JP2020034347A - 測定装置及び測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑剤に含ませた蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求めるための測定において、精度を高める。【解決手段】潤滑剤42に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤42の厚さを求めるための測定装置22である。測定装置22は、レーザー光Lを出力するレーザー光源32と、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域に対向して設けられる画像センサ35を有するカメラ34と、前記対象の領域と画像センサ35との間に設けられ、蛍光物質の蛍光を透過させかつレーザー光Lを反射させるダイクロイックミラー33とを備える。前記対象の領域と画像センサ35とを結ぶ直線Jに交差する方向からレーザー光Lをダイクロイックミラー33に入射させ、ダイクロイックミラー33におけるレーザー光Lの反射光が、直線Jに沿って進行して前記対象の領域を照射する。【選択図】 図1
Description
本発明は、潤滑剤の厚さを求める測定装置及び測定方法に関する。
例えば二つの部材が滑り接触する場合、オイルやグリースのような潤滑剤が用いられる。これにより二つの部材の接触面間に潤滑剤による油膜が形成され、焼き付き等の損傷を防ぐことが可能となる。二つの部材間の油膜厚さを適切な値とすることにより、好ましい潤滑状態が得られることから、潤滑剤の研究では、二つの部材が接触する部分(接触部)における油膜厚さを測定する取り組みが行われている。特許文献1には、潤滑剤の膜厚を測定する装置が開示されている。
潤滑剤の厚さ(油膜厚さ)の測定方法としてレーザー誘起蛍光法が知られている。レーザー誘起蛍光法は、蛍光物質を含む潤滑剤を例えば二つの部材間に塗布し、レーザー光を照射することで蛍光物質から発せられる蛍光の輝度を測定する方法である。これは、油膜が厚くなるにしたがって、蛍光物質の量が増大することから、油膜厚さに比例して蛍光(光励起)による輝度が高くなることを利用した測定方法である。なお、一つの部材が他の部材と接触して前記のように油膜を形成する機械要素として、例えば密封装置(シール)がある。
図5は、潤滑剤の厚さを測定する従来の測定装置の概略構成図である。この測定装置は、レーザー誘起蛍光法を用い、第一部材としての板部材97と、第二部材としてのシール部材98との間の接触部99における潤滑剤95の厚さ(油膜厚さ)を測定するための装置である。測定装置は、レーザー光Lを照射するレーザー光源90と、接触部99を撮影するカメラ91とを備える。板部材97は、ガラス板により構成され、レーザー光L及び潤滑剤95に含まれている蛍光物質の蛍光を透過させる。レーザー光源90は、板部材97を通じて接触部99及びその周囲にレーザー光Lを照射する。このレーザー光Lにより潤滑剤95に含まれる蛍光物質が励起し発光する。カメラ91は接触部99及びその周囲を撮影し、撮影画像から接触部99における輝度が求められる。輝度と油膜厚さとには相関があることから、求めた輝度を換算することで接触部99における油膜厚さが求められる。
従来の装置では、カメラ91にとってレーザー光源90が影とならないように、図5に示されるように、カメラ91の撮影方向に対して傾いた方向、つまり、接触部99とカメラ91とを結ぶ直線Jに対して傾いた方向から、レーザー光Lを接触部99及びその周囲に入射させる。図5において、前記直線Jに対するレーザー光Lの傾斜角度がθである。
図6は、接触部99に入射するレーザー光L、及び潤滑剤95に含まれる蛍光物質から発せられる蛍光を説明する従来技術の説明図である。レーザー光Lを傾いた方向から入射させると、板部材97におけるレーザー光の屈折、及びシール部材98による反射により、潤滑剤95の厚さが一定であっても、カメラ91の画像センサ(受光部)92において、次に説明するように、受光強度に強弱のムラが発生する。つまり、画像センサ92は、第一位置P1において、レーザー光Lの入射光Li1による蛍光F1を受光する。これに対して、画像センサ92は、第二位置P2において、レーザー光Lの入射光Li2による蛍光F1と、入射光Li1がシール部材98により反射した反射光Lrによる蛍光F2との合計(F1+F2)を受光する。つまり、レーザー光Lを傾いた方向から入射させると、潤滑剤95による油膜厚さが同じであっても、画像センサ92の受光強度が第一位置P1よりも第二位置P2において強くなる。
このように強弱のムラが生じた受光強度(輝度)を油膜厚さに換算すると、位置(P1、P2)によって油膜厚さが異なるという結果になる。そこで、従来では、レーザー光Lを斜めから照射する場合、カメラ91が取得した画像データを補正する処理(演算)が行われる。しかし、この処理(演算)は困難であり、補正したとしても高い精度の結果を得ることはできない。
そこで、本発明は、潤滑剤に含ませた蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求めるための測定において、精度を高めることを目的とする。
本発明は、潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求めるための測定装置であって、前記蛍光物質の励起光としてのレーザー光を出力するレーザー光源と、潤滑剤の厚さを求める対象の領域に対向して設けられる受光部を有し、当該対象の領域を撮影する撮影装置と、前記対象の領域と前記受光部との間に設けられ、前記潤滑剤の蛍光物質の蛍光を透過させかつ前記レーザー光を反射させるダイクロイックミラーと、を備え、前記対象の領域と前記受光部とを結ぶ直線に交差する方向から前記レーザー光を前記ダイクロイックミラーに入射させ、当該ダイクロイックミラーにおける当該レーザー光の反射光が、前記直線に沿って進行して前記対象の領域を照射する。
この測定装置によれば、レーザー光源からのレーザー光の出力方向と、撮影装置(受光部)が、対象の領域を撮影する方向(前記直線の方向)とが、一致していなくても(同軸になっていなくても)、ダイクロイックミラーによって、対象の領域に対するレーザー光の入射方向と、対象の領域に存在する蛍光物質を含む潤滑剤から発せられた蛍光が受光部に入射する方向とが、同じとなる(同軸となる)。このため、レーザー光が対象の領域に対して斜めから照射する場合に従来では必要であった補正を行わなくても、測定精度を高めることが可能となる。
また、レーザー光源が出力するレーザー光の強度分布が正規分布である場合、特に、レーザー光の照射範囲が広いと、その照射範囲内の位置に応じてレーザー光の強度分布が異なる。このため、測定結果において、レーザー光の強度分布に基づく誤差が生じる。この場合、補正の処理(演算)が行われることで、その誤差を解消できるが、前記測定装置は、前記対象の領域に入射させる前記レーザー光の強度分布をトップハット分布とするトップハット型ビーム出力拡散板を更に備えるのが好ましい。この場合、レーザー光の強度分布に基づく誤差が抑制される。つまり、この誤差を解消する補正の処理は不要となる。
また、前記対象の領域に対する前記レーザー光の照射範囲は、前記撮影装置による撮影範囲よりも広いのが好ましい。この場合、一回の撮影により、広い範囲における潤滑剤の厚さの測定が可能となる。
また、本発明は、潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求める方法であって、潤滑剤の厚さを求める対象の領域と、当該対象の領域に対向して設けられる受光部を有し当該対象の領域を撮影する撮影装置との間に、前記潤滑剤の蛍光物質の蛍光を透過させかつレーザー光を反射させるダイクロイックミラーを設置する準備工程と、前記対象の領域と前記受光部とを結ぶ直線に交差する方向からレーザー光を前記ダイクロイックミラーに入射させ、当該ダイクロイックミラーにおける当該レーザー光の反射光を、前記直線に沿って進行させて前記対象の領域に対して照射する照射工程と、前記撮影装置によって、前記対象の領域の画像を取得する撮影工程と、前記画像に基づいて前記対象の領域の輝度を求め、当該輝度を潤滑剤の厚さに換算する処理工程と、を含む。
この測定方法によれば、レーザー光の出力方向と、撮影装置(受光部)が、対象の領域を撮影する方向(前記直線の方向)とが、一致していなくても(同軸になっていなくても)、ダイクロイックミラーによって、対象の領域に対するレーザー光の入射方向と、対象の領域に存在する蛍光物質を含む潤滑剤から発せられた蛍光が受光部に入射する方向とが、同じとなる(同軸となる)。このため、レーザー光が対象の領域に対して斜めから照射する場合に従来では必要であった補正を行わなくても、測定精度を高めることが可能となる。
本発明によれば、レーザー光が対象の領域に対して斜めから照射する場合に従来では必要であった補正を行わなくても、測定精度を高めることが可能となる。
〔はじめに〕
本発明の測定方法は、潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求める方法である。図1は、本発明の測定方法を実施するための測定装置22の一例を示す構成図である。本実施形態では、潤滑剤の厚さを求める対象の領域にシール部材26が含まれ、シール部材26の一部に付着する潤滑剤42の厚さが求められる。特に、シール部材26は回転プレート28に接触していて、これらシール部材26と回転プレート28との間に形成される潤滑剤42による油膜厚さが求められる。
本発明の測定方法は、潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求める方法である。図1は、本発明の測定方法を実施するための測定装置22の一例を示す構成図である。本実施形態では、潤滑剤の厚さを求める対象の領域にシール部材26が含まれ、シール部材26の一部に付着する潤滑剤42の厚さが求められる。特に、シール部材26は回転プレート28に接触していて、これらシール部材26と回転プレート28との間に形成される潤滑剤42による油膜厚さが求められる。
測定方法で用いられる潤滑剤42には、励起光により発光する蛍光物質が含まれる。潤滑剤42は、オイル(潤滑油)であってもよく、オイルに増ちょう剤を分散させたグリースであってもよい。オイルの種類に関して特に制限はない。蛍光物質は、励起光により発光する物質であれば、その種類に制限はない。蛍光物質の例としては、ローダミンB、ローダミン6G等の蛍光染料が挙げられる。
〔測定装置について〕
測定装置22は、第一部材としての回転プレート28と、回転プレート28に対向して配置される第二部材としての環状のシール部材26と、シール部材26が固定されている板状の固定プレート24とを備える。図1において、紙面の上下方向が鉛直線の延在方向である。
測定装置22は、第一部材としての回転プレート28と、回転プレート28に対向して配置される第二部材としての環状のシール部材26と、シール部材26が固定されている板状の固定プレート24とを備える。図1において、紙面の上下方向が鉛直線の延在方向である。
測定装置22は、例えば、電動モーターを含む回転機構29を備える。回転機構29は、シャフト30をその中心線C回りに回転させる。シャフト30に回転プレート28が固定されている。シャフト30の回転により、回転プレート28が中心線Cを中心に回転する。固定プレート24は、図示されない測定装置22のフレームに固定されている。固定プレート24は回転しない。前述したように、シール部材26は固定プレート24に固定されている。このため、シャフト30の回転により、回転プレート28がシール部材26に対して移動する。なお、これとは反対に、シール部材26(及び固定プレート24)が中心線C回りに回転してもよい。つまり、シール部材26と回転プレート28とが相対的に移動(回転)すればよい。シール部材26の先端が回転プレート28に所要の締め代で接触する。回転プレート28が回転すると、シール部材26と回転プレート28との間に潤滑剤42による油膜が形成される。測定装置22では、シール部材26が回転プレート28を摺動する状態(滑り接触する状態)が再現される。
シール部材26は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)等)を基材ゴムとする弾性材料からなる。なお、転がり軸受の転動体(例えば、鉄等の金属製の玉)を第二部材として用いることもできる。
測定装置22は、光源としてのレーザー光源32と、撮影装置としてのカメラ34と、ダイクロイックミラー33とを備える。測定装置22は、更に、コンピュータにより構成されている処理装置48を備える。レーザー光源32は、潤滑剤42に含まれる前記蛍光物質の励起光として、レーザー光Lを出力する。レーザー光源32から出力されたレーザー光Lの照射方向は、ダイクロイックミラー33によって変えられて、シール部材26の一部及びその周囲を照射する。レーザー光Lにより、シール部材26と回転プレート28との間に設けられている潤滑剤42の蛍光物質は励起され、蛍光Fを放つ。つまり、レーザー光Lは、蛍光物質を発光させる。レーザー光源32の例として、YAGレーザーが挙げられる。
ダイクロイックミラー33は、シール部材26とカメラ34が有する画像センサ35との間に設けられている。ダイクロイックミラー33は、シール部材26に付着する潤滑剤42の蛍光物質の蛍光F(蛍光Fの波長)を透過させ、かつ、レーザー光L(レーザ光Lの波長)を反射させるように構成されている。
カメラ34は、回転プレート28を挟んで接触部36に対向するように配置される。カメラ34は、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域、つまり、シール部材26の一部及びその周囲を撮影するために、受光部として、面状に広がる多数の受光素子による画像センサ35を有する。画像センサ35は、シール部材26の一部に対向して設けられている。つまり、本実施形態では、環状であるシール部材26の中心線は、前記中心線Cと一致していて、カメラ34の撮影方向は、シール部材26の中心線(C)に平行である。画像センサ35と、撮影の対象に含まれるシール部材26の一部とを結ぶ直線Jに沿った方向が、カメラ34の撮影方向となる。本実施形態では、シール部材26及びその周囲に対するレーザー光Lの照射範囲は、カメラ34による撮影範囲、つまり、画像センサ35の受光範囲よりも広い。
回転プレート28は、レーザー光L、及び蛍光物質の蛍光Fを透過させる。本実施形態の回転プレート28は、無色透明なアクリル樹脂製のプレートである。無色透明なガラスプレートが、回転プレート28として用いられてもよい。
本実施形態では、カメラ34と回転プレート28との間に、蛍光物質の蛍光Fのみが通過する光学フィルタ38が配置される。後にも説明するが、カメラ34が撮影した画像により、蛍光物質の蛍光に基づく潤滑剤42の輝度(輝度分布)が得られる。処理装置48は、各種の情報処理及び演算処理を行う。
本実施形態の測定装置22では、シール部材26の一部と画像センサ35とを結ぶ直線Jに直交(交差)する方向から、レーザー光Lがダイクロイックミラー33に入射する。ダイクロイックミラー33におけるレーザー光Lの反射光が、前記直線Jに沿って進行してシール部材26の一部及びその周囲を照射する。
ここで、レーザー光源32が出力するレーザー光Lの強度分布は、正規分布(ガウス分布)となる。本実施形態の測定装置22は、トップハット型ビーム出力拡散板37(以下、「拡散板37」と称する。)を備える。拡散板37は、シール部材26の一部及びその周囲に入射させるレーザー光Lの強度分布を、トップハット分布とする(図2参照)。図2は、測定装置22の概略構成、及び、シール部材26の一部及びその周囲に入射させるレーザー光Lの強度分布を示す説明図である。図2に示されるように、シール部材26の一部及びその周囲に入射するレーザー光Lの強度分布は、トップハット分布となる。
なお、拡散板37は省略されていてもよい。図3は、拡散板37が省略された測定装置22の概略構成、及び、シール部材26の一部及びその周囲に入射させるレーザー光Lの強度分布を示す説明図である。図3に示されるように、拡散板37が省略される場合、シール部材26の一部及びその周囲に入射させるレーザー光Lの強度分布は、レーザー光源32から出力されたレーザー光Lの強度分布と同じ、正規分布となる。
〔測定方法について〕
以上の構成を備える測定装置22(図1参照)によって、潤滑剤42の厚さを求める測定方法が実行される。この測定方法は、潤滑剤42に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法に基づく。測定方法には、準備工程と、照射工程と、撮影工程と、処理工程とが含まれ、この順で各工程が進められる。以下、各工程について説明する。
以上の構成を備える測定装置22(図1参照)によって、潤滑剤42の厚さを求める測定方法が実行される。この測定方法は、潤滑剤42に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法に基づく。測定方法には、準備工程と、照射工程と、撮影工程と、処理工程とが含まれ、この順で各工程が進められる。以下、各工程について説明する。
準備工程では、各機器が所定位置に配置される(図1参照)。つまり、撮影装置としてのカメラ34が、測定の対象の領域に含まれるシール部材26の一部に対向して設けられる。シール部材26の一部とカメラ34(画像センサ35)との間に、ダイクロイックミラー33が設置される。ダイクロイックミラー33は、前記のとおり、潤滑剤42の蛍光物質の蛍光Fを透過させ、かつ、レーザー光Lを反射させる機能を有する。
照射工程では、レーザー光源32からダイクロイックミラー33に向かってレーザー光Lが出力される。本実施形態では、測定の対象の領域に含まれるシール部材26の一部(接触部36)と、カメラ34の画像センサ35とを結ぶ直線Jに直交する方向から、レーザー光Lをダイクロイックミラー33に入射させる。そして、このダイクロイックミラー33におけるレーザー光Lの反射光を、前記直線Jに沿って進行させ、シール部材26の一部及びその周囲に対して照射する。
撮影工程では、カメラ34によって、シール部材26の一部及びその周囲の画像を取得する。カメラ34は、画像センサ35を有し、画像センサ35により、撮影範囲の各位置における輝度(輝度値)のデータが取得される。本実施形態では、シール部材26の一部及びその周囲に対するレーザー光Lの照射範囲は、カメラ34による撮影範囲よりも広く設定されている。これにより、シール部材26と回転プレート28とは中心線Cを中心とした周方向に連続して接触するが、この連続して接触する範囲(接触部36)が、前記撮影範囲及び前記照射範囲に含まれ、この結果、測定の対象の領域に含まれる。
処理工程では、カメラ34により画像が取得されると、その画像に基づいて、処理装置48は画像解析を行う。この画像解析により、撮影範囲(画像の範囲)の輝度分布が得られる。この輝度分布から、シール部材26と回転プレート28とが接触する接触部36における輝度(輝度値)が処理装置48により求められる。
ここで、潤滑剤42の厚さ(油膜)が厚くなるほど、その潤滑剤42(油膜)に含まれる蛍光物質の量は増える。よって、潤滑剤42の厚さ(油膜厚さ)に比例して輝度は変化する。そこで、蛍光物質を含む潤滑剤42の厚さと、蛍光物質による蛍光の輝度との関係が、予め求められている。このため、接触部36における輝度が求められると、その輝度の値から、接触部36における油膜厚さ、つまり、シール部材26と回転プレート28との間の油膜厚さを換算して求めることができる。このように、処理工程では、カメラ34が取得した画像に基づいて、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域に含まれる接触部36における輝度を求め、この輝度を、接触部36における潤滑剤の厚さ(油膜厚さ)に換算する。
以上より、接触部36における潤滑剤42の厚さ(油膜厚さ)が求められる。なお、接触部36のみならず、その周囲における潤滑剤の輝度も、前記輝度分布から求められる。このため、接触部36の周囲における潤滑剤42の厚さについても、求めることができる。
〔本実施形態の測定装置22について〕
以上のように、本実施形態の測定装置22は(図1参照)、蛍光物質の励起光としてのレーザー光Lを出力するレーザー光源32と、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域を撮影するカメラ34とを備える。カメラ34は画像センサ35を有し、画像センサ35は前記対象の領域に対向して設けられる。測定装置22は、更に、前記対象の領域と画像センサ35との間に設けられたダイクロイックミラー33を備える。ダイクロイックミラー33は、潤滑剤42の蛍光物質の蛍光を透過させ、かつ、レーザー光Lを反射させる機能を有する。そして、前記対象の領域と画像センサ35とを結ぶ直線Jに交差(本実施形態では直交)する方向からレーザー光Lをダイクロイックミラー33に入射させる。このダイクロイックミラー33におけるレーザー光Lの反射光が、前記直線Jに沿って進行して前記対象の領域を照射するように構成されている。
以上のように、本実施形態の測定装置22は(図1参照)、蛍光物質の励起光としてのレーザー光Lを出力するレーザー光源32と、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域を撮影するカメラ34とを備える。カメラ34は画像センサ35を有し、画像センサ35は前記対象の領域に対向して設けられる。測定装置22は、更に、前記対象の領域と画像センサ35との間に設けられたダイクロイックミラー33を備える。ダイクロイックミラー33は、潤滑剤42の蛍光物質の蛍光を透過させ、かつ、レーザー光Lを反射させる機能を有する。そして、前記対象の領域と画像センサ35とを結ぶ直線Jに交差(本実施形態では直交)する方向からレーザー光Lをダイクロイックミラー33に入射させる。このダイクロイックミラー33におけるレーザー光Lの反射光が、前記直線Jに沿って進行して前記対象の領域を照射するように構成されている。
この測定装置22によれば、レーザー光源32からのレーザー光Lの出力方向と、カメラ34の画像センサ35が対象の領域を撮影する方向(前記直線Jの方向)とが、一致していなくても(同軸になっていなくても)、ダイクロイックミラー33によって、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域に対するレーザー光Lの入射方向と、当該対象の領域に存在する蛍光物質を含む潤滑剤42から発せられた蛍光Fが画像センサ35に入射する方向とが、同じとなる(同軸となる)。図4は、本実施形態の測定装置22の機能を説明する図である。図4には、対象の領域に対するレーザー光Lの入射方向と、蛍光Fが画像センサ35に入射する方向とが説明されている。図4に示されるように、画像センサ35は、第一位置P1において、図外のダイクロイックミラー33から入射するレーザー光Li1による蛍光F1と、このレーザー光Li1がシール部材26により反射した反射光Lr1による蛍光F2との合計「F1+F2」を受光する。また、画像センサ35は、第一位置P1と異なる第二位置P2において、図外のダイクロイックミラー33から入射するレーザー光Li2による蛍光F1と、このレーザー光Li2がシール部材26により反射した反射光Lr2による蛍光F2との合計「F1+F2」を受光する。このように、画像センサ35において、第一位置P1で受光する蛍光の強度と、第二位置P2で受光する蛍光の強度とは、共に「F1+F2」であり、同じとなる。このため、レーザー光が対象の領域に対して斜めから照射する場合に従来では必要であった補正を行わなく済む。この結果、本実施形態の測定装置22によれば、対象の領域における潤滑剤42の厚さの測定精度を高めることが可能となる。
また、レーザー光源32が出力するレーザー光Lの強度分布は正規分布である。更に、前記のとおり、レーザー光Lの照射範囲が(カメラ34による撮影範囲よりも)広い。この場合、その照射範囲内の位置に応じてレーザー光Lの強度分布が異なる。このため、拡散板37が省略されている場合、測定結果において、レーザー光Lの強度分布(正規分布)に基づく誤差が生じる。この場合、補正の処理(演算)が行われることで、その誤差を解消できる。しかし、本実施形態では、拡散板37が設けられている。つまり、測定装置22は、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域に入射させるレーザー光Lの強度分布をトップハット分布とする拡散板37を備える。この拡散板37によって、対象の領域に入射させるレーザー光Lの強度分布がトップハット分布となる。よって、レーザー光Lの強度分布に基づく誤差が抑制される。つまり、本実施形態では、前記誤差を解消する補正の処理は不要となる。
本実施形態では、前記のとおり、潤滑剤42の厚さを求める対象の領域に対するレーザー光Lの照射範囲は、カメラ34による撮影範囲よりも広く設定されている。このため、一回の撮影により、広い範囲における潤滑剤42の厚さの測定が可能となる。本実施形態では、シール部材26と回転プレート28とは中心線Cを中心とした周方向に連続して接触するが、この連続して接触する範囲(接触部36)が、測定の対象の領域に含まれる。
〔その他〕
また、本実施形態の測定方法では、輝度分布を取得するための画像が、撮影装置として一眼レフカメラを用いて撮影されているのが好ましい。この構成によれば、画像から輝度に関する高密度な情報を得ることができる。よって、測定精度をさらに向上させることができる。
また、本実施形態の測定方法では、輝度分布を取得するための画像が、撮影装置として一眼レフカメラを用いて撮影されているのが好ましい。この構成によれば、画像から輝度に関する高密度な情報を得ることができる。よって、測定精度をさらに向上させることができる。
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
22:測定装置 32:レーザー光源
33:ダイクロイックミラー 34:カメラ(撮影装置)
35:画像センサ(受光部) 37:トップハット型ビーム出力拡散板
42:潤滑剤 J:直線
L:レーザー光 Li1:レーザー光
Li2:レーザー光
33:ダイクロイックミラー 34:カメラ(撮影装置)
35:画像センサ(受光部) 37:トップハット型ビーム出力拡散板
42:潤滑剤 J:直線
L:レーザー光 Li1:レーザー光
Li2:レーザー光
Claims (4)
- 潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求めるための測定装置であって、
前記蛍光物質の励起光としてのレーザー光を出力するレーザー光源と、
潤滑剤の厚さを求める対象の領域に対向して設けられる受光部を有し、当該対象の領域を撮影する撮影装置と、
前記対象の領域と前記受光部との間に設けられ、前記潤滑剤の蛍光物質の蛍光を透過させかつ前記レーザー光を反射させるダイクロイックミラーと、
を備え、
前記対象の領域と前記受光部とを結ぶ直線に交差する方向から前記レーザー光を前記ダイクロイックミラーに入射させ、当該ダイクロイックミラーにおける当該レーザー光の反射光が、前記直線に沿って進行して前記対象の領域を照射する、
測定装置。 - 前記対象の領域に入射させる前記レーザー光の強度分布をトップハット分布とするトップハット型ビーム出力拡散板を更に備える、請求項1に記載の測定装置。
- 前記対象の領域に対する前記レーザー光の照射範囲は、前記撮影装置による撮影範囲よりも広い、請求項1又は2に記載の測定装置。
- 潤滑剤に含まれる蛍光物質を光励起させて行う誘起蛍光法により、潤滑剤の厚さを求める方法であって、
潤滑剤の厚さを求める対象の領域と、当該対象の領域に対向して設けられる受光部を有し当該対象の領域を撮影する撮影装置との間に、前記潤滑剤の蛍光物質の蛍光を透過させかつレーザー光を反射させるダイクロイックミラーを設置する準備工程と、
前記対象の領域と前記受光部とを結ぶ直線に交差する方向からレーザー光を前記ダイクロイックミラーに入射させ、当該ダイクロイックミラーにおける当該レーザー光の反射光を、前記直線に沿って進行させて前記対象の領域に対して照射する照射工程と、
前記撮影装置によって、前記対象の領域の画像を取得する撮影工程と、
前記画像に基づいて前記対象の領域の輝度を求め、当該輝度を潤滑剤の厚さに換算する処理工程と、
を含む、測定方法。
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