボタン16が操作(押下)されると、大当り判定の結果が大当りであれば、中の演出図柄371Cが同じ図柄で揃う演出(特別演出)が実行されて大当りであることが報知される(図19(c),(d)参照)。一方、大当り判定の結果が外れであれば、中の演出図柄371Cが違う図柄で停止表示されて外れであることが報知される。また、本実施例では、演出ボタン16が操作されることなく有効期間が終了すると、大当り判定の結果が大当りであれば、中の演出図柄371Cが異なる図柄で仮停止表示された後、復活演出等が実行されて大当りであることが報知される。なお、大当り判定の結果に拘わらずその結果を報知する必要があるから、演出ボタン16が操作されることなく有効期間が終了すると、直ち(有効期間終了時)に当落(大当り,外れ)の結果を報知するようにしてもよい。
図20は、確変当落用のボタン演出が実行される様子を示す説明図である。図示するように、演出図柄が疑似通常大当り図柄(「666」)で停止されて大当りが発生し(図20(a)参照)、大当り遊技中の所定ラウンド目(図の例では5ラウンド目)に有効期間が開始され、演出ボタン16の形状を模した図形の外に「押せ!」の文字を含む確変当落用の操作示唆図柄374cが表示される(図20(b)参照)。本実施例では、確変当落用の操作示唆図柄374cは、複数種類設けられており、複数種類の中からいずれが表示されるかによって確変期待度が示唆される。そして、有効期間が終了する前に演出ボタン16が操作(押下)されると、確変大当りで当選していれば、キャラクタ図柄375が「通常顔」から「笑顔」に変化する確変昇格演出により確変大当りであることが報知される(図20(c)参照)。一方、通常大当りで当選していたり、演出ボタン16が操作されることなく有効期間が終了すると、確変昇格演出が実行されない。もっとも、確変大当りで当選していれば、その後(大当り遊技終了演出時など)、報知演出が実行されて確変大当りであることが報知される。なお、確変当落用のボタン演出は、大当り遊技中に限られず、大当り遊技の開始前、例えば演出図柄が疑似通常大当り図柄で仮停止表示された直後に有効期間が開始され、当該有効期間中に演出ボタン16が操作されると実行されてもよい。
以上説明した第1実施例のパチンコ機1では、有効期間中に演出ボタン16の操作が検出されると大当り期待度を示唆する予告用のボタン演出が実行される場合には、当該演出ボタン16の操作が検出されるまで又は有効期間が終了するまでの操作示唆として予告用の操作示唆図柄374aを表示する。一方、有効期間中に演出ボタン16の操作が検出されると大当り判定の結果が大当りであれば大当りの発生を報知する当落用のボタン演出が実行される場合には当該演出ボタン16の操作が検出されるまで又は有効期間が終了するまでの操作示唆として当落用の操作示唆図柄374bを表示する。また、有効期間中に演出ボタン16の操作が検出されると確変大当りであるか否かを報知する確変当落用のボタン演出が実行される場合には、当該演出ボタン16の操作が検出されるまで又は有効期間が終了するまでの操作示唆として確変当落用の操作示唆図柄374cを表示する。これにより、遊技者は、操作示唆が予告用の操作示唆図柄374aか当落用の操作示唆図柄374bか確変当落用の操作示唆図柄374cかのいずれであるかを見ることによって、演出ボタン16を操作したときにどのような情報が報知されるのかを事前に知ることができる。このため、興味のある情報についてのみ遊技者に操作部を操作させることができ、興味のない情報については無駄な操作を控えさせることができる。
[第2実施例]
次に、第2実施例のパチンコ機について説明する。第2実施例では、有効期間中に演出ボタン16が連打されると操作条件が成立してボタン演出が実行されるものである。図21は、第2実施例のボタン演出処理を示すフローチャートである。第2実施例(図21)のボタン演出処理の各処理のうち第1実施例(図14)のボタン演出処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。
第2実施例のボタン演出処理では、サブ統合制御装置90のCPU90aは、S702,S704で有効期間の開始時期が到来して有効期間を開始すると、遊技者に演出ボタン16の連打を促すための連打示唆図柄を決定し(S706B)、決定した連打示唆図柄を演出図柄表示装置37に表示する連打示唆図柄表示処理を行なう(S708B)。連打示唆図柄の決定は、ROM90bに予め記憶された複数種類の連打示唆図柄の中から実行予定のボタン演出の種類に対応する連打示唆図柄を選択することにより行なう。なお、連打示唆図柄は、有効期間の開始時に決定されるものに限られず、図柄変動演出の開始時に決定されてもよい。
連打示唆図柄は、演出ボタン16の形状を模した図形に連打を促す文字(例えば、「連打」や「連打しろ!」などの文字)を含む図柄であり、上述した操作示唆図柄と同様に、実行予定のボタン演出が予告用のボタン演出である場合と当落用のボタン演出である場合と確変当落用のボタン演出である場合とでそれぞれ異なる連打示唆図柄が選択される。なお、予告用の連打示唆図柄と当落用の連打示唆図柄と確変当落用の連打示唆図柄は、それぞれで識別できるように構成されていればよく、図形の形状が異なるものや、図形と共に表示される文字が異なるもの、図形や文字の色が異なるもの、図形や文字の表示位置が異なるもの等であってもよい。また、予告用の連打示唆図柄と当落用の連打示唆図柄と確変当落用の連打示唆図柄は、第2実施例では、それぞれ複数種類ずつ設けられており、複数種類のうちいずれの図柄が出現するかによって期待度(予告用および当落用は大当り期待度、確変当落用は確変期待度)が異なるように構成されている。さらに、予告用と当落用と確変当落用のいずれにも用いられる共用の連打示唆図柄も有していてもよい。
S700で有効期間中と判定するか、S708Bで連打示唆図柄表示処理を行なった後は、演出ボタン16が操作(押下)されたか否かを判定し(S710)、演出ボタン16が操作されたと判定すると、その操作回数が規定回数(例えば10回)に達したか否かを判定する(S711B)。この処理は、有効期間中に演出ボタン16の操作(押下)される度にカウントアップする操作カウンタを設け、操作カウンタの値と規定回数とを比較することにより行なうことができる。なお、規定回数は、予め定められた回数であってもよいし、複数種類の回数の中から抽選によって決定されてもよい。演出ボタン16が操作され、且つ、その操作回数が規定回数に達したと判定すると、ボタン演出を実行すると共に(S714)、演出ボタン16の有効期間を終了(操作を無効化)して(S716)、ボタン演出処理を終了する。一方、演出ボタン16が操作されていないと判定したり、演出ボタン16は操作されたがその操作回数が規定回数に達していないと判定したりすると、規定時間(例えば3秒)が経過したか否かを判定する(S712)。規定時間が経過していないと判定すると、有効期間を維持したままボタン演出処理を一旦終了し、規定時間が経過したと判定すると、ボタン演出を実行することなく、演出ボタン16の有効期間を終了(操作を無効化)して(S716)、ボタン演出処理を終了する。
このように、第2実施例のパチンコ機においても、遊技者は、連打示唆が予告用の連打示唆図柄か当落用の連打示唆図柄か確変当落用の連打示唆図柄かのいずれであるかを見ることによって、演出ボタン16を操作したときにどのような情報が報知されるのかを事前に知ることができる。このため、興味のある情報についてのみ遊技者に操作部を操作させることができ、興味のない情報については無駄な操作を控えさせることができる。特に、演出ボタン16の連打が必要な場合、遊技者は、ボタン演出を見るために、操作ボタン16を苦労して連打しても、ボタン演出にて興味のない情報が報知されると、遊技意欲を減退させる虞が高い。このため、連打示唆が行なわれる遊技機において、意義が特に大きい。
第2実施例では、有効期間中に演出ボタン16の操作回数が規定回数に達するとボタン演出を実行するものとしたが、有効期間中に演出ボタン16が操作される度に抽選を行ない、当該抽選の結果が当りの場合にボタン演出を実行するものとしてもよい。
第1実施例では、有効期間中に演出ボタン16が1回操作されたときに演出ボタン16の操作条件が成立するものとし、第2実施例では、有効期間中に演出ボタン16が連打(所定回数以上操作)されたときに演出ボタン16の操作条件が成立するものとした。しかし、操作条件は、演出ボタン16が長押しされたときに成立するものとしてもよいし、タイミングを合わせて押下されたときに成立するものとしてもよい。これらの場合、演出ボタン16の操作条件が成立したときに実行されるボタン演出の種類に応じて異なる操作示唆を実行するものとすればよい。
実施例では、押しボタン式の演出ボタン16の操作を検出して演出を行なうものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ダイヤルやレバー、ハンドル、タッチパッド等の他の操作部を介して遊技者の操作を検出して演出を行なうものとしてもよい。いずれの形態でも、操作条件が成立したときに実行される操作対応演出(ボタン演出)の種類に応じて異なる操作示唆を実行(操作示唆図柄を表示)することができる。
実施例では、本発明を、特別図柄が大当り図柄で確定表示されると大入賞口25を開放する大当り遊技を実行し、大当り図柄が確変大当り図柄であれば当該大当り遊技終了後に確変状態に移行するパチンコ機1に適用するものとした。しかし、内部に特定領域(確変口)を有する第2大入賞口を備え、大当り遊技中に当該第2大入賞口に入球した遊技球が特定領域を通過すると、当該大当り遊技終了後に確変状態に移行するパチンコ機に適用してもよい。このパチンコ機では、特別図柄の大当り図柄として、確変口に遊技球が入球容易な態様で大当り遊技が実行される確変用大当り図柄と、確変口に遊技球が入球困難な態様で大当り遊技が実行される通常用大当り図柄とを有する。この場合、確変当落用のボタン演出は、大当りが発生した場合に、大当り図柄が確変用大当り図柄であるか否かを報知する演出として実行することができる。この変形例のパチンコ機では、大入賞口を1つのみ備え、所定のラウンドにのみ当該大入賞口に設けられた確変口を有効とするものであってもよい。
実施例では、本発明を第1種タイプのパチンコ機1に適用するものとしたが、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に適用してもよい。なお、1種2種混合タイプのパチンコ機は、通常状態では、左打ちによる第1始動口への遊技球の入球に基づいて大当り(図柄大当り)か否かを抽選するいわゆる1種の遊技性で遊技を進行させ、大当りが発生して時短状態が発生すると、右打ちによる第2始動口への遊技球の入球が容易となり、当該第2始動口への遊技球の入球に基づいて高確率で小当りとなる抽選を行ない、小当りが発生すると、大入賞口を開放する小当り遊技を実行し、開放中の大入賞口に入球した遊技球が当該大入賞口内に設けられた特定領域を通過(役物大当り)すると、大当り遊技を実行する、いわゆる2種の遊技性で遊技を進行させるものである。この1種2種混合タイプのパチンコ機は、特別図柄の大当り図柄として、大当り遊技終了後の遊技状態が通常状態となる通常大当り図柄と、大当り遊技終了後の遊技状態が時短状態となる時短大当り図柄とを有する。この場合、第1種タイプのパチンコ機1と同様に、予告用のボタン演出や当落用のボタン演出を実行可能な他、大当りが発生したときに当該大当りの終了後の遊技状態が時短状態となるか否かを報知する時短当落用のボタン演出を実行することができる。この場合も、有効期間が開始されると、実行予定のボタン演出が予告用のボタン演出である場合と当落用のボタン演出である場合と時短当落用のボタン演出である場合とで異なる操作示唆を実行(操作示唆図柄を表示)するものとすればよい。
実施例では、遊技者に操作部(演出ボタン16)の操作を示唆する操作示唆(操作示唆図柄,連打示唆図柄)を、当該操作部の操作条件が成立したときに実行される実行予定の報知演出(ボタン演出)の種類によって異ならせるものとしたが、現在の遊技状態によって異ならせてもよい。すなわち、実施例のように第1種タイプのパチンコ機1では、操作示唆を、遊技状態が通常状態の場合と確変状態の場合とで異ならせてもよく、変形例のように1種2種混合タイプのパチンコ機では、操作示唆を、遊技状態が通常状態の場合と時短状態の場合とで異ならせてもよい。
実施例では、操作部の操作条件が成立したときに実行される実行予定の報知演出(ボタン演出)の種類によって当該操作部(演出ボタン16)の操作を示唆する操作示唆図柄を異ならせるものとしたが、操作示唆図柄の表示の際に音声(例えば、プッシュや押せなどの音声)や効果音などの音を出力する遊技機においては、実行予定の報知演出(ボタン演出)の種類によって出力する音を異ならせてもよい。
実施例では、演出ボタン16の有効期間が開始されると、実行予定のボタン演出が予告用のボタン演出(大当り期待度示唆演出)である場合には予告用の操作示唆図柄を表示し、実行予定のボタン演出が当落用のボタン演出(当落報知演出)である場合には当落用の操作示唆図柄を表示するものとしたが、実行予定のボタン演出が予告用のボタン演出であっても、その演出内容が例えば大当りが確定する予告などの期待度が極めて高い(激熱な)予告を実行するものである場合には、当落用の操作示唆図柄を表示するようにしてもよい。
また、事前にオンに設定しておくことで、遊技者が演出ボタン16を操作しなくても、所定のタイミングで操作が行なわれた状態となるオート操作機能を備えるパチンコ機であってもよい。このオート操作機能を備えるパチンコ機では、事前設定において、一部の操作示唆図柄に対しては自動操作をしないという設定が可能であってもよい。
実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上受け皿11に払い出す構成としたが、いわゆる封入式のパチンコ機であってもよい。封入式のパチンコ機は、内部に封入した遊技球を循環させることにより遊技を行なうものである。また、実施例や変形例のパチンコ機は、いわゆる管理遊技機に適用されてもよい。管理遊技機は、主制御装置への外部からのアクセスを制限するものであり、枠制御装置(実施例の払出制御装置に相当)から主制御装置へは特定情報(遊技の性能に影響を与える情報や、遊技の結果に影響を及ぼす虞のある情報)以外を送信可能とし、枠制御装置はCRユニットと接続され、枠制御装置を介してのみ外部と通信可能に構成されたものである。
実施例では、本発明をパチンコ機1(弾球式の遊技機)に適用するものとしたが、スロットマシン等の回胴式の遊技機に適用するものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、演出ボタン16が「操作部」に相当し、演出ボタンスイッチ16aが「操作検出手段」に相当し、演出図柄表示装置37と演出図柄制御装置91とボタン演出処理のS706,S708の処理を実行するサブ統合制御装置90のCPU90aとが「操作示唆手段」に相当し、演出図柄表示装置37と演出図柄制御装置91とボタン演出処理のS714の処理を実行するサブ統合制御装置90のCPU90aとが「操作演出実行手段」に相当し、ボタン演出が「報知演出」に相当し、予告用のボタン演出が「第1報知演出」に相当し、当落用のボタン演出や確変当落用のボタン演出が「第2報知演出」に相当し、予告用の操作示唆図柄374aが「第1操作示唆」に相当し、当落用の操作示唆図柄374bや確変当落用の操作示唆図柄374cが「第2操作示唆」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。