JP2020035706A - 車両用灯具構成レンズ及び車両用灯具 - Google Patents

車両用灯具構成レンズ及び車両用灯具 Download PDF

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渡辺 正明
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Abstract

【課題】偏りの大きな配光分布や極端な光度条件を容易に充足することができるレンズ構造及び車両用灯具を提供する。【解決手段】本発明の車両用灯具構成レンズ10は、光入射面11と、該光入射面の逆側に配置される光出射面12とを具備する車両用灯具構成レンズであって、前記光出射面上において、第1の配光分布を実現する第1の光出射範囲12Pと、第2の配光分布を実現する第2の光出射範囲12Tとを有し、前記第1の配光分布は、前記第2の配光分布に対して光軸周りの方位に関する偏り態様が異なり、前記第1の光出射範囲は、前記光出射面に沿った所定の主軸方向に向くとともに光軸に対して傾斜したプリズム出射面部12peを備えた複数のプリズム領域12prが連続して配列されたプリズムアレーにより構成される。【選択図】 図1

Description

本発明は車両用灯具構成レンズ及び車両用灯具に関する。
近年、車両用灯火類においては、例えば、車両用前照灯や側方照射灯のような照明系の灯具類と、制動灯、補助制動灯、後退灯、尾灯など後続車などからの視認性を追求した表示系の灯具類がある。
国際連合欧州経済委員会(U.N. Economic Commission for Europe, 以下ECEと略す) 自動車基準調和世界フォーラムにおいては騒音、排出ガス・エネルギー、灯火器、ブレーキと走行装置、衝突安全、安全一般など6つの異なる分野で専門家会議が組織され最新の社会ニーズや技術革新に合わせて規準の策定や改定が行われている。わが国においても自動車基準国際調和として灯火器の制動灯、方向指示器、後退灯などに関してはECEの規格に従い国土交通省から技術規準が示されている。ところで、従前はLEDなど発光素子の輝度が低いために、如何に効率的に光を出射させるかに重点が置かれていた時期もあった。しかし、最近の急激な技術進歩により、発光素子の輝度が大幅に増大してきていることから、発光素子の指向特性に適応した方法で所望の配光特性を実現する要請が強くなっている。一方、車両用灯火類では、それぞれの用途に応じた配光パターンを定めた技術基準が設けられている。
上記車両用灯火類では、高い視認性や安全性を要求されるために所定の配光パターンや配光範囲が規定される。このような灯類に関する従来文献としては、以下の特許文献がある。以下の特許文献では、フレネルレンズと配光レンズの組み合わせ、コリメーター、レンズアレー、プリズム構造などを用いた車両用灯具が開示され、これらの車両用灯具を小型化する試みも開示されている。しかし、いずれも、実際の車両用灯具の具体的な配光分布を容易に実現するための構成を備えていない。
特公平3−5001号公報 特開2015−22984号公報 特開2010−165484号公報
制動灯や方向指示器などの表示系の車両用灯具においては所要の表示特性を示すために、また、前照灯や前部霧灯や後退灯などの照明系の車両用灯具においては所要の表示特性に加えてさらに所要の照明特性をも備えるように、上述の国土交通省の技術規準(=ECE規格)に示されている配光分布が設定されている。これらの配光分布の中には、単一のレンズ形状では実現しにくい複雑なものもあり、その上、最大光度や最小光度などの光度条件をも満たす必要があるために、レンズ設計が困難であるという問題がある。例えば、後退灯では、表示系の車両用灯具よりも広角の範囲においてより高い光度が要求されるとともに、照明特性の目的に応じて偏った配光分布が要求される。
本発明は上記問題を解決することを課題とする。すなわち、本発明の課題は、偏りの大きな配光分布や極端な光度条件を容易に充足することができるレンズ構造及び車両用灯具を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の車両用灯具構成レンズは、光入射面と、該光入射面の逆側に配置される光出射面とを具備し、前記光出射面上において、第1の配光分布を実現する第1の光出射範囲と、第2の配光分布を実現する第2の光出射範囲とを有する。このとき、前記第1の配光分布は、前記第2の配光分布に対して光軸周りの方位に関する偏り態様が異なる。また、前記第1の光出射範囲は、前記光出射面に沿った所定の主軸方向に向くとともに光軸に対して傾斜したプリズム出射面部を備えた複数のプリズム領域が連続して配列されたプリズムアレーにより構成される。一方、前記第2の光出射範囲は、曲面状のレンズ面を有することが好ましく、特に、凸曲面状のレンズ面を有することが望ましい。また、前記第2の光出射範囲は、後述するように、複数のレンズ面を配列させたレンズアレーを構成するものであってもよい。
本発明において、前記第1の光出射範囲は、相互に異なる傾斜角の前記プリズム出射面部を備える複数の前記プリズム領域を含むことが好ましい。この場合において、上記傾斜角は、第1の配光分布に対応するように分布していればよい。ただし、特に限定されるものではないが、前記第1の光出射範囲には、前記傾斜角が漸次一方向に変化する態様の複数の前記プリズム領域の配列部分が存在することが望ましい。このとき、前記第1の光出射範囲では、前記複数のプリズム領域は、光軸が通過する中心側から周辺側へ向けて前記傾斜角が漸次一方向に変化する態様で配列されることがさらに望ましい。ここで、「前記傾斜角が漸次一方向に変化する態様」とは、前記傾斜角が漸次増大していく態様、或いは、前記傾斜角が漸次減少していく態様のいずれかをいう。
本発明において、前記第1の光出射範囲は、相互に異なる光出射域の面積を持つ前記プリズム出射面部を備える複数の前記プリズム領域を含むことが好ましい。この場合において、複数のプリズム領域におけるプリズム出射面部の光出射域の面積の大小は、第1の光出射範囲内の入射光の照度分布と逆の相関を有するように設定されることにより、入射光の照度分布による第1の配光分布への影響を低減することができる。例えば、発光素子と、前記発光素子の側に前記光入射面を向けた請求項5に記載の車両用灯具構成レンズと、を具備する車両用灯具においては、前記第1の光出射範囲における複数の前記プリズム領域に関し、前記プリズム出射面部の光出射域の面積の分布を、前記プリズム領域に入射する前記発光素子からの入射光の照度の分布と逆の相関関係を有するものとする場合がある。また、このような相関関係を有する光出射域の面積分布を基準として設計作業を行ってもよい。
本発明において、前記プリズム領域は、前記光出射面に沿った所定の主軸方向の相互に逆向きに傾斜した第1のプリズム出射面部と第2のプリズム出射面部を有することが好ましい。ここで、前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部は相互に逆向きであるが同一の傾斜角を有することが望ましい。
本発明において、前記主軸方向は、水平軸方向と垂直軸方向の少なくとも一方であることが望ましい。ただし、主軸方向が二以上であっても構わない。典型的には、一の主軸方向を有することが好ましく、このときの当該主軸方向は水平軸方向であることが望ましい。また、前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部は、平面であっても曲面であっても構わない。
本発明において、前記プリズム領域は、前記光軸に沿って前記プリズム領域の内部に入射した光が前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部のうちの少なくとも一方のプリズム出射面部で全反射するように構成されることが好ましい。特に、前記光軸に沿って前記プリズム領域の内部に入射した光が前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部で全反射するように構成されることが望ましい。ここで、前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部のうちの他方のプリズム出射面部により屈折して出射されることが望ましい。
本発明において、前記第1の光出射範囲は、前記光出射面の中央部において前記第2の光出射範囲に包囲された島状に構成されることが好ましい。この場合において、前記第1の光出射範囲は、前記中央部において単一の島状に形成されていてもよく、また、前記第1の光出射範囲は、複数の島状に形成されていてもよい。複数の島状に形成された第1の光出射範囲を備える場合には、これらの光出射範囲は主軸方向に配列されることが好ましい。ただし、当該主軸方向と交差する副軸方向に配列されても構わない。
本発明において、前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部の少なくとも一方の傾斜角が相互に異なる複数の前記プリズム領域を有することが好ましい。この場合には、上記傾斜角は、第1の配光分布に対応するように分布していればよい。ただし、特に限定されるものではないが、前記第1の光出射範囲において、前記主軸方向において前記光軸から離れるに従って前記プリズム領域の前記プリズム出射面部の傾斜が減少又は増大のいずれかに漸次変化することが望ましい。
本発明において、前記第1の光出射範囲は、前記光軸を通過する少なくとも一つの基準面に対して前記主軸方向に対称な構造を有することが好ましい。また、複数の前記第1の光出射範囲を備える場合には、前記第1の光出射範囲は、光軸を中心として前記主軸方向に対称な位置に配置されることが好ましい。
本発明において、前記第2の光出射範囲には、前記第2の配光分布をそれぞれが形成可能な複数のレンズ領域が配列されてなるレンズアレーが設けられることが好ましい。各レンズ領域は、特に限定されないが、光軸に沿った入射光を屈折させて前記第2の配光分布を形成するレンズ面を備える。ここで、レンズアレーとしては、上記レンズ面がトロイダル面であるレンズ領域が配列されてなるトロイダルレンズアレーであることが望ましい。特に、上記レンズ領域のレンズ面形状は、水平軸方向と垂直軸方向とに関して相互に異なる曲線形状を備えるトロイダル面であることが好ましい。このトロイダル面は、水平軸方向の曲線形状と垂直軸方向の曲線形状によって定まるレンズ面であって、水平軸方向の曲線形状(レンズ光軸とレンズ面の交点における曲率、コーニック係数、非線形定数、回転半径)と垂直軸方向の曲線形状(レンズ光軸とレンズ面の交点における曲率、コーニック係数、非線形定数、回転半径)の少なくとも一部が一致しないものをいう。また、上記トロイダル面は、後述するバイコーニックレンズの面形状である場合やバイコーニックゼルニケレンズの面形状である場合をも含む。
本発明において、前記光入射面上には、光源から放出される発散光束を集光平行化するためのコリメーターが形成されることが好ましい。特に、前記コリメーターは、軸対称性を備えたレンズ形状を有することが好ましい。特に、前記コリメーターは、フレネルレンズであることが好ましい。また、このフレネルレンズは、中央部が屈折型フレネルレンズ構造あるいは凸レンズ構造を備え、周縁部が反射型フレネルレンズ構造を備えることが望ましい。これによれば、入射角の大きい領域まで集光することができるので、発光素子の放出光を効率的に利用することができる。
次に、本発明の車両用灯具は、発光素子と、該発光素子の側に前記光入射面を向けた上記車両用灯具構成レンズと、を具備することを特徴とする。ここで、前記光入射面上には、光源から放出される発散光束を集光平行化するためのコリメーターが形成されることが好ましい。特に、前記コリメーターは、フレネルレンズ構造により構成されることが望ましい。
本発明において、上記発光素子は、例えば、発光ダイオードあるいはレーザ励起蛍光発光デバイスなどのインコヒーレント発光素子であることが好ましい。また、上記発光素子の発光部は、光軸周りに等方状の指向特性(例えば、実質的なランバーシアン型の配光特性)を備える点状光源であることが望ましい。また、上記発光素子の発光部は、前記コリメーターにより前記車両用灯具構成レンズの前記光入射面から前記光出射面に向かう平行光が生ずる位置(焦点位置)に配置されることが好ましい。ここで、点状光源とは、本発明に係るレンズの入射面に向けて発散光束を放出するとみなせるものを広く包含し、厳密には面状光源ではあるが発光領域の面積が小さく実質的に点状光源とみなせるものも含む。
この発明によれば、光軸周りの方位に関する偏り態様が相互に異なる、第1の光出射範囲により形成される第1の配光分布と第2の光出射範囲により形成される第2の配光分布とを重ねることによって、車両用灯具として要求される配光分布を容易に実現することができる。特に、偏りの大きな配光分布や極端な光度条件にも容易に対応することが可能になる。
第1実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面を模式的に示す平面図(a)、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)、及び、光出射面の形状を模式的に示す縦断面図(c)である。 第1実施形態の第1の光出射範囲の拡大断面図(a)及び第1の光出射範囲による出射光の光束の態様を示す説明図(b)である。 後退灯の光度の最小値(cd)を含む配光分布を示す図(a)、及び、制動灯の光度の最小値(%)を含む配光分布を示す図(b)である。 第1実施形態の第1の光出射範囲のプリズムアレーの構造例を示す断面図(a)、他の構造例を示す断面図(b)、及び、一つのプリズム領域の斜視図(c)である。 第1実施形態及び第2実施形態の光入射面にフレネルレンズ構造を形成した場合の平面図(a)及び横断面図(b)である。 上記レンズの出射面のレンズ領域のレンズ面形状の例を模式的に示す斜視図である。 レンズ領域のトロイダル面SU上の単位出射領域Sを示す平面図(a)、単位出射領域S(出射位置P)からデテクタ面DT上の単位入射領域S(入射位置P)へ向かう光線追跡の概念を示す説明図(b)、デテクタ面DT上の条件設定範囲SD内の単位入射領域Sを示す平面図(c)及び(d)である。 制動灯の配光表と条件設定範囲SDとの関係を示す説明図である。 上記レンズ領域の説明図である。 上記レンズの水平軸方向の配光分布を示すグラフ及び垂直軸方向の配光分布を示すグラフである。 第2実施形態の第1の光出射範囲12Pから出射される出射光EL′及びその光束の垂直軸方向の出射の向きをY方向に沿った断面図とともに示す説明図(a)及びX方向に沿った断面図(b)である。 第3実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面を模式的に示す平面図(a)、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)、及び、光出射面の形状を模式的に示す縦断面図(c)である。 第4実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面を模式的に示す平面図(a)、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)、及び、光出射面の形状を模式的に示す縦断面図(c)である。 第5実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面を模式的に示す平面図(a)、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)、及び、光出射面の形状を模式的に示す縦断面図(c)である。 第6実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面を模式的に示す平面図(a)、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)、及び、光出射面の形状を模式的に示す縦断面図(c)である。 第7実施形態の車両用灯具構成レンズの光出射面及びその配光分布を模式的に示す平面図(a)、及び、光出射面の形状を模式的に示す横断面図(b)である。 第3実施形態の試作品の水平軸方向の配光分布を示すグラフ(a)及び垂直軸方向の配光分布を示すグラフ(b)である。
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1乃至図5を参照して、本発明に係る第1実施形態の車両用灯具構成レンズ及び車両用灯具について説明する。図1に示すように、上記レンズ10は、表裏にそれぞれ光入射面11と光出射面12を具備する。図示のレンズは、LEDなどのインコヒーレントな半導体発光素子から放出される光を制御し、所要の配光分布及び配光範囲を実現するために必要なレンズ範囲を、独立したレンズ体として構成した場合を示す。ただし、後述するように、実際には、例えば、上記レンズ範囲を含むリアコンビネーションランプなどを構成する場合などにおいて、上記レンズ範囲を、上記レンズ範囲以外の実質的にレンズ作用に大きく寄与しない部分や他の灯具部分に対応する別のレンズ範囲と一体に構成されたものとしても構わない。また、車両用灯具構成レンズとは、車両用灯具を構成する光学要素としてのレンズを意味する。このとき、車両用灯具は、上記レンズの他に、光源(発光素子)、灯カバー、取付ベース、電源コネクタや配線コードなどを含むことができる。
本実施形態のレンズ10は、透光性素材からなる部分を有する。透光性素材としては、各種のガラスなど、特に限定されないが、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂材料で構成されることが好ましい。レンズ10の上記光入射面11には、図1に示す発光素子(例えば、発光ダイオード)1から放出される発散光束である入射光IL、若しくは、この入射光ILを図示しないコリメーターCOLにより集光して光軸10xに沿った平行光PLが入射する。上記コリメーターCOLは、レンズ10とは別体に設置されてもよく、また、図5に示すように、光入射面11自体に形成されていてもよい。この場合、光入射面11上にはフレネルレンズ構造を備えたコリメーターを形成することにより、レンズ10の薄型化を図ることができる。光出射面12からは出射光ELが出射する。
レンズ10は、発光素子1の発光部1aの光軸と一致する光軸10xを備える。光入射面11は、上述のコリメーターCOLを構成するフレネルレンズ構造を有する場合、図5に示すように、入射面領域11A,11Bを備えていることが好ましい。このフレネルレンズ構造の入射面領域11A,11Bは、上記光軸10xを中心とした軸対称(同心状)の光学面部分である。入射面領域11A,11Bは、発光素子1の上記発光部1aから放出される入射光ILを集光して上記光軸10xと平行に進む平行光PLをレンズ10の内部に形成する。なお、この平行光PLとは、厳密な意味での平行光ではなくてもよいが、光出射面12の出射光ELによって後述する所要の配光分布や配光範囲を得るのに支障のない程度に、すなわち、実質的に、光軸10xと平行に進む光をいう。この平行光PLはレンズ10の内部を光出射面12に向けて伝搬する。
上記のような光学特性を得るためには、発光素子1が実質的に点状光源とみなすことができる場合には、当該発光素子1は、上記コリメーターCOL又は上記フレネルレンズ構造の焦点位置に配置される。発光素子1は発光部1aから光軸10xを中心としたランバーシアン配光に近い指向特性を有するものであることが好ましい。ここで、ランバーシアン配光は、光軸10x上(θ=0°)の光度をIvとすると、角度θの光度がIv・cosθで示される配光分布である。このような素子としては、例えば、実装面とは反対側の発光部1aを備えるトップビュー型のLEDなどが挙げられる。発光素子1は、半導体により構成された発光領域を含むものが好ましい。また、発光素子1は、図示例のように、配線基板2上に実装されたチップ状に構成されることが望ましい。上記ランバーシアン配光に近い指向特性を得るためには、当該チップの上面に形成されるレンズ部の外面(出射面)は、平坦面であるか、或いは、半球面であることが好ましい。
図5に示すように、上記光入射面11の内周側に設けられたフレネルレンズ構造の入射面領域11Aは集光面として機能し、いわゆる屈折型レンズ構造を備える。すなわち、上記入射光ILは、入射面領域11Aにおいて、フレネルレンズ構造の入射面部11aにより屈折されてレンズ10の内部に入射し、上記平行光PLとなる。一方、外周側に設けられた上記フレネルレンズ構造の入射面領域11Bは、いわゆる反射型レンズ構造を備える。すなわち、上記入射光ILは、フレネルレンズ構造の入射面部11bにおいて屈折して内部へ入射し、その光がレンズ10の内部においてさらにフレネルレンズ構造の反射面部11cにおいて反射(全反射)されることにより、上記平行光PLとなる。このように構成することにより、入射面11のフレネルレンズ構造を厚くしなくても、高い入射角を有する外周側の入射光IL(高入射角の光)をも容易に取り込むことができる。ここで、入射面部11aは、光軸10xから離れるに従って漸次傾斜角が増大する。
上記光入射面11では、上記フレネルレンズ構造(入射面領域11A,11B)が光軸10xを中心に軸対称となるように形成されている。すなわち、図示例では、図5に示されるように、上記フレネルレンズ構造(入射面部11a、11b及び反射面部11c)は、光軸10xを中心とした同芯円状に構成される。これにより、光軸10xを中心とした指向特性を備える発光素子1(点状光源)の放出光を上記平行光PLとしてレンズ10の内部に効率よく取り込むことができる。上記入射面11の構造は、発光素子1の発光部1aからの放出光の指向特性が光軸10xの周りに等方状の(均等な、すなわち、軸対称の)配光分布を備える場合に特に好ましい。なお、上記フレネルレンズ構造は、入射面11の全体(全面)にわたって形成されることが、より多くの放出光を取り込むことができる上で望ましい。
一方、レンズ10の光出射面12には、図1に示すように、第1の配光分布を形成する第1の光出射範囲12Pと、第2の配光分布を形成する第2の光出射範囲12Tとが設けられる。第1の光出射範囲12Pでは、水平軸方向X、垂直軸方向Y、光軸10xに沿った方向を光軸方向Zとすると、水平軸方向Xに対して傾斜したプリズム出射面部12pe1、12pe2をそれぞれ備える複数のプリズム領域12prが設けられる。図示例では、複数のプリズム領域12prが水平軸方向Xに沿って配列されている。図示例では、プリズム領域12prは断面三角状の突部により構成されるが、これとは逆の凹部により構成されていてもよく、あるいはまた、プリズム出射面部12pe1,12pe2を曲面状に構成してもよい。図示例では、複数のプリズム領域12prは第1の光出射範囲12Pにおいて水平軸方向Xに連続して配列されることで、相互に密接した状態で配置されている。ここで、12ptはプリズム領域12prの頂部、12pvは隣接するプリズム領域12prの間の谷部である。なお、図1において、複数のプリズム領域12prは模式的に示されており、実際のプリズム領域12prの大きさや数を反映するものではない。この点は、後述する図12〜図16も同様である。
第1の光出射範囲12Pには、図2(a)に示すように、それぞれの第1のプリズム出射面部12pe1及び第2のプリズム出射面部12pe2の光軸10xに対する傾斜角が異なる複数のプリズム領域12prが設けられる。これによって、各プリズム領域12prの第1のプリズム出射面部12pe1及び第2のプリズム出射面部12pe2からそれぞれ出射する偏向光ELとELの出射角φ、φを分散させることができ、これによって水平軸方向Xに分散した第1の配光分布を形成することができる。なお、図2(a)では、図示の都合上、複数のプリズム領域12prから出射される出射光EL、ELがほぼ同じ出射角(方位角φa1、φa2)となるように表わされている。また、第1の光出射範囲12Pにおいて複数のプリズム領域12prが連続して配列されることにより、入射光(平行光PL)を無駄なく水平軸方向Xに分散させることができる。図示例では、二点鎖線で示す偏向光ELとELはいずれも水平軸方向Xの両側にそれぞれ傾斜した斜め横向きの出射光である。光軸10xに沿った平行光PLは、プリズム領域12prに入射することにより、水平軸方向Xの両側にある第1のプリズム出射面部12pe1と第2のプリズム出射面部12pe2のうちの一方のプリズム出射面部(図示例では12pe2)で全反射し、他方のプリズム出射面部(図示例では12pe1)で屈折して出射することにより、出射角φa1、φa2(図示例ではφa1)の偏向光EL及びEL(図示例ではEL)が形成される。実際には、プリズム領域12prごとに斜め横方向の光束Φ、Φが形成される。
本実施形態においては、後述するように、水平軸方向Xに対称な配光分布を形成するために、各プリズム領域12prを二等辺三角形状の断面を有するものとし、プリズム領域12pr内における一方のプリズム出射面部による全反射と他方のプリズム出射面部による屈折により偏向光EL及びELの出射角φa1とφa2が等しく、いずれもφであり、また、屈折率nのプリズム領域の底角ψとψも等しく、いずれもψであるものとし、第1のプリズム出射面部12pe1と第2のプリズム出射面部12pe2とがそれぞれ平坦面であるとする。この場合、水平軸方向Xの上記出射角(方位角)φは以下の(1)式で表わされる。
φ=ψ−Sin−1[−n・Sin(3ψ)]…(1)
したがって、出射角φを決めれば底角ψが定まる。また、プリズム領域12prの全高Hと底辺の幅dとは以下の(2)式で表わされるので、Hとdのいずれか一方を決めれば他方が定まる。
d=2Htan(π/2−ψ)…(2)
ここで、第1の配光分布を水平軸方向Xの左右に対称とする場合には、上記のように各プリズム領域12prの左右の底角ψが等しいことが好ましい。これは、光入射面11の側から入射する平行光PLの光度が一般的には均一でないため、なるべく近い位置に同じ底角を備える第1のプリズム出射面部12pe1と第2のプリズム出射面部12pe2を配置することにより、左右の光束ΦとΦの光度の差を低減できるからである。ただし、第1の配光分布に対称性が要求されない場合や他の設計寸法により補償する場合には、上記左右の底角が等しい必要はない。また、異なるプリズム領域の間で相互に等しい底角を有する逆傾斜のプリズム出射面部が形成されていてもよい。
また、図2(b)に示すように、複数のプリズム領域12prが連続して形成されている場合において、出射光ELが隣接するプリズム領域12prの上部に再入射しないようにするには、上記(1)式を用いると、以下の(3)式が成立する必要がある。ここで、或るプリズム領域12prの底角がψ、これに隣接するプリズム領域12prの底角がψとする。また、hは上記の或るプリズム領域12prのプリズム出射面部12peの出射光の最も低い出射高さ、Hは隣接するプリズム領域12prの全高である。なお、出射高さhより上の部分がプリズム領域12prのプリズム出射面部12peの光出射域である。この(3)式は、或るプリズム領域12prにおけるプリズム出射面部12peの最も低い場所で全反射し、反対側のプリズム出射面部12peから屈折して出射する出射光ELが、隣接するプリズム領域12prに入射するか否かを示す式である。
ψ−sin−1[−n・Sin(3ψ)]<ρ…(3)
ここで、ρは以下の(4)式で表わされる。
ρ=π/2
−tan−1[(H−h)/{Htan(π/2−ψ)+htan(π/2−ψ)}…(4)
ここで、或るプリズム領域12prにおいて、出射角φによってそれぞれ定まる底角ψと全高H(又は底辺の幅d)が決まれば、上記高さhも定まるので、隣接するプリズム領域12prの底角ψと全高Hの一方が決まっていれば、上記(3)式及び(4)式が成立する条件で他方が定まる。したがって、上記の条件(3)及び(4)を用いて、図2(a)に示すように、或るプリズム領域12prの第1のプリズム出射面部12pe1、第2のプリズム出射面部12pe2から出射される光束Φ、Φを、隣接するプリズム領域12prに入射されないように構成することができる。
本実施形態のように、出射光ELの全てが、各プリズム領域12prにおけるプリズム出射面部12peで全反射し、反対側のプリズム出射面部12peで屈折して出射するように構成することにより、各プリズム領域12prの出射光ELが他のプリズム領域12prに再入射しにくくなる。これは、全てのプリズム出射面部12peの底角ψを、入射光ILが集光されてなる平行光PLに対して全反射条件を満たすように設定することにより、出射光ELが各プリズム領域12prの頂点12ptに近い上部からだけ出射するように構成できるからである。スネルの法則を用いると、n>nが成立する条件下において、媒質Bから媒質Aに向けて進行する光について、全反射の臨界角θは、sinθ=n/n、すなわち、θ=sin−1(n/n)となる。ここで、nは空気の屈折率、nはレンズ10の屈折率である。したがって、プリズム出射面部12peに対する反射角θ(プリズム出射面部12peの垂線に対する入射光及び反射光の角度)が上記臨界角θより大きくなるように上記底角ψを設定すればよい。
図1及び図2に示すプリズム領域12prの配列態様はあくまでも模式的なものであり、実際には、図4(a)又は(b)に示すように、水平軸方向Xに沿って多数のプリズム領域12prが配列されるプリズムアレーが形成される。ここで、図4(a)は、複数のプリズム領域12prの底部(谷部12pv)をベースライン12Pb上に揃えた状態となるようにプリズムアレーを形成した例を示し、図4(b)は、複数のプリズム領域12prの頂部12ptを平坦なピークライン12Pp上に揃えた状態となるようにプリズムアレーを形成した例を示す。図4(c)は、各プリズム領域12prの形状を示す。プリズム領域12prは、水平軸方向Xに沿った幅d、垂直軸方向Yに沿った長さL、光軸方向Zに沿った高さHを有する。例えば、第1の光出射範囲12Pの水平軸方向の幅Wと垂直軸方向のLが共に6.82mmであるとき、幅dは120.14〜159.78μmの範囲で、Hは176.28〜159.77μmの範囲で、徐々に変化させ、出射角φの分布を形成することにより所定の第1の配光分布を形成する。図示例では、中央のプリズム領域12prの底角ψは大きく、水平軸方向Xの左右に進むに従ってそこに形成されているプリズム領域12prの底角ψが漸次小さくなるように構成される。ただし、これとは異なり、中央のプリズム領域12prの底角ψが小さく、左右に進むに従ってそこに形成されるプリズム領域12prの底角ψが大きくなるように構成してもよい。
複数のプリズム領域12prの配列構造は、本実施形態の場合、配光分布において水平軸方向Xの所定の角度範囲で要求される光度分布が実現するように構成されていればよい。例えば、水平軸方向Xの特定の角度の光度を実現するためのプリズム(少なくとも1個あればよいが、レンズ表面の位置で考えたときは光軸中心に光軸の左側及び右側に対称に同一形状のプリズムが存在するようにしたときには、プリズムは2個になる)の配設される位置は、均一照度の光がコリメータから入射してくる場合は原理的にはどの位置にあっても良い。このためプリズムの傾斜を漸次一方向に変化させていくようなことは必ずしも必要ではない。しかしながら、実際の入射光の照度分布は均一ではないので、レンズ設計の際には、入射光の照度分布を考慮して配光分布を適宜に修正していく必要があるため、その修正過程での複雑さを取り除くためには、上述のように各プリズム出射面部12peの傾斜が中央から周囲に向けて漸次一方向に変化するように構成することが好ましい。このようにすると、上記と同様に中央から周囲に向けて漸次減少していく入射光束の照度分布との関係で、設計時の状況をいたずらに複雑化させることがなくなることから、設計時において配光分布の調整を容易に行うことが可能になる。また、傾斜の変化方向が上記のように中央から周囲に向けた方向では必ずしもなくても、所定の方向に順次に傾斜が一方向に変化していくように構成することにより、第1の配光分布の出射角φに対応する範囲に寄与するプリズムアレーの範囲を特定しやすくなるため、レンズ設計時の光学調整を容易化することができる。
本実施形態の場合、図3(a)に示す後退灯の配光分布に対する最小値cdの分布条件を満たす配光分布Dを実現するために、第1の配光分布Dと、第2の配光分布Dとをそれぞれ形成し、これらを合成することにより上記配光分布Dが形成される。ここで、第1の配光分布Dは、上述のように第1の光出射範囲12Pによって形成し、第2の配光分布Dは、第2の光出射範囲12Tによって形成する。ここで、図3(a)に示すように、第1の配光分布Dは、第2の配光分布Dと比べると、水平軸方向Xに沿って広角の光度分布を備えたものである。一方、第2の配光分布Dは、第1の配光分布Dと比べると、垂直軸方向Yに沿って広角の光度分布を備えたものである。このように、第1の配光分布Dと第2の配光分布Dは、相互に光軸10xの周りの方位に関する偏り態様が異なるものとなる。本実施形態では、第1の配光分布Dは、水平軸方向Xに沿った方位角(azimuth)φの広範囲に高い光度を配光させた分布態様であり、この水平軸方向Xが最も配光範囲が広い主軸方向となっている。一方、第2の配光分布Dは、第1の配光分布Dに比べると、垂直軸方向Yに沿った極角(polar angle、仰角、伏角ともいう。)φの広範囲に高い光度を配光させた分布態様であり、この垂直軸方向Yが副軸方向となっている。そして、第1の配光分布Dと第2の配光分布Dを合成したレンズ10全体による配光分布Dでは、上記の主軸方向(水平軸方向X)と上記幅軸方向(垂直軸方向Y)を比べると、主軸方向の光度が相対的により広い角度範囲に広がるとともに、方位角φは同等の角度値では極角φよりも高い光度を示すように設定される。
第1の配光分布Dを形成するためには、少なくとも、第2の配光分布Dによる影響が少ない方位角φの範囲、例えば、方位角φが15〜45度の角度範囲において、十分な光度をもたらすように、上記第1の光出射範囲12P内の複数のプリズム領域12prを設計する。方位角φの上記範囲に出射される出射光ELを形成するために、各プリズム領域12pr毎の上記底角ψを少しずつずらしながら設定する。例えば、上記図4に示す例では、上記角度範囲の左右の片側約30度の領域をそれぞれ54個のプリズム領域12prで、各々のプリズム領域12prが平均0.6度の範囲をそれぞれ受け持つように設計している。このとき、各プリズム領域12prの或る方位角φに出射される出射光ELの光度を調整するには、上記底辺の幅dの調整(これにより上記高さHも変わるので、上記平行光PLの入射面積及び出射光ELの出射面積が変わる。)を行えばよい。また、特定のプリズム領域12prの底角ψ自体を変更することで、結果として或る方位角φの光度を変更することもできる。なお、光度の調整範囲が大きすぎることにより対応するプリズム領域12prの全高Hの変化が大きすぎ、上述の隣接するプリズム領域12prとの間の出射光ELの相互の再入射を避けることができなくなる場合には、底角ψや方位角φの間隔を変更したり、同じ底角ψや方位角φのプリズム領域12prを複数形成することも可能である。
ところで、第1の配光分布Dを調整する方法の一例として、プリズム領域12prのそれぞれのプリズム出射面部12peの光出射域の面積を変更することができる。この場合において、上述のように、発光素子1から放出される入射光の照度は、第1の光出射範囲12P内の位置によって異なり、例えば、典型的には、入射光IL(平行光PL)は、光軸10xから外周側へ離れるほど低下していく照度分布を有する。このような入射光の照度の相違による第1の配光分布への影響を回避する方法としては、複数のプリズム領域12prのプリズム出射面部12peの光出射域の面積の分布を、第1の光出射範囲12P内の照度分布と逆の相関を有する態様で設定することが挙げられる。
また、図3(a)を見れば明らかであるように、後退灯の配光分布Dは方位角φに関して左右対称であるので、各プリズム領域12prの左右のプリズム出射面部12peも同じ底角ψを備えた対称形状とした。その理由は前述の通りである。さらに、上記第1の光出射範囲12P内に入射する入射光ILの照度は基本的に均一ではなく、これをコリメーターによって集光平行化した平行光PLの照度も外周側ほど小さくなるため、このような入射光束の照度分布を前提としつつ、各方位角φの微小範囲Δφにおけるプリズム出射面部12peの出射光ELの量を調整する必要がある。例えば、出射光ELの不足する方位角φの微小範囲Δφにおいては、対応するプリズム領域12prの全高H又は底辺の幅dを増大させたり、或いは、対応するプリズム領域12prの数を増加させたり(2以上のプリズム領域12prを形成したり)する。なお、方位角φに関して左右対称な配光分布Dを得るためには、第1の光出射範囲12P内の複数のプリズム領域12prの構造も左右対称に形成することが望ましい。すなわち、図1に模式的に示す第1の光出射範囲12Pでは、中心のプリズム領域12prの左右両側に、相互に同じ底角ψをそれぞれ備えたプリズム領域12prを同じ順序で左右に配列させていくことが望ましい。このとき、各プリズム領域12prの左右のプリズム出射面部12peが左右対称でない場合(左右の底角φが異なる場合)には、その左右のプリズム出射面部12peのそれぞれの位置も中心のプリズム領域12prの左右に対称となるように配置することがより望ましい。
一方、第2の光出射範囲12Tには、複数のレンズ領域12rs,12rs′が配置され、レンズアレーを構成している。図示例では、複数のレンズ領域12rs,12rs′は、相互に連続して配置されている。特に、これらは縦横に配列されている点で特徴的である。また、複数のレンズ領域12rs,12rs′は、それぞれが相互に同等のレンズ面を備えるように構成されている。さらに、複数のレンズ領域12rs,12rs′は、それぞれがトロイダルレンズ面を有するように構成される。ただし、本発明においては、各レンズ領域12rs,12rs′はトロイダルレンズ面に限定されず、種々のレンズ面で構成できる。ここで、これらのレンズ領域12rs,12rs′は、上述のプリズム領域12prとは異なり、入射光ILに基づく平行光PLを屈折させるだけで出射し、所定の配光分布を実現する。したがって、第2の光出射範囲12Tの構造は、このような屈折作用による所定の配光分布の形成に資するものであればよく、上述のように相互に同じレンズ面である必要はなく、また、複数のレンズ領域12rsが連続して配列されている必要もない。
図示例において、第2の光出射範囲12Tでは、相互に同等の配光分布を形成する複数のレンズ領域12rsが設けられている。また、複数のレンズ領域12rsは、図示例では、相互に同一のレンズ面形状を備えるとともに相互に同一の領域の平面形状を備えている。ただし、複数のレンズ領域12rsは、相互に異なるレンズ面形状及び領域の平面形状を備えていてもよい。これは、領域の平面形状が異なる場合(形状そのものが異なる場合だけでなく、相似形であるが大きさが異なる場合も含む。)には、相互に同等の第1の配光分布を形成するためにレンズ面形状も異なるもの(形状そのものが異なる場合だけでなく、相似形であるが大きさが異なる場合も含む。)となることが多いためである。第2の光出射範囲12Tによって形成される第2の配光分布Dの例としては、図3(b)に示すように、制動灯の配光分布を充足するような光出射特性を示すレンズ面が挙げられる。以下、このようなレンズ面を備えたレンズ領域12rsを形成する場合について説明する。
上記のレンズ領域12rs及び部分レンズ領域12rs′は、第1の光出射範囲12Pの周囲において平面充填性を満たす態様で、言い換えれば隙間なく、配列されている。図示例では、正方形状のレンズ領域12rsが縦横にマトリクス状に隙間なく配列されている。光出射面12において、第2の光出射範囲12Tでは、内周側に上記レンズ領域12rsが配列され、外周側に部分レンズ領域12rs′が配列されている。ここで、部分レンズ領域12rs′とは、所定の配列態様でレンズ領域12rsとともに配列されたときにレンズ10のレンズ面範囲の外縁によってレンズ領域12rsの平面範囲の外周側の一部分が除去された形状を備える領域をいう。図示例では、レンズ10のレンズ面範囲は、光軸10xを中心とする円形となっている。ここで、レンズ領域12rsの領域の平面形状は正方形である必要はなく、長方形であってもよく、他の形状であっても構わない。ただし、上記領域の平面形状は平面充填性を有する形状であることが好ましい。また、複数のレンズ領域12rs(領域の平面形状)の間やそれらの外周側に上記レンズ領域12rsや部分レンズ領域12rs′のレンズ面(図示例ではトロイダル面)のない領域が存在しても構わない。
上記レンズ領域12rsのレンズ面形状は、レンズ10の内部に入射した光が平行光PLとなることを前提に、平行光PLを所要の配光分布を満たすように定められたトロイダル面(トーリック面)となっている。図6には、本実施形態において定めるトロイダル面の形状を模式的に示す。ここで、一般にトロイダル面とは、図6に示すように、x軸方向(水平軸方向、左右方向、或いは、方位角方向)と、y軸方向(垂直軸方向、上下方向、或いは、仰俯角)の光軸とレンズ面との交点における曲率が異なる面を言う。本発明において、トロイダル面とは、水平軸方向の曲線形状と垂直軸方向の曲線形状によって定まるレンズ面であって、水平軸方向の曲線形状(レンズ光軸とレンズ面の交点における曲率、コーニック係数、非線形定数、回転半径)と垂直軸方向の曲線形状(レンズ光軸とレンズ面の交点における曲率、コーニック係数、非線形定数、回転半径)の少なくとも一部が一致しないものをいう。本実施形態では、x軸方向に沿った面形状(曲線形状)は、そのサグ量がコーニック係数ka、光軸10x上の曲率ca、2次、4次、6次及び8次の非線形定数αa1〜αa4によって定められる非球面状(非円弧状)であり、y軸方向に沿った面形状(曲線形状)は、回転半径Rの円筒に沿った球面状(円弧状)としている。また、z軸方向を光の入射方向(光軸10xと平行な方向)に一致させると、トロイダル面は以下の数1の式により表わされる。ここで、図6の点Oの座標を{0,0,0}とし、点Pの座標を{x,0,z}、点Sの座標を{0,y,z}、点Tの座標を{x,y,z}とすると、x=x、y=yとなる。このとき、上記点Oを基準とし、この点Oに対してx軸に沿った方向にある点Pのz座標であるサグ量z(x)は以下の数2の式により表わされる。
Figure 2020035706
Figure 2020035706
ここで、上記レンズ領域12rsの領域の平面形状を一辺2Lの正方形とすると、当該領域のサグ量によって決まるトロイダル面の厚みLは、以下の数3の式によって表わされる。ここで、点Pのz座標であるzは数4の式により表わされる。
Figure 2020035706
Figure 2020035706
次に、光軸10xに平行な光PLがトロイダル面上の或る点(x,y)に入射した場合には、この点(x,y)からの出射光ELの方位角φa及び極角φと出射光ELの方向余弦{l,m,n}との関係は以下の数5及び数6の式になる。
Figure 2020035706
Figure 2020035706
ここで、ninを、入射光側の屈折率、すなわち、図示例ではレンズ10の屈折率とし、出射側の屈折率(空気)を1とすると、トロイダル面f(x,y)のx方向とy方向の偏微分f(x、y)とf(x,y)はそれぞれ以下の数7、数8で示されるものとする。ただし、数7中の偏微分項は数9で表わされる。このとき、以下の数10、数11が成立する。
Figure 2020035706
Figure 2020035706
Figure 2020035706
Figure 2020035706
Figure 2020035706
図7に示すように、レンズ領域12rsのトロイダル面SUにおいて、光軸10xに直交する断面の微小領域(一辺の長さdl)内に入射してなる均等密度の入射光束Φdl (入射光IL)が平行光PLとなった場合に、この平行光PLが上記微小領域に対応する単位出射領域S内のレンズ面によって屈折し、出射光ELが形成されるとする。この出射光ELは、距離Dだけ離れたデテクタ面DT上の条件設定範囲SDに入射する。このとき、入射光束Φdl は、上記トロイダル面SUの単位出射領域S内において、それぞれの方位に向けて出射する。ここで、入射光束内の中心光線は、トロイダル面SU上の上記単位出射領域Sの中央点(出射位置)P(x,y)から出射する。そして、上記単位出射領域S内にN個(i=1〜N)の位置P1〜P16(N=16の場合の例を図7(a)に示してある。)を設定し、それぞれの位置に入射した平行光PLがどの方位に向かうかを検討する。ここで、図7(b)の中央の上の図において、紙面は水平断面とし、左右にあるトロイダル面SUと条件設定範囲SDの平面図は、光軸と直交する平面形状を示すものとする。
レンズ領域12rsに入射した平行光は、上記単位出射領域S内のレンズ面で屈折され出射した後、デテクタ面DT上の条件設定範囲SD内の単位入射領域Sに入射する。このとき、中心光線は、単位入射領域Sの中央点(入射位置)P(x,y)に入射する。この単位入射領域Sは図7(c)又は(d)で示されている。ここで、図7(c)は光学系に収差やスキュー等がないとした場合、図7(d)は収差やスキュー等を考慮した場合を示す。単位出射領域Sと、これに対応する単位入射領域Sにおいては、上記Nを大きくするほど正確な値を求めることができる。しかし、簡略化のためにN=4(i=1〜4)、すなわち、上記単位入射領域S内の四点、P3(x+0.5d,y)、P11(x−0.5d,y)、P15(x,y+0.5d)、P7(x,y−0.5d)を考える。このとき、0.5d=dxとすれば、上記入射光束Φdl のうち、方向余弦{l,m,n}あるいは方位角φauと極角φpuで定められる方位へ出射する光の単位立体角当りの光束(光度)は、以下の数12の式で表わされる。ここで、数12の式の二行目及び三行目は形状に関する項であり、四行目は角度に関する項である。ここで、φauとφpuは、それぞれ、点P(x,y)における出射光の方位角φaと極角φである。
Figure 2020035706
上記式をさらに一般化するために、図9に示すように、水平軸方向xの幅2Laと垂直軸方向yの幅2Lのトロイダル面SUを備えるレンズ領域12rsを考える。このトロイダル面SU内の特定の点Pの位置座標(x,y)に配置された上記の水平軸方向xの幅2dxと垂直軸方向yの幅2dyの微小な単位出射領域Sを基準にすると、この単位出射領域Sから方位角φau、極角φpuへ向けて出射する光の光度Iは以下の数13に示す式となる。ここで、上記数12の式との関係において、Φd =Φ×2dx×2dyとしている。
Figure 2020035706
上記数13の式は、一つのレンズ領域12rsにおいて、均等密度の平行光束が入射したトロイダル面SUから出射した光がデテクタ面DT上の条件設定範囲SD内に投影される場合について、トロイダル面SU上の点P(x,y)を中心に配置される単位出射領域Sから方位{φau、φpu}へ向かい、点P(x、y)を中心とする単位入射領域Sに入射するときの光の光度Iを示す。このとき、トロイダル面SU内の点(出射位置)P(x,y)と、条件設定範囲SD内の点(入射位置)P(x,y)は1対1に対応していると考える。
図8には、車両用灯具の一例としての制動灯の配光分布を示す配光表を示す。この配光表は、制動灯の技術基準(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示[2017.10.10]別添70)において、別紙2として添付されており、この配光表を用いた光度条件は、上記技術基準の4.2(1)に記載されている。すなわち、当該配光表を用いた光度条件は、上記配光表内に示される光度基準値(100、90、70、35、20、10)が記載された方位角度において、光度を、上記技術基準の4.1に定められた最低光度値に上記光度基準値を乗算した値以上とするというものである。この条件を以下単に基本条件という。この配光表の光度基準値が記載された方位角度は、デテクタ面DT上のサンプリングポイントS1〜S7に相当する。ここで、上記光度基準値は配光表内の17か所に示されているが、それらの値は、水平軸方向xと垂直軸方向yの双方において他方の軸(y軸及びx軸)に対してそれぞれ対称の位置に対称の数値を示すため、トロイダル面SUのレンズ面形状もまた水平軸方向xと垂直軸方向yの双方において他方の軸に対して対称であるとする。これにより、基本条件としては、第一象限のサンプリングポイントS1〜S7のみを条件として用いればよいことになる。そして、上記数値が決められている矩形範囲を上記単位入射領域Sの集合によって形成される条件設定範囲SDとする。ここで、条件設定範囲SDは、図示例のように、例えば、上記最外周のサンプリングポイントS6とS7上を通過する縦辺と横辺を有する矩形状に設定することができる。このとき、条件設定範囲SDは、光軸10xを中心として、水平軸方向と垂直軸方向のそれぞれに対称な領域(広がり)を備える。
一方、図9は、前述のように、上記基本条件を満たす配光分布に対応するトロイダル面SUの例を示す。ここで、レンズ領域12rsの水平軸方向xの幅2Laと、垂直軸方向yの幅2Lは、図示例ではLa≠Lとし、当該領域出射範囲SUの形状を長方形としている。ただし、一般的には、図7に示すようにLa=Lである正方形であっても構わない。このとき、トロイダル面SU上には、上記条件設定範囲SD上のサンプリングポイントS1〜S7に対応する対応ポイントT1〜T7が存在すると考える。ここで、サンプリングポイントS1〜S7の座標を(xd1、yd1)〜(xd7,yd7)とし、対応ポイントT1〜T7の座標を(xu1、yu1)〜(xu7,yu7)とする。この場合、上記平行光PLが対応ポイントT1〜T7の各点で屈折して所定の方位に出射した光が上記サンプリングポイントS1〜S7の各点にそれぞれ入射すると仮定する。なお、本実施形態では、対応ポイントT1(0,0)から出射した光は方位角と極角がいずれも0の光軸方向(中心軸に沿って)に進行し、サンプリングポイントS1(0,0)に入射すると設定する。
図8の配光表に示されるサンプリングポイントS1〜S7の条件を満たす配光分布を上記デテクタ面DT上の条件設定範囲SD内で実現するように、図9のトロイダル面SUを設計するために必要な定数と、その設定例を以下の表1に示す。ここで、レンズ10の外形寸法BLは、BL=15mmとしている。
Figure 2020035706
また、未知数であるレンズの形状パラメータを表2に示す。ここで、トロイダル面SUにおいて水平軸方向xに沿った曲線形状を、曲率ca、コーニック係数ka、非線形定数αa1〜αa6により定まる非円弧状としている。さらに、垂直軸方向yに沿った曲線形状は上記曲率半径Rのみで定まる円弧状としている。ここで、対応ポイントT1〜T7の座標については、上記条件設定範囲SDの矩形範囲の外縁上にサンプリングポイントS6,S7が配置されるのに対応させて、トロイダル面SUの矩形範囲の外縁上に対応ポイントT6,T7が配置される(yu6=La、xu7=L)とした。
Figure 2020035706
サンプリングポイントS2〜S7に対応する方位(φa2、φp2)〜(φa7、φp7)の値、並びに、サンプリングポイントS2〜S7の光度とサンプリングポイントS1の光度(これは上記数13の式により得られる。)の比率Iu2/Iu1〜Iu7/Iu1を、それぞれ、上記配光表の光度基準値に対応したものとすることにより、トロイダル面SUを求めるための条件を示す方程式を以下の表3に示す。これらの18個の方程式を解くことにより、表2に示す18個の未知数を求めることができる。これにより、レンズ領域12rsのトロイダル面SUを決定することができる。このようにして設計されたトロイダル面SUは、光軸10xに沿った平行光PLを屈折させて、上記基本条件を充足する所要の配光分布を実現する。
なお、上記基本条件を充足する構成としては、上記光度の比率Iu2/Iu1〜Iu7/Iu1を上記のように光度基準値間の比率と同じにする場合に限らず、これとは異なる比率とした種々の場合が考えられる。したがって、本発明においては、上記光度の比率(すなわち、本実施形態では表3に示す方程式3、6、9、12、15、18の値)が実質的に同等と考えられれば、相互に同等の配光分布を有することとする。また、上記基本条件には、最大光度の条件(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示[207.10.10]別添70(制動灯の技術基準の4.配光特性の4.1.、4.2.二)や条件設定範囲SD内においてむらがないという条件(別紙2の配光特性測定方法の1.測定方法の1.5.)も含まれるため、上記光度の比率を上記光度基準値間の比率に一致させることが基本条件を満たすための設計を最も容易化するものと考えられる。
Figure 2020035706
なお、これらの方程式は非線形連立方程式であるが、その解は数値計算により求めることができる。レンズの形状が互いに相似形であるものは同じ配光分布になるので上記非線形連立方程式の解は非常に多い。しかしサンプリングポイントS7に対応する対応ポイントT7のy座標、及びサンプリングポイントS6に対応する対応ポイントT6のx座標は、それぞれの仰角、方位角から考えてレンズの外縁に近い位置に存在するはずである。従ってこれらの座標をレンズ領域12rsの領域平面形状の縦横の寸法(一般にこのレンズ外形は仕様として与えられる)近傍に限定して解を求めることにより、多数の解の中から、外形寸法仕様をクリアしかつ配光分布に関する技術規準をクリアした解を選ぶことができる。これによりレンズ設計が可能になる。なお、このレンズ形状決定の方法は従来の何百万本の光線をトレイスして配光分布を確認し最適設計をおこないレンズ形状を決定する方法より高速にレンズ形状を決定できる。
本実施形態では、複数のレンズ領域12rsの全てに、上述のように設計したトロイダル面SUのレンズ面形状を採用している。したがって、全てのレンズ領域12rsは、相互に同一のレンズ面形状及び領域の平面形状を備える。この場合には、複数のレンズ領域12rsの配光分布は、それぞれ、各領域の平面形状の中心軸を中心とした同等の配光分布を備える。すなわち、所定の投影面(デテクタ面DT)上においては、各配光分布は、厳密には、各領域の平面形状の中心軸の位置関係だけずれた分布を形成する。しかしながら、隣接するレンズ領域12rsの上記中心軸の間の距離(1.35mm)は、レンズ10とデテクタ面DTとの間の上記距離D(=3000mm)に比べて極めて小さいため、当該中心軸の間の距離分のずれはほとんど影響しない。
なお、複数のレンズ領域12rsの間において、相互に同等の基本条件で同等の配光分布を形成するように設計する場合でも、特に、相互に同一の領域の平面形状を備えるように設計するときであっても、複数のレンズ領域12rsのレンズ面形状が相互に完全に同一ではないこともある。例えば、複数のレンズ領域12rsのそれぞれの同等の配光分布が、光軸10xを相互に一致する共通の中心とする配光分布として設計される場合である。この場合には、上記レンズアレーの内周側に配置されるレンズ領域12rs(つまり、光軸10xに近い位置に配置される場合)であっても、光軸10xから離れたところに配置されるレンズ領域12rsであっても、その配光分布はいずれも光軸を中心とする同等の配光分布となるように設計される。この場合には、結果として、レンズ領域12rsは、光軸10xからの距離や方位に応じて相互に異なるレンズ面形状を備えることになる。この場合には、光軸10xからの距離と方位の少なくとも一方が異なるレンズ領域12rs同士では、それぞれ別々にトロイダル面の設計を行う必要がある。
また、トロイダル面SUを設計する場合には、光軸を基準とする入射角θに依存する光束の密度分布を考慮することが望ましい。点状光源からの放出光分布をランバーシアン分布であると仮定し、放出光の全光束をΦtotすると、光軸上の前記コリメーターの焦点位置にある点状光源から光軸上の距離dにある入射面11上の一辺dの微小矩形面積を通過する光束Fは、以下の数14で示される。このように光束密度が入射角θについてcosθの4乗に比例することを前提として、レンズアレー内の各レンズ領域12rsにあるトロイダル面SUを設計することにより、より確実に高精度の配光分布を実現できる。すなわち、上記数13のΦをcosθの4乗に比例する変数として扱う。具体的には、例えば、対応ポイントT1の座標位置((x,y)、各領域の中心軸上の位置)を基準とする各対応ポイントT2〜T7の座標位置(x,y)〜(x,y)における光度の比率を示す方程式(上記表3の方程式3、6、9、12、15,18)において、当該光度の比率を、対応ポイントT1の座標位置(x,y)と各対応ポイントT2〜T7の座標位置(x,y)〜(x,y)のそれぞれの入射角θの4乗の比率を上記光度の比率に乗算した式に置換してもよい。このことは、前述の実施形態のような各レンズ領域12rsによって形成される個々の配光分布が各領域の中心軸(対応ポイントT1)を分布中心の基準として設計される場合と、個々の配光分布がレンズの光軸10xを共通の分布中心となるように設計される場合とのいずれにおいても、同様である。いずれの場合でも、各レンズ領域12rs内の入射角θに応じた各領域内の光束の密度分布を設定し、この分布を前提としてトロイダル面SUを設計する。
Figure 2020035706
さらに、入射面11のコリメーター構造は、表1に示すように、トロイダル面SUの領域の平面形状が一辺1.35mmの正方形であることから、各レンズ領域12rsの領域面積に対する光学的影響を考慮して、コリメーター構造の上記入射面領域11A及び入射面領域11Bのフレネル構造の周期を設定している。特に、屈折型フレネル構造を有する入射面領域11Aでは上記周期は400μm、反射型フレネル構造を有する入射面領域11Bでは100μmとしている。これは、フレネル構造の周期を大きくすると、入射面部11a,11bの間の段差面では離型を可能にするための抜き勾配を大きく設ける必要が生ずるために、段差面の近傍で生ずる入射光ILが入射しない範囲が大きくなるとともに、大きくなったフレネル構造の周期内における集光方向のずれが大きくなることから周期方向の位置により平行光PLの平行度が変化し、特に平行度が悪化する。したがって、各レンズ領域12rsに対する上記理由による配光分布への影響を低減する上でも、或る程度フレネル構造の周期をレンズ領域12rsの領域寸法に対して小さくする必要がある。一方、フレネル構造の周期を小さくしすぎると、製造が困難になるとともに、レンズ面精度も低下しやすくなり、集光精度や集光効率が悪化する。このために、上記周期FLは、入射面領域11Aにおいて、レンズ領域12rsの寸法(直径や一辺の長さ)SL(本実施形態ではSL=1.35mm)に対して、1/2〜1/15の範囲内であることが好ましく、1/3〜1/10の範囲内であることが望ましい。また、上記周期FLは、入射面領域11Bにおいて、上記寸法SLに対して、1/5〜1/20の範囲内であることが好ましく、1/10〜1/15の範囲内であることが望ましい。
さらに、出射面12のレンズ領域12rs及び部分レンズ領域12rs′が配列したレンズアレーの寸法(直径や一辺の長さ)AL(本実施形態ではAL=14.3mm)に対して、レンズ領域12rsの寸法(直径や一辺の長さ)SL(本実施形態ではSL=1.35mm)は、1/3〜1/30の範囲内であることが好ましく、1/5〜1/20の範囲内であることが望ましく、特に、1/7〜1/15の範囲内であることが望ましい。これは、寸法SLが寸法ALに対して小さくなりすぎると、レンズ面精度や配光効率が低下することによりレンズアレー構造による配光分布の誤差が大きくなるからである。逆に、寸法SLが寸法ALに対して大きくなりすぎると、レンズアレー構造としたときの薄型化の効果が得られにくくなり、後述するランプ不良率の改善効果が減殺される。また、上記の範囲であれば、トロイダル面SUのサイズが相対的に小さいことから、コリメーター構造が透視されることにより、目立ったり外観の均質性が低下したりすることもない。
なお、上記のトロイダル面の設計方法は一例であり、上記のように所望の配光分布を実現することのできる各種の方法で上記レンズ領域12rsの光学面を設計することができる。この場合、当該トロイダル面SUへ入射する光が平行光であるため、いずれの方法を採用した場合でも、容易に設計することができる。上記のようにトロイダル面SUを設計し、図1に示すように、レンズ10において、相互に同等の配光分布を形成するトロイダル面SUを備える複数のレンズ領域12rsを配列させると、レンズ10の直径BLが上記距離Dより十分に小さければ、単一の大きなトロイダル面SUが形成されたレンズと同等の配光分布を実現することができる。
以上のように、本実施形態では、第1の光出射範囲12Pに複数のプリズム領域12prを連続して配置することにより、光の利用効率を確保しつつ、特定の主軸方向に広角の光度分布を呈する第1の配光分布Dを容易に形成することができるとともに、第2の光出射範囲12Tに設けた複数のレンズ領域12rsによって上記第1の配光分布Dとは光軸10xの周りの方位に関して異なる偏り態様を呈する第2の配光分布Dを形成することができる。したがって、上記第1の配光分布Dと第2の配光分布Dを合成することにより、車両用灯具として要求される配光分布Dを容易に実現することができる。特に、偏りの大きな配光分布や極端な光度条件にも容易に対応することが可能になる。この場合において、第1の配光分布Dにおいては上記主軸方向(水平軸方向X)に広角の光度分布を呈するとともに、上記第2の配光分布Dにおいては、第1の配光分布Dと比べて、上記主軸方向と交差する上記副軸方向(垂直軸方向Y)に広角の光度分布を呈する。このような相互に交差する異なる方位に偏りを呈する二つの配光分布DとDを合成することにより、レンズ構造の複雑化を抑制しつつ、要求される配光分布Dを柔軟に実現できる。
特に、第1実施形態では、第1の光出射範囲12Pを光出射面12の中央に配置し、その周囲に第2の光出射範囲12Tを配置することにより、コリメーターCOLの有無に限らず、光源の照度の高い領域に複数のプリズム領域12prを配置することができるので、プリズムアレーによる第1の配光分布Dの光度を高めることができる。
次に、図11を参照して、本発明に係る第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1実施形態で説明した第1の光出射範囲12Pに設けた複数のプリズム領域12prを、垂直軸方向Yに沿って傾斜させた状態で形成した。ここで、本実施形態の第1の光出射範囲12Pは、図4(a)に示すベースライン12Pbに沿ってプリズムアレーを形成する場合には、第1実施形態の第1の光出射範囲12P(図示点線)に対して上記ベースライン12Pbを傾斜角θだけ傾斜させて形成する。また、図4(b)に示すピークライン12Ppに沿ってプリズムアレーを形成する場合には、第1実施形態の第1の光出射範囲12P(図示点線)に対して上記ピークライン12Ppを傾斜角θだけ傾斜させて形成する。このように構成することにより、第1の光出射範囲12Pから出射される光束Φは、光軸10xに対して垂直軸方向Yに傾斜角φだけ傾斜する方向に向かう。ここで、光束Φの光軸10xに対する傾斜角をφとすると、φ=θ−sin−1[nsinθ]となる。このようにして光束Φの傾斜角φを適宜に設定することにより、第1の配光分布Dを垂直軸方向Yに容易に調整することができるので、第2の配光分布Dとの合成により生成される配光分布Dの垂直軸方向Yの分布態様をさらに容易に設定可能となる。
次に、図12を参照して、本発明に係る第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、図12に示すように、第1の光出射範囲12Pにおいて、相互に同等形状を備える二つのプリズム領域12prの間の谷部12pvが垂直軸方向Yに沿って伸びる谷線が中心の光軸10xを通過するように構成される。そして、第1の光出射範囲12Pでは、複数のプリズム領域12prが上記谷線を中心に水平軸方向Xの左右に対称に形成される。このように構成することにより、主軸方向に対称な第1の配光分布Dを形成する場合において、同じ底角ψを備える(したがって同じ光出射角φを備える)プリズム領域12prが左右対称の位置に配置されることから、プリズム領域12prのパラメータを変更したときの配光分布の変化が予想し易くなるため、配光分布の調整を容易に行うことができる。この場合に、第1実施形態と同様に、底角ψ若しくは光出射角φを中心側から周辺側へ向けて漸次一方向に変化させることにより、さらに配光分布の設計が容易化される。
次に、図13を参照して、本発明に係る第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、図13に示すように、第1の光出射範囲として、二つの第1の光出射範囲12Pと12Pとが設けられる。ここで、第1の光出射範囲12Pと12Pとの間には、第2の光出射範囲12Tの一部、すなわち、上述のレンズ領域12rsが配置されている。本実施形態では、第1の光出射範囲12Pと12Pとは、光軸10xを中心に主軸方向(水平軸方向X)に左右対称の範囲にそれぞれ形成される。また、第1の光出射範囲12Pと12Pとは、光軸10xを中心に主軸方向(水平軸方向X)において左右対称の構造となるように形成される。さらに、第1の光出射範囲12Pと12Pとは、光出射面12の中央部の両側にそれぞれ配置される。このように構成すると、左右対称に近い配光分布Dを形成する場合に上述の理由により有利になるとともに、光出射面12の中央部に第1の光出射範囲が配置されないことから、配光分布Dにおいて、方位角φの方向(水平軸方向X)と極角φの方向(垂直軸方向Y)のいずれの分布態様においても中央部の光度を相対的に大きくしやすくなる。なお、第1の光出射範囲12Pの対称性による設計の容易化等については、上記第3実施形態と同様である。
次に、図14を参照して、本発明に係る第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、図14に示すように、上記第3実施形態と同様の平面配置となる第1の光出射範囲12Pを、副軸方向(垂直軸方向Y)に沿って凸曲面状(例えば円弧状)に構成したものである。すなわち、複数のプリズム領域12prを、それぞれ垂直軸方向Yに沿って伸びる頂部12ptと谷部12pvがいずれも凸曲線(例えば円弧)になるように、それぞれ形成している。これにより、第1の光出射範囲12Pにおける極角φに対する出射角の分布態様を強調し、副軸方向(垂直軸方向Y)に沿った光度分布の偏りを強く形成することができる。このため、特に、全体の配光分布Dにおいて、第1の配光分布Dの影響が大きい主軸方向(水平軸方向X)の高角度領域(例えば、15°≦φ≦45°)における副軸方向(垂直軸方向Y)の光度分布を調整する場合に有効である。また、上記凸曲線状の曲率の態様は、各プリズム領域12pr毎に設定してもよく、このようにすると、さらに第1の配光分布Dを詳細に設定できる。なお、このような副軸方向に沿った凸曲線状の構成は、本実施形態のような第3実施形態に基づくものに限らず、第1実施形態、第2実施形態、及び、第4実施形態にも同様に採用することができる。
次に、図15を参照して、本発明に係る第6実施形態について説明する。この第6実施形態では、図15に示すように、上記第3実施形態と同様の平面配置となる第1の光出射範囲12Pを、副軸方向(垂直軸方向Y)に沿って山状(例えば二等辺三角形状)に構成したものである。すなわち、複数のプリズム領域12prを、それぞれ垂直軸方向Yに沿って伸びる頂部12ptと谷部12pvがいずれも山形の斜面状(例えば二等辺三角形の斜面)になるように、それぞれ形成している。このとき、山形の斜面の傾斜角θを適宜に調整することにより、プリズム出射面部12peの副軸方向(垂直軸方向Y)に向かう傾斜が設定されるので、第1の光出射範囲12Pにおける極角φに対する出射角の分布態様を強調し、副軸方向(垂直軸方向Y)に沿った光度分布の偏りを強く形成することができる。このため、特に、全体の配光分布Dにおいて、第1の配光分布Dの影響が大きい主軸方向(水平軸方向X)の高角度領域(例えば、15°≦φ≦45°)における副軸方向(垂直軸方向Y)の光度分布を調整する場合に有効である。また、プリズム出射面部12peの主軸方向(水平軸方向X)への傾斜角θと、上記副軸方向(垂直軸方向Y)への傾斜角θとを各プリズム領域12pr毎に適宜に設定することにより、所定の方位角φ及び極角φを備えた出射光ELの主軸方向及び副軸方向の光度の分布態様をさらに詳細に設定できる。なお、このような副軸方向に沿った山形状の構成は、本実施形態のような第3実施形態に基づくものに限らず、第1実施形態、第2実施形態、及び、第4実施形態にも同様に採用することができる。
次に、図16を参照して、本発明に係る第7実施形態について説明する。この第7実施形態では、図16に示すように、光出射面12上において、上記各実施形態の第2の光出射範囲12Tとは異なる第2の光出射範囲12Sを備えている。この第2の光出射範囲12Sは、上記とは異なり、複数のレンズ領域を備えたレンズアレー構造を備えていない一体のレンズ面(トロイダル面を含む。)を備えたものとすることができる。また、図示のように、平坦なレンズ面とすることも排除しない。さらに、複数のレンズ領域を備えたレンズアレー構造を備えつつ、各レンズ領域が上述のようなトロイダル面ではなく、単なる凸レンズ状(球面レンズ状)、或いは、トロイダル面以外の非球面レンズ状のレンズ面を備えたものとすることもできる。
この第7実施形態では、光入射面11が主軸方向(水平軸方向X)に沿ってフレネルレンズ構造を有するものの、副軸方向(垂直軸方向Y)に沿った方向には平坦に構成された、一方向フレネルレンズ構造11a′、11b′及び11c′を備える。すなわち、一方向フレネルレンズ構造11a′、11b′及び11c′は、図16(b)の断面構造を紙面と垂直にそのまま延伸させた面形状を備える。この面形状は、図16(a)の光出射面12の平面図において点線で示している。このような一方向フレネルレンズ構造により、水平軸方向Xに拡がった入射光ILの水平軸方向Xの進行方向成分については光軸10xに平行化されるが、垂直軸方向Yの進行方向成分については平行化されない。また、垂直軸方向Yに拡がった入射光ILの垂直軸方向Yの進行方向成分については平行化されず、水平軸方向Xの進行方向成分についてのみ平行化される。したがって、第2の光出射範囲12Sから出射される出射光ELは、主軸方向(水平軸方向X)には平行化されるが、副軸方向(垂直軸方向Y)には拡がった図示の第2の配光分布D11を呈する。なお、図示二点鎖線で示す第2の配光分布D11は、軸線10xの周りの方位に関する偏り態様を楕円形状で模式的に示したものである。
一方、第1の光出射範囲については、第4実施形態と同様に(ただし、12Pと12Pの間隔は異なる)二つの第1の光出射範囲12Pと12Pを中央部からずらして左右に配置している。これらのプリズムアレーにより、主軸方向(水平軸方向X)に拡がった図示の第1の配光分布D12を呈する。なお、図示二点鎖線で示す第2の配光分布D12は、軸線10xの周りの方位に関する偏り態様を楕円形状(図面上、左右部分が省略されている。)で模式的に示したものである。ただし、この第1の光出射範囲12Pと12Pは、平行光PLに基づく先の各実施形態とは異なり、一方向フレネルレンズ構造による一方向平行光に基づくものであるため、副軸方向(垂直軸方向Y)の出射光ELの拡がり態様は、先の実施形態とは異なる態様の入射光束に依存するものとなる。
本実施形態では、第2の光出射範囲12Sとして、先の各実施形態で示した第2の光出射範囲12Tとは異なる態様を示した。このように、第2の光出射範囲は、レンズアレー構造に限らず、また、トロイダルレンズ面に限らず、種々のレンズ面を備えた構成とすることができる。また、入射面11上に形成した一方向フレネルレンズ構造は、同等の集光性能を有するシリンドリカルレンズなどによって構成してもよく、或いは、前述のようにレンズ10とは別のコリメーターCOL(集光レンズ)によって構成されていてもよい。
上述のようにして設計した図12に模式的に示す第3実施形態に相当する構成を備えるプリズムアレー及びレンズアレーを光出射面12上に構成し、光入射面11上に図5に示すフレネルレンズ構造を構成した直径15mmの上記レンズ10を試作した。そして、図5に示す上記フレネルレンズ構造の焦点位置に半導体発光素子1の発光部1aを設置したときの、水平軸方向X(方位角φa)と垂直軸方向Y(極角φ)の配光分布を示す光度のグラフを図17(a)及び(b)に示す。本実施形態のレンズ10は、以下の表4に示すように、単一構造で所望の後退灯の配光分布(図3(a)の上記配光表に示されるもの)を実現できている。また、この試作品において、レンズ10の直径15mmに対して、レンズ10の厚みを2.9mmとすることができた。後退灯などの車両用灯具においては、本実施形態を用いることにより、発光素子1に対して単一のレンズ10により構成できるため、従来よりも大幅に薄型化することができる。なお、レンズ10の上記厚みは、レンズの成形を容易化するとともに、レンズ剛性やレンズ面精度も確保するために、十分な厚み余裕を持たせたものである。したがって、レンズ設計上においては、1mm、或いは、それ以下の厚みとすることも可能である。
Figure 2020035706
なお、上記第1〜第6実施形態において、光出射面12に設ける第2の光出射範囲12Tのレンズアレーについては、光軸10xが縦横のレンズ領域12rsの各列の中央を通過する水平線と垂直線の交点上に配置される第1実施形態と同様の配列態様ではなく、光軸10xが複数のレンズ領域12rsの境界に沿った水平線と垂直線の交点上に配置されるように構成しても構わない。また、上記各実施形態では、上記レンズアレー内において、完形の上記レンズ領域12rsの外周側に上記部分レンズ領域12rs′が設けられる。そして、或る周縁位置に設けられた部分レンズ領域12rs′に対して、入射面11内の光軸10xを挟んだ反対側の周縁位置に、相互に補完するような形状の他の部分レンズ領域12rs′が存在するように構成される。このように構成すると、これらの対の部分レンズ領域12rs′同士を合わせると、一つのレンズ領域12rsの領域の平面形状及びレンズ面形状にそれぞれ近い領域の平面形状及びレンズ面形状になる。これにより、互いに反対側に配置される一対の部分レンズ領域12rs′同士が相互に光学的に補完し合うようになるため、完形のレンズ領域12rsのみで構成される場合に近い配光分布を得ることができる。図示例では、図示右上領域内と図示左下領域内、並びに、図示左上領域内と図示右下領域内において、上記のような補完関係を有する複数対の部分レンズ領域12rs′が光軸10xの周りの光出射面12の外周部分に設けられる。このような部分レンズ領域12rs′同士の補完作用は、中心領域(第1の光出射範囲12P)の周りに対称的にレンズ領域12rs及び部分レンズ領域12rs′を配列させた円形状の上記レンズアレーを有する場合には、より効率的に生ずる。
上記第1〜第6実施形態では、複数のレンズ領域12rsがいずれも上述の基本条件を充足するトロイダル面SUを備えているため、個々のレンズ領域12rsがそれぞれ同等の配光分布を形成し、光源がLEDのようなインコヒーレントな場合であれば、レンズ10の全体としても、基本条件を充足する第2の配光分布Dを容易に形成できる。また、レンズアレー構造を採用することにより、出射面12の光軸10xの方向の高低差を低減できるので、薄型化も可能になる。この効果は、本実施形態のように複数のレンズ領域12rsが縦横に配列される場合、すなわち、光軸10xと直交する平面上の相互に交差する2方向に配列される場合に特に顕著である。また、第2の光出射範囲12Tは単一のトロイダルレンズで構成することもできる。また、同一でない異なる形状や面積のレンズ面を有する複数のレンズ領域12rsを設けてもよい。
上記各実施形態では、入射面11に設けたコリメーターを軸対称性を有する集光面によって構成することにより、発光素子1の発光部1aの指向特性に対応する効率的な集光性を実現できる。この効果は、点状光源である発光素子1が光軸周りに等方状の指向特性を備える場合に特に顕著である。また、上記コリメーターによってレンズ10内の伝搬光を平行光PLとすることにより、上記プリズムアレー構造やレンズアレー構造の設計を容易化できる。さらに、上記コリメーターをフレネルレンズ構造とすることによってレンズ10の薄型化を妨げない。特に、内周部分を屈折型集光構造若しくは凸レンズを有する入射面領域11Aとし、外周部分を反射型集光構造を有する入射面領域11Bとすることにより、広範囲の発散光束を効率的に集光することができる。
なお、本発明においては、上記実施形態及びその変形例に限らず、本発明の要旨に沿った種々の改変が可能である。例えば、上記実施形態では、レンズ10の外周形状を円形状としているが、当該外周形状は、楕円状、矩形状であってもよく、他の多角形状であってもよい。また、第1の光出射範囲のプリズム出射面部の形状は平坦面に限らず、凸曲面や凹曲面であってもよい。さらに、第2の光出射範囲のレンズ面形状としてトロイダル面を採用した場合には、水平軸方向の曲率と垂直軸方向の曲率を異なるものとする各種のトロイダル面形状であればよく、上記実施形態の表2に示すパラメータにより示される典型的なトロイダルレンズの面形状に限らず、以下の数15のサグ量定義式で示されるバイコーニックレンズの面形状や、数16のサグ量定義式で示されるバイコーニックゼルニケレンズの面形状を含む。ここで、c、cは、光軸とレンズ面の交点におけるx方向、y方向の曲率、k、kは、x方向、y方向のコーニック係数、α、βは、x方向、y方向の非線形定数である。なお、数15では、非線形定数は偶数次のみで16次までとし、ゼルニケ標準ポリノミアルの係数は0としている。これらの場合のパラメータを表4に示す。各面形状のパラメータの設定値は任意である。
Figure 2020035706
Figure 2020035706
Figure 2020035706
なお、数1のR、数2のC、数15及び数16のC、Cの値はそれぞれ負の値であってもよい。換言すれば、数1のRを−Rとし、数2のCを−C、数15及び数16のC、Cを−C、−Cに変更してもよい。これらの変更はレンズ形状を凸型トロイダルレンズと凹型トロイダルレンズの一方から他方に変えたときの数式上の操作である。レンズの焦点距離がデテクタとレンズ間の距離に比し無視できるほど小さい場合はこれらの係数の符号の変更は配光分布には影響しない。
また、車両用灯具の配光分布については、道路運送車両の保安基準(道路運送車両の保安基準の細目を定める告示[2018.02.10])において、「灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置の技術基準」(別添52)又は「二輪自動車等の灯火器及び反射器並びに指示装置の取付装置の技術基準」(別添53)に含まれる各灯の技術基準を適用する。それぞれの技術基準には、「制動灯の技術基準」(別添70)、「車幅灯の技術基準」(別添58)、「前部上側端灯の技術基準」(別添59)、「側方灯の技術基準」(別添61)、「尾灯の技術基準」(別添64)、「補助制動灯の技術基準」(別添71)、「後退灯の技術基準」(別添72)などがある。これらの技術基準に定められた配光表その他の配光特性の条件が設定されているものについては、その基準の内容や名称が変更された場合でも、現時点において適用されている規程を採用する。また、「方向指示器」についても、上記基本条件と同等の出射角度範囲内において同等の配光分布が形成されるように複数のトロイダルレンズ領域の光出射特性が設けられることが好ましい。さらに、海外についても同様であるが、上記の規程に代えて相当する各国の規程を採用する。
さらに、上記各実施形態では、一つの主軸方向(水平軸方向X)に向けて斜めに出射するプリズム出射面部12peを備えるプリズム領域12prを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の主軸方向を備えたプリズムアレーを設けてもよい。例えば、一方の主軸方向に向いた傾斜したプリズム出射面部12peを備えるプリズム領域12prと、他方の主軸方向に向いた傾斜したプリズム出射面部12peを備えるプリズム領域12prとを別々に設けてもよい。或いは、三角錐や四角錐などの多角錐形状のプリズム領域12prを設けることで、共通のプリズム領域12prが複数の主軸方向を備えるように構成してもよい。
1…発光素子、1a…発光部、10…レンズ、11…光入射面、12…光出射面、12P…第1の光出射範囲、12pr…プリズム領域、12pt…頂部、12pv…谷部、12pe…プリズム出射面部、12Pb…ベースライン、12Pp…トップライン、12T,12S…第2の光出射範囲、12rs…レンズ領域、12rs′…部分レンズ領域、SU,SU′…トロイダル面、S…単位出射領域、P…出射位置、T1〜T7…対応ポイント、SD…条件設定範囲、S…単位入射領域、P…入射位置、S1〜S7…サンプリングポイント、DT…デテクタ面、D…第1の配光分布、D…第2の配光分布、D…配光分布

Claims (18)

  1. 光入射面と、該光入射面の逆側に配置される光出射面とを具備する車両用灯具構成レンズであって、
    前記光出射面上において、第1の配光分布を実現する第1の光出射範囲と、第2の配光分布を実現する第2の光出射範囲とを有し、
    前記第1の配光分布は、前記第2の配光分布に対して光軸周りの方位に関する偏り態様が異なり、
    前記第1の光出射範囲は、前記光出射面に沿った所定の主軸方向に向くとともに光軸に対して傾斜したプリズム出射面部を備えた複数のプリズム領域が連続して配列されたプリズムアレーにより構成される、
    車両用灯具構成レンズ。
  2. 前記第1の光出射範囲は、相互に異なる傾斜角の前記プリズム出射面部を備える複数の前記プリズム領域を含む、
    請求項1に記載の車両用灯具構成レンズ。
  3. 前記第1の光出射範囲には、前記傾斜角が漸次一方向に変化する態様の複数の前記プリズム領域の配列部分が存在する、
    請求項2に記載の車両用灯具構成レンズ。
  4. 前記第1の光出射範囲では、前記複数のプリズム領域は、光軸が通過する中心側から周辺側へ向けて前記傾斜角が漸次一方向に変化する態様で配列される、
    請求項3に記載の車両用灯具構成レンズ。
  5. 前記第1の光出射範囲は、相互に異なる光出射域の面積を持つ前記プリズム出射面部を備える複数の前記プリズム領域を含む、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  6. 前記プリズム領域は、前記主軸方向の相互に逆向きに傾斜した第1のプリズム出射面部と第2のプリズム出射面部を有する、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  7. 前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部は相互に逆向きであるが同一の傾斜角を有する、
    請求項6に記載の車両用灯具構成レンズ。
  8. 前記プリズム領域は、前記光軸に沿って前記プリズム領域の内部に入射した光が前記第1のプリズム出射面部と前記第2のプリズム出射面部で全反射するように構成される、
    請求項6又は7に記載の車両用灯具構成レンズ。
  9. 前記主軸方向は、水平軸方向と垂直軸方向の少なくとも一方である、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  10. 前記第1の光出射範囲は、前記光軸を通過する少なくとも一の基準面に対して前記主軸方向の両側に対称なプリズム構造を備える、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  11. 前記第1の光出射範囲は、前記光出射面の中央部において前記第2の光出射範囲に包囲された島状に構成される、
    請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  12. 前記第1の光出射範囲は、前記第2の光出射範囲に包囲された複数の島状に構成される、
    請求項1〜11の何れか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  13. 前記第2の光出射範囲には、複数のレンズ領域が配列されてなるレンズアレーが設けられる、
    請求項1〜12のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  14. 前記複数のレンズ領域のレンズ面はそれぞれトロイダル面である、
    請求項13に記載の車両用灯具構成レンズ。
  15. 前記トロイダル面は、水平軸方向と垂直軸方向とに関して相互に異なる曲線形状を備える、
    請求項14に記載の車両用灯具構成レンズ。
  16. 前記光入射面上には、光源から放出される発散光束を集光平行化するためのコリメーターが形成される、
    請求項1〜15のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズ。
  17. 前記コリメーターは、フレネルレンズである、
    請求項16に記載の車両用灯具構成レンズ。
  18. 発光素子と、
    前記発光素子の側に前記光入射面を向けた請求項1〜17のいずれか一項に記載の車両用灯具構成レンズと、
    を具備する車両用灯具。
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