[1]実施例
図1は実施例に係るプロジェクタ10のハードウェア構成の一例を表す。プロジェクタ10は、物理的には、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、入力装置15と、出力装置16と、バス17と、映像投影装置20と、駆動装置30と、撮像装置40と、測距装置50などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。また、各装置は、1つ又は複数含まれていてもよいし、一部の装置が含まれていなくてもよい。プロセッサ11は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ11は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
例えば、ベースバンド信号処理部、呼処理部などは、プロセッサ11によって実現されてもよい。また、プロセッサ11は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ13及び通信装置14の少なくとも一方からメモリ12に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。
上述の各種処理は、1つのプロセッサ11によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ11により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ11は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。メモリ12は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
メモリ12は、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ12は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ12は、本開示の一実施の形態に係る無線通信方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ13は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。
ストレージ13は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ12及びストレージ13の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。通信装置14は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
通信装置14は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、上述の送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置14によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
入力装置15は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置16は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置15及び出力装置16は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。また、入力装置15及び出力装置16は、本体に組み込まれているものだけでなく、リモコンで提供されてもよい。
映像投影装置20は、光源及び光学系(レンズ及びミラー等)の部品を備え、外部装置から供給される映像データが示す映像を投影する装置である。映像投影装置20は、液晶方式、反射型液晶方式又はDLP(登録商標)(Digital Light Processing)方式のいずれの方式で映像を投影するものであってもよい。
駆動装置30は、映像投影装置20を駆動して映像投影装置20の向きを変化させる装置である。映像投影装置20の向きとは、例えば映像投影装置20の正面が向いている向き(正面方向)のことであり、映像投影装置20の正面方向とは、映像を投影する方向である投影方向のことである。駆動装置30は、鉛直駆動部31と、水平駆動部32とを備える。
鉛直駆動部31は、映像投影装置20の鉛直方向の向きを変化させ、水平駆動部32は、映像投影装置20の水平方向の向きを変化させる。鉛直駆動部31及び水平駆動部32は、本実施例では、映像投影装置20の向きをいずれも360度変化させることができる。そのため、鉛直駆動部31及び水平駆動部32がそれぞれ映像投影装置20の向きを変化させることで、映像投影装置20の投影方向を全方位に向けることができる。
撮像装置40は、プロジェクタ10の周囲を撮影する装置である。撮像装置40は、右側カメラ41と、左側カメラ42とを備える。これらのカメラは、いずれも180度以上の画角を有する広角レンズを有する。右側カメラ41及び左側カメラ42が撮影する画像を合わせると、自装置(プロジェクタ10)の直下を除くほぼ全ての方向の画像が撮影可能となっている。
測距装置50は、プロジェクタ10と周辺に存在する物との距離を測定する装置である。測距装置50は、前方センサ51と、後方センサ52と、右側センサ53と、左側センサ54と、上方センサ55とを備える。これらのセンサは、各々の名称が示す方向(プロジェクタ10の前方、後方、右側、左側、上方)に向けて例えば赤外線等の電磁波を発信し、発信方向に存在する物に反射して戻ってきた電磁波を受信するまでの時間に基づいてその物との距離を測定する。
また、プロセッサ11、メモリ12などの各装置は、情報を通信するためのバス17によって接続される。バス17は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。また、プロジェクタ10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよい。
また、プロジェクタ10は、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ11は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
図2はプロジェクタ10の外観を表す。図2(a)ではプロジェクタ10の平面図が表され、図2(b)ではプロジェクタ10の右側面図(プロジェクタ10の右側の側面側から見た図)が表されている。
また、図2(c)ではプロジェクタ10の正面図(投影方向から見た図)が表され、図2(d)ではプロジェクタ10の左側面図(プロジェクタ10の左側の側面側から見た図)が表され、図2(e)ではプロジェクタ10の背面図が表されている。水平駆動部32は、円盤状の土台部321と、土台部321の上に回転可能に設けられている回転部322とを備える。鉛直駆動部31は、映像投影装置20の右側を回転可能に支持する右支持部311と、映像投影装置20の左側を回転可能に支持する左支持部312とを備える。
右支持部311及び左支持部312は、いずれも直方体の形をしており、回転部322の上面に固定されている。右支持部311の右側には、右側カメラ41と、2つの右側センサ53とが設けられている。2つの右側センサ53は、水平方向に並べて配置されている。左支持部312の左側には、左側カメラ42と、2つの左側センサ54とが設けられている。2つの左側センサ54は、水平方向に並べて配置されている。
右支持部311及び左支持部312の正面側には、前方センサ51がそれぞれ設けられている。それら2つの前方センサ51は、水平方向に並べて配置されている。右支持部311及び左支持部312の背面側には、後方センサ52がそれぞれ設けられている。それら2つの後方センサ52は、水平方向に並べて配置されている。また、左支持部312の上方側には、上方センサ55が設けられている。
鉛直駆動部31が駆動すると映像投影装置20が鉛直方向に回転する。
図3は鉛直方向に回転する映像投影装置20を表す。図3(a)では、映像投影装置20が投影方向A1を水平方向に向けている。鉛直駆動部31が駆動すると、映像投影装置20は、例えば図3(b)に表すように投影方向A1を45度斜め上に向けるまで回転し、さらに図3(c)に表すように投影方向A1を鉛直上方に向けるまで回転する。
水平駆動部32が駆動すると映像投影装置20が水平方向に回転する。
図4は水平方向に回転する映像投影装置20を表す。図4の例では、図4(a)が表す投影方向A1の方向を正面方向とする。鉛直駆動部31が駆動すると、映像投影装置20は、例えば図4(b)に表すように投影方向A1が正面方向に対して45度傾くまで回転し、さらに図4(c)に表すように投影方向A1が正面方向に対して90度傾くまで回転する。
映像投影装置20は、鉛直方向に360度回転することができ、水平方向にも360度回転することができる。これらの回転により、上述したとおり、投影方向A1を全方位に向けることができる。鉛直下方とその周辺に投影方向A1を向けた場合は水平駆動部32が邪魔になって映像が投影されないが、それ以外の方向に投影方向A1を向けた場合は映像が投影される。
プロジェクタ10における各機能は、プロセッサ11、メモリ12などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ11が演算を行い、通信装置14による通信を制御したり、メモリ12及びストレージ13におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
図5はプロジェクタ10が実現する機能構成を表す。プロジェクタ10は、投影面候補検出部101と、投影面判定部104と、関連情報出力部105と、投影面決定部106と、投影方向移動部107と、映像投影部108とを備える。投影面候補検出部101は、自装置(プロジェクタ10)の周囲に存在する面を、映像の投影先の面(投影面)の候補として検出する。投影面候補検出部101は本発明の「検出部」の一例である。
投影面候補検出部101は、画像内面領域検出部102と、平面式算出部103とを備える。画像内面領域検出部102は、撮像装置40に自装置(プロジェクタ10)の周囲を撮影させて、撮影された画像を解析し、その画像に写っている物体の面を示す領域(画像内の面領域)を検出する。画像内面領域検出部102は、例えば、画像に含まれる領域のうち、コトンラストが所定の基準未満となる領域であり、且つ、面積(画素数)が閾値以上の領域を面領域として検出する。
図6は撮影された周囲の画像の一例を表す。図6では、中央に壁面C1が映っている部屋画像B1が表されている。壁面C1には、ドアC11が設けられ、時計C12が掛けられている。また、壁面C1の手前にはテーブルC13が置かれている。画像内面領域検出部102はこの部屋画像B1から面領域を検出する。以下では部屋画像B1のうち壁面C1が映っている部分において検出される面領域について、図7を参照して説明する。
図7は検出された面領域の一例を表す。図7では、画像内面領域検出部102は、壁面C1のうちドアC11、時計C12及びテーブルC13が映っている部分を除いた面領域D1を検出している(これらの部分が含まれるとコントラストが所定の基準以上になるため)。また、画像内面領域検出部102は、ドアC11のうちドアノブを除いた面領域D2を検出し、テーブルC13のうちテーブル面を表す面領域D3を検出している(いずれもコントラストが所定の基準未満で且つ面積が閾値以上となっている)。
なお、図7では壁面C1が映っている部分において検出される面領域について説明したが、画像内面領域検出部102は、他の壁面及び天井面が映っている部分についても同様に面領域を検出する。画像内面領域検出部102は、各面領域を検出すると、検出したそれらの面領域を示す領域情報(例えば面領域に含まれる画素を識別する画素IDの範囲を示す情報)を生成する。
平面式算出部103は、測距装置50に自装置(プロジェクタ10)と周囲の物体との距離を測定させ、測定された距離に基づいて、それらの物体が平面であると仮定したときのその平面を表す数式(平面式)を算出する。
図8はプロジェクタ10と平面との距離の一例を表す。図8では、壁面C2及びC3と、プロジェクタ10との距離が表されている。具体的には、図8(a)に表すように、2つの左側センサ54が壁面C2との距離をそれぞれL1及びL2と測定し、左支持部312に設けられた前方センサ51が壁面C3との距離をL3と測定している。
左側センサ54の正面方向と壁面C2とがなす角度をθ1とする。壁面C2及びC3は通常は直交しているので、前方センサ51の正面方向と壁面C3とがなす角度もθ1となる。この角度θ1は次のように求められる。2つの左側センサ54が距離L0だけ離れている場合に、図8(b)に表すように長さがL0の辺E1と長さが(L3−L2)の辺E2との間の角度が90度となる直角三角形を作ると、辺E2と斜辺の間の角度がθ1となる。従って、tanθ1=L0÷(L3−L2)を解くことでθ1が求まる。
ここで、例えば図8(c)に表すように、左側カメラ42を原点P1とし、投影方向A1に沿ったX軸と、それに直交し且つ水平方向に沿ったY軸及び鉛直方向に沿ったZ軸とを有する3次元座標系を定めたとする。この原点P1と測距装置50が備える各センサとの位置関係は分かっているので、測定された距離から原点P1とY軸が壁面C2に交わる点P2との距離L4が求められ、原点P1とX軸が壁面C3に交わる点P3との距離L5が求められる。
つまり、点P2は座標(0、L4、0)で点P3は座標(L5、0、0)となる。また、角度θ1が求められているので、壁面C2の法線ベクトルA2(cosθ1、−sinθ1、0)及び壁面C3の法線ベクトルA3(sinθ1、cosθ1、0)も求められる。これらの値から、平面式算出部103は、壁面C2を表す数式として、cosθ1(x−0)−sinθ1(y−L4)+0(z−0)=cosθ1×x−sinθ1(y−L4)=0を算出する。
また、平面式算出部103は、壁面C3を表す数式として、sinθ1(x−L5)+cosθ1(y−0)+0(z−0)=sinθ1(x−L5)+cosθ1×y=0を算出する。平面式算出部103は、同じ方法で、他の壁面を表す数式も算出する。なお、図8(a)で述べた3つのセンサがいずれも壁面との距離を測定すると正確な数式が算出されるが、いずれか1つでも壁面の前に置かれた物や壁面に掛けられた物との距離を測定すると、正確な数式が算出されなくなる。
平面式算出部103は、例えば上記のとおり算出した数式と、他のセンサの組み合わせ(例えば1つの左側センサ54及び2つの前方センサ51)を用いて算出した同じ壁面についての数式を比較し、違いが誤差の範囲を超えていれば壁面以外の物体との距離が測定されたため正確な数式が算出されなかったと判断する。その場合、平面式算出部103は、例えば壁面C3については左側センサ54ではなく右側センサ53及び前方センサ51の測定結果を用いて算出する。
測距装置50が備えるセンサの場合、1つの壁面について4通りのセンサの組み合わせ(壁面C3であれば左×2と前×1、左×1と前×2、右×2と前×1、右×1と前×2)が利用可能なので、そのうちの1通りだけでも壁面との距離だけを測定できていれば、壁面を表す数式を正確に算出することができる。なお、数式が正確に算出されたか否かは、前述したように異なる2通りの組み合わせのセンサの測定結果からそれぞれ数式を算出して判断する。
壁面以外の物体との距離が混ざっている場合はよほどの偶然がなければそれぞれ算出された同じ壁面を表す数式の差分が誤差の範囲に収まらないため、平面式算出部103は、その差分が誤差の範囲に収まっている場合に数式が正確に算出されたと判断する。また、どのセンサの組み合わせても数式を正確に算出することができない場合、平面式算出部103は、水平駆動部32を駆動させてセンサの向きを変えてから再び数式を算出してもよい。
平面式算出部103は、各壁面について正確な数式が算出されたと判断するまで、駆動後の再算出を繰り返せばよい。この繰り返しにより、3つのセンサとも物体に邪魔されずに距離を測定可能な方向が存在すれば、壁面を表す数式を正確に算出することができる。平面式算出部103は、天井面については、例えば上方センサ55が測定した天井までの距離に基づいて求めたZ軸との交点の座標がL6であった場合、天井面を表す数式としてz=L6を算出する。
投影面候補検出部101は、以上のとおり検出された面領域及び算出された平面(壁面及び天井面)を表す数式(平面式)に基づいて投影面の候補を検出する。撮像装置40が撮影した画像においては、或る物体に別の物体が重なって映った場合、それらの物体は同じ方向にあって且つ同じ画素によって表されることになる。つまり、撮影された画像に含まれる各画素は、それぞれ決まった方向の物体を表すことになる。
投影面候補検出部101は、例えば左側カメラ42が撮影する画像の各画素について、それらの画素が表す物体の方向を例えば図8に表す座標系のベクトルで表した方向データを記憶しておく。投影面候補検出部101は、画像内面領域検出部102が生成した領域情報から検出された面領域の境界を示す画素を特定し、特定した画素が表す方向ベクトルを延伸させた場合に壁面と交わる点の座標を算出する。
投影面候補検出部101は、こうして算出した座標が示す点を繋げた線を境界線とする空間内の面を特定する。
図9は特定された空間内の面の一例を表す。図9では、投影面候補検出部101は、図7に表す面領域D1、D2、D3にそれぞれ対応する空間内の面F1、F2、F3をそれぞれ特定している。
投影面候補検出部101は、特定した各面に、投影される映像の形をした図形(投影図形)をできるだけ大きいサイズで配置する。
図10は配置された投影図形の一例を表す。図10では、投影面候補検出部101は、空間内の面F1の左上に投影図形G1を配置し、面F1の中央に投影図形G2を配置している。投影図形G1は右にずらしても配置可能であり、投影図形G2は下にずらしても配置可能なので、それらのずらせる範囲を矢印で示した。
同様に、投影面候補検出部101は、空間内の面F2の上部に投影図形G3を配置し、面F2の下部に投影図形G4を配置し、空間内の面F3の中央に投影図形G5を配置している。投影面候補検出部101は、こうして配置した投影図形が表す面を、投影面の候補として検出する。投影面候補検出部101は、検出した投影面の候補を示す投影面情報を、特定した空間内の面を示す特定面情報と共に投影面判定部104に供給する。
特定面情報は、例えば、特定された空間内の面(図9の例では面F1、F2、F3)の境界線上の座標の集合である。投影面情報は、投影面の空間的な位置を示す情報であり、例えば、配置された投影図形の実空間上のサイズ(短辺の長さ等で表される)と、特定された空間内の面においてそのサイズの投影図形を配置可能な範囲(投影図形をその範囲で移動させた場合に投影図形の特定の点(中心等)が移動する範囲で表される)とを表す情報である。
投影面判定部104は、投影面候補検出部101によって検出された複数の面(投影面の候補)の各々の属性を比較して映像の投影面としての優劣を判定する。投影面判定部104は本発明の「判定部」の一例である。投影面判定部104は、本実施例では、投影面の候補の面積を属性として比較し、投影面の候補の面積が大きい面ほど投影面として優れていると判定する。
図10の例であれば、投影面判定部104は、面積が最も大きい投影図形G2が示す投影面の候補を最も優れていると判定し、以下、面積が大きいものから順番にG2>G1>G3、G4>G5という順番で各投影面の候補の優劣を判定する。投影面判定部104は、この判定結果を投影面情報及び特定面情報と共に関連情報出力部105に供給する。
関連情報出力部105は、投影面候補検出部101が複数の面(投影面の候補)を検出した場合に、それら複数の面に関する関連情報を出力する。関連情報出力部105は、本実施例では、供給された投影面情報及び特定面情報が示す投影面の候補の配置を示す画像と、投影面判定部104の判定結果を示す情報とを関連情報として出力する。関連情報出力部105は、本実施例では、関連情報を投影する映像として映像投影装置20を介して出力する。
図11は出力された関連情報の一例を表す。図11では、関連情報出力部105は、「投影面を選択してください。」という文字列と、「推奨1」として図10に表す空間内の面及び投影図形G2を表す画像と、「右側の壁面」、「100インチ相当」、「床上60〜80cm」という投影面の候補の方向、サイズ、位置を示す情報とを関連情報として出力している。
また、関連情報出力部105は、「推奨2」として投影図形G1を表す画像と、「右側の壁面」、「60インチ相当」、「床上180cm」という関連情報を出力している。また、右側のスクロールボタンを押す操作が行われると、関連情報出力部105は、優劣の判定結果が3番目以降の投影面の候補の関連情報を出力する。このように、関連情報出力部105は、「推奨」に続く番号と、並び順とで判定結果を示す情報を関連情報として出力している。
関連情報出力部105は、ユーザが投影面を選択する操作を受け付ける。この操作は、例えば、各投影図形が表す投影面を選択すると共に、選択した投影面の位置を選択する操作を含んでいる。例えば投影図形G2が表す投影面であれば、鉛直方向の位置を選択することができる。この操作は、例えば、図11に表す投影図形G2を上下にドラッグして映像を映したい位置まで移動させることで行われる。
なお、例えば投影面は特定された空間内の面の中央に最も近い位置にする等の設定にしておくことで、位置の選択を省いてもよい。ユーザが投影面を選択する操作を行うと、関連情報出力部105は、選択された投影面の投影面情報を投影面決定部106に供給する。なお、関連情報の出力先は、ユーザが関連情報を確認できて且つプロジェクタ10の操作と連動しているものであればよく、例えばプロジェクタ10の操作パネル、リモコンのパネル又はスマートフォン等であってもよい。
投影面決定部106は、投影面候補検出部101が複数の面(投影面の候補)を検出した場合に、それらの候補から実際に映像を投影する投影面を決定する。投影面決定部106は、本実施例では、投影面情報が供給された投影面、すなわち、関連情報出力部105が出力した関連情報に基づいてユーザが選択した投影面を、実際に映像を投影する投影面として決定する。
投影面決定部106は、決定した投影面の投影面情報を投影方向移動部107に供給する。投影方向移動部107は、投影面候補検出部101により検出された投影面の方向に映像投影部108が投影する映像の投影方向を移動させる。映像投影部108は、投影方向移動部107により移動させられた投影方向に映像を投影する。投影方向移動部107は本発明の「移動部」の一例であり、映像投影部108は本発明の「投影部」の一例である。
投影方向移動部107は、本実施例では、投影面決定部106から投影面情報が供給された投影面、すなわち、投影面候補検出部101により出力された関連情報に基づきユーザが選択した投影面の方向に投影方向を移動させる。投影方向移動部107は、供給された投影面情報に基づき、その投影面情報が示す投影面の中心に向かうベクトルを算出する。
投影方向移動部107は、図3及び図4で説明したように映像投影装置20を鉛直方向及び水平方向に回転させることで、選択された投影面がどの方向にあっても算出したベクトルの方向、すなわちその投影面の方向に投影方向を移動させる。投影方向移動部107は、投影方向の移動が完了すると、その旨を映像投影部108に通知する。映像投影部108は、この通知を受け取ると、映像の投影を開始する。
選択された投影面によっては、投影された映像が歪んで本来長方形である映像の形が台形になることがある。その場合、映像投影部108は、例えば公知の台形補正の技術を用いて映像のゆがみを補正してもよいし、同じく公知のレンズシフト機能の技術を用いて映像のゆがみを補正してもよい。
プロジェクタ10は、上記の構成に基づいて投影面を決定し、決定した投影面の映像を投影する決定処理を行う。
図12は決定処理におけるプロジェクタ10の動作手順の一例を表す。この動作手順は、例えば、ユーザがプロジェクタ10を部屋に設置し、決定処理を開始させる操作を行うことを契機に開始される。
まず、プロジェクタ10(画像内面領域検出部102)は、撮像装置40に自装置の周囲を撮影させ(ステップS11)、撮影された画像内の面領域を検出する(ステップS12)。次に、プロジェクタ10(平面式算出部103)は、測距装置50に自装置(プロジェクタ10)と周囲の物体との距離を測定させ(ステップS13)、測定された距離に基づいて周囲に存在する平面を表す平面式を算出する(ステップS14)。
続いて、プロジェクタ10(投影面候補検出部101)は、検出された面領域及び算出された平面式に基づいて投影面の候補を検出する(ステップS15)。次に、プロジェクタ10(投影面判定部104)は、検出された複数の投影面の候補の各々の属性(本実施例では投影面の面積)を比較して映像の投影面としての優劣を判定する(ステップS16)。続いて、プロジェクタ10(関連情報出力部105)は、ステップS16での判定結果を示す情報を関連情報(複数の投影面の候補に関する情報)として出力する(ステップS17)。
次に、プロジェクタ10(投影面決定部106)は、ステップS17で出力された関連情報に基づいてユーザが選択した投影面を、実際に映像を投影する投影面として決定する(ステップS18)。続いて、プロジェクタ10(投影方向移動部107)は、ステップS18で決定された投影面の方向に投影方向を移動させる(ステップS19)。そして、プロジェクタ10(映像投影部108)は、映像のゆがみを修正する台形補正を行い(ステップS20)、映像の投影を開始する(ステップS21)。
プロジェクタ10を部屋に設置して映像を投影させる際に、スクリーンを用いずに部屋の壁(天井でもよい)に映像を投影させる場合がある。その場合、テレビ及び本棚等の壁の手前に存在する物体に映像が映ったり、ドア及び柱等の壁と共に平面を成しているがその平面に起伏又は濃淡を生じさせる物体に映像が映ったりすると、映像が見にくくなる。
そこで、ユーザは、投影面として適当な場所を探してスクリーン代わりに用いることになるが、そのような場所を見つけて投影方向を合わせるのは手間がかかる。本実施例では、プロジェクタ10によって投影面が検出されてその投影面の方向に投影方向が移動するので、映像の投影装置であるプロジェクタ10を設置して映像を投影させる際の手間を少なくすることができる。
また、本実施例では、投影面の候補が複数検出された場合に、図11に表すように関連情報が出力されてそこからユーザが投影面を選択する。これにより、投影面の候補が複数検出された場合に、ユーザは自分が見やすい位置にある投影面を選んで映像を投影させることができる。
また、本実施例では、投影面の優劣の判定結果が関連情報として出力される。例えば本実施例では、面積が大きい投影面ほど優れているという判定結果が出力される。これにより、ユーザは、投影面の面積については自分で見比べなくても、より大きな投影面がどれであるのかを把握することができる。
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。
[2−1]面領域の検出方法
画像内面領域検出部102は、実施例と異なる方法で面領域を検出してもよい。画像内面領域検出部102は、例えばハフ変換又は最小二乗法等を用いて画像から平面を検出する周知の技術を用いてもよい。また、画像内面領域検出部102は、特開2018−10601号公報に開示されている撮影された画像から平面が存在する領域を検出する技術を用いてもよい。
また、画像内面領域検出部102は、プロジェクタに同じ方向を撮影する2つの撮像装置を備えさせて、特開2006−53757号公報に開示されている一対のカメラが撮影した画像から平面を検出する技術を用いてもよい。また、近年ではAR(Augmented Reality:拡張現実)を実現する際に様々な平面の検出技術が用いられているので、それらの技術が用いられてもよい。
また、特開2014−85940号公報に開示されているような距離画像センサ(所定のパターンを有する光を照射してその反射光を撮影することで撮影された画像内の物体までの距離を測定するセンサ)を用いて平面を検出する技術が用いられてもよい。要するに、画像内面領域検出部102は、画像に写っている物体の面領域を検出することができるのであれば、どのような技術を用いてもよい。
[2−2]平面式の算出方法
平面式算出部103は、実施例と異なる方法で平面式を算出してもよい。例えば前述した特開2006−53757号公報には、測距センサを用いることなく画像から平面の法線ベクトル及び撮像装置から平面までの距離を算出する技術が開示されている。これらの法線ベクトル及び距離が分かれば平面式を算出可能なことは明らかであるから、平面式算出部103は、この技術を用いて平面式を算出してもよい。
また、上述した距離画像センサを用いれば、平面内の複数の点までの距離が測定されるので、平面式算出部103は、その測定結果を用いて平面式を算出してもよい。他にも、前述した平面を検出する技術には、平面式を算出する手法も含まれている場合があるので、平面式算出部103は、それらの手法を用いて平面式を算出してもよい。
[2−3]優劣の判定方法
投影面判定部104は、実施例と異なる方法で投影面の優劣を判定してもよい。投影面判定部104は、実施例では投影面の候補の面積を属性として用いたが、例えば、投影面の候補のコントラストを属性として用いてもよい。その場合、投影面判定部104は、コントラストが小さい面(投影面の候補)ほど投影面として優れていると判定する。
投影面判定部104は、各投影面の候補について、例えば投影面に含まれる画素の輝度値の最大値を最小値で除した値が小さいほどコントラストが小さいと判断する。なお、コントラストの判断方法はこれに限らない。投影面判定部104は、例えば、投影面に含まれる画素の輝度の分散又は標準偏差が小さいほどコントラストが小さいと判断してもよいし、その他の周知の方法でコントラストの大きさを判断してもよい。
投影面のコントラストが大きいほど、投影された映像に映像とは関係のない濃淡が現れやすい。本変形例では、上記のとおりコントラストに応じて優劣が判定されるので、この判定が行われない場合に比べて、そのような濃淡が現れにくい投影面を選びやすくすることができる。また、投影面判定部104は、映像投影装置20の光軸(投影方向)に対する投影面の候補の傾きを属性として用いてもよい。
ここでいう傾きは、光軸に対して投影面が垂直になっていれば0であり、垂直から離れるほど大きくなる。この場合、投影面判定部104は、例えば、面(投影面の候補)の垂線と映像投影装置20の投影方向との成す角度(上記傾きを表す角度。角度が小さいほど傾きも小さい)が小さいほど投影面として優れていると判定する。上記傾きが0の場合、投影された映像は台形補正又はレンズシフト機能による補正をしなくてもゆがみなく投影面に映し出される。
一方、上記傾きが大きくなるほど投影された映像が台形の形に歪んでいくので、いずれかの補正が必要になるが、補正を強く行うほど画質が低下しやすい。本変形例では、上記の傾きに応じて優劣が判定されるので、この判定が行われない場合に比べて、映像のゆがみを補正することによる画質の劣化が生じにくい投影面を選びやすくすることができる。
また、投影面判定部104は、上述した3つの属性(投影面の面積、コントラスト、傾き)を個別に用いるのではなく、2以上の属性を用いて優劣を判定してもよい。その場合に、投影面判定部104は、面(投影面の候補)の面積、面のコントラスト及び面の垂線と投影方向との成す角度(投影面の傾き)をそれぞれ面の属性として用いて、判定を行う。具体的には、投影面判定部104は、例えば、上記面積、コントラスト及び角度をそれぞれ0から10までの値に変換する。
その際、投影面判定部104は、面積は大きいほど10に近い値とし、コントラスト及び角度は小さいほど10に近い値とする。投影面判定部104は、そうして変換した値の合計値(0から30までの値)が大きい面ほど、投影面として優れていると判定する。この判定が行われることにより、映し出される映像の大きさ、濃淡の現れやすさ及び補正による画質の劣化の生じにくさを総合的に考慮して投影面を選べるようにすることができる。
[2−4]映像の種類
投影面判定部104は、映像の種類によって投影面の候補の優劣の判定方法を異ならせてもよい。投影面判定部104は、例えば、上記の3つの属性(投影面の面積、コントラスト、傾き)をまとめて用いる場合に、投影される映像の種類に応じた重みを各属性に付与して判定を行う。
投影面判定部104は、例えば、映像の種類と属性の重み係数とを対応付けた重みテーブルを用いてこの判定を行う。
図13は重みテーブルの一例を表す。図13の例では、「スポーツ」という映像の種類には、「重み1(面積)」、「重み2(コントラスト)」、「重み3(角度)」として「3」、「1」、「2」という重み係数が対応付けられている。この「角度」は投影面の傾きを表す角度である。
この重み付けにより、スポーツを投影する場合は、面積が大きい投影面ほど迫力のあるプレーが見られるので優れていると判定されやすくなっている。一方、画面に多少濃淡があってもプレイヤーが激しく動く画面ではあまり気にならないのでコントラストは優劣の判定に影響しにくくなっている。また、「ドラマ」という映像の種類には同様に「1」、「3」、「2」という重み係数が対応付けられている。
この重み付けにより、ドラマが投影される場合は、人の表情に映像とは関係のない濃淡が現れにくい(コントラストが小さい)投影面ほど優れていると判定されやすくなっている。また、「旅行」という映像の種類には同様に「1」、「2」、「3」という重み係数が対応付けられている。上記の補正(台形補正及びレンズシフト機能による補正)は、投影面の傾き(上記の角度)が大きすぎると補正しきれずゆがみが残る場合がある。
旅行に関する映像が投影される場合は、そのようなゆがみが生じる可能性が低い(上記角度が小さい)投影面ほど優れていると判定されやすくなっている。このように、本変形例によれば、映像の種類毎に、より望ましいと思われる映像が映し出される投影面ほど優れていると判定されやすくなり、その判定結果を参考にして投影面を選べるようにすることができる。
[2−5]投影面を小さくする要素
壁面がパネル等で構成されている場合、パネル同士の繋ぎ目が現れるため、検出される投影面がその繋ぎ目で分断されて小さくなる。また、ドアノブ、スイッチパネル及び小さな飾り等があると、分断まではされないがそれらを含まないようにするため投影面が小さくなる。
上記の繋ぎ目及びドアノブ等は、面のコントラストを上述した所定の基準以上とする要素であり、より大きな投影面の候補の検出を阻害する要素であるから、以下では「阻害要素」という。これらの阻害要素に映像が重なると、映像越しに薄っすらと阻害要素が見えることになるが、その大きさが小さければ、仮に映像と重なってもそれほど気にならないことになりやすい。
そこで、本変形例では、投影面候補検出部101が、阻害要素を含む面であってもその面に対するその阻害要素の面積の割合が閾値未満であればその面を投影面の候補として検出する。
図14は本変形例で検出される投影面の候補の例を表す。図14(a)では、投影面候補検出部101が、或る部屋の壁面について空間内の面F4を特定している。この面F4は、阻害要素であるスイッチパネルC41及びC42を除いた面である。
投影面候補検出部101は、実施例であれば、これらの阻害要素を含まないで配置可能な投影図形G41及びG42が表す面を投影面の候補として検出する。本変形例では、投影面候補検出部101は、例えば図14(b)に表すスイッチパネルC41を含む投影図形G43であれば、投影図形G43に対するスイッチパネルC41の面積の割合が閾値未満である場合に、その投影図形G43が表す面を投影面の候補として検出する。
また、投影面候補検出部101は、スイッチパネルC41及びC42の両方を含む投影図形であっても、その投影図形に対するスイッチパネルC41及びC42を合わせた面積の割合が閾値未満である場合に、その投影図形が表す面を投影面の候補として検出する。また、図14(c)では、投影面候補検出部101が、或る部屋の壁面について空間内の面F51及びF52を特定している。
これらの面は、阻害要素であるパネルの繋ぎ目C51によって分断された面である。投影面候補検出部101は、実施例であれば、これらの阻害要素を含まないで配置可能な投影図形G51及びG52が表す面を投影面の候補として検出する。本変形例では、投影面候補検出部101は、例えば図14(d)に表す繋ぎ目C51を含む投影図形G53であれば、繋ぎ目C51のうち投影図形G53に含まれる部分の投影図形G53に対する面積の割合が閾値未満である場合に、その投影図形G53が表す面を投影面の候補として検出する。
本変形例によれば、全ての阻害要素を含まない面が投影面の候補として検出される場合に比べて、図14の例で表すように、より面積の大きい投影面の候補を検出することができる。また、全ての阻害要素を含まない場合に比べて、投影面の候補の配置の自由度も高めることができるので、投影面の傾きも小さくすることができる。
[2−6]優劣判定への反映
上記変形例で述べた阻害要素を考慮した検出結果を投影面の優劣に反映させてもよい。その場合、投影面判定部104は、面に含まれる阻害要素の面積の割合が小さいほど投影面として優れていると判定する。この割合は、阻害要素が全く含まれていない場合に「0」となり、投影面として最も優れていると判定される。
また、阻害要素の面積の割合が閾値未満であるが閾値ぎりぎりである場合に、投影面として最も劣っていると判定される(ただし閾値以上になると投影面の候補として検出されなくなる)。この検出が行われることにより、本変形例の判定が行われない場合に比べて、阻害要素ができるだけ含まれていない投影面が選択されやすいようにすることができる。なお、本変形例における投影面の優劣への反映方法はこれに限らない。
投影面判定部104は、例えば、面に含まれる阻害要素の位置と面の中心との距離が大きいほど投影面として優れていると判定してもよい。映像が作成される際には、その映像の中心に近いほど視聴者に見せたいものを配置することが多い。そこで、このように優劣が判定されることで、この判定が行われない場合に比べて、映像の作成者が視聴者に見せたいものがより見やすく映し出される投影面が選択されやすいようにすることができる。
[2−7]画質の調整
上記変形例で述べた阻害要素を考慮した検出結果に基づいて、投影する映像の画質が調整されてもよい。本変形例では、映像投影部108が、投影面に含まれる阻害要素の面積の割合の大きさに応じた画質の映像を投影する。例えばドアノブ及びスイッチパネル等の阻害要素に投影した場合、投影した光による影が視聴者から見える場合がある。
そのような影は、投影光が白に近い色であるほど見えやすく、反対に黒に近い色であるほど見えにくくなる。そこで、映像投影部108は、投影面に含まれる阻害要素の面積の割合が大きいほど映像の色を黒に近づけるように画質を変更する。また、例えば灰色の繋ぎ目が阻害要素となっている場合には、映像投影部108は、投影面に含まれる阻害要素の面積の割合が大きいほど映像の色を灰色に近づけるように画質を変更してもよい。
いずれの場合も、映像投影部108は、阻害要素に映像を重ねた投影した場合に、その阻害要素が目立たなくなるように画質を変更すればよい。この画質の変更が行われることにより、画質を変更しない場合に比べて、阻害要素の面積の割合が大きくなったとしても目立ちにくいようにしつつ、元々阻害要素が目立たない場合は画質の変更の度合いを小さくしてより自然な映像を投影することができる。
また、阻害要素の目立ちやすさは、色だけでなく、位置によっても変化する。例えば投影面の中心にある阻害要素は、投影面の端にある阻害要素よりも目立ちやすい。そこで、映像投影部108は、投影面に含まれる阻害要素の位置と面の中心との距離の大きさに応じた画質の映像を投影する。具体的には、映像投影部108は、この距離が小さいほど、阻害要素が目立ちやすくなるので、画質を変更する度合いを大きくする。
画質の変更方法は、例えば前述したように映像の色を黒又は灰色等の阻害要素が目立ちにくい色に近づける方法である。この画質の変更が行われることにより、画質を変更しない場合に比べて、投影面の中心近くに阻害要素があったとしても目立ちにくいようにしつつ、阻害要素が目立たない位置にある場合は画質の変更の度合いを小さくしてより自然な映像を投影することができる。
[2−8]過去の選択結果の再利用
同じ部屋でプロジェクタを利用する場合、家具の配置等が大きく変わっていなければ同じ投影面を利用することになりやすい。そのような場合に、過去に選択された投影面が再利用されてもよい。
図15は本変形例のプロジェクタ10aが実現する機能構成を表す。プロジェクタ10aは、図5に表す各部に加えて、周辺物認識部109と、認識結果蓄積部110とを備える。周辺物認識部109は、自装置(プロジェクタ10a)の周囲の空間に存在する物体(周辺物)の形状及び配置の少なくとも一方を認識する。周辺物認識部109は本発明の「認識部」の一例である。
本変形例では、投影面候補検出部101が、自装置の周囲の各面(壁面及び天井)について算出された平面式を周辺物認識部109に供給する。周辺物認識部109は、供給された平面式から、各壁及び天井が交わって形成される角(「物体」の一例)の座標を算出し、算出した座標をその角の配置として認識する。周辺物認識部109は、少なくとも2以上の角の配置を認識し、その認識結果(2以上の角の各座標)を認識結果蓄積部110に供給する。
認識結果蓄積部110は、周辺物認識部109による認識結果を、その認識結果が得られたときにユーザにより選択された投影面に対応付けて蓄積する。認識結果蓄積部110は本発明の「蓄積部」の一例である。認識結果蓄積部110は、周辺物認識部109から認識結果が供給されると、投影面決定部106に決定された投影面を問い合わせる。
投影面決定部106は、問い合わせを受け取ると、実施例で述べたようにユーザの選択により決定した投影面を示す投影面情報を、その投影面が検出された空間内の面を示す特定面情報と共に認識結果蓄積部110に供給する。認識結果蓄積部110は、供給された投影面情報及び特定面情報を、同じく供給された認識結果に対応付けて記憶することで、上記のとおり認識結果を選択された投影面に対応付けて蓄積する。
後日、プロジェクタ10aが同じ部屋に設置されたとする。すると、周辺物認識部109は、新たに2以上の角の配置を認識し、その認識結果を認識結果蓄積部110に供給する。認識結果蓄積部110は、供給された認識結果を蓄積すると共に、その認識結果と同一の認識結果が蓄積されていないか否かを判断する。認識結果蓄積部110は、例えば、認識結果として記憶している2以上の角の各座標の相対的な位置関係(角同士の距離)の差分が閾値未満である場合に、同一の認識結果が蓄積されていると判断する。
認識結果蓄積部110は、同一の認識結果が蓄積されていると判断した場合、蓄積してある認識結果に対応付けて記憶した投影面の投影面情報及び特定面情報を関連情報出力部105に供給する。関連情報出力部105は、この投影面情報及び特定面情報が供給された場合、すなわち、認識結果蓄積部110に蓄積された認識結果が周辺物認識部109により新たに認識された場合に、その認識結果に対応付けて蓄積されている投影面を示す情報を関連情報として出力する。
関連情報出力部105は、例えば、供給された投影面情報(投影面の空間的な位置を示す情報)及び特定面情報(投影面が検出された空間内の面を示す情報)を関連情報として出力する。
図16は本変形例で出力された関連情報の一例を表す。図16では、関連情報出力部105は、「以前選択された投影面です。」という文字列と、図10に表す投影図形G2について図11で出力した関連情報を出力している。
また、関連情報出力部105は、「選択する」と書かれたボタンH1及び「他を選ぶ」と書かれたボタンH2を出力している。ボタンH1が選択された場合、関連情報出力部105は、選択された投影面の投影面情報を投影面決定部106に供給する。ボタンH2が選択された場合、関連情報出力部105は、投影図形G2以外の投影図形が表す投影面の関連情報を図11の例と同様に出力する。
本変形例では、上記のとおり過去にユーザが選択した投影面が示されるので、ユーザがよく利用する投影面が決まっている場合は、他の投影面の候補と比較することなくその投影面を選択することになり、投影面を選択する際のユーザの手間が少なくなる。
[2−9]発明のカテゴリ
本発明は、プロジェクタ10のような投影装置の他、その投影装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、その投影装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
[2−10]機能ブロック
なお、上記実施例の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。
すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
[2−11]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−12]判定方法
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
[2−13]処理手順等
本開示において説明した各態様/実施例の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
[2−14]入出力された情報等の扱い
入出力された情報等は特定の場所(例えばメモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
[2−15]ソフトウェア
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
[2−16]情報、信号
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
[2−17]システム、ネットワーク
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
[2−18]パラメータ、チャネルの名称
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
[2−19]「判断」、「決定」
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。
また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
[2−20]「に基づいて」の意味
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
[2−21]「異なる」
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
[2−22]「及び」、「又は」
本開示において、「A及びB」でも「A又はB」でも実施可能な構成については、一方の表現で記載された構成を、他方の表現で記載された構成として用いてもよい。例えば「A及びB」と記載されている場合、他の記載との不整合が生じず実施可能であれば、「A又はB」として用いてもよい。
[2−23]態様のバリエーション等
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。